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2013年 11月 |
11月27日 IND@CHA 99−74 |
今季初のペーサーズのゲームのテレビ観戦である。でも、その前に対戦相手のボブキャッツについて。 ッホント、久しぶりに観た。そもそもチーム誕生以来、観た回数そのものが少ないのであるが、エメカ・オカファーの時に一回、ラリー・ブラウンの時に一回の計二回、今回を入れて計三回位しか見ていない気がする。 なんで、そんなに見る回数が少ないかと云うと、日本で不人気だから、ではなく、チーム誕生以来全然勝てていないからである。日本での、つかNHKBSでの放送回数というのは、シ−ズン前半はバランス重視、シーズン後半は強さ重視・勝ち星重視みたいな感じになっている。人気重視という点もなくはないが、かつてのブルズやレイカーズのような人気チームはいまや無いので、だいたい上記のような選考基準であろう。無論、それに異を唱える心算は無い。当然の基準である。 しかし、そのような選考基準だと、ボブキャッツのような真性弱小はシーズン前半のバランス重視期しか放送機会が無く、それも全チームが放送される訳でもないから、3年に一度くらいしかBS放映がなくなってしまう。っま、要するに「強くなれ」という事である。良い例がダラスで、90年代の弱小期には日本での放送機会は全然なかったが、00年代に強くなるにしたがって、日本での放送回数も大幅に増えた。っま、そういうもんである。 しかし、ボブキャッツのエクスパンションチームとしてNBA加入以来10年近くなるが、いまだ良い時期が無し。1回プレイオフに出ているが、それだけである。ドラフトやFA制度のあるアメリカ・プロスポーツではなかなか珍しい事である。エクスパンション・チームに限っても、ヒート、ホーネッツ、マジック、ラプターズ、グリズリーズ、皆良い時期があった。10年近く負け続けるのは、なかなか難しいのである。 極端な話、3年負け続ければ、ドラフトで有力プレイヤーを3名獲得できる。しかも、バスケットボールは、野球やフットボールと違って、スターターが5人のスポーツである。5人のうち3人がオールスター級なら、それだけでプレイオフは決まりな筈である。最近の最も良い例がサンダーであろう。デュラント、ウェストブルック、ハーデンと3連発で当てて、一気に強豪である。かつてのマジックのシャック、ハーダーウェイなんていうのは、その極端な例である。これらは特例としても、5年も負け続ければ、どうにでもチームを強豪化できるのが現行のNBAだと思うが、その中にあって10年連続負け続けるというのは異例である。諸悪の根源はマイケルの目か。 ウィキで調べたら、来季から名称をホーネッツに変更、つか回帰するらしい。今回初めて見た「CATS」というユニフォームの胸のロゴがちと気に入った身としてはちと寂しい。 さて、ゲームである。といいたい所であるが、正直、「ファイナルを狙おうか」と云うチームと「プレイオフに滑り込めたら、嬉しいな」と云うチームのマッチアップなので見どころは無かった。しかもシーズン序盤である。ペイサーズ的には戦術の調整、選手の見極め等々の意味合いしかなかった。 という訳で、今回は今季初めて見たペイサーズのロースターの感想を書きたいと思う。 まず何と云っても、今オフの目玉はルイス・ニコラであろう。デビット・ウェストがいるのにルイス・ニコラ。オフェンス・スキルでは、さすがにウェウストに軍配が上がろうが、ディフェンスやリバウンドではむしろニコラと見る向きもあろう。シュートだって悪くないので、コーチによってはスコラをスターターにするかもしれない。昨季、同ポジションにいたハンスブローと比較すれば、1ランクどころか2ランク3ランクのグレードアップである。いずれにせよ、飽くなくフォワード強化である。 ヒバート、ウェスト、ジョージに、このスコラ、それにマヒンミ、グレンジャーを加えれば、他のチームをつぶさに見た訳ではないが、リーグ最強のフロントラインと断じて良いと思う。この辺は、バードの現役時代を髣髴とさせる。パリッシュ、マックスウェルにバード、そうしてマクヘイルという、当時リーグ最強どころか史上最強とも謳われたセルティックスのフロントラインである。フロントラインの絶対的な支配力というのがバードのバスケットボール哲学なのだろう。と考えると、ヘッドコーチ時代、ローズをPGからSFに転向させたのも意味深である。当時、私は単に戦術上の理由だと思っていたが、もっと深いバードの哲学、思想だったのだろう。 ただ、このフォワード重視ガード軽視という思想が、この3P全盛の現代バスケットボールにおいて、どこまで通用するのか、私には疑問である。実際、ここ数年のペイサーズに大物SGがいれば、ファイナル制覇も十分有り得たと思う。O.J.メイヨでもエリック・ゴードンでもマクグレイディでもJ.J.レディックでも誰でもいい、オフェンスの鬼のようなSGがいれば優勝できていたと思う。まあ、今こそ、レジー・ミラーがいれば優勝できていたであろう。 このサイトで散々書いてきたけれども、バードの時代のように、SFがオフェンスの中心、SGがディフェンスの中心というのは無理がある。まして、SFに攻守の中心というのは体力的に不可能である。レブロンでさえ解決できなかった問題である。ジョージといえども不可能であろうし、デュラントも直面している問題である。ウェイドがいるのに、ミラー、アレンを加えるなど、ヒートがSGの補強に余念が無いのも、この問題を重視しているからであろうし、レブロンからの要求なのかもしれない。SFであるがバティエやルイスといった3Pの名手を揃えているのも同様の理由であろう。まあ、バティエは3Pだけではないけど。 それにひきかえ、バードのペイサーズはスターターがランス・スティーブンソン、ベンチに3Pの名手は無し。スティーブンソンも悪くはないが、得点アベレージが20を超えるようなプレイヤーではないし、昨季同様、結局ここが問題で敗北する様な気がする。 バードは自身が3ポイントの名手だったのに、それも元祖の名手だったのに、どうしてその3ポインターをこれほど軽視するのかさっぱり分からん。もしかしたら、3ポイントなんて練習すれば誰でも入るから特別な選手なんていらん、とでも考えているのかもしれない。いや、みんなが皆バードさんじゃないんだけど。 バードのフォワード重視フロントライン重視という考え方には私も賛同するし、全くその通りだと思うけれど、もう少しガードも、特に3ポインターを重視して欲しい。 そういえば、ジェラルド・グリーン、一年でお払い箱か。まあまあ分かっていた事ではあるが。っで、代わりがラジュエル・バトラー、少しはグレードアップか。オッサンだけど。 2013/12/6(金) |
2014年 3月 |
3月5日 GSW@IND 98−96 |
およそ1ヶ月ぶり、ペイサーズネタとしては、およそ3ヶ月ぶりの記事となるが、その間に起きたペイサーズ的にはビッグトレードの感想から、まず書きたい。グレンジャー⇔エヴァン・ターナーである。このトレードにまつわるおまけは、煩瑣になるので考察から省きます。 グレンジャーに関しては、ポールのルーキーイヤーから放出しろと散々言ってきたので、当然驚きは無い。むしろ遅きに失したくらいである。問題は、その交換相手なのであるが、エヴァン・ターナーか。正直言って、ちょっとイマイチである。2010年ドラフトの全体2位指名のプレイヤーであるが、このゲームを見た限りではイマイチかなという印象である。 能力的というよりは、むしろプレイスタイル的にもっとバリバリの点取り屋が欲しかった。極端に言えば、単なる3ポインターでいい。そして、もうひとつはもう少しベテラン、30過ぎのオッサンが欲しかったと云うのがある。今のペイサーズは全体的に若いので、そこを補う意味で、もう少し年寄りが欲しかった。理想的には、アンドレ・ミラーとかカイル・コーバーである。 まっ、足元と見られていることもあるし、これはこれで仕方ないか。あとは、ターナーに頑張ってもらおう。ジョン・ウォールとの差を詰める意味でも、張り切ってもらいたい。 ただまあ、やっぱりちょっと、このトレードには不満かな。ぶっちゃけ、交換相手がターナーだったら、グレンジャーのまま、フロントラインの厚みで今プレイオフは勝負してみても面白かったと思う。散々グレンジャーをトレードしろといってきた私が云うのもおかしな話ではあるが。 ヒバート、ウェスト、ジョージの先発陣に、マヒンミ、スコラ、グレンジャーのベンチ、そこにバイナムが加わるとなると、史上最高かはともかく、私がこれまで見てきた20年近いNBA歴の中では最強のフロントラインのデプスだと思う。スターターという意味では、例えばツインタワーのスパーズとか、それ以上のフロントラインはあろうが(数少ないが、)、ベンチまで含めたとなれば、間違いなくここ20年で最強の布陣だったと思う。優勝した時のピストンズも凌いでいると思う。 とりわけ、バイナム、スコラ、グレンジャーのベンチって。これ完全にスターターだから。それも、ちょっと強い方のスターターだから。例えば、ちょっと前までのペイサーズのスターター・フロントライン、オニール、トロイ・マーフィー、ダンリーヴィーJrより全然上である。それがベンチなのだから、ゲーム全体を通して常に優位にいられるのは当然であろう。 実際、今季のペイサーズのレギュラーシーズンのゲームを見ていると、このフロントラインの絶対的なアドバンテージを基に、常に楽々戦っている印象を受ける。「とりあえず、リバウンドを制していれば、だいたい勝てんだろ。」みたいな印象である。雑ちゃあ雑なゲームであるが、それで楽々勝てるだけの戦力差が今のペイサーズにはある、つうかあった。それくらい、フロントラインというのはバスケットボールにおいて重要な価値を持っているのである。その証明が、今季、つうかここ最近のペイサーズのゲームであろうし、バードの主張だろう。私も指示する。 ただまあ、そのフロントラインのアドバンテージだけで、プレイオフを勝ち抜ける、つうかヒートに勝てるかと云うと、そこが大問題で、私も常々その解決策として、グレンジャーのトレードを提案してきたのだし、バードもそれに踏み切ったのであるが、その答えがエヴァン・ターナーと云うのは正直微妙である、というのがこの稿の主旨である。 とはいえ、トレードラインは切ってしまったのだから、少なくとも、今シーズンはこの陣容でヒートと戦わなくてはならない。その焦点は、申す迄もなく、ヒルにスティーブンソン、そうして謂わば優勝の最後の切り札であるエヴァン・ターナー、この3人を中心としたガード陣が、チャーマース、ウェイド、アレンのガード陣に攻守両面でどこまで対抗できるかという事になろう。昨季は結局、それが出来ずに負けた訳である。 でまあ、現時点におけるその予想であるが、多くの識者も同じような事を言っているが、ちと心許ないというのが私の予想である。やっぱり、どう考えてみても、力的に劣ってしまう。ウェイドに蹂躙され、チャーマース、アレンの3Pが炸裂する姿が、ペイサーズファンの私の目にも浮かぶ。 スティーブンソンも、この2シーズン、何試合も見てきたが、どう見てもシューティング・ガードという感じがしない。そのプレイスタイルはコンボガードのそれ、あるいはポイントガード、身も蓋も無い言い方をすれば、ぶっちゃけオフガードである。若い頃のジョー・ジョンソンをしょぼくした感じである。そのジョンソンとオールスターを争ったのは、ちょっとした皮肉であろう。 オフェンス力だけで測れば、とてもSGの器じゃないし、そのオフェンス力はチャーマースにも劣ると思う。 でも、なんか、こういうガード、バードは好きなんだよなあ。エヴァン・ターナーやジョージ・ヒルもそのタイプだし。要するに、バードのいた頃のセルティックスというのが、ボードにとっての理想のチームなのだろう、実際、この3人はエインジやデニス・ジョンソンのソックリだもんなあ。まあ、ガードはあくまで脇役で、オフェンスの中心はSF、そうして絶対的なフロントラインでゲームを支配するというのがバードの理想のバスケットボールなのだろう。ファンとしちゃあ、付き合っていくしかないか。個人的には、もう時代遅れと云う感じもするのであるが。逆に先取りしているという説もあるが。 グレンジャーにもお別れの言葉を述べておくか。私はグレンジャーを出せ出せといっていたから、何だかグレンジャーには悪感情を持っているかのように思われるかもしれないが、決してそんなことは無い。あくまでチーム構成上、そう発言していただけで、彼の技量・人格は大いに尊敬している。ただ、ポール・ジョージという彼をも凌ぐ人材を得たから、そういう発言につながっただけである。グレンジャーファンの皆様ごめんなさい。 グレンジャーの移籍先はなんやかんやでクリッパーズに落ち着いたのであるが、グリフィンとはプレイスタイル的にも性格的にも良いコンビになると思う。また、ポールも含めたこのトリオはかなり強力だろう。リーグ有数のトライアングルだと思う。ちと古く、またちとタイプも違うが、かつてのネッツのキッド、マーティン、ジェファーソン級のトライアングルだと思う。rいま、クリッパーズのロースターを見てみたが、グレン・デーヴィスやターコルルーがベンチなのな。この陣容で3位とは。このウォリアーズといい、NBAは20年間ずっと西高東低なのな。 とまあ、戦評は全然書かずにここまで来てしまったが、まあ実際このゲームに関して書くことは無い。先にも書いたが、このクラスの両チームにとって、レギュラーシーズンのゲームは半ば調整試合みたいなものだからだ。1ゲームで5分ほどしか本気は出さない。このゲームでは、ラスト5分がそれであろう。 つう訳で、このゲームに関して、ペイサーズファンの言いたい事は二つしかない。 ひとつは、懐かしのマーク・ジャクソン。我等がレジー・ミラーの相棒である。元PGのHCというトレンドは、スコット・スカイルズ以来、なんだかんだで20年ほど続いているが、ジャクソンまでHCとは。 マーク・ジャクソンというと、同時代の優秀なPG、マジックはもとより、ストックトンやマーク・プライス、ケビン・ジョンソンといった面々の影に隠れて地味な存在であったが、本当に優秀な90年代を代表するPGだったと、1ペイサーズファンとして声を大にして言っておきたい。ボールハンドリング、ゲームメイク、パス、どれをとっても一流のPGであったし、何よりそのローポストが隠れた武器であり、何度のペイサーズの危機を救ったものである。 まあ、この時代は、このジャクソンの他にも、ロッド・ストリックランドやムーキー・ブレイロック、テレル・ブランドンといった隠れた名PGの多い時代ではあった。 でも、ウォリアーズって、いまだにドン・ネルソン(現在ハワイ在住)のイメージなのな。解説者が言ってた。私もだけど。 んで、もうひとつは、勿論ジャーマイン・オニール。まだ現役やってたのな。まあ35歳なので、当然ちゃあ当然だが、ちょっと驚いた。コービー(伝説の1996年ドラフト組)やダンカンと並んで、いまや数少ない90年代にNBA入りしたプレイヤー、ブルズ時代のジョーダンとプレイしたことのある(同じコートに立っているかまでは不明だけど、)プレイヤーなので頑張れ。 でも、実際、6thメンのフォワードとしてはウォリアーズにとっては貴重な戦力だと思う。このゲームでも良い仕事をしていたし。ますます頑張れ。 2014/3/15(土) |
2014年 5月 |
終戦 | まあ、エバン・ターナーの出来を見た段階で、こうなる事は予想できたので、あまりショックは無い。むしろ、よくここまで(カンファレンス・ファイナル第6戦)まで粘ったといってよいだろう。意地を見せたともいえる。実際、プレーオフ一回戦第6ゲーム残り2分くらいまで、敗退の瀬戸際まで追い込まれていたのだから、よくここまで押し返したとも云える。 って、云えるか。今季の目標、ヒートを破ってファイナル進出だろっ。全然駄目じゃん。一回戦なんか、ホーフォード抜きののホークスにギリギリまで追い込まれてたんだぞ。逆なら分かるよ。第1シードのチームの主力が怪我して、あわやアップセットというのなら。第8シードの主力がケガしてんのに、あわやアップセットって、そりゃあ可笑しいだろ。 と、「可笑しいだろ。」と書いてしまったけれども、可笑しくわない。だって、理由はハッキリしているから。負けるって事には、調子が悪かったとか。作戦負けしたとか、審判の笛に負けたとか、ツキが無かったとか、まあまあ色んな理由があると思うが、今回のペーサーズは明々白々である。構造的理由で負けたのである。具体的に云えば、ガード陣が弱すぎた。それを補強しようと、ターナーを獲得したんだけど、大失敗したという事である。ターナーはケガもあったけど、根本的に実力的に全然足りていない。ターナーの健康状態が万全でも似たような結果だったろう。要するに、バードに選手を見る眼が無かったという事である。あるいは、トレード・FAの手腕が無かったと云うことである。 ガード陣が弱すぎたという事は、すなわち具体名を挙げれば、ヒル、スティーブンソンの両名の責任みたいな感じになるが、まあ確かにあるちゃああるかもしれないが、最終的には無いであろう。だって、負けるのは最初から分かっていたから。分かっていたからこそ、ターナーの手当てをした訳であり、それが全然手当てにならなかったので、惨敗したのである。この手の敗北を、現地の見出しではよく「ROUT」という動詞、今回の場合に当てはめれば、「Heat rout Pacers」みたいに表現するが、まさしくそんな感じである。日本語に訳せば、直訳なら「根絶」、意訳なら「一蹴」みたいな感じか。 話をガード陣に戻すと、ヒルとスティーブンソンはよくやったと思う。特に、レブロンやウェイドに噛み付いたスティーブンソンには賛否両論あろうが、私は個人的には好きなプレイスタイル、つうかキャラである。ただまあ、ああいうのは功を奏した事はあまり無いんだよね。むしろ、スーパースターを怒らせるだけの結果に終わる事が多い。今回がその典型であろう。 スーパースターを怒らせたいのなら、もっとせこいプレイを積み重ねる方が効果的だと思う。あからさまに敵対するのではなく、婉曲に敵対するのである。かつて、ロッドマンやピストンズが得意とした方法である。 この手のトラッシュトーク術はともかく、肝心のプレイでは、この両ガード陣が攻守ともに大きな敗因になっていたと思う。特にスティーブンソンはアジリティが全然無いのでウェイド、アレンの両名に良い様に蹂躙されてしまった。まあでもこれは、繰り返しになるが、仕方ない。だって、ウェイドは現役最高のSGだし、アレンはその前のNo.1SGだもの。ちなみに、その前がレジー・ミラーと言いたい所であるが、勿論マイケル・ジョーダン。「なんだ、コービーじゃねーの。」という声もあがろうが、この両名に比べると、シュート力、ドライブ力ともにやや落ちる。ディフェンスは体の分だけコービーの方が有利であろうが、SGは攻めてナンボのポジションなので、総合的に見れば前の二者に軍配は上がると思う。 アレンはここ数年は専ら3P専門(エロイ意味ではない。)になってしまったけれども、昔はここにアイバーソン並みのドライブ力を持っていたのである。ただ、性格的に地味だったので、コービーやアイバーソン並みの評価は受けなかったけれども、全盛期は間違いなく、ジョーダン以後のNo.1SGだった。 そんな両者をスティーブンソンに抑えろっつたって、そりゃ無理な話である。シリーズ途中からマークをポール・ジョージに変えたのは、完全な構造的敗北の証明である。 ちなみに、かつての記事で、スティーブンソンはオフガードだと書いたけれども、このシリーズを見ていて、むしろナチュラルポジションはSFのように思えてきた。かつてのジェレーン・ローズとかアル・ハリントンみたいな感じである。SGをやるほどのオフェンス力は無いし、PGをやらせるには、あまりにもパスが悪すぎる。優秀なパサーというのは、マジックでもストックトンでもクリス・ポールでも皆、受け手がいかにもシュートしやすいパスを出す。特にマジックのパスなんていうのは、シュートフォームの一部のようなパスだった(ディバッツみたいに、それに戸惑う選手もいたけど、)。ところが、スティーブンソンのパスはいかにも投げているだけである。受け手の事を全然考えていない。結果、シュートがどうしてもワンテンポ遅れる。そういった意味では、マイケル・ジョーダンのえげつないパスをちょっと思い起こさせる。 とまあ、スティーブンソンの今後に関しては、私もなんとも言い難いが、ペーサーズのようなインサイドの強力なチームでは無く、平凡のインサイドのチームに移籍した場合、どういう結果が出るか、私には大いに興味がある。キャラは好きなんだけどね。 そして、今季限りでサヨウナラの濃厚なエバン・ターナーであるが、私が数試合見た限りでは、よほどデプスの薄いチームで無い限り、どこのチームでも先発SGは厳しいかなという印象である。本質的にはコンボガード、それもPGよりのコンボガードだと思う。更にいえば、典型的なジャーニーマンタイプかなとも思う。どこのチームでも、先発控えともにそつなくこなすだろうが、チームをプレイオフに導くような選手ではないという感じである。しょぼいアンドレ・ミラーみたいな印象。 つー訳で、今季のペーサーズは終了してしまった訳であるが、今から思うと、グレンジャーの価値の高いうちに、ジェームス・へーデンをいかなる酷い手を使っても獲っときゃ良かったとしみじみ思う。そうすりゃ、昨季か今季、ヒートに勝ててたよなあ。つか、レイ・アレン獲れよ。 何でもかんでも、SFにやらせるというのはいかにも無理がある。ボール運びまでしているポール・ジョージを見て、レブロンはキャブス時代の自分を思い出したんじゃないだろうか。何が何でも、本物のSGが欲しい。コービー、獲れや。 まあ、今のペーサーズは主力二人、ヒバートとジョージの年齢が若い事もあって、今季がラストチャンスみたいなチームでは全然無いけれど、歴史的トレード大失敗(バイナム獲得もそれに数えよう。)を受けて、バードがどういう風にチームを再構築するのか、ペーサーズファンとして大いに見物である。意地張ってないで、SGに大物スコアラー入れろや。 あと、もうひとつ、ヒバートについて。このカンファレンス・ファイナルに限らず、今プレイオフは、その好不調の波が内外のマスコミに大きく取り上げられていたが、私個人的には、かつても述べたように、ヒバートにはオフェンス、というかスコアリングにはあまり参加して欲しくない。オフェンスでは、スクリナーと、何よりリバウンダーとしてガンガン活躍して欲しい。相方が折角、ウェストにスコラ、そうしてジョージまで含めてリーグ有数のスコアラーなのだから、ヒバートが無理して得点する必要は無いのである。今決勝の敗因のひとつは、ヒバートが得点に固執してオフェンスリバウンドがなおざりになったという点もあったと思う。私は、ヒバートがシュートを外した事より、ヒバートがシュートを打つ事によって、オフェンスリバウンドがスカスカになる事が何より不満だった。 まあ確かに、MAX契約なので、PPGが一桁だとなんか恥ずかしいみたいなところはあるかもしれないが、今のペーサーズにヒバートの得点は必要ない。スクリナーと何よりオフェンスリバウンドである。それが最大のチームへの貢献、MAX契約に相応しい貢献になる。ビル・ラッセルを目指して欲しい。 それでも、得点力が欲しいと云うのなら、まず改善すべきは、フットワーク、より正確に表現するのならステップワークであろう。ヒバートのシュートシーンを見ていると何より足の位置が悪い。足の位置で制空権を取れないので、結果無理なシュート、すなわち「あとは祈るだけシュート」になってしまい、結果、得点力が不安定、すなわち運頼みになってしまうのである。シュートを打つ前に、まずきっちりと足を使って制空権を確保し、それからシュートを打てば、ずっとシュートパーセンテージは上がるであろうし、更にはゴール下まで侵入してレイアップやダンクも可能になる。まず学ぶべきはステップワークである。シュートは足で打つものなのである オフェンススキルの高いセンターというのは皆一様に、このステップワークが巧みだった。イルカールガスやサボニス、ちょっと意外かもしれないがミュアサンも巧みだった。また、センターとしては小型だったが、ダニー・マニングも何よりこれに優れていた。また、オデンも、私が数試合見た限りでは、矢張りというか、さすがステップワークが巧みだった。また、これまた意外かもしれないが、シャックも、若い頃はともかく、キャリアの中期以降はドンドン巧みになっていった。ヤオミンも同じく、中期以降、ドンドン上手くなっていった。そしてこのステップワークの最高峰は、申す迄もなく、カリーム・アブドゥル・ジャバーであり、行き過ぎちゃったのが、ドリーム・シェイクのアキーム・ドリーム・オラジュワンであろう。 ここに挙げたプレイヤーをみれば一目瞭然であるように、このスキルはキャリアを重ねていくにつれ、身に付けていく事が可能であろうが、また、ここに挙げたプレイヤーをみれば一目瞭然であるように、皆一様に膝をやられる。例外はシャックとジャバーであろうが、この両者はステップワーク以外にも特別なものを数多く持っていたからである。 という訳で、ヒバートが得点力を身に付けるのは私は大反対なので、誰か止めて欲しい。得点力のあるPFなんて、いくらでもいるのだから。 最後に、これはこのカンファレンス・ファイナルからは離れるが、今年のプレイオフを見ていてしみじみ思うのは、ディフェンスのレベルがこの20年で物凄く上がったという事である。特に、このヒートに顕著であるが、ヘルプディフェンスがハンパなく速いし、何より速攻、イージーレイアップをまず許さない。 ヒート以外も、プレイオフ進出チームは皆ディフェンスがハンパない。20年前まで、このレベルのディフェンスはせいぜい1,2チームしかなかった。それがいまや、ほとんど16チームである。まあルールが変わったからと言ってしまえば、身も蓋もないが、何より意識が変わったのであろう。大きな進歩だと思う。 20年前と大きく変わった点を挙げたので、ついでに全然変わってない点も挙げるが、それは相変わらずの西高東低の気圧配置である。ヒートとペーサーズ、特にペーサーズは、もし西だったら、一回戦突破は危うかったと思う。また西のチーム、上位のスパーズ、サンダーは無論のこと、その他のチーム、クリッパーズやウォリアーズ、ロケッツ、グリズリーズ、つか他の6チーム、つか全8チームが東だったら皆楽々決勝進出のレベルにある。 大学はここ20年間、ずっと東高西低であろうが、何故プロは逆なんだろ。不思議。 2014/6/7(土) |
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