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| Week7 | 第7週 雑感 |
アメリカ人やヨーロッパ人の間でラーメンが人気になって、あるいは一般化して久しい。 私は常々、という程大袈裟ではないが、以前から、この件について疑問に思っていた。何故にアメリカやヨーロッパにはラーメン的な料理が無かったのであろうか。 アメリカやヨーロッパは、日本とは違い、元来小麦文化圏である。そうして、アメリカ南部や南ヨーロッパはともかく、ニューイングランド地方や北ヨーロッパは、日本より寒い地域である。温かいスープに麺を入れて食すタイプの料理があっても全然おかしくない。いや、むしろ日本より、あって然るべきであろう。 ところが無い。何故か。 最近気が付いたのであるが、欧米には箸が無い。そうして、箸が無いと、ラーメン的な料理は非常に食べづらい、あるいは美味しくない。フォークで麺類を食べるとなると、スパゲッティのように、粘度の高いスープ、というかソースに絡めて食べるしかない。ラーメンのような粘度の低いソース、すなわちスープだと、フォークに絡める事が出来ない。箸を使って、持ち上げた瞬間に麺をすする、それこそズルズルすすらないと美味しくないのがラーメン的な料理である。 カップラーメンはフォークで食させていたようであるが、それゆえ保存食的な位置づけ、貧乏人の食料的な地位から脱する事が出来なかったのだろう。ラーメンには箸が必須である。 箸というのは道具、すなわち何らかの目的のための「結果」なのであるが、この場合はそれが逆転して、箸が「原因」になっている。因果関係の面白いところ、一筋縄ではいかないところである。 まあ、「箸が無い」だけが理由の全てではないだろうけどさ。 話は変わって、パシフィックリーグのクライマックスシリーズ、日本ハムが3連敗から3連勝、そうして第7戦を落としちゃいましたね〜〜。いや、このパターン、あるのね。長嶋ミラクルの価値が薄れるやないか〜〜い。 もっとも、今回の場合は初戦はアドバンテージの1勝なので、実体的には(?)、2連敗からの3連勝。んで、最終戦は、つか全戦敵地。そういった意味では、長嶋の時とは多少色合いは異なる。純正感は薄れる。最終戦を相手ピッチャーの力投に屈したという点では同じだけど。やはり、野球はピッチャー。 さて、前回の記事で「大谷と諦め」みたいなことを書いたけれども、その補遺というか余録。 大谷現象に関しては、前例のない事があまりにも多いのだけど、そのひとつとして球界OBの態度というのもあると思う。 一般に球界OBというのは、日米を問わず(韓国台湾は知らん。)、更には競技を問わず、後輩、とりわけ後輩スターには厳しい。なんやかんやと難癖をつける。「自分の方が優れてる」とか「自分の時代の○○の方が良い選手だった」みたいな事を云いたがる。 元来、プロスポーツマンというのは、一般の人々に比べ、競争心の強い人達だから、そういう反応は致し方ないとこであろう。「実るほど頭を垂れる稲穂かな」ではプロスポーツマンは務まらない。倨傲な自尊心は必須である。 ただし、今回の場合はちょいと事情が異なる。日米を問わず、球界のOB、なかでも殿堂入りクラス名球会入りクラスのOB、すなわち、より実績のあるOBほど、大谷に対して無条件の称賛、賛美、無条件降伏状態なのである。オルティスやAロッド、ランディ・ジョンソン、日本だと山田や落合等々である。つか、サバシアは大谷が好き過ぎる。ちょっと抵抗してるのはボンズくらいである。ジーターが最近の発言で味噌をつけたらしいが、ジーターも基本的には全面降伏である。 かえって、実績に乏しい球界OBとか、私のようなゴミのようなプレイヤー経験しか持たない人たちの方が、大谷に対して、あれこれ難癖をつけている。 もちろん、広岡は例外。広岡は呼吸するように悪口を言う。広岡が無条件に褒めた野球選手は、私の知る限りただ二人、高橋慶彦と郭泰源のみである。 広岡はともかくとして、実績のある球界OBほど、何故に大谷を称えるのであろう。大谷に無条件降伏するのであろう。時には、大谷のプレイに涙すらしてしまうのだろう。 理由は一つしかないと思う。彼らは大谷の姿にかつての自分を重ねているからだ。大谷の姿に天才野球少年だったかつての自分を見ているのだ。大谷を通して、あの日の自分、少年時代の自分を見ているのだ。だから、涙してしまう。 プロ野球選手、なかでも殿堂入りや名球会入りするようなスーパープレイヤーの多くには、それこそ前回の記事に書いたような天才野球少年だった時代があった筈である。 今現在の大谷のように、自分が投げ自分が打ってチームを勝利に導く天才野球少年だった時代である。そうして、学校や町といった小さなコミュニティとはいえ、その中では王様であったろう。 そうした天才野球少年たちも、歳を得るにつれ、「俺はバッティングセンスが無いから、ピッチャーやるわ。」とか、「俺の球はピッチャーの球じゃないから、バッターに集中するわ。」とか、「足と肩には自信があるから、センターに転向するわ。」とか、あるいはコーチやスカウトの勧めにより、どちらかに専念する、すなわちどちらかを諦めるものもいるだろう。 また、アメリカだと、「チアリーダーと付き合いたいから、」とか「背が伸びたから、バスケットボールやるわ。」みたいなのもいるだろう。 当然といえば当然である。大人になるというのは諦めるという事である。 ところが、大谷は30過ぎて、メジャーリーグの舞台で、いまだに天才野球少年を続けているのである。かつての天才野球少年たちが涙するのも無理はない。自分に有り得たかもしれない姿だからだ。自分に有り得たかもしれない未来だったからだ。 また、前回紹介した本にあったように、大谷と同世代の元天才野球少年たちが、大谷を「別物」として、その認識から消そうとするのも無理からぬ事であろう。先輩や後輩ならともかく、同世代にはあまりに厳しい「現実」である。大谷は、自分に有り得たかもしれない現在だからだ。嫉妬どころではない。 それはあたかも鳥山明と同世代のマンガ家たちの多くが、先輩や後輩の鳥山への賛美とは対照的に、沈黙を続けているのとよく似ている。鳥山明こそ、自身が成りたかった現在であったろう。 とまあ、こんな風に考えると、大谷に対して戦略的戦術的に批判するのは、もはや無意味といってよい。チームへの貢献度とかプレイヤーとしての実績などは、今の大谷にはまるで無意味無価値なことである。私も「二刀流は要らねーー」みたいな事をかつて言ったし、今現在もそう思っているが、そんなのは無価値無意味な批判である。 なぜなら、観客のすべては大谷の「二刀流」を見に来ているからだ。「二刀流」の無い大谷など無価値無意味であろう。それはプロスポーツマンの最も原初的な姿である。観客はその存在を見に来るのだ。かつての長嶋茂雄やマイケル・ジョーダンがそうであったように。 しかも、大谷にはその「二刀流」の他に、もうひとつ観客動員力がある。それはその「飛距離」、「バカげた飛距離」である。さすがに、マントル級は言い過ぎかもしれないが、ジョシュ・ハミルトンやスタントンに匹敵する、いや彼らを凌ぐその「バカげた飛距離」、「高く遠い打球」である。そういえば、ジョシュ・ハミルトンにとっても、大谷は「有り得たかもしれない未来」だったと思う。今の大谷にハミルトンは何を見ているのだろう。 それはともかく、大谷の「飛距離」である。そもそも当時の日本ハムファイターズの首脳陣が、大谷に二刀流を勧めた、あるいは強いた決定的な理由は、その「飛距離」だったと言われている。当時の大谷のバッティング練習を見た誰もが口を揃えて「俺が見た中でナンバー1のバッティング練習。清原や松井、カブレラやウッズ以上」と説く、その「飛距離」である。 これがもし、「バッティングセンスがいい」とか「ホームランが打てる」とかいう程度のバッティングだったら、当時の日本ハムの首脳陣も大谷に二刀流を勧めなかった、強いなかったであろう。「球速160キロを投げるピッチャー」として扱ったろう。 ところが、その「飛距離」、清原や松井どころか、中西太すら凌ぐ、日本球界史上最高、それもダントツ1位の「飛距離」を見て、「二刀流」を勧めた、強いたのだと思う。大谷本人よりも、周囲の人間がその「飛距離」を捨てられなかったのだと思う。 ちなみに、「大谷が高校卒業後、直接渡米していたら、二刀流は無かった」とはよく言われているけれども、私は案外そうではなかったのではないかと思っている。アメリカの野球関係者も大谷の「バカげた飛距離」を見たら、「二刀流」を模索したと思う。あるいは、「バッター」にしたかもしれない。それくらい、プロ野球にとって「飛距離」は価値のある事なのだ。 実際、米日ともにプロ野球人気に火をつけたのはベーブ・ルースと大下弘というホームランバッターだった。観客の多くは、「野球」ではなく、「ホームラン」を見に来たのである。もっとも、私は当サイトでこれから、「ホームランを廃止しろ。ホームランこそ野球をつまらなくしている元凶だ。」って、あちこちで云うつもりなんだけどな。 とはいえ、私のような通人、いやひねくれ者にとってはともかく、一般大衆にとって、「ホームランこそ、野球の華」であろう。それは、疑いようのない真実である。 実際、ありとあらゆるスポーツの中で最も美しいプレイは「ホームラン」だと思う。観客を魅了するプレイ、それは「ホームラン」だと思う。それは、ホームラン否定論者の私も認める。 それに次ぐのは、おそらくボクシングのカウンターパンチであろうが、惜しむらくはカウンターパンチは通常の人の目には見えない。私はかつてモハメド・アリのクロスカウンター、「あしたのジョー」のインチキクロスカウンターではなく、正真正銘本物のクロスカウンターを見た事があるけれど、変な表現になるが、私の目には見えなかった。いや、誰の目にも見えなかった。対戦相手は勿論の事、レフリー、観客、実況席、誰の目にも見えなかったのだ。当のアリ本人にも見えなかったろう。唯一の認識はアリの手応えのみであった。 故に、八百長が疑われた。その後、ビデオによる徹底検証が実施され、そのパンチが確認されたのである。ちなみに、無論ノックアウトパンチである。対戦相手は、パンチを繰り出し、次の瞬間、気付いたら負けていた。 つう訳で、本物のカウンターパンチは人の目に見えないという、プロスポーツ的には致命的な欠点があるので、ホームランに次ぐプレイとなってしまう。 それに引き換え、ホームランの描く放物線、とりわけ大谷の放つような高く遠い放物線には誰もが魅了される。夢を見る。 似てるものとしては、ゴルフのティーショットがあるけれども、こちらは高すぎて遠すぎて、その放物線が、着地点が見えないという致命的欠陥がある。故に、ホームランに劣る。 また、似たようなものとしては、スキーのジャンプがあり、こちらはその放物線も着地点も人の目に見えるのだけど、あの距離は管理されたもの設定されたものなので、ホームランのように「遠くへ飛ばす」という感動は無い。物理的に計算された距離、つまりK点に如何に近づくかという競技であり、どちらかというと演技系の競技に近い。厳密に言えば、飛距離を争う競技ではない。 つかまあ、「距離を争う」のだったら、より高いところから飛ぶ、つか落下すればよいだけの話である。高さ1000メートルから落下すれば、信じられない程、いや信じられるが、物理的に遠くに飛ぶだろう。確実に死ぬけどな。 実際、私が高校生くらいの頃は、1000メートルは大袈裟にせよ、出来る限り「距離を争う」スキージャンプがあった。結果、ケガ人続出。たりめーだけどな。秋元もその犠牲者の一人である。まだ、やってんの。 って、今、それをネットで調べたら、それは「スキーフライング」という競技で、100年近い歴史があり、現在もプレイ(?)されているみたい。その歴史は、当然のことながら、安全性と競技性の葛藤であったらしい。つか、技術的な競技というよりは精神修養みたいなもんみたい。身も蓋も無い言い方をすれば、チキンレースである。技術を競う競技ではなく、勇気を競う競技であるみたい。ちなみに、ウィキペディアによると、現時点での世界最高記録は254.5メートル。大谷よりもかっ飛ばしてる。ボールじゃなくて、ヒトをな。 つう訳で、「ホームランは美しい」、いや違った、「大谷は美しい」というお話でした。 さて、NFLである。 サンデーナイトはアトランタ@サンフランだった訳だけど、試合評は省いて、マカフリーについて。 マカフリーについては、その感想を、大昔、スーパーボウルの時に書いたような書いて無いような気がする。でも、めんどくさいので読み返さない。過去を振り返らない男。 って、今軽く調べたら、パンサーズがスーパーボウルに進出したのは2015シーズンでマカフリー入団以前だった。トホホ。 ナイナーズ時代のスーパーボウルに関しても、書いたような書いて無いような。トホホ。 つう訳で、おそらく、今回が初めてのマカフリー評になると思います。っつても、たいしたもんじゃないけどな。 マカフリーはおそらくなんだかんだでこの10年ではベストのRBの一人になるとは思う。ここ5年となると、バークリーや我らがテイラー様であろうが、ここ10年ならニック・チャッブらと並んでマカフリーがベスト候補の一人ではあろう。まあ、ベストはデリック・ヘンリーだろうけど。重大なプレイヤーを忘れてたら、ゴメンナサイ。 でまあ、改めてマカフリーのスタッツを調べてみたんだけど、「意外に大したことないなあ。」つうのが率直な感想である。ケガばっか。活躍したシーズンが派手であるし、2度もスーパーボウルに進出しているので、もっとすごいスタッツを予想してたのであるが、通算だと、ここまで6852ラッシングヤード、4982レシービングヤードである。ちなみに、チャッブは7108ラッシングヤード、1083レシービングヤード、デリック・ヘンリーは11862ラッシングヤード、1695レシービングヤードである。更にちなみにテイラー様は、ここまで6710ラッシングヤード、1276レシービングヤードである。バークリーは、自分で調べてね。 レシービングヤードが突出しているので、スゴイ印象があるが、レシーバーとしてはともかく、ランナーとしては平凡だと言わざる得ない。また、RBのレシービングというのはチームのオフェンススタイルにも影響を受ける。 で、実際のプレイっぷりに関する私の印象はというと、「欠点らしい欠点が無い」というのが率直な印象である。それなりに足も速く、カットも切れる、当たりにも強い、タックルの芯を外すテクニックもある、彼我の動きも見える、そうして無論レシーブもいい。ブリッツピックはどんなもんかは分からんが、欠点らしい欠点が見当たらないというのが、マカフリーの特徴だとは思う。 ただまあ、特長も無いとも云える。ここに挙げた諸能力もそれぞれ優れているが、飛び抜けている訳ではない。技としてそれなりの完成度は持っているものの、必殺技という程ではない。すなわち、バークリーの「圧倒的な運動能力」とか、テイラー様の「彼我の動きを見る力」とか、ヘンリーの「突破力」とか、クリス・ジャクソンの「爆発的な加速力」とか、ジョセフ・アダイの「LT並のパスプロ能力」とか、パチェコの「気合と根性」とか、そういうものは無い。 また、先に挙げたRBとしての諸能力を非常に高い次元でフル装備していた選手としては、エイドリアン・ピーターソンがいるけれども、ピーターソンが、レシーブとブリッツピック以外の能力が全て10点満点だったのに比すと、マカフリーの場合は全て7点ぐらいの印象である。悪くは無いが、「小さくまとまっている」とも云えなくもない。 レシービングも含めたトータルパッケージっぷりも、トムリンソンに比すと、落ちると思う。トムリンソン程、「手が付けられない」って感じでもない。また、レシービング能力自体もマーシャル・フォークの比ではない。 所謂「特長の無いのが特徴」というタイプの究極型って感じである。 もちろん、マカフリーには最大の「特長」がある、いや「特徴」かな。それはアメリカ人が口に出しにくいものであろうけど、申す迄も無く、「白人」って事である。 もっとも、見かけは「白人」でも、血統的には「黒人」という人も稀にいるので、うかつに断言はできないけれども、外見的にはマカフリーは「白人」である。 NFL史というか、フットボール史において、RBというのは、ほぼ排他的に「黒人」のポジションであった。さすがに、創世期や戦前には白人RBもそれなりにいたであろうが、近代NFL史においては、それこそジム・ブラウン以来、RBは「黒人」のポジションである。したがって、マカフリー以外記憶にない。唯一の例外がラリー・ゾンカであろうが、ゾンカの場合はポジション的にはFBである。もっとも、現代のRBばりにラッシングしてたけどな。 ゾンカのポジション問題はともかくとして、マカフリーが事実上ほぼ唯一の白人RBだとは思う。重大な人を忘れていたら、ゴメンね。 等々を考えると、こういう事を言いたくないのではあるが、「マカフリー過大評価説」は出てくるとは思う。実際のプレイっぷりに対する私のマカフリー評はともかく、先述したように、そのスタッツに私は拍子抜けした。なんかこうもっと、マスコミ等々の評判から推すると、ヘンリーに匹敵するようなスタッツを予想していたからだ。 一般アメリカ社会では、「黒人と女性、下駄履かせ問題」というのがたびたび話題になるけれど、NFLやNBAでも似たようなもの、「白人、下駄履かせ問題」というのはある。確かにある。 と考えると、ドラフトでの全体8位も、そういうもんだったのかなと思う。確かに成功ちゃあ成功だろうが、全体8位でピックするようなRBとはとても思えん。ちなみに、その2つ後、全体10位がパトリック・マホームズ。まあ、勿論、当時のパンサーズがQBを指名することは絶対あり得ないけど。ちなみに、マカフリーと似たようなタイプ、タイプはともかく似たようなスタッツだと、アルビン・カマラが3巡67位で指名されてる。 人種問題はこのへんでよしとくか。ちなみに、「白人RBは、事実上マカフリーただ一人」みたいなことを書いたけど、歴史上、そうして現時点においても白人皆無なポジションはCB。ここはさすがに白人がいない。 あらゆるスポーツあらゆるポジションにおいて最も高い運動能力が要求されるのがCBである。なかなかに白人は厳しい。同様に高い運動能力が要求されるポジションにエッジラッシャーがあるけれども、このポジションは意外にIQである。故に白人のつけ入るスキがある。 ところが、CBは純粋に運動能力のみ。ピュア運動能力ポジション。どんなスーパーCBも30過ぎると値が付かなくなるのも、これが理由である。意外に息の長いポジションであるエッジラッシャーとは、その点でも対照的である。理由は先に書いたのと同じ。 そうして、今週のコルツ〜〜〜。 また勝っちゃいましたよ。チャージャーズ、つかハーボー相手に38ー24で大勝利で〜〜す。 いや、プレイオフコンテンダーのチャージャーズ相手なのでさすがに厳しいかなと思っていたが、結果は38−24で大勝利。 チャージャーズサイド的には2つのインターセプトが痛かったようにも思えるが、ピック6でもないし、テイクアウト(ギブアウェイ?)後のドライブではFGの3点のみなので、モメンタム的にはともかく、スコアを左右してるとは言いにくい。 ハイライト映像を見ても、明らかにダニエル君よりハーバートの方が上だし、理由が分からん。コルツに何が起こったか。いや、ほんとにコルツに何が起こったか。 んで、現在、恥ずかしながら地区首位。つかリーグ首位。6勝1敗でぶっちぎりのリーグ首位。2位は4勝1敗1分けのパッカーズ。オールインのパッカーズ。それを抑えてのリーグ首位。リーグ首位ですよ、奥さん。 シーズン中盤以降、いや序盤から含めても、「リーグ首位」なんて、それこそマニング全盛期以来じゃないの。調べてないけど。ラック3年目あたりでもリーグ首位は無かったように思う。 ちなみに、総得点も232点でリーグ首位。ぶっちぎりと言いたいところであるが、2位はカウボーイズの222点なので、「ぶっちぎり」ではない。 更にちなみに、現時点でのAFC各地区の首位はそれぞれ、ペイトリオッツ(!!!)、スティーラーズ、ブロンコスに我らがコルツと、それこそマニング全盛期のような顔ぶれ。それ以外の順位も、1勝で低迷するレイブンズを除いては、当時みたいな感じ。AFCに何が起こったか。懐古趣味か、懐古趣味なのか。 で、6勝1敗。残り10試合。4勝6敗で10勝、プレイオフ圏内。いや、4勝はすんだろう。むしろ3勝7敗の方が難しいくらいだよ。でも、ここから10連敗してしまうのが、コルツというかNFLの恐ろしいところではある。ウェンツの時、「2戦1勝」を失敗したしな。フンドシ締め直さんかい。 そうして、皮算用シリーズは我らがテイラー様。この試合は94ヤード止まりだったので、ラッシングリーダー競争は僅かに失速。でも、3ラッシングTDしたので、今季ここまで10ラッシングTD。1試合、約1.4ラッシングTDペース。シーズン24ラッシングTDペース。いや、これ記録じゃねーの。知らんけど。めんどくさいから調べんけど。と言いつつ調べたら、トムリンソンの28が記録みたい。う〜ん、さすがに厳しいか。ちなみに、トータルも同じ年のトムリンソンの31が記録。今現在、テイラー様は11。こちらも厳しいか。 もうひとつはタイラー・ウォーレン。現時点で33レシーブ、439ヤード、3TDs。 いや、これオフェンシブ新人王候補じゃないの。ざっと調べた感じだと、タンパベイのエグブカ、クリーブランドのジュドキンス、ジャイアンツのスカッテボー当たりが強力ライバルだが、いいとこ行ってんじゃないの。あと、ルーキーQBとしてはジャイアンツのダートがいるが、これはどうなるか分からん。 また、ルーキーとしてではなく、TEとしても、いいとこ行ってんじゃないの。レシーブ数はダラスのファーガソンが51でトップだけど、獲得ヤードは439ヤードのウォーレンがトップ。いきなりオールプロファーストチーム来ちゃうんじゃないの。 ちなみに、平均獲得ヤードは13.3でなかなかの数字。TEとしては上位。ちなみにピットマンJr.さんは余裕の10.0。さすがの平均10ヤード男。キッチリしている。凄みすら感ずる。 もひとつちなみに、ドラフト時、ウォーレンのライバル、つうか二大TEと目されていたラブランドは、まさかのここまで8レシーブ、78ヤード、0タッチダウン。んな事あんの?。ケガしてるのかなとも思ったが、ここまで5試合出場。いや、んな事あんの。 「ドラフト上位指名のTEに失敗は無い」とか書いちゃった私の立つ瀬がないやないか〜〜い。 秋モノを3週間しか着なかった。寒い。2025/10/26(日) |
| Week8 | 大谷さんと 今週のコルツ |
ワールドシリーズ第3戦で、大谷が9打席4打数4長打(内2本塁打)4申告敬遠1実質敬遠をしましたねえ〜〜。 もっとも、その後ドジャースは2連敗(大谷先発試合含む)しちゃって、日本中は阿鼻叫喚、カナダ全土は狂喜乱舞してますが、それはそれ、ひとまず措いといて、大谷の「9打席4打数4長打(内2本塁打)4申告敬遠1実質敬遠」についての感想をあれこれ。 まずは「4長打」ですが、これはワールドシリーズ・タイ記録。ワールドシリーズは今回で第121回。1シリーズ5試合平均(6試合でもいいけど、とりあえず)として計算したら、およそ600試合。それだけの試合数があれば、「5長打」もありそうだけど、なかなか難しいか。4長打した段階で、今回の大谷同様、相手バッテリーは敬遠気味になるから、「5長打」は厳しいかもしれん。 一方で「2本塁打」、こちらは例のレジー・ジャクソンの3連発があるので、あまりフィーチャーされないけど、案外珍しい記録だと思う。どれくらいあるのかしら。 ちなみに、日本シリーズだと、私がパッと思いつくのは例の大杉のだけである。他に事例はあるのだろうか。さすがに王は達成しているのかな。 で、事実上の「5連続敬遠」。日本のファンには松井のアレがあまりにも有名だけど、ワールドシリーズでは初めて見た。いや、メジャーリーグでも初めて見た。 さすがに、ゲームの第1打席から「5連続敬遠」っていうのは、プロレベルではあり得ないと思うので、今回のように4長打、あるいは3長打ぐらいして、その後延長に入って「5連続敬遠」っていうのが、この事例の唯一のパターンだと思う。 ただし、今現在のメジャーリーグはレギュラーシーズンはタイブレークを採用しているので、ポストシーズンでなければ達成しにくい記録ではあると思う。 また、タイブレークを採用していなくても、レギュラーシーズンではそこまで勝負に固執はしないだろうから、そういう意味でも、ポストシーズン独特の記録だと思う。 にしても、「5連続敬遠」とはねえ。実質的にはともかく、形の上では「世界1位」と「世界2位」の戦いなんだから、「5連続敬遠」はねえだろって気もしなくはない。何らかの対策を用意しとけっつの。まあでも、アレを見せつけられちゃあ、敬遠しちゃうか、やっぱし。 で、この記録を生んだ裏の主役といってもいいベッツが批判されているというか、何より自ら自己批判している状態らしいのであるが、こればっかりは慰めの言葉も無い。心を病むことのないよう、自他ともに心を配って欲しいと思う。 実際、「松井の後の5番バッターは心を病んで、結局、野球を辞めることになった」なんて報道もあったくらいであるから、気を付けて欲しい。もちろん、この手の報道はそういう結果(心を病む)という結果が欲しくて、この手の番組を制作しているので、この報道をそのまま鵜呑みにはできないけれど。 まあ、ベッツの不振はともかくとして、今の大谷の後ろを打てるバッターは野球の歴史上ただひとり、王しかいないと思う。王貞治しかいないと思う。ルースやボンズでも大谷を敬遠するだろう。でも、王なら敬遠しない。なぜなら、王はもっと打つから。 ぐらいの軽い気持ちで、ベッツは大谷の後を打って欲しい。って思ってたら、第5戦で大谷の後ろを外されちゃったけど。 で、この第3戦はフリーマンのサヨナラホームランで決着が付いた訳だけど、フリーマンは昨季に続いて2本目のワールドシリーズ・サヨナラホームラン。さすがに、「史上初」らしい。そりゃそうだよね。ワールドシリーズがこれまで600試合くらいプレイされたと仮定すると、裏の攻撃でしかサヨナラホームランは打てない訳だから、可能性があるのは300試合くらい。で、その試合が同点ないしリードされてなければいけない訳だから、単純に半分と考えても150試合程度。で、そこで自分に打席が回ってくるのは、単純に考えて1/3。すなわち50試合程度。これが、全ワールドシリーズにおけるサヨナラホームランを打つおおよそのチャンスである。勿論、大量リードされている場合は、サヨナラホームランを打つ可能性はほぼ皆無であろうが、とりあえず、その事象は除く。 そうして、この計算は「一人の人間」が全ワールドシリーズに出場してサヨナラホームランを打てるチャンスであるから、申す迄も無く、現実はもっと少ない。 そもそも「ワールドシリーズに出場する」事自体が難しい訳である。10試合出場できれば多い方である。仮に10試合出場だと、先の計算法によれば、10試合の半分の半分の1/3。0.83試合ぐらいのチャンス。既に1試合割ってる。今回は延長戦なので、そのチャンスはいくらか増えたろうけど、その少ない、いや少なすぎるチャンスで2度のサヨナラホームラン。フリーマンは、この第3戦までで、ワールドシリーズ出場は計14試合。14試合で2度のサヨナラホームラン。これ、大谷の「9打席4打数4長打(内2本塁打)4申告敬遠1実質敬遠」より、確率的には難しいのかもしれん。天文学的数字は大袈裟だけど、非常にわずかな可能性、確率の結果だったと思う。 ちなみに、日本シリーズでは誰も達成してないんじゃないかな。王や長嶋、あるいは石毛や秋山、清原でも達成してないと思う。そもそも、サヨナラホームランを打っているのは、この中では王だけだと思う。長嶋は打ってるのかな。めんどくさいから、さすがに調べんけどさ。 もとより、日本シリーズにおける「サヨナラホームラン」のゲームが非常に少ない訳である。西武ライオンズの黄金期でさえ、1試合も無いんじゃないかな。サヨナラヒットは金森とか工藤とか伊東とか有名なのがあるけど、サヨナラホームランは記憶にない。 ちなみに、90年代のヤクルトは日本シリーズでサヨナラホームランを3本打っている。誰も特筆しないけど、意外に珍しい。さすが野村監督が率いたチームではある。 つう訳で、「9打席4打数4長打(内2本塁打)4申告敬遠1実質敬遠」と「ワールドシリーズ、2本目のサヨナラホームラン」という確率的に非常に稀有な事が同一試合で起こったという意味では、ワールドシリーズ史上最高度に稀有なゲームだったと思う。 あと、「1番・大谷」、いつまで続けんのかね、これが愚策だって、いつになったら気付くのかね。まあ、そのへんのワールドシリーズや現今のメジャーリーグへの愚痴や恨み言はワールドシリーズ終了後にでも書きたいと思います。今までも散々書いてきた事だけどさ。とりあえずは山本のピッチングを全力応援。 あと、野茂が始球式やってたけど、「えっ、誰。」と思ったのは私だけではあるまい。「どこの部屋の方。」と思ったのは私だけではあるまい。野茂死ぬな、近い将来。 で、今週のコルツ〜〜。38−14でタイタンズ相手に大勝利〜〜〜。つか楽勝。 今季絶不調のタイタンズ相手なので「勝てるかな〜。」とは思ってたけど、そこはNFLだし同地区だし、何があってもおかしくは無いのでフンドシを閉めてはいた。でも楽勝〜〜、快勝〜〜〜〜。 この試合は文字ライブでリアルタイムに追ってた。で、その感想はというと、「なんつーか、簡単に点が入るな〜〜。」である。失点して点差が詰められ、「こりゃフンドシ締め直さんと」とか「これから我慢の時間帯だ」なんて思った矢先に、あっさり得点、実に簡単に点が入る。拍子抜けするほど、あっさり点が入る。それこそ、マニング全盛期みたいな感覚である。面白いように得点する。 マニング全盛期の時は、その主役は申す迄も無くパッシングだった訳であるが、今回は申す迄も無くラッシング、つかテイラー様。 この日は12アテンプト(!!!)、153ヤード、2タッチダウンの大活躍、つか通常運転である。平均12.75ヤード。余裕のピットマン越え。ちなみに、レシーブでも1タッチダウンしてるんだけど、それもパスかハンドオフか微妙なプレイで、一応ボールが宙に浮く瞬間があったのでパス扱いとなり、パッシングタッチダウンと計上された。ある意味、ラッシングタッチダウンを一つ損したとも云える。記録が絡んだら、ちと悔しい。 にしても、よく走る、つか走らせ過ぎ。コルツファン、テイラーファンの私ですら、「タイタンズ・ディフェンス、どうなってんだ。」って怒声を上げてしまった。八百長を疑われるレベル。いや、やってんな、ファンタジーフットボール。ファンタジーでテイラー様を使ってんだろ。 とでも考えないと、理解できないくらいの体たらく。いや、タイタンズ首脳陣は、ディフェンス選手のパソコンやスマートフォンを押収して調べた方がいい。やってんぞ、ファンタジー。ちなみに、前戦でも17アテンプト、102ヤード、3タッチダウンだからな。稼いでんな、ファンタジーで。 タイタンズ・ディフェンス陣のファンタジー問題はともかくとして、今季のテイラー様のご活躍は、その大部分は本人の努力と才能だろうけど、いくらかはウォーレン加入もあると思う。大きいと思う。 まあ、RBとTEというのは元々相関関係にあるポジションなので、それ自体に驚きは無い。RBとTEの対応は原則的にLB陣の仕事である。故に一方を厳しくマークすると、どうしても他方が空いてしまう。両方厳しくマークすると、今度はアンダーニースがガラ空き。そこで、セイフティにヘルプを頼むと、今度はディープにドカーン。 以前、それこそ当サイト開設当初にどこかで書いたと思うが、それくらいベタな、フットボールにおける原初的、あるいは基本的な構造、戦略である。それ故に強力である。多くの場合に当てはまる金言、「結局、ベタが最強」って奴である。 故に、このRB&TEコンビはNFL史に山ほどある。ちょい前だと、テレル・デービス&シャノン・シャープ、最近だとパチェコ&ケルシー等々である。史上最強最悪は、いろんな意見があるが、普通に考えたら、トムリンソン&ゲイツという事になろう。コルツも苦しめられた。テイラー&ウォーレンも、いやテイラー&タイラーかな、彼らに列なって欲しい。つか、アリー=コックスは何だったんだ。ちなみに、この試合はノーレシーブ。干されてんな。 あっ、そうそう、スタッツと云えば、あの期待の超大型新人だったライアツ・ラツ様が、この日は0.5サック。来た〜〜〜。でも、得意のインターセプトは無し。これで、シーズン2.5サック。残り9試合、7.5サックノルマな。ここまで8試合2.5サックペースだけどな。 来週はスティーラーズ戦。正念場かな。試金石でもある。 ゲームパス7000円に入ろうか、迷いに迷ってる貧乏人。2025/10/31(金) |
| Week9 | 山本と コルツと ガードナー |
ドジャースが優勝しちゃいましたね。 第7戦で大谷が大爆発、山本からMVPをかっさらうというリーグチャンピオンシップの再現かと思いや、大谷は不発。そのまま山本のMVP受賞と相成りました。あげく、「大谷の最大の功績は、山本を連れてきたこと。」とか言われている始末。 山本は第2戦、第6戦、そうして、最終第7戦、全て厳しいところでことごとく好投、順当にMVP受賞。 山本の良いところは色々ある。 まず、投球フォームが独特な事。これはシリーズMVPの先輩、上原との共通点である。そうして。その独特な投球フォームから多彩な変化球が投げられる事、それも一定のフォームで投げられる事。これも大きな強みであろう。投球フォームから球種の区別がつかない。 そうして、何よりの武器は、そのボール、速球、変化球の全てが低めに集まるという点である。こういうピッチャーはそんなにいない。私の少ない知見の範囲ではマダックスくらいである。 北別府や郭泰源、桑田も低めにボールが集まるが、そのすべての球種という訳ではない。ストレートとスライダーの2種くらいである。郭泰源は、それにフォークも加わっていたかな。 山本の場合は、それらに加え、シュートやシンカーのようなボール、要するにすべての球、全ての球種が外角低めに集まるのだから、バッターはなかなか打てないだろう。こんなピッチャーは過去にはマダックスくらいしか記憶にない。 しかも、山本の場合は、厳密に言えば、「外角低め」ではない。全ての球種がフレーム、すなわち四辺に集まるのである。ピッチャーは「四隅に投げろ」とはよく言われるが、さすがに四隅は無理ではあるものの、山本の場合は、全ての球が四辺に集中する。それも一定のフォームで、である。なんというか、スプレーのようなイメージである。かつて張本は「スプレー打法」と称えられたけれども、さしづめ山本は「スプレー投法」である。バッターはまず打てない。 この日、第7戦の先発の大谷が変化球の制球に苦しんでいたのとは、いかにも対照的である。 ちなみに、変化球の制球に苦しむ、すなわち変化球でストライクが取れずに、ドラフト上位で指名されながら、プロ野球を去っていくピッチャーは沢山いる。例えば、最近ヤクルトをクビになった原樹理とか。これは、あくまで私の印象だけど、東洋大学出身のピッチャーにはそういうピッチャー、変化球でストライクが取れずに苦しむピッチャーが多いように思う。もちろん、松沼兄弟まで遡れば、違うけどな。あくまで、ここ最近、ここ20年くらいの東洋大学出身のピッチャーである。 東洋大学出身のピッチャーはともかくとして、ドラフト上位で指名されながら、変化球でストライクが取れずにプロ野球を去るピッチャーは多い。本当に多い。 理由は簡単である。プロ野球に入るようなピッチャー、とりわけドラフト上位で指名されるようなピッチャーは、アマチュアレベルにおいては、変化球でストライクを取る必要が無いからである。バッティングカウントであっても、自慢のストレートを投げ込めば、その球威でストライクを取れる、あるいは抑えられる。見逃し、ファウル、上手くいけば、内野ゴロ、外野フライ等々である。それくらいの球威があるから、ドラフト、それも上位でドラフトされるのである。「バッティングカウントで直球でストライクを取れる」というのは、そういった意味では、プロ入りの条件、ドラフト上位で指名される条件とも云える。 ところが、それがそのままプロでは欠点になってしまうのである。アマチュア時代と同様、バッティングカウントで直球でストライクを取ろうとすると、プロではあっさり打ち返されてしまう。いや、ホームランになってしまう。 そこで、変化球でストライクを取ろうとしても、それが出来ない。そこで、いきなり追い込まれてしまう、あるいは詰んでしまう。そういうピッチャーは非常に多い。消えてしまうピッチャーは非常に多い。 勿論、かつての尾崎とか山口のように、プロでも「バッティングカウントで直球でストライクを取れる」ピッチャーはごく少数ながらも、いるにはいる。一時期の江川とか槇原、あるいは川崎とか、バッターが待ってるところにストレートを投げ込み、空振りを取れる、見逃しを取れる、ファウルにできる、そういうピッチャーもいるにはいる。でも、彼らは皆短命である。そんなストレートは、せいぜい2,3年しか投げられないからである。肩肘云々の問題もあるけれど、単純に加齢による運動能力の低下で、「バッティングカウントで直球でストライクを取れる」ような剛速球が投げられなくなってしまう。そこで、変化球でストライクが取れないと、この日の大谷のように詰んでしまう。あるいは、消えてしまう。 閑話休題。山本の話に戻る。 バッティングという作業をフローチャート式にまとめると以下のようになる。 1.投球がストライクかボールか見極める。 2.それがストライクであれば、球種を判定する。 3.次に、その内外角高低、すなわちコースを判定する。 4.次に、そのボールがミートポイントに来るまでのタイミングを計る。 5.そうして、そのボールの最適なスイングを決定する。 6.そうして、そのスイングを実行する。 この全ての工程が上手くいった時、バッターは「良いバッティング」が出来る訳である。しかも、それを1秒以内、あるいはコンマ5秒以内に実行せねばならないのである。第1項から第3項は順不同、あるいは逆行、往復する事もあろうが、それらを一瞬で完了せねばならないのがバッティングである。「バッティングは、あらゆる技術の中で最も難しい技術である」と言われるのも当然であろう。 もちろん、野球に限らず、人間のあらゆる行動は「結果オーライ」であるから、これらの工程の一つ二つが上手くいかなくても、ヒットやホームランが打てるかもしれない。でも、それは確率的に低いであろう。偶然頼みのバッティングである。成功の確率を上げるためには、以上の工程を完璧にこなす必要がある。それが、所謂「理想のバッティング」である。 山本は、この「バッティングの工程」の第1項をいきなり狂わしてしまう、難しくしてしまう。「全ての球種がフレームに集まる」というのはそういう事である。そりゃ、バッターは打ちずらいであろう。バッティングの第一歩目がいきなり難しいのだから。 一方で、「ストライクとボールがはっきりしている」と言われる一群のピッチャーがいる。これらのピッチャーは、この第1項がユルユル、無抵抗な訳であるから、バッターにとって打ちやすいピッチャーとなる訳である。 実際、「カウントによる打率の高下」はこれに由来している。ストライク先行の所謂「ピッチングカウント」はストライクとボールの予想判別が難しく、ボール先行の所謂「バッティングカウント」はストライクとボールの予想判別が容易い。そうして、これはほぼ全バッター、アマもプロも人種も民族も年齢も性別も関係なく、ごくごく一部の異常者を除き、ほぼ全てのバッターに共通するのは、この第1項がバッティングの一歩目であることの証左であろう。 ちなみに、不肖わたくしは、中学生の頃、ヘッポコ野球部員であったのであるが、恥ずかしながら、まことに恥ずかしながら、当時からヤマ張りバッターであった。中学野球レベルなのに、スイングスピードが遅いので、ヤマを張らないと打てないのである。 そうして、そのヤマの張り方は、中学野球なので変化球はほぼ無く、高低やコースでもなく、ボールの速い遅いでもない。ストライクかボールでヤマを張るのである。「2球ボールが続いたから、次はストライクかな。」みたいな、全く幼稚な原始的原初的なヤマの張り方である。「ストライクとボールの見極めがバッティングの第一歩目である」というのはこういう点からもよく分かる。 そうして、この「バッティングの工程表」はプロほど知らない。自覚していない。なぜなら、プロ野球選手になるような人間は、中学時代の私と違って、ヤマを張らない。すなわちこの「バッティングの工程表」の第1項〜第6項までをすっ飛ばしても打てたからである。一切の予想判別をせず、ミートポイントに来た瞬間、厳密には「来た瞬間」は無理なので、ミートポイントに来る直前にスイングしても打てるのである。アマチュアレベルなら、彼らのスイングスピードは速いので、それでも打てる。 ところが、プロになると、長嶋やイチローのような一部の例外を除き、多くの選手がそれでは打てなくなる。故に、中学時代の私のようにヤマを張る、あるいは配球を読む必要が出てくるのであるが、多くの選手がそれを嫌がる。なぜなら、アマチュア時代は、先述したように、それ無しで打てたからだ。ヤマを張る選手、配球を読む選手を軽蔑してたであろう。実際、能力的に低い訳である。ヤマを張ったり、配球を読んだりするのは、恰も「格落ち」したかのように感じる訳である。実際、「格落ち」してる訳だし。速球派が変化球投手に、あるいはコントロール派に転向する事への抵抗とよく似ている。 そうして、多くのバッターは第6項目、すなわち「そうして、そのスイングを実行する。」に問題があるのではないかと考えたがり、バッティングフォームをいじくりまわすのである。んで、種田ような珍妙なフォームに行き着く選手が出てくる訳である。しかも、大した効果は無い。もちろん、王の一本足打法のような劇的な効果を生む「バッティングフォームの変更」もあるにあるけどな。 野村克也がバッティングフォームや打撃技術についてあまり語らなかったのを不思議がる向きも多いが、野村は無論、この辺の事情を理解していたのである。把握していたのである。バッターが打てない理由の多くは、この「バッティングの工程表」の第1項から第5項にある事を野村は熟知していたのである。故に、打撃技術を語らなかったのだ。 そもそも、第6項「そうして、そのスイングを実行する。」に問題のある人はプロには入ってこない。「第6項に問題がある」っていうのはどういう事かというと、「ティーバッティングが打てない」って事である。そんなプロ野球選手、いないでしょう。巧拙はあれ、まずまず誰もが打てる訳である。 というか、あんなのはアマチュアでも打てる。いや、女子供でも打てる。初めての人だって、10分も練習すれば、当てるくらいは出来るだろう。飛距離は体格や体力の問題である。 バッティングの打てる打てないは、スイングの問題ではなく、スイングスピードの問題なのである。スイングスピードの速い人が「バッティングのいい人」であり、スイングスピードの遅い人のが「バッティングの悪い人」なのである。もちろん、スイングスピードを上げるためのスイングの改造、すなわちバッティングフォームの改造はああるけどさ。 そうして、「スイングスピードの遅さ」は配球の読みやヤマ張りで補えるのである。なぜなら、配球が読めれば、先の「バッティングの工程表」の第1項から第5項を省ける、すなわちピッチャーが投げる前、更には打席に入る前に完了できるからだ。 だからこそ、野村は「配球を読め」と口が酸っぱくなるほど説いたのである。 ところが、なかなかやらないんだよなあ。プロほどやらない、先に書いた理由で。「速球を待ちながら、変化球を打つ」とか呑気な事を云ってる。 ここで説いた「山本のピッチングスタイル」や「カウント別打率」に限らず、野球におけるありとあらゆる事象が「配球を読む事の有効性」の証拠になってるにもかかわらず。 先の「変化球でストライクが取れる」事についても同様だけど、プロとアマは同じ「野球」でも条件が色々と異なる。まず試合数が違う。同じチームや選手と何度も対戦する。また、アマチュア、特に学生野球はどんなに良い選手でも卒業とともにチームを去る。学生野球というのは、そのほとんどは「同い年」との戦いである。一方、プロに「卒業」は無い。「引退」があるのみである。そうして、良い選手ほど「引退」は先送りになる。 そうして、プロとアマの決定的な違い、一番の違いは何かというと、「プロは肉体的に成長しない」である。アマチュア、特に学生スポーツはその多くが10代である。自然に体が成長する。体の成長にともない、色々な事が出来るようになるだろう。球速アップなんていうのは、その最たるものである。 ところが、プロは体が成長しない。それどころか、衰えていく。25歳くらいから少しづつ衰え、30歳過ぎたら、ガクッと落ちる。プロの体力トレーニングは、体力をアップするためのものではない。体力の衰えを減速させるためのものである。現状維持で万々歳のトレーニングである。 このごく自然な事、当然な事を、理解していない人は本当に多い。プロに入っても、球速を増そうとしたり、スイングスピードを速めようと練習努力している人は本当に多い。気付かないと、こんな当然至極の事くらい。 さて、先に「山本の投球が低めに集まる」という話が出たので、良い機会のなので、「何故、低め、とりわけ外角低めが打ちにくいのか」について、ちょいと解説したい。意外にその理由を知らない人が多いからである。 以前、YouTube番組で宮本が、「何故、低め、とりわけ外角低めが打ちにくいのか」と問われ、「ボールが飛ばないから」と答えてた。宮本じゃなかったら、ゴメンナサイ。そのへんの記憶は曖昧です。 誰が答えたかはともかくとして、んなのは、違うわ〜〜い。 アウトローが打ちにくいのは、「ボールが飛ばない」からじゃねーよ。「ボールがよく見えない」からだろーが。 アウトローは、当たりさえすれば、ボールは飛ぶよ。でないと、ゴルフのティーショットの説明がつかなくなってしまう。何故、ゴルフはティーショットのボールを地面すれすれに置くのだろうか。理由は簡単である。出来る限り長いクラブを使って、飛距離を出すためである。そのために、あの低い位置にボールを置いているのだ。アウトローのボールが飛ばないというのなら、あの位置にセットする意味が無くなってしまう。アウトローの反対、すなわちインハイ、胸のあたりのボールに置くべきであろう。 実際、アウトローは飛ぶよ、当たりさえすれば。前にも似たような事を書いたけど、大谷がアウトローのボールを引っ掛けるように打ってホームランにしているけど、あれはアウトローだから、遠心力を目いっぱい使って、スイングスピードを高めているから、飛ぶのである。 逆に、インハイは飛ばない。分かり易いのは、第3戦の大谷がシャーザーから打ったホームランだろう。大谷にしては飛ばなかったでしょ。遠心力が使えないからである。ちなみに、あの球をホームランされて、シャーザーは結構ショックだったと思う。引退を決めるくらいショックだったと思う。 一般に、インハイに限らず、インコースのボールは飛ばない。遠心力を最大限に使えないからである。インコースのボールで遠心力を最大限に使おうとすると、ミートポイントをかなり前にせざる得なくなり、そこで打つとファウルになってしまうからだ。故に、インコースを打とうとすると、ミートポイントを後ろにせざる得なくなり、窮屈な打ち方になる。落合や古田、坂本が見せる打ち方である。なにより、インコース打ちの名人、山内の打ち方である。 山内のインコース打ちのホームランというのは、高〜〜く上がってフェンスぎりぎり、時にはポールぎりぎりに落ちてくるような打球である。外野手が「フェンスが無ければ、捕れるのに〜〜。」とイライラするような打球である。それを揶揄して、山内は「フェンス際の魔術師」なんて言われたそうである。 このように、インコースのホームランは飛距離が出ないものなのである。まして、インハイ。飛距離が出る筈がない。 実際、インハイ専門、インコース専門でホームランを量産したバッターなんて私は知らない。ホームランバッターというのは、大概、というかほぼ例外なくローボールヒッターである。ホームランバッターに限らず、ホームランの多くはアウトコースやや甘め、所謂「外アマ」を打ったものがほとんどである。「今日のホームラン」を見ればすぐ分かる。 この「真ん中、やや外寄り」、すなわち「外アマ」こそがホームランボールなのである。そうして、ホームランバッターというのは、ここをいかに量産するかという職種である。そうして、この王者が、申す迄も無く、王貞治なのある。王はこの「外アマ」をほぼ100%は大袈裟だけど、非常に高い確率で、それこそオートマチックにホームランできた。だからこそ、世界のホームラン王なのである。 また、所謂「飛ばし屋」が飛ばしたボール、中西とかマントルとか大谷が飛ばしたボールも、その多くは「外アマ」、あるいは「アウトコース」のボールであろう。実際、大谷の「飛距離が出た」ホームランのほとんどは外角球である。インコースを打って、「飛距離が出た」のはほとんど無いと思う。 よく「インコースは危険」と言われるけど、それはコントロールミスした時に、「真ん中」あるいは「外アマ」に行ってしまうからである。インコースはバッター側に逸れるとデッドボール、ベース側に逸れると「真ん中」、すなわち「ホームランボール」になるため、微細なコントロールが要求される。一方、アウトコースが、ベース側はホームランボールであるものも、その反対側は「ただのボール」であるため、インコースほど微細なコントロールは要求されない。それが、「インコースは危険」の理由である。「インコースは飛距離が出るから」では全然ない。 勿論、インハイを打ったホームランが無い訳ではない。大谷の第3戦とか、あの有名なブライアントのアレだとかである。 でも、ブライアントのアレは本来「打てないコース」だからね。だからこそ、西武バッテリーはあの球種を選択したのである。でも、打った。おそらく、後にも先にも一度きり。それが「あのホームラン」になるのが野球の、スポーツの恐ろしいところではあろう。 実際、ブライアントもローボールヒッターだったでしょ。そのイメージが強いと思う。 では、何故アウトローが打ちずらいのか、理由は簡単である。考えるまでも無い。「見ずらいから」である。「目から最も遠いところにあるから」である。そんなの自明だよ。 ゴルフのティーショットが何故に、目から遠いところにボールを置いているのか。ボールが動かないからである。ボールが固定されているからである。だから、飛距離を出すため、遠心力を最大限に使うために、ボールを目から遠いところに置いているのである。それでも、「当たる」のである。だって、ボールが固定されているから。 殿馬の秘打円舞曲「別れ」も同様である。アウトコースに来ると分かっているから、というか、そこに投げさせたから、非力な殿馬でも長尺バットが振れたのである。「当てる」必要が無い。 また、ゴルフのティーショットは、理論的には、ボールを遠いところに置けば置くほど、それこそ100メートル先とか1000メートル先とかに置けば、その分飛距離は出るだろう。多少、練習は必要だろうが、「当てる」事も出来るだろう。ただし、振れない。そんなバカ力のある人間はいないからだ。2〜3メートル先なら振れるかもしれないが、たぶん危険という事でルール的に禁止されているのだろう。知らんけど。 また、逆に「インハイは当てやすい」。よく、「インハイのボールは小細工しやすい」と言われるけれども、これも理由は簡単である。「アウトローが打ちづらい」の反対の理由である。すなわち、「見やすいから」、「目に近いところにあるから」である。 これが、インコースが打ちやすくアウトコースが打ちにくい理由の全てである。先のカウント別打率ほど絶対的ではないにせよ、一般に高めやインコースの打率が高く、低めやアウトコースの打率が低い理由の全てである。テッド・ウィリアムズが明らかにしたコース別打率の唯一の根拠である。 1、2番タイプのバッターが、かつての藤原のように、福本のように、土橋のように、城のように、赤星のように、バットを短く持っているのは、これが理由。インハイを小細工するため、インハイを打つためには、バットを短く持つ方が良いからである。 この手のバッターが、落合のように、あるいは大谷のように長いバットを長く持っていたら、野村監督に取り上げられるであろう。「オマエはこんなバット使ってんな。これを使え。」。これに反抗して、ヤクルトのみならず球界に居場所をなくしたのが笘篠。長いバットを長く持って、ブサイクにパップフライばかり打ってた。 ちなみに、落合はアウトローのボールを真芯で捉えられるそうである。缶コーヒーにボールを載せて、それを芯で捉えるような芸当が出来るそうである。落合の全盛期のバッティングに鑑みると、「さもありなん」と思わなくも無いが、単なる伝説かもしれない。 落合以外のバッターはアウトローを打とうとしたら、それこそ大谷じゃないけど、片膝着いて打つしかないであろう。 また、イチローは1番バッターなのにバットを長く持っていたが、これは特殊な例外。というより、イチローは本質的には1番バッタータイプではない。そのバッティングスタイル的には、5番が適任である。5番を務めていたら、史上最高の5番バッターになったと思う。ただまあ、5番だと、イチロー唯一のアイデンティティ「最多安打」を失う事になるけどな。詳細は、いずれ書くであろう(5年後くらい)「打順論」で。 というのが、「アウトローは打ちずらい。インハイは飛ばない。」の理由のすべてであるが、名球会入りの野球解説者、宮本は知らないのである。ちなみに、野村は知っている。故に、宮本は野村から教わっている可能性もあるが、覚えていないのである。 まあ、確かに、こんな事を知っていたところで、野球技術の直接的な向上には役に立たないかもしれない。いや、間接的な向上にも役に立たないかもしれない。無用の知識であろう。でも、野村は知っていたし、「こういう、直接的には役立たない知識も、思わぬ時に役立つことがあるから、知っておけ、考えておけ。」と説いている。宮本には届かなかったのだろう。 つか、こんな事、知る知らない以前に、ちょっと考えれば自然に気が付く事だ。私は自然に気が付いた。「モノをよく見るためには、モノを近づける。あるいは近づく。」、「遠心力を利用すると、飛距離が出る」なんていうのは、野球以前の、ごく日常的な、ごく自然な経験である。でも、宮本は知らない。気付いていない。 最近、元プロ野球選手のYouTube番組をチラチラ見るけれども、この宮本に限らず、ほんと何も知らない。何も気付いていない。こういう、自然的物理的要因まで思案が及ばないのは、ある程度仕方ないけど、曲りなりにも「野球解説者」なんだから、「野球」はともかくとして、「プロ野球」の事、最低限の歴史とか、戦略戦術の変容とか、主要監督や主要選手ぐらい知っとけっつの。彼らが知ってるのは、同時代同リーグの選手監督(他リーグは知らない)と、自身の極私的な技術論だけ(無論、物理的裏付けは無し)。で、それらで語れなくなると、何の根拠もないデタラメな心理分析とマンガチックなストーリーラインだけ。あと、せいぜい最近流行りの野球理論。それも聞きかじり。熟知してはいない。大昔のスポーツノンフィクションを思い出す。「力道山物語」とか「孤高の巨人、川上哲治」とかである。「江夏の21球」は望むべくもない。「○○の○球」だけ真似てやんの。バカ丸出し。 今回の山本の2連投に関しても、誰一人、スタンカの日本シリーズ第6戦第7戦2試合連続完封(連日。ちなみに、第1戦も完封しとる。計3完封!!!!!)について触れないんだもの。何を解説してんだかって話だよ。いや、私の知らないところで話している人いるかもしれんけどさ。 ちなみに、この「スタンカの日本シリーズ第6戦第7戦2試合連続完封」を私はつい最近、2年くらい前に知ったのだけど、この快挙が人口に膾炙していない理由はハッキリしている。ひとつは、南海vs阪神ということで、全国の野球ファン、とりわけ関東の野球ファンの関心が低かったこと。 でも、それは大きな理由ではない。真の理由はこっち。東京オリンピックと被ってたんじゃ〜〜〜い。それもダダ被り。第7戦は昭和39年10月10日。東京オリンピックの開幕式。そんなシリーズ、誰も見ね〜〜〜。オリンピック大好き人間長嶋茂雄は無論の事、当の南海、阪神の両チームの選手もオリンピックに夢中つうんだから。そりゃ、多くの日本人は知らんよね。人口に膾炙せんよね。 それが理由かは知らんが、このシリーズ、活躍したのはスタンカやバッキー、ハドリといった外国人たち。 で、やっぱし観客動員はヒドくてガラガラだったみたい。バッキーが、いかにもバッキーらしく「日本一を決める大会なのに、観客ガラガラってどういうこっちゃ。」って、キレてた。まあ、理由はハッキリしてるけどな。 この不人気日本シリーズ、いや違った、スタンカの2試合連続完封はともかくとして、今回の山本の連投で「酷使派」がかまびすしい。 まず、はっきりさせておきたいのは、この手の件で、洋の東西を問わず、元プロ野球のピッチャーが説く「登板した翌日は、全身がバキバキで何もできない」つうのは完全なウソッパチだからな。この日の山本や大谷が完全に反証した。 あと、「酷使すると、ケガする。」もウソッパチだからな。もしこれが事実なら、山本や先のスタンカなどは即病院送りだろう。でも、山本はともかくとして、スタンカはピンピンしているし、無事に現役を全うした。 でも、今後、山本が、来季とか3年後とか10年後とか、怪我したら、言うんだろうねえ、酷使派の方々は、「あの時の連投が、」ってね。30過ぎの松坂のケガの原因を高校時代に求めてるくらいだからな。 「肩肘論」、つうか「靱帯論」についてはいずれ書くつもりだけど(5年後くらいかなあ。)、もういい加減気付いてほしいよ、1試合当たりの投球数や登板間隔とケガには何の因果関係も無いって事を。 この肩肘に限らず、先のコロナ騒動で私はほとほと思い知ったのだけど、多くの人間、医師も含めた多くの人間の健康や医療に関する知識や判断、あるいは恐怖心は、ほんと未開人、あるいは原始人レベルだって事だよ。呪術や迷信と何ら変わらん。 私は幼い頃、小児喘息を患っていた。喉をヒューヒュー鳴らして苦しんでいた訳だが、それを見かねた母親が、どこで仕入れた知識か知らぬが、「焼いたネギを喉に巻くと治る」とか言い出して、実行した。無論、治らない。病院に行って、専用の器具でヒューヒューを抑え、治癒を待つのが当時唯一の治療法であった。今は違うのかな。 さいわい、私の小児喘息は10歳くらいで完治して、その後再発はしていない。後遺症は、風邪をひくと喉がヒューヒューいうくらいである。8歳の時より始めた水泳が効果があったとか言われているけれども、単に成長して、喉が太くなっただけかもしれん。 それがほんの40年前くらいの事、健康と医療をめぐる事情は今も変わっていないだろう。民間療法、代替医療は、洋の東西を問わず、大流行りだしね。さすがに、お灸は廃れたのかな。昔は、お灸で肩肘治そうとしてたからな。お灸万能。頭の悪いのも治そうとしてた。 実際、今でも、病気や不幸を、「悪魔」はともかくとして、「普段の行い」のせいにしてる人はいるよね。私の周りにもいた。しかも、当人も含めて、周囲も「彼の頭が悪い」って事に気付かない。なんなら、賛同する奴さえいる。彼らはコロナを怖がってたなあ。ウイルスの大きさも知らないのにさ。RNAも知らないのにさ。 さて、この後は、このワールドシリーズを始め、メジャーリーグの悪口を書くつもりだったのであるが、長くなってきたので次回に譲ろうと思う。コルツに、ビックとまではいかないが、そこそこのニュースも飛び込んできたので、その感想も書かんといかんしな。 つう訳で、今週のコルツ〜〜〜。パチパチパチパチ。 でも、敗戦。スティーラーズに完敗。 いや、いつになったら勝てんだよ。スティーラーズに最後に勝ったのって、20年くらい前にマニングが絨毯爆撃した時じゃねーの。ラック時代に勝ってんのかな。なんか、普通に10連敗くらいしてる気がする。トムリンに一度も勝ってない気がする。 ちなみに、その絨毯爆撃した次の試合は、その年のプレーオフ。あのゲームである。バンタージャットが、自分で外しておいてキレた試合。あれ以来、マニングとバンダージャットは口きいていないんだろーなー。今何やってんだろ、バンダージャット。YouTubeとかやってんのかな。打倒パット・マカフィー的な。 でも、ここでスティーラーズに勝てなかったら、一生勝てねーんじゃねーの。私は「勢い論者」では全然ないけれども、さすがに今回は、肉体的にも精神的にもベストの状態でスティーラーズに挑んだと思う。云わば「ノリノリの状態」で戦った訳である。でも敗戦。どーすりゃ勝てるの。どーすりゃいーの。 このゲームの感想はこんなもんにして、例のトレードについて。 ジェッツのソース・ガードナーがコルツに来ちゃいました〜〜。対価は1巡ふたつとアドナイ・ミッチェル。図式的に書くと、こんな感じ。 ソース・ガードナー⇔2026・1巡ピック+2027・1巡ピック+アドナイ・ミッチェル ガードナーは知らん。ガードナーって、誰。僕って、誰。 昨季の「俺オールプロ」では、CBどころかDBを「該当者なし」にしたくらい、現代DB事情に疎い私なので、それは仕方ない。いや、仕方なくはない。勉強しろよ。します。 ざっと調べてみると、2022ドラフト1巡4位の25歳。若い。プライムタイムではある。ここまで、オールプロ2回なので実力は間違いない。たりめーだ、1巡2つ分なんだからさ。 でも、スタッツを調べてみると、ここまでキャリア4年でインターセプトは3つ。少ない。 まあまあ、インターセプト数がCBの全てって訳でもないだろうし、インターセプトが少ないっていうのは、「恐れられてる」とも取れるから、吉報であるのかもしれない。 いずれにしても、実力的には折り紙付きであろう。たりめーだ、1巡2つ分なんだからさ。 プライムタイムでコルツ入りしたCBというとヴォンタ・デーヴィスを思い出す。死んじゃったけどさ。ご冥福をお祈り致します。 そのヴォンタ同様、無難に活躍してくれるであろう。それは間違いない。たりめーだ、1巡2つ分なんだからさ。 で、問題は、その対価、1巡2つ分である。その価値の有無については議論になっている。もっと言えば、ポジション的な価値であろう。 CBっていうのは、確かにディフェンスの大きな武器であるし、最近どっかで書いたけど、フットボールに限らず、あらゆるスポーツで最も運動能力の求められるポジションである。故に、ドラフト上位でピックされる。 ただ、相手OCにとって、強力なCB、シャットダウンコーナーが、それほど驚異的な武器かというと、そうではないと思う。簡単な、実に簡単な対処法があるからである。 要するに、「そっちに投げなきゃいい」のである。まあ、フィールドが半分しか使えなくなるという恨みはあるけれども、半分でもボールは進む。1番手WBが死んでしまうけれども、2番手以降に頑張って貰えば良い。まして、今はノーバック全盛である。どんなに優秀なWRでも、「ひとりコケたら、皆コケた」にはならない。 そもそも、チェイスやジェファソンのようなスーパーWRを擁しているチームならともかく、そういうのがいないチーム、例えば今のコルツと戦うのにスーパーCB、シャットダウンコーナーが必要かといったら、そんな事は無い。ピットマンにシャットダウンコーナーを付けても無駄だよね。宝の持ち腐れだよね。高級食器でコンビーフを食うようなもんである。いや、コンビーフ旨いけどさ。 この辺が、同じディフェンスプレイヤーといえども、エッジラッシャーとの価値の違いであろう。耐用年数の問題もあるけど、単純にフィールド上の価値がCBよりエッジラッシャー、パスラッシャーの方が高いのである。 パスラッシャーは、CBとは違い、フィールド上で無視される事は無い。いや、それどころかダブルチーム必須。タックルにガードを付けたりタイトエンドを付けたりランニングバックを付けたりしなければならないのである。その時点で、大きな戦力ダウンである。すなわち、バランスブレーカーである。 故に、今回議論になっている訳である。 しかも、1巡ふたつ。誰もが思い起こすのが、ミカちゃんであろう。 ここで1巡ふたつ行くならば、ミカちゃんに行けばいいだろうが〜〜〜。 「パッカーズの1巡ふたつ」と「コルツの1巡ふたつ」、誰がどう考えたって、「コルツの1巡ふたつ」の方が価値が高いだろうが〜〜〜(涙)。 いやまあ、別にいいよ。なんか、今季上手い具合に勝てているので、スーパーボウル狙ってみよ。オールプロが市場に出ているので買ってみよ。いや別にいいよ、私も衝動買い派なんでね。買い物下手ともいう。 ジョーダン・ラブを大切に育てて、ここ数年が勝負と見て、レジー・ホワイトの夢をもう一度とばかりに、計画的にミカちゃんと購入したパッカーズと、なんとなく拾ったダニエル・ジョーンズで上手くいっているので、たまたま見かけたソース・ガードナーを大金はたいて刹那的に購入するコルツ。いや、分からんよ、コルツが勝つかもしれんからな。いや、世の中そんなもんかもしれんからな。鉄人をひろったよ。 あと、別の視点としては、コルツの編成担当権がバラードから変わったという説も無くは無い。あの熟女巨乳オーナーが刹那的にソースを購ったという説も無くは無い。無類のソース好き女は多い。ソースに目の無い女は多い。それはそれで良し。バラードよりは期待できる。大いに期待できる。 で、1巡ふたつを失った訳であるが、それはそんなに悲しくない。なぜなら、ドラフト担当者が、現時点ではとりあえずバラードであるから。 20年近くドラフトを見てきて、はっきり分かったのは、ドラフトは、「誰を指名するか」でも、「何位で指名するか」でも全然なく、「誰が指名するか」だって事である。 オーナーかGMかスカウト担当か、それはチームによって色々あるあるだろうけど、ドラフトで一番大事、唯一大事なのは、ドラフトの指名担当者、指名責任者だって事だよ。そこが良ければ、すなわちそれが目利きであるなら、ドラフトは無敵だよ、百戦百勝だよ、百戦百勝脚だよ。順位もアライバルも不作豊作も何にも関係ねー。 そこがダメだと、現状のコルツのようにドラフト、つか、FA、トレードも含めて、選手補強が運頼みになってしまう。昨季のドラフト記事で私が「○巡指名はGMだろうが〜〜」と連呼していたのは、あながち冗談ではないのである。ウケ狙いではないのである。心の叫びなのである。青春の絶唱。 まあでも、ソース・ガードナーさん、ガンバッテくだはい。期待してます。 今回はこれくらい、いや、えれー長く書いたけど、これくらいにするのであるが、前回ちょろっと書いた「貧乏ゲームパス」について。気になっている人は皆無だろうけど、とりあえず結論を書きます。 見送り。 5時台のゲームが多ければ加入しても良かったんだけど、3時台だと生で観戦できないので、見送り。缶コーヒーを買うようにゲームパスに入りたい。 あとまあ、今季はさすがにプレイオフ確定だと思うので、今季のコルツはプレイオフで楽しみたいと思います。いや、まさか、こっから出れねえって事はねーだろうな。無くは無い。それがコルツクオリティ。 2025/11/9(日) |