インディアナポリス研究会

歴史

戦評 '08シーズン

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<1/2/3/4/5/6/7/8>

2010年
Conference
Championships
AFC決勝
1月24日
NYJ@IND
17−30
 コルツファンの皆様、スーパーボウル出場おめでとうございます。

 と、軽く若松ちっくなショーモナイ書き出しで始めてみましたが、コルツ、勝っちゃいました。3年ぶりにスーパーボウル進出です。また、雨のマイアミです。プリンスのマイアミです。なんかミネソタの味方をしていたみたいですけど。パープルつながりで。

 しかしまあ、今シーズンを振り返ると、コールドウェルはとことん付いていたなあと思います。

 このプレイオフも、相性のいいBALに、5チームの中では最も力が落ちると思われるNYJ。そのNYJも、さんざん批判された、私もさんざん批判した第16週での主力温存の結果、出てきたチームであり、もしここでジェッツに勝っていたら、ジェッツのプレイオフは消え、コルツのプレイオフに於ける対戦カードもNE、SDという2連敗必至のカード(まあトーナメントなんで2連敗はないけど、2連勝の非常に難しいカード)になっていたかもしれず、そういった意味では全てがうまく転がったシーズンだったと思う。まだスーパーボウルがあるけど。

 とはいうものの、正直、アダイがファンブルロストした時には、8:2ぐらいで有利と書いていた手前、負けを覚悟して、いろいろ言い訳を考えちゃいました。ここで、その言い訳を並べてみたいと思います。

 一つ目は開始直後のドライブでの、ギジョン・ロビンソンの落球。これは1stダウンのレシーブだったので、これを取れていれば、モメンタム的にも試合展開的にも非常に大きく、前半の苦戦が避けられたと思う。そういった意味では非常に大きな落球だった。負けていれば、はっきり戦犯である。このギジョン・ロビンソンを使っている意味が、私には未だに分からない。2年も費やしているのに。

 次は、ブレイロン・エドワーズへの一発タッチダウン。
 まあ、これはしょうがないと思った。なんでプレイアクションに引っ掛かるかなあと思わないでもないが、そもそも引っ掛けるのがプレイアクションなので涙を呑んで我慢した。しかし先制した直後だったので、ものすごく痛かった。試合展開的に、というよりは両チームのモメンタム的に。これが無ければ一方的な展開も有り得たと思う。

 次にはマニングのスニーク。私は、本来的には「マニングはもっとスニークせい」という立場なのであるが、あの場面のスニークは無かったと思う。スニークに限らず、私はああいう3rd and short での見え見えの中央のランはあまり好まない。ああいう場面ではディフェンスはまず十中八九、中央のランを止めにかかるからだ。「他は仕方ない。中央のランだけは絶対止めよう。」という心理に、どういう訳か、陥る。実際ここもそうだった。こういうシーンでは、なによりFBへのスクリーンパスが効果的だと思う。ちょうど3年前のクレッコーさんへのパスである。
 もちろん、1stダウン、2ndダウンでは話は別である。
 
 次は、その返しのNYJのドライブ。
 まず、コッチェリーへの45ヤードパス。これは痛かった。これはマンマークが苦手な、というか、ほとんどしたことのないヘイデンの弱点がもろに出たと思う。あれはパワーズがマークしていたら、パスは通っていなかっただろう。ゾーンで守っていたようだけど、パワーズが守っていたら、なんとかパスは防いでいた筈である。
 これは来シーズンの課題にもなると思う。ヘイデンであれなら、マーリン・ジャクソンはもっと苦しむだろう。今年と同じように守るなら、この両者は放出かもしれない。カバー2チームにトレードすべきだろう。ケガのジャクソンはともかく、ヘイデンはまだまだカバー2CBとしてはリーグトップレベルである。対価が得られると思う。実際この試合でも、終盤に、いかにもカバー2CBらしく、スラントをパスカットしていた。
 そして、ダスティン・ケーラーへのTDパス。この試合は、このTDに限らず、ケーラーにいいようにやられていたが、これは今シーズン通してのキズであるブリットの弱点がもろに出たと思う。タックルしにいっちゃてんだもの。エンドゾーンでタックルしても、タッチダウンだっての。レシーバーの前に出なきゃあ。
 試合終盤は、パスシュチュエーションではアーロン・フランシスコを出して、ブリットにはブリッツとかをさせていたみたいだが、これが正解だと思う。ボブ・サンダースが戻ってくるにしても、セイフティは来季の最重要補強ポイントである。ベシアもよれよれだし。

 で最後はアダイのファンブルロスト。アダイには珍しいプレイだったので、本当に痛かった。しかし、ここでディフェンス陣が気合のFGに抑えたのが非常に大きかったと思う。ここでタッチダウンを獲られていたら、ゲームは持っていかれていた。そして、その返しのドライブでのコーリー3連発。これは本当に大きかった。

 このコーリーに、この日11レシーブでAFC決勝記録を作っちゃったピエール・ギャルソンのふたりがこの試合のMVPだろう。
 このふたりは今シーズンのコルツの象徴だと思うので、そういった意味でも、この両者が活躍して、スーパーボウル進出を決めたこの試合は、今季のコルツを象徴する試合になったと思う。また、この両者は、私の思うに、今季のチーム・オフェンシブMVPでもある。ゴンザレスの帰ってくる処は、もう無いなあ。ちなみに、チーム・ディフェンシブMVPはベシア。

 しかし、真のMVPは何といってもこのひと、ペイトン・マニングだろう。この試合もシーズンMVPにふさわしい活躍をした。QBというのは、チームの命運を大きく握るポジションではあるが、今のこの人ほど、チームの勝利に大きく関与するQBは他にいないと思う。マニングについては、稿を改めて、また書きたいと思うが、QBの一つの理想像を確立したと思う。クォーターバッキングを大きく前進させたと思う。

 試合に関しては、後半はもう完全にコルツのものだったので、もう何も書く事はないのであるが、噂のリーヴィスについて一言。

 リーヴィスについては、私はずっと厳しい事を書き続けているのであるが、この試合を通じて見ても、やはりシャットダウン・コーナーというタイプではないと思う。チャンプ・ベイリーやコートランド・フェネガン、アントニオ・クロマティといったシャットダウン・コーナーの系譜ではないと思う。どうしてもちょっと空くし、タックルも甘い。タイプ的には、アサンテ・サミュエルやロジャース=クロマティのような、パーフェクトにカバーする訳ではないが、どこかでインターセプトをするというタイプだと思う。QB・WRが最も勝負したくなるタイプだろう。もちろん、どっちが良いかという事になれば、シャットダウン・タイプという事になる。まあ、インターセプトも大きな武器ではあるけれど。

 試合内容については、こんなところかなあ。あと、最後にヘイデンがインターセプトをしたシーンでは、3年前のマーリン・ジャクソンにその姿を重ねた人も多かったと思う。実況も叫んでいたようだし。

 試合が終了してセレモニーの始まる前に、表彰式の台上に、小汚い格好をした黒人がいて、放送局のADなのかなあと思っていたら、よく見たらエッヂさんでやんの。このひともコルツ色が抜けないなあ。明らかに、戻ってきたがっている。
 しかし、ラマー・ハント・トロフィーのプレゼンターをやるんだったら、スーツとか着て来いよ。スーツ代が惜しいのか。コルツ時代から、ケチ臭い感じだったが、変わらんのお。

 来ていると言えば、ダンジーさんもまた来てた。ほんと出たがりだな、このひと。だんだんマジック・ジョンソンに見えてきた。スーパーボウルではこのひとがプレゼンターやるんじゃねえだろうなあ。やりそうだ。
 そのダンジーさんであるが、何故か、貧乏席というわけではないけれど、普通の席っぽいところで観戦していた。前ヘッド・コーチなんだから、ラグジュラリー・ボックスみたいなところで観戦しても良さそうだが、不思議。清貧のイメージを大切にしているのか。イーライは、例によって例の如くのところにいましたけど。マニング・ボックス。

 ボックスシートで観ていたポリアンさんは、これで6度目のスーパーボウル進出。これって、GMとしては最多記録ではないだろうか(正確には今はプレジデントだけど、)。まあ4回負けてるが。

 あと今プレイオフでちょっと思ったのが、もしかしてコルツがプレイオフで成績が悪かったのは、このポリアンのせいでも、ダンジーのせいでも、マニングのせいでもなくて、もしかしたらハリソンさんのせいではないかという疑惑である。実際、この試合もハリソンの後釜であるギャルソン&コリーが大活躍、チームを勝利に導いている。あれがハリソンさんだったら、バンプの嵐で、思うようにルートランニングが出来ず、オフェンス行き詰まりという例によって例のパターンだったのではないだろうか。彼等とハリソンの唯一の違い、唯一の勝っている点は、その体の強さのみである。ハリソン・ファンとしては嫌な疑惑であるが、有り得る話ではある。

 で、スーパーボウルの対戦相手はニュー・オリンズとなった訳であるが、まあ、これは五分五分だと思う。どっちが勝ってもおかしくは無い。今回のNFC決勝のように、ファウルやFG、ターンオーバー、コイントスなど、小さなことで(ターンオーバーやFGは小さくないけど、)勝敗が分かれると思う。ヴィナ様に蹴らすか。

 今の(つーか、ずいぶん昔から)マニングは、天候やドロップ、ファウル、サイファーズなどが無い限り、つまり純然たるディフェンスの力だけで、20点以下に抑える事は到底不可能なので、コルツに勝つ為には、ある程度点を獲っていく事が必須である。コルツを20点以下に抑えるよりは、コルツから30点獲る事の方が、コルツ戦勝利の近道だと思う。実際、今季のコルツが最も負けに近づいたNE戦では35失点している。そういった意味では、ジェッツよりセインツの方がコルツを破る可能性はかなり高い。

 という事は、コルツが勝つためには、セインツを30点以下、出来れば20点以下に抑えたいところなのであるが、どうかなあ、さすがに厳しいかなあ。コルツが苦手とする大型レシーバーもゴロゴロいるし。結局はフリーニー&マシス次第か。彼らが爆発すればコルツ勝利と見る。彼らが沈黙すると、ちょっと厳しくなるなあ。

 じゃあフリーニー&マシスの爆発がどのくらいあるかというと、結構あるんじゃないかなあと思う。NFC、つうかNFLには彼等のようなタイプは他にいないし、やり慣れていないNFCのチームはかなり苦戦するんじゃないだろうか。ジャレッド・アレンの様にはいかないと思う。つーか、してくれ。

 ちょっとここで、そのNFC決勝の感想。つっても、ちょっとしかないんだけど。

 ファーブ、来年もやんだろうなあ。さすがにカンファレンス・チャンピオンシップ同点からのインターセプトで引退は悔しすぎる。つーわけで、初夏の風物詩、ファーブの引退騒動に一票。

 あとブルネル。なんでセインツのホルダーやっているのか、未だに分からん。ちょっとQBの弱いチームに行けば、十分先発できると思うのであるが、何故にセインツのホルダー。ホルダーの名手なのか。元先発クラスのQBがその晩年にホルダーをやっているというのは、結構珍しいのではないだろうか。

 あと、個人的にはミネソタに勝たせてやりたかったなあと思う。ミネソタファンという訳ではないけれど、ミネソタの面々は、ファーブを始め、引退がすぐそこに迫っている選手ばかりなので、今回はセインツ、諦めえい、という気持ちであった。セインツは今後もまだまだチャンスがある。

 で、話をスーパーボウルに戻すが、今季のプレイオフのコルツの相手は皆ことごとくコルツに因縁がある。かつて本拠地のあったボルチモアのレイブンズ。ギャランティ・ボウルの敵役となったジェッツ、そして、とどめは父アーチーの古巣、セインツ。これでセインツに勝っちゃったら、ルイジアナ地方におけるペイトンの評判、また悪くなるんだろうなあ。勝てば勝つほど人気が下がる。って、お前はコービー・ブライアントか。

                                                        2010/1/27
2010年
SUPER BOWL
スーパーボウル
展望
 スーパーボウルも数時間後に迫り、毎年恒例のスーパー展望をコルツ出場の今年に限ってやらないというのも何なので、ちょこっとやってみます。でも、あんま書くことないんだよなあ。

 その前に、ちょいとプロボウルについて。

 当然つうか、やっぱりつうか、コルツ・セインツ勢は一人も出ないのね。ワンシリーズぐらい出ても怪我しないと思うが、どうだろう。怪我するようなプレイを当該チームの選手が敢えてするという事も、考えられなくは無いけど、まあ、まず無いだろう。
 ああダラス・クラーク、である。しかし、こういう場合は出場記録的にはどうなるのだろう。形の上では出場した事になるのだろうか。マニングの連続出場記録もあるし。やっぱダメか。

 さてスーパーボウルである。

 カンファレンス決勝から2週間経ち、情勢的に変化したことといえば、フリーニーの怪我ぐらいである。これにより、私がAFC決勝直後に予想したフリーニー&マシスの爆発によりコルツ圧勝というシナリオは消えたと思う。実はフリーニー仮病という説も無くは無いけど。

 したがって、今回のスーパーボウルは完全に両チームのオフェンスが爆発する叩き合いになると思う。実際、各メディアでもそういう予想が大半である。なかには、へそを曲げて両チームとの、あるいはどちらかのチームがそんなに得点できないとする予想も散見するが、これは完全に徳光和夫流の穴狙い、アナル好きの予想であろう。と、軽く下ネタ。

 得点が思ったほど入らないというケースも勿論ありえるだろうが、それは、FGが外れるとか、レッドゾーンでのターンオーバーというような、所謂結果的に得点できなかったというだけで、純然たるディフェンスの力によるロースコアゲームという展開は、まず考えられない。オフェンスが進みあう展開になることだけはまず間違いないと思われる。

 肝心の勝敗であるが、4.5:5.5ぐらいでコルツ不利と見る。純然たるオフェンスの力では、その位の差があるであろう。QBの力ではコルツ有利、大げさに言えば圧倒的有利だろうが、その他のサポートキャストではさすがにセインツ有利と見る。ジャマール・ブラウンがいないのは、痛いといえば痛いだろうが、今季は抜きで戦ってきているので、関係ないといえば関係ないであろう。

 ただまあ、いずれにしても勝敗を分けるのは、レフリーの笛加減や、ボールの転がり具合、時間の残り方というような、純然たるチーム力以外の部分になると思う。あとはまあ、これは純然たるチーム力に入るか否かは微妙だけど、コールの当たり外れか。

 今回、私がいまひとつスーバーボウル展望を書く気にならなかったのは、コルツの試合なので年がら年中あれこれ書いているというのも理由のひとつなのであるが、最大の要因がこのあまりいろいろと考察するところの無いマッチメイク、戦略・戦術よりは運・不運で勝敗の決するマッチメイクだからである。
 前回コルツの出場したスーパーボウルも含めて、ここ数年のスーパーボウルは、オフェンス型対ディフェンス型、オフェンスNo.1対ディフェンスNo.1みたいの対立の構図だったので、いろいろと妄想が膨らみやすかったのであるが、今回は完全に類似したチーム構成の両チームの対決である。あまり妄想の膨らむ余地が無い。
 また、新興チーム対古豪、一見さん対常連、みたいな対立の構図も無い。コルツも常連さんというほど常連でもないし、セインツも一見さんまではいかないもんなあ。

 運・不運で勝敗が決するマッチメイクだと、あんまり書くことが無いんだよなあ、どうしても。勿論妄想が膨らみにくいからといって、試合自体がつまらないということは絶対に無い。むしろ、高いレベルのオフェンス型のチームが激突すれば、大概の場合、面白いゲームになる。手に汗握るゲームになる事、必定だろう。高いレベルのディフェンス型のチームが激突すると、観客的には何だかなあ、みたいなゲームも多いが、高いレベルのオフェンス型のチームが激突すれば、観客的には面白いゲームのなること請け合いである。卑近な喩えになるが、レスリング・オリンピック決勝とプロレス世界タイトルマッチぐらいの違いがある。敢えて、どっちがどっちとは書かないが。

 ただ唯一凡戦になる展開としては、勝敗を決する運・不運が前半の非常に早い段階にやってきて、そのまま一方がモメンタムを完全に失い、一方的に押されまくるというパターンだろう。この場合は45−7みたいなスコアも大いに有り得る。これと先に書いた、FG外しまくりやレッドゾーンでのターンオーバーが出るパターン以外は、両チームがともに30点前後得点する大盛り上がりの試合になると思います。目指せ、グレイテスト・ゲーム・エバー・プレイド2。 

 明日、つうか今日は宅配ピザでも取って、アメリカチックに応援したいと思います。しかたない、ピザーラ儲けさせてやるか。っつても、一番安いピザしか頼まないけど。

 という訳で、コールドウェル、最後は、つうか今季は、君の強運が全てだ。最後のゲームも君の強運っぷりを見せてくれ。そして、コルツを勝利に導いてくれ。最後の最後の土壇場で清算させられる、ということだけは無いように。

 そういやあ、今季はこれやってなかったな。GO COLTS !!!

         2010/2/8 美味いピザはどれ。6時間後の私の気持ち。さらに5時間後の私の気持ち。腕が疲れた。
2月7日
NOvsIND@MIA
31−17
 さて、結果です。負けちゃいました。

 結果的には実力差がそのまま出たかな、という印象です。もちろん、最終スコアである14点差分も実力は離れていませんけれども、試合内容的には、このくらいの差はあるかな、という感じです。点数で表せば、3点差ぐらいですかね。それを覆すような強運も、コルツ側には全く無かったし。さすがに運だけじゃあ、スーパー制覇は出来ないか。

 以下、いろいろと愚痴ってみたいと思います。

 まず最初の愚痴は、前半終了間際、セインツの攻撃でゴール前の4th and ギャンブルを止めた後、コルツの攻撃が2回のランで3rd and 1になり、そこでもう一発ランを繰り出し、まさかのストップ、パントを強いられ、返しのドライブでFGを決められてしまい、先にギャンブルを止めたことの意味がなくなってしまったというシーンである。

 別に、これは誰が悪いというわけではないのだけれど、すべてが回転した結果、コルツが割りを食ってしまったというシーンである。展開の綾とでも言うべきであろうか、フットボールの試合、特に大試合では、こういう展開の綾が大きく勝敗に影響する。
 もし、ここで残り時間があと20秒少なかったら、3rd and 1でファーストダウンを更新していたら、それ以前に3rd and 1にはならず、3rd and 5ぐらいでパスプレイを選択していたら、と、コルツサイドとしては様々な「たられば」を言いたくなるシーンではある。

 そもそも、それ以前の問題として、もしギャンブル、つうかその前の3rd and ダウンの時点でタッチダウンを取られるなりFGを決められるなりしていた方が、コルツサイドとしてはまだましだった。その返しのドライブでTDなりFGなりを奪うチャンスもあったし、仮に奪えなくても、ただ点差が詰まった、ないし逆転されたというだけの話である。
 この試合の展開だと、ギャンブルを止めたにもかかわらずFGを決められたという事で、コルツサイドとしては、ものすごく損をした感じであり、セインツサイドとしてはものすごく得をした感じになる。実際、ここでモメンタムが変わったと思う。後半冒頭のオンサイドにもつながっていく。

 そして、そのFGを決めたギャレット・ハートリー、この試合のMVPは当然のようにドリュー・ブリーズが受賞した訳だが、このハートリーこそがこの試合の真のMVPだったと思う。
 件の前半終了間際の値千金のFGを含め、前半に決めた3本のフィールドゴール、これはチームを大きく救ったと思う。前半、初めてのスーパーボウルの為か、動きの悪いセインツ・プレイヤーの中にあって、ただひとり淡々と決めていった3つのフィールドゴールがチームを勝利に導いたと思う。セインツのチームメイトに、ファンに大きな勇気を与えたと思う。このうちのどれかひとつを外していても、セインツは敗れ去っていただろう。コルツファンの私から見て、一番いやらしいプレイヤーは彼だった。

 しかも、この3本はそれぞれ、46ヤード、44ヤード、47ヤードという、決して外してもおかしくない、かといって外したら外したでがっかり感の強い、実にいやらしい距離である。これが50ヤード台だったら、外しても、「まあ、しょうがねえな。」の一言で終わりであるし、30ヤード台以下だったら、「バカ。」の一言で終わりである。敵側は、当然その逆の心理になる。この40ヤード台のFGというのが、謂わばキッカーの真価を決める距離なのであるが、彼はそれをこの大舞台で、しかもチームが完全にモメンタムを失っている中、ことごとく決めた。NFC決勝のFGも含めて、フランチャイズ史に残る見事なプレイだったと思う。

 で、話をゲームに戻すが、前半残り51秒からのドラマが試合の趨勢を大きく変えたと私は考えているので、後半はその失ったモメンタムをコルツがどう奪い返すかに掛かっていたのであるが、結果的は奪い返す事は出来なかったという事になる。

 後半しょっぱなのオンサイドにしても、まあしょうがないだろう。オンサイド・キックというのは、鈍足選手の盗塁みたいなもので、誰もやってこないだろうというシーンで決行すると、まず十中八九成功する。この決断、というかアイデアも直前の51秒からのドラマが生んだものだろう。

 ストーバーの51ヤードのFGにしても意見が分かれるところであろうが、さすがにパントをしてもあまり意味は無いと思うので、ギャンブルかFGかの選択になるだろうが、このへんは結果論でしか議論できないので、なんとも言えないだろう。HCの気持ちひとつというか、運勢ひとつのシーンである。
 もちろん、パンターがマカフィーではなく、サイファーズだったら、躊躇無くパントだろうが、マカフィー、コントロールパント、出来ないもんなぁ。十中八九タッチバックだし。良くて13ヤードぐらいだろう。来季に向けての大きな課題である。

 ただひとつこのシーンで私が注文をつけたいのは、その前の前のプレイのオースティン・コリーへのスクリーンである。ここでライアン・ディームがブロックに失敗した結果、3ヤードロスになり、FG失敗につながる訳であるが、ここはブロックを決めて欲しかった。コリーの前にいるふたり(誰かは不明であるが、)はきっちりブロックしていたので、ディームがブロックしていればファーストダウンは取れていた筈である。勿論、そのファーストダウンが取れていたからといって、その後どうなるかは、全くの不明であるが、このブロックは決めて欲しかった。
 私は、ディームに対しては、どうしてもきつくなるのであるが、それはこういうシーンを多々見るからである。ダウンフィールドでのランブロックというのはRTの見せ場だと思うので、精進してもらいたい。というか、OL全体をもう少しレベルアップしたい。この試合を見て、つくづくそう思った。

 あとはまあ、フリーニーさんか。後半押し捲られた最大の要因は、このフリーニーというか、フリーニーのケガなのであるが、仮病まで疑われた前半の動きが、後半突如失われてしまった。怪我の悪化か、テーピングの失敗か、理由は不明であるが、これは本当に痛かった。
 ただまあ、それ以上に痛かったのは、その状態の悪いフリーニーさんを後半もちょびちょび使い続けたという点である。あの状態だったら、マシス&ブロックで固定して欲しかった。これははっきり首脳陣の失態だと思う。まあ確かに、この大試合で、出たいというスター選手を出さないというのは、外から考える以上にはるかに難しいことではあるけれど、ここは決断して欲しかった。

 とまあ、オンサイド、51ヤードFG、ディーム、フリーニーと後半の疑問点をいくつか書き連ねたのであるが、私がそれ以上に問題だと思っているのは、実はディフェンスの守り方である。後半丸々とは言わないが、せめて第4クォーターぐらいはターンオーバーを獲りにいく守り方、カバー2をして欲しかった。

 この試合は1試合を通じて終始、一発タッチダウンを喰らわない守り方、すなわちパスは通されてもその場できっちりタックルするという守り方に、コルツは徹していたのであるが、せめて第4クォーターぐらいはインターセプトを奪いにいって欲しかった。

 まあ確かに、前半はその守り方が功を奏していたし、今更カバー2をやるといっても、その要員はほとんどいないし、肝心のDLが、DTふたりがNTタイプで、フリーニーはケガ、ラヒーム・ブロックはどちらかというとDTタイプという事で、4メンラッシュが出来ず、2メンどころか1,5メンラッシュ状態なので、なかなかカバー2には踏み切れないという事情もあるだろうが、ここはカバー2でも何でもしてインターセプトを奪いにいって欲しかった。

 後半は、結果的にはほとんどのドライブでタッチダウンを奪われていた以上、この守り方は意味が無かったと思う。
 一発タッチダウンだけは消して、互いの攻撃回数を少なくするというのが、コルツの、というかセインツも、ゲームコンセプトだったのかもしれないが、第4クォーターだけはそれを捨てて欲しかった。このへんは、あまりこういう人種差別的なことは言いたくないが、黒人特有の保守性が出たと思う。ショーン・ペイトンが試合終盤はインターセプトを奪いにいっていたのとは好対照だった。こちらは、先のオンサイドも含めて、白人特有の攻撃性が出たと思う。

 そして最後にひとつ、これは試合結果とは直接関係無いと思うが、マニングの終盤のドライブ、24−17、31−17のドライブ、どちらかはタッチダウンを獲って欲しかった。獲れてりゃ勝ち、とまでは言わないけれど、意地を見せて欲しかった。
 このシーン、ロスリスバーガーやブレイディ、イーライ・マニングなら、少なくともどちらかのドライブでタッチダウンを獲っていただろう。こういうところが、マニングを史上最高のQBと称するのに躊躇してしまう処なんだよなあ。間違いなく、唯一の欠点である。全米中に恥を晒した。
 これでマニングの「勝負弱い」という評価は確定したと思う。残りのキャリアの年数から考えてみても、これを覆すのは不可能だろう。まあ、性格的な問題なので、改善する事は無いと思っていたが、ちと寂しい。

 こんなところかなあ。総じて言えば、冒頭述べたとおり、実力差どおりに負けた、ということである。それを覆す、戦術なり、根性なり、強運なりは、この試合に限っては無かったという事になるだろう。清算させられた、とまではいかないけれど、今季のコールドウェルのバカヅキは前の試合で終了していたという事か。

 セインツに堅さの見れた前半にもっと押し捲っていれば、勝てた、みたいな説もあるだろうが、それは完全に結果論だろう。点差がつけば、逆に開き直って、去年のカージナルスのように、ガンガン来てたかもしれないし。このへんは堂々巡りでしょう。

 今季のコルツはスケジュールに恵まれてここまで来たという事もあるので、そういった意味ではあんまり悔しくないです。大多数が望むストーリーラインも完成したし、良かった、良かった。って、バカ、めちゃめちゃ悔しいワイ。
 
 あと話はちょっと変わるが、先の記事でスーパーボウルは宅配ピザでも食べながら応援すると書いたが、その後、ピザーラの営業時間を調べると、なんと平日は16:00からの営業開始、アメリカチックなスーパーボウル観戦は断念した。この調査不足がスーパーボウル敗退の一因かもしれない。コルツ・ファンの皆様、ごめんちゃい。ごめんね〜ごめんね〜

 しかしまあ、ブリーズがスーパー制覇したその年に、トムリンソンは退団志願とは。運命は大きく分かれたのお。

                                 さぁて、溜息混じりの一ヶ月を過ごすか。2010/2/9

 先の記事で「ハートリーが前半3本のFGを決めた」と書いていますが、正しくは「前半2本、後半第3クォーターに1本」の間違いです。謹んで訂正いたします。ごめんね〜ごめんね〜。
 重要性や価値に於いては変わりはないので許して下さい。一応、ボックス・スコアは見ながら書いていたんだけど、敗戦のショックからか、勘違いしちゃった。

 ハートリーのFGの価値について、ついでにちょっと付け加えておくと、1本目のFGはフリーニーにサックされて7ヤード下がってからのFGである。サック直後のFGというのは、スーパーボウルでなくとも、モメンタムを完全に奪われた、典型的な外しがちのシーンである。それも46ヤード。やはり見事としか言いようがない。MVP級だと思う。

                                                        2010/2/16

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