インディアナポリス研究会ペーサーズ局
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戦評 '08-'09シーズン

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1/2/3

2012年
5月
プレイオフ開催中  言わされてんな、ワールドピース。この時こそ、アナウンサーの悲哀を感じたことは無い。放送局側が決めた言葉は必ず使わなければならないのな。「ワールドピース、今のはいいリバウンドです。」。で、解説の人も普通に受け答えてやんの。ノーツッコミね。「いや〜、今のリバウンドはチームを救いましたね。」とか。でも、極力、ワールドピースって言わないようにしてやんの。

 という訳で、すっかり始まってしまったNBAプレイオフです。ホントは、プレイオフ直前に、予想やら展望やらを書きたかったのであるが、NFLドラフトがある為に、ずれ込んじゃった。毎年の事だけどな。NBAはスケジュールをずらせば良い様に思うのだが。NFLに押し出されるような形になるのは癪か。

 でまあ、ペイサーズのゲームがTV放送されたら、その観戦記を書きつつ、プレイオフ予想&展望をしてみたいと、機会をうかがっておったのだが、これがまた全然放送しないのな。ペーサーズって、そんな不人気チームだったけ。90年代は、しょっちゅう放送されていた印象があるのだが。やっぱヒップホップ的なスターがいないのが痛いか。90年代は、曲がりなりにもレジー・ミラーちゅう大スターがおったしな。

 更に、NBAの放映権はいつのまにやらWOWOWに移っているし。NBAを見るためだけに月額2415円払うというのもなあ。まあ、ランジェリー・フットボールに惹かれるものも無くは無いが。WOWOWに2415円払うのだったら、東映チャンネル見た方がお得だわな。

 つう訳で、全然ゲームを見ていないけど、今季のペイサーズの総評とプレイオフの展望&予想をしてみたいと思います。

 今季のペーサーズはレギュラーシーズン、イースタン3位という結果で終わったわけであるが、まあ順当と言えば順当な結果だろう。ハワードが万全な状態ならば、マジックの後塵を拝したろうが、ハワード抜きなら、イースタン3位、すなわち、ヒート、ブルズに次ぐチームであると思う。ハワードがいれば、マジックについで実力4番手といったところであろう。
 問題はここから先に如何に進むかという事なのであるが、現状ではなかなか厳しいだろうと見る。私が思う、ここから先に進む唯一の手段はグレンジャーを使って、一試合平均30点近くが見込めるバリバリのスコアラーのSGを獲得し、ポール・ジョージをSFに転向、エースキラーにさせる事だろうが、同じ事をバードが考えているかどうか。そのバリバリのスコアラーは誰と問われても困るのであるが。候補が分からん。

 現状のチーム構成のままだと、いくらチーム的プレイヤー的にレベルアップしてもこの辺が限界だと思う。プレイオフ2回戦ないしカンファレンス・ファイナル程度である。

 まあ、今後のペイサーズ話はひとまず置いといて、とりあえず今季であるが、現時点でファーストラウンドは3勝1敗なので、何か事件残らぬ限り、ファーストラウンド突破は堅いと思う。つうか堅い。で、問題の2回戦のヒート戦だが、さすがにここは厳しいか。レブロンも必死だし。下手すっとスイープもありえる。ローズの怪我を手放しで喜びたくは無いが、反対側の山だったら、カンファレンス・ファイナルも見えていただろう。ちっ。ローズに関しては、ブランドン・ロイのような悲しい結末にならぬよう、手術とリハビリの成功を祈っています。

 という訳で、東は、順当にヒートが勝ち進むだろうが、西は、やはりスパーズか。2回戦のレイカーズvsサンダー(予定)は見物であるが、私は勢いのサンダーを取る。レイカーズは、ここにきてオドム放出が響くと見た。んで、サンダーvsスパーズのカンファレンス決勝となる訳であるが、若さが加齢臭の前に敗れ去るというNBAあるあるの結末になると見る。
 で、ファイナルはスパーズvsヒートという見たことあるような無いようなカードになる訳であるが、良い勝負になると思うが、最後はスパーズに軍配か。レブロン残念また来年という、またもやNBAあるあるの結末で終わると見る。ヒートも年齢的にも、もちろん実力的にも、優勝しても全然おかしくないのであるが、今のスパーズを破るのはなかなか困難であろう。ボリス・ディアウとか、補強がイヤらし過ぎる。クラスの女子から総好かんだわ。即、ゲスリング部入りだわ。

                                                   2012/5/9(水)
5月17日
カンファレンス
セミ・ファイナル
第3戦
MIA@IND
75−94
 さて、対戦成績を1勝1敗にし、ホームに戻っての第3戦であるが、会場は黄色一色、15年近く前、ブルズやニックスとの抗争以来のテンションである。このゲームで見せた、グレンジャーとレブロンとの小競り合いに、ミラーとジョーダンとの鍔競り合いを重ねたオールドファンも多いだろう。で、試合は快勝。

 その観戦レポートの前に、ニュースをひとつ。このゲームのティップオフ前に、その表彰が行われたのであるが、我等がラリー・バードが今季のエグゼクティブ・オブ・ザ・イヤーを受賞した。これにて、バードは、プレイヤーとして、HCとして、そうして今回のGMとして、それぞれMVP的なものを受賞。スポーツ・オーガニゼーションの四部門のうち三つを(残り一つはオーナー職。)バードは制した訳である。この三冠は、当然の事ながら史上初だそうである。

 確かに、この謂わば三冠王は、ちょっと記憶に無い。アメリカの他の四大スポーツに目を転じても、NHLの事はよく分からないのであるが、NFLやMLBでもちょっと記憶に無い。それらを含めても史上初なのではないだろうか。また、アメリカのスポーツ以外に視野を広げても、同じく記憶に無い。バルセロナやアヤックスでGMっぽい事をしているヨハン・クライフぐらいか。まあ、半分名誉職ぐらい、アドバイザーぐらいだから、所謂GMの職務内容とはだいぶ違うかもしれないけれど。
 あと、日本プロ野球界では、野村克也がGM的な仕事に就けば、結果を残したかもしれないけれど、あくまで仮定の話でしかない。

 HCとGMは職務内容が似ているので、両方で成功というのは、探せば色々あるかもしれない。パッと思いつくままに挙げても、今のペイサーズの対戦相手であるパット・ライリーやアル・デービスなどがいる。
 ただ、この三冠王で、最も難しいのは、意外に聞こえるかもしれないが、プレイヤーとしてのMVPであろう。優勝チームの一員であり、優勝HCや優勝GMというのは有り得るだろうが、リーグMVPクラスの実力者で、HCやGMとしても成功するというのは、なかなか難しいのではないだろうか。バードの永遠のライバル、マジックはHCとしてはしおしおだったし、ジョーダンは只今GMっぽいオーナーを務めているけれども、結果は芳しくない。将来的にはともかく、現時点では関係筋に疑問符を打たれているようである。まあ、これは技術的内容的な問題というよりは、専ら確率的な問題であろうが。

 さて、そのバードであるが、今季限りで退任かという報道もある。HCを辞めた時の経緯もあるので、単なる噂とも思えないが、私のみならず、ペーサーズファン全員の意見だろうと思うが、バードにはこのままGM、つうか社長職を続けて欲しい。個人的にも、今のペイサーズのような、高さと技術を武器にしたチームは大好きである。

 その高さの象徴であり、このゲームのMVPとも言ってよいヒバートであるが、このプレイオフでの活躍でもはやリーグナンバー2のセンターの地位を不動のものにしたと言ってよいだろう。バイナムやホーフォードあたりがライバルか。同期のライバル、オデンとの争いはこれで完全決着である。いや、ほんとオデン獲らないで良かった。まあ、獲れる位置にはいなかったけど。オデンの最大の失敗はオハイオ・ステイトに行った事だな、いやマジで。その故郷のペーサーズでヒバートがミラー以来のフランチャイズ・プレイヤー(まあ、オニールもいるけど。)の地位を確立するとは、何たる皮肉。

 ヒバートに関しては、もはや何も言う事は無い。いまやペイサーズの至宝である。ルーキーイヤーから分かっていた事であるが、如何なる理由があれ、残留させねばならない選手である。
 私はかつて何処かで、ヒバートはペイント内のオフェンステクニックを身に付けて欲しい、みたいな事を書いたが、それは撤回する。このまま、リバウンドとディフェンスに特化したセンターとしてキャリアを全うする方が良いだろう。特殊なムーブを身に付けて、膝を壊しては元も子もない。それこそ、オラジュワンやオデンの二の舞である。ビル・ラッセルやロバート・パリッシュ路線を進むべきだろう。で、オフェンス型のPFを相棒にすれば良い。そんなのは、いくらでもいる。

 そのヒバートの現時点での相棒、ディビット・ウェストであるが、これも今季文句なしの活躍。単なるペリメーター・シューターかと思っていたが、確かにミドルジャンパーも上手いのであるが、この選手のもうひとつの長所はペイント内での場所取り、スクリーンアウトの上手さである。印象的なリバウンドが多いのは、それが理由であろう。技術と高さを兼ねた、いかにも今のペイサーズらしい選手である。
 今シーズンのFA加入選手、それも大物なので、長期契約かと思っていたら、意外にも2年契約20ミリオン、膝の故障からのリハビリ期間中と看做されて、こういう契約に至ったらしい。ヒバートの長期大型契約を控えているので、今後ペイサーであるかは不明であるが、残せるものなら残したい選手ではある。諸々の要件を考えると、難しそうではあるが。

 この両名の他に、活躍が目立ったというか、存在感を示した選手はジョージ・ヒルであろう。まあ、以前にも似たような事を書いたが、はっきり言って、PGとしては平凡、せいぜい平均よりやや上、アボーブ・アベレージ・プレイヤーであろうが、今のペイサーズには、気持ち悪いくらいピッタリフィットしている。ゴム入りズボンを穿いたような心持である。良いか悪いかは兎も角として。まあ、良いんだけど、勿論。コリソンやバルボッサは歯痒いだろうが、今のペイサーズのPGは彼しかいない。
 あと、地元での人気面は想像以上である。そんなに高校時代、凄かったのかしら。まあ、メンツがメンツなので、印象的な世代だったのだろうけど。それにしても、あ〜あ、オデン。

 とまあ、ここでは、このゲームで活躍した3名をピックアップしてみたが、彼等以外のメンバーも充実している。ラリー・ブラウン時代、バード時代と比べても、遜色ない、ある意味それ以上のチームかと思われる。ディフェンスだけを見ても、メンツが違うので一概に比較は出来ないが、カーライル時代以上だろう。今のペイサーズは強い。

 スペシャルなプレイヤー、スーパースター抜きで、ここまでのチームを作ったのだから、ラリー・バードは内心自信作であろう。傑作と言ってよい。フープズハイプでチームサラリーを調べてみたら、何と全体24位である。今、プレイオフに残っているチームでは、勿論最下位。次点は20位のサンダーである。ちなみにプレイオフに残ったチームで括ると、ペイサーズの下に26位のナゲッツ、27位のジャズがある。更にちなみに、これらのチームに挟まれた25位は、哀れジョーダン、ボブキャッツである。
 まあ、キャップヒットというのは、様々な諸事情があるので、これらは単なる新聞記事的な目安でしかないけれど、単純計算では非常にコストパフォーマンスの良いチームをバードは作り上げた事になる。

 さて、その強い今のペイサーズに欠けるものは何かと言うと、私の考えるバスケットボール三大要素の最後のひとつ、経験のみになる。これが無いので、プレイオフ2回戦敗退を私は予想した訳であるが、その考えは、この2勝1敗の現時点でも変わりは無い。
 ただ、今のペイサーズが、これから向こう5年間、選手全員維持は難しいにせよ、この路線を維持し、どこかのタイミングでグレンジャーを放出し、バリバリのスコアラーSGを獲得できたなら、ヒバートが30歳前後を迎える頃に、それこそリーグ3連覇をしても可笑しくないくらいのチーム構成になっていよう。グレンジャー維持でも、ファイナル進出とかリーグ優勝とか、いいところには行ける筈である。そういった意味でも、バードにはこれからもGMっぽい事をし続けて欲しい。間違っても、アイザイア・トーマスに職を奪われないように。

 あと、ペーサーズ話を最後にもうひとつ。ハンスブローがイマイチ寂しい。北カロライナ大学時代、数々のレコードを塗り替えた事を考慮すると、もうちっとやれても良さそうである。特にシュートがイマイチの感がある。前任者、つっても随分前の話だけど、クローシアに比較してもイマイチである。まあ、PTが増えれば変わってくるのかもしれないが。

 さて、話を今度は対戦相手のヒート、つうかレブロンに移す。

 今、記事にも書いたように、ペーサーズは確かに強い。とはいうものの、ここでペイサーズに負けたら、それでなくてもガタ落ちのレブロンの株がまた落ちてしまうだろう。リーグMVP3度なのでホール・オブ・フェイムは間違いないだろうが、それでも評価はガタ落ちである。まあ、確かに上にも書いたように、今のペイサーズは強いけれども、そういうチームを個人の力でねじ伏せてきたのが、過去のスーパースターである。ジョーダンはもとより、マジック然り、バード然り、バークリー然り、シャック然り、コービー然りである。強いとはいえ、マスコミ受けするようなスーパースターのいない今のペイサーズに敗れ去るようでは、レブロン伝説終了である。そこまでは行かなくとも、ヒート解体ぐらいはあるかも知れぬ。

 という訳で、残り4戦、ヒート、つうかレブロンは必死に勝ちに来るだろうが、危ういのも事実ではある。特に、ハスレムの不出場は痛い。不調なのか怪我なのか、理由は良く分からぬが、ハスレム不在が今のヒートの苦戦の最大の要因である。今のヒートは、ハスレムがかつてのグラントのように、ウェイドがジョーダンのように、レブロンがピッペンのように働いて、初めて力を発揮するチームなのであるから、その一角ハスレム不在は、ちょうどロッドマン加入直前のブルズのような状態になってしまう。

 また、しつこいようであるが、レブロンのポジションがSFであるというのも、ヒートというか、レブロン自身に付いて回る永遠の課題であろう。レブロンが、割り切って、ピッペンのような役回りに徹すれば、楽々チャンピオンリングを手に入れられる、乃至入れていたであろうが、実際問題それは不可能だろう。あくまで自身がオフェンスの中心として優勝せねばならない。そう考えると、ジョーダンの相棒が、PGでもPFでもCでもなく、SFのピッペンだったというのは意味深な事実ではある。SGとSFとは丁度裏表の関係、相互補完的な関係にあるのだろう。

 実際、今のヒートが優勝する為の最短の近道はレブロンをドワイト・ハワードとトレードする事だと思う。そうして、C:ハワード、PF:ハスレム、SF:バティエ、SG:ウェイド、PG:チャーマースの布陣にするのである。更には、いっそボッシュもくつっけてトレードし、代わりにターコグルーを得る。すなわち、レブロン+ボッシュ⇔ハワード+ターコグルーのトレードを強行し、ターコグルーを6thマン的に使えば、それこそ3連覇も夢では無い布陣が完成する。やってみっか。

                                                   2012/5/20(日)
5月22日
カンファレンス
セミ・ファイナル
第5戦
IND@MIA
83−115
 ま〜負けちゃいましたね。この記事の表題は、一応第5戦になっているが、この記事を書いている時点でペイサーズは2勝4敗でカンファレンス・セミ・ファイナル敗退は決定しているので、この記事そのものは、シリーズ全体の感想である。もっとも、映像を見たのは、この第5戦と上の記事の第2戦だけだけど。

 2勝1敗になった時点で、もしかしたら事件が起こるかなと思わないことも無かったのであるが、さすがに甘かったか。第4戦は、ハスレムのPTも増やし、レブロン、ウェイドも必死だったようなので、この結果も致し方あるまい。ただまあ、この第4戦はホームであった事も考え合わせれば、何が何でも取っておきたかった所であろう。ここを取って3勝1敗で残り3つだったら、事件がおきたかも知れぬ。もっとも、そう思うからこそ、ヒートもこの第4戦を必死に取りにきて、取ったのだけれど。

 ちなみに、ちょっと話は逸れるが、このような7戦シリーズでは、NBAに限らず、MLBやプロ野球等々も含めて、私は比較的第4戦重視主義である。どちらかが3連勝しての第4戦ではほとんど意味は無いだろうが、第4戦というのは、大概、丁度このINDvsMIAのシリーズのように、どちらかの2勝1敗で迎えるケースが多いので、ここを取る取らないが、シリーズを決する大きな要素になると思っている。第4戦終了時点で3勝1敗と2勝2敗、あるいは1勝3敗では、残り3戦を戦う上で、勢いという点では非常に大きな差が出る。

 もちろん、この手の第何戦重視主義というのは、よく考えたら、あまり意味は無いのだろうが、私の経験上、第4戦は結構ターニング・ポイントになることが多い。実際、今プレイオフでも、PHIvsBOS以外は、いずれも第4戦を取ったチームがシリーズを制している。MIAvsNYNはMIAの3−0での第4戦なので対象外である。第4戦は割に重要であると思う。

 ちなみに、このPHIvsBOSは、黒白が綺麗に交互に並ぶ、すなわち連勝が無いという意味で、非常に珍しいシリーズだったのではないだろうか。NBAのみならず、プロ野球やMLBでもあまり記憶が無い。私の知っている唯一の事例は、1973年のパ・リーグ・プレイオフ、阪急vs南海、すなわち野村の「死んだふり作戦」で有名なシリーズのみである。ただし、これは5戦シリーズだったので、今回のような7戦シリーズでは、私は初めての経験である。過去に事例はあるのかしら。

 さて、話をペイサーズに戻すが、つっても、あまり話す事は無い。この第5戦を見た限りでは、ファースト・ブレイクや3ポイントで失敗を重ねた事が、表面的には大きな敗因であろうが、実質的には完敗である。上の記事も書いたように、今のペイサーズは、経験という一点を除けば、チームとしてはほぼ完成体であろうが、そういうチームが圧倒的な個人技の前に敗れ去るというのが、NBAというリーグの特性である。これが、バスケットボールというゲームの特性なのかはよく分からない。ただまあ、1チーム5人という点から考えると、1チーム11人でプレイするフットボールやサッカーに比べ、圧倒的な個人をチームで封じる事が難しいのは事実であろう。私の知っている唯一の事例と云えば、シャックをCやPF5人がかりで封じ込めた2004年のピストンズくらいである。もっとも、この5人はいずれもオールスター・クラスであったから、一概にチームで封じ込んだとも言えないであろうが。

 つう訳で、今季のペイサーズに対しては、もはや何も言う事は無い。よくやったとまでは言えないが、シーズン前の目標はきっちり達成したといって良いであろう。強いて言えば、このヒートとのプレイオフ、もうひとつぐらいは勝っておきたかったかなというぐらいか。まあでも、ノルマの2勝は達成できたのだから、イースタン・カンファレンス第3位の責任は果たしたと思う。
 あとまあ、これは実力とは全く関係ないが、ローズが負傷したことを考え合わせれば、シーズンは第4位で終了し、隣の山にいたかったというのはある。さすれば、カンファレス・ファイナルには、記録上は進めたであろう。まあ、そこでヒートに対峙して同じ結果になっていたであろうが。

 さて、そこで、来季のペーサーズの話になるが、とりあえず、戦力的なアップは望めないし、また、有り得ないであろう。現状が、バードの望むほぼ理想のチームだと思う。だからこそ、辞任をほのめかせているのである。もちろん、契約問題的な、サラリーキャップ的なロスーター異動はあるだろうが、純然たるバスケットボール的な意味でのロースター変動は考えづらい。
 私は、個人的には、再三再四述べている通り、グレンジャーを使って、バリバリのスコアラーSGを取ってきて欲しいのであるが、それは恐らく、バードの頭には無い。彼の頭の中にあるのは、それこそ全盛期のセルティックスのようなチームであろう。しかし、あのチームは、オフ・ガードがシューティング・ガードに、それこそ進化する直前のチームであるので、現行のような3ポイントというルールのあるバスケットボールでは、いかにも古く、現状が限界であると思う。

 という訳で、バードがGMっぽい職にある限りは、今のような状態が続くであろうし、それを変える時はバードの首を切る時になるので、となるとチームは解体してしまうので、結局元の木阿弥である。つうような事をつらつら考えると、今のペイサーズは結構袋小路に陥っているのかも知れぬ。

 最後にペイサーズ話をもうひとつ。それは上の記事にも書いたハンスブローである。この5戦でも、彼の動きをじっくり観察してみたのであるが、やはりオフェンスが物足りぬ。特に、ジャンプシュートのリズムが悪いのが物凄く気になる。あのジャンプシュートを見ていると、オフェンス力の改善は無いのかもしれぬと思った。

 ペイサーズ話はこれくらいにして、レイカーズ話をちょいと。レイカーズは今プレイオフ、サンダーに1勝4敗で敗退してしまった訳であるが、その敗退自体に驚きは無い。フィル・ジャクソンがいないのが何より痛いは周知の事実であろうが、更にもうひとつにはオドムの離脱が本当に痛いと思う。というか、痛かったと思う。
 オドムという選手は、そのルーキー時代、シュートが打てる、パスが裁ける、リバウンドが獲れる、ドリブルが出来る、ブロックショットが出来る、そうして麻薬もやってると、所謂コンプリート・パッケージと言われたプレイヤーであったが、その半面、究極の器用貧乏みたいなところがあり、イマイチその使い方、すなわちナチュラルポジションが分からぬ選手であり、私はこのまま、パッとしないまま消えてしまうのかなあとも思っていた。

 そのオドムの使い方に関して、完全な解答を与えたのがフィル・ジャクソンである。すなわち、C/PFの6thマンとして使うという方法である。オドムクラスのタレントを6thマンとして起用すると言う意味では、一見意外な感もあるが、成程これが完璧な解答である。フィル・ジャクソンというと、スタープレイヤーを巧みに操る単なる心理カウンセラーみたいに思われがちであるが、一面ではバスケットボールの優れた戦術家でもあるという事が、この誰も気付かなかったオドムの起用法の正解を導き出したという点から考え合わせてみても、よく分かる。

 このオドムの正解を、ディアウで以って、ちゃっかり借用しているポポビッチも流石といえば流石なのであるが。

                                                   2012/5/28(月)
2012年
6月
両カンファレンス
ファイナル
反省の弁
 つー訳で、今季のファイナルの組み合わせはヒート対サンダーという、謂わば自然現象対決、ロギア系対決になった訳であるが、この結果はいささかショックだった。というのも、私は西カンファレンスはスパーズがイージーに勝ち上がってくると見ていたからだ。つーか、両カンファレンスともに、スパーズ、ヒートがイージーに勝ち上がってくると見ていた。ところが、結果はスパーズ敗退、ヒートギリギリであった。

 これがNFLであったら、予想が外れたからといって、いちいち驚きはしないのであるが、それがことNBAとなると話は別である。なぜなら、私は今まで、NBAプレイオフに関しては、その勝ち上がりの予想を外した事が無かったからである。このような事を書くと、「何を増長してやがんだ。」みたいな意見もあろうが、ことNBAのプレイオフに関する限り、その勝ち上がりの予想は、私に限らず、ちょっとNBAを見た事のあるものなら、誰でも可能である、簡単である。

 その理由は、ひとつには7回戦制である事、ふたつにはプレイ人数が少ない事、みっつには屋内競技である事といった理由が考えられると思う。

 一つ目の7回戦制であるから、実力がそのまま結果に出やすいことは、これは自明であろう。

 二つ目のプレイ人数が少ない事。これはつまり、一人の強力なプレイヤーを多人数でマークする事が出来ないという事である。ジョーダンや流川君にはトリプルチームが限界で、それ以上の人数はマークさせられない。つーか、トリプルチームでも、残りは4対2になってしまうので、NBAレベルではそれでは勝負にならない。すなわち、バスケットボールというゲームは、スーパースターをチームで封じ込めるのが非常に難しい競技だと云える。私がかつて、NBAつうのは結局1on1の一番上手い奴が勝つリーグだと書いたのはその謂いである。

 三つ目の屋内競技であるというのはどういう事かというと、それはすなわち雨・風・雪等の自然現象に左右されないという事、すなわち偶然に左右されにくい競技だという事である。これが例えばフットボールだと、雪や風で途端にゲーム状況が変わる。コルツファンなら嫌ってほど知っている事である。また、自然現象によるゲーム日時の延期が無いというのは、それだけ予定や予測が狂わされにくい競技だと云える。

 事実、バスケットボールに於ける、偶然の要素、自力ではどうにもならない要素といったら、審判の笛ぐらいしかないと思われる。ボールの跳ね返り方にしても、フットボールと違って、完全な球形(おかしな表現)なので、大概予想できる。だからこそ、リバウンドにおけるスクリーンアウトが重要になる。フットボールのように、ボールがどのように跳ね返るか予測不能だったら、スクリーンアウトをする意味が無い。

 以上のような理由から、バスケットボール、とりわけNBAプレイオフは、非常に予想のし易い、実力差がそのまま結果に出易い、すなわちアップセットの非常に起こり難いゲームだと云える。これが、同じバスケットボールでも、例えばNCAAトーナメントのような一発勝負だったら、まだアップセットは起こるだろう。しかし、NBAプレイオフではアップセットはまず起きない。私も、なんだかんだで20年近くNBAは見ているが、これはアップセットだというのはちょっと思い浮かばない。有名なソニックス対ナゲッツのゲームぐらいである。あとは、大体予想の範囲内の結果である。

 このように書くと、私がプレイオフの勝ち上がりを完全に予想できているみたいに聞こえるかもしれないが、勿論そういうことではない。勝ち、負け、互角の予想は外れない、という意味である。例えば、今季の東のカンファレンス・セミ・ファイナル、セルティックスvsシクサーズなどは互角、すなわちどちらが勝ち上がってもおかしくないカードである。

 ところが、今季の両カンファレンス・ファイナルは、私はそれぞれスパーズとヒートがイージーに勝ち上がると予想していた。7戦までもつれる事すらないと予想していた。ところが、この結果である。私は大いに動揺した。

 しかし、負けるかねえ、スパーズ、あの陣容で。私が今回サンダーとセルツの敗退を予想した大きな要因のひとつには対ペイサーズの戦績・内容がある。今季記事にもしているとおり、ペイサーズはサンダーに完勝している。その記事にも書いたとおり、今のサンダーに対しては、高さのあるフロントラインを揃えれば圧倒できると思っていたし、その手駒もスパーズは揃えていると見ていた。ペイサーズほど高くは無いにせよ、ダンカンを中心に十分力のあるフロントコート陣である。そうして、プレイオフを勝つためには必須の加齢臭もある。私がサンダー敗退を予想した理由のひとつは、その若すぎるロースター構成もある。

 そうして、事実、開幕2連勝、決まったなと私は思ったところで、そこからまさかの4連敗って。って。上の記事も書いたように、私は第4戦重視主義者なので、第4戦をスパーズが落とした時、嫌な感じがしたのであるが(同じ事はヒートにも云える。)、まさか、そこから1勝も出来ず敗れ去ってしまうとは。

 まあ、確かに、チラチラ見ていた限りでは、ダンカンの年齢的な衰えは顕著だったのだけれど、にしてもイバカやパーキンスにやられる玉ではない。代名詞のバンクショットもほとんど見られなかったし、やっぱり年齢的に厳しいのかなあ。にしても、である。

 だいたい、レギュラーシーズン終盤から20連勝して、そのあと4連敗でシ−ズン終了って、そんなの有り得ないだろ。こういう所を見ると、ポポビッチというHCの限界、つうかフィル・ジャクソンとの器の違いというのを感ぜざるを得ない。ダンカンというシャック以後のナンバー1プレイヤーを擁しながら(ナンバー1プレイヤーはコービーという説もあるが、ポジション的にダンカンであろう。)、確かにファイナル制覇は4度したもの、連覇は無く、王朝形成までは至ってない。かつて、ロッドマンが述べたポポビッチ評を私は思い出した。「ポポビッチは鳥を鳥カゴに入れるタイプだ。しかし、鳥が最も美しいのは大空を飛んでいる時だ。」

 あと、久方振りにジノビリを見たけど、思ったより禿げ上がってなかったな。スカルプD、使ってんの。

 という訳で、前述したとおり、ファイナルはヒート対サンダーというロギア系対決になった訳であり、現時点で1勝1敗のタイなのであるが、さすがに、これはレブロンが、それこそ死ぬ気で勝ちに来るであろう。同じようなタイプのチームであるし、これで後輩のデュラントに負けたら、それこそレブロン伝説終了だもんな。ただでさえ、グッズの売り上げ落ちてんのに、ここで負けたら返品地獄に陥ってしまう。同じようなチームと書いたけれど、全ての面に於いて、少しづつヒートの方が上だと思う。また、年齢的にも、レブロンは優勝しても良い頃であろう。

 でも、これでサンダーが勝ってしまうと、私のNBAやバスケットボールに対する様々な自論の書き換えを迫られる事になるなあ。SF中心のオフェンスでは優勝できないとか、若手中心では優勝できないとか、オフェンスなりディフェンスなりでインサイドの中心プレイヤーでは優勝できないとか等々である。今回、もしもサンダーが優勝すると、そういった、この20年くらいで築き上げたNBAやバスケットボールに対する私の自説のほとんどが瓦解する事になる。音を立てて崩れる事になる。まあ、いんだけどさ、スポーツなんてものは刻一刻と変化していくものだから。

 ただ、今季のプレイオフに限らず、ここ数年のNBAを見ていると、やはりゾーン解禁から始まって、ペイント内でのルール変更というか解釈変更が、なんだかんだ言って、じわりじわりとNBAに変化を強要しているなあと強く思う。ローポストの価値や数が10年前に比べ、明らかに減っているし、そういう流れの中でのサンダーの台頭なのだと思う。SF中心のオフェンスで、インサイドにこれといったプレイヤーのいないチームがファイナルに登場するなんて10年前では考えられなかった事である。

 こんなことを書くと、デュラントがルール変更に恵まれてファイナルに登場したみたいな書き方になるが、勿論、実力は文句のつけようが無い。私の目で見ても、デュラントとレブロンの比較なら、デュラントを獲りたい。今や、NBAナンバー1のプレイヤーといってよいのではないだろうか。レブロンの失敗を見て、サンダーに残ったのも大正解だったし。ほんと、サンダーつうか、ソニックスはデュラントを指名できて良かったよなあ。こっちこそ、本当に大正解である。

 悔んでも悔みきれないのは、ブレイザーズとシアトルか。向こう10年、NBAの看板を張るプレイヤーをみすみす逃しちゃったんだもんなあ。シアトルの場合は、自分の責任、自己責任だから、まあ致し方ないだろうが、ブレイザーズは悔んでも悔みきれんだろうなあ。なんで、あの時、ロッタリー、勝っちゃったんだろ。しかも、確か、あの時は、シーズンの成績自体は9位ぐらいで、物凄い低い確率のロッタリーでまさかの全体1位を引き当てて、ヒャッホーとばかりに指名したのがグレッグ・オデンという。全然大当たりじゃなかったという。

 1位と2位で明暗がくっきりと分かれるパターンはままあるが、こういう1位が大失敗で2位が大成功というパターンは非常に珍しいと思う。逆は多いけれども。とりあえず、オデンに関しては。インディアナ州出身なのにオハイオ・ステイトに行ったのが、一番ダメなとこだな。しつこい。

 こんな書き方をすると、オデンに行ったブレイザーズがバカみたいな感じになるが、あの時点では、100人中100人がオデンを指名するだろう。私だって、する。1000人中1人くらいはデュラント指名の賭けに出る人もいるかもしれんけど。まあ、フランチャイズ全体を敵に回すことになるよな、絶対。こえーな、ドラフトって。我等がラック様は大丈夫か。不安になってきた。

 で、まあ、ファイナルが始まっている訳であり、私もちらほら見ているが、とりあえず云えるのは、ハーデンの髭の独占っぷりがハンパないって事である。まさしく、パネエby花澤由加である。
 いやもお、ほんと、その髭の独占振りがハンパない。なんかもう、ハーデンに髭が生えているんだか、髭にハーデンが生えているんだかっつう感じである。八っつあんの眼鏡みたいなもんである。日本だったら、あれ登録名、絶対、ヒゲになってた。あと、このジェームズ・ハーデン、アーロン・マッキーとキャラが被るように感ずるのは私だけか。いや、髭という意味ではなく、プレイスタイル的に。

 しっかし、髭とは考えたな。意外に、有りそで無かったもんな。髭つうのは、一見、キャラ付けには便利なアイテムのように思われるが、一方で表情を殺してしまうので、却ってキャラが埋没し、逆効果に陥る事が多い。今のレブロンが良い例だろう。
 しかし、その髭も今のハーデンぐらいにしてしまえば、話は別である。髭がハーデンだか、ハーデンが髭だか、つうぐらいである。今回のファイナル登場で、完全に髭業界独占である。ビルズのフィッツパトリックも似たような髭を生やしているが、こっちは当分、スーパーボウルどころかプレイオフも厳しそうだし。そもそもヘルメットなので、髭が目立たないし。しばらく、つうか完全に髭ハーデン独占状態が続くと見た。

 今回のファイナル登場でCM3本くらい決まったと見た。1本5000万円で1億5千万円の荒稼ぎか。生やしてみるもんだな、髭も。しかも、その髭を剃るみたいな、シェーバーのCMだったら5億は固いだろう。やっぱ、髭か。
 しかも、この髭のもうひとつの良いところは、真似しようにも、簡単には真似できんという所である。スキンヘッドやタトー、染髪、変な髪形等々、NBA業界にも様々なファッションが流行ったが、それらの全てが翌日からでも真似できるのに対し、この髭ばかりはそうはいかん。一朝一夕には真似できん。1年くらいじゃ、さすがに厳しいだろう。5年は大袈裟でも3年くらいは懸かるんじゃないだろうか。しかも、その間、日常生活は不便だし、女にゃ逃げられるかもしれんし、そう易々とは真似できん。完全に、ハーデン独占だな、こりゃ。って、髭ばっかりをクローズアップしてきたが、このハーデン、全体3位指名の実力者でもあるのね。今、調べて知った。

 あと、これはどのゲームだったかは忘れてしまったが、シェリル・ミラーって、まだ現地レポーターやってんのね。昔からだけど、いまや完全にNBA業界の和田アキ子やん。クリス・ポール、首根っこ掴まれてるやん。

                                                   2012/6/17(日)

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