インディアナポリス研究会ペーサーズ局

歴史

戦評 '08-'09シーズン

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2011年
2月
2月15日
MIA@IND
110−103
 なんか最近、いろいろな事があって書く暇が無い。

 それはともかく、実に久しぶりに観たペーサーズのゲームのレポートをしたい。ゲーム自体は一月くらい前のものであるし、ゲーム内容も、特に書くべきものも無いので、現在のペーサーズについての感想を書きたい。

 率直な感想はというと、「思っていたよりも良い。」である。選手もなかなか粒よりで、イーストの8位前後をウロチョロしているのも十分分かる陣容である。これからプレイオフの常連になるために必要なのは、本物のポイントガード、それとプレイヤーの整理だろう。それができれば、’10年代のペーサーズファンは結構楽しめるのではないだろうか。正直、’00年代は暗黒だったし。光が差し込んでいるのは、間違いない。

 以下、気になったプレイヤーについて。

 まずは何といってもロイ・ヒバートであろう。順調に成長していた。攻守でこれだけ力を発揮できるセンターは、今のNBAでは結構少ないのではないだろうか。このまま順調に成長していってもらいたい。今や、完全にペーサーズの宝である。彼の存在だけで、ペーサーズは大きなアドバンテージが得られるだろう。オデン亡き今、NBAナンバーワンセンターの座も近い。ライバルはアル・ホーフォードだ。

 次は、ポール・ジョージ。このゲームでたまたま活躍しただけだという説も無くは無いが、その動きは、間違いなく、エースである。アジリティ、テクニックともに申し分なし。レジー・ミラー以来の待望のスターSGと見た。というか、オニールやグレンジャーを越える逸材と見た。スターターの座は与えられてないようであるが、今後はこのポール・ジョージとヒバート中心のチームを作ってもらいたい。今や完全にチームの宝である。唯一の懸案事項は背番号24が、あのジョナサン・ベンダーと同じということくらいか。

 次は噂のマックロバーツ。もの凄くいいという感じは無いが、攻守に元気な、私の好きなタイプのPFである。プレイスタイル的にも性格的にもヒバートとの相性も良いだろう。この調子で頑張ってもらいたい。プレイスタイル的性格的地元の人気者路線を突っ走ってもらいたい。

 次はタイラー・ハンスブロー。こちらは、思っていたよりも良かったという印象である。ポール・ジョージと並んでこのゲームでの私の収穫である。技術と気合を兼ね備えた、いかにもバードの好きそうなタイプである。本人的には意識しているだろう、同期のライバル、偽ブレイク・グリフィン路線を突っ走っていってもらいたい。

 つう訳で、現状のペーサーズ、私の理想のスターターは、
  C ロイ・ヒバート
  PF ジョシュ・マックロバーツ
  SF タイラー・ハンスブロー
  SG ポール・ジョージ
  PG 誰か、出来ればテレル・ブランドンみたいなの。
 である。

 どうだろう、なかなか期待できるメンバーではないだろうか。特に、ヒバート、マックロバーツ、ハンスブローのフロントラインは、かつてのBIG3を思わせる、偽BIG3っぽく、なくなくない。
 で、問題はPGなのであるが、ここになかなか人材がいないんだよな。今は、ここに、わざわざトレードしてまで連れてきたダレン・コリソンを入れているが、このゲームでの私の印象は、正直イマイチである。典型的なチビッ子スコアリング・ガードといった感じで、チームを活かすっつうタイプではないと見た。 シックスマン的なPGだろう。

 大物でなくて良いから、本物のPGが欲しい。つっても、誰かと問われても困るんだけど。今のNBAに誰かいないかしら。
 ただまあ、いつの時代も本物のPGって、なかなかいないんだよなあ。一時代に10人、下手すると5人くらいか。この日の対戦相手のヒート、つうかレブロンもそれに苦労しているし(とか言っていたら、いつの間にかマイク・ビビー獲得してやがった。何でもありか。)。センター並みの希少種ではある。代替やゴマカシがききにくいという点を考え合わせれば、センター以上の希少種なのかもしれない。

 そういった事を考え合わせると、純正PG不要という意味では、トライアングル・オフェンスは、そういった意味でも、優れたシステムといえる。3Pとディフェンスだけで良いなら、そんなプレイヤーはいくらでもいるし、なにより、SG崩れで十分という事になる。テックス・ウィンター、連れてくるか。

 それはともかく、今のペーサーズに必要なのは純正PGである。エリック・スノーみたいので良いから、だれかいないかなあ。ティンズリー、連れ戻すのも、ひとつの手か。

 もし、そういうPGがいるのなら、グレンジャー+ダンリービーでトレードしたい。つうか、ダンリービーを出したい。グレンジャーを抱き合わせれば、許してくれるんじゃないだろうか。

 ダンリービーに関しては、ドラフト時から、過大評価もいいところと言われていたが、実際その通りだと思う。このゲームでも、第1クォーター41−19の責任は彼のディフェンスにある。
 ダンリービーのディフェンスに関しては、「彼はディフェンスをしない。」みたいな見解もあったけれども、「ディフェンスをしない」というよりは「ディフェンスが出来ない」と言うべきだろう。彼の運動能力では、現在のNBAにいる、ほとんどのSG・SFには着けないと思う。まして、このゲームはドウェイン・ウェイドである。いいように玩ばれるのも当然の結果であろう。ダンリービーに代わってポール・ジョージが出場してから、ある程度ゲームらしくなったというのは、ポール・ジョージのディフェンスが良いのではなく、ダンリービーのディフェンスが酷すぎたというだけである。

 実際、ダンリービーは、いいとこ、かつてブルズにいたブシュラー程度の選手である。全体3位のプレイヤーでは全然ないし、スターターの器でもないだろう。単なるスポットシューターである。なんで、そんな選手、取っちゃったかなあ。シュートが上手いところが気に入ったのかなあ。ここ数年のペーサーズ暗黒時代の主因は彼である。

 それはともかく、グレンジャーをくっつけるので、ダンリービーをどこか引き取ってくれえ。なんなら、ポージーも付けるし。それで空いたキャップ枠で純正PGを獲得できれば、これから向こう十年ペーサーズファンはバスケットボールを楽しめるのではないだろうか。特に日本のペーサーズファンは。

 ジェームズ・ポージーについては、私の大好きな選手であるのだけれど、さすがに今のペーサーズでは、使いどころが無い。ベンチを温める日々が続くのも致し方ないだろう。でも、その境遇に不平を言わないのが、この選手の不思議なところなんだよなあ。今のペーサーズ、というか今のNBAで、最もその実力に相当しない待遇を受けているのが、このジェームズ・ポージーだと思うのであるが、根が無欲なのか、ベンチにいる事を嫌がらないんだよなあ、不思議。恬淡としている。これは、今に始まったことではなく、昔からなのだけど。お前は修道士か。
 それはともかく、ペーサーズ的には、彼はトレード要員として取った筈であるから、彼を使って上手く商売するのが、ペーサーズの為にもポージーの為にもなるだろう。でも何故か、動きが全然無いんだよなあ。

 勿論、純正PGを獲得して、上記のメンツが完成したら、6thマンとしてペーサーズで活躍してもらえるのなら、それが私的には一番良い。その時は、ペーサーズは強豪のひとつに数えられているだろう。

 一応、対戦相手のヒートについても一言二言。

 レブロンの行為については、いろいろ言われているし、私も言ったけれども、実際問題、レブロン&ウェイドのコンビを止めるのは、なかなか困難というか、不可能だ思う。コンビとしての攻撃力だけならジョーダン&ピッペン以上ではないだろうか。シーズン開幕当初はいろいろあったようだが、すぐに力を発揮し出したし。

 ただまあ、そのヒートが優勝できるかどうかは、結局はハスレム次第というか、ハスレムの回復次第だと思う。彼のケガの状況が、どんなものかは全然分からないが、彼が万全の状態なら、やはりヒートが、ボストンやサンアントニオを押さえて、優勝候補筆頭になると思う。ハスレムが駄目なようなら、優勝はかなり厳しいだろう。先日、そのゲームを放送していたMIA@SAでもいいようにやられていたし。
 ハスレムの代わりにダンピアが入っているが、ダンプはイメージほどにはディフェンス&リバウンドの選手では無い。実際はオフェンシブなプレイヤーである。意外に汚れ仕事は出来ない。

 ハスレム自身が万全の状態で復帰するか、代替選手を見つけてこない限りは、先ほどジョーダン&ピッペンを比較対象にしたが、そのジョーダンが復帰して1年目の、マジックにやられたシーズンのような結果になるだろう。実際、その時のブルズとチーム構成は良く似ている。まあ勿論、勝負事だから、何が起こるかはわからないが、単純な実力では優勝は厳しいと思う。ちなみに、ボッシュでは、ハスレムの代わりは全然出来ない。

                                        2011年2月15日かあ 2011/3/6
2011年
4月
4月7日
CHI@BOS
97−81
 ウィー・アー・バック、ウィー・アー・バック、ウィー・アー・バック。ペイサーズのプレイオフ復帰で、ちょっち浮かれてます。何気にテンション揚がってます。コルツの前回のスーパーボウル進出より嬉しいかも。

 で、CHI@BOSの戦評なのであるが、無論、このゲーム自体に興味は無い。興味はペイサーズがプレイオフ1回戦で当たる事になるブルズ、つーかデリック・ローズのスカウティングである。

 で、早速、そのローズ評であるが、思っていたより印象が違っていたというのが第一印象である。勿論、デリック・ローズのその名はルーキーイヤーから知ってはいたが、そのプレイ振りをじっくり見るのは、今回が初めてである。私がデリック・ローズのプレイでイメージしていたのは、得点力のあるビラップスであったのであるが、実際は随分違っていた。ビラップスよりは、ずっと線が細い。むしろ、華奢な印象すらある。背も小さい。また、クリス・ポールのような絶対的なコート・ビジョンがある訳でもない。ギルバート・アリーナスのようなバリバリのスコアリング・ガードでもない。
 では、デリック・ローズが如何なるタイプのPGかというと、それは、スピードやクイックネスも無論であるが、何より圧倒的なボール・キープ力を武器にするPG、プレイヤーである。これだけのボール・キープ力を持つプレイヤーというのは近年稀に見ると思う。

 最近の選手、すなわちコービー・レブロン時代のプレイヤー、つーかスーパースターとジョーダン・バークリー時代のスーパースターの最大の違いはダブルチームに対する対応力だと私は思っている。ジョーダン・バークリー時代のスーパースター、つーかジョーダンやバークリーはダブルチーム、そうしてトリプルチームさえもモノともしなかった。軽くあしらっていた。しかし最近のスーパースター、すなわちコービーやレブロンは意外にダブルチームに脆い。ちょっと二人に囲まれると、途端に何も出来なくなってしまう。これが、才能によるものなのか、練習方法によるものなのか、ディフェンス技術の向上によるものなのか、それとも偶々なのか、その理由は私には分からない。ただ、ダブルチームに対する対応力というのが、最近のスーパースターとひと昔前のスーパースターの決定的な違いだと私は思っている。そして、その違いを生むのは、すなわちボール・キープ力である。

 ところが、このデリック・ローズは、そういった昨今のスーパースターとは違って、ほとんど絶対的に近いボール・キープ力がある。これがあれば、ダブルチーム、トリプルチームはモノともしないであろう。最近のスーパースターで、似たようなタイプを強いてあげるとすれば、ドウェイン・ウェイドだと思う。

 実際、平面的な動きだけなら、ブルズの大先輩、マイケル・ジョーダンにも匹敵すると思う。特に、若い頃のジョーダンがこんな感じであった。絶対的なボール・キープ力と圧倒的なすばしこさで誰も止める事が出来なかった。というか、触る事すら出来なかった。
 ただ、その平面的な動きから、ダンクやダンクやダブルクラッチでフィニッシュできたジョーダンに対し、あくまでフィンガーロール、桜木花道云うところの「ヘナチョコシュート」でフィニッシュするという点が、ジョーダンとローズとの決定的な違いだろう。ジャンプ力は、あまり無いようである。まあ、この手のひとつあればスーパースターになれる武器を4つも5つも持っているというのが、ジョーダンのジョーダンたる所以なのであるが。

 ジョーダンとの比較はともかく、我等がペイサーズのローズ対策に話を移すが、これは実際かなり厳しいと思う。私は、このゲームを見るまでは、デリック・ローズを、上述したように、得点力のあるビラップスだと勝手に思っていたので、とりあえず、ポージーやダンテ・ジョーンズ、ポール・ジョージで徹底的にマークすれば活路が開けると思っていたのであるが、それはちょっと厳しいであろう。上述したように、ダブルチーム、トリプルチームは、ほとんど意味を為さないと思う。彼を止めるとしたら、圧倒的なディフェンス能力を持ったプレイヤーが必要になるだろうが、そんなのはペイサーズどころかNBAにもいないと思う。かつて「マイケル・ジョーダンを止める事が出来るのはマイケル・ジョーダンだけだ。」という言葉があったが、さしづめ「デリック・ローズを止める事が出来るのはデリック・ローズだけだ。」という事になるだろう。

 となると、ある程度、離れて守るという選択肢を取らざる得なくなる。そこで、デリック・ローズにジャンプシュートがあると、手に負えなくなるのであるが、このゲームではほとんどジャンプシュートを打たなかったので、その辺は私には未知数である。ただまあ、25.1という平均得点から推すると、ジャンプシュートはそんなに上手くないのかもしれない。あのペネトレイト力にジャンプシュートがあれば、PGというポジションも加味すると、平均得点は30点前後になる筈だからである。
 ただ、仮にジャンプシュートがないと仮定しても、離れて守るということは、パスし放題になる訳である。そうして、ブルズにはスクリーナー&スウィングマンはゴロゴロいる。軽くスクリーンをかければ、ポンポン得点できるであろう。で、ディフェンスは、ディフェンスマスター、ティボドーを中心に堅い。イースタントップも当然至極か。

 今のブルズに勝つとしたら、やや高さに欠けるインサイドを衝くぐらいしかないだろう。じゃあ、そんなチームがあるかというと、レイカーズとダラスぐらいしか思いつかないのであるが。ペイサーズも、そこそこ高いちゃあ高いけど、絶対的っていうほどじゃないしなあ。

 このゲームを見るまでは、ペイサーズにも勝ち目があるかと浮かれていたが、さすがにちと厳しいか。とりあえじゅ、二つぐらい勝て。それで、良しとしよう。

 一応、ボストン評も。このゲームも酷い内容だったが、仮のシャックが復帰しても、あのスカスカのインサイドでは、かなり厳しいのではないだろうか。シャックにしても、本質的にはオフェンシブな選手であるし、もう一人のオニールも同様であるし、KGはインサイドプレイヤーですらないし。グレン・デービスが獅子奮迅の活躍をして、アレン、ピアースが当たりまくらない限り、プレイオフを勝ち進むのはかなり厳しいのではないだろうか。下手すれば、1回戦敗退もありえると思う。
 
                                   ボストンと当たりたかった。 2011/4/12
4月22日
プレイオフ1回戦
第3戦
CHI@IND
88−84
 最近、気紛れにインターネット・エクスプローラー9をダウンロードしたのであるが、これが大失敗。まあ確かに、速い事は速いのであるが、IE8で使っていた便利な機能が、無くなっているのだか行方不明なのだか良く分からないが、とにかく使えなくなって大変迷惑している。画面デザインも結構変更されているので、なかなかに不便である。IE7からIE8への以降はスムーズだったのであるが、今回は大失敗。時期尚早だったか。まあ、慣れの問題もあるだろうが。

 で、その不備を補えるかと思って、グーグル・クロームをダウンロードしてみた。こちらも軽い事は軽いのであるか、私が必要としていた機能は付いていないようなので、IE9の不便は解消されなかった。というか、今回、このグーグル・クロームをダウンロードして分かったのであるが、どうもIE9は、そのデザインといい機能といい、割とこのグーグル・クロームを意識しているようである。グーグル・クロームの軽快に近づけようとしているようである。

 まあ、マイクロソフト社がどのような経営方針を持とうが知ったこっちゃないのであるが、グーグル・クロームが軽快の方に舵を切ったのであれば、インターネット・エクスプローラーは、逆に、重厚の方に舵を切った方が良かったように思う。いろいろと便利な機能をつけて、利用者にカスタマイズし易くした方が良かったように思う。まあ、その時々のトレンドに敏感なのがマイクロソフトの良いところでもあるのだけれども。

 で、それに伴うという訳でもないが、3年以上やっていて今回初めて気が付いたのであるが、当サイトのデザインはブラウザによって微妙に異なるのね。色や形まではさすがに変わらないが(ブラウザによっては変わっているかもしれないが、)、行間や余白といった微妙なところはインターネット・エクスプローラーとグーグル・クロームでは微妙に異なっている。今回、グーグル・クロームを開いて、初めて気が付いた。
 当サイトはインターネット・エクスプローラーを基準にデザインしていますので、他のブラウザで閲覧している皆さん、見づらかったら、ごめんなさい。ってまあ、苦情を寄せられても対応のしようは無いのだけれど。

 さて、話は変わるが、大相撲技量審査場所が始まっていて、昨日が丁度中日であった。全取組ガチンコという事で、私はそこそこ興味を持って、ニュース映像を見ているのであるが、思った程盛り上がっていないようである。流血必至、血で血を洗うような土俵を私は期待していたのであるが、その相撲は、拍子抜けする程、凡庸である。平凡である。立会いも、思った程迫力が無いし、土俵際の粘りも見られない。

 冷静に考えてみれば、そりゃそうである。全取組ガチンコという事は、すなわち相手が何をしてくるか分からないという事であり、そうなれば、なかなか全力は出せないだろう。70%〜80%の力で様子を見つつ、勝機が来たら勝ちに行くという相撲を取らざるを得なくなる。また、土俵際で変に粘って、ケガをしてしまうなどは愚の骨頂という事になる。全取組ガチンコの大相撲で飯を食っていく、生活をしていくという事は、すなわちそういう事なのだろう。把瑠都が「遊びの場所みたい。」と発言したそうであるが、それはこのあたりの消息を物語っっているものだと思う。

 こうした現象を見ていると、プロ格闘技というものが如何に難しい物であるか、良く分かる。この辺の事情については、いつか考察をまとめてみたい。本来、殺害ないし、それに近いケガ、すなわち致命傷を与える事を目的とする格闘技と、死は無論のこと、選手、興業主ともども、ケガを何よりも恐れるプロスポーツ興行という、本来相容れぬものを両立させねばならないのが、プロ格闘技というものの難しさの根源に横たわっている。

 さて、本題のNBAプレイオフである。このゲームGHI@IND、というかこのシリーズ自体は、かれこれ一月近く前に終了しているのであるが、その間にNFLドラフトも開催されていて、そのレポートを書く暇が無かった。大分遅れたが、その感想を書いておく。

 この記事の表題は、一応第3戦という事になっているが、それはこのゲームのみTV観戦していたからであり、特に他意は無い。また、残りの4試合を私は見てはいないけれども、おそらくこのゲームとほとんど同じ試合内容だったと思うので、このゲームの感想というよりは、このシリーズ全体の感想と思っていただきたい。

 このゲーム、つうかこのシリーズ全体の感想は、完全にデリック・ローズにコントロールされたゲームという事になってしまうだろう。この第3戦の最終盤で、ダブルチームをするりとかわして決勝レイアップを決めたローズと、ダブルチームをされると何も出来なかったグレンジャー、これがそのまま、このシリーズを象徴していたと思う。

 先にも述べたように、私はこのシリーズの残りの4ゲームは見ていないのであるが、そのゲーム内容はほとんど同じというか、まったく同じ内容だったと思う。それなりにペイサーズも健闘したようであるが、ゲームは完全にデリック・ローズが支配していたのであろう。第1戦第2戦はきっちり勝ちに来ていたのであろうが、この第3戦などは、どちらかといえば体力温存に主眼を置いているようにさえ見えた。体力温存しつつ、勝機があれば勝ちたい、そんな感じである。第4戦などは、完全に体力温存モードだったのかも知れぬ。もしかしたら、コンセコ・フィールド・ハウスの経営にまで気を配っていたのかも知れぬ。なかなかウブい奴である。ジョーダンなら、容赦なく4戦目も取っていた事であろう。

 ローズについては、ここでひとまず擱くとして、ペイサーズに目を転ずると、やはりグレンジャー中心のオフェンスには、個人的には限界を感じた。SFをオフェンスの中心に据える事の愚については、今まで散々書き散らかしてきたので、今更繰り返さないが、やはり厳しい。単純に言っても、例えば、バスケットボールのオフェンス戦術の基本である内外の揺さぶりが効果的に使えないなんていうのも、その愚かしさのひとつであると思う。グランジャーと同タイプのプレイヤーで、2ランクも3ランクも上のプレイヤーであるレブロンがなかなかタイトルに届かないのだから、グランジャーではほとんど不可能といってよいと思う。

 そこで、ポール・ジョージをSGに固定して、オフェンスの中心にすれば良いと思うのであるが、何故やらないのかなあ。このシリーズでも終始ローズをマークしている事からも分かるとおり、おそらく運動能力はチーム1と評価されているのであろう。だいたいディフェンスの良い選手というのはオフェンスも良いのが通例であるから(ロン・アーティストのような例外もいるが、)、さっさとオフェンスの中心に据えた方が良いと思う。そのシュートフォームからいっても、間違いなくアベレージで20得点できる選手だと思う。SFには、ダンテ・ジョーンズやポージーを据えれば良い事であるし。グレンジャーに気兼ねしているのか、チーム戦略なのか、ポール・ジョージにシュートをさせないのは、ペイサーズにとって大きな損失だと思う。ポール・ジョージとヒバートのコンビがペーサーズの理想、ペーサーズの命運を握っていると思う。そういった意味でもグレンジャーは放出したいなあ。バードのお気にだろうけど。

 さて、話をデリック・ローズに戻すが、この手のペネトレイト型PGを評する時は決まって、特に日本の解説者やマスコミなどは特に、スピードがある、クイックネスがもの凄い等々の評論をするが、多くの場合と同様、、このローズの場合もその評は間違っていると思う。もちろん、ローズも速い事は速いけれども、彼のペネトレイトの武器は、何といっても、前回も書いたが、その絶対と言って良い程のボールキープ力、ボールハンドリングにあると思う。それはまさしくジョーダン以来だと思う。

 だいたい、NBAに入ってくるようなPGなんていうのは、ストックトンという唯一の例外を除けば、皆例外なく速いのである。そのPGが、スピードやクイックネスだけで抜かれるなんていうのは、まず無い。私の知る限り、純粋にスピードだけで抜いていた選手は、いい時のケビン・ジョンソンだけである。KJだけは、純粋にスピードだけでペネトレイトしていた。トップ・オブ・ザ・キーにいると思っていたら気が付いたらゴール下でレイアップやダンクなんてシーンを、私は何度も見ている。KJだけは間違いなくスピードだけで抜いていた。

 あと他に強いて例を挙げるとしたら、ティム・ハーダウェイだろうが、彼の場合は例のキラー・クロスオーバーがあるから、純然たるスピード派とは云えないだろう。あとは、ドウェイン・ウェイドか。これは純然たるスピード派といっても良いかもしれない。ジョーダンも勿論スピードだけで抜けれるが、ジョーダンの場合は、それ以外にもいろいろな能力があったので純然たるスピード派とは云えないだろう。

 NBAのPGなんていうのは、ことほどさように、皆例外なく速いのであるから、スピードがあるよりはスピードが無い方が良いくらいなのである。その極端な例が、先にちょっと挙げたストックトンだろう。彼の、そのあまりの遅さに多くのNBAプレイヤーは、カール・マローンも含めて、四苦八苦したそうである。
 また、トニー・パーカーが出てきた時も、日本の解説者やマスコミは速い速いと評していたが、彼も特別速い選手ではなかったと思う(過去形にしているが、無論現役です。)。彼の場合は、その一種独特な、ヨーロピアン・テイスト、あるいはシャンパン・バスケットボールとでも云って良いような、独特なリズムに、多くのNBAプレイヤーは調子を狂わされていたと思う。決して、速い選手ではない。

 またまた話をローズに戻すが、彼の武器は、再三再四云っているように、何といってもそのボールキープ力である。あのボールキープ力があるのならば、かつてジョーダンが得意としていたベースラインからのドライブも是非とも挑戦して貰いたいと思う。90年代のNBAにあって、いまや失われてしまったものは数多くあるが、そのひとつはこのベースラインからのドライブだと思う。コート半分しか使えないという不利もあるが、逆に言えば、そちらからボールを奪われる心配も無いということなのだから、ローズ並みのボールハンドリングがあれば、大変な武器になると思う。ジョーダンは右サイドからのドライブを得意にしていたが、これはおそらくジョーダンが右利きだからだろう。すなわち、ボールを右に置いていれば、そちらからハンドチェックされる事は無い訳である。

 さて、そのローズ擁するシカゴ・ブルズであるが、現時点で、プレイオフ2回戦も4−2でホークスを一蹴、カンファレンス・ファイナルを決めた。いまや、ファイナル制覇の最右翼である。
 このブルズの特徴は、何と云っても、そのえげつないチーム構成にあると思う。なんとなく、その時その時のFA選手を集めた多くのチーム、かつてのブレイザーズや、ここ10年くらいのダラス、また最近のボストンやヒートも同様だろう、それらと違って、今のブルズは、完全に一定のチーム方針のもとにプレイヤーが集められている。これが偶々なのか、戦略なのかは不明だが、近年では優勝したときのピストンズ以来のえげつないチーム構成だと思う。カート・トーマスとホアキン・ノアとカルロス・ブーザーを同じチームにするなんて、そんなえげつないチーム構成はあるだろうか。そこにデングとボーガンズ、そしてトドメのカイル・コーバー。えげつなすぎる。個人的には、この手の一つの思想の元に集められたチーム構成というのは大好きであるが、ただ一抹の不安も感じる。かつてのロバート・オーリーやフィッシャーのようなXファクター的な選手も必要なのではないだろうか。私が知らないだけで、もう既にいるのかもしれんけど。

 で、そのビルズと当たるヒート、つうかレブロン君であるが、私はハスレム不在が痛いのではないかと思っていたが、ちゃっかりジュワン・ハワードを補強しているのね。まあ確かに、ハワードならばハスレムの代わりは十分だろう。これでヒートも役者は揃ったと思う。このカンファレンス・ファイナルは近年稀に見る死闘になるのではないだろうか。ヒートはローズを止められないだろうが、同様にブルズはウェイドを止められないだろう。とすると、レブロンのいる分だけヒート有利か。レブロンも、ここで年下に負けたら、完全に終わりだしな。死ぬ気でいくだろう。しかしジュワン・ハワードって、まだやってたのか。ハブ・ファイブの選手だよ。クリス・ウェーバーのチームメイトだよ。我等がジェイレン・ローズのチームメイトだよ。

 一方、ウェストであるが、最大のトピックスは何と云っても、やはりグリズリーズ、つうかザック・ランドルフだろう。彼の活躍、つうか彼が脚光を浴びるのは、個人的には実に嬉しい。影の実力者だとずっと思っていたし、90年代テイスト丸出しの選手なので、それも喜ばしい。こういう、力がありながら低評価にあえいでいた選手が脚光を浴びるのは実に喜ばしい事である。私は現役のPFの中ではダンカンに次ぐ実力者ではないかと思っていたぐらいである。少なくとも、アマレやKGよりは遥かに上の選手である。しかし、グリズリーズでやるとはのお。確かに顔もグリズリーっぽいし。もっとも、この凶悪な人相も彼の不人気の一因だったのではあるが。

 さて、そのグリズリーズであるが、この強力なPFに、その相棒役に徹するC(ガソル弟)、ゲームコントロールの出来るPG(コンリー)、エースキラー&ディフェンス名人のSF(バティエ)と役者は揃いつつある。あとはO.J.メイヨが強力なスコアリングマシンのSGとして爆発すれば、優勝も夢ではないと思う。ホームでは強いが、ロードでは弱いというのも、その一因はSGの得点力不足にあると思う。一般に、ホームではペイント内、ロードではペリメータの得点力が重要になる。

 ちょうど、これを書いている10分後に2回戦第7戦が始まるのであるが、実に楽しみである。寝ないで応援しようと思う。まあ、別にサンダーに敵意はないのであるが。

 もうひとつのトピックスとしてはスパーズ&レイカーズというシード1位2位&かつての強豪の敗退が挙げられると思うが、まあこれはやはり戦力的な理由も勿論あるだろうが、勝ち続けることの難しさという精神的な理由が挙げられると思う。
 レイカーズに関しては、レギュラーシーズンのゲームをチラッと見ていたが、やはりチーム全体が弛緩していた。ちょっと難しいなと私は思っていた。戦術上のキーパーソンであるバイナムの怪我も痛いことは痛いだろうが、その怪我も、どちらかと云えば、精神的に由来すると思う。「もう勝たなくてもいいかな。」という気持ちから生じたものだと思う。スパーズのゲームは見ていないが、同じような理由ではないだろうか。

 そう考えると、川上哲治やアウアーバックってのは尋常じゃねーな。4年目のマイケル・ジョーダンというのも是非見てみたかった。

                       さーて、グリを応援すっか。グリとグラ気分で。意味不明。2011/5/16

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