インディアナポリス研究会ペーサーズ局
歴史

戦評 '08-'09シーズン

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1/2/3

2012年
1月
1月27日(金)
IND@BOS
87−94
 今シーズン一発目のNBAの記事であるが、その前に言っとかねばならぬ事がある。メッタ・ワールド・ピースは無いわ。オチョシンコまでは認めるが、メッタ・ワールド・ピースは無いわ。頭グニャグニャの私でも、それは認めん。私が実況だったら、そんな名前、絶対呼ばん。決勝ブザービーター決めても、無視するわ。

 とまあ、半分冗談っぽく書いているが、逆に云えば、半分はマジである。これを認めたら、もはや何でも有りやん。分かりやすさの為に、日本で例を作るが、ドカベンを尊敬しているからドカベンとか、ガンダムが好きだからアムロ・レイも有りって事じゃん。4番ファースト、アムロ・レイとか云われても困るんですけど。「俺は海賊王になる男だ。」とか言われて、モンキー・D・ルフィとか名乗られても、困るんですけど。
 しかも、ワールド・ピースなんて、結局は普通名詞だから、もはや何でも有りじゃん。甘いものが好きだからアンパンとか、哲学が好きだから純粋理性批判とか、オッパイが好きだからパフパフとか付けられても困るんですけど。QB純粋理性批判のプレイアクションがどうのとか言われても、意味不明なんですけど。

 このワールド・ピースに限らず、ジョーンズ=ドリューとか、アメリカ人は変な名前を付けたがるのは、どこかで一線を引かねばならぬと思う。まあ、アメリカ人は、日本人と違って、名前のバリエーションが少ないので、変わった名前に憧れるというのも分からんでは無いが。

 さて、いよいよ本題のペーサーズの話である。

 ゲームの感想の前に、今シーズン前の大きなトランザクションについて感想を少しばかし。

 FAでのデビット・ウェストの獲得である。報道によると相思相愛的なFAだったらしいが、私には少々意外だった。デビット・ウェストなんていうのは、私の印象からすると、クリス・ポールの付属品みたいな印象しかなかったからである。3ランクといったら大袈裟だろうが、2ランク下げたカール・マローンみたいな選手だったからである。グレン・ロビンソンよりは上、マローンよりは下みたいなイメージの選手だった。
 そんな選手が今のペーサーズに必要かというと、私は少々疑問であるが、まあ、バードが選んだ選手なので応援しよう。
 しかし、バードはこういう選手、すなわちシュートの上手いフォワード、大好きだね。トロイ・マーフィー、ダン・リービーJrをようやっと処分できたと思ったら、舌の根も乾かぬうちに、デビット・ウェストを獲るとは。ちょっと前にはストヤコビッチがいるし、大昔にはサム・パーキンスとかオースティン・クロージアとか、もっと昔にはクリス・マリンとか。こういうタイプの選手がバードは大好きである。自分の影を追っているのか。

 ただ、私は個人的には、こういうシュータータイプのフォワードはあんまり好きじゃないので、さして期待していなかった。
 とはいうものの、冷静に考えてみると、私がペーサーズ・ファンになって、もうかれこれ20年近く経つが、キャリアの絶頂期にあるオールスター級のプレイヤーを、ペーサーズがFAなりトレードなりで獲得するのは、ホントに冷静になって考えてみると、今回が初めてかもしれない。トウの経った元オールスター級ベテラン選手なら、先に挙げたストヤコビッチやクリス・マリン、バイロン・スコット等々、そこそこ獲得しているが、現役バリバリ(懐かしい表現、巨人軍が大好きな表現)のオールスター級は、このデビット・ウェストが初めての様な気がする。他に誰かいたっけ、トロイ・マーフィーやダン・リービーJrは、確かにキャリア全盛期にペーサーズ入りしているが、オールスター級かといえば、微妙なところだろう。マーク・ジャクソンの場合は、またちょっとニュアンスが違うし。純粋に、オールスター級新加入選手という意味では、このデビット・ウェストが初めてかもしれない。ウェストがバリバリのオールスター級かというと、また微妙なところだけどさ。

 また、その視野をコルツまで含めて、インディアナという、基本的に詰まらん町のフランチャイズに広げてみても、彼は本当に久方振りの大物FAという感じである。何が起こった、インディアナ州。

 つう訳で、結構微妙な気持ちで、ウェストの加入を見守った訳であるが、いざ開幕してみると、スタッツを見る限り、なかなかの活躍のようである。専門のオフェンスのみならず、リバウンドでもなかなかの貢献である。特に、オフェンス・リバウンドが多いのは、これは予想外だった。私は杞憂していたようである。まあ、何はともあれ、頑張ってチョーライ、超力ショーライ。

 で、デビット・ウェストに押し出されるという訳でもないが、マックロバーツはレイカーズ入り。FAによる移籍なので、自分から望んでなのか、チームに捨てられたのかは、皆目分からんが、ジョージ・ヒルというジモティを獲得して浮かれていた矢先に、もう1人のジモティに逃げられる結果と相成った。
 個人的には、ウェストよりマックロバーツの方が今のペイサーズにフィットしているようにも思うが、この辺はいろいろややこしい事情もあるだろうと思うので、これ以上詮索しない。さらば、マックロバーツ。でまあ、チーム唯一のディフェンシブなC/PFになってしまった(ペンダーグラフつうのも、いるにはいるが実力未知数)最古参ジェフ・フォスター、もう一頑張りしてくだされ。しかし、ジェフ・フォスターって、毎年のようにトレード候補に挙がっていたが、このままいくと、レジー・ミラー以来の純ペイサーとして終わりそうだ。不思議なもんだのお。

 トランザクションとしてはもうひとつ、我が愛しのジェームズ・ポージーも、当然のように、放出。今現在は、何処のチームとも契約していない模様。活かす使い方はイロイロあろうに。惜しい、実に惜しい。

 つうのが、先オフのペイサーズの主な動きであるが、結果としてはなかなかのロースター構成になったと思う。実際、下馬評もそこそこ高いし、私もいいとこまでは行くと思う。実際、ここまで(現地2月4日現在)16勝7敗、イースタンカンファレンス第4位である。ただ、ファイナル制覇できるかというと、それは無理だと思う。プレイオフにはほぼ間違いなく出場できると思うが、いいとこ2回戦止まりと見た。何故かというと、ロースターが若すぎるからである。フォスターは別格として、それ以外では、最年長がダンテ・ジョーンズとデビット・ウェストのキャリア8年31歳コンビだからである。あまりにロースターが若すぎる。ちょっと前のホークスみたいな印象である。

 私もなんだかんだで20年近くNBAを見てきたが、その結果云えるのは、NBAというのは引退間際のおっさん達が優勝するリーグだという事である。昨年のダラスなどは、その良い例だろう。
 引退間際のおっさんというのはさすがに言い過ぎかもしれないが、NBAというのは、ローテーション・クラス7〜9人に最低でも2,3人はキャリア10年前後のおっさんを揃えなければ、まず勝てない。その例外を、私はここ20年近くで、見た事がない。強いて例外を上げるとすれば、20年より先になってしまうが、我等が社長ラリー・バード時代のセルティックスぐらいではないだろうか。逆に云えば、ラリー・バードのプレイが如何に老獪だったかを示しているとも云えるだろう。もっとも、この時のセルツにもアーチボルドやビル・ウェルトンといったおっさんもいるにはいたが、主力とまでは言い難いだろう。一方、ライバルのレイカーズも、こちらも同じく若いチームだったが、このチームには、おっさんというか、ほとんどお爺さんといってよいようなジャバーがいた。しかも、まだまだ主力であった。

 この辺のチームを除けば、特にこの20年は、ほぼ例外なく、優勝はおっさんチームである。ファイナル進出までを数えると、キッド時代のネッツやアイバーソンのシクサーズ、レブロンのキャブスなどは比較的若いロースター構成だったが、逆に云えば、キッド、アイバーソン、レブロン・クラスの支配的なプレイヤーを擁してもファイナル止まりだったとも云える。若かりし日のジョーダンなどは、言わずもがなであろう。NBAはおっさんが優勝するリーグなのである。

 これが、NBA特有の現象なのか、バスケットボールというゲームそのものの特性なのかは、よく分からない。ただまあ、NBAという事に限って云えば、プレイオフがいわゆる7回戦制であるというのは、明白にベテラン有利のルールだと思う。7回連続で戦うという事はすなわち、それだけアジャストメント能力が問われる訳だから、となればベテランに一日の長があるのは自明だろう。これが、もし、NFLやカレッジバスケットボールのように、一発勝負のプレイオフだったら、こんなベテラン天国のリーグにはならなかったかもしれない。まあ、あくまで推測なので、真の理由は分からないけど。

 という訳で、今季のペイサーズに優勝は無いと断言しつつ、このTV放送を楽しんだ訳である。しかも、生である。ペイサーズのゲームを日本で生放送するというのは、それこそミラー時代のファイナル以来ではないだろうか。ほかに、ちょっと記憶に無い。なんだかんだで、かれこれ10振りくらいである。しかも、レギュラーシーズンのゲームである。NHKBS、どういう風の吹き回し。まあ、J−SPORTSなんかでは、やってたかもしれんが。まあ、とにかく、私個人としては、10数年ぶりのペーサーズ生放送であった。

 このペーサーズに限らず、今季のNHKBSは結構意外なチームを放送している。ウォリアーズなんかも久しぶりに観た。グリズリーズやクリッパーズは戦力増強しているので、当然だが。あとは、キングス、ネッツあたりか。
 そのウォリアーズのHCに、ペイサーズファンには懐かしい、マーク・ジャクソンを発見。元PGのHCブームはまだ続いていたのか。
 そのほか、元ペイサーズという事では、スティーブン・ジャクソンやアル・ハリントンもまだ現役で活躍している模様。NFLでは、「おやっ。」と思った選手は大概引退しているのに対し、NBAでは「おやっ。」と思った選手は大概現役続行中である。こんなところも、NBAに入りたがる人の多い理由のひとつかもしれない。

 でまあ、肝心のそのゲーム内容であるが、はっきり言って、詰まらんゲームだった。年に何試合かあるシュートの入らないゲームという奴で、これはもうしょうがない。そういう日もあるとしか言いようが無い。フリーを作るのはコーチやチームの仕事だろうが、フリーでシュートが入るか否か専らプレイヤーの責任である。その日の調子としか言いようが無い。

 そのゲーム内容はともかく、今季初めて見たペイサーズの印象はというと、意外に1on1頼みだなという事である。今季のペイサーズは、スタッツを見る限りでは、7人のプレイヤーが平均得点9点以上取っているという事で、随分前のキングスのような、パスを10回くらい回して(ちょっと大袈裟)、最後はレイアップで締めるみたいなオフェンスを予想していたのであるが、結論としては7人がそれぞれ平等に1on1している感じである。言葉の正しい意味での、機会平等オフェンスといった感じである。ダレン・コリンズがPGをしているので、それも致し方なかろう。

 と、こんな書き方をすると、今のペイサーズのオフェンスに否定的みたいな感じになるが、そういう気持ちは決して無い。得点できれば、どんなオフェンスでも問題ない。また、NBAというのは、結局のところ、最も1on1の強い奴が勝つリーグでもあるから、これはこれでよいと思う。
 私は先ほど、NBAというのは「おっさんの勝つリーグ」だと書いたが、「最も1on1の強い奴が勝つリーグ」でもある。で、この二つが衝突した場合はどうなるかというと、この場合は前者「おっさん」が勝つ。昨年のファイナルが良い例である。理想的には、この両者を兼ねる、かつてのブルズや数年前のレイカーズを目指すべきだろう。ちなみに、レブロンはどうも自分より年長のプレイヤーが嫌いなようである。これも彼をチャンピオンリングから遠ざけている、大きなとは言わないが、理由のひとつだろう。

 さて、ペイサーズに話を戻すと、このゲーム、私のもうひとつの注目は無論、ジョージ・ヒルである。今回初めて、そのプレイ振りを見たが、正直、あまり印象が無い。良くも悪くも典型的なコンボガードといった感じである。ロナルド・マレーとかロン・マーサーといった選手を思い出した。ロン・マーサーはどっちかというとスィングマンか。それはともかく、PGをする程のコートビジョンは無く、SGをする程のシュート力は無いといった印象である。特に、シュートフォームがあまり良くないので、爆発的な得点力は望めないんじゃいかなあ。

 まあ、元々コンボガードという触れ込みであるから、当然と云えば当然なのであるが、入団時の騒ぎっぷりに比すと、意外に普通という印象であった。もっとも、そんなに凄い選手だったら、パーカーとジノビリに加齢臭が漂い始めたスパーズが放出する筈も無いので、こんなところであろう。ただ、写真で見ると、ガタイが良かったのでビラップスみたいなプレイヤーかなとも思っていたのであるが、そういう感じでもなかった。まあ、ビラップス自体、「使われよう」的な選手ではあるが。

 つう訳で、ジョージ・ヒルに対する期待はかなりしょぼんだのであるが、この手の選手というのは、かつてのジェイレン・ローズのようにSFに転向すると、意外に嵌る場合がある。SFとしては、パスが裁け、シュートも上手いからだ。惜しむらくは、今のペイサーズにそういうポジションは無いのであるが。あとまあ、ちょっと身長が足りないか。

 と、ここまでジョージ・ヒル批判をしてきて、こんなことを言うのもおかしな話だが、ヒルをPGの先発にして、コリソンを6thマンにするというのもありだと思う。今のペイサーズは、先にも書いたように、1on1中心のオフェンスであるから、PGのコートビジョンはさほど求めていない。つうか、コリソンにもそれは無い。だったら、得点力のあるコリソンを6thマンにした方が、全体的な得点力はアップするように思う。ディフェンスもコリソンよりヒルの方が上のようであるし。

 んなとこか。あと、これは、このゲームとは直接関係無いが、ペイサーズのホームコートの名称が「バンカーズ・ライフ・フィールド・ハウス」に変わったそうである。バンカーズ・ライフって。楽しいのか、詰まらんのか、さっぱり分からん。
 
                                                2012/2/5(日)
2012年
3月
3月10日(土)
NYN@MIL
114−119
 で、噂のジェレミー・リン登場である。

 評判のジェレミー・リンを今回初めて見る訳であるが、その感想を書いてみたい。

 その第一印象としては、「さすがに動きは鈍いな。」である。成程、これなら数チームを首になったのも十分頷けるし、私がGMやHCだったとしても、同じく首にしただろう。なんで、ここまでアメリカ中を揺るがすような大活躍をしているのか、全く以って不思議だった。

 この手の新しいPGが出てくると、日本の実況陣は決まって、「スピードがある。クイックネスがある。動きに切れがある。」等々の一言で片付けようとし、このゲームの放送でも、同じくスピードの一言で片付けようとしていたが、はっきり云って、動きは完全にドンくさい。それが顕著に現れるのはヘルプディフェンスの救いようの無い遅さで、それがこのゲームのニックスの敗因のひとつにもなっていたと思う。

 また、その遅さの特徴として、彼がスピンムーブを得意にしているというのも挙げられると思う。そもそもスピードがあれば、スピンムーブなどする必要は無いからである。単純にスピードで抜き去っちゃえば良いのだから。K.J然り、T.J.フォード然りである。
 リンの煽り映像でデレック・ローズとの比較があったが、ローズがスピンムーブを使うのは、彼が自身のボールハンドリングに絶対の自信を持っているからである。ペネトレイトでスピンムーブを使うのは、スティールの可能性が高い為、本来危険なプレイである。リンの場合は、それを使わなければ抜けない為に、仕方なく使っているだけであろう。

 と、第一印象はあまり良くなかったのであるが、ゲームを見続けていくうちにリンの良さが分かってきた。まず第一に挙げられるのは、非常に基本に忠実という点であろう。特にシュートフォームは素晴らしい。「みんなのお手本にして貰いたいくらいだ。」by堂本監督である。所謂スウィッシュが多いのも、そのシュートフォームの賜物であろう。

 また、そのシュートフォームの賜物のひとつとして、クイックリリースも挙げられると思う。例の煽り映像でレイ・アレンより速いみたいな紹介のされ方をしていたが、さすがに史上最速とも言われるアレンよりは遅いだろうが、このリンも速い。その理由ははっきりしていて、勿論動きが速いのではなく、彼の場合は、ボールを貰った時、その位置からそのままシュートできるという点にある。これは理由は良く分からないのであるが、他の選手は大概、ボールを受けた後、一旦腰の位置ぐらいまでボールを落とし、それからシュートフォームに移行する。リン、そうしてアレンは、このボールを落とすという動きが無い分だけ、リリースが速いのである。

 また、その正しいシュートフォームがペイント内で体勢を崩しながらもシュートが入る所以である。

 基本に忠実という意味で、もうひとつ挙げられるのが、ドリブルの低さである。これは低ければ低いほど良いのであるが、リンのドリブルももの凄く低い。現役では最も低いのではないだろうか。これがペイント内でボールを奪われにくい最大の理由である事は言うまでもあるまい。これは簡単な事だと思うが、どういう訳か、NBAプレイヤーではこういう低いドリブルをする人は少ない。高い方が視野が広がるという利点はあるだろうし、NBAレベルだとボールハンドリングにはそれぞれ自身を持っているから、それをしないのかもしれない。

 この美しいシュートフォームと低いドリブルがリンの最大の武器だろう。

 また、このゲームではリンは13アシストを挙げているが、所謂パスセンスというのはあまり感じなかった。コートビジョンは平均的だと思う。

 さて、その将来性であるが、ここに書いたとおり、私はその第一印象ではかなり不安を感じたのであるが、この一月ばかりの活躍でしばらくプレイイングタイムは貰えるだろうから、このシュートフォームと低いドリブルという二つを武器に自分のスタイルを確立すれば、NBAでも十分やっていけると思う。

 また、先に挙げた「遅い」というのも、一面確かに弱点ではあるが、バスケットボールというゲームに於いては、それもひとつの武器になりうる。この一月ばかり、多くのNBAプレイヤーが彼を止められなかった最大の要因というのは、おそらくその遅さであったろう。また、アイビーリーグ出身という事で、その独特のリズムに、ほとんどが強豪カンファレンス出身のNBAプレイヤーは戸惑ったと思う。遅さや特殊なバックグラウンドというのは、NBA、特にPGというポジションでは強力な武器になる。その良い例が、ストックトンであり、トニー・パーカーであろう。

 また、「遅い」という事は即ち、運動能力の低さにもつながるだろうが、運動能力の低さは、このバスケットボールというスポーツに於いては、決して致命傷にならない。先に挙げたストックトンがその良い例であるし、マジックやバードなどはその見事な例であろう。

 つう訳で、がんばれ、ジェレミー・リン。でも、ニックスが勝ちにいくならば、健康体のバロン・デービスであろうが。さすがに、健康でさえあれば、全ての面に於いてリンを上回る。まあ、健康にはならんだろうが。つか、マイク・ビビーはどうした。

 でまあ、このゲームの感想は何も書いていないのであるが、実際たいして特筆すべきところの無い平凡なゲームだった。典型的なNBAのレギュラーシーズンのゲームである。マイク・ダンリービー、活躍しとったなあぐらいである。

 というか、このゲーム、私が一番驚いたのは、そのリンでもダンリービーでもなく、ドリュー・グッデンがまだ現役やってたってことに一番驚いたわ。

 まあ冷静に考えれば、30歳というその年齢からみても、現役をしていて当然至極なのであるが、私のイメージ的にはレブロンの前にキャブスでスターだった選手みたいな感じなので、二世代前くらいの時代の選手のイメージなのである。

 で、調べてみたら、グッデンがキャブス入りしたのは、レブロン入団以後の話なので、私の記憶は一体なんだったのかという事になる。まあ、どーでもいいんだけど。

 そのプレイスタイルは昔と当然全然変わっていなく、リバウンドではそれなりに強いが、得意でもないシュートをやたらに打ちたがり、チームに迷惑を掛けるという、さすが当代一のジャーニーマンといった仕上がりのプレイスタイルなのである。何しろキャリア10年で9チーム目というとんでもない経歴のプレイヤーなのである。いっそ全チーム制覇目指したれ。

 リバウンドとスクリーンに徹すれば、チームに欠かせぬ選手になれるのだろうが、大学時代の派手なイメージが忘れられず、どうしてもスーパースターになりたがる為、こういう間抜けな経歴が出来上がってしまったのだろう。大学時代だったら、これくらいの力で支配的な選手になれるだろうが、同じ事をNBAでしようとして失敗する典型的なパターンのプレイヤーではある。ちなみに全体4位、んでジャーニーマン。まあ生きてりゃいいか。

 ちなみにこの2002年のドラフト、今調べてみたのであるが、1位がヤオ・ミン、2位がジェイ・ウィリアムズ、3位が上記のダンリービー、5位がチチシビリという、ヤオはともかく、結構悲惨な年だったりする。21位には懐かしのクエンテル・ウッズの名前も見える。
 成功は、ヤオを除くと、7位のネネ、9位のアマレ、10位のカロン・バトラーあたり、そうして最大の当たりは2巡35位のカルロス・ブーザーであろう。2巡56位にはルイス・スコラの名も見える。ちなみにペイサーズは、ご自身で調べてくだされ。

 んで、その翌年の2003年ドラフトが大豊作であった事は、言うを待つまい。

                                                   2012/3/14(水)
2012年
4月
4月6日(金)
OKC@IND
98−103
 そういえば、フージャーズがスウィート16入りしましたね。ちと話題が古いけど。やっぱ、フージャーズが勝つとインディアナ州は盛り上がりますね。インディアナ州ナンバー1のチームは、コルツでもペーサーズでもなく、フージャーズだって事を再確認しますた。

 さて、ここに来て、イースタン・カンファレンス第3位のペーサーズではあるが、今回はウェスタン第1位のサンダーとの対戦でした。で、結果は完勝。内容的にも結果的にも大満足のゲームだったと思います。花も実もある勝利って奴でしょうか。これだけ、結果的にも内容的にも大満足のゲームっていうのは、近年珍しい。それこそ、ニックスとファイナルを争った時以来じゃないだろうか。

 ゲーム内容に触れる前に、まずは今回初お目見えのルー・アムンドソンについて。変な名前でハードワーカーで白人でドラフト外の苦労人で、とどめにちょんまげって、完全にキャラ作っているやん。めっちゃ人気欲しがってるやん。Tシャツ売る気満々やん。ノベルティー・グッズで生活する気満々やん。語尾に「ありんす」とか付けてそうやん。「今度はデフェンスでありんす。」とか、「リバウンド死守でありんす。」とか、めっちゃ言ってそうやん。

 実際、人気者らしいのであるが、ただ私の見たところ、もう一キャラ欲しい。ベタなところで入墨があるが、これはバードマンという先例があり、完パクになってしまう。髭は、ちょうど対戦相手のジェームズ・ハーデンが独占しており、今更新規参入は難しい、恥ずかしい。まあ、髭はカイゼル髭みたいなの、ダリみたいな髭にすれば、それも有りだろうが、そうなると、事実上、私生活を捨てる事になるので、なかなか難しいだろう。

 そこで色々思案してみたのであるが(ヒマだな、俺も。)、意外に眼鏡は有りじゃないだろうか。考えてみれば、カート・ランビス以降、ゴーグル・キャラはともかく、眼鏡キャラは絶えて久しいし、ここで眼鏡キャラを確立すれば独占できるのではないだろうか。それも、縁無しのスポーツ・タイプではなく、60年代教育ママみたいな黒縁メガネなら人気独占だろう。変な名前でハードワーカーで白人でドラフト外の苦労人で丁髷で黒縁メガネ、これはいける。これだけキャラ付けしておけば、人気投票8位以内は確実とみた。家政婦のミタ。あとは、変にツッコミキャラにならぬよう気を付けるだけだ。基本、無口路線で。

 アムンドソンのTシャツ売り上げ倍増計画は、それぐらいにして、ペーサーズの話に戻す。えっ、アムンドソンはペーサーズの話じゃないの。

 前回の記事以降、ひとつの大きなロースタームーブがあった。かつての田伏君のライバル(と、田伏君は勝手に思っていた。)バルボッサの加入と、永遠のバカ面ジェフ・フォスターの引退である。フォスターに関しては、フォスターの項目で書く予定です。

 一方、バルボッサであるが、彼は典型的な6thマンのスコアリングガードで、このゲームに限らず、ペーサーズ加入以降、常に良い働きをしているそうである。バード、グッジョブといったところか。
 んで、そのバルボッサの加入の煽りを食らっているという訳ではないが、先発PGのコリソンの立場が危うくなっているらしい。私も以前、上の記事で書いたが、ジョージ・ヒルを先発にして、バルボッサを6thマンみたいな案が出ているらしい。私もその意見には賛成である。このゲームでは決勝点を奪ったものの、コリソンは先発PGとしては、やはりもの足りぬ。スコアリングガードではあるが、かつてのギルバート・アリーナスやバロン・デービスのような得点力は無い。身長が低い事もあって、ディフェンスではキズになっているし。同タイプで、一回りからだの大きいバルボッサの方が6thマンとしても良いだろう。そうして、先発PGはジョージ・ヒルがベストだと思う。

 さて、そのジョージ・ヒルであるが、この試合では、この試合に限らず、今季のペーサーズの影のMVPっぽい。少なくとも、このゲームでは非常に良い働きをしていた。上の記事に書いたように、一プレイヤーとして、ヒルを高く評価している訳では無いのであるが、少なくとも、今のペーサーズにはがっつり嵌っている。ヒルがPGに入っている時が、チームとして最も安定している。
 上の記事にも書いたように、今のペーサーズはオフェンスは単純な1on1やツーメンゲーム頼みなので、PGのアシスト能力はさほど必要としていない。ディフェンスとボール運び、時折3ポイントみたいなのが主な仕事なので、ヒルの特徴というか、能力、すなわち安定したゲームメイク能力が最も発揮される。ヒルのPGが今のペーサーズにはベストだと思う。

 しかし、スパーズからペーサーズというそのキャリア、なんか本当コテコテだのう。花のまるで無い、実しか無いキャリアである。

 また、このゲーム、他に目立った選手と云えば、ポール・ジョージが挙げられるだろうが、ことディフェンスに関する限り、もはや若手ナンバー1といってよいかも知れぬ。新ティーション・プリンスといったところか。ただ、どういう訳か、あんまりシュートを打たないんだよなあ。そのディフェンスの動きからいっても、オフェンス力も相当ありそうなのであるが、あんまりシュートに興味が無いのか。グレンジャーに遠慮しているのか。チームのスキームなのか。不思議だ。個人的には、ポール・ジョージにはもっとシュートを打って欲しいと思う。一試合平均12点の選手では無い。

 ペーサーズに関しては、こんなところか、この調子でプレイオフでも暴れて欲しいと思う。なかなか厳しいだろうが。

 一方、サンダーについても、ちょいと。フィッシャー獲得で、いよいよファイナル制覇が見えたかと噂されているサンダーであるが、ファイナル制覇のためには、さすがに背が低すぎると思う。特に、フィッシャー、ウェストブルック、ハーデンを同時にコートに入れて、所謂スモールパッケージにしちゃうと、今回のペーサーズのような長身チームには非常に苦労すると思う。それが、このゲームの大きな敗因である。デュラントも身長的にはともかく、プレイスタイル的にはガードなので、事実上4ガードみたいな状態になってしまう。それだと、さすがにプレイオフを勝ち進むのは、なかなか厳しいのではないだろうか。つっても、今のサンダーに何が必要かと問われても答えに窮するのであるが。

 んなとこか。あと、レジさん、殿堂入り、当然。

                                                    2012/4/14(土)

1/2/3