インディアナポリス研究会ペーサーズ局
歴史

戦評 '08-'09シーズン

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2012年
6月
ファイナル感想  という訳で、ヒートの4勝1敗で終了した今季のファイナルであるが、私の正直な感想は、「ホッとした。」である。もとより、レブロンの初優勝を願っていた訳ではない。むしろ、「優勝しちまったか、ちっ。」ぐらいの心持であるが、それより、ここで、サンダーに優勝されてしまうと、私が長年、つうほどの事でもないが、前回の記事にも書いたとおり、NBAに関する持論が大きく覆されてしまうからである。

 いわく「NBAはおっさんの優勝するリーグである。」、いわく「NBAはSF中心のオフェンスでは勝てない。」、である。レブロンも単純な区分ではポジション的にはSFであろうが、今回のファイナルではPFに入ることの方が多かったし、SGのウェイドこそがヒートのオフェンスのの真の中心という見方も出来るので、今季のヒートがサンダーほどSFをオフェンスの中心に据えてはいなかったろうと思われる。

 また、ヒート移籍以降のレブロンの働きぶりは、ジョーダンのそれというよりは、むしろピッペンのそれに近いと言った方が良いと思う。レブロンがNBA入りした当初、よく言われ、また私も同じく思っていた、一ランク・グレードアップしたピペンというのが、レブロン本来のプレイスタイルであり、それを最大限に活かしきるチームが今のヒートのチーム構成と言って良いだろう。
 つまり、レブロンがピペンであり、ウェイドがジョーダン、ハスレムがグラントないしロッドマン、ミラーがパクソンないしカー、チャーマースがアームストロングであり、ボッシュがカートライトないしロングリー、てな感じであろう。あれっ、ブシュラーは。バティエじゃないし。バティエは、どっちかつうとハーパーか、いやランディ・ブラウン、クーコッチじゃないし。

 まあ、その辺の細かい点はともかくとして、今回のヒートがジョーダン在籍時のブルズと似たようなチーム構成での優勝だったとは言えると思う。
 まあ、しかし、この世で一番大嫌いなジョーダンのようなチームでパット・ライリーが優勝を果たすとは何とも皮肉な話である。

 さて、これで名実ともに殿堂入りが確実になったレブロンであるが、とりあえず良かったんじゃないですかね。今プレイオフはペイサーズやサンダーといった、自分より若いチームとの対戦したり、セルツに追い詰められたり、危機的状況は何度もあったが、そこから、まさしく獅子奮迅、鬼気迫る活躍でタイトルを手にしたという事で、自信にもなったんじゃないかな。年齢的にも良い頃であるし、これから3年くらいは天下が続くでしょう。つうか、続けなきゃいかん。入団時、つうか入団以前からの騒がれ方からいったら、それくらいしないと元が取れん。カール・マローンやゲイリー・ペイトンのような、晩年、優勝を求めてチームをさまよい歩くつう選手で終わっちゃいかん。それでなくとも、ヒート移籍で信じられないくらい株を落としているわけだし。ピペンっぽいスタイルでも良いから、優勝し続けるべきだろう。

 さて、そのレブロンを追う一番手というか、もはやレブロンと同等との評価もあるデュラントであるが、私は個人的にはこのデュラントを取りたい。ただし、同じSFとはいえ、こちらは、オールラウンダー型のレブロンと違って、完全にスコアラータイプのSFであるから、レブロン以上に苦労すると思う。シャック・クラスの大物C/PFを相棒にして、自身はSGに転向するくらいのチーム構成でなければ、なかなか優勝までは手が届かないと思う。今回のファイナル進出も、どっちかつうと、サンダーが勝ったというよりはスパーズがこけたという印象だし。かなりのチーム改造が必要になってくると思う。髭やウェストブルックを駒に大仕掛けが必要であるだろう。

 そうはいっても、個人的な好みは、やはりデュラントである。あの美しいジャンプシュートを見るだけでも、金を払う価値があると思う。
 さて、今回のヒート優勝で、バティエとミラーという元グリズリーズ・コンビがチャンピオン・リングを獲得した訳であるが、彼等のグリズリーズ在籍時のチームメイトには、ガソル、ジェームズ・ポージー、ジェイソン・ウィリアムズ(PGの方)といった優勝経験者がいる。そのほか、これは優勝経験者ではないが、ボー・アウトローもいた。
 こう考えると、当時のグリズリーズは結構豪華なチーム構成だった事が分かる。ただ惜しむらくは、彼等が皆典型的な脇役タイプであり、大エースではなかったという点であろう。大エースを得て、光るタイプばかりだったという点である。当時のグリズリーズに、例えば全盛期のマックグレイディなどが加わっていたら、グリズリーズ優勝の目もあったかも知れぬ。おんなじ様な事は、大概のチームにも云えるであろうが。只今のペイサーズも、そうしたチームのひとつであろう。「NBAはスーパースターがいなければ勝てない。NFLはスーパースターがいても勝てない。」、蓋し名言である。

 初優勝といえば、ジュワン・ハワードも、これで遂に全米制覇である。ファブ・ファイブ時代、目と鼻の先にあった優勝を失って以来およそ20年(別にウェイバーを責めている訳ではない。)、遂に全米制覇である。ハワード当人がどう思っているかは分からぬが、私には何だか感慨深いものがある。ウェイバーもローズも結局優勝できなったことを思えば、ますます感慨深い。ウェーバーに至ってはファイナル進出すらない。そうかと思えば、ロバート・オーリーみたいに簡単に優勝しちゃう奴もいるし。人生って不思議なもんですな。

 まあ、しかし、改めて見ても、バティエはコーチKの傑作やね。

                                                 2012/6/25(月)
2012年
7月
オフシーズン色々  本当はドラフト終了後に「ドラフト雑感」みたいな形で書こうと思っていたのであるが、ヒバートの契約問題の結論が出てから、まとめて書こうと思って、ちょっち時期遅れになってしまった。

 まずは2012ペイサーズドラフトから。

 1巡26位 マイルズ・プランリー C/PF デューク大

 7−0ないし6−10と表記が分かれているが、とにかくデカイC/PFである。プレイスタイル的にはガッツとリバウンドで勝負するタイプのようである。一方でオフェンス力はイマイチだそうである。
 そんな選手を1巡で指名する価値があるのかという声もあるようであるが、26位なんていうのは、そんなもんでしょ。

 つう訳で、プレイスタイル的にはともかく、ポジション的にはハンスブローとドド被りであり、早速ハンスブローにトレードの噂が上がっている。もう一年くらい様子を見てもよいと思うが、今まで位の出来だと、カレッジのスーパースターからジャーニーマンという、よくあるパターンに嵌ってしまいそうである。とりあえず、来季はデューク対北カロライナのライバル対決番外編に勝たねばなるまい。今季の夏合宿は桜木軍団&晴子さんを連れてシュート2000万本がノルマだ。


 2巡36位 オーランド・ジョンソン SF カルフォルニア大学サンタ・バーバラ校

 トレードしてから指名したのか、指名してからトレードしたのかはよく分からんが、とにかく2巡36位でSFを指名。そこそこの運動能力とそこそこのテクニックを併せ持った、よくあるタイプのSFである。ほんと、こういうの好きだな、バードは。
 という訳で、その煽りつう訳でもないが、似たようなタイプのダンテ・ジョーンズがトレード。好きな選手であったので、ちと残念であるが、似たようなタイプの多い、SF過多の今のペイサーズでは出番が少ないので致し方なかろう。


 とりあえず、これでドラフト話は終わりにするが、2012ドラフトの感想をひとつだけ。全体1位のアンソニー・デービスって、どんな選手かは用句分からんが、とりあえず活躍しそうな名前ではある。よくある名前だけど、なんかやりそうな名前だ。同じく名前だけ診断をすると、ファブ・メロはブルームorバストって感じだ。

 さて、ドラフト話はそれくらいにして、待望のヒバートの契約問題であるが、4年58ミリオンのマックス契約でケリが付いたようである。
 契約問題と書いたけれども、残留は、コルツのラック指名と同じくらいの鉄板、規定路線であったので、特にどって事は無い。

 ヒバートに関しては、シーズン中の記事にも書いたとおり、もはや何も云う事は無い。あとは怪我をしない事を祈るばかりである。

 んで、同じくRFAだったジョージ・ヒルとも再契約。これでキャップヒット的にも正PGの座を射止めたようである。ジモティとしては最高の瞬間であろう。
 その煽りつう訳でもないが、ダレン・コリソンはトレード。上記のダンテとともに控えセンター、イアン・マヒンミの獲得に使われてしもうた。まあ、バルボッサがいる以上、控えPGの座も奪われてしまったので、これも致し方なしか。しかし、この手の小型スコアリング・ガードつうのが、NBAで生きていくのはなかなか厳しいのお〜。

 そのほか、今オフのトランザクションとしては、例によって例の如く、エリック・ゴードンやO.J.メイヨといったバリバリのスコアラー獲得を画策しているらしいが、上手くいきますかねえ。シーズン中の記事にも何度も書いたように、グランジャーを使って、彼等のようなプレイヤーを何としても獲得して欲しいと私は思っているのであるが、どうも無類のSF好きのバードが乗り気じゃないみたい。

 さて、話が変わるって訳でもないが、新CBAのマックス契約って4年58ミリオンなのね。一昔前のマックスと云えば、7年150ミリオンみたいなイメージ(あくまでイメージ)があったが、今は最長4年なのね。
 まあ、金額はともかく、契約期間が5年以下になったのは良いことだと思う。大型はともかく、長期契約でプレイヤー・チーム双方にとって良い結果の出た契約なんていうのは記憶に無い。逆に悲惨な結末を迎えた契約というのは枚挙に暇が無い。ピペンのは、その最悪の事例のひとつだし、ヒルやペニー・ハーダウェイ、MLBのAロッドもその一例だろうし、ガーネットの契約も、とても成功とはいえまい。日本人絡みでいえば、松坂などもその一例か。

 かつて、ベリチックが「チームというのは、最近はFAやサラリーキャップがあるので、5年くらいで変わってしまう。それを念頭に置いて、チーム作りをせねばならぬ。」と述べていたが、これは全くその通りだと思う。プレイヤーの能力や価値、チーム状況、更には経済状況といったものが、5年間まるで変わらないなんて事はほとんど奇跡であろう。6年以上の契約というのは、チーム・プレイヤー双方にとってマイナスでしかないと思う。そういえば、マジック・ジョンソンはレイカーズと40年契約を結んでいるという噂を聞いた事があるけど。それって本当。

 さて、また話が変わる訳でもないが、私はこれまで、あちこちで「あんなトレードをしたい、こんなトレードをしたい。」と宣っているが、CBAの細かい契約ルールは全然知りません。そんなものは完全に無視して話してますので、「そんなトレード、成立しねーよ。」とか突っ込まないよーに。そんなもの念頭に置いて妄想できっかっての。道徳、念頭に置いて、オナニー出来かってっの。ゲスな喩えで、すんません。

 まあ実際問題、NFLはともかく、NBAの契約ルールを完全に把握している人は、この世にほとんどいないと思う。まして、その契約ルールと全選手の契約状況、ステータスを完全に把握している人なんて、この世に2人くらいしかいないと思う。しかも、それはNBAの担当者。2人かどうか走らんけど。各チームの担当者でも、自チームのことはともかく、他チームのプレイヤーについてまでは完全には把握していないだろう。実際、トレード差し戻しなんて事もある訳だし。

 またまた話は変わるが、ブランドン・ロイがミネソタで復帰らしい。これは泣ける。スポーツで涙を流すなんていうのは、私は基本的に馬鹿げた事だと考えているのであるが、これでロイの両膝が完治していて、普通にプレイできるようになっていたら、ブレイザーズファンは泣いてよし。逝ってよし。いや、逝っちゃ駄目だ。

                                                 2012/7/16(月)
2012年
8月
オリンピック
決勝
8月12日
USAvsESP
107−100
 まあ、これは厳密に言うとNBAの記事では無いだろうが、このゲームを見て多少思うところもあったので、ここに付け足しておく。

 マスコミ等にもかなり批判されているようだが、今回のアメリカチームはほとんどが2番3番のプレイヤーで、CどころかPFすらほとんどいないチーム構成だった。
 んで、インサイドに、イバカ&ガソール兄弟をそろえたイスパ〜ニャに苦戦した訳であるが、その点について、多くのマスコミ同様、コーチKを批判する心算は無い。
 この手のチームの場合は、どうしてもバスケットボール以外の諸事情が大きくモノを謂うので、理想的なチーム作りが出来ないのは致し方ないと思う。そういう中で、金メダルという結果を出したのだから、やはりコーチKは素晴らしい、まさしく現在最高のコーチだと思う。多くのプレイヤーに慕われる訳である。他のコーチだったら、こういう結果は引き寄せられなかったかもしれない。事実、アテネでは負けた訳だし。

 一方、スペイン側から見れば、インサイドでは制圧していたにも拘らず、結局は負けたというのは、やはりガード陣の得点力不足ということに尽きると思う。
 ナバーロ、フェルナンデスともに、NBAでイマイチ活躍できていない、あるいは出来なかったのは、外国人特有の難しさもあるだるが、結局はそのスコアリング能力不足という点だと思う。

 両者ともに、ボールハンドリングやパッシング能力は確かに素晴らしいが、スコアリング能力が決定的に欠けていると思う。どんなに他の能力が優れていても、これが無いとNBAではやっていけない。クリス・ポールやナッシュでも彼等以上の得点能力がある。ジェイソン・キッドですら、ルーキー時代はJが無いと批判されていたものである。

 対戦相手のアメリカがスコアリング・バカみたいなのばかりだったのとは、あまりに対照的であり、皮肉なマッチアップだったと思う。

 ヨーロッパのバスケットボールが如何なる調子で行われているのかは、皆目分からないのであるが、ガード陣の得点能力は総じて低い。ガソルやノイツキーといったインサイド・プレイヤーがNBAでも軒並み成功しているのに比して、このナバーロやフェルナンデスといったガード陣がイマイチ結果を残せていないのは、これが理由だと思う。同じ事は、田臥君にも言えた。まあ、トニー・パーカーみたいなのもいるけど。

 もちろん、彼等とて、ヨーロッパではトップレベルのプレイヤーなのであるから、優秀な得点能力はあるだろうが、レブロンやデュラント、コービーのようなドライブ良し、ジャンプシュート良しのような縦横無尽な得点能力は無い。あくまでチームプレイが決まった時にシュートが決まるという印象である。
 この辺は、ストリートでバスケットボールを覚えていくアメリカ人と、クラブチームでバスケットボールを学ぶヨーロッパ人の違いとも言えるかもしれない。

                                                 2012/8/13(月)

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