インディアナポリス研究会ペーサーズ局

歴史

戦評 '08-'09シーズン

TOPページへ

ペーサーズ局TOPへ

1/2

2011年
5月
カンファレンス決勝
雑感
 例によって何とはなしに見ているだけなので、あんまり正確な事はいえないのであるが、両カンファレンスファイナルの感想をば。あらかじめ断っておきますが、丸々一試合完全にみたゲームはありません。いいのか、それで書いちゃって。

 まずはイーストから。

 しかしハスレム使えるとはなあ。だったら最初から使えよ。ハスレム使えるんだったら、ワシはヒートに張ってるわ。いやでも、マジな話、バスケットボール賭博している人からは(私はやっておりません。念のため。)苦情が出るよ。胴元に苦情殺到だよ。これ無効試合だって言い張るよ。

 実際、ハスレムが出ると分かっていたら、私はヒートに張っていたし、ハスレムが出れないと分かっていたら、ブルズに張っていた。ハスレム登場でヒート優勢とまでは言わないものの、ヒートやや有利にはなったと思う。ハスレム不在ならばブルズ優勢だろうし、ハスレムの代わりにハワードを使うのなら五分五分だったろう。つってもまあ、現段階で、すでにヒート3−1なので、完全有利なのだけど。

 そしてまた、ハスレムは出てくると、随所にいい仕事するんだな、これが。リバウンドに、スクリーンに、ルーズボールにと。
 なんで今まで使わなかったのだろう。ファイナルまで温存しておきたかったが、カンファレンス・ファイナル初戦の状態を見て、HCが我慢できなくなったか。それとも、温存というよりはむしろ、チームの危機に、ケガを押しての強行出場だったのか。その辺の事情はよく分からんが、今のヒートの生命線がハスレムである事ははっきりしていると思う。あんま、こういうことは言いたくないが、ブルズは勝ちたかったら、ハスレムを狙い撃ちしてファールアウトさせるべきだろう。

 一方、ブルズのインサイドはというと、ブーザー、ノアの両名はよくやっているが、ヒートとは逆に、カート・トーマスの不在が、ここに来て効いていると思う。ハスレムのように戦術的に重要という訳ではないが、単純に交代要員として痛いと思う。トーマス不在の為に、結果的に、ブーザー、ノアの両名が出ずっぱりとなり、その疲労から、彼等両名のパフォーマンスが徐々に落ちてきている。普段なら間に合うヘルプが間に合わないとか、ブロックショットのジャンプ力が僅かに届かない等々である。これはシリーズが深まるにつけて、更に大きな問題になってくると思う。カート・トーマスの怪我の状態は不明であるが、強行出場を望みたいところだろう。
 ちなみに、これはまったく個人的な印象で、何の裏付けもないのであるが、カート・トーマスはここぞという時にいなくなるという印象が私にはある。繰り返すが、何の裏付けもない、あくまで印象だけれど。

 そのトーマス不在のインサイドで、二名奮闘している一人、ホアキン・ノアであるが、今プレイオフでじっくりそのプレイを拝ませてもらったが、見れば見るほどいい選手である。リバウンドやスクリーンは勿論の事、マンツーマンディフェンスも素晴らしい。ちょっとチャールズ・オークリーを思い起こさせるような、まさしく敵将(GMだけど、)のパット・ライリー好みの選手だと思う。また、ライリーならずとも、バスケットボールの好きな人や指導者には非常に好まれる選手だろう。フロリダ大を2連覇に導いたというのも、なるほど頷ける。ドラフト時は、その連覇の実績の割に、得点力の低さから評価が低かったが(っつても、全体9位だけど。NCAA連覇のセンターとしては低いと見るべきだろう。)、それは間違いであることは完全証明した。こういう選手こそ、掛け替えの無い選手というのだろう。

 このノアのパフォーマンスを全開にする為にもカート・トーマスには復活してもらいたい。って、無理なのだろうけど。

 その疲労という意味では、同じくデリック・ローズも、こちらもかなり疲労困憊している。第4戦の終盤などは、明らかに疲労から来るパフォーマンスの低下である。
 しかし、代わりはいないのか。これがチーム方針なのか、偶々なのかは分からないが、このローズの疲労は、ブルズ劣勢の大きな要因のひとつである。いくら何でも、ほとんどのゲームで40分以上出ていたら、そりゃ疲労も溜まるわ。ロースターを見ると、ローズの代わりが務まりそうな選手はいないので、これはフロントの失態と見るべきだろう。ある程度得点力があって、そこそこのボールハンドリングもある選手、所謂コンボガードを一人連れてきて、ローズの負担を軽減してやるべきだと思う。例を挙げれば、以前ブルズにいたジャマール・クロフォードみたいな選手である。こういう選手をローズと交替で使っても良いし、ローズと一緒にコートに立たせて仕事を分け合っても良いだろう。ボール運びなんかも地味に疲労が溜まるもんである。
 こう考えると、ペーサーズとの第3戦、ローズが手抜き気味だったのも納得がいく。少しでも、力を温存しておきたかったのだろう。

 こういうところも、ブルズの先輩ジョーダンとは違うところである。ジョーダンの様々な長所のひとつに無限のスタミナというのがある。疲労から来るパフォーマンスの低下というのを、私はジョーダンのプレイに見た事がない。本当にマイケル・ジョーダンという選手は、プロスポーツマンに必要な能力はすべて持っていた。そうして、プロスポーツマンに必要で無い能力も数多くもっていた。

 ジョーダンとの比較は意味が無いので、ローズの話に戻そう。このプレイオフで、ローズのプレイもじっくり拝ませてもらったが、そのボールキープ力という絶対的な長所のほかに、欠点もいくらか見えてきた。
 まず、ジャンプシュートであるが、これはどうも現時点では平均値である。上手からず下手からずといったレベルである。ただジャンプシュートというのは、キャリアを重ねるごとに確実に上手くなっていくものなので、これはそんなに心配しなくても良いだろう。
 次はジャンプ力であるが、これはどうもいまひとつのようである。平均値以下と見た。ダンクシュートも、ぐわ〜んと飛ぶようなものは無く、どれも皆ギリギリである。これはペネトレイターとしてはちょっとした欠点かもしれない。レイアップでフィニッシュするのとダンクでフィニッシュするのでは大いなる径庭がある。単純に云ってもダンクの方がシュート成功率は高いし、またブロックショットされる確率も低まる。また、ジョーダンとの比較になって恐縮であるが、ジョーダンのように、ダンクを決めて、なおかつカウントワンスローを貰うというようなプレイはローズにはなかなか難しいだろう。

 ちなみに、このダンクを叩き込んでのカウントワンスローというのは、おそらくバスケットボールにおける最高のオフェンスプレイである。ダンクシュートなので高確率で2点が奪えるし、更にワンスローで3点プレイ、なおかつファウルまで奪える。相手から見れば、まさしく踏まれたり蹴られたりである。んで、ジョーダン得意のプレイでもあった。一応、3点シュートでのカウントワンスローというのもあるが、これはほとんど決まらないので、事実上は、このダンクandワンスローが最高のオフェンスプレイだと思う。

 さて、話をローズに戻すと、これは欠点というほどでもないが、手が小さいという事もあると思う。ローズのダンクを見ていると、ほとんどがダブルハンドなので、これはおそらく手が小さいのだと思う。片手ではがっちりボールを握れないのだろう。このへんも、フィニッシュをダンクで決められない一因だと思う。

 で、ついでに、もひとつ、欠点を挙げておくと、やはりパスセンスはイマイチなようである。コートビジョンに欠けるのか、TV画面を通してもパスするところが丸分かりである。「あ〜、あそこにパスするだろうな。」というところに本当に投げてしまう。テレビで見ていて分かるのだから、コート上にいる敵プレイヤーにはもっとよく分かるだろう。ターンオーバーが多いのは明らかにこれが理由である。マジック・ジョンソンやラリー・バード、クリス・ポールなどは、「えっ、そこ。」みたいなところにガンガン決める。ジェイソン・キッドやスティーブ・ナッシュなども、それに近い。まあ、この手のコートビジョンはもって生まれたものなので、ローズはスパッと諦めるべきだろう。

 で、もうひとつ、ローズのパスプレイで問題なのは、パスそのものが悪いという点である。ギリギリのところでパスしている為か、受け手が非常にシュートしにくいところにパスしてくる。マジックやバードなどは、そのまま自然にシュートが打てるようなパスをしてくる。これは、ローズが大いに改善すべき点だろう。改善できるものか否かは不明ではあるが。ちなみに、ブルズの先輩ジョーダンもパスはあまり上手くなかった。ただ渡しているだけの、シュートしにくいパスだった。

 と、いろいろ欠点を挙げてしまったが、そういったものを差し引いても、彼のペネトレイト力は非常に貴重である。私の知る限り、今のNBAで、どうしても止める事の出来ないペネトレイターは、彼デリック・ローズただひとりである。他に強いてあげるとすれば、ドウェイン・ウェイドぐらいである。
 そうして、ペネトレイターというのは、単なるシューターよりはるかに貴重である。なぜなら、ペネトレイトというプレイはペイント内の得点、すなわちインサイドの得点になるからである。ペリメーターのシュートよりもシュート成功率が高いからである。

 もっとも、このローズの能力を最大限に活かすにはSGに転向したほうが良いのかもしれない。将来的には、ディフェンスと3Pに長けたデリック・フィッシャーのようなタイプのPGと組ますのがベストなのかも知れぬ。

 なんだか眠くなってきたので、ウェスト編は次回つうことで、ひとつ。

          マット・ミレンはトークが上手いのお。なるほど、フォード翁が誑かされる訳だ。 2011/5/26

 さて、ウェスト編なのであるが、こっちはこの5日間の間に4−1ダラスで結果が出てもうた。つうか、イーストも4−1マイアミの結果が出てもうた。

 まあ、こっちはやる前から、ある程度結果が見えていたというか、ダラスは「このメンツで勝てなければ、いつ勝つ」みたいなメンバーなので順当といえば順当といえよう。

 ダラスはこの10年、毎年毎年勝手気ままに選手を入れ替えてきたが、偶々か、狙ったのかは不明であるが、ようやく理想のチームを手に入れたといえよう。攻守でコンビを組むCとPF(チャンドラーとノイツキー)、力は衰えたとはいえ、まだまだリーグトップのディフェンスを誇る怪物SF(ショーン・マリオン)、得点力溢れるSG(ジェイソン・テリー)、まだまだリーグナンバー1のフロアリーダーのPG(ジェイソン・キッド)、そして彼等を支えるベンチ陣(ヘイウッド、ストヤコビッチ、スティーブンソン)、そしてHCはリック・カーライルという、これで勝てなかったら、チーム解散、キューバン、匙投げる、みたいなチーム構成である。全体的に年齢が高めなのも良い。

 一方、そのダラスに負けたサンダーであるが、さすがに、デュラント、ウェストブルック、ヘイデンの3人だけでは厳しかったか。というか、逆に言えば、この3人だけで、良くここまで来たとも云える。ただまあ、ここから先に進もうとすると、かなりのチーム改造が必要になるのではないだろうか。かつて、レブロンを悩ませたのと同じ苦悩がデュラントを襲うと思う。

 そのデュラントとレブロンの比較であるが、スピードやパワーといった単純な運動能力ではやはりレブロンに分があると思う。ただ、シュート力やボールハンドリングといった、所謂バスケットボールの技術では、デュラントに分があると思う。あの人間とは思われぬ腕の長さもいい。好みの問題もあるだろうが、私がGMだったら、デュラントを獲りたい。

 とはいうものの、上にも書いたとおり、そのSFというポジションがデュラントを苦しめると思う。ボールハンドリングが良いので、思い切ってSGに転向するのも有りだと思う。6−9のSGが成立するかどうかは不明だが、やってやれないことは無いと思う。

 さて、ファイナルはそのダラスとマイアミのカードになった訳であるが、予想はかなり難しい。まったくの五分と読む。理想的なチーム構成のダラスに対し、変則的ではあるが隙の無いマイアミという構図になると思う。そういった意味では、かつてのジャズ対ブルズの構図に似る。この時はブルズ、というかジョーダンが2年連続してジャズを葬り去ったが、今回はどうなるか。見物である。

                            ピンボールゲーム、3時間もやっちゃった。反省。2011/5/30
2011年
6月
ファイナル
雑感
 ダラス、勝っちゃいましたね。どっちが勝つかはともかく、第7戦までは縺れ込むように予想していたので、第6戦で決着したのは、ちょっと意外でした。でも、ないか。

 シリーズ全体の流れとしては、マイアミサイドから見て、勝ち、負け、勝ち、負け、ときての第5戦で負けたのが、ちょっと痛かったと思うが、このゲームは全然見ていないので、なんとも感想は云えません。
 そのほか、シリーズ全体のターニングポイントとしては、第4クォーターで15点差が逆転したゲームも両チームにとって大きかったと思う。ここをマイアミが取れていれば、マイアミ優勝の目もあったろう。マイアミサイドとしては、最後の場面でノウィツキーに付いたボッシュが、見るも無残にノウィツキーに抜かれてしまったというのが、悔んでも悔みきれないところだろう。第3戦の同じようなシーンで、今度はハスレムが付いて上手くノウィツキーを止めていただけに、第2戦でもハスレムを付けていれば、と大きく後悔したと思う。まあ、あくまで結果論だけど。

 実際、両チームの実力はまったくの互角で、残り時間が00:00になった時点でどっちがリードしているかというシリーズだったと思う。マイアミは実力的に負けたというよりは、偶然的展開的に負けてしまったという事だろう。昔、「バスケットボールは残り2分だけ見れば良い。」といった人がいたけれど、まあそれがバスケットボールの全てだとは思わないが、このシリーズに関しては、まさしくそういうゲームだったと思う。

 とはいっても、単に運や展開だけでゲームを語るのも野暮な話なので、ちょっと戦術的戦略的な話もしたい。

 このシリーズの戦略的な特徴は、ダラスサイドがウェイド&レブロンをマリオン&スティーブンソン&キッドで徹底的に止めたという点にあると思う。これが直接的にダラスの勝因になったとまでは云わないが、戦略的には成功したと思う。物理的な勝因とまでは云わなくとも、心理的な勝因にはなったと思う。特にシリーズ終盤になってくると、思うように得点できぬウェイド&レブロンは微妙に調子を落としていったと思う。

 私は、戦前の予想としては、ウェイド&レブロンのどちらかを徹底的にマリオンで潰して、どちらかはある程度自由にやらせると思っていた。どちらを潰すかと具体的に考えた場合、それは、技術的にも、対外的な効果的にも、レブロンの方だと思っていた。しかしまあ、結果的にはカーライルは両者を潰しにいった訳である。ディフェンス型のHCなので、当然といえば当然の選択かもしれない。

 私がどちらかをだけを潰すのではないかと考えた大きな要因は、両者を潰しに云ってしまうと、今度は逆にダラス側のオフェンスがスカスカになってしまうと思ったからである。マリオン&スティーブンソンでウェイド&レブロンで徹底的に潰すという事はすなわちテリー&ストヤコビッチはほとんど使わないという事になる。で、ノウィツキーはハスレムが止めるであろうから、結果的にはほとんど得点は期待できなくなってしまう。しかも、実際にはマリオン&スティーブンソンにキッドまでくっつけた訳である。
 結果的に、シリーズ全体、特にシリーズ序盤では、ロースコアのゲームが多くなった。キッドなんか、完全にオフェンス不参加を決めている感じだった。確かに、38歳のロートルがウェイドに付けば、オフェンス放棄もやむを得まい。日本の解説者もこの辺を指摘していて、もう少しテリーやストヤコビッチを使ってみたらどうかみたいな意見もあったが、結果的にはこの作戦は、これはこれで成功だったと思う。
 上にも書いたとおり、マリオン&スティーブンソン&キッドの徹底マークでウェイド&レブロンはシーズン後半調子を落とし、その隙を縫う形で登場してきたテリーが第5戦第6戦で活躍できる形になった。

 このディフェンスに専念するとオフェンスまで力が回らなくなるという考え方に対し、「プロなんだから、オフェンスもディフェンスも100%の力を発揮せい。」みたいな考え方もあるが、プレイ経験が無い私が言うのも可笑しな話であるが、オフェンス100%ディフェンス100%というのは現実的にはなかなかスタミナ的に難しいようである。あの無尽蔵のスタミナを誇るマイケル・ジョーダンでさえ、若い時はイザ知らず、キャリア中期以降は、基本的にはここぞという時しかディフェンスは参加していなかった。キャリア晩年になると、オフェンスも大概手を抜いていた。チームメイトがよほど調子の悪い時やチームの危機の時以外は、適当にやっていた。とりあえずシーズン得点アベレージ30点だけは維持するみたいなノリのプレイスタイルであった。それがすなわち、「ジョーダンはゲームをコントロールしている。」という事である。

 話をファイナルに戻そう。このディフェンス専念作戦は、以上のような理由から、賛否両論あるのだが、今回のシリーズに限っては奏功したと思う。とはいうもの、それは今回偶々成功したというだけで、必然的な成功ではなかったと思う。第2戦を、もしダラスが落としていたら大きく批判されていたポイントにもなっていただろう。

 こういうオフェンス力を削いでまでディフェンスに専心するという戦略は、リック・カーライルやラリー・ブラウンのようなディフェンス型のコーチが大変好む戦略(だから、ディフェンス型なのであるが、)であるが、私は、個人的には、あまり好きな戦略ではない。彼らが、ある程度まで勝ち進みながら、結局は勝利できない大きな要因のひとつだと思っている(今回は勝ったけど、)。

 というのも、 両者共にペーサーズの指揮を取っていた事があるので、私は良く分かっているのであるが、こういうディフェンス専念のシステムだと、どうしてもオフェンスがジリ貧になってしまうのである。オフェンスウェポンがひとつしかない(レジー・ミラー、アイバーソン、リップ・ハミルトン等々)ので、その唯一の武器の調子が悪かったり、徹底的に封じられたりしてしまうと、途端に得点不能状態に陥ってしまう。
 ラリー・ブラウンの後任のラリー・バードがジェイレン・ローズをSFに入れたのは、いろいろな理由が挙げられるだろうが、ひとつにはこの得点力不足解消のためだったと思う。オフェンスウェポンは、どうしても2人必要である。

 リック・カーライルやラリー・ブラウンのチームが勝つ為には、かつてのピストンズや今回のダラスのような、この得点力不足を補うだけの圧倒的な戦力が必要だと思う。それがないと、かつてのペーサーズの76sのように、どっかでジリ貧負けをしてしまう。

 戦術戦略的な事はこれくらいにして、個々の選手評に映ろう。

 まずはレブロン様か。今回の結果をどう見るか、である。今のレブロンは、仮に10連覇しても非難される人間になってしまっているので、世間的にはまた非難の嵐であろうが、まあファイナルには出場した訳だし、そのファナルでもそんなに悲惨な負け方をした訳もないし、それなりに及第点は与えられると思う。でもまあ、やっぱり、ある程度力のあるディフェンダーに徹底マークされると、何も出来なくなりますな、やはり。まして、ショーン・マリオンじゃあ、ゲームから消えていたと言われても仕方が無いだろう。この辺が、ジョーダンと最近のスーパースターの決定的な違いである。

 あと、技術的な事をひとつ加えると、もう少しジャンプシュートの精度を上げてもらいたいと思う。キャリア8年の割にはイマイチである。ジャンプシュートというのは、練習量がそのまま比例するので、あんまり練習していないのかなとも思う。同じ時代のジョーダンがぐんぐんジャンプシュートの精度を上げていったのに比べると、実に対照的である。友達作りも結構であるが、肝心のバスケットボールで結果を出さないと。友達も離れていくよ。NBAナンバー1プレイヤーの座もデュラントに獲られちゃうよ。

 さて一方、チャンピオンリングを手に入れたノウィツキーであるが、まさかチャンピオンリングを手に入れるとはねえ。私が彼を初めて見たのは彼のルーキーイヤーである。当時完全ドアマットチームであったダラスは当然ながら日本での放送は全然無く、それが何故にNHKBSで唐突にダラス戦が放送されたのかというと、理由は只一つ、当時日本のみならず世界中で人気絶頂のロッドマンがシーズン途中で加入、在籍していたからである。私も無論、ロッドマン目当てでチャンネルを合わせた(表現が古いな。)のであるが、当然というか何というか、なんかの理由でロッドマンは出場停止、ワンピース休載のジャンプみたいなもんになった、つーかそれ以下の状態であった。

 それでも、他に見たい番組がなかったのか、私はそのままそのゲームを見ていたのであるが、そこでキラリと光っていた選手こそ、ドン・ネルソンが連れてきた変な外国人シリーズ第○弾、ダーク・ノウィツキーその人であった。当時のノウィツキーは、いかにも北欧の少年らしい、ウィーン合唱団にでもいるような感じの白皙の美少年で、私のホモ心は大いに刺激されたのであった。もちろん、私はホモではありません。勘違いされても困るので、一応念の為。

 そんな白皙の美少年も、その翌年からどんどんペニス臭くなり、今の惨状である。それが私には返す返すも残念でならぬ。ルーキーイヤーのノウィツキーよ、帰ってこーい。

 そんなホモ話はともかく、今回の優勝は、多くのドイツ人も喜んでいるであろうが、それと同じくらいドン・ネルソンも喜んでいる事であろう。でも、あの当時、ドン・ネルソンが連れてきた変な外国人で、今も生き残っているのはノウィツキーだけじゃないかな。

 なんかノウィツキーの技術的な話は全くしていないが、技術的にはルーキーイヤーから全く変わっていない。内でも外でも得点でき、リバウンドにも強い。非常に高いレベルで完成されたフォワード・プレイヤーである。ただ、同時代に、ダンカンやら、ウェイバーやら、といった、更に一枚上手のPFがいた為に、いまいちスポットライトが当たらなかったが(それなりに当たってはいたが、)、非常に優れたPFである事に代わりはない。

 さて次は、今回のファイナル最大の驚きとも云うべき、J.J.バレア。って、お前、誰。今回のシリーズでは、ダラスの、謂わばXファクターとなり、マイアミの敗因のひとつにもなった訳であるが、私は今回、初めて見た。
 特徴は、その独特のリズムのドリブル、ペネトレイトということに尽きると思う。その妙なリズムのドリブルに、マイアミ勢は全く対応できていなかった。リズムやタイミング、日本語で言うところの「間」や「間合い」といったものが、バスケットボールに限らず、あらゆるスポーツ、更には万事において、非常に重要であるという事を、彼のプレイから、改めて私は確認した。

 調べてみると、彼はプエルト・リコの出身らしいので、その独特のリズムは、それに由来するものであろう。トニー・パーカーと同じパターンである。背が低いので、フルタイムで使うのは難しいかもしれないが、ベンチプレイヤーとして使う分には最高のプレイヤーであろう。

 んで、そのバレア以上に、私にとって今ファイナル最大の驚きは、カージナルが未だに現役をやっていたという事実である。これこそ最大の驚きだわ。元気とハゲと3ポイントしか能の無い男だけに、とっくの昔にNBAからフェイド・アウトしていると思っていたが、まさかまだ生き残っていたとは、そしてチャンピオンリングまで獲得してしまうとは。

 尤も、今ファイナル、つーか、おそらく今のダラスでの役割は、専らファウル要員である。あーいうのって、試合前とか、コートインする前とかにコーチ陣から言われんだろうな、「いいか、お前、PT10分やるから、最低ファウル3つしてこい。」。んで、カージナルも「ファウルしてこい、って。」とかちっとも思わずに、「ヒャッホー。」とか云って、元気いっぱいファウルしてくんだろうな。まあ、それも人生か。そんな役割もチームには必要だもんな。私はこういう気合と根性と政治力で生き抜くタイプが大好きである。お中元やお歳暮、マメに贈ってんだろうな。あと、名前がチーム名みたいなので雇いたいというのはあると思う。

 そういえば、このファイナル期間中、シャックが引退を発表した。これで、いよいよ私がそのルーキーイヤーを知らないプレイヤーはいなくなってしもうた。いるかな。

                                                      2011/6/15
ドラフト雑感  いつの間にか(6/23)、ドラフトは終わっていた訳であるが、我等がペイサーズはドラフト指名後に、その選手をサン・アントニオとトレードして、PGのジョージ・ヒルを獲得。

 今のペイサーズに欠けているものはディフェンスとゲームコントロールの出来るPGなので、彼には期待してしまう。そのプレイは全然見たことがないのであるが、スパーズ出身というだけで、なんとなく期待してしまう。あくまでイメージだけだけど。

 もし彼が、ペーサーズ待望のディフェンダー&フロアリーダーのPGであるならば、ペーサーズは向こう10年くらいは、ファイナル制覇とまでは云わぬものの、プレイオフ常連チームになれると思う。かつてのマーク・ジャクソンのように、いわばペイサーズのラストピースになってもらいたいものである。いや、ホント期待してます。

 ちなみに(ちなみに、でもないけど、)、彼は地元インディアナポリス出身でインディアナのブロード・リップル高校を卒業、そして地元のIUPUI出身という、いわば生粋のインディアナっ子であり、そういった理由から、ただいま、地元インディアナポリスでは、ちょっとしたジョージ・ヒル祭りが発生している。確かに、これだけ純正の地元っ子がペイサーズなりコルツなりに入団したのは、結構珍しい事かもしれない。少なくとも、私の記憶には無い。

 更に、ちなみに、今ヒルの事を調べていて判明していたのであるが、その高校時代は、結構派手に活躍していたらしく、「Magnificent Seven」、すなわち「んげー7人」なんて呼ばれ方もしていたらしい。ちなみに、その残りの6人はというと、これが結構すんごいメンバーで、グレグ・オデン、マイク・コンリーJr、ジョシュ・マックロバーツ、ロドニー・カーニー、エリック・ゴードン、コートニー・リーの6人で、ヒルも含めて全員NBA入りしている。つーか、全員スター、ないしスター候補生だった人たちである。こういうのを見ると、インディアナ州というのはバスケットボールの国だというのが改めて良く分かる。でも何故かフージャーズ入りしたのは、エリック・ゴードンのみ。どうなってんだ、フージャーズのリクルート力は。
 あと、マックロバーツも地元インディアナポリス出身だったのな、知らんかった。でも大学は何故かデューク。嗚呼フージャーズ。つーか、この「んげー7人」がそのままフージャーズ入りしていたら、楽々NCAAトーナメント、勝てていたのではないだろうか。

 更に更にちなみに、ヒルの通っていたIUPUIというのは、日本語にすると、インディアナ大学パデュー大学インディアナポリス校という、なんだか訳の分からない大学であるが、インディアナ州にあるインディアナ大とパデュー大の両校が協力して開設されたインディアナポリスにある州立大学らしい。って、ややこしすぎるわ。ちなみに同校の公式サイトのトップページでもジョージ・ヒルが紹介されていて、こちらでも、ちょっとしたジョージ・ヒル祭りのようである。

 更に更に更にちなみに、このIUPUIのスポーツチームの愛称はジャガーズで、バスケットボール部のアリーナの愛称は「The Jungle」っていうみたい。ジャガーズのジ・ジャングルって。で、所属はサミットリーグ。フットボール部は無いらしい。

 IUPUIについて、なんでこんなに書いてんだか、自分でも良く分からんが、興味のある方は留学でもどうぞ。とにかく、ジョージ・ヒル、がんばれ。

                                                   2011/6/30

1/2