インディアナポリス研究会コルツ部

インディアンス同好会

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シーズン終了  随分とご報告が遅れてしまったが、インディアンスの2022シーズンは9月末日をもって終了しております。

 74勝75敗、インターナショナルリーグ・ウェスト第4位。

 まあ、この成績の可否はよく分からん。日本のプロ野球だと、「2軍は1軍に選手を送ってナンボ。順位は関係ない。」みたいな考え方があるけれども、アメリカでも、それは大同小異であろう。

 ちなみに、優勝は、ナッシュビル・サウンズ。91勝58敗。

 更に、ちなみに、インターナショナルリーグ・イーストの優勝は、デュ―ラム・ブルズ。86勝64敗。

 んで、この両チームがインターナショナルリーグのチャンピオンシップを10月1日に争い、13−0でブルズが勝利。3Aは、シリーズ制ではなく、一発勝負らしく、この1戦でブルズのリーグチャンピオンが決定。

 んで、翌10月2日に、パシフィックコーストリーグのチャンピオン、レノ・エースズと争い、10−6でブルズが勝利。見事、3Aチャンピオン。おめでとうございまーす。

 んで、我らがインディアンスのチームMVPはジー・ワン・ベー。韓国人プレイヤー、主にセカンドを守っておりやす。打率0.289、81得点、30盗塁。9月23日にコールアップ、メジャーリーグデビュー済です。10試合出場、33打数11安打3盗塁。来季はメジャーリーグに定着できるかな。

 ちなみに、今季のインディアンス、というかパイレーツ期待の星オニール・クルーズ君のメジャーリーグでの成績はというと、87試合出場、打率0.233、17本塁打、17エラー。まずまずといったところかな。来季ブレイクするか。

 つう感じ。来季は、ゲームを観戦したいなあ。金ないけど。

 そう云えば、大谷はMVP獲れませんでしたね。まあまあ、予想できた事とはいえ、残念。つかまあ、62本塁打して、MVPを獲れないんだったら、どーすんだって話だろうから、これは当然の結果かな。

 でもまあ、昨年も同じような事を書いたけれども、大谷にとっては、30本塁打&10勝って、そんなに難しい数字ではないであろうから、これから数年は、このような論争は続くであろう。

 今季は、目出度く62本塁打、それも事実上のメジャーリーグ新記録を達成したから、議論は簡単だったものの、これが52本塁打ぐらいだったら、どーすんだろう。それも、トラウトあたりが打ったら。ジャッジ大谷論争の議題のひとつだった「チーム成績」は、この場合、議題にならないので、ややこしくなるで〜。難しくなるで〜。

 まあ、そもそも、比較すること自体に無理があるんだよね。まず、ピッチャーとバッターの成績自体の比較に無理がある。15勝と40本塁打、どっちの方が価値が高いかと問われても、完全な答えは出ないであろう。したがって、メジャーリーグのMVPは、事実上、バッター独占になっちゃってる。

 ピッチャーとバッターの成績の比較っていうのは、食べ物で喩えたら、焼肉と寿司を比較するようなもんである。素材も味も全然違うものを比較するようなものである。焼肉とステーキは比較できよう。握り寿司とチラシ寿司も比較できよう。でも、焼肉と寿司、どっちが旨いかと問われても、答えは出ないよね。

 しかも、大谷の場合は、「焼き肉・寿司定食」みたいなもんである。ご飯ではなく、寿司が付いてくるタイプの焼肉定食だからね。ますます、答えは出ない。ステーキと焼き肉寿司定食のどっちが旨いかと問われたって、答えなんか出やしない。

 こんな、いわば不毛な論議、これから数年続くのだろうけど、この問題を解決するとしたら、答えは一つしかないと思う。大谷を、MVP選考レースから除外するしかない。対象外とするしかない。MVPは、大谷以外のプレイヤー、あるいは「二刀流」以外のプレイヤーで争わせるしかないであろう。

 まあでも、これは野球に限らず、ポジションごとの差異というのは、MVP選考では大きいよね。フットボールでガードやパンターがMVPを獲得するなんて事は、まず無いであろうし、バスケットボールやサッカーみたいに、比較的ポジションごとの差異の少ないスポーツでも、ポジションとかプレイスタイルで、MVP選考は限定されてしまう。

 そう考えると、スポーツ選手のキャリアを計る際の「MVP○回」は、あんまり意味の無い数字なのかもしれない。

 さて、大谷の所謂「二刀流」を、かれこれ数年、日本時代も含めれば、もうすでに10年近く見てきた訳であるが、ひとつはっきり分かった事は、「二刀流」が可能であるという事である。あの根拠なき「二刀流不可能説」は完全に否定された。

 そうして、もうひとつ、二刀流について、分かったとはちょっと違うかもしれないが、気が付いた事は、プレイヤー・チーム双方ともに、「二刀流は案外役に立たない」って事である。「可能不可能」という議論ならば、完全に「可能」という結論が出た訳であるが、「要不要」という議論ならば、案外「不要説」の方が強いように、私には思われる。

 まず、プレイヤーサイドから考えてみよう。

 勿論、大谷のように、本人がノリノリであれば、それを妨げる理由はない。ただ、「二刀流」の能力のある人が、是が非でもやらねばならぬかと云えば、そうでも無いと思う。

 かつて、どっかで書いたと思うけれど、ベイブ・ルースがバッターに専念したのは、まあ勿論、自身のピッチングに限界を感じたというのもあったろうが、最も大きな理由は「かったりーから」であろう。バッティング、つうかホームランを打ってりゃ大金、それも大統領をしのぐような大金を稼げるのだから、わざわざピッチャーなんかやる必要はない。「ピッチャーなんて、だり〜。」である。

 同じく、バッティング能力の高いピッチャーが、進んでバッターボックスに入りたがるかと云えば、それは少数派であろう。所謂「上がり」の先発ピッチャーに、「お前、バッティングいいからさあ、これから『上がり』の日はDHとして試合に出てくんない。」って、監督が頼んだら、多くのピッチャーが拒否すると思う。「俺、『上がり』の日に女の子とドンチャン騒ぎする事だけが楽しみで生きてるんすよ。監督はそれを取り上げるんすか。」。

 まあ、なかにはバッティングをしたがるピッチャーもいるだろうけど、それは少数派だと思われる。

 と、このように考えると、投打ともに力のある選手ほど、「二刀流」はしたがらないと思う。どっちかで大金が稼げるのなら、わざわざ労苦する必要はあるまい。「二刀流」を進んでするのは、力の無い選手、すなわち「投打一方では大金を稼げない選手」か、「異常な野球好き」のどちらかであろう。あとは、千昌夫、あるいは桑田真澄のように、「莫大な借金を抱えている選手」ぐらいである。文字通り、「人の倍、働かね―と。」。

 また、チームサイドから考えてみても、「二刀流」のメリットはあんまり無さそうである。エンジェルスの不振は何よりの証拠であろうが、そのほか、つらつら考えてみても、例えば「二刀流」の利点として、「『二刀流』の分だけロースター枠が一つ空く」っていうのがあるが、ぶっちゃけ、27人目の選手が26人目になったところで、チーム力が劇的に変わる事はあるまい。代打や中継ぎが一人増えても、チーム力は劇的には向上しないであろう。

 そのほか、チーム的な「二刀流」のメリットは、あまり思いつかない。

 また、逆に、「二刀流」のデメリットとして、「DHの自由性を失う」「6人ローテーションが強いられる」なんていうのもあり、まあ、とりわけ前者は、デメリットと云えば云えなくもないが、そこまで大きな問題ではないと思う。

 という訳で、現時点では、「二刀流」はチーム的には大きなメリットデメリットは無いように思う。そうして、プレイヤー的にも、上述したように、異常な野球好きとか金銭的な理由とか、特殊な理由の無い限り、「二刀流」のメリットは無いから、今のところ、チーム・プレイヤー双方ともに「二刀流」を積極的に活用する理由は無いと思う。

 た・だ・し、「全員二刀流」なら、話は別である。野球の戦略戦術は劇的に変化するであろう。

 まず、単純に言っても、26人ローテーションが組めてしまう。日本のプロ野球なら28人ローテーション。これなら、コンディショニングは無論の事、ケガの問題も、だいぶ軽減されるであろう。

 また、当然のように、代打や代走も出し放題である。出し放題は大袈裟かもしれないが、現今のMLBより、選手交代はずっと激しくなるであろう。だって、全員ピッチャーもバッターも出来るのだから。継投の幅もずっと広がる。一人一殺も楽々可能である。また、理想的には、全員全ポジションを守れるようにすべきであろう。

 実際、今突然、MLBでも日本のプロ野球でも、「全員二刀流」のチームが現れたら、楽々優勝すると思う。それくらい、圧倒的なアドバンテージだと思う。

 つう感じで、ちょっと考えただけでも、野球の戦略戦術が劇的に変化するのは必至である。案外、これこそが野球の未来なのかもしれない。

 あっ、そう云えば、今「一人一殺」と書いたけれども、ちょいと前、私は「一人一殺」どころか、「1球交代」みたいな戯言を提案したけれども、なんと、既に似たような事をやってた人がいた。

 トニー・ラルーサである。彼は、アスレチックスの監督時代、「一人一殺」ではないけれど、「ピッチャー3イニング交代制」を試したそうである。3イニング、すなわち打者一回りきっちり投げさせて、そこで交代してしまった方が、パフォーマンス的にもコンディショニング的にも良かろうと考えたのである。そうして、サラリー的コスト的にも。

 で、結果どうなったかというと、全ピッチャー、とりわけ先発ピッチャーから総スカンを喰らったそうである。だって、先発ピッチャーは勝ち星が絶対付かないにもかかわらず、負け星は付く可能性があるのだから。そりゃ、総スカンだよね。

 確かに、「一人一殺」や「ピッチャー3イニング交代制」は現行のピッチャーの評価方法が変わらない限り、導入は出来ないよね。チャンチャン。

 ちなみに、このラルーサの一件は、私がかつて大昔に紹介した「オタクの行動経済学者、スポーツの裏側を読み解く」に書かれてあった。最近、何気なく読んで発見した。当時、全部読んでいたつもりだったんだけど、つまみ読みだったみたい。

                                        2022/11/20(日)

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