Week13 | 12月2日 MNF NO@SEA 7−34 |
今季は仕事が忙しく、コルツ戦とマニング以外の感想はあまり書けなかったのであるが、ここへ来て、ちょっと暇も出来たので、今週のマンデーナイトを中心に他のチームについても触れてみたい。 でも、その前に今週のTEN@INDについて。 先週のカージナルス戦を観て、いよいよ来週は連敗かと覚悟したのであるが、結果的には、大逆転とまではいかないがプチ逆転勝ち。タイタンズファンなら先々週と全く同じ構図、「前週の他カンファレンスのゲームで大敗しながら、同地区のタイタンズ戦にはキッチリ逆転勝ち」に何らかの陰謀を感じてもおかしくは無いだろう。「先週の大敗は何だったんだ〜。俺ら、油断させるのが目的かー。」と私だったら怒鳴る。 まあ、TV放送は無いので、それ以上の感想は差し控える、つか出来ない。 しかし、今季、コルツファンにとっては最大の大一番がTV放送無しとは、トホホ。最近はコルツ戦は結構放送していたので、これはあるかなと思っていたら、狙い撃ち的に無し。第2週のMIA戦といい、観たいゲームに限って放送は無し。私の思惑とテレビ局員の思惑がなかなか一致しない。 という訳で、TEN戦はこれ以上話しようが無いのであるが、その前のカージナルス戦についてひとつふたつ。 セルジオがナイスFGブロックを決めていた。しかし、ゲームは負け、つか大敗。報われない日々、それがセルジオ、俺達のセルジオ・ブラウン。 最近、ウェインがサイドラインに復帰しとる。そうして、鬼の形相で、チームを、つかWR陣を、つかベイを睨んでいる。ありゃ、来季もやるな。諸々の状況から、今季限りかなと思っていたが、サイドラインでのあの表情を見る限り、闘志は消えてなさそうである。契約も一年残っているし、現役続行と見た。また、引退してもコーチ業を狙っているのかもしれん。とにかく、あのサイドラインでの鬼の形相はケガ人、シーズンアウトの怪我人のそれではない。単にベイを殴りたいだけと云う説もあるが。 で、来週は@CIN。勝ち星的には同じでありながら、チーム事情的には正反対のチームの戦いである。これ以上は望めないほどの戦力充実振りながら、それがいまひとつ勝ち星に結び付かず8勝4敗のベンガルズと、薄っぺらい戦力ながら、勝ち星を確実に拾い同じく8勝4敗のコルツ。実力対試合巧者の一戦と見るべきか。ラムズ戦、カージナルズ戦同様のボロ負けのような気もするし、ひょっこり勝つような気もする。 さて、いよいよ本題のマンデーナイトである。この時期のマンデーナイトというと、どうしてもしょっぱいカードになりがちであるが、今週のマンデーナイトは正真正銘本物のマンデーナイトである。ちなみにWeek14の木曜日ゲームはHOU@JAXというマニアック過ぎるカードだったりする。 木曜日ゲームはともかく、今週のマンデーナイト、NO@SEAはNFLファン垂涎のカードであろう。数週間前のDEN@KCがNFL最強オフェンス対NFL最強ディフェンスの戦いみたいに喧伝されていたけれど、むしろ、こちらのカードの方がその謳い文句に相応しいカードだと思う。総合的に判断してデンバーのオフェンスが最強という説には私も異論はないが、部分的にはニュー・オリンズの方がデンバーを凌いでいる側面もあろう。まあ何はともかく、NFL2番目のオフェンスである事は間違いないと思う。 で、NFL最強ディフェンスの方であるが、こちらはどう考えてみても、シアトル側に軍配が上がると思う。今季絶好調のKCは先のデンバー戦で初めて見たが、正直言って平凡という印象だった。スケジュールに恵まれたという声が多数だったが、成程なと思った。最強ディフェンスには程遠いと思った。 開幕9連勝は、スケジュールもあるが、アンディ・リードの力も大きいだろう。というか、ここ数年負け続け、有力若手プレイヤーが溢れていたところに名将リードが加わって、スケジュールにも恵まれれば、この結果は必然とも云える。 とはいえ、プレイオフを勝ち抜けるかと言われれば、それはちと厳しいと思う。アレックス・スミスも正直2流のQBであるし、ちょっとしたところにリードのチームらしい緩さが見えるのも気になるところである。 かつて、NFL倶楽部で各チームのロッカールーム訪問みたいな企画があった。5チームぐらい訪問してランキングしたのであるが、1位は、やはりと云うか何というかペイトリオッツ、レポーター曰く進学塾みたいな雰囲気だったそうである。2位がジャイアンツだったかな、そうして最下位は、当時リードの率いていたイーグルス。中学の部室みたいなロッカールームだったそうである。だって、選手が紙を丸めて野球をしていたらしい。 まあ、このへんは良し悪しであろうが、いずれにしても、それがアンディ・リードの気分、性格なのであろう。 まあ、リードの気分はともかくとして、このKCの快進撃ではっきりしたのは、コーチやGMにおける元NEというブランドは全く通用しなくなったという事である。完全な結論が出た。ノートルダムといい、ブラウンズといい、ラムズといい、このチーフスといい、完全に結論が出た。これを偶然の一言では片付けられないだろう。やはり必然である。ニュー・イングランドはベリチック独裁なのである。 さて、マンデーナイトである。まずは、ここまで絶好調のセインツ、まあまあこれは開幕前、つか昨シーズンの開幕前から想像できたところである。だって、ショーン・ペイトンにはやらなきゃならない理由が山ほどある、つか怒りで燃えたぎっているもの、はらわた煮えくり返っているもの。「何で、俺だけが。」って言っちゃ駄目だけど、バウンティ的なことは、NFLに限らず他のフットボールのカテゴリーでも多かれ少なかれ似たような事はあるだろうし、って、でも悪いことは悪い。 まあ、モチベーションの内容はともかくとして、モチベーションの高さは今季のNFLの全ヘッドコーチの中でダントツであったろう。溜まりに溜まったス、って、だからそういう事書いちゃダメ。 そのモチベーションの煽りを喰らってという訳でも無いだろうが、今季負けに負けているのがアトランタである。まあ、アトランタの下降は、これも同じく昨季から予想できた事であるが、ここまで急降下するとは予想できなかった。チャージャーズのような緩やかな下降ラインの第一歩目、9勝ぐらいでプレイオフにはギリギリ滑り込むと目算していた。それがここまで、すでに3勝9敗、今シーズンは終わりである。 今季のライアンは契約更改1年目なので、今季に限ってはキャップヒットも抑えられ(っつても、10ミリオン近いけど、)、それなりに勝負でき、実際チームは出来る限りの事はしたのであるが、この結果。来季以降は、ドンドン苦しくなる。このままいくと、キャリアの晩年での優勝はあるかもしれないが、ライアンはプアマンズ・マニングで終わってしまう公算が高い。ほんと、チームも肴も、旬を逃すというのは恐ろしい。 さて、いよいよ本題のNO@SEAであるが、観戦しての感想はひとつしかない。それは、「ブリーズにとって、このシアトル・ディフェンスは最も相性が悪い」という事である。 ブリーズ唯一にして最大の欠点は、あるいは弱点といった方が良いかもしれないが、その身長の低さゆえクイックヒットのパスが打てないという事である。どうしても、ドロップバックが深くならざるを得ない。結果、長中距離のパスが多くなる。そこで、レシーバー陣はディープスレッド型を揃えざるを得ない。快速型か、競り合い型である。ここで大事なのは、快速型はともかく、欲しいのは長身型ではなく競り合い型だという点である。体格型といっても良いかもしれないが、ガタイが良いだけでは駄目で、あくまで競り合いに強くなければならぬ。背が高くてもDBとの競り合いに弱ければ意味が無いからである。ミーチャムが(今季復帰したけれども、)いまいちセインツにハマらなかったのはその故であろう。そのミーチャムよりヘンダーソンの方が背は低いが、ブリーズにハマっていたのはその故であろう。 ただ、そこでシアトルのような大柄かつ機敏なDB陣と対峙すると、どうしてもその特徴が消され、このゲームのようなオフェンス機能不全に陥る。そこで有効なのがクイックヒットのパス、どんな優秀なCBもギャンブルしない限りディフェンス不可能と言われるクイックヒットのパス(チャンプ・ベイリー・クラスならば、これも何とか守るのであるが、そんなCBは一時代に一人である。)なのであるが、ブリーズに低身長ゆえ、これが無い。で、あとはRBスクリーン頼みになるのであるが、シアトルはLBもバカッ速なので、これも通用しない。結果、完封となる。 この長中距離型のパスオフェンス・スキームというのは、その派手さゆえに批判もあろうが、その生産性の高さの他に、インターセプトされても大きなキズにならないという隠れた利点もある。WCOのような短距離型のパスオフェンス・スキームとの隠れた、しかしながら意外に大きい違いである。もちろん、タレントを揃えるという意味ではWCOより遥かに手間が掛かるのであるが。 しかし、一度タレントを揃えれば、ここ5年くらいのNOのように猛威を振るう事も出来る。ただ、惜しむらくはブリーズが低身長のために、シアトルのような強力DB陣を要するチームには歯が立たない。これがマニングやブレイディだったら、クイックヒットのパスで対抗できた筈である。そういった意味では、ブリーズ、というか低身長QBの弱点が露になったゲームだったとも云える。 おんなじことはラッセル・ウィルソンにも云えるのであるが、こちらはスクランブルがある分だけ、幾分その弱点は緩和される。つっても、宿命的な弱点であることには変わりないだろうが。もっとも、シアトルのような強力なDB陣は今のところシアトルにしか無いので、その心配は練習時以外は露になることは無いであろうが。 ラッセル・ウィルソンといえば、いまやすっかりシーホークスの顔であるが、そもそも3巡75位のQBである。しかも、同時期にマット・フリンが先発確約の大型契約FAで入団している。それを押しのけてスターターの座に就いたのは、確かに何よりウィルソンが立派であるけれども、真に恐るべきはそれを決行したピート・キャロルだと思う。 確かにキャンプやプレシーズンゲームでウィルソンは結果を出したのかもしれぬ。そうはいっても、それはあくまでキャンプでありプレシーズンである。本番ではない。しかも、フリンが数試合先発して結果を出せなかったというのならともかく、いきなり開幕戦からの起用である。しかも、その開幕のカージナルス戦は負けているのである。それでも使い続け、結果的にはスターターQBにして、2年目の今季はプレイオフ第1シードを狙える位置にいるというのだから、ピート・キャロルの恐るべき炯眼であり、そうして何より恐るべき決断力である。スミスかキャパニックかで、ラブコメ・マンガの主人公のようにうじうじしていたハーボーとはえらい違いである。ちなみに開幕戦で敗北したカージナルス戦は、その年の第14週に58−0で圧勝している。 ハーボーのラブコメはともかく、普通はなかなか出来ない事である。練習やプレシーズンで好感触を持っていたとしても、フリンは大型FA入団である。オーナーに「バックアップに、20ミリオン(うちギャンティー9ミリオン)いるんだ。」(ポウル・アレンにとっちゃ、端金だろうけどさ、ケッ。)と嫌味のひとつも言われかねない。しかも、他のポジションならともかくQBである。勝敗にもっとも関わるポジションである。そこを自分の眼力だけ信じて(他のコーチの助言もあったろうけど、)、起用を決断するというのは、なかなか出来ない事である。しつこいようだが、それも開幕戦からである。しかも、その開幕戦は負けているのである。こういう事例はほかにちょっと思い当たらない。 このウィルソンに限らず、ピート・キャロルは就任以来、実に大胆な人事をする。驚かされる事も多かったが、一貫して云えるのはキャロルは、マスコミや世間の目を関知せず、自分の目で選手起用を決めているという事である。簡単なようでいて、これは実に難しい。フットボールに限らず、人は何かを決める時、どうしても世間の目や声を気にしてしまうからだ。 何より、自分の判断にそこまで自信は持てない。そこで、ちょっと世間の判断を参考にしてしまうのである。このウィルソン起用の場合でいえば、まあまあウィルソンの方が良いとは思ってはいても、とりあえず開幕から数試合はフリンを使っておきたくなるものである。そこで、様子を見てウィルソンを起用しても全然遅くは無い。でも、ピート・キャロルはそんな姑息、というか様子見はせず、決然とウィルソンを起用したのである。畏るべき哉。 つう訳で、一部では事実上のNFC決勝とも謳われたNO@SEAはシアトルの完勝、これでシーホークスはスーパーボウル最有力候補に躍り出た。とはいえ、私はしつこいようであるがナイナーズを推したい。やっぱりハーボーが不気味なのである。ラブコメ野郎のハーボーが不気味なのである。シアトルの強力ディフェンスといえど、あのランアタックは止まらないように思うのである。 で、そのカードが早速来週SEA@SFの形でスケジューリングされておる。まあ、プレイオフ確定のシアトルがそれほど無理して勝ちに来る事は無いと思うが、そこはピート・キャロルなので性格的に出し惜しみしないかもしれない。一方、SFは勝ち星的には背水の陣である。負けられなくもないが、必勝体制で臨むだろう。どんな結果というか、どんな内容になるか、非常に楽しみである。 とか云っていて、NFCはジャイアンツがひょっこり勝ち上がってきて、AFCは同様にレイブンズがねっとり勝ち上がってきて、「なんじゃそりゃスーパーボウル」になりそうな気がして、恐いなあ。 しかしまあ、コルツはよくこのシアトルに勝ったな。デンバーといいサンフランといい信じられん。まあ、ウェインはいたけどさ。録画観直そっと。 2013/12/6(金) |
Week14 | 12月8日 IND@CIN 28−42 |
は〜い、ヒューストンに貸していたAFC南地区のタイトル奪回。このまま借りパクされたらどうしようかと冷や冷やしていたので、漏れでひとまず一安心である。しかし、思ったより早く返ってきたな。5年くらい貸しっ放しかと思っていたら、2年で返ってきた。意外につまんなかったか、このロープレ。 一方のヒューストンは、これでまさかの2勝11敗。スーパーボウルどころかドラフト全体一位に向けて視野良好である。さすがにヒューストンのスーパーボウルは無いと私は予想していたが、プレイオフを逃すどころか、ここまで凋落するとは予想だにしなかった。先行逃げ切りを旨とするスキームで、これだけ逆転勝ちを許していたら、この結果もやむなしか。 その結果を受けてか受けずか、キュービアックもやむなく解雇。この解雇には賛否両論あろうが、シーズン途中という事もあって、私には何となく逆キレ気味の解雇とも見えなくも無い。私個人的にもキュービアックのゾーンブロック・スキームには限界を感じていたけれども、テキサンズ史上、アンドレ・ジョンソンに次ぐ功労者をこういう形でリリースするというのは如何なものかと思わなくも無い。別にシーズン終了後でも遅くなかったと思う。もしかしたら、健康上の問題もあったのかもしれないけれど。 キュービアックの解雇を受けて、今後のヒューストンであるが、このままキュービアックのゾーンブロック路線を継承して、謂わばマイナーチェンジの形をとるのか、それともキュービアックのゾーンブロック・スキームを捨て、大きく方向転換を図るのかは、同地区ライバルとして、ちょっち気になるところではある。まあ、これはGMレベルというよりはオーナーレベルの判断になろうが。 という訳で、アンドレ・ジョンソン、ちょーだい。そうして、ウェインと夢のジ・ユー・WRデュオ形成。 と、こんな書き出しをすると、主題のシンシィ戦に勝利したような雰囲気になるようであるが、実際は逆、完敗、つうか大敗。 私はこのゲームを、眠い目をこすりつつ、生で観ていたのであるが、敗戦必至のゲームとはいえ、気分的には楽だった。これはコルツのプレイヤー、コーチ、ファンともども皆同じだったと思う。 というのも、これから数時間後に、AFC南地区のタイトルを争う、日本のスポーツマスコミ的に謂うと優勝マジック1の対象チーム、タイタンズがゲームをするのであるが、その対戦相手がデンバー・ブロンコス、つかマニングであるからだ。格下相手に圧勝するのはマニングの大好物であるから、このカードが組まれている時点で、コルツの優勝は事実上決定だったのである。私は過去、マニングが格下相手に取りこぼしたのを見た事が無い。 で、結果は当然のように51−28でマニングの圧勝。コルツのAFC南地区優勝が決定した訳である。ナイス・マニング。 つう訳で、先週のTEN@INDが事実上AFC南地区優勝戦だった訳である。何故それをTV放送しない。まあ、い〜けど。 う〜む、しかし、まさか第14週で地区優勝が決定してしまうとは、シーズン前は予想だにしなかった。コルツの優勝も無くは無いと思ってはいたが、最終週までもつれるだろうと予想していた。ちなみに、この第14週終了時点で地区優勝が決まっているのは他にシーホークスだけ、プレイオフ進出が決まっているのも、この2チームの他にはデンバーだけである。今週、コルツに大勝したシンシィも、同じくコルツに大勝したラムズやカージナルスもプレイオフ進出は決定していない。つか、ラムズにいたってはプレイオフレース脱落が決定しておる。 これも、ひとえにAFC南地区の低調に由来するものなのであるが、ラムズファンやカージナルスファンからすれば、「ふざけんな、コノヤロー。」と毒つきたい所であろう。まことに申し訳ない。でも、プレイオフ進出権は譲らない。だって、ルールだから。5年位前はAFC南は最強と謳われ、NFC西地区は最弱と罵られたものであるが、変われば変わるものである。いかにも、アメリカのスポーツである。変貌振りがハンパない。 で、話をコルツに戻すが、プレイオフ進出が決定したとはいうものの、この時点で8勝5敗。しかも、昨年もおんなじような事を書いたと思うが、このベンガルズ戦大敗を受けて、遂に得失点差がまさかの−3点、でも8勝。しかも、その8勝の内訳は、同地区に4戦4勝、他はレイダース、ナイナーズ、シーホークス、マニングに1勝づつと云う、ある意味、強いといえば強過ぎる内容の内訳である。レイダース戦はともかくとして、勝たねばならない所、あるいは勝ちたい所だけはきっちり勝っている。でも、得失点差は−3点。謎なチームではある。強いんだか、弱いんだか。ウェインの怪我が大きな要素ではあろうが、にしてもである。 で、ゲーム内容に話を移すが、完敗なので、取り立てて話す所は無い。ダ’リック・ロジャースが華々しくデビューしたという点であろうが、私の印象は、正直言って凡庸である。体格と運動能力には恵まれているがハンドとルートランは甘いと云う典型的なグリグソン的WRである。ウェインの後継者ではなく、ベイのグレードアップ・バージョンでしかなかろう。まあ、それでも良いけど。 確かに、このゲームで数字は残したけれども、半ばガベージ・タイムの数字であるし、あまり期待は出来ない。少なくとも大きな期待は出来ない。 とはいえ、このゲームでブラジル共々RACでラックに貢献したのは、大きな成果だといえよう。るせー、年取ると駄洒落ずにはいられなくなるんだよー。RACでラックに数字を稼がせたのは今季初めてだったと思う。もっとも、ダ’リックのは、本人の能力というよりはベンガルズ・ディフェンス陣の怠慢でしか無いだろうが。あんなのは全員罰金ものだろう。ああいう所が、シンシィが優勝できるだけの力を持ちながら、いまいち勝ちきれない点なのだと思う。 話をコルツに戻すが、このゲームでも大量42失点を許してしまった訳であるが、ここのところの大量失点を振り返ると、要するにアンドレ・ジョンソンやフィッツジェラルド、そうして、この日のグリーンと、まあ所謂大物レシーバーにやられてしまっている。と書くと、彼等をマークしていたボンタ・デービスやダリアス・バトラーが戦犯のようにも聞こえるが、私はそうは思わない。彼等がやられるのは仕方ない。だって、どんなCB相手でも1on1では勝ってしまうのが超一流レシーバー、エースレシーバーの証だからである。 このようなエースレシーバーに対峙する場合、大雑把に言って二つの方策しかない。ひとつはダブルチームであり、もうひとつはパスラッシュの強化である。 一つ目のダブルチームであるが、これは今季のコルツではとんと見ない。まあ、ダブルチームしている時はパスが投げられないのでテレビに映らないだけかもしれないが、テレビで見る限り、どんな強力レシーバーでもマークマンは一人のようである。 二つ目のパスラッシュのの強化であるが、これは一つ目同様平常運転のようである。シーズン当初に見られたような、いかにもハイブリッドらしい複雑なパスラッシュはとんと見られない。第7週までで11.5サックと荒稼ぎしていたマシスのサックがその後4サックとペースが落ちているのは、その象徴ではないだろうか。失点は増えているのだから、当然その分守備機会は増えているにもかかわらず、である。 上記した二つの方策など、当然パガーノも知っている。それでも、しないと云うのは、これはもう完全に穿った見方になるが、わざとしていないとしか考えられない。このテレビ放送でゲーム終了後、解説の板井さんが、コルツはわざと負けているんじゃないかと、同じく穿った見方をしていたが、そんな見解が出てもおかしくない守備の内容、とりわけここ数試合のコルツのディフェンスの内容である。まあ、その答えは1月に判明するのであるが。 さて、超一流のエースレシーバーといえば、今回対戦したA.J.グリーンもその一人である。現役最高のレシーバーとなると、カルビン・ジョンソンが大勢を占めるであろうが、私は個人的には、このグリーンを推したい。まあ、総合的に判断すればジョンソンで間違いないであろうが、私はグリーンを推したい。タイプなのである。この、いかにもしなやかなルートランと、そこから生まれる軽やかな、それ故堅実なレシーブが私は好みなのである。ちょっと、マーヴィン・ハリソンを髣髴とさせるものがある。大柄なマーヴィン・ハリソン。派手なタッチダウン・セレブレーションをしないところもハリソンに良く似ている。今現役で、私の最も好きなWRは、このA.J.グリーンなのである。 WRといえば、本日もウェイン先輩はサイドラインにいた。そんなに重要なゲームでもないし、その凍てつく天候を考慮すれば、チームに帯同しなくても良さそうであるが、ウェイン伍長は本日もサイドラインにいた。しかも、TV映像を見る限り、試合中ずっと立ちっぱなしである。膝を手術したっていうのに。 怪我した後、サイドラインでどういう態度をとるかというのは選手の性格や心意気がよく現れると思うので、私は注目している。最悪は、以前、このサイトでも何回か触れたトムリンソンのそれであるし、マニングも及第点とはいえない。当時の記事で、私は不満を述べたが、もう少しチームやペインターに助言してもよいのにと思ったものである。もっと助言していれば、更に1,2勝上積みされ、自身がコルツを離れる事もなかったかもしれない。まあさらに、穿った見方をすればコルツにラックを与える為に、わざと助言しなかったと云う見方も出来なくはないが、まあそこまで考えても埒が明かない。 上記のハリソンは、怪我した後は、それっきりコルツに帰って来なかったような気がする。ハリソンらしいといえばハリソンらしいが、そこまで謙虚なのも困りものである。 以上、怪我人のサイドラインでの態度には色々あるのであるが、ウェイン軍曹も史上最高、抜群の態度である。あれほど真剣な目をしてゲームを見つめている怪我人は初めて見た。どう見ても、シーズンアウトの選手の目ではない。この日はベイがあまりゲームに出ていなかったので、いくらか和らいでいたが、にしても厳しい表情である。 私がレシーバーだったら、ハドルで「ウェイン先輩、めっちゃこっち見てる。めっちゃ見てる」とか言ってしまいそうである。ぶっちゃけ、あんな表情で睨まれていたら、緊張で捕れるボールも落としてしまいそうである。 まあ、それはともかくとして、怪我人のサイドラインでの態度としては最高だと思う。NFLに限らず、他のスポーツにおいても、あんな怪我人の態度、私は見たことは無い。まして、プロなら自分の出ないゲームにはあまり興味を持たぬものである。ウェインの思わぬ一面を見た。意外にというか、やっぱりというか軍人気質だったのね。 同じく軍人気質っぽいリチャードソンであるが、この日はついにスターター落ち。マスコミの批判にチームも本人も負けた格好である。そうしたら、早速、バウンスアウトしていた。「数字稼げばいいんでしょ、数字を。」というリチャードソンの心の声が聞こえた。 もっとも、このRBというポジションにおけるスターターって何だという疑問もあるが。今までも、ブラウンとキャリーを分け合ってきたし、このゲームでもブラウンが4キャリー、リチャードソンが6キャリーである。そもそも、最近のコルツは前半で圧倒的にリードされてしまうので、そもそもランを使うシチュエーションにないのである。平均ヤードが伸びないのもやむを得まい。マスコミの声に負けず、セイバンに学んだスタイルをリチャードソンには貫いて欲しいと思う。それが正しいRBのスタイルなのだから。 さて、話をコルツに戻すと、まさかの第14週でプレイオフ決定。しかも、諸々の状況を考えると、まあ数字的には逆転で初戦バイも無くはないが、普通に考えれば、まず無理と考えて良かろう。しかも、地区優勝なので初戦ホームも確定である。 という訳で、これからの3ゲーム、コルツには戦う理由が全く無いのである。唯一の理由がマシスのサック王のみといって良いぐらいである。ぶっちゃけ、残り3試合、連続先発記録があるので、最初のワンプレーだけラックが先発して、それ以降は全部八セルベックでも良いぐらいである。ちなみに、来週のテキサンズ戦がG+で放送予定であるが、誰が見んの。コルツファンの私ですら興味が無い。「ラックよ、怪我しないように。」がこの試合への唯一の希望である。あと、このゲームではテキサンズの@IND全敗記録が続くか止まるかというマニアック過ぎる興味も無くはないが、どうでもよい興味ではある。 2013/12/15(日) |
12月8日 SEA@SF 17−19 |
おそらく今季のNFLのNo.1とNo.2チームのマッチアップ。どちらがNo.1でどちらがNo.2かはあえて触れぬが、その名に違わぬ良いゲームだった。おそらく今季No.1のゲームだろうと思う、全試合観戦している訳でもないけど。記事は書かぬつもりだったが、このゲーム、というかワンプレーに感動したので感想を書きたいと思う。 そのワンプレーとは、このゲームのハイライト、ナイナーズの決勝ドライブでのゴアの51ヤードのランである。勿論、セイフティをカット一発で振り切ったゴアのランも素晴らしいが、あのプレイは何と云ってもナイナーズ・ラインメンのアサインメントブラックである。ゴアがセイフティを振り切った後、アンソニー・デービスが両腕を挙げてガッツポーズをしてゴアを見送っていたのが私には何より印象的だった。おそらく、散々練習してきたプレイであり、それがここぞと云う場面で成功したから、あのガッツポーズが出たのだろう。 号令一喝、OLとRB、いやQBとWRまで含めた11人全員が連動してプレイする。まさしくチームプレイの醍醐味であり、何よりフットボールの醍醐味であろう。野球やバスケットボール、サッカー、バレーボールなどにもチームプレイはあるけれども、このフットボールのアサイメントブロックほどプレイヤー全員が見事に連携して動くプレイは無いと思う。繰り返すが、まさしくフットボールの醍醐味である。美しかった。 この決勝ドライブはその後、フィル・ドーソンがFGを決め、決着するのであるが、その後、ゴアやドーソン、OLの面々がサイドラインで手を取り合って(頭を叩き合って、かな。)喜んでいる姿、この勝負に勝ったという事はもとよりであろうが、それに加えて、チーム全員、この場合はオフェンスとスペシャルチームでるけれども、チーム全員の力でこの決勝点を作り上げた事も喜んでいたのだと思う。個人技による得点も悪くはないが、チームメイトの力を結集して得た得点は何より嬉しいものである。 それほど、このアサイメントブロックは美しかった。そうして、優れてアメリカ的な光景であるとも思った。アメリカ人は、このように各人が部品に徹する美しさを知っている。その精神がフットボールを作り上げているのだと思う。こういう民族は他に無い。 チームプレイと云うと、何だか日本人の専売特許のように思われ、日本人自身もそれを自負しているようなところがあるが、案外このようなチームプレイは苦手である。スポーツに限らず、部品に徹するという事が意外に出来ない。意外に各自勝手に動いてしまう。 確かに、集団で行動する事を好む民族ではあるけれども、組織を作るのは存外苦手である。集団の一員にはなりたがるが、組織の一部にはなりたがらない。明治時代様々なスポーツが日本に輸入されてきたけれども、その数多いスポーツの中でベースボール、野球を選んだのは、なるほど当然至極である。絶妙だったとさえ思う。そうして、いまだに「個人が先か、チームが先か。」とか「チームの主役だとか、脇役だとか。」なんていう、まさしく言葉の正しい意味で程度の低い議論が成立しているのも日本ならではだと思う。 他の国々でも、程度の差こそあれ、事情はおおよそ同じだと思われるが、アメリカ人だけが決然とフットボールを作り上げた。部品に徹する事の美しさを知っていた。あのアサインメントブロック、とりわけサイドラインでのナイナーズの面々の喜ぶ姿、充実感、達成感を見ながら、私はそんな事も思ったりした。 このアサイメントブロックこそ、最もフットボールらしいプレイ、そうしてあらゆるスポーツで最も美しいプレイ、そうして何よりアメリカ的なプレイだと思う。ちなみに、私は今まであらゆるスポーツで最も美しいシーンはホームラン、あるいはボクシングのアッパーカットだと思っていたが、ここに修正する。 こんな事を書くと、「てめえ、散々ランよりパスが大事とか書いてきたくせに、ナイナーズのワンプレー一発で宗旨換えか。」とお叱りを受けそうであるが、フットボールというゲームにおいてランよりパスが大事という考え方は今以って変わっていない。それを修正する必要は無いと思っている。ただ、ナイナーズのアサイメントブロックは非常に美しいと言いたかっただけである。 かつて解説の水野さんが、「最近のNFLはゾーンブロックばかりで、おもろーない。」みたいな事を言っていたが、その意味が、このナイナーズのアサイメントブロックではっきり分かった。了解した。もし私がゾーンブロック全盛以前のフットボールを見ていたら、もう少しパスよりランを重視していたかもしれない。少なくとも好んではいただろう。 ゾーンブロックというのは見ている者にとって、そうして何よりプレイしている者にとって詰まらん戦術だと思う。もしゾーンブロックが成功しても、アンソニー・デービスはあのようなガッツポーズは見せなかったろう。 ちなみに、このナイナーズの必殺のランアタックであるが、今のところ、現状のNFLのチームには止める術が無いと思う。「てめえ、パーフェクトなランディフェンスはパーフェクトなランオフェンスに勝るとか言っていたくせに、前言撤回か、コノヤロー、調子に乗るなよ。」といったお叱りを受けそうであるが、「パーフェクトなランディフェンスはパーフェクトなランオフェンスに勝る」という命題を覆す心算は無い。ただ現状のNFLにそれを止める術が無いといいたいのである。 このナイナーズのランアタックを止めるには、ある程度重いフロント7、ブロックに負けないフロント7が必須かと思われるが、昨今のNFLは皆、パスオフェンス対策、ゾーンブロック対策の為に、LBどころかDLまで軽量化が進んでいる。軽量化といったら語弊があるかもしれないが、スピード重視・万能型重視、すなわちハイブリッド化の為に軽量化せざる得なくなっている。そこに、ナイナーズのような古典的なアサイメントブロックをぶつけられたら、ひとたまりも無いのが実情である。 だからといって、このナイナーズ対策の為にフロント7を大型化重量化したら、今度は、それこそ、マニングやブレイディ、ブリーズ、ロジャース等々のパッシングオフェンスにズタズタにされてしまう。人と違う事をするのは勝つ為のひとつの方策であるが、ほんとハーボーは良いところに目を付けたものである。しかも、副産物として、上記したような、チームの一体感まで生まれるのである。ほんと、ハーボーは良いとこ突いた。 ちなみに、このスタンフォード流のランアタックは、もしかしたら我等がペップ・ハミルトンも目指しているのかもしれないが、現状のコルツOLには。その片鱗も見られない。大丈夫か、オイ。それとも水面下で着々と準備しているのか。 あと、このナイナーズのゲームを見ていて、しみじみ思ったのは、このナイナーズのオフェンス、つうかナイナーズに最も適したQBは、何と云ってもアンドリュー・ラックだつう事である。ラックが今のナイナーズにいたら楽々ルーキーイヤーから3連覇していたな。いや、冗談抜きで。それも見てみたかった気がする。いや、やらんけど。 2013/12/15(日) |