インディアナポリス研究会

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戦評 '08シーズン

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2011年
4月
ドラフト感想  さて、’11ドラフトも終了した訳であるが、コルツドラフトについて感想を書く前に、全体の印象をふたつみっつ。

 今ドラフト最大のトピックスは、やはり何といっても、アトランタの無理矢理トレードアップ&フリオ・ジョーンズ指名であろう。

 フリオ・ジョーンズに関しては、私も個人的には狙っていたものの、前回の記事にも書いたように、さすがに22位からトレードアップして獲るのは非現実的だと思っていたので、諦めていたのであるが、上気したとおり、アトランタが22位より下の26位から無理繰りトレードアップして獲得、会場は騒然としたし、私も唖然とした。

 この獲得劇に関しては、賛否両論あろうし(今は賛の方が多いのかな。)、現時点では結論は出ないだろうが、私個人的には、ここまでトレードアップするのなら、もうちょい頑張って、全体4位のA.J.グリーンを狙った方が良かったようにも思う。地元ジョージア大出身だし。全体2位のデンバーあたりは狙い目だったのではないだろうか。ボン・ミラーに強い執着があったようには思えないし。まあ、分からんけど。

 一方で、そのフリオ・ジョーンズをスルーしたブラウンズは、WRが超強力なチームニーズで、GMのホルムグレンがWCOマスター、んでフリオ・ジョーンズはWCO向きと評価されている選手、でありながら指名見送り。

 無理繰りトレードアップしてまで獲得を目指すチームがある一方、WCOチームでありながら指名を見送る、こういった種々の事を勘案すると、フリオ・ジョーンズというのは、やはり見る人によって評価の分かれるプレイヤーだったという事になる。そのへんは、誰が見ても鉄板と言われるA.J.グリーンとの大きな相違点だと思う。

 そのほか、今回のドラフトの特徴はというと、1巡中盤からサプライズピックが非常に多かったという点も挙げられると思う。例年だと、せいぜい1つ2つなのであるが、今回は5つ6つあったように思う。まあこれは、ドラフト前から指摘されていた通り、トップ10以下の選手の実力が横一線、どんぐりの背比べ状態だったという事の顕れだろう。
 例年だと、トップ10でひとまとまり、11位から30位ぐらいまででひとまとまり、31位から2巡上位でひとまとまり、2巡中位から2巡下位ぐらいまででひとまとまり、といった感じなのであるが、今ドラフトは11位から2巡全体、下手すると3巡ぐらいまででひとまとまり、といった評価なのであろう。その結果、上のフリオ・ジョーンズも同様だが、チームによってドラフトボートが非常に異なり、サプライズピックが多く生まれるという事になったのだと思う。

 それと関連しているかまでは不明だが、今ドラフトでは、各チームともに、結構チームニーズを無視した指名が多かったようにも思う。
 ライオンズのフェアリーなどはその顕著な例であろうが、テネシーのジェイク・ロッカーとか、ジャガーズのギャバートとか、シーホークスのカーペンターとか、セインツのマーク・イングラムとか、細かく見れば、それなりにニーズなのだろうが、一見すると、ストロング・ポイントを更に強化するとまではいかぬものの、火急を要しないポジションの指名が多かったようにも思う。
 そもそも、件のA.J.グリーンとて、オチョシンコがいるのにA.J.グリーンであり、フリオ・ジョーンズにしても、ルディ・ホワイトがいるのに、である。まあ、この辺の殿堂入りすら予想される選手に関しては、ニーズとかは関係ないのかもしれないが。

 このニーズ無視の指名は1巡のみならず、2巡でも同様で、コルツも含めて、各チームのファンを混乱させている模様である。その中で、最も巨大なのは、申す迄も無く、NEの、ブレイディがいるのにライアン・マレットである。

 あと、テネシーのジェイク・ロッカーはニーズちゃあニーズだろうけど、ヤングがいるのにロッカーというのはよく分からん指名である。ヤングがいるのにギャバートなら分かるが。そのギャバートを指名したジャガーズにしてもガラードがおるし。AFC南のQB問題は面白くなりそうである。コルツファンは、まさしく高みの見物だけど。ちょっと嫌味。

 こんなとこか。今ドラフトは、上記した様に、プレイヤーのレベルは低かったようであるが、それ故に面白い、特徴的なドラフトだったと思う。こういう形でも楽しめるのが、ドラフトというものの面白さであろう。そういえば、NEはまた、1巡の繰越しをしているみたいであるが、まあこれは私もMADDENでよく使った手であるが(MADDENではシーズン中に行うのであるが、)、これはこれで、いかにもNEらしい賢いやり方であろう。全体1位とはいわないまでも、いつかナイスポジションになるのを期待して、という訳である。いつになるかは分からんが。


 さて、コルツドラフトに話を移そう。


 1巡22位 アンソニー・カスタンゾ OT ボストン・カレッジ
 
 この22位の時点までで、上位指名の予想されたOTのうち、タイロン・スミスとソルダーは消えていた。TSN、PFWの両ドラフト・ガイド誌では、ともにOTでトップ評価されていた選手であるが、ドラフト直前になって、共に素材型のスミス、ソルダー両名に抜かれたようである。
 とはいうものの、仮に彼ら両名が残っていたとしても、私個人的には、カストンゾ指名で良かった思う。ポリアンのドラフトボードがどうなっていたかは不明であるが、食い気味に指名したことから考えてみても、ポリアン的にもトップ評価だったのではないだろうか。

 プレイスタイル等は前回書いたので、それを繰り返さないが、本格的なスピードタイプのパスラッシャーには不安が残るもの、まあアダイもいる事であるし、LTとしてはともかく、RTとしてはパーフェクトな選手らしいので、最悪RTで起用して、ディームさようならというシナリオも、また有りだろう。個人的には、ここ数年では最も嬉しい1巡ピックだったかも知れぬ。

 あと、コルツの一員になったという事で、彼についていろいろ調べてみたのであるが、フィールド内では勿論の事、フィールド外でも、なかなかの頑張り屋さんらしい。
 英語と制度が良く分からないので、詳しい事は不明であるが、生化学でローズ・スカラーシップを得るとか得ないとかいう所まで行ったらしい。ちなみに、親父ビルがアンソニーに送る言葉は決まって、「おめえが良いか悪いかなんて関係ねえ。おめえはいつだって良くねえんダ。」かなりの意訳。直訳はこう「あなたがどれだけ優れているかは問題になりません。あなたは決して十分に優れてはいないのです。」。実際のニュアンスは、この両者の中間と予想してください。

 とまあ、ここまで書いてきて、インディファンなら薄々感づいていると思うが、良くも悪くもウーゴーとは正反対のキャラクターらしい。素材型で精神的には未熟なウーゴーと、才能や運動能力的には平凡なものの(体格は恵まれているけど、)、努力に次ぐ努力で1巡プレイヤーまで登りつめたカスタンゾ。大学もアーカンソーとボストン・カレッジ、対照的である。あくまで、イメージだけだけど。
 
 私が、スミス、ソルダーの両名が残っていたとしても、カストンゾないしカリーミを指名して欲しいと思っていたのは、このウーゴー・トラウマがあったからである。それは、おそらくポリアンにもあったと思う。トレードアップしてまで獲ってバストだもの、そりゃ、あるは。昨ドラフトで、チャーリー・ブラウンを指名する機会が2度もありながらも、それらを見送ったというのも、そう考えると説明が付く。

 眠くなってきたので、2巡以降は次回にします。

                                                         2011/5/2

 んで、続き。


 2巡49位 ベン・イジャラーナ OT ヴィラノヴァ

 ちょいとトレードアップしてのOT指名。そのポジションは公式にはOTとされているが、各スカウティングレポートによると、基本的にはガード向きの選手であり、上手くいけばRTみたいな選手らしい。

 1巡での指名も予想されていた選手なので、パワーや敏捷性といった単純な運動能力は、むしろカスタンゾより上っぽい。ただ、6−3ないし6−4とされるその身長とヴィラノヴァ、すなわちFCS出身という事で、多少評価が下がったみたい。ただまあ、ガードとしては間違いないっぽいので、是非とも頑張ってほしい。あとまあ、これはどーでもいい事であるが、白人の多いコルツOL陣にあっては、数少ない黒人プレイヤーである。スターターとして定着すればタリク・グレン以来となる。あれっ、チャーリーはどっち。

 むう、トレードアップしてまでOLか。イジャラーナ(イジャラナかもしれないが、とりあえずノリで。)がどれほどの選手かは、よく分からんが、仮にカスタンゾがLTに収まったとすると、チャーリーがG転向になる筈である。で、イジャラーナがどっちかのGに就くとすると、どう考えてもポラックが余ってしまう。いよいよセンター転向か。


 3巡87位 ドレイク・ネイビス DL LSU

 指名された瞬間、コルツファンの多く、つうかNFLファンの多くが思ったのが、「ま〜た、コルツ得意のチビッ子DTか。」である。古くはダレル・リード、我が愛しのクレッコー様や、モンテ・リーガー、最近ではエリック・フォスター等々、探せば他にもいるかもしれないが、コルツ伝統の、前に出るしか脳が無いミニ四駆野郎、ミニ四駆は確か電池を逆転すればバックできるので、さしずめチョロQ型ペネトレイターである。
 最近ではDTは300パウンド以上を指名&使用する事が多いので、この手のタイプに興味が無くなったのかと思っていたが、ここにきて病気がブリ返したらしい。ランシチュエーションではDEで、パスシチュエーションではDTで起用する腹積もりなのであろう。つか、それしか考えられん。

 とはいうものの、このドレイク・デイビス自体は1巡指名も予想された(今ドラフトの場合は、前回書いたような理由から、この「1巡指名も予想された」はあまり意味を持たないが、)好選手であるし、その起用法からいっても、ハズレという事はまず考えられないので、DLローテーションの一員として、とりあえずは3年間、きっちり働いてもらいたい。

 とはいうもの、何処まで行っても、ローテーション&ST要員の域を出ない、つーか、出ようの無い選手に3巡を使うって、なんか他に選手がいなかったのか。WRはどうした。Sはどうした。TEはどうした。


 4巡119位 デローン・カーター RB シラキュース

 ここに来て、まさかのRB指名。ドラフト前、割に充実しているRB陣で、もし指名があるとしたら、両タックル間を衝くタイプしかないだろうと予想したが、そのとおり両タックル間を衝くタイプだそうである。インサイドのランを強調する事で、パスの警戒網を緩めるという腹積もりなのであろう。

 どのスカウティングレポートを見ても、インサイドランナーという事は一致しているが、パスキャッチとブリッツピックに関しては、上手いという説と下手という説が錯綜していて、よく分からん。

 あと、自分の車に雪玉を投げてきた人間と乱闘騒ぎを起こすというファンキーな経歴も有り。あと、年齢も24歳とチト高い。

 この順位での指名なので、当面はアダイやブラウンとの競争にはならないだろうが(ブラウンはもしかしたら危ないかも。)、プレイスタイル的にも被るハートやジェームズは、首元がチト薄ら寒いであろう。出戻り王・ドミニク・ローズは泰然自若。

 しかし、他になんか選手はいなかったのか。WRとか、Sとか、TEとか。

 と、ここまで、しれっとカーター評を書いてきたが、彼の獲得で多くのコルツファンが思った事は只一つ、「ま〜た、シラキュースか。」である。どんだけ、シラキュース好きなんだか。「毎年一人は必ずシラキュースを入れないと死んじゃう病」でも患っているのか、ポリアンは。ちなみに、今季、開幕ロースターにも残れなかった惨めなFA加入OTアダム・テリーも、密かにシラキュースだったりする。

 そんなにシラキュース好きなら、いっそニューヨーク州にフランチャイズを移籍したらどうだ。地元インディアナ州の選手はあまり獲らないんだし。でも実際、バッファロー時代のポリアンの人脈が何らかの形で残っているのかもしれん。いや、ホント、マジな話。なんか、シラキュースの大物にユスられているとか。

 その影響だろうが、カレッジのバスケットボールやフットボールの試合を見ていると、無意識レベルでシラキュースを応援している事がある。サブリミナルか。こわっ。


 6巡188位 クリス・ラッカー DB ミシガン・ステイト

 長身で大柄のタックル自慢のCBらしい。マンカバー向きかゾーン向きかは意見が錯綜している。コルツのプレイヤーではヘイデンに近いタイプか。

 このラッカーもまた、上のカーターと同じく素行に問題があるようで、こちらは問題も多く、ムショ暮らし経験もあるようである。これが、単なる若気の至りなのか、それとも精神の奥深くに根ざしたものなのかは不明である。ただ、スポーツマンの場合、若気の至りとか言われても困るのだが。「昔は悪かったが、40過ぎて、いい感じのオヤジになった。」とか言われても。35歳までの仕事だし。

 マジメ君しか取らないコルツとしては、なんにしても珍しい事である。ダンジーが抜けた事と関連しているかも。

 で、体格的にはそれっぽいので、Sも出来るのかと思い、いろいろ調べてみたけど、Sが出来るという情報は無し。純粋にCBとしての指名みたい。


 つうのが、’11コルツドラフトである。4巡6巡は、あまりニーズともいえない、しかも問題児の指名なので、なんとなく残っている中から良さそうなのを指名した、お試しピックといった印象である。例年ならば、7巡だとかルーキーFAだとかのノリである。はっきりいって、3巡もそれに近い感じなので、本格的に不作ドラフトだったのかもしれぬ。

 4巡あたりなんていうのは、昨年のマイク・ウィリアムズとか、その前のオースティン・コリーとか、隠し玉的な選手、特にスキルポジションの選手をピックするのには適当な順位なのであるが、今年はそれも無かったみたい。今ドラフトでは地元インディアナ大のタンドン・ドスがBALから指名されているが、あのへんは狙い目じゃなかったの。名前的にはダメそうだが。
 Sなんて、全体で6人しか指名されていないんだものなぁ。254人中、たったの6人て。セイフティがニーズのチームなんて、調べちゃいないけど、10ぐらいはあるんじゃねえの。なのに指名はたったの6名って。まあ、これは純然たるSのみなので、S転向予定のCBは含まれていないけど、少なすぎ。

 これだけ不作だと、今年は例の労使交渉の影響でドラフト前にRFAの交渉が行われなかったが、もし例年通り行われていたら、交渉自体は結構活発に行われたろう。結果的にマッチも増えるだろうから、移籍数自体は例年と変わらないだろうけど。
 また、ドラフト時のトレード交渉も例年以上に多かったようである。特に10位以内のチームの電話は鳴りっぱなしだったそうである。結果的にトレード数自体が例年通りか、ちょっと大目だったのは、上記と同じ理由である。両者が儲かったと判断しなければ、契約は成立しない。

 しっかし、Sはどーすんだ。結局、ケン・ハムリンか。ブリットも典型的なアベレージ・プレイヤーだしなあ。良くも無く、悪くも無く。

 しかし、それ以上に不安なのはWRである。コリーなんか、まず絶対といってよいほど、帰ってこないよ。肉体的なケガではなく、精神的なケガだもの。つーか、肉体的に見ても、あれだけ脳震盪を起こしていたら、かなり危険な状態だろう。私が彼の父親だったら引退を勧告するし、母親だったら引退を強制するだろう。
 それとも、ゴンザレスにまだ何かしらの期待をしているのだろうか。改造手術でも施したのか。人工バネとか強化心臓とか人工肺とか加速装置とか埋め込んだのか。

 それとも、FAやトレードに隠し玉がいるのか。やはりオチョシンコ。A.J.グリーンと揉めないかなあ。でも、あー見えて、結構脳天気な奴だしなぁ。獲得は難しいか。

 今回のコルツ・ドラフトは1巡指名では、心の中で小躍りしたが、2巡以降は、正直ガッカリかな。やっぱ、上位でスキルポジションの選手が指名されないと、個人的には盛り上がらん。1巡2巡でOL2連発はなぁ。地味に効いた。まあ、真の結果が出るのは3年後4年後なので、とりあえず応援すっか。

 これにて、’10シーズン終了。ごくろうさま。

                                            2011/5/3

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