インディアナポリス研究会コルツ部

歴史

2014シーズン

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Week5 10月5日
BAL@IND
13−20
 いや〜、週に2つ勝つって楽しいもんですなあ〜。んで、次のゲームは10日後。云わば、ミニバイウィーク。至福の10日間。2連敗しちゃうと地獄だけど(HOUの場合)。まさに天国と地獄。

 という訳で、今回は第5週アーンド第6週の2連発でやんす。

 まずは、第5週のレイブンズ戦から。

 ゲーム自体は主導権争いをメインにした地味なものであった。とはいえ、エリートチームのBAL相手に主導権争いをするゲームを演じられただけで私は満足である。今のコルツは、十二分に強豪といってよいと思う。この2シーズン、確かに勝ち越してはいた(それも大きく)けれど、今のコルツが真の強豪であるかは、ファンの私のいまいち自信が持てずにいた。逆転勝ちが多かったこともあるし、プレイオフでは、BAL、NEといった一流チームにまるで歯が立たず敗退していたからである。

 ところが、このゲームで、BALと主導権争いを演じ、その争いに勝ち、なおかつゲームにも勝てた事で、私は確信した、今のコルツは強豪であると(ギレン・ザビ風に、)。十二分にスーパーボウル・コンテンダーといってよいと思う。

 そのほか、このゲームの感想はというと、なんといってもディフェンスである。このゲームを見ていてしみじみ思ったのは、「今のコルツディフェンスは、ボルチモアによく似ているなあ。」という、あまりに当然至極な感想である。元ボルチモアのチャック・パガーノがHCなのだから、あまりに当然な結論である。つか、そうするために招聘されて3年目なんだから、当然至極な話である。むしろ、違っていたら驚く。

 では、そのボルチモアのディフェンスは何かというと、私の思うに、それはあらゆるディフェンスのプレイ、ゾーンとかマンツーマンとかブリッツとかプリヴェンドとか、いろいろなディフェンスのプレイをいずれも高い、非常に高いレベルでこなすという事なのだと思う。ライアン兄弟のようにブリッツだけしていれば良い訳でもなく、クレネルのようにとりあえず下がっておけば良いというディフェンスでもない。スキームが明確化しないという意味では最も高度なディフェンスと言って良いかと思う。究極のハイブリッドというべきか。
 いずれにしても、ダンジー時代のガチガチのカバー2に見慣れた一コルツファンとしては非常に新鮮ではある。

 では、そのボルチモア流ディフェンスが、2000年代初頭のボルチモアのように火を噴くかというと、私はそうは思わない。なぜかというと、只今のコルツオフェンスが、当時のボルチモア・オフェンスと比較にならないほど強力だからである。

 当時のボルチモアはオフェンスがしょぼかったので、たとえボルチモア・ディフェンスから得点できなくても、失点を防いで接戦に持ち込みFG一本で逃げ切るというゲームプランも建てられた。
 ところが、今のコルツはオフェンスが強力なので、そんな呑気な事を言っていると、一方的にやられまくってしまう。従って、多少、つうか多大なリスクを覚悟で、攻めねばならない。そうして、このスポーツの場合、無理に攻め込めば、ターンオーバーの危険性は非常に高まるけれど、それなりにボールも進み得点も出来る。結果、コルツ・ディフェンスの成績は、実力はともかく、少なくとも数字上は、あるいはマスコミ的には悪くなる。その数字が、プレイヤーの心理にどのように乱反射するかは皆目見当は付かないが、少なくとも、ディフェンス陣は良い気持ちにはならないだろう。2000年代初頭のボルチモアのような得意満面にはならない。

 このディフェンスとオフェンスが分離しているようで分離していない、まさしく不即不離の関係にあるところが、このスポーツの面白いところである。こういう現象は、なかなか他のスポーツには見られない。強力なオフェンスは、大概強力なディフェンスになってしまう、すなわち「攻撃は最大の防御なり」になってしまうスポーツがほとんどだからである。

 例えば、野球では、点差が付けば、バッターはそれを取り返そうと大振りになり、結果的にピッチャーは打ち取りやすくなる。バスケットボールも同様で、点差が開けば、所謂「3ポイントに縛られて」、結果的に得点力は落ちてしまう。サッカーの場合で云えば、強力なオフェンスを持っているチームは、当然ボールポッゼッションもフィールドポジションも良くなるので、失点の確率はそれに比して減る。フットボールは、他のスポーツと比べて、いろいろな面で特殊なスポーツだけれども、この現象はその一つであろう。

 最後に選手評をひとつ。ランドリーがああいう事になったので(最近、ホント薬物違反が多い。)、セルジオ・頼むからよしてくれ・ブラウンがまさかの、つうかデプスチャート的に順当に先発に昇格したわけであるが、このゲームでは私の心配をよそに、1サック3タックルとまずまずの活躍。結構良いタックルも見せていた。サックも同様であったけれども、直線的なプレイは確かに強い。ちょいとフェイクされると軽くひねられるが。ただまあ確かにセルジオが良いプレイをすると、チームは確かに盛り上がる。一番下手な奴がファインプレイをするとチームが盛り上がるというのは、どんなスポーツでもどんなレベルでもどの地域でも共通のようだ。


                                                     2014/10/19(日)
Week6 10月9日
TNF
IND@HOU
33−28
 で、本日2発目、木曜日ゲームのヒューストン戦である。

 結果は、第1クォーター終了時に24−0と記録的大差を付けながら、その後はジリジリと点差を詰められ、最終的には33−28、1ポッゼッション差の辛勝であった。このまま逆転負けを喰らったら、イーグルス戦に続いての失態で、逆転勝ち体質が改まったら逆転負け体質かと大騒ぎするところであった。でも、勝ったから良し。

 そのあわや逆転負けの要因はターンオーバーによるものなので、そんなに心配はしていない。もっとも、ラックのインターセプトのブロックはともかく、それがインターセプトになったのは完全な不運なので、批判はしないが、もうひとつの記録的にはラックのファンブルロストであるが、実際はセンターのハリソンのスナップミスによるものなので、こちらは問題にしたい。

 スナップミスをしたハリソンももちろん問題であるけれども、私の思うに真の問題は、そのハリソンを使っているグリグソン、パガーノ、あるいはラックまで含めた首脳陣である。ハリソンの技量云々というよりは、そもそも首脳陣はセンターというポジションをどのように考えているのかという事を問題にしたい。

 私の思うに、センターというのは、全OLのポジションの中で、LTの次にというか、ある意味LT以上に重要なポジションではないかと思っている。それは運動能力や技術のの問題ではなく、QBとのコンビネーションという意味で重要であるからだ。特に昨今、ますますオフェンスが複雑化しているNFLでは、オフェンスの中ではQBに次いで重要なポジションなのではないかと思う。そして、それは選手の技能というよりは、選手の固定化で答えの出るポジションだと思っている。

 ところがこの2年間のコルツときたら、サテーレにシップリー、そして電撃引退したフィル・コスタ、怪我で療養中のホームズと誰をレギュラーにしたいのかさっぱり分からん。まあ、時系列的に考えると、サテーレをスターターにしたかったが、技量的に不満でカット、コスタを呼んだがまさかの電撃引退、そこでデプスチャート的にホームズが繰り上がるもケガ、次のハリソンが繰り上がるもケガ、そこでキャンプ中だかキャンプ前だかにカットしたシップリーで当座をしのいでいたが、ハリソンのケガが癒えたのでスターター起用という事なのだろう。固定しろや。シップリーでいいじゃん。無難にこなしていたんじゃん。使い続ければ、ラックと良いコンビになりそうじゃん。怪我もしないし。どうして、そこまでチャートにこだわる。

 で、その先発に起用したハリソンはこの2戦でスナップミス連発。スナップカウントミスなんて、コンビネーション以前の問題じゃん。で、ハリソンが慣れてきた頃、ホームズが復帰して、おんなじ過ち繰り返すんだろうなあ。ホームズやハリソンに絶対的な実績があるのなら、こだわる理由もわかるが、何の実績もない選手にどうして、そこまでこだわる。レギュラーがケガしている最中にスターター取っちゃったなんていうのは、ゲーリック以来よくある話じゃない。

 このデプスチャートへの頑ななこだわりはさっぱり理解できん。しかも、センターというのは先に述べたように、QBとのコンビネーションが命みたいなポジションなのに。技能より圧倒的に経験重視のポジションなのに。様々なハンデ(おっさん、運動能力不足、ケガ等々)がありながらも、サタディにこだわり続けたマニング時代とは、あまりに好対照である。グリグソン、パガーノ、ラックの真意や如何に。

 で、そのハリソン以下しょっぱいインテリアラインメンに悩まされ続けているリチャードソンであるが、ここ数試合見ていて思ったのは、このリチャードソンはディフェンダーの紙一重でかわそうとし過ぎているのではないかという事である。ところが、カレッジ時代の紙一重とNFLの紙一重では厚さが違うので、かわしきれない。それが、彼のこの2年弱の苦戦の2つ目の要因であるように思われる(一つ目は勿論しょっぱいインテリアラ以下同文)。
 もっとも、ここ最近は、その調整が少しづつ進んできているので、以前より数字を稼げるようになってきてはいるが。

 今回はこのゲームに限らず個人評中心で、次はジャック・ドイル。昨シーズン、初めて見た時は、「お前、一体何者。」といった感じであったが、今シーズンは完全にHバックのレギュラー、ブロックにレシーブにとチームに欠かせない存在になっている。ブロックで頑張るのは勿論だが、ハンドもなかなかいい。フリーナーとドイル、二者択一なら、私はドイルを残したい。スウープが使えるようなら、完全にドイルだと思う。地元インディアナポリス出身だし(これが意外に少ない。)。

 で、そのHバックのポジションが主戦場になるかと思われていたドウェイン・アレンは今や完全にタイトエンド一本槍。時にはWRにセットまでする始末である。で、実際、その動きはもはやタイトエンドのそれではない。ほとんどWRである。で、体格はタイトエンドなのだから、もはや手が付けられない。で、もともとブロックは良いのであるから、総合的に勘案すればオールプロ級どころかリーグナンバー1のタイトエンドではなかろうか。いや、手前味噌じゃなく。

 次はハキーム・ニックス。ここまでの数試合を見た限りでは、前任者二人エイブリー&ベイよりは当然上であるが、正直期待外れというかイマイチ感は拭えない。結構体格が良い割には競り合いには強くないし、ビックリするようなスピードがある訳でもないし、ルートランも唸るほど上手い訳でもないし、ハンドは確かに堅実ではあるけれど、それだけじゃね〜。
 そもそも、あまりターゲットにならない事への不満もありそうではあるが、現時点の力関係では、ウェイン、アレン、ヒルトンがラックの第1ターゲットで、それに次ぐブラッドショー、リチャードソン、フリーナーと同じ第2グループという色分けであろう。来季の契約は難しいかな。一ファンとしては、むしろモンクリフを見たい。

 次は、カスタンゾ。ここまで彼の事を記事にする事はほとんど無かったが、ここらで言及したい。正直、過去三年間は可もなく不可もなくみたいな出来であったが、今年は文句無しだと思う。私の見ている限り失態はない。オールプロ級とまでは言い難いけれど、プロボウルに選ばれても恥ずかしくない出来だと思う。同期で、ドラフト時似たような評価だったソルダーが妙に高く評価されているので、本人は忸怩たるものがあったと思うが、今季は完全にソルダーに負けていないと思う。
 元はと云えば、マニングを守るためにコルツ入りしたものの、結局マニングのブラインドサイドを守ることは一度もなく、多少拍子抜けした部分もあるだろうが、マニングに勝るとも劣らないラックを守ることでキャリアを全うしてもらいたい。今後の契約は先行き不透明ではあるが…。

 次はラック。ラックに関しては、昨季までの2年間で書き散らかしてきたので、今季はあまり書く事もないだろうと思っていたが、この2試合でひとつ書く事が出来た。それは、ラックは上半身どころか、腕だけ、極端に言えば肘から先だけで20ヤード前後ボールが投げられるという事である。まあ、さすがに手首だけでは厳しいが、肘から先だけで、そこそこしっかりしたボールが投げられるのである。

 こんなクォータバックはなかなかいないと思う。あのボールはそこそこ大きいし(実物を見ると、想像以上に大きくてビックリする。)、重さもあるので、普通は全身、下半身を使わなければ、しっかりしたボールは投げられない。ところが、肘から先だけで投げれてしまうのである。私は、大学時代のラックを初めて見た時、記事にも書いたが、フットワークにリズムを感じられなかったの幾許かの不安を感じていた。でも、肘から先だけで投げられるのなら、フットワークは必要ない。むしろディフェンダーに読みの材料を与えるだけである。
 
 また、昨年だったか、かなり無茶なポンプフェイクを見せて、私は驚き、記事にした事があるが、これもこの能力の賜物なのだろう。地肩、というか腕っぷし自体が強く、更には手が大きいか、相当の握力があり、ボールをがっちり握れるのだと思う。その副産物という訳ではないが、ラックはあまりファンブルしない。ボールを少々叩かれても、手からボールがこぼれないのである。

 手っ取り早く言えば、基礎体力が非常に高いという事なのだろう。実際、ラックは他のポジション、例えばSとかLB、更にはRBでもNFL入りできていたのかもしれない。ヴィックみたいな特殊な例外を除けば、非常に珍しいタイプだと思う。まあ、クォータバッキングに直接かかわる能力ではないけれども。あって悪い訳でももちろんない。そういえば、レイブンズ戦で、ラックのロールアウトを見た後、フラッコのロールアウトを見ると、あまりの遅さに泣けてきた。

 次はフィッツパトリック。私は、このQBを見る度に毎度お思うのであるが、何故このクラスのQBにこれほどの数のスターターの座を与えるのかという事である。数字的にはどう考えてもフランチャイズQBではない。でも、キャリア10年で83回のスターター。でも5チーム目。結構珍しい記録ではないだろうか。スターター経験が100回近くあるのに5チーム目って。

 理由はおそらく、ミーティングの態度が良いのだろう。プレイブックの理解も早いし深い。そうして、そこそこの肩とコントロール。そうして、OCのコールに非常に忠実。OCとして、腕のなるタイプなのだと思う。昔、野村が杉浦より皆川、江川より星野、といっていたのと同じ理屈である。

 でも、やっぱりQBとしては駄目、駄目なものは駄目。スナップを受けるまでは優等生かもしれないが、スナップを受けてからが、てんで話にならない、劣等生以下だからである。
 フィッツパトリックは、スナップを受けてからボールを投げるまで、判断する能力が全くないのである。それは例えばアレックス・スミスのように判断が悪いのではなく、判断そのものが出来ないのである。運動能力的演算能力的に不可能なのであろう。これは持って生まれたものなので、フィッツパトリックを責める事は出来ない。

 その判断能力に長けた、というか悪魔のような判断能力の持ち主であるラックとは正反対のクォーターバックと言えるだろう。

 その差が如実に表れたというか、象徴的に表れたのは、2ミニッツ・タイムアウト無し・5点差・自陣21ヤードから・1stダウン、勝てる勝てないはともかくとして、一線級のクォーターバックだったら、レッドゾーン近くまでボールを進めるのは、そんなに難しくはないシーンである。敵ディフェンスは、タッチダウンだけは避けるため引いて守るのだから当然の話である。それがファーストプレイでいきなりのファンブルロスト、それも単なる4メンラッシュである。解説の村田さんが、「インターセプトかファンブルか、嫌な予感はしてた。」と語っていたけれど、私も、まあターンオーバーはともかくとして、よほどの不運や凡ミスがない限り、負ける事はないだろうと思っていた。

 あの場面、フィッツパトリックはレシーバーが見つけられず、ロールアウト気味にスクランブルして挙句ファンブル、ロストした訳であるが、正解は勿論投げ捨てである。
 更に言えば、あの場面、確認してはいないが、どうせディープとサイドライン際は固めているのだから、中央のアンダーニースにTEなりRBなり、ないし両方を配置してRAC頼みで放り込むのが完全な正解であるし、そんなに難しいプレイでもなかったと思う。でも、それが出来ないのがフィッツパトリックなのである。

 と、このように書くと、フィッツパトリックが物凄いバカのような感じになるけれど、普通は皆フィッツパトリックなのである。仮に私が、あの場面、QBをしていたとしても、同じ、ないし同じような結果になっていただろう。それくらい、スナップを受けてから、4,5秒くらいで正しい判断を下すというのは難しい事なのである。むしろ、それをことごとく正しく判断してしまうラックの方が異常なのである。

 ラックと比較しても埒はあかないが、このへんのアドリブの利かなさというのが、フィッツパトリックの唯一にして最大かつ決定的な欠点であろう。もっとも、逆に言えば、アドリブが利かないという事は、すなわちそれ故OCに非常に忠実という事であり、それ故、OCに可愛がられるのだろうが、勝てない事は勝てないのである。オフェンスのプレイというのは、OCの計画とプレイヤーに実行という二つの要素があると思われるが、フィッツパトリックがQBをしている場合、ランプレイはともかくとして、パスプレイはOCの計画しかないのだから、守る方としては非常に楽である。

 OCの計画をそのまま実行する、あるいは実行しようとするという点では、実行できない、あるいは、そもそも実行しようとしないよりははるかにマシかもしれないが、QBというポジションに求められているのは、OCの計画を超える実行なのである。あるいは、OCの計画が失敗したときの補填なのである。だからこそ、最も高い給料を得ているのである。このへんが将棋の駒とスポーツプレイヤーの決定的な違いでもある。将棋の駒には給料は支払わられない。

 更にひとつ付け加えると、フィッツパトリックは、先に述べたように、OCの計画をそのまま実行する、あるいは実行しようとするのでシーズンで6勝ぐらいは出来てしまう。しかも、上述したように、コーチ受けは良い。それがこのQBの最も性質の悪いところである。なんとなく、ファンもコーチも希望を感じてしまうのである。それにまんまと4年間もはまっていたのがビルズである(2年目ぐらいで気づけよ。)。おぼろげな希望は絶望に劣る。

 フィッツパトリックというQBで勝つためには、マイク・マーツ時代のラムズのように、非常に特殊かつ強力なプレイコールと圧倒的なタレントのサポーティングキャストが必要となろう。そういった意味では、カート・ワーナーによく似ているとも云える。ワーナーほどの強運は無さそうであるが。もっとも、ワーナーとフィッツパトリックの決定的な違いは、フィッツパトリックはただOCの計画を実行しようとするのに対し、ワーナーは頑なに実行しようとする。これは性格的なものなのだろうが、この「頑な」の差は意外に大きい。とりあえず、髭剃ったら。

 もいちど、コルツに戻して、マカフィーの話。入団以来、何やかやと、私も難癖を付けてきたが、昨オフついに大型契約を獲得、名実ともに一流パンター(まだ、俺は認めてねーけどな。)の仲間入りをした。このゲームでは、一人オンサイド・キックを成功させ、スペシャルチーマー週間MVPまで獲得。お調子者の本領発揮である。パンターやキッカーって孤独になりがちなポジションだと思うが、パンターでムードメイカーってホントに珍しいと思う。もっとも、珍しいといえば珍しいが、貴重かというと微妙な感じではある。

 パンターの孤独といえば、ヒューストンのパンターレックラーである。キャリアのごく初期はともかく、それ以降、ず〜〜〜〜っと弱いチームで黙々とパントを蹴ってきた。これって、どういう気持ちなのだろうと、このゲームでレックラーを見ながらついつい考えてしまった。弱いチームで黙々とパントなりキックなり蹴り続けるパンターやキッカーというのは、このレックラーに限らず、たくさんいると思うけれど(むしろ、勝ってばっかりいるヴィナティエリの方が少数派であろう。チームメイトのQBがラック、マニング、ブレイディ、ブレッドソーって、独り占めかい。)、彼らの気持ちはいかばかりなのだろう。蹴っても蹴っても、チームは負け続け、また、自身のパントやキックの技量を挙げたところで、それが直接チームの勝利にはつながらない(このスポーツの場合、直接つながるのはQBだけだけど、)。空しくならないのだろうか。年間16試合、キックを5,6回蹴るだけでン億円貰えるのだから、おいしい仕事と云えばおいしい仕事だろうが、いやしくもスポーツマンなのだから、負け続けることには耐えられないのではないだろうか。その心象風景を考えると、非常に興味深い。「パンターの孤独」という表題で、映画なり小説なりを作ったら面白そうだ。って、もうあるか。

                                                     2014/10/19(日)
Week7 10月19日
CIN@IND
−27
まず予め断っておきますけど、これ第7週の戦評です。だって、土曜日の放送なんだもん。今季はこういうの多いな。これからも多いのでよろしく。

 いやぁまあ、完封勝ちだってよ。と、コルツ完封勝ちの話題に行く前に、マニングの新記録の通算510TDsについて、ちょいと感想を。

 これに関しては絶賛の声もあるけれど、もちろん偉業だけれども、普通に現役を続けていれば、マニングだったら十分達成できる記録であるし、首の手術を何度も受けながらも現役を続行した大きなモチベーションの一つであったろうから、それそのものに驚きはない。素直に祝福したい。

 ただ、コルツファン的に気になったのは、この通算タッチダウン記録と通算パッシング記録(こちらはあと5000ヤードほどで新記録)の両カテゴリーで受け手上位は誰なのかという事である。上位3人はおそらく、ハリソン、ウェイン、ダラス・クラークであり、順番もおそらくこの順番(ハリソンとウェインは逆転しているかも、)であろうが、4人目が誰なのかいまいちよく分からん。試合を見ながら考えてしまった。

 普通に考えれば、両カテゴリーともにエジャリン・ジェームスだろうが、レシーブはともかくタッチダウンはもしかしたら他にいるのかもしれないと考えてしまった。エッジさんは何気にコルツ時代は7シーズン、レシービングTDは11なので、もしかしたら、エリック・デッカーが2シーズンで抜いているかもしれないと考えてしまった。あと、ストークリー説もある。このインターネット時代、調べれば簡単に答えは出るが、敢えて調べない。反インターネット主義をつらぬく私。何だそりゃ。とりあえず、我が愛しのクレッコーさんで無い事だけは間違いない。

 で、本題の完封勝ち。完封勝ちですよ、奥さん、完封勝ち。コルツファンとして、ノーパントゲームは結構見ているような印象があるが(実際はイメージ程は無い。)、完封勝ちは初めての経験(いやん、エッチ。)のような気がしていたら、報道によると2008年12月以来らしい。全然記憶にない。12月のゲームなので、消化試合っぽいのかなと思って調べてみたら(インターネット時代の申し子)、確かに2008年シーズンの第17週にタイタンズ相手に23−0で勝っている。確認していないけれど、タイタンズは負けたいゲームだったのだろう。と思っていたら、13勝3敗でタイタンズはAFC初戦バイ確定だった。逆の意味で消化試合だった訳である。

 という訳で、私がコルツファンになって以来、実質的には初めての完封勝ちである。びっくらこいた。結果は5時からの生放送の他のゲームの他球場の試合結果のスーパーインポーズで(「の」が多いの。)知ったのだけど、目を疑った。正直、負けもあるかなと思っていたゲームで、まさか完封勝ちとは。しかも、ベンガルズ戦って。コルツファンの私も驚いたが、ベンガルズ&ベンガルズファンも驚いたろう。

 まさか、シーズン中、12月の消化試合はともかく、それ以前のゲームで自分たちが完封勝ちする事はあっても、完封負けするとは思っていなかったと思う。それくらいオフェンス力には自信があった筈である。こっそり、「リーグナンバー1かも」。と自惚れていた筈である。そう自惚れてもおかしくない陣容である。私が、ベンガルズファンでも自惚れる。それが、コルツに完封負けとは。

 私も10年来コルツファンをやってきたので、オフェンスで圧倒するゲーム、ディフェンスでしょっぱい思いをするゲームには体が慣れきっているが、完封勝ちのゲームには全く慣れていないのでおたおたしてしまった。

 という訳で、この第7週終了時点で、トータルオフェンス第1位はともかく、トータルディフェンスも第3位になってしまった。平均失点は19.4点で20点切ってんやんの。一時的とはいえ前代未聞の成績である。

 オフェンス、特にパッシングに関しては、シーズン前の記事にも書いた通り、そこそこやる、トップ5ぐらいの実力はあるかなは思っていたので、さすがに全体一位は予想だにしなかったが、こういう結果にもそんなに驚いてはいない。

 一方で、ディフェンス、これは驚いた。ボルチモア戦を見た時、結構良くなっていたので、それなりに手応えはあったが、「まあ、中の上、上の下ぐらいかな。」と思っていたので、全体3位には驚いた。

 まあ、一時的なものだとは思うけれど、このチーム成績表を見て、ニタニタしているコルツファン、旨い酒を飲んでいるコルツファンも多いと思う。
 しかし、昨シーズンまではしょっぱいチーム成績ながら、勝ち星だけは積み上げていくチームカラーだったが、今季はトータルオフェンス1位、トータルディフェンス3位なのに、ここまで5勝2敗(5連勝中だけどさ、)、体質改善なのか改悪なのかよく分からん。

 って、ここまではスタッツのみを見た感想で、ゲームを実際に見た感想はというと、当然ながらこの完封劇は展開に恵まれていたなというものである。まあ、シーズン中盤のゲームである程度オフェンス力のあるチームに完封勝ちなんていうのは、ある程度展開に恵まれなければ当然無理なので、ゲームを見て至極納得した。この27−0が両チームの力の差だと思ったら大間違いだろう。

 この完封劇の最大の要因は、コルツサイドがいまいち得点できなかった事であろう。第3クォーター中盤まで10−0だった事で、シンシイサイドは、「そのうちなんとかなっかな〜。」と思っていたら、17点目を取られ、レッドゾーンで4th&ギャンブルをせざる得なくなり失敗、挙句完封負けというのが実態であろう。
 仮に、コルツサイドが第1クォーター終了時点で17−0とか前半終了時点で23−0とかでリードしていたら、完封はなかったかと思われる。このへんが、ディフェンスとオフェンスが奇妙に絡み合うフットボールの面白さの一つであろう。

 あとまあ、コルツのプレイコールが当たりまくっていたというのも解説の森さんが再三再四指摘していたが、これは何らかのデータなのか癖なのかビデオカメラなのか霊感ヤマ勘第六感(古っ。)なのかは、部外者の私には全く分かりません。確かにプレイコールが当たりまくっていたのは事実なので、何かはあったと思う。

 とまあ、こんな書き方をすると、たまたま完封勝ちで来たみたいな書き方になるが、完封勝ちにはもちろん実力も必要になるし、その実力もコルツにあったと思う。レイブンズ戦でも同じ事を感じたけれど、確かにディフェンスは良くなっている。

 その要因は何かというと、昨シーズンとの唯一にして決定的な違い、アンゲラーとデクェル・ジャクソンである。昨シーズンと違ってジャクソンがインサイドのランを確実に止めてくれる。従って、DB陣がパスカバーに専念できる。パスカバーが厳しいからパスラッシュが間に合う。という典型的な好循環が今のコルツディフェンスである。インサイドのランとパスカバーが表裏一体の関係にある事のあまりに分かりやすい証左でもある。

 ちなみに、両セイフティはマイク・アダムス33才と僕らのセルジオ・ブラウン。おそらくリーグ最弱のセイフティコンビであろう。でも完封勝ち。セイフティというポジションのほろ苦さを感じさせるエピソードではある。

 ちなみに昨シーズンのディフェンスの元凶だったパット・アンゲラーはファルコンズと契約するものの開幕には残れず引退宣言。そりゃそうだ。今から考えると、なんでドラフト上位候補だったのか不思議なくらいである。まっこと、ドラフトは恐ろしい。

 とまあ、ディフェンスを褒めたら、第8週のスティーラーズ戦はまさかの51失点、チーム成績は元の木阿弥。とほほ。

                                                     2014/10/30(木)

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