インディアナポリス研究会コルツ部

歴史

2014シーズン

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Week8 10月26日
IND@PIT
34−51
 念のため断っておくが、先々週、すなわち第8週のゲームである。

 前週、完封勝ちして好い気になっていたら、今週はまさかの51失点。喪失ヤードは639で、きっちり2週分。チーム成績は元の木阿弥である。先週勝った分をその翌週きっちり負ける律儀かつ間抜けな競馬である。

 スティーラーズ戦は毎度嫌な負け方をしているので、先週の完封勝ちと考えあわせて嫌な予感はしていたけれども、まさか51失点とはね。

 チーム成績はともかく、この大量失点の要因はいろいろあるだろうが、ひとつには怪我人、もうひとつは油断であろう。

 ケガ人はともかく、油断は、するよなあ〜、やっぱり。

 おそらく開幕前、キャンプ段階では、コーチ、選手ともにチーム力にはかなりの自信を持っていたのだと思う。ところが、まさかの開幕2連敗。やばっ、と思ったところでJAX戦で前半30−0の大勝、そこから怒涛の5連勝。しかも、3つは地区内、残り2つははプレーオフでのライバルとなろうレイブンズとベンガルズ。しかもベンガルズ戦は完封勝ち。そして次戦は落ち目のスティーラーズ。そりゃ、イキっちゃうよね。銀さんでなくても、イキっちゃうよね。

 んで、調子に乗って、ピッツに乗り込み51失点の返り討ち。良い薬になったと思う。昨年のプレイオフでもちょっと感じたけれども、良い勝ち方をした後、足元をすくわれるような負け方というのは、今のコルツに確かにあると思う。このへんは、パガーノの性格的なものだと思う。選手と一緒になって喜んじゃうようなところがあるからなあ。絶不調は好調の始まり、絶好調は不調の始まり、肝に銘じてほしいと思う。

 もう一つの敗因であるケガ人であるが、ボンタ・デービス、トレント・リチャードソン、ジャック・ドイルと、代わりが利かないところにケガ人が出てしまったので、これも痛かった。

 スティーラーズのオフェンスの戦略は、つか戦術はただひとつっきり、とにかくマックスプロテクションでロスリスバーガーを守って、アントニオ・ブラウンが空くのをひたすら待つという単純至極なものであるが、この日のコルツ、つか他のチームもこれが止められず、ブラウンの数字が第9週終了時点で996ヤードというシーズン1800ヤードに迫る、とんでもない事になっている。
 ブラウンという選手に、そこまでの力があるとは思えないが、チーム戦略と個人スタッツに微妙な関係が生じるのがこのスポーツの面白いところであろう。

 ブラウンの最終成績はともかくとして、もしボンタがいれば、この日のブラウンの数字は、もう少し違ったものになったと思う。

 同じくケガ人で、こちらはオフェンスの話になるが、リチャードソンとドイルのパスプロ・コンビが同時に欠場したのも、これも痛かった。二人、せめてどちらかでもいればなあと思うシーンが度々あった。まあ、それでも34得点してんだけどさ。畏るべきはラックかな。
 しかし、こういうリチャードソンのプレイスタイルを見ていると、アダイによく似ているなとしみじみ思う。スケールアップしたアダイがリチャードソンという事になろう。そういった意味では、最もよく使いこなせるのはペイトン・マニングだと思う。行くか、デンバーに。いや、行っちゃダメ。

 この油断とケガ人の他に、この日の敗因というか、勝敗を決定づけたプレイが、第4クォーター冒頭のラックのインテンショナル・グラウンディングであろうが、この判定そのものに私は不服は無い。ラックは猛抗議していたけれども、さすがにあそこにレシーバーはいないと思う。

 ただ、これは一般論としていつも思うのであるが、投げた方向にレシーバーがいるいないの明確な境界線はないと思う。よほど、特殊なデザインでない限り、拡大解釈をすれば、投げた方向のどこかにレシーバーはいるであろう。このシーンでも、多分ハキーム・ニックスだったと思うが、ラックの投げた方向にいるにはいた。つか、ニックスの走り出した地点あたりにラックは投げていた。

 もし、このプレイが裁判になった場合(なる訳ねーけどさ。)、「ニックスがカンパックルートで走っていると思って、私は投げた。だから、レシーバーはいた。よって、インテンショナル・グラウンディングでは無い。」とラックが主張したら、その主張に正当性はあると思う。

 で、私は何が言いたいのかというと、このインテンショナル・グラウンディングというルールに、レシーバーの有る無しは考慮しない方に変更した方が良いという事である。レシーバーがいようがいまいが、サックあるいは投げ捨てにすべきだと思う。もうひとつ、スクリメージ・ラインを超えるという制約もなくすべきだと思う。更にもひとつ付け加えると、スパイクというプレイが認められている事を考慮すれば、すべて投げ捨てにしてしまった方が分かりやすいし、ルール上の論理的一貫性も生まれると思う。レシーバーのはるか奥、サイドラインの向こう側への投げ捨てや、レシーバーの手前5ヤードくらいでバウンドさせる投げ捨てがが、方向というただ一つの基準から投げ捨てと認められ、方向から逸れたら投げ捨てでないというのは、基準が無分明だと思う。

 今はほとんど唱えられる事は無くなってしまったが、かつてアンキャッチャブルというルールというか解釈があった。あの頭の上に手のひらをかざすシグナルのルールちゅうか解釈である。
 これが正式に無くなったのか、便宜上無くなってしまったのかは不明であるが、なんでこれが今やほとんどコールされなくなったかというと、理由は只一つ、境界線が明確でないからである。同じようなものに、「ライン際の押し出しはキャッチとみなす」というものがあったけれど、これは確か正式に廃止されたと思う。理由は同じく、境界線が明確でないからであろう。

 インテンショナル・グラウンディングのレシーバーの有る無しも、同様の理由で廃止した方が良いと思う。「みなす」(インテンショナル・グラウンディングの場合は、アンキャッチャブルと反対側の「みなし」である。)というのは、スポーツのルールに限らず、あらゆる法律から排除すべきだと思う。スポーツはともかくとして、社会的法律の場合、不正の温床になる。

 ゲーム評はこれくらいにして、選手評少々。

 まずはドンテ・モンクリフ。今までもちょろちょろゲームには出場していたが、今回は怪我のウェインの代わりとして、本格デビュー。7レシーブ、113ヤード、1タッチダウンの完璧なデビューである。

 私の印象としては、以前にもちょろっと書いたが、ドラフト時のイメージとはずいぶん違うなという感じである。ドラフト時のスカウティングレポートだと、もっと体格的にガッチリしたイメージであったのであるが、実物は、テレビで見る限り、そんなにガッチリしたイメージはない。また、プレイスタイル的にも体格を活かすという感じではなさそうである。公表サイズ的には6−2、221パウンドとあるが、6−1、208パウンドのニックスの方が余程ガッチリして見える。むしろ、ひょろっとした感じすらある。もしかしたら、脱ぐとすっごいのかもしれない。

 いずれにせよ、すくなくともこのゲームを見た限りでは、あるいは現時点では、プレイスタイルは体格型というより、完全にスピード・クイックネス型である。ボルディンというよりは完全にヒルトンである。体格を二回り大きくしたヒルトンというのが最も正確な表現であると思われる。あるいは、体格を一回り大きくしたアントニオ・ブラウンでも良い。

 ルートランは素晴らしいという程でもないが、ハンドも良いし、3巡90位という事を考え合わせれば、完全なスチールであろう。というか、このクラスの選手が3巡でまだ残っているというのだから、昨ドラフトは本当にWR大豊作の年だったという事になる。例年なら1巡下位あるいは2巡上位で消えてもいいレベルのプレイヤーだと思う。他のルーキーWRも皆活躍しているし、本当にWR大豊作の年だったのだろう。

 プレイスタイル的にヒルトンに似ているという点では、まさしく今のコルツ、ラックにマッチしているWRだと思う。実績、あるいは契約上、デプス的にウェイン、ニックスの下位に甘んじているけれども、より勝利に徹するなら、このモンクリフをスターターで使ってもらいたい。
 ヒルトン、モンクリフ、フリーナー、アレン、リチャードソンの2WR2TE1RBが今のコルツのベストの布陣だと思う。相手DCが最も嫌がるセットであろう。ヒルトン&モンクリフのコンビは、上手くいけば、アイザック・ブルース&トニー・ホルトのようなタンデムになると思う。ちと褒め過ぎか。

 ニックスとウェインのどちらかは来季いなくなると思うので、来季が本格デビューかな。でも、今季開幕からスターター級で出場していたら、新人王級の数字を叩き出していたと思う。まあ、仕方ないか。

 次はポラマル。ここ数年のポラマルを見ているとパフォーマンスの低下は明らかで、私も苦言を呈していたけれど、この日は全盛期を彷彿とさせるとまではいわぬものの、さすがの活躍。オープンフィールドでハードタックルを見せていた。さすがにカバー能力は落ちたと思うが、タックルは昔取った篠塚で、さすがである。

 この手のハードタックラーはオーバーパシュートと背中合わせの選手が非常に多いが(ドンテ・ウィットナーとかセルジオ・ブラウンとかセルジオ・ブラウンとか、)、ポラマルはまずそういう事が無い。パシュートアングルが良いのだろう。
 ポラマルはその風貌から野獣派みたいな印象を与えているけれども、こういうタックルひとつを見ても非常な知性派だという事がよく分かる。2000年代を代表するSSはポラマルで論を俟たないと思う(く〜〜、ボブ・サンダース。)。ちなみにFSはエド・リードであろうから、このAFC北コンビが2000年代最強のセイフティコンビという事になる。

                                         2014/11/9(日)
Week9 11月3日
IND@NYG
MNF
40−24
 はいっ、恒例の2本立て。

 第9週のジャイアンツ戦である。

 結果が出てからこういう事を書くのも気が引けるが、このゲームは正直言って、勝つと思っていた。8割方とまでは言わないが、余程のアクシデントのない限り、7割方勝つと思っていた。その根拠はというと、今のコルツというか、ラックが異常な勝ちたがりだからである。ここまでの2シーズン半で連敗は、今シーズン冒頭の2試合だけ、その2戦目のイーグルス戦も一時は20−3でリード、どちらかというとディフェンスの失態からの逆転負けである。続くJAX戦はラック怒りの前半30−0、このラックの性格からして、前週のスティーラーズ戦の屈辱的な敗北を受けて、このジャイアンツ戦はムキになって勝ちに来ると思っていた。で、それを押し返すだけの力が、今のジャイアンツなりイーライなりにあるかというと、それは無い。で、案の定、勝ち。

 ラックは、普段の物腰や風貌から、落ち着いた人柄である事は間違いないけれど、その内側には隠れた獣性がある。以前にも書いたけれども、ラックが少年期、ドイツで育ったという事は、その人格形成に大きく寄与していると思っている。ゲルマン民族というのは、ご存じのとおり、一見、生真面目で堅物であるけれど、その内側に獣性を秘めている。ゲームで劣勢に立たされた時、あるいは敗戦した次のゲーム、ラックのそのドイツ育ちの獣性が露わになるのだと思う。

 一方でアングロ・サクソン的な知性も身に着けている。そのアングロ・サクソン的な知性(まあ、アングロ・サクソンも元はドイツ人だけどさ。)とゲルマン民族的な獣性と暗愚がうまい具合にミックスされているのがラックの性格だと思う。

 そのアングロ・サクソン的な知性の一つの現れは、このゲームでの顕著であるけれど、ゲームが決した後の店じまいの速さっぷりっである。第4クォーター冒頭で40−10になったら、ぱっぱと店じまい。それまで、アホみたいにパスばっか投げていたのに、ゲームが決まったら、突然ラン一辺倒。水も漏らさぬ徹底ぶりである。ここまで、えげつない店じまいを見せるQBはほかにちょっといないと思う。個人記録への色気は全く無いのだろう。ディフェンス陣や個人記録が欲しいチームメイトからは苦情がくるんじゃないかと心配してしまう程である。でも、ラックの判断は完全に正しい。こういうところに、アングロ・サクソン的というかヤンキー的というか、えげつない知性を私は感じる。

 他にこのゲームは特筆すべき事はないかな。ゲーム内容的には、これもビックリする位予想通りの展開である。ラック&コルツの攻撃力にイーライ&コフリンは意地で抵抗するも、徐々に力の差が出始め、ターンオーバーっぽいものをきっかけに一気に崩壊、あとは為す術なし、みたいに予想していたら、本当にそんなゲームになった。

 個人評的には、ウェインかな。この試合珍しく大きなRACを見せていた(っつても、ノン・ディフェンダーだったけど。)。ウェインの唯一かはともかく、最大の欠点はRACの無さ、正確に言えば、RACの際のボール・セキュリティーの甘さであるけれど、ここ数年、つかキャリア5年目くらいから、それを自覚してか、ほとんどRACはしていなかった。

 ただ、この日は、目の前に誰もいなかったので、長躯RACのタッチダウン。その際、ボールを両手でがっちり握って走っていたのが私には非常に印象的だった。その後、エンドゾーンで照れくさそうにしていたのも、そういう表情は見せないタイプなので、私には同じく印象的だった。コーチ・ウェインは後輩に厳しく指導しているのでファンブル出来ないといったところだったのだろう。ディフェンダーはヒルトンがきっちりブロックしていたんだけどね。

 あとは、ジョナサン・ニューサムか。ここの所、ゲームに出始め、3サックと活躍しているニューサムであるが、彼もモンクリフ同様、ドラフト時のスカウティングレポートと実際のイメージが違っている。ドラフト時はマシスのパクリみたいなスカウティングレポートであったが、実際は、そんなにスピードは感じない。体も小さくない。そして、何より印象的なのは手の長さである。この数試合見た印象からすると、パワー・スピード・テクニックを兼ね備えたバランス型のように感じた。そうだすると、拾い物である。化ければ、ジャレッド・アレンである。そこまでいかなくとも、マシス抜きの現時点ではコルツのナンバー1パスラッシャーだと思う。ワーナーも4サック挙げているけれど、こちらはチームディフェンスの結果という感じであって、1on1で奪ったものではない。パスラッシャーという点では、ニューサムの方が断然上であろう。期待大。怖いのは素行だけ。

 あとは、これはまあ、大きなお世話かもしれないが、ジャイアンツのWCOには大いに無理を感じた。まず、タイプ的にイーライはWCO向きではないと思う。クイックリリースがある訳でもないし、複雑なプレイブックを読み込むタイプにも思えない。イーライは、ロスリスバーガーのように、おおらかなクォーターバッキングこそが良く似合っていると思う。また、真価も発揮すると思う。

 また、WR陣もあまりWCO向きではないように感じた。これから集めていくのかもしれないが、全員ちょっとタイプが違うように思う。あとまあ、5年位前ならともかく、最近はWCOタイプのWR自体が減っていると思う。習得に時間のかかるシステムだけに、WCOは元来カレッジ向きではないというのが、その最たる理由であろう。チップ・ケリー・スタイルのオフェンスの方がカレッジには向いているし、そういうタイプのレシーバーは昨今非常に多い。コルツのヒルトンやモンクリフも同タイプである。

 まあ、探すなり調教するなりして、この問題は何とか解決するのだろうが、根本的に「何故、今、WCO?」とは、ジャイアンツを見ていて強く思った。まあ、大きなお世話ではあるが。

 大きなお世話ついでで、もうひとつ。3年ぶりくらいでペイトン・ヒリスを見た。まだやってたのか。オフタックルを斜めに切れ上がる切れ味は相変わらず。ただ、それだけという気もする。

 さて、我等がコルツは来週バイで、その次はNE。まあ、正直、このNE戦はどうでもいい。極端に云えば、プレイオフの為の布石のゲームとして貰いたいぐらいである。

 で、その次のゲームからは、当該チームのファンには申し訳ないが、全勝する位の気持ちで臨んで欲しいと思う。それが出来なければ、プレイオフは勝ち抜けない。第16週のカウボーイズは強敵かもしれないが、このあたりだと、どちらかは準消化試合っぽいのでは、この辺以降はどうでも良い。

                                         2014/11/9(日)
Week11 11月16日
NE@IND
42−20
 前回の記事で、私は「このゲームの勝敗はどうでも良い。」みたいなことを書いたけれども、実際、ゲームを見ながらも強くそれを感じた。プレイオフの初戦バイが掛かっているゲームといえなくもないが、初戦バイは賛否両論あるところだし、プレイオフでどちらのホームで戦うのかというのは割に大きいが、それもそこまで決定的なアドバンテージとはいえないだろう。むしろ、私の野心としては、冬のフォッテンボローでペイトリオッツを討ち取りたいという気持ちが強い。マニングの敵をラックで討つみたいな。

 このへんのファン気質はともかく、コーチ、プレイヤー的にも、プレイオフを見据えての戦いなので独特のやりにくさはあったと思う。その象徴は後半55秒を残してのNEのニーダウンであろう。14−10と追い上げられて、タイムアウトは3つ残っていて、自陣14ヤードから、FGの一つも狙っても良さそうな場面であるのに、ニーダウン。いろいろなものを見せたくないという心理が働いたのだと思う。両チームともに、営業的にはともかく、プレイオフを見据えてという意味では、このゲームはしたくなかったというのが本音であろう。

 で、試合内容はというと、昨プレイオフとほぼ同じ、徹底的にインサイドのランを出されての完敗であった。しかも、スコア的にも22−43と20−42でほぼ同じという、さながら昨プレイオフのビデオを見ているかのようなゲームであった。

 スコアが似ているのはともかくとして、この大アジャスト祭りの現行NFLにおいて、2試合連続してほぼ同じ内容のゲームというのも、なかなか見られぬ珍現象だったのではないだろうか。これを深慮遠謀とみるか、構造的なものとみるか、偶々とみるかは意見の分かれるところであろう。私も正直良く分からない。

 しかし、ブロントもいないのに昨プレイオフと同じくインサイドをやられるというのは、さすがにどうかと思う。パーソナルの問題なのか、スキームの問題なのか、プレイデザインの問題なのか、同じく私にはよく分からない。これが、他チームにもやられているというのなら話は早いが、ペイトリオッツに限ってやられるというのはどういう事か。深慮遠謀である事を望む。

 また、昨プレイオフとほぼ同じ内容と書いたけれども、唯一にして最大の相違点は、ニューイングランドのDB陣のカバー能力の向上だろう。リーヴィス、そして何よりブラウナーの獲得は非常に大きかったと思う。SEAのカバシステムの導入を図ったのであろう。あたかも昨スーパーボウルでのマニングと同じように、ラックは困惑していた。昨スーパーボウルの記事にも書いたが、こういう時こそ真のエースレシーバーが必要であるのだが、残念ながら、今のコルツには、ブロンコス同様、真のエースレシーバーはいない。だから、獲れっって言ってんのに。

 実際、このパスカバー能力の向上とヴィンスの分、昨シーズンのペイトリオッツより3割増し強くなっていると感じた。AFCの本命、あるいはスーパーボウル制覇の本命とみて、まず間違いないと思う。だから、昨シーズン、勝っておきたかったのに。

 この昨プレイオフとほぼ同じ内容のゲームにどういう意味があったのか、その答えは1月に出る。といっても、当たる前にどちらか、特にコルツがコケる可能性もなくはない。褌締めろよ。

 と、ここまで、プレイオフ確定みたいな書き方をしてきたが、ペイトリオッツはともかく、ついにデビューしたヒューストンのマレット次第では、コルツはうかうかしていられない。褌締めてかかれよ。

 それくらいかな、このゲームの感想は。あと、コルツファン的にはカスタンゾの変なタッチダウン・セレブレーションを見れたのが唯一の収穫か。おとなしい奴かと思っていたら、意外にはっちゃけていたのね。ただ、ラインマン的に、その性格はどうかというのもなくはないが。

                                         2014/11/21(金)
Week12 11月23日
JAX@IND
3−23
 しつこく断わっておくが、先週のJAX@INDの記事である。現時点ではWeek13も終了している訳だが、記事自体はJAX@IND終了後の感想なので、それを前提として読んでいただきたい。
 とはいっても、それでは芸がないので、今回は新企画として、第13週終了時点での感想も併記してみた。赤字がそれである。私の心持ちが、Week13の結果を経て、どのように変化しているのか、楽しんでもらいたい。もっとも、第13週のゲームは結果とスタッツしか知らないので、それも配慮されたい。

 では、

 結果が出てから予想するシリーズ第2弾という訳ではないが、このJAX戦、まあまあこういう展開は予想していた。さすがに負けるとは思っていなかったものの、前回の対戦のように前半30−0で決着とは思っていなかった。JAXが同地区の意地で、それなりに抵抗するものの、最後は地力の差が出て完敗みたいなシナリオを描いていた。
 という訳で、前半6−3で終わったものの、まるで心配はしていなかった。

 ただ、そのシナリオが崩れるとすれば、ボートルズの覚醒だけだったので、その辺は注目していた。というか、このゲーム唯一とまでは言わぬが、私の最大の関心事は、同地区ライバルとしての、ボートルズの値踏み、格付けだった。

 さて、その結論はというと、まあいきなりで申し訳ないが判定保留としたい。いかんせん、このゲームではほとんどサックやハリーばっかりだったので、いかんとも結論を出しがたい。結論を出すまでもう2,3試合見てみたいと思う。

 とはいうもの、あのくらいのパスラッシュを捌けないとなると、NFLではちと厳しいかなという気がする。なんというか、判断が遅い。判断そのものは間違っていないのだが、それを出すのが遅いとい感じである。

 判断に関するネガティブな評価としては、「判断が悪い」「判断が遅い」「判断が出来ない」の三種がある。そのうち最も性質が悪いのは、もちろん3番目に挙げた「判断が出来ない」、すなわちフィッツパトリックであろう。これは、QBにおいては致命的かと思われる。
 また、最も良いと言ってはおかしいけれど、最もマシなのは第1番目の「判断が悪い」であろう。「悪い」のに「良い」とは何事かという反論もあろうが、スポーツに限らず、実人生の多くの場面においても「悪しき判断」は決して致命傷にはならない。なぜなら、それはスポーツにおいて顕著であるけれども、「結果オーライ」がこの世にはままある、というかほとんどだからだ。
 QBの場合で云えば、判断そのものは間違っていたとしても、見方はファインプレイをしたり、ディフェンダーがミスをしたり、レフリーが笛を吹いたり、思わぬ形で成功する場合も数多い。そもそも、人間の力で完全に正しい判断なんて土台無理なのであるから、正しい判断だって、ある程度は結果オーライであるし、判断そのものは正しくても結果的には間違いだなんて事もよくある。判断の悪いアレックス・スミスがNFLで先発できるのも、それが理由である。まあ、もちろん長いスパンで見れば正しい判断をしている方が、より勝利に近づくではあろうが。

 という訳で、「判断が出来ない」よりは「判断が悪い」ほうがずっとマシである。で、「判断が遅い」というのは、その中間に位置するのであるが、これもどちらかと云えば、「判断が悪い」に近いと思う。遅い判断は、ほとんどの場合、「無い」、すなわち「出来ない」と同じだからだ。判断に迷ったら、とりあえず決めてしまうのが、何事によらず、得策であろう。もちろん、そのギリギリまでは熟慮すべきであろうが。

 そういう訳で、このゲームを見た限りにおいては、私はボートルズを評価しない。同じ高順位QBという事で、比較の対象になろうマット・ライアンやサム・ブラッドフォード、マシュー・スタッフォードよりは落ちるし、ドラフト時比較されたロスリスバーガーとは比ぶべくもない。ルーキーイヤーのドルトンとも比ぶべくもない。ブランドン・ウィーデンと比べてどうかと問われると、ちと迷うが、ウィーデンの方が良いと思う。また、同期のブリッジウォーターとだったら、はっきり私はブリッジウォーターを選ぶ。ひとつ間違えると、ジミー・クラウセンだと思う。

 もちろん、これは、この1試合きりの判定なので、また別のゲームを見たら多少印象は変わるかもしれない。結論はもう数試合先に延ばしたいと思う。

 で、第13週のジャイアンツ戦では0−21から25−24の逆転勝利を演出。もっとも、当のボートルズの成績は194ヤード、1TDなので、まだ判断保留かな。

 さて、同じく、ジャクソンビル注目のルーキーといえば、個人的に噂のマークス・リー。動いているところを私は初めて見た。怪物やん。フリークやん。どう見ても、ワトキンスより上やん。私は、もう少しひょろっとしたイメージでもっと小柄かと思っていたら、6−0、192パウンドととても思えないほど体はゴツいし、当然運動神経は抜群やしルートランは絶品やし、文句なしにエースレシーバーの器やん(なぜに関西弁?)。イメージとしては、グレードアップしたデズ・ブライアントである。

 これが2巡39位なんて、完全な詐欺やん。まあ、ケガがかなり大きく憂慮されたのであろうが、それでも39位は無い。ケガを念頭においても、最低でも10番台だと思う。まあ、それだけ今年はWR大豊作だったという事であろう。

 でも、これが39位と分かっていたなら、リチャードソンは取らなかったなあ。26位で残っているとは予想だにしなかったもんなあ。ホッント、未来のことは分からん。

 顔もマイケル・ジョーダンに似ているし、名前もいかにもWRでスーパースターになりそうな名前である。かつて、私は、先輩つうか前任者のブラックモン(プレイスタイルもよく似ている。)についての文章で、「その変な名前が唯一の懸念材料だ。」みたいなことを書いたけれども、マーキス・リー、まさしくワイド・レシーバーの名前である。これは私の持論であるが、WRは普通の名前が成功するのだ。

 という訳で、私は一遍でマーキス・リーのファンになったのであるが、怪我以外にも懸念材料はある。それは前述したようにボートルズである。ボートルズが開花しなければ、スタッツが思うように伸びず、チームと一悶着でいつものパターンも十分ありうる。その時は我がコルツが丁重にお預かりしまーす。

 さて、ジャガーズ話はそれくらいにして、コルツ話に移ろうと思う。

 まずは、そのリーと同じくドラフト時過小評価気味ルーキーWRのモンクリフであるが、このゲームでは4レシーブ38ヤードであるが、とにかく何でも捕りよる。ハンドが非常に柔らかい。ニックスがあんな調子、後述するが、ウェインの老衰ぶりを考慮すると、もうスターター待遇にしても良いと思う。チーム内外にもそういう声はあるだろうし、何より本人のフラストレーションが溜っているだろう。以前にも書いたが、今のコルツのオフェンスに合うのは、ニックスよりも、ウェインよりも、モンクリーフだと思う。
 ホンット、2014ドラフトはWRの層が厚い。つか、厚かった、か。

 それを受けてかは知らぬが、第13週のWAS戦では待望のスターター・デビュー。いきなり、3レシーブ・134ヤード・2TDsの大活躍である。さぞかし溜飲を下げた事であろう。

 一方、そのモンクリーフとは対照的に、ウェイン先輩は珍しくドロップを連発。珍しくとココでは書いたけれども、ここ数試合、目立っている。技術的にはパーフェクトな選手なので、勿論ケガの影響であろうが、私にはそれよりなにより「老いたな。」というのが、正直な感想である。まあ、確かにケガの影響もあるのだろうけど、なにより足が付いて行っていないと思う。典型的な、スポーツマンの老い、老化現象である。ドロップ直後、当の本人が、悔しいというよりは「おかしいな。」という表情をしていたのが私には何より印象的だった。小手先の技術ではなく、足が付いていけなくなって、プロスポーツマンは引退していく。

 そこで問題になるのが、今季で切れるウェインとの契約である。ウェイン側コルツ側双方にとってなかなか難しい交渉になると思う。まあ、さすがにスターター待遇を望めばサヨウナラという事にならざる得まい。コーチ兼任でスポット参戦的な待遇だったら、再契約かなあ。何より難しいのは、ウェイン当人の判断であろう。引退から他チームでのスターターまでいろいろな選択肢があるだけに相当迷うと思う。すでに迷っているだろう。
 マイルストーン的にはもう少し頑張りたい気持ちはあると思う。ナンバー1のジェリー・ライスはとても無理だけど、レシーブ数なら2位まで265回、レシービング・ヤードなら2位まであと1732ヤード、3シーズン頑張れば何とか届く距離ではある。ただ、これはチームを厳選して移籍せねばなるまい。また、チーム記録的にはハリソンに42回378ヤードで追いつく。もちろん、これはコルツ残留が前提条件になる。スロットで1年間フル出場すれば達成できる数字ではある。

 まあ、判断に迷うところではある。

 判断に迷うといえば、ここのところ欠場の続くドェイン・アレンも同様である。力量的には何の問題もない。解説の河口さんが「殿堂入りするんじゃないか。」と言っていたけれども、殿堂入りはともかく、現役タイト・エンドの中ではトップクラス、あるいはナンバー1の力量の持ち主である事は、コルツファンとして多少の贔屓目は入るが、間違いないと思う。ただケガが多い。この3シーズンで半分くらいは怪我しているイメージである。激しいヒットを受けてのケガではないだけに、自身の運動能力に自身の肉体が付いていっていないという感じである。スポーツマンにはよくあるケースではある。コルトで云えば、ボブ・サンダースがこのケースであった。

 となると迷うは来オフで切れるアレンとの契約である。私はかつてアレンとフリーナーならアレンを残したいと書いたけれども、これだけケガが多いとなあ。来季もケガが多いようだったら、惜しいようだがサヨウナラかな。出場出来ないは、いないのと同じだからな。

 しかも、いなきゃいないで、やっぱりアレンの力は必要になってくる。アレンがいないと、コルツオフェンスは1次元失うという感じである。あるいは、半減するといったら大袈裟か。

 ケガが多いといえば、ブラッドショーも同様であるが、さすがにこちらは今期一杯でおさらばかな。ニックスともども、元ジャイアンツ単年お試し契約コンビは今期でサヨウナラかと思う。

 そのブラッドショーの穴埋めで出てきたダン・ヘロンであるが、こちらはいかにも平均的なRBという感じ。一番の特徴は、ボールセキュリティが、素人目に見ても、危なっかしいという点であろう。プレイオフで使うのは、さすがにちょっと怖い。

 と思っていたら、WAS戦でも早速のファンブルロスト。ラッシングは8回88ヤード1TDと結果を出しているけれど、この典型的なファンブル癖をコーチ陣はどう見るか。ちなみに私は否定派。

 そのヘロン同様、シーズン途中加入組のジョシュ・クリッブスであるが、こちらは、ウェイン同様老いたとはいえ、このゲームでは早速挨拶代わりの幻のパント・リターン・タッチダウン。プレイオフに向け、面白い存在になると思う。
 また、レシーバーとしても面白いのではないだろうか。ラックとの相性は良いと思う。こちらも楽しみ。

 しかし、このクリッブスといい、ATL入りしたデビン・へスターといい、一時代を築いたどころか、リーグ史に名を残すレベルのリターナーでも、30過ぎると簡単に首切られちゃうのね。厳しい世界。クリッブスもへスターもまだまだやれると思うけどなあ。全盛期の力はないものの、まだまだそんじゃそこらのリターナーよりは上だと思うけれど。

 一方、そんじゃそこらのレベルのリターナーであるグリフ・ウォーレンは当然のようにPS入り。まあ、さすがに「フェアキャッチ」叫んでいるだけでは飯は喰えんわな。

 そうして、第12週終了後、今度はテネシーを解雇されたショーン・フィリップスと契約。年齢的な不安はあるものの、現状のコルツでは1on1で勝負できるパスラッシャーはニューサムしかいないため、クリッブス同様、面白い存在になれると思う。プレイオフで1サックも挙げてくれれば儲けものである。
 しかし、これで結果的にはフリーニーとフィリップスをSDとトレードした格好になった。恰好だけだけれども。

 話は少し変わって、コルツの地区優勝戦線について。

 前回の記事で、「ヒューストンのライアン・マレットが本物だったら、地区優勝も危うい。」みたいなことを書いたが、そのマレットは、まさかのシーズンアウト。さすがに地区優勝は決まったと思う。と思っていたら、意外にヒューストンの今後のスケジュールが緩い。つか、JAXとふたつ、TENとひとつ、残している。実際、TEN戦は快勝。さすがにこれは3戦3勝すると思うので、第15週のHOU@INDが事実上の南地区決勝となろう。

 もっとも、それ以外の4つをコルツが全勝しちゃえば、それはそれで決着なのだけれど、その4つのうちWASとTENはともかく、CLEとDALはプレイオフが掛かっているので、楽に勝てる相手では無い。1勝1敗、下手すれば2敗してしまう可能性もある。まあ、とにかく、ヒューストン戦が今季のAFC南地区のすべてだ。こころして掛かれよ。
 とまあ、ビビッてはみたが、前回の記事でも書いた通り、このへんあたりも全勝する位の気概で向ってほしい。CLEもDALも一蹴するくらいの気持ちで。そうでなければ、プレイオフは勝ち抜けまい。

 ちなみに、来週(第14週)のブラウンズ戦であるが、マンジール先発ではないらしい。マンジール初先発の栄誉に浴してみたかった気もする。ジョニー・フットボール祭りにならなくて良かったか。でも、ちと見てみたかった気もする。

 と、まあ、赤字で第13週終了時点の感想も併記してみたが、あんま大したことなかった。典型的企画倒れ。とほほ。

                                         2014/12/6(土)

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