Week10 | 11月10日 STL@IND 38−8 |
やっけぱち投稿第2弾。生活なんてクソ喰らえ。 でまあ、Week10のラムズ戦なのであるが、このゲームのTV放送自体は次の記事のタイタンズ戦の直後に観た。この辺の認識の時系列を表すと以下のようになる。 1.Week10のラムズ戦の結果を知る。ただし勝敗とスコアだけ。ゲームスタッツ個人スタッツ共にほとんど見ていない。 2.Week11の木曜日ゲーム、タイタンズ戦のTV生放送を録画したものを見る。結果を知らずに見ているので、多少飛ばしたところはあるものの、生みたいなもの。疑似生。いや〜ん、エッチ。 3.その直後に、ラムズ戦のTV放送を録画しつつ観る。 とまあ、高度情報化社会特有のややこしい認識の仕方をしたのがこの2ゲームである。直観による単純な認識しかなかった(それなりの言語コミニュケーションはあったにせよ、)3000年前が懐かしい。いや、生きてはいないけど。 そんな現代人の嘆きはともかく、大敗のラムズ戦である。 この大敗の一報を聞いた時、私は非常に嫌な気分になった。ゲーム内容どころかスタッツも分からない、単純な得点結果しか分からなかったので、懸念されていたウェイン不在による構造的欠陥が露になったのかと不安になったのである。その気分のままタイタンズ戦を観、その結果や内容を知って、見たのがこのゲームである。 その不安は一掃とはいえないまでも、とりあえず先送りされた。この構造的欠陥が構造的に解決はしていないものの、ラックなら騙し騙しやっていけそうな気はしたからである。それがここ3ゲーム、HOU、STL、TENを見ての結論である。爆弾は抱えてはいるものの、とりあえず爆発は押さえ込んでいるといった印象である。 むろん、このラムズ戦は大敗を喫したけれども、この構造的欠陥が露になっての大敗というよりは、ツキの無かったゲームといった印象が強い。ターンオーバーが続出したり、大きなリターンタッチダウンを喰らったりと、まあまあ技術的なミスと言えなくも無いけれど、ツキがなかったと云う印象も強い。 たとえば、第3クォーター中盤のヒルトンのあわや一発タッチダウンのロングパスを、ヒルトンがずっこけて不発、あげくエンドゾーンでインターセプトとか、第4クォーターでの、ブラウンロングゲインするも、あと4ヤード、エンドゾーンの届かず、続くプレイではリードの足ちょこっと出ちゃってタッチダウン取り消し、あげくラックスクランブルも1ヤード届かず4thダウンギャンブル失敗とか、第4クォーター終盤、ヘロンのロングゲインのあと3ヤード届かず、あげくエンドゾーンでインターセプトとか、技術的なミスと云えばミスと云えなくも無いけれど、総じてツキがなかったゲームだったと思う。フリーナーがエンドゾーンで弾いてインターセプトなどはその象徴だろう。いわゆる、「そんな日もあるさ」と云うゲームである。 野球やバスケットボールのように年間100試合ぐらい、あるいはそれ以上こなすゲームだと年に一度くらい、こういうゲームはあるが、フットボールだと5年に一度くらいか。かつて、マイケル・ジョーダンが、やっぱりこういう「そんな日もあるさ」的なゲームの試合後のインタビューで、「今日はオフだったとしか、説明のしようが無い。」と答えていたのを私は懐かしく思い出した。また、そういうゲームに限って日本での放送があったりするんだよね。 とまあ、ツキだけのせいにすると、ラムズファンは怒ると思うので、この日の主役ターバン・オースティンについて。 私は、ドラフト時、この選手が全体8位、WRではイの一番、というかスキルプレイヤー中でもイの一番に指名されたのを見て、「運動能力が高いとはいえ、ガジェットプレイヤーに全体8位はどうかな。ブラッドフォードが拗ねなきゃよいが。」と思ったのであるが。その認識は、今回彼を初めて見て、改めもしたし、深めもした。 確かに、足は速い。今現役ナンバー1の俊足はイーグルスのデショーン・ジャクソン、あるいはナイナーズのラマイケル・ジェームズだと私は思っているが、このオースティンは彼等ジャクソン&ジェームズより速い、すなわち現役ナンバー1の快速かもしれない。ただまあ、それ以外にはあまり美点は感じられなかった。純然たるWRとしては、今季の新人の中ではロバート・ウッズやキーナン・アレンの方が上だと思う。 ただまあ、足はとにかく速いので、このゲームで見せたような敵CBをピックするようなプレイではホントに活きるように思う。そういった意味では、リターナーとしてもレシーバーとしてもプレイブック次第コール次第のプレイヤーだと思う、現時点では。すなわち、OCの腕次第であろう。 もちろん、今後、オースティンの考え方やトレーニングの仕方次第ではスティーブ・スミスも有り得るだろうし、そこまで行かなくてもサンタナ・モスでも良いかもしれない。ただまあ、現時点ではランドル・エル止まりだと思う。このゲームが彼のキャリアベストにならない事を強く願う。あれっ、全然褒めてないぞ。 ちなみに、このオースティンの98ヤード・パントリターンの際、近くでズッコケていたのが我等がセルジオである。さすが、1試合に一度は必ず魅せるね。もう、セルジオから目が離せない。 ズッコケと云えば、上記したように、あわや一発タッチダウンのパスをヒルトンもズッコケている。その時のヒルトンのバツの悪そうな顔は最高だった。どうしても、あんな顔になるよね。フットボールに限らず他のゲームでも同様であるが、「転ぶ」というのは、たとえば落球のような明らかな技術的なミスでないだけに、どうしても、ああいう微妙な空気になる。これも二足歩行動物の宿命か。それゆえ、「転ぶ」だけで笑いが取れるという利点(?)もあるのだけれど。 笑いといえば、笑いじゃないけど、このゲーム、ヴィナティエリはとうとう不出場のままに終わった。キックオフをしていないので、FGやPATのシーンが無いと、こういう結果になる。マニング全盛期、ノーパントゲームが有ったような無かったような感じであったが、仮にノーパントゲームでも、パンターは大概ホルダーを兼任しているので、不出場にはならない。フットボールというゲームにおいて、控えQB以外で、サイドラインにいながら不出場に終わるというのはなかなか珍しいと思う。控え選手でも、スペシャルチーマーとして何らかの形でゲームには出場しているからだ。まれに、出ない選手もいるけど。レギュラー・クラスで不出場というのは結構珍しいと思う。 ちなみに、公式サイトを見ると、このゲーム、ヴィナティエリは不出場という事になっている。実際、出場していないから当然なのだけれど。でも、ヴィナティエリ・クラスになれば、連続出場とか連続得点、なんかそれなりにいろんな記録を保持していたと思うが(調べていないけど、)、そういうものは、こういう形で途切れてしまうのだろうか。それは、ちと可哀相な気がする。キック失敗とか怪我のような、何らかの形で自分と関わっていればともかく、この場合、完全にヴィナティエリの能力とは無関係だもんなあ。完全に不可抗力な欠場だもんなあ。 と思って、調べてみたら、ヴィナティエリは2009年シーズンが6試合出場でとどまっているので、連続ホニャララ的な影響は無いみたい。でも、おんなじような形で連続ホニャララを失ったら、嫌だなあ。なんか救済措置はあるのだろうか。まあ、そういう時はチーム側が配慮して、勝敗度外視でゲームに出場させんだろうけど。 記録はともかく、インセンティブ的なものを、これで失ったら、私だったら拗ねる。 あと、この「そんな日もあるさゲーム」でコルツ唯一の収穫は、ハッセルベックがバックアップとしては十分すぎるほどの技量のあることを示した事であろう。分かっていた事ではあるが、これでラックも安心してケガが出来る。こんな事を書いてホントに怪我しちゃうと困るが、1,2試合なら十分ハッセルベックでいける。さすが禿げているだけの事はある。 しかし、何でタイタンズはハッセルベックを手放しちゃったんだろ。次回の記事で触れるが、フィッツパトリックよりは断然ハッセルベックだと思う。年齢的な面を加味しても。 でも、ハッセルベックっていうのは、ほんとツキに恵まれた選手だと思う。元々6巡プレイヤーでファーブのバックアップ。しかし、ホルムグレンのシーホークス移籍に引っ張られる形で、スターター獲得、スーパーボウルまで出場して、キャリアの晩年はラックのバックアップ。もちろん、実力も伴っての事だろうけど、彼と同じような実力でツキや出会いに恵まれないまま、NFLやフットボールから去っていった選手も多いと思う。そういった意味では、髪と引き換えにツキを得たプレイヤーだったと思う。 っで、これがWeek10の感想で、すぐにWeek11の感想。 2013/11/24(日) |
Week11 | 11月14日 IND@TEN TNF 30−27 |
で、それを受けての木曜日ゲームであるが、その前に、シーロー、職失ってんな。1年でお払い箱かい。仕方ないか、ハマってたのは全世界で俺だけだったもんな。担当したディレクターは今頃シーローのCD一枚づつ割ってんだろうな。「クソッ、クソッ(英訳しないように。)」って言いながら。 で、煽り映像の後任は、なんか知らないが、エロそうな女。右から左に(左から右に?)、思いっきり振り切ってきた。正解。NFLのファンなんて7割くらいは男性だろうし、セクシャルに訴えるのが正解、大正解。記念にシーローの写真、貼っとくか。 ![]() 一年振りに見たが、なんか腹立つ。最悪なバークリーっていう感じだ。解雇もやむなしか。 そんな下衆な話はともかくとして、ゲームである。このゲームは、上の記事に書いてあるように、私はラムズ戦の勝敗とスコアのみを知っている状態で観戦した。ラムズ戦の内容、すなわち、それが「そんな日もあるさゲーム」である事は知らない。そんな状態で、前半終了時6−17、この時点で「ありゃ〜、やっちゃったかなあ〜、遂にラック初連敗か。」と私は思った、覚悟した。 ところがそこから、あれよあれよという間に逆転勝ち。ラムズ戦の内容を知るのはそれから数時間後、である。 ラムズ戦の大敗のあと、タイタンズ戦はきっちり逆転勝ち。この結果だけ見ると、ラムズ戦は4日後のタイタンズ戦のためにワザと負けたのじゃないかという疑義も生まれてくる。他カンファレンスのラムズよりは同地区、しかも2位のタイタンズの方が、そりゃ100倍大事であろう。にしてもねえ〜。 解説の村田さんは第3クォーター序盤のキックオフリターンのターンオーバーがターニングポイントになったと力説していたが私はそうは思わない。その前のドライブ、すなわち第3クォーター冒頭のドライブできっちりタッチダウンを獲った事が大きかったと思う。このタッチダウンで、「おっ、いけるかも。」と私は思ったし、コジツケになるかもしれないが、その雰囲気が、あのターンオーバーを誘発したと思っている。 この「おっ、いけるかも。」という気持ちも、その前のラムズ戦の内容を知らなかったから、こういう懐疑的な気持ちであって、ラムズ戦の内容を知っていたら、「よしっ、これでいける。」ぐらいの、確信とまではいかないが、強い気持ちだったと思う。 特に、前半最後のラック得意の2ミニッツがFG止まりで終わった直後だっただけに、この後半最初のドライブできっちりタッチダウンを獲れたという事はモメンタムという意味で非常に大きかったと思う。 ただ、というか、ちなみにというか、このゲーム、この後半最初のドライブはコルツからなのであるが、これコルツが自ら選んでんだよね。試合前のコイントスでコルツは勝っているんだけど、そこでキック、すなわち最初はディフェンスを選んでんだよね。正確にはフィールドだけど、実質的には後半最初のドライブを選んだという事になる。なんか他に理由があるのかもしれないが、鼻っから後半勝負の戦略なのか。 ちなみに、私もMADDENではコイントスに勝っても最初はキックを選んでいた。風向きも大事な要素だけど、試合最初よりは後半最初のドライブを選んだ方が有利な気がしていたからだ。そういった意味では、コイントスに勝ったらレシーブを選ぶという定石はおかしい気はしていた。あくまで感覚的なものだけど。 それはともかくとして、今度はキックオフのファンブルリカバー直後のラックの逆転タッチダウン・ラン。この場面、私は思わずテレビの前で「凄い。」と呟いてしまった。逆転した事に、ではなくラックのプレイに、である。なんだかんだで、私も10年近くNFLを観ているので彼等のプレイに「凄い」と思う事はほとんどなくなってきている、すなわち麻痺しているのであるが、このプレイはホントに久々に「凄い」と思ってしまった。 理由は2つある。一つ目は、まずその技術に、である。この場面、ラックは、一旦投げようとして、それをやめて、そこからスクランブルした訳であるが、この止め方が尋常じゃなかった。単なるパンプフェイクではなく、投げようとしていたのをモーションの途中で無理矢理止めてしまったのである。私はマイケル・ジョーダンのドライブを思い出した。あるいは、「江夏の21球」の江夏を。あるいは、狙い球と違うボールが来たら、無理矢理スイングを変えて空振りしたと言われている野村克也を。 少なくとも、フットボールであんなプレイは初めて見た。ヴィックやニュートンも似たようなプレイはするが、彼等の場合は、あくまで投げ真似、単なるフェイクでしかない。投げようとする意志が最初から無い。自身のランを助ける為のフェイクである。ところが、このラックのプレイは、どう見ても、投げようとしていたのを途中で軌道修正したとしか思えない。私もマニングで育っているので、QBのプレイは大概見ているつもりだったが、まだまだ見ていないプレイはあるものである。 あと、これはあくまで推測であるが、このラックのプレイを見ていて思ったのは、ラックというのは手が非常に大きいのではないかという事である。手が大きくなければ、あのプレイは必ずファンブル、ないしパスインコンプリートになってしまうと思う。相当ボールをがっちり握っていないと、手からボールがすっぽ抜けてしまうように思うのであるが、どうだろう。 ラックの投げるボールというのは、意外にスパイラルが安定していない。それは手が大き過ぎることが原因なのではないだろうか。昔、シャックが「俺は手が大きすぎるから、フリースリーが苦手なのだ。」と言い訳していたが、似たような事がラックにも言えるのではないだろうか。イーライが手が小さいのでスパイラルが安定しないと批判されていたけれど、ラックの場合は手が大き過ぎてスパイラルが安定しないのではないだろうか。安定しないといっても、あくまでマニングと比べての話で、パスとしては十分なのだけど。勿論、これはあくまで私の仮説・憶測なので、全然事実と違うかもしれません。無論、計測しているわけでもないので、深く突っ込まないよーに。でも、ボールはなんか鷲掴みしている感じではある。 しかし、私が本当に驚いたのは、その手の大きさ、もといスロー途中止めではなく、その判断である。ボールを投げようとして、途中で止めたという事は、横目でエンドゾーンまでのランニングレーンが空いている事に気付いたという事になる。そんな事は可能なのだろうか。しかも、ヘルメットで視野は非常に狭い。真横はほとんど見えない筈である。でも、ラックは見えていたという事になる。このプレイを私が初めて見たという理由は、そこにあると思う。通常、あの体勢からではエンドゾーンはよく見えないと思うのだ。 ここで、またひとつ仮説を提出する。ラックはもしかしたらフィールドヴィジョンを持っているのではないだろうかという仮説である。フィールドヴィジョンというのは、バスケットボールで云うところのコートヴィジョンと同じで、見なくてもコート上で何が起こっているかが分かる能力、かつてマジックやバード、今ではクリス・ポールなどが持っている能力である。フットボールの世界では、私はその現役時代をつぶさに見たわけでは無いけれど、モンタナが、もしかしたらその能力を持っていたのかもしれない。 ヴィジョンというのは、一般的に「見えないものを見る」といい意味で使われる。見えないものを見ると言ったら、語弊があるかもしれないので、「眼前に無いもの見る」といった方がより正確かもしれない。「将来のヴィジョンを示せ。」なんていうのは、まさしくその使い方であるし、ヴィジョネールを幻視家と訳すのも同様の使い方であろう。「ヴィジュアル系」なんて言葉もあるが、そう考えると、この言葉もちょっと味わい深くなる。 バスケットボールにおけるヴィジョンとは、すなわち「コート上で何が起こっているか」を見なくても分かる、あるいは「これから何が起こるのか」が分かる能力を云う。マジックのノールックパスやバードの予言はその賜物である。 で、今回の問題は、そのフットボール・バージョンは果たして可能なのかという事である。バスケットボールの場合は、コート上に10人、自身を除いて9人、その動きを把握する訳であるが、フットボールの場合はその倍以上の21人である。しかも、プレイはデザインされているため、バスケットボールより個々が遥かに複雑な動きをする。もっとも、最近はバスケットボールもかなりプレイをデザインしているため、一昔前より遥かに複雑な動きをするが、フットボールの比では無いだろう。 その複雑なフットボールの動きを目視することなく把握する事は可能なのだろうか。そうでも考えないと、アノラックのプレイは説明が付かないと思う。ただ、何となくやったと云う説も無くはないが。 また、いつの試合だったかは忘れたが、一度ラックはスクランブルから、クルっと恰もランニングバックのようにスピンターンしてディフェンダーをかわし、そこからパスを決めていた。私の記憶が確かだったらの話であるが。これなんかも、ちょっと今までのQBには無かったプレイである。ヴィックやニュートンもスピンターンそのものをほとんどしないし、スピンターンして、そこからランはあっても、パスは無かったと思う。そもそも一度フィールドから目を切ったら、再びレシーバーやディフェンダーを確認するのはほぼ不可能の様に思うのである。でもラックはやっている。 現地の放送で、ラックはフィールドから目を切らないみたいな解説があったが、むしろラックの場合は目を切っても、まだ見えている点に恐ろしさがあると思う。それがフィールドヴィジョンなのではないだろうか。もちろん、マニングはスナップ前にこれからフィールド上で何が起こるのか知ることが出来るのであるが、ラックの場合は、同じ事をスナップ後、身体を動かしながらでも出来るという感じである。 このフィールドヴィジョンは、あくまで私の仮説だけれども、そうでも考えないと、このラックの即興プレイ、2ミニッツの強さ、逆転勝ちの多さは説明が付かないと思う。 そもそも、このフットボールというスポーツにおいては、後半開始の段階で2タッチダウン差が付いてしまうと、なかなか逆転は難しい。リードしている方はランで逃げる事が可能だからだ。更にゲーム終盤になれば、プリヴェンドも可能になる。 という訳で、1タッチダウン差はともかく2タッチダウン差になるとなかなか逆転は難しい。それを逆転されちゃうのは弱いチームであるし、そもそも弱いチームは2タッチダウン差が付けられない。 といった諸々の事情から、2ポゼッション差からの逆転には、大概大きなリターン、キッキングゲーム、あるいはディフェンスのターンオーバーからの大きなリターン、それも出来ればTDにつなげられる位の大きなリターンが必要になる。 ところが、このラックの数多い逆転劇は、私の記憶する限り、そういう大きなリターンやターンオーバーもほとんどなく(このゲームではあったけど、)、誤審のような大きなモメンタムチェンジャーも無い。謂わばラックが自力で逆転したものばかりである。ラックが強引に敵ディフェンスを謂わば力で捻じ伏せて逆転したものばかりである。もちろん、それが出来なかったゲーム、例えば昨年のNE戦やプレイオフのBAL戦が顕著な例であるが、それらもあるにせよ、強引に自力で逆転してしまうのである。 で、それは結局何かと云うと、フットボールというゲームに対する理解の深さ、広さという事になるのではないだろうか。それが先の仮説フィールドヴィジョンにもつながってくる。 私は現今のクォーターバッキングというものはほとんどマニングが作ったものだと思っている。もちろん、それまでの先人の経験をマニングが集大成したという意味である。ただ、このラックというQBはそれを更に向上させる、一昔前流行った言葉で謂えば、アウフヘーベンさせる可能性を持ったQBだと思う。それの証拠に、現今のQB批評用語では、このラックの価値は計れない。例えば、クイックリリースとか、1stターゲットをガン見とか、プレスナップリードとか、等々である。ラックのプレイはそういった言葉では評価できないのである。日本の解説者、本国も同様かもしれないが、いまいち、このラックというQBを評価しきれていないのは、それが一因のように思われる。 ラックについては、私は今まで有る事無い事書いてきたし、これからも有る事無い事書いていくと思う。そういう気持ちにさせるQBなのである。先にも書いたように、クォーターバッキングという技術はマニングがある程度完成させたと思っていた。勿論、ティーボーとかヴィックのような亜流もあるけれど、それはあくまで亜流である。もちろん、モンタナのような偉大なる亜流もあるけれど、彼は別格、天才である。保守本流はマニングだと思っていた。そうして、マニングに近いか遠いかでQBの価値が決まると思っていた。ところが、そのマニングのクォーターバッキングを越える可能性を持ったQBが現れてきた。それもコルツに、それも直後に、である。もしかしたら、それも私の勘違いなのかもしれない。でも、それを楽しみたいと思う。 ラック話はここで終わりにして、次は色々と外野が煩くなってきたリチャードソンの話。 なかなかRBとしての数字が伸びないので、外野が喧しくなってきたリチャードソンであるが、私は、彼を現役No.1のRBと評価した手前もあるので、ここでリチャードソンを擁護したい。 なんで、リチャードソンのランのスタッツが伸びないかというと、それはひとえにバウンスアウトをしない為である。ここでバウンスアウトをしてもよさそうだなと思う場面でも、彼は頑なにバウンスアウトをしない。頑なに両タックル間のランにこだわる。 では、何故こだわるのかというと、それはひとえに、そういう風にニック・セイバンに躾けられてきたからである。おんなじ様な事は、先輩のイングラムや後輩のレイシーにも云える。さすがに、レイシーは両先輩の失敗、つうか不評を見てバウンスアウトするようになってきているが、この両先輩、特にリチャードソン先輩は絶対にしない。何故かと云うと、ニック・セイバンにそういう風に躾けられているからである。 では、何故セイバンがそういう風に躾けたかと云うと、バウンスアウトは無意味であるとセイバンは考えているからである。言葉を換えると、ランの本分はあくまでパスをより効果的にするためとセイバンは考えているからである。ランそのものの生産性をあまり重視していない、付録程度にしか考えていないからである。そうして、パスをより効果的にするためには、バウンスアウトやオープンのランは無意味であり、あくまで両タックル間のランのみがパスを効果的にすると考えているからである。 では何故、バウンスアウトやオープンのランがパスオフェンスにとって無意味かと云うと、バウンスアウトやオープンのラン、すんわちアウトサイドのランを守るのもパスを守るのも、そんなに差が無いからである。ディフェンス側からすれば、パスを守りつつアウトサイドのランには対応できるのである。 何故かと云うと、アウトサイドのランは時間的に遅いからである。CBは勿論のこと(反対側のCB]は勿論論外)、SもLBも十分に間に合うのである。 ところが、インサイドのランはそうはいかない。ランと分かった瞬間、中央のスクリメージにバック7は集合せねばならない。そこで読みを入れたり賭けを入れたりせざる得なくなるのである。 これが、インサイドのランのみがパスを効果的にする理由であるが、これを熟知し、選手に徹底させているのがセイバンなのである。リチャードソンやイングラム、レイシーの動きを見ていると、それがはっきりと分かる。さすがに、現役No.1のコーチである。 セイバンにとってのランとは、もしかしたら、両タックル間のランとショートヤーデージ、あと時間つぶし、その3つの役目しかないのかもしれない。ランでボールを進めるという考えはほとんど無いのであろう。 話はちょっと逸れるが、過日、バッカニアーズを追われた元エースQB、ジョシュ・フリーマンの活躍と不振はRBのスタイルと大いに係わり合いがあると私は思っている。コッテコテのインサイドランナーであるラギャレット・ブロントとコンビを組んでいた時はキャリア最高の成績を残しながら、ブロントの登場回数が減るとともに(詳細は不明であるが、ケガがあったのかな。)成績は下降、ブロントに代わって典型的なオープンランナーであるダグ・マーティンと組むも成績は向上せず、挙句解雇。理由は上記の通りであろう。 ちなみにブロントはしっかりニュー・イングランド、つうかベリチックが確保。見るとこは同じだのう。 まあ、ランとパスに関しては、数年前、その名も「ランとパス」というコラムで、私はおおよその事は書いているし、現在もその考えは変わっていない、むしろ強まっているので、興味のある方は、そちらを参照されたい。 ランとパスの関係については、そのコラムでも色々書いたが、最近見つけた言葉としては次のものがある。「一試合200ヤードならランは大成功、一試合200ヤードならパスは大失敗」である。ヤーデージだけで成功不成功を論じるのに問題は無くはないが、ランとパスと云うのは、そういう関係である。フットボールの歴史を大まかに云えば、ランからパスへの歴史、RBからQBへの歴史と云えるであろう。 現今のNFLでも無論パス重視であるが、唯一の例がナイナーズの行っているスタンフォード流のランアタックである。このゾーンブロック全盛の現代に何故あのようなアサイメントブロックのランが復活したかと云うと、それはひとえに昨今流行の、我等がコルツも取り入れているハイブリッド・ディフェンスに対して最も効果的なオフェンスだからである。 ハイブリッドディフェンスと云うのはDLがパスカバーまで含めて様々な事をやらねばいけない関係上、どうしても軽量化せざる得ない。一昔前の所謂ランスタッファー型のDLよりは、はるかにブロックしやすくなり、アサイメントブロックが有効になる。 ハイブリッドディフェンスそのものがここ5年くらいで出来上がったものであるが、その対抗策がすぐ生まれるのがフットボールの面白いところである。 話をリチャードソンに戻す。ランはあくまでパスを効果的にさせるものという考えのセイバンに躾けられたリチャードソンがバウンスアウトやオープンランを志向しないのは当然である。もしかしたら、それらは愚かとすら教えられていたかもしれない。また、上記したようなスタンフォード流のランアタックが全盛になった場合、必要とされるのはリチャードソンのようなランであるとも諭されたかもしれない。 また、RBにとって重要なのは、ランのみならずブリッツピックやパスレシーブだとも指示されていただろう。 このあたり、勿論、私は現場にいたわけでは無いので、あくまで予測だけど、ほぼ間違いないと自信を持っている。リチャードソンやイングラム、レイシーのランにはその意志、ニック・セイバンの意志がはっきり見て取れる。 そうして、何よりコルツファンとして忘れてはならないのはアダイである。彼もやはりオープンランやバウンスアウトはほとんど無かった。そうしてブリッツピックは名人級でパスレシーブも絶品である。そう考えると、アダイこそ、リチャードソンやイングラム、レイシーといったニック・セイバンのRBの原型と云えるかもしれない。その前に他に誰かいたかもしれんけど。 このRBに限らず、セイバン上がりのプレイヤーと云うのははっきりとセイバン印が付いているのが、面白いところであり、セイバンの偉大な所であり、またNFL的には扱いづらい所でもあろう。こういう特徴がはっきり出るのは、私の知る限りセイバン以外いない。 その扱いづらさがもろに出てしまったのが、今回のリチャードソンであり、ブラウンズを放出されたのも、それが一因であろうが、マスコミはともかく、ラックやパガーノはそれほどリチャードソンに対しては不満は持っていないのではないだろうか。リチャードソンの意志がはっきり分かっているから、十分満足していると思う。 また、アダイというプロトタイプを知っている以上、リチャードソンのスタイルを他のどのチームのファンより熟知しているのがコルツファンだと思う。ほとんどのコルツファンも彼に不満は感じていないと思う。少なくとも私は感じていない。 インディトリプレッツの一人だったエジャリン・ジェームスより、ある意味コルツファンにとって最も親しいRBはアダイであろうと思う。もしかしたら、マニングにとってもジェームスよりアダイかもしれない。 そういった意味で、少なくともコルツファンである私的にはリチャードソンには不満は無いのであるが、コルツファン以外、特にマスコミ的には不満であろう。しかも、というか、これが最大の問題なのであるが、リチャードソンは全体3位のプレイヤーである。明白なスタッツを叩き出さないとバスト扱いされてしまう。 これが、上位、まあ5位以内、あるいは10位以内でRBを指名する事の難しさであろう。昨今のRBというのは上述したように要求される仕事はインサイドのラン・ブリッツピック・パスレシーブの3つ、しかも比較的派手なスタッツの出にくい3つなのである。リチャードソンは、この3つを非常に高いレベルでこなせる、だからこそ私は現役No.1のRBと言ったのであるが、そういうRBなのであるが、それゆえ派手なスタッツが出にくく、マスコミに批判されがちになる。 単純にランのスタッツを出したいだけであるなら、それこそ今回の対戦相手のクリス・ジョンソンや前回のエイリアン・フォスターのようにがんがんオープンを走ればよいのであるが、セイバンに厳しく教育されてきた、そうしてそれを誇りに思っているリチャードソンは頑なにそれをしないであろう。私はそれを美しいと思うのであるが、世間はどう見るか。また、リチャードソンは変わってしまうのか。注目したい。 私は、先ほど、ラックとパガーノはリチャードソンのプレイに満足しているだろうと書いたが、リチャードソンの加入に満足かどうかはともかく、その加入に最も恩恵に浴しているのは間違いなく、このゲームでも活躍したドナルド・ブラウンであろう。 このリチャードソン&ブラウン・コンビを初めて見たナイナーズ戦で、そのチェンジ・オブ・ペースっぷりに私は驚いたのであるが、それから数試合で、そのチェンジ・オブ・ペースっぷりにますます磨きが掛かっているようである。 コルツ入団以来早5年、ドラフト下位に抜かれたり、ドラフト外に抜かれたり、ここまで正直しょっぱいプレイしかなかったブラウンであるが、今季初めて輝いている。リチャードソンのお陰で。いや、文字通り、お陰で。 この最凶チェンジ・オブ・ペース・コンビの特徴であるが、それはまず何と云っても、両者の見掛けがよく似ていると云う点が挙げられると思う。まさか、それを狙って、リチャードソンを獲得したわけでも無いだろうが、この両者、背格好がよく似ている。手足の長さとか体付きとか。リチャードソンの方が肉付きが良いようであるが、それは微差である。あと、リチャードソンのほうがやや浅黒いというのもあるが、こんなのは光の加減でどうにでも見れる。あと、リチャードソンはドレッド・ヘアなのであるが、これは後ろから見ないと分からない。 しかも、ジャージ・ナンバーが31番と34番で同じ30番台、これも見分けつらい。ディフェンス陣がスクリメージ越しに見ると、両者の違いはパッと見、区別が付かないのではないだろうか。ちなみに、我が家のちっちゃなテレビで見ている私は全然区別が付かない。 しかも、この両者の起用、コーチ陣が意図しているのか分からないが、シチュエーションによる区別が全然無い。ダウン数、ヤード、パス・ラン、私もこの数試合注意してみていたが、結構気ままに出てくる。疲労度で交代しているのかもしれないが、少なくともシチュエーションによる起用はしていないと私は思う。もしかしたら何か理由があるのかもしれないが、私には分からなかった。 という感じで、そっくりな両者なのであるが、ランスタイルは正反対なのである、性質の悪い事に。タックラーにガンガンぶつかっていくスタイルのリチャードソン、とにかくタックラーはかわす、コンタクト大嫌いのブラウン、両者のラン・スタイルは全然異なる。 音楽で例えるならば、リチャードソンがロックであるのに対し、ブラウンはワルツである。その両者が勝手気ままに登場するのである。しかも外見は良く似ているのである。ディフェンダーは対応しづらいと思う。特にリチャードソンに合わせていて、ブラウンが来ると、非常にタックルしづらいと思う。 今まで、NFLには色々なチェンジ・オブ・ペース・コンビがあったと思うが、私の知る限り、このコンビが最凶だと思う。少なくとも、性質の悪さでは最凶だと思う。ジャイアンツのジェイコブス・ブラッドショー・コンビ、かつてのスティーラーズのベティス・パーカー・コンビなども最強だったが、彼等の場合は外見が全然異なるので、そういう恐さはなかった。しかも、走りのスタイルも、違ってそうで意外に似ていた。むしろ、彼等の場合はチェンジ・オブ・体格・コンビであった。純然たるチェンジ・オブ・ペース・コンビという意味では、このリチャードソン・ブラウン・コンビは最凶だと思う。 とまあ、リチャードソンの恩恵を一方的に受け、キャリア最高のシーズンを送っているブラウンであるが、惜しむらくは今季が契約最終年。どーすんだろ、双方ともに。手放すには惜しい気もするが、似たようなのはそこらにもいそうだし。ただ、リチャードソンと似たような体型はそこらにいなそうだし。ブラウン・サイド的にもリチャードソンとコンビを組んでいた方がメリット有りそうだし。市場価値が高いのか安いのかも、さっぱり分からないし。今オフ、要注目っつうほどのものでもないが、地味に注目。 さて次は、WR陣つうかベイの話。ベイに関しては、初めて見たナイナーズ戦で既にダメ出しをし、それが改善される様子も無いまま、シーズン中盤まで来てしまったが、ここで不満を詳述したい。 不満は二つ、つうか要するにひとつなんだけど、あえて二つに分ける。 一つ目はハンドキャッチが出来ない事。これはナイナーズ戦から気付いていたが、タマタマだと思って、その後も密かに観察していたが、やっぱりハンドキャッチが出来ない。なにかっつううと、胸で捕り、時に、つうかしょっちゅう弾く。1巡プレイヤー、それも1巡上位のプレイヤーで胸キャッチは萎える。 二つ目は、一つ目と関連している事であるが、走りながら捕る事、すなわちランニングキャッチが出来ない。立ち止まらないとボールが捕れん。そりゃそうだ、胸で捕るのだからランニングキャッチが出来ない。ランニングキャッチが出来ないから、RACが出ない。そりゃそうだ。 この二つの不満の原因は何かと云うと、要するに再三再四指摘してきたが、ルートランがグタグタという事である。ルートランがグダグダだから、フリーになれない、的確に捕球体勢に入れない。立ち止まって、ボールを待たないと捕球できない。しかも胸で捕りにいくからボールを弾いてしまう。RACが遅れる。 おんなじ様な事は、ヒルトンやブラジルはともかく、フリーナー(TEだから大目に見るけど、)やウォーレン、昨季のエイブリーにも云えのであるが、何と云ってもベイが顕著である。グリグソン型WRの典型といっていい。 最近はラックやパガーノにも愛想を尽かされ、サイドラインの時間が増えているような気もするが、来季はどーすんだろ。ベイはいなくなるだろうが、やっぱり代わりは似たようなのだろうか。 しかし、今季つうか昨季からWRについて考える事が増えた。ポリアン時代には考えられなかった事だ。当時は、ディフェンスの事ばかり考えていた気がする。 ハリソン(これは別にポリアンが獲得した訳では無いけれど、)、ジェームス、ポラード、ウェイン、クラーク、ストークリー、ローズ、フレッチャー、アロマショドー、アダイ、ブラウン、ギャルソン、コリー、皆シェアハンドだった。クレッコー様も勿論のこと、なんかよく分からん日雇いのFBみたいなのまでシェアハンドだった。ポリアン唯一のWRバスト、ゴンザレスだってハンドは悪くなかった。ユーテックも悪くなかったし、ムーアヘッドにしたって、あっ、あれは落としていた。仕方ないか、真の業務はハリソンの話し相手だから、WRじゃないから。 実際、「あのボールを捕っていればなあ〜。」というゲームは唯一つ、結果的にはマニングのコルトとしての最終戦となったジェッツとのプレイオフでのブレア・ホワイトの落球のみである。他はちょっと思い出せない。そのホワイトにしたって、ハンドは悪くなかった。 WRのドロップ問題で悩むなんて、3年前は思いもよらなかった。完全に他山の石だった。いっそ、ポリアンをWRスカウティング・アドバイザーとして雇って欲しいぐらいだ。アーセイが土下座すれば来てくれんだろ。 ちなみに、他のチームで明らかにルートラン重視でWRをスカウトしているのはパッカーズである。ジョディ・ネルソン、ジェームス・ジョーンズ以下、皆ルートランに長け、したがってシェアハンドである。ドナルド・ドライバーやグレッグ・ジェニングスも同様である。明らかにルートラン重視のスカウティングをしているのだと思う。 グリーンベイと云えば、アーロン・ロジャースだけクローズアップされるが、このルートランに長けたWR陣とフィルビンのエロいプレイコールこそチームの屋台骨を支えていたと思う。その屋台骨があってこそのロジャースだとおもう。そのひとつであるフィルビンのエロいプレイコールを失って、思うように勝てなくなったのであるが。 一方で、いまだ屋台骨を支えるWR陣であるが、皆、無名校とまでは言わないけれど、ドラフト時、さほど注目されなかったプレイヤーであったと云う点は非常に面白い。同じような事は、ギャルソンやコリーにも云えるし、ウェインは有名すぎるくらい有名なカレッジであるけれど、ドラフト時は一巡ではリーチではないかと言われていた選手である。 これはあくまで私の印象であるが、無名校出身あるいは無名のレシーバーほどルートランに長けているという印象がある。素質に恵まれていないレシーバーほどルートランの練習を熱心にするのではないだろうか。あの偉大なるジェリー・ライスにしたって、無名校だし、ドラフト時の評価も特別高くは無かった。もちろん、アンドレ・ジョンソンやA.J.グリーンのような例外もあるけどさ。 個人評はこれくらいにして、ちょろっとゲーム評を。 このゲームに関して、ひとつ不満がある。それはディフェンスである。フィッツパトリックに対して、あの守り方、パスラッシュ強め&マンツーマンのディフェンスは無いだろうと思うのだ。 フィッツパトリックと云えば、ビルズ時代のゲイリー・チャンとのコンビのこってこてのひと昔どころかふた昔は古い、博物館級のWCOであるが、それと変わらないことをこのゲームでもやっていた。とうか、それしか出来ないのであろう。とにかく、決められたターゲットにすぐ投げる。それだけである。クイックリリースちゃあ、これ以上が無いくらいのクイックリリースであろうが、何も考えていないと云えば、まさしくその通りのクォーターバッキングである。OCに丸投げのクォーターバッキングである。 そんなコッテコテのWCOであるからカバー2で守ればイチコロで、インターセプト2つ3つ献上、はい一丁上がり、みたいなQBである。そんなQBに対して、なんであんなパスラッシュ強め&マンツーマンのディフェンスの敷いたのかは今以って分からない。フィッツパトリックにとって最も好都合なディフェンスである。その結果が27失点である。 まあ、ハイブリッド・スキームなので、カバー2のプレイもメンツも今のコルツには無いのかもしれないが、これを「融通が利かない」と見るか、「スキームを堅固に守る」と見るかは意見の分かれる事であろう。確かに、慣れない事をすると、思わぬ事故や不幸が起きるという側面も無くはないが、このゲームは、パガーノのある一面を見たと思った。 尤も、パスラッシュ強め&マンツーマンのディフェンスは、フィッツパトリックではなく、クリス・ジョンソンを止めにいったと云う見方も出来るが。それだったら、この日のディフェンスは大成功であろう。 という訳で、7勝3敗、AFC南の低調振りを考えると、あと2勝もすればプレイオフ当確であろう。 う〜む、これでラック入団以来2年連続プレイオフか。正直、勝ち過ぎである。私の計画では(なんぼのもんじゃい。)2年間、あるいは3年間は負けに負けて、その間にドラフトで若手大物プレイヤーを掻き集め、3年目以降からコルツ王朝成立という青写真を描いていたのだが、完全に破れた。これじゃあ、若手大物は無理無理。ラック3年目にして、早くもFAパッチワーク状態である。そういうのは、イーグルス上がりのグリグソンは得意そうであるが、それだと勝ちきれるかなあ。今のニュー・イングランドのような、強いけれども勝ちきれないチームになってしまいそうな気がする。入団早々、ラックは大物ベテランQBのような悩みを抱えるのか、それとも、それをアウフヘーベンしてしまうのか、要注目である。 で、来週(つっても今日だけど、)はカージナルス戦、お礼参りシリーズ第4弾である。第2弾のチャージャース戦はフリーニーが欠場しちゃったので、事実上は第3弾であるが、3でも4でも良いので、頑張れ。 柿ピーが止まらない。2013/11/24(日) |