インディアナポリス研究会

歴史

戦評 '08シーズン

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</2/3/4/5/6/7/8/9>

Divisional
PlayOff
1月15日
BAL@PIT
24−31
 ディビジョナル・プレイオフを見ていたら、4試合共に、それぞれ違った特色のある、なかなか面白いゲームばかりだったので、それぞれちょろっと感想を書いてみたい。高校野球は準々決勝が一番面白いという言葉を思い出した。

 まずはAFCのBAL@PITから。

 で、とりあえず、このゲームについていえるのは、まず何といっても、飽き飽きしたという事だ。なんかもう、しょっちゅう戦っているというイメージである。そしてその試合内容はというと、30点前後の接戦になり(両チームともディフェンス型の割に高得点ゲームになるのは、無論両チーム共に、ディフェンスの力で得点するからである。)、ロスリスバーガーが最終ドライブでFGないしTDを決め、フラッコーが同じく最終ドライブでジェローム・ハリソンないしケイセルにサック、あるいはポラマルにインターセプトされて、しょぼ〜んという奴である。そういうゲームを、おそらく世界中全てのNFLファンが予想し、つうか両チームのプレイヤー・関係者まで含めて全てが予想し、そうして、その通りの結果になってやんの。

 まあ、ゲーム内容的には、玄人目には、それなりに面白く映るのかもしれないが、私のような素人には、ちっとも面白くないゲームである。もお、見飽きたわ。ゲームのレベルとしてはワイルドカードのNO@SEAより上なのかもしれないが、面白さは断然NO@SEAである。

 この手のマンネリ・マッチアップという意味では、IND対NEも同様であるが、こちらはまだチーム構成が対照的なので、それなりに楽しめる。見どころがある。ところが、このBAL対PITはチーム構成も何から何までそっくり、クリソツである。唯一の違いがQBの質なのであるが、その差で勝負が決するという結果が繰り返される。達也対和也で、最後は達也が南をさらうみたいなもんである。この喩えは自分でも言っている意味が良く分からないので、深く考えないよーに、厳しく突っ込まないよーに。

 個人競技でマッチアップがマンネリ化するというのは、有りがちかもしれないが、団体競技でマッチアップがマンネリ化するというのは、なかなかに珍しいと思う。ちょっと他に例が思い浮かばない。90年代のダラス対サンフランがこんな感じだったのだろうか。でも、あれも途中でサンフランのQBが換わるしなあ。チーム構成もかなり違うし。このBALとPITの例は、かなりレアなケースだと思う。

 つー訳で、どっちか地区変えろ。つーかカンファレンスも変えろ。それ以外に解決策は無い。

 とまあ、冗談半分でこんなアイデアを出してみたが、地区割りを変えるというのは我ながら良いアイデアかもしれない。このPITやBALに限らず、5年に一度くらい、思い切って全チームの地区割りを変えるというのは、なかなかエキサイティングではないだろうか。毎年、各地区1チームづつ、地区を変えていくというのも面白いだろう。
 50年前だったら、旅費等の問題で、なかなか難しい企画だろうが、今なら何の障害もないと思う。ダラスが東地区にいる段階で、地区の方角性や地域性の意味は無くなっているんだし、NCAAみたいに柔軟に地区換えするのも一興だろう。大相撲だって、東西固定性をとうの昔に止めているんだし。プロなんだから、面白きゃいいんだよ。

 なんかゲーム内容と全然関係無い事ばかり書いてしまったが、ゲーム内容について話すと、結局のところ、フラッコーに尽きるという事になると思う。

 私は今シーズン前、今季のフラッコーは一皮向けそうだと予想したが、皮被りのままだったみたい。大好きなメイソンとヒープばっかり投げているんだもの。ボルディンとハッシュがそれぞれ落球してゲーム終了、すなわちシーズン終了になったというのは、今季のフラッコー、ひいては今季のレイブンズを象徴していたと思う。
 はっきり言って、来季もこの調子だったら、いよいよフラッコーの責任問題に発展するだろう。大体、今のレイブンズなんて、ピーマニ(ペイトン・マニングの事。春日命名。)が率いたら、50連勝すると思う。怪我人が続出せず、主力に大きな異動が無ければ、マニングなら3年がかりで50連勝すると思う。

 あとは、噂のマーキス・パウンシーか。今回初めてじっくり見たが、確かに機動力はッパない。ことダウンフィールドブロックに関しては、もはや既に現役ナンバー1センターかもしれない。ただまあ同時に、思ったより小っちゃいという印象も受けた。あの体格だと、ショーン・ロジャースやヴィンス・ウィルフォークのような本格的NTと対峙した場合、そのプルラッシュに耐えられないのではないだろうかとも思った。まあ、それなりに対応策はあるんだろうけど。

                                                          2011/1/18
1月16日
NYJ@NE
28−21
 次はNYJ@NE。

 で、このゲームの感想を書く前に一言。全コルツファンを代表して言っておく。やい、ニック・フォーク、外すの一本遅いわ。外すんだったら、その一本前のFGだろーが。以上。

 と溜飲を下げたところで(下がってないけど、)、このゲームの感想をば。

 今季のNFL最高のゲームは前週のSEA@NOで決まりだろうが、試合のレベルという意味では、このNYJ@NEが今季最高のゲームといってよいと思う。NYJが次戦でこけるかもしれないが、事実上のスーパーボウルといってよいゲームだったと思う。それくらい、内容の濃い実力伯仲のゲームだった。
 最高のゲームとなると、単純な試合内容以外に、ストーリー性がどうしても重要になるので、ここ数年最大のアップセット、なおかつ寄せ集め集団的チームが、前年度スーパーボウル覇者を相手にそれを成し遂げたという点で、SEA@NOを選ばざる得ないだろうが、純粋にゲーム内容だけを取れば、このNYJ@NEがベストかもしれない。

 このゲームに関してはいろいろな切り口があると思うが、私はまず両ヘッドコーチの戦力分析を挙げてみたいと思う。
 このゲームでは、第2クォーター終盤残り4分5秒の場面、ジェッツは敵陣41ヤード地点4th&1からパントを蹴っている。私はここはギャンブルしても面白い場面かなと思ったが、レックス・ライアンは余裕のパントを選択。結果的には、このパントはタッチバックとなり、約20ヤード、フィールドポジションを良くしたのみに終わってしまったが、私はこのパントをレックス・ライアンの自信と見たい。自軍のディフェンスは勿論の事、オフェンス共々への自信である。

 一方、そのパントに続くNEのドライブは1回ファーストダウンを更新、18ヤード進んだのみで、結果的には自陣38ヤードで4th&4。ここでベリチックはパントフォーメーションからのトリックプレイを選択、これが失敗に終わり、この試合2つ目のタッチダウンを奪われる結果へとつながる。私はこれをベリチックの不安とみる。自軍への自信の無さの現れである。4th&ギャンブルというのは、時にHCの彼我の戦力分析を顕わにするが、これはそれがよく出た場面だったと思う。

 このゲームは戦前ややNE有利という評価であったが、当のHC両名は、期せずしてNE不利で一致していた訳である。まあ、レックス・ライアンの場合は年がら年中自信満々なので、あまり参考にならないかもしれないが、面白いのはベリチックの戦力分析である。私はベリチックの最大の能力はその正確無比な戦力分析にあると思っているが、このゲームでは、というか、このゲームでもその戦力分析は正確だった訳である。
 そこで、面白いのは、ベリチックはその自軍不利の戦力分析を覆す為に、結構無茶なプレイ選択をし、逆にそれで墓穴を掘る場面が多いという点である。このゲームでも、上記のシーンで普通にパントを蹴っていたら、また違った結果になっていたかもしれない。昨年のコルツ戦なども同様だろう。

 ペイトリオッツというのは、世間の評価は、このゲームの戦前の予想同様、かなり高く評価されているのであるから、ハッタリをかまして、それこそレックス・ライアンのように、自信満々の采配を振るっていれば、勝手に向こうから勝利が転がってくる事も多いと思う。それが出来ないのがベリチックの臆病、用心深さというものであろう。勿論、その臆病、用心深さが、上記の正確無比な戦力分析を生むのであるから、面白いものである。

 もちろん、このベリチックの采配はこのゲームの敗因の一部でしかない。その主因は、これはNEの敗因というよりジェッツの勝因になるが、ジェッツOL陣ということになると思う。私は正直、ジェッツOL陣がここまで良いとは思わなかった。先のコルツ戦でも完勝、そしてこの日のNE戦もラン・パスともに完勝である。コルツDL、パッツDL共に決して悪くは無い。それに2連勝である。もしかしたら、現在NFLナンバー1のOLはこのジェッツOL陣かもしれない。

 私はシーズン前の予想で、ジェッツが沈むと予想し、その主因をファニカの穴としていた。しかし、その穴は簡単に埋まったみたい。つーか、その穴が埋まると思っていたから、ファニカを放出したのだろうけど。私は自身の不明を恥じるばかりである。

 もっとも、そのファニカを使って出していたインサイドのランであるが、これは今現在も苦しんでいるようである。本質的にアウトサイドランナーであるショーン・グリーンにトーマス・ジョーンズの代わりは務まらなかったようである。グリーンも昨季に比べると、いくらかバルクアップしているようにも見えるので、当人もそれを意識しているのだと思う。しかし結果的には得意のアウトサイドのランの切れ味も失わせているように思う。そのアウトサイドランで、この日最後の勝利を決定づけるタッチダウンを決めたのは、何かの皮肉か。

 一方でジェッツ・ディフェンスはこの日も絶好調。事実上、NEを完封である。結果的には21点を失っているが、その大半は、点差が離れた段階で時計を進ませる為に、謂わば戦術的に奪われたもので、前半の3失点が、この日のジェッツ・ディフェンス対ブレイディの正しい結果だと思う。
 実際、今のジェッツ・ディフェンスと互角に戦えるのはピーマニ(ペイトン・マニングのこと。)ぐらいしかいないと思う。他に強いて挙げれば、リバース、ブリーズぐらいか。DL、LB、DB、DCと何処にも隙は無い。つーか、マニングはよくこのディフェンス相手に、あのバックス&レシーバー陣で16点獲ったな。さすがだわ。

 リーヴィス対ブランチは当然のようにリーヴィスの完封勝ち。まあ、ウェインが完封されるのだから、ブランチならば、この結果もやむなしだろう。実際、今のリーヴィスと互角に勝負できるのは、かつてのマニング=ハリソンやブレイディー=モスのような超一流QB・WRコンビ以外では不可能だと思う。現役では、せいぜいブリーズ=コルストン、リバース=ジャクソンくらいだと思う。シャウプ=ジョンソンではちょっと厳しいだろう。

 そういった意味でも、モスの不在は本当に痛かったと思う。モスがいれば、このゲームもまた違った展開になっていただろう。純然たる戦術・戦力的なもの以外での放出らしいが、理由は何であれ、モスの離脱はブレイディ、パッツ、モス自身、そうしてウェス・ウェルカーにとって、ここ数年で最大の痛恨事だったと思う。ウェス・ウェルカーの凋落なんて、それ以外では全く説明が付かないもの。

 あとまあ、これはこのゲームに限った事ではないけれども、ここ数年ニューイングランドが思うように勝てていない(っつても、1回スーパー出ているけど。)最大の要因は、これまで何度も書いてきたことだが、ウィリー・マッギネストの後継者、凶悪パスラッシャーがいないという事に尽きると思う。でも、その割にはドラフトとかで獲ろうとしないんだよなあ、何故なんだろ。そう思っていないのか。

 ジェッツに話を戻そう。この凶悪ディフェンスに、もはやリーグ・ナンバー1かもしれぬOL陣、そうして真価を発揮しつつあるサンチェスと、はっきりいって、もはやスーパー制覇に向けて、死角無しである。残った3チームのうち、ジェッツに勝てそうなイメージはひとつも思い浮かばない。

 ちょっと話は逸れるが、私はシーズン前、これからの10年代はNFCの時代になると予想したが、少なくとも今季の時点では、それはまだ厳しそうである。今のNFCのチームで、NYJ、NE、PITの3強に勝てそうなチームはちょっと思い浮かばない。BALやINDあたりでも厳しいかもしれない。もうちょい待つ必要がありそうである。

 う〜む、しかしジェッツかあ。これで来週のゲームも勝っちゃうと、コルツ、パッツ、スティーラーズと、それぞれここ5年くらいでスーパー制覇したことのあるチームを、全てロードで打ち破るという、20数年前のNHK杯の羽生みたいになっちゃうんだよなあ、伝説の5二銀みたいな。更にベアーズがスーパーに出て来ると、スーパー出場チーム4タテになってしまう。負けとくか、この辺で。サンチェスはともかく、レックス・ライアンが調子に乗っちゃうだろ。教育上よろしくないので、スティーラーズの皆さん、頑張ってください。

 個々の選手評を付け加え。

 アルジ、太り過ぎ。引退後に太るというのなら分かるが、引退前に太るって。お前はショーン・ケンプか。

 ブレイロン、たいして活躍していないのに、盛り上がり過ぎ。

                                                      2011/1/19
1月15日
GB@ATL
48−21
 こちらは、ある程度予想通りだった上記2試合、つーか他の3試合と違って、少々、というか、かなり意外な結果に。得点差も意外であったが、それよりなにより勝敗が私には意外であった。GB@PHIのゲームの様子から考えて、私はかなりイージーにATLが勝つと思っていた。それが、ここ最近のプレイオフでは、ちょっと例が無いくらいのGBの完勝、圧勝だった。

 直接の敗因はATLのCB陣があまりにしょっぱかったという事だろうが、それだけでこの大差は説明が付かない。まあ、見る人が見れば、その理由も分かるのだろうが、NFCのゲームはあまり具に見たことが無いので、これ以上は何とも言えない。

 ただまあ、漠然とした印象としては、ゲーム上の細かい事が何から何までGBに味方していたという感じは無くは無い。ATL側に技術的なミスも勿論多かったが、それ以上に不可抗力的なミスや展開上の不首尾が多かったように思う。その際たるものは、エンドゾーンのペイントに滑って転んじゃったマイケル・ジェンキンスと、その結果のインターセプトだろう。

 結局、何が言いたいのかというと、GBファンの皆様は気を悪くするかもしれないが、GBはかなりツキに恵まれて勝ったのではないかという事である。ワイルドカードのPHI戦も、つまるところエイカーズのFG2本外しが全てだったと言えるし。
 実際、ここ最近のGBがツキに恵まれている事は確かだと思う。レギュラーシーズンの終盤から綱渡り的にNFCチャンピオンシップまで辿り着いたというのは、もちろん実力もあるだろうが、ある程度、運に恵まれた部分もあったと思う。ただまあ、昨年のコルツのように運というのも、勝ちあがっていく為には意外に大きな要素なので、そういった意味では今季のGBはスーパー獲りの大チャンスかもしれない。

 一方、NFCの本命に挙げられていたATLであるが、ここでまさかの敗北。これで、プレイオフ2戦2敗となったマット・ライアンは、いよいよ本格的にマニング2世襲名である。この試合でも、第2クォーター最後のインターセプト・リターン・タッチダウンなどは、教科書通りのプレイを読まれて、ものの見事にインターセプトされるという、まさにマニングチックなプレイであった。この場面、解説の村田さんは、昨年のスーパーボウルのトレーシー・ポーターのINTを髣髴とさせると語っていたけれど、まあプレイ内容はあのINTとは微妙に異なるように思うが、確かにそれを髣髴とさせるプレイだった事は間違いないと思う。

 あとまあ、これは直接的なライアンへの苦情というわけではないけれど、彼には超一流のWRを与えてあげた方が良いと思う。ホワイト、ジェンキンスともに、決して悪いWRではもちろん無いけれど、エースWRというには少々物足りないように思う。ドラフトでの獲得は難しいだろうと思うので、FA・トレード等で狙ってみたらどうだろう。カルヴィン・ジョンソンはさすがに厳しいだろうが、ランディ・モスやアンドレ・ジョンソンあたりは狙い目ではないだろうか。コルツ的にも助かるし。

 一方、そのマット・ライアンとの若手QB対決に完勝したアーロン・ロジャースであるが、私はイマイチこのQBを評価できない。私の見る限り、どうみてもカレッジのスターレベルのQBなのであるが、結果は残しているので、やはり優秀なQBという事になるのだろう。ただまあ、このゲームもそうだったが、結果オーライのプレイがあまりにも多いように思う。昨季の被サック51も気になるし。ちなみに今季は被サックは31と大きく改善されてはいる。

 しかし今のような結果オーライ的なプレイスタイルのままだと、次のシカゴの凶悪カバー2などには、いい餌食になってしまうのではないだろうか。もちろん、私はアーロン・ロジャースのプレイを具に観察している訳ではないので、たまたま私の見ているところで悪かっただけなのかもしれないが。

 話が出たついでに、NFCチャンピオンシップの予想をすると、上記のような理由から、GBはあまり得点できないように思う。一方でCHIも今のGBディフェンス陣相手に大量得点は難しそうなので、ロースコアのゲームになると私は予想する。第17週の3−10の再現とまではいかなくとも、両チームともに10点台のゲームになるのではないだろうか。そうして、審判までも含めたミス的なもので勝敗が決するように思う。

                                                           2011/1/20
1月16日
SEA@CHI
24−35
 上記3つの試合の感想をポンポンと書いてきて、このSEA@CHI戦のレポートは間が空いてしまったが、他意はない。単に時間が取れなかっただけの話である。むしろ、このSEA@CHIのレポートというか、シアトルについての感想を書きたかったが為に、このディヴィジョナル・プレイオフ4戦全レポートをやってみたみたいなところもあるので、むしろ、このSEA@GHIはエビフライみたいなもんである。

 さて、そのシアトルであるが、我が愛しのストークリー様をはじめ、ラヒーム・ブロックやマーション・リンチ、ロウアー・ミロイ、マイク・ウィリアムズ等々、他チームから「もう、いらね。」的に放出された選手が大活躍して、先週のワイルド・カード・プレイオフを一回戦をものにした訳だが、そうした内容からいっても、ここ数年のNFLでは最大のアップセットであることは間違いないと思う。NFL史上最高かは、よく分からぬ。

 この手の廃品再利用的選手を集めての勝利となると、日本マスコミ的に表現すれば、ピート・キャロル再生工場となるだろう。大物FAのハッシュを斥けて、マイク・ウィリアムズを登用なんていうのを見ると、これで選手が発奮しない方がおかしい。ピート・キャロルには白ズボンが良く似合う。亀山社中出身か。
 こういう選手の使い方を見ていると、USCに若い才能が集まったというのも良く分かる。特に、若者、とりわけスポーツマンはこの手の人格に接すれば、イチコロだろう。もっとも、NFLはドラフト&サラリーキャップなので、この手のリクルートは、上記のブロックやリンチのような選手にしか通用しないであろうが。

 その再生プレイヤーのひとり、マイク・ウィリアムズであるが、先週のNO戦、そしてこのCHI戦とじっくり良く見たが、さすがにエースレシーバーは苦しいと思う。このゲームでは、はっきり戦犯だった。彼のナチュラル・ポジションはTEであるという評が、かつてあったが、なるほど、それも頷ける。スピード不足はともかくとして、レシービング能力が一流WRのそれでは無いと思う。せいぜい、優秀なレシービングTEレベルである。彼がエースWRになる事は、なかなか厳しいだろう。
 彼はかつて全体3位でライオンズに指名された選手であるけれども、当時は長身WRバブルだったというのが良く分かる。マット・ジョーンズまでもが1巡指名だったし。結果的には成功したのは、単なる長身WRではないカルビン・ジョンソンと、せいぜいフィッツジェラルドぐらいである。そのフィッツにしても6−3なので、びっくりするほど長身という訳でもない。6−2を越えるWRは、個人的には懐疑的である。

 先に私は、ハッシュを斥けてマイク・ウィリアムズを使う事で、選手は発奮したと書いたけれども、やはり戦力的にはハッシュだったと思う。ブランチだったと思う。もし、この試合、ハッシュ、ストークリー、ブランチというWRユニットで、オボマヌをXファクター的に使っていれば、シアトルの勝利も有り得たと思う。シーズンの勝利数も7勝を越えていただろう。

 しかし、ストークリーなあ。この試合を見ていて、つくづく彼を放出したのは間違いだったと痛感した。ブレア・ホワイトがストークリーだったら、ジェッツ戦勝ってたなあ。わたしがコルツファンになって7,8年が経つが、その間のトランスザクションで最大の成功は、ヴィナティエリ獲得だろうが、最大の失敗は、このストークリー放出である事に間違いない。まさか、ケガが治ると思わなかったもんなあ。つーか、当時はロースターに余裕があったのだから、怪我有りでも良いからストークリーはキープしておくのだった。キックオフ専門キッカーとか将来LB要員の為にロースター枠を使うんじゃなかった。

 コルツファンの愚痴はそれくらいにして、シアトルの話を続けよう。

 シアトルで、この手の再生工場以外で注目していたのが、アーロン・カリーとアール・トーマスの1巡指名プレイヤー二人である。私はドラフト時、彼等を、良い選手には違いないだろうが、LBやSに4位や14位を使うべきではないと腐していた。
 このプレイオフの2試合をじっくり見た結論からいうと、私のその予想は間違っていないと思う。確かに、NO戦では両名ともに、特にランストップで活躍していた。アップセットの殊勲者といって良い。ただしかし、5位や14位級のプレイヤーかというと、それは違うと思う。全然物足りない。やはりポジション的な限界があると思う。

 カリーが全体5位級の活躍をするとしたら、マシューズやウェアのような凶悪パスラッシュOLBかアーラッカーやレイ・ルイスのような万能MLBになるしかないと思うが、どっちもちょっと厳しいのではないだろうか。スピード・パワーともに、どっちつかずという感じである。おそらく適任は4−3のSLBだろうが、このポジションだと4位級の活躍はまず無理である。A・J・ホークと同じ道を辿る様な気がする。そういえば、ラバー・アリントンは何処へ行った。

 アール・トーマスに関しては、これははっきりセイフティというポジション的な限界がある。

 カリーの4位ではQB(サンチェスが5位である。)かLTを、トーマスの14位ではWRかCBを指名すべきだったのではないだろうか。

 とまあ、カリーとトーマスを腐したが、それはあくまでドラフト順位の話であって、彼らが良い選手、スターターで申し分無いことは言うまでもない。このカリーやトーマスにオクーンといった1巡プレイヤーに上記の再生工場的選手を絡めれば来季もシアトルはいい所に付けるのでは無いだろうか。あとはQB問題か。いよいよ、再生工場の目玉、ライナート獲得か。

 このシアトルに、ブラッドフォードのセントルイス、そして今度ハーボーがHCに就任したナイナーズと、来季のNFC西はなかなか面白い地区になると思う。カージナルスなどは、愚図愚図していたら、またドアマットに逆戻りである。

 なんかシアトルの事ばかり書いてしまったが、SEA@CHIのレポートもちょいとばかし。

 試合そのものは、シカゴの快勝だった訳であるが、シアトルの敗因を挙げると、上記のウィリアムズの落球の他に、カールソンの離脱、ラン不足が挙げられると思う。カールソンの怪我に関しては致し方ないが、カールソンがいれば、ラン・パスともに、もう少し幅の広い攻めが出来たと思う。ストークリー以外、武器がなくなってしまう状況は避けられたと思う。

 カールソンの離脱により、コールしづらくなったというのもあるだろうが、もう少しランを出してみても良かったと思う。特に前のゲームの殊勲者、リンチの4キャリーというのはあまりに少なすぎる。まあ、いろいろな事情があるのだろうが、不可解なコールだった。リンチのようなタイプこそ、こういう行き詰まったゲームでは活きると思うのであるが、どうであろう。

 シカゴ側に関しても書くことはあるのだが、それは次回のNDCチャンピオンシップの記事で。

                                                     2011/2/24
 
Conference
Chanpionship
1月23日
NYJ@PIT
19−24
 これは意外な結果だった。ジェッツの敗戦が意外だったという訳ではない。もちろん、私は前回の記事の通りジェッツ有利と踏んではいたが、一方で無論ジェッツの敗北もあるとは予想していた。しかし、それは、ロスリスバーガーorポラマルが変態的なプレーをするとか、ジェッツ側に不利な展開や、FG外し等の痛いところでの痛いミス、あるいはレフリーの不利な判定等々、不可抗力的な理由による敗戦だと思っていた。それがまさか、タックルミスによる敗戦とは。これは予想だにしなかった。

 試合前半、スティーラーズのランが気味悪いくらいに出た、最大の要因は
 確かにスティーラーズのオフェンス・プレイヤーは、それぞれに良いブロックをしていた。ロスリスバーガーやメンデンホールは良いランをしていた。しかし、試合前半、ジェッツのプレイコールは間違っていなかったにも拘らず、スティーラーズのランが気味悪いくらいに出た最大の要因はジェッツディフェンス陣のタックルミスである。そして、それがそのままゲームを決してしまった。
 今現在、おそらく世界で最も高度なディフェンスをしているチームが、フットボールのディフェンス・プレイヤー、もしくはフットボールの全プレイヤーが、そのキャリアの一番初めに学ぶプレイ、タックルが原因で、勝てるゲームを落としてしまうとは、フットボールの恐ろしさ、スポーツの恐ろしさを、今回、私はまざまざと知った。もっとも、これがあるから、スポーツ観戦、フットボール観戦は止められないのであるが。

 今年の正月は、私はカレッジのボウルゲームを多く観戦したのであるが、その放送で、アメリカのベテラン解説者が、「ボウルゲームで最も大事なのはタックルだ。」みたいな解説をしていて、それを聴いた私は、カレッジの最高レベルのゲームでタックルが勝敗の分かれ目になるのかなあ、と訝しんだのであるが、成程その通りだった。最高レベルのゲームでもタックルが勝敗の分かれ目になる。

 では、そのタックル・ミスが何故出たのかと云えば、それはもう慢心としか言いようが無いだろう。タックルミスというのは、もちろん体力的技術的な理由もあるだろうが、NFLクラスのプレイヤーの場合、それはもうほとんど精神的な理由である。プレシーズン・ゲームや消化試合、何か決定的にモメンタムを失うようなプレイの出た直後などは、露骨にタックル・ミスが起きる。タックルやブロック外しは、気持ちひとつで全然変わってしまうプレイなのである。それが証拠に、このゲームでも、後半では、ジェッツ・プレイヤーが気持ちを入れ替えたのであろう、タックルミスはピタッと無くなった。結果的にスティーラーズのランも出なくなった。

 では、そのタックルミスを招いた精神的な要因とは、それはもう慢心しかないと思う。おそらく、ジェッツのプレイヤー、特にディフェンス・プレイヤーは自分達が勝ったも同然の気持ちで試合に臨んだのではないだろうか。自分達自身もジェッツ有利と踏んでいたし、周りもジェッツ優勢と見ている。特にディフェンス陣は、スティーラーズが自分たちから得点できる筈が無いと思って試合に臨んだのだと思う。NE戦では、世間はジェッツ不利と見ているから、それを見返してやろうという強い気持ちがあった。しかし、今回は世間もジェッツ有利と見ている。そして、その気分に乗ったまま、弱い気持ちとまではいかなくとも、緩い気持ちのまま、試合に臨んだのだと思う。そして、その結果がタックルミス連発、あれあれの連続で、前半は完全にモメンタムを失い、気が付けば24−0、ほぼ決着である。

 この慢心を戒めるがHCの役割であろうが、レックス・ライアンは、慢心を戒めるどころか、自身も慢心していたのだろう。ライアンにとっては、生涯最大の痛恨の敗戦だったと思う。普通にやれば勝てていたゲーム、しかもスーパーボウルへのゲームを、気持ちひとつで失ってしまったのだから。生涯悔んでも悔やみきれない敗戦になったと思う。ゲーム終了とともに投げ捨てたヘッドセットは、そういう気持ちの表れだったのではないか。

 実際、普通にやっていれば、ジェッツが勝っていただろう。気持ちを入れた後半は16−0である。この点差が、そのまま現在のジェッツとスティーラーズの力の差とまでは言わないけれども、ジェッツが押し捲ってスティーラーズが耐え捲るという、この後半の展開が、本来のこのゲームの姿だったと思う。しかし、それが慢心から来るタックルミスで全て失ってしまった。

 同じタックルミスでも、技術的体力的なものならば、モメンタムまで失う事はなかったが、それが慢心という気持ち的なものから招いたものだけに、結果的に前半丸々モメンタムを失ってしまった。単にスティーラーズにランが出たということ以上に、これが何よりジェッツには痛かったと思う。
 結果的に決勝点となる、前半終盤のファンブルロストからのリターンタッチダウンの時などは、完全にモメンタムを失っていて、観客全て、もしかしたらプレイヤーまでもが、サック時、ファンブルロスト時、リターンTD時と思っていた筈である。私も、ブラウン管を通して(液晶ではない。)、それをビンビン感じていた。そうして結果、その通りである。私などは、ニーダウンすべきだと思っていたくらいである。

 後半はジェッツが押していたので、モメンタムは取り返したかに見えるが、実際は奪われていたと思う。モメンタムというよりは24−3という点差が全てを狂わせていたというべきだろう。
 第4クォーター序盤、ゴール前1ヤード4th&ギャンブルでトムリンソンにダイブさせて失敗などは、それの現れである。先週のNE戦で見せたようなオープンへのランなりパスなりを出していれば90%以上の確率で成功していたであろうが、見え見えのインサイドへのダイブで失敗。もちろん、これも部外者だから言えるのであって、現場のOCやHCには、そんなガッツィー過ぎるコールはとても出来ない。
 また、最終的に勝敗を決めた最終盤3rd&6からのスティーラーズのノーバックから伏兵アントニオ・ブラウンへのパスも、これもリードしていたからこそ出来たプレイである。4WRないし5WRというパッケージは、おそらく現状ジェッツ・ディフェンス陣が唯一苦手にしている、というか対応しにくいパッケージであろうが、そうはいっても4人目5人目のレシーバーなどは、そうは信用できないので、NE以外は、なかなか使えるパッケージではない。そういうパッケージを、この勝負所で使ってくるあたりは、さすがスティーラーズである。最も使いやすく、そうして最も効果的な場面での使用である。このパッケージを見た瞬間、私はPITの勝利を確信した。

 全ては慢心から始まったジェッツの敗戦であるが、これは、通常の敗戦以上に、高く付いたと思う。単にスーパーボウルを逃したというのみならず、ミソのつく敗戦である。今のジェッツの力だとプレイオフ常連になることはまず間違いないだろうが、しばらくスーパーボウルからは遠ざかる事になるのではないだろうか。チームというのは旬を逃すと、意外とズルズルといってしまう。良い例が近年のサンディエゴである。ジェッツも同じ道を辿ると思う。そういった意味で、手痛い敗戦だった。同じ敗戦でも、来期への力となる敗戦が欲しかった。

 PIT側についてはひとつ。ロスリスバーガーなあ。これでキャリア7年で3度目のスーパー出場。何気にモンタナやブレイディに匹敵する数字である。とても、そんなQBには見えないんだがなあ。この日も2Intsに1セイフティ。ところが、この人の場合、ミスが敗戦につながらないんだよなあ。痛恨のミスにならない。ものすごい強運の持ち主なのか、それとも、むしろこちらの線のほうが濃厚なのであるが、もの凄く頭の良いQBなのか。一体、どんなキャリアを送るんだ。マニングと正反対のキャリア。

                                                    2011/1/26
 
1月23日
GB@CHI
21−14
 ホントは先の記事を書いた直後に、チョチョっとこのゲームの感想も書いてしまおうと思っていたのだけど、その後、仕事が猛烈に忙しくなって忙殺、全然書く暇なし。で、結局、スーパーボウル直前のこの記事に書く羽目に。

 でも、その前に、ちょっと時事ネタ。

 大相撲の八百長問題で世間は盛り上がっているが、あんなのは認めてしまっても良いのではないだろうか。むしろ、取り組み前にスーパーインポーズで流してもらう方がよっぽど面白い。この勝負は○○関がン十万円で買い取りました、みたいな。番付けが低い奴の星が意外に高値で取引されていたりすると、「もしかして、こいつ番付けは低いが意外に実力者なのかも。」と想像したり、また、普段星の売買をしない奴が突如星を売り始めたりしたら、「なにか、あったのか。」と勘繰ったりできる。すると、案の定、しばらくして離婚が発表されたり、いろいろと妄想、もとい、大相撲を観る楽しみが広がると思うのであるが、どうであろう。

 あと、今回の八百長騒動の報道を見ていて、私は一つの視点が欠けていると思う。それはケガ防止という視点である。八百長というと語弊があるというか、この言葉の使い方自体がおかしいのであるが、そこに博打が介在していない(しているかもしれないけど、)以上、厳密にはこれは八百長とはいえないと思う。そこに金銭が介在するにせよ、広い意味での無気力相撲、説明的な言い方をすれば、先に勝敗を決めての取組という事になるだろうが、とりあえず、この稿では、世間に倣って、八百長相撲と表記する事にする。

 言葉の使い方はともかくとして、もし広い意味での八百長がなくなってしまったら、ケガ人続出で、それこそ興行が不可能になってしまうと思う。100kg以上ある人間がぶつかる、それを2週間毎日行い、それを2ヶ月に一度のペースで行っていたら、ほとんどの人間は潰れてしまうと思う。しかも、大相撲には体重制が無い。軽量力士などは、実力以前の問題で、肉体的、というか体重的に潰されてしまうだろう。かつてのように「一年を七日で暮らす」なんて暢気な事を言っている時代ならばともかく、現代の年6場所、そこに巡業を挟むという日程では、八百長の横行もやむなしだと思う。

 もしも無気力相撲でない、気力の充実した相撲、いわゆるガチンコを、今のペース、15日連続の取組を年6回やると言う事になれば、たちまちケガ人だらけで、興行が成立しなくなってしまうと思う。ケガ人を減らす為には取組数を減らさざる得ないだろうが、すると、総収入も減る。世界チャンピオンなのにアルバイトしているボクシングと、同じような事になってしまうだろう。プロだかアマだか分からない状態になってしまう。このへんが、格闘技のスポーツ興行の難しさだと思う。プロレスというのは、それの一つの解答である。

 また、この問題が日本であまり論議されないのは、100kg以上ある人間がぶつかると言う事の本当の意味を多くの日本人が知らないからだと思う。この辺がフットボールの盛んなアメリカとの決定的な違いだろう。アメリカ人の方が、却って大相撲は八百長、プロレスみたいなものだと言う事がよく分かっている。

 私が相撲を見初めて30年近くになるが、その間、というか、もしかしたら相撲の歴史が始まって以来の大ケガが、究極のガチンコ力士、ちょっと頭がおかしいのではないかと言われるくらいのガチンコ力士だった貴乃花ひとりだけというのも、この間の事情を裏から物語っていると思う。そう考えると、彼が先代の貴ノ花、父親の貴ノ花の死に際して、「師匠の相撲は誉れでした。」と語ったのも、なにやら示唆的である。

 ちなみに、この貴乃花のケガは、確かどちらかの足の靭帯を全部持ってかれたもので、普通は、治療に1年、リハビリに1年、5割程度の力で復帰に1年、そうして4年目で初めて完全復帰というようなものだった筈であるが、一年休場したあたりで、横綱審議委員会がやいのやいの言い出し、結局2年目あたりで無理矢理復帰して、引退を早め、朝青龍に横綱の何たるかを示す事が出来ず、つまるところ今の角界の状態の遠因になってしまっている。これが例えばNFLやNBAなら3年くらいの休養は普通に出しているだろう。
 この横綱審議委員会というのが、また愚かな集団で、単に夕刻なんとなく相撲を見る程度の相撲ファンに過ぎず、相撲も詳しくなければ、スポーツも知らず、ましてやスポーツ経営なんてチンプンカンプンという連中で、名誉職というのが、いかに世の中に悪影響を与えるかという好例、というか悪例だと思う。

 ちなみに、この相撲周辺の職業でもうひとつくだらないのが、この手の相撲問題になると、したり顔でTVに出てきて、伝統がどうの、白熱した大勝負がどうのというような、バカ丸出しの発言を繰り返す、あの相撲記者クラブの連中である。だいたい、この八百長問題にせよ、野球賭博の問題にせよ、本来お前らがスクープせねばならない問題だったのではないか。提灯記事ばっかり書いていると、脳が腐るという好例、というか悪例である。

 ついつい、いろいろ書いてしまったが、私は別に相撲という競技そのものにはたいして興味は無いのであるが、スポーツ興行、スポーツ・ビジネスという観点からは、このおそらく世界最古のプロスポーツ組織、大相撲にはそこそこ興味があるので、また時宜を見て、いろいろ書いてみたい。

 ついでにもう一つ付け加えると、ここ最近の大相撲関連の不祥事で、私が最も悪い、許されない事だと思うのは、朝青龍の巡業サボりである。まあ、もちろん、野球賭博や麻薬所持などは、法を犯しているのだから、そういった意味では、一番性質が悪いのであるが、それはあくまで社会人、法治国家で暮らす人間として悪いという意味であって、大相撲的には直接関係はない。
 大相撲的な意味合いに於いて最も悪いのは朝青龍の巡業サボりだと思う。ここ数年、大相撲で不祥事が頻出するのも結局は、朝青龍が横綱を張っていたという事に起因すると思う。外国人の一人横綱にそこまで責任を負わせるのは酷かもしれないが、横綱というのは、そういうものである。勝っているだけで良いというものではない。フットボールのQBと同じである。

 と、無理矢理NFLに関連させたところで、NFCのチャンピオンシップの話になるが、結果はともかく内容的には意外だったAFCのそれとは逆に、結果はともかく内容的には予想通りのゲームだった。その予想通りの内容というのも、所謂フットボール的な内容ではなく、どっちかというとオカルト的な内容、GBのバカヅキである。レギュラーシーズン終盤から、GBはツキに恵まれていると、私は先に記事で書いていたが、まさか、ここで究極のバカヅキが出るとわ。相手QBが途中退場しちゃうって。おそらくフットボールにおける究極のラッキーである。相手QBが、理由はどうあれ、途中退場すれば、そりゃ大体勝つわ。CHIサイドからすれば、勝負にならんわ。

 去年のスーパーボウルのフリーニーと同様のケースであるが、これも試合前から不出場が決まっていれば、まだCHIサイドにも戦い方はあったろう。たとえば、前半ロジャースに2TDs奪われているが、これもある程度様子見のディフェンスをしていた結果奪われたもので、エースQBが最初から不出場が決まっていれば、CHIの守り方もまた違っていただろう。得点が期待できない以上、完封を目指して、ロジャースを攻めていたはずである。ちょうど後半のような守り方だったと思う。

 去年のコルツがフリーニーの途中退場であれだけ苦しんだのだから、QBの途中退場となれば、この時点でCHIは白旗だったと思う。フットボールに限らず、怪我を押しての出場というのが、良い事か悪い事かというのは意見の分かれるところであるし、私自身も結論は無いが、このゲームに限ってはカトラーの怪我、途中退場が全てだったと思う。

 一方、GBのQBロジャースであるが、私はこのゲームの記事で彼を腐そうと考えていたのであるが、処分保留。上記のような理由から、ゲーム展開的に真価を発揮する箇所が無かったというのもあるが、イメージ的に思ったより良かったというのもある。まあ、とはいうものの、このゲームの後半のようにCHIのような一級品のディフェンスを攻略できるかというと、それはまだ疑問符が付くと思う。マニングやブレイディのような超一流QBとまでは言えないと思う。私のQBランクでは、リバースやブリーズ、さらにはサンチェスにも劣る。2流とまでは言わないが、1.5流のQBだと思う。力でファーブを抜けなかったのも当然だろう。

 その理由は、やはり何といっても、このゲームではゲーム展開的にあまり無かったが、動きすぎるという点である。今回のスーパーボウル進出で、そのスクランブル能力を、ひとつのQBの進化形として評価する向きも多いが、私は頭が固いのかもしれないが、評価しない。ポケットから出てしまうというのは、結局のところ矢張、ディフェンスが読めていないのである。ディフェンスが読めていないから、自らポケットを出てディフェンスを崩さざる得ないのである。それでもパスが通るのだから、それもひとつのクォーターバッキングだというのが最近の評価なのだろうが、それでも矢張、スクランブルしてしまうとパスコースは限定されてしまう。ポケットにいる時より自由にパスは投げられない。これがロジャースがには通用しないという論拠である。

 ただまあ、この手のタイプは一線級のディフェンスには苦しむものの、二線級のディフェンスに対しては自由自在であろうから、スタッツ的には一流QBになってしまう。シャウブなどと同様の数字に騙されやすいQBという事になるだろう。

 ロジャースに対してはこれくらいにして、CHIのオフェンス、マイク・マーツのオフェンスについてであるが、このオフェンスは、巷間、QBやLTに金のかかるオフェンスと言われているが、私はそんなことは無いと思う。金のかかるオフェンスである事には違いないが、かかる箇所はQBやLTではなく、むしろレシーバー陣だろう。このオフェンスだと、レシーバーは、スピード、ルートランニング、ハンドと3拍子が揃っていなければならなくなる。それも最低でも3人は必要となる。となると、一巡を3つくらい使わなければ、そんなレシーバー陣は完成しない。ラムズ時代も、ブルース、フォーク、ホルトと一巡を三つ使っている。

 一方でLTやQBには、そんなにお金を掛ける必要は無いと思う。まあさすがにLTはそれなりに金は必要になるだろうが、他のOL陣に関してはパスプロのみを求めればよいので、そんなに苦労は無い。また、QBに関しても、一巡を使わなくても何とかなるのではないだろうか。というのも、マイク・マーツのQBに求められるのは、そこそこの肩とパスの精度だけであり、一巡QB必須のアドリブ能力はさほど必要でない。むしろ不要である。プレイブックを何が何でも貫徹する能力がマーツのQBには必須である。変にアドリブをしたがるマニングのようなQBは、かえって不要だろう。現役ではブレイディのようなタイプ、そして何よりラムズ時代のカート・ワーナーがマーツの理想のQBである。ワーナーで私が感心するのは、そのプレイブックを何が何でも、サックされようがヒットされようが、貫徹しようとする意志の強さである。それがファンブルの多さにもつながり、放出される一因にもなるのだが、マーツのオフェンスには最も合っているQBではあったとは思う。この手のプレイブック通りにプレイするというのは、一巡QBは却って嫌がりそうであるから、このワーナーやブレイディといったドラフト外やドラフト下位のQBの方がむしろ適しているだろう。現役で他にあげるとすれば、トニー・ロモあたりか。カトラーはそういった意味では、マーツとは合わないんじゃないかなあ。近い将来、どちらかが出る事になるかもしれない。まあ、カトラーの真の性格は知らんけど。

 さて、あと数時間後に迫ったスーパーボウルの予想でもしてみっか。今まで書いてきた理由から、スティーラーズ有利は揺るがないと思う。どう考えてみても、ロジャースがPITディフェンスを攻略できるとは、とても思えない。

 また、良いと言われているGBディフェンス陣も、私の目にはそんなに良くは映らない。パスディフェンスは確かに素晴らしいが、ランに対しては脆いと思う。PITのランアタックを止められるとはとても思えない。噂のマシューズも確かに良い選手ではあるが、スキームに助けられてスタッツを稼いでいるという感もなくはない。良い時のメリマンやウェア、ハリソンに比べると迫力は数段落ちるし、サッグスには遠く及ばないと思う。
 GBディフェンスのベストプレイヤーは、殿堂入りのウッドソンを抜きにすれば、ジェンキンス、ラジのDTコンビだと思う。ただ、彼等二人も、どちらかというと、3テクニック・タイプのパスラッシャーだと思うので、ランに対してはあまり期待できないと思う。

 以上のような理由から、GBが勝利するのはかなり難しいと思う。下手すれば、20点くらいの差が付くのではないだろうか。GBが勝つとしたら、インターセプトでもファンブルリカバーでもパントリターンでも、何でも良いので、何らかの大きなリターンが3つ4つ必要になるのではないだろうか。あとはバカヅキ。昨年のコルツは、ここで切れたが。最後まで、もつか。

                                                           2011/2/7
 

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