Divisional PlayOff |
1月11日 IND@NE 22−43 |
前回の記事で、「このゲームは勝っても負けてもどっちでもいい。ゲームを楽しみたい。」みたいな事を書いたが、その記事を投稿した後から、つらつらこのゲームの事を色々考えてみると、コルツにも結構勝ちの目があるのではないかと思うようになってきた。その大きな要因は、何と云っても、パッツの主力のケガである。 ここ数年のパッツは年々増大化するブレイディのキャップヒットを何とかゴマカシゴマカシ運営しているのであるが、そうは云っても、無理に無理を重ねている。そうして、残った虎の子のキャップルームのうち、大部を割いたウィルフォークとメイヨ、そうしてグロンコウスキーが涙のIR入り。オーナー以下、泣くに泣けない状態である。 コルツも、ウェイン、アレンと痛い所がIR入りしているが、現状の戦力では、むしろコルツの方が僅かながら勝っているように思えてきた。しかも、前週の28点差逆転勝ちのモメンタムがある。その間隙を突けば、コルツ勝利も大いにありうるように思えてきた。冬のジレット、プレイオフのジレット、マニングの借りをラックで返すのも悪くはあるまい。 このゲームは生放送を録画して、日本時間の夜に観戦したのであるが、その放送中、仕事をしながら私は、「今頃、コルツは勝ったかなあ〜。」なんて晴子ちゃんチックな事を夢想していた。 で、いよいよ、試合観戦。私は珍しく緊張していた。それこそ、2006年以前の、冬のジレットに苦杯を舐め続けてきた、あの気持ちである。当時の試合前の緊張によく似ていた。 で、結果は敗戦。ブレイディとベリチックの笑顔、である。私は悔しさと胸のムカツキを覚えた。そうして思ったのは、「そうそう、この気持ちだよ。ここ数年、私が忘れていたのは、この胸のムカツキ、怒りだよ。」 ここ数年、というか、コルツがスーパーボウル制覇して以来、丁度当サイト開設以降、私はコルツの敗戦に怒りや悔しさを覚えた事は無かった。スーパーボウル制覇以降は、マニングのキャップヒットが増大し戦力補強も思うようにならず、またケガ人が多いシーズンもあり、プレイオフで敗退しても、「むしろ、この状況下でよくやった。」みたいな気持ちの方が強かった。特に、結果的にマニングのコルトとしての最後のゲームとなったジェッツ戦などは、マニングのキャリア通じてのベストゲームではなかったかと今でも思っている。敗色濃厚の中で、最後ブレア・ホワイトが捕球すれば勝ちと云うところまで言ったのは、本当にマニングの力であって、今となっては、その敗戦という結果も含めて、コルツ時代のマニングの集大成とでも云うべきゲームではなかったかと思っている。 勝ってもおかしくないゲームを落としたという意味では、2009年シーズンのスーパーボウルであろうが、これもフリーニーのケガがあったし、また件のカトリーナもあったことから、世間的なストーリーラインはセインツ頑張れだったので、この結果もそれなりに満足していた。 まして、その後のマニング全休、ラック登場のシーズンなどは勝利を期待するほうがおかしいので、むしろ予想を大きく上回る結果に浮かれていたぐらいである。 そうして、今回の敗戦。久々に悔しさを覚えた。この胸のムカツキの一方で、「そうそう、この感じだよ。この胸のムカツキだよ。これを俺は待っていたんだ。」という、ある種の喜びもある。なんとならば、この悔しさこそが、スポーツチームを応援する最大の醍醐味であるからだ。この悔しさが無ければ、スポーツチームなんか、阿呆らしくて応援してられん。2006年以降の私は、上述したように、スーパー制覇の余韻に浸って、この気持ち、この絶望感を忘れていた。謂わば、年金生活者の老夫婦だった。それはそれで、ほのぼのとして楽しかったかもしれんが、歓喜も陶酔も無い。とりわけ、世界が暗黒に染まるような、あの絶望感が無い。それを、このゲームで私は取り戻した。真っ暗闇を全力で突っ走るような、あの感覚を私は取り戻した。すなわち、若さである。これぞ、スポーツチームを応援する醍醐味である。 で、ゲーム内容の検討であるが、ぶっちゃけ、あまりない。第4クォーターの序盤が全てといってよいゲームであろう。第4クォーター開始時点で7点差になり、「このゲーム貰った。」と思った瞬間に、ブロントの一発&ラックのインターセプトで、ものの2分程度で、まさかの21点差。逆転のラックといえど、物理的に、何より心理的に逆転不可能である。ここで終わった。 敗因というか、パッツ側の勝因といえば、それは終始一貫しての粘り強いランのコールが一番大事なところで花開いたとも云えるし、ラックのインターセプト多発について云えば、スカウティングの勝利とも云えるだろう。 でも、ぶっちゃけ、勝ててたゲームだったと思う。ブロントの一発が無かったら、すなわちランドリーのタックルミスが無ければ、勝ててたゲームだったと思う。もちろん、こんなタラレバは何の意味も無いけれど、少なくともKC戦よりは勝てる可能性の高いゲームだったと思う。でも負けは負け。それがゲームである。だからこそ、私は遠い日の怒りを思い出したのである。 あとまあ、これはあんまり云いたくないけれど、お前ら盛ってね。ラックのインターセプト多発もスカウティングの勝利と云えば、それまでだが、ものの見事過ぎるし、それ以外でもプレイコールが当たり過ぎる。ビデオカメラ、使ってたでしょ。 あと、審判のコールも偏ってね。このゲーム、ほとんどパスインターフェアは無かったけれど、数少ないひとつが第3クォーター中盤の3rd&8からって、おかしくね。袖の下でしょ。 とまあ、過去、ジレットで、あるいはプレイオフでNEに敗退していった数多くチームと同じ感想を私が抱いた事も、ここにしっかり付け加えておく。 そのほかの感想はあまり無い。強いて挙げれば、このゲームのMVP、ラギャレット・ブラントかな。シーズン前、NEが契約したというニュースを知って、「相変わらず、いいとこつくのお。」と私は感心したのであるが、まさかプレイオフのコルツ戦で爆発しよるとは。恩を仇で返すとは、まさしくこの事だ。いや、違うか。 とまあ、これで2013年のコルツは終了した訳であるが、来季、つうか向こう3年間でスーパーボウル出場は義務である。優勝はともかく、出場はしないと、SDやATLのようにズルズルいってしまう。折角ラックと云う稀代のQBを獲得できたのだから、何が何でもそれ相応の結果を出さねばならない。アーセイ(ツイッター時代の申し子)・オーナー以下、褌を締め直して、チーム運営に当たって欲しい。 当面の戦力補強ポイントは、何と云ってもWRである。ヒルトンのアクセレイト&クイックネス頼みにも限度がある。ウェインは、来季も現役続行のようなので、その反対側のエースレシーバー、本物のエースレシーバーを何が何でも獲得して欲しい。さすがに一巡のない今オフのドラフトでは厳しいので、FAないしトレード頼みになると思う。理想はアンドレ・ジョンソンである。何なら、2015の一巡を使ってジョンソンを獲得してもよいくらいである。 ジョンソン、ウェイン、そうしてヒルトンをおそらく彼のナチュラルポジションであろうスロットに入れれば、リーグ有数のWRユニットになると思う。寿命は短いけど、贅沢は言えない。ラックのルーキー契約が終わったら、その時はWRユニット再構築のパターンである。 また、ジョンソンのような真性エースレシーバーの獲得が難しいならば、いっそヒルトンと似たようなタイプをもう一枚加えるというパターンもあろう。理想的にはアイザック・ブルース、トニー・ホルト・コンビ。そこまでいかなくとも、サンタナ・モス、ランドルエル・コンビのイメージである。まあでも、私の理想は、ポリアン育ちらしく第1案である。 次の戦力補強ポイントはTEである。フリーナーも悪くはないが、良くもない。ここ2年間見てきたが、運動能力、レシーブ能力ともに並みである。せいぜい2番手TEの器だと思う。マニング時代でいえば、ユーテックとかフレッチャーとかハートソックとかターミとか、そんな感じである。ダラス・クラークではない。まあ所詮TEなので、WRほど早急な改善は要求しないが、今ドラフトの2巡、すなわちコルツのファーストピックでTEを指名しても文句は無い。むしろ歓迎である。ただまあ、フリーナーは所謂ラック枠だからなあ。このままいくのかも。 アレンこそがエースTEと見る向きもあるが、アレンの場合はどっちかというとHバックのイメージなので、ここはやはり真性レシービングTEが欲しい。 次はOLである。今季やっとメンツが固定できたようであるので、来季多少のメンバー交換はあるかもしれないが、このままOLユニットの熟成を強く希望する。そうして、スタンフォード、あるいはナイナーズのようなランアタックを構築して欲しい。一応、それを目指しているっぽいらしいので。 ただ、ちょっと気になるのは、テレビの画面を通して見る限り、OLのリーダーが誰なのかいまいち分からない点である。かつてのサタディのような、あるいはナイナーズのジョー・ステイリーのようなリーダーをハッキリさせて欲しい。それが、サテーレなのか、カスタンゾなのか、シェアラスなのか、私にはさっぱり分からないが。もし適当な人材がいないのならば、ラックが自らOLのリーダーになって欲しい。 ラックに対してはほとんど不満は無いのであるが、数少ない不満のひとつ、そうしてその際たるものは、いまいちOLに無関心という点である。自分の足に自信があるのか、OLを調教しようとしない。それはマニングに大いに劣る点である。調教は言い過ぎであるかもしれないが、OLとの一体感は、QBそうしてRB、すなわちバックス陣に必須であり、最大の武器である。ラックはこれを磨いて欲しい。 エースレシーバー、TEのグレードアップ、そうしてOLの熟成が達せられれば、ラックがいる以上、オフェンスは無敵になると思う。そうすれば、逆転勝ちなんて面倒な事はしないで済むようになる。 そうそう、RBは、とりあえず来年はリチャードソンで様子見でいいんじゃないかな。キャンプに参加すればだいぶ変わるだろうし。 一方、ディフェンスであるが、こちらはあまり不満は無い。現行のスキームのまま、パーソナルの面をレベルアップしていけば良いと思う。強いて挙げれば、DT・DE兼任プレイヤーに大物が欲しい。ハロティ・ナータ、あるいはシェルドン・リチャードソンのような大物である。 コルツの補強話はこれくらいにして、プレイオフの予想へと移るか。 と、その前にDEN@SDの感想をちょっとばかし。私はこのゲームはマニング対サイファーズの図式、すなわちサイファーズが炸裂すればSDの勝ちと予想し、その可能性はかなり高いと前の記事で書いたのであるが、そのサイファーズのパントが早速ゲーム早々あった。しかも自陣43ヤードという絶好の逆レッドゾーン狙いの位置である。 しかし結果は14ヤード、5ヤード以内どころか10ヤード以内でもなし。タッチバックよりややマシな程度、である。この時点で、勝負あったと、大袈裟であるが私は思ったぐらいである。もしこのパントが5ヤード以内だったら、マニングを逆レッドゾーン地獄に落とし込み、SDに十分勝機はあったと思う。しかし結果は14ヤード、そうしてそのドライブはマニングに普通に進まれタッチダウン。ここで終わったと私は思った。 ところで、何故私がこんなにパントを重視しているかというと、以前どこかでも書いたかと思うが、パントというのは防ぎようが無いからである。フットボールのその他の武器、QBでもWRでもDEでもCBでも何らかの対抗策はある。しかし、パンターに対しては、一応パントブロックがあるけれど、それを除いては対抗策が無い。パンターに完璧にプレイされれば、それで終わりである。 同じスペシャルチーマーでも、リターナーに対してはボールを触らせないという対抗策があるし、キッカーに対してはパンター同様対抗策はないが、キッカーというのはパンターに比べれば、遥かに自滅しやすいポジションである。敵というよりは自分の気持ちと戦うポジションである。特別な対抗策を敷く必要は無い。 ところがパンターに対してはどうにもならない。ちょうどバスケットボールのフリースローと同じである。プレイヤーの技量が結果の全てというポジションである。それ故に、私はこのプレイ、あるいはポジションを重視しているのである。 話をこの日のサイファーズに戻すと、サイファーズはその後、3度パント。二つ目と自陣深くからの平凡なパント。三つ目は自陣34ヤードから47ヤードのリターン、自らタックルしやや怪我を負う。四つ目は自陣38ヤードから、見事なパントを蹴るもボール二つ分くらいでタッチバック。この日のサイファーズ、あるいはSDを象徴していたプレイだったと思う。サイファーズも衰えたな、と私は思った。 もっとも、この日のSDの敗因はサイファーズではなく、オフェンス陣の不甲斐無さである。マニング相手に24失点ならディフェンス陣は上出来であろう。良い所でターンオーバーも奪っているし、ディフェンス陣は、サイファーズの援助も無い中、良くやったと思う。 不甲斐無いのは、第3クォーター終了時まで0点だったオフェンス陣であろう。ゲイツ、アレン、ロイヤル、マシューズ、ウッドヘッド、ブラウンと武器は揃っているのにリバースとOCは何やってたんだか。ウィーゼンハントはテネシーの事で頭が一杯かい。 もっとも第4クォーターで17点は奪っているので体面は保っているが、所詮体面は体面である。実体ではない。 ちょっと、話は逸れるが、この第4クォーターでリバースが無理気味にパスを通し、それまでの3クォーターは何だったんだというように17点をSDは奪ったが、こういう事はフットボールには多い。まあ、点差が離れるとディフェンスがプリベント気味に守るので、パスが通しやすくなるというのが理由の大半であろうが、それでも通るのは通るのである。 先のIND@NEでも、ラックがダブルカバー、トリプルカバーにガンガンパスを放り、インターセプトされたりタッチダウンを奪ったりしていたが、このラック然りリバース然り、無理なパスでも通るものは通るのである。これらを見て、私が思い浮かべた言葉は、「塚田が通れば道理引っ込む。塚田が止まれば電車が止まる。」である。 一般に無理なパスは投げてはいけないとされてはいるが、こういうシーンを見ていると、多少のインターセプトや3&アウトは覚悟で、ガンガンパスを投げた方が、全体的な生産性は増すのではないかと思えてきた。マニングのノーハドルやチップ・ケリーのハリーアップ・オフェンスの論理的根拠はこのあたりにあるのではないかと思えてきた。パーセルズ流のボールコントロール・オフェンスとは対極に位置する戦略であるが、こういう正反対の戦略が並立するのがフットボールの面白いところである。 あとまあ、このゲームの感想はというと、ロニー・ブラウンかな。久方振りに見たが、本当に良いランニングバックだと思う。ただ、惜しむらくは、この才能に見合う栄光が彼に無かった事であろう。返す返すも残念至極である。こういう選手は強いチームにいてこそ活きる。 あと、リバース。これは久し振りに見たわけでは無いけれど、相変わらずキレてんな。動きがいちいち面白い。至高のキレ芸である。 あと、タケオ・スパイクス。勿論このゲームに出場はしていないが、引退つうか退団した翌シーズンにSDはきっちりプレイオフ進出。さすがとしか言いようが無い。至高のプレイオフ芸である。 SDの話はこれくらいにして、AFC決勝の予想であるが、厭きた、飽ききった。この言葉しか思い浮かばない。前年、前々年のPIT、BAL、NE絡みでも同じようなことを書いていたと記憶するが、もうこの4チームつうか、3チーム+マニングはもういいわ。いつまで00年代引きずってんだか。もういい加減、新しい顔触れ、新しいチームが出てきて欲しい。我等がコルツも中身は完全な新チームであるが、外面はコルツだし。んで、もうひとつのプレイオフチームがSDって。90年代に入っても、まだキン肉マンと北斗の拳を連載しているようなものだど。もういい加減、ワンピースとまではいわないまでも、スラムダンクやジョジョが出て来て欲しい。もしかして、ベリチックは鳥山明なんじゃないだろーな。 という訳で、予想する気持ちが全然湧かないし、実際、諸々の状況、マニングの勝負弱さとか、ベリチックのビデオカメラ&お歳暮とか、等々を考え合わせると、完全に5分5分だと思う。気候とか誤審とかボールの転がり具合弾き具合とか、思わぬところ、実力以外のところで決着が付くのではないだろうか。レギュラーシーズンのような奇妙なゲームになる可能性も高いと思う。 という訳で予想は、う〜ん、サイコロにでも任そう。 一方、NFCであるが、こちらは世間的にはSFとSEAのがっぷり四つという見方であろうが、私は6:4、下手すれば7:3ぐらいでSF有利と見る。シアトルホームを考慮しても、である。 その根拠はと云えば、それは何と云っても、SFのランアタックである。このランアタックにシアトル自慢の高速フロント7が蹂躙されると予想する。つか、目に浮かぶ。余程のこと、思わぬ作戦とか、異常な天候とか、痛恨のターンオーバーとか、決定的な誤審等々が無い限り、SF勝利であろうと思う。 そういえば、私は以前、「SFは100ある武器のうちの3つぐらいしか使っていない。」みたいな事をよく書いていたが、100は大袈裟に過ぎるにしても、実際のところ、SFの武器はいくつあるのか、ものは試しでここに数え上げてみたい。順番は、その武器の価値や完成度を総合してのものである。 1.ランアタック ナイナーズ最強どころかリーグ最強の武器であろう。 2.ランディフェンス この上位2つを見て分かるとおり、今のナイナーズは、「ランを出し、ランを止める。」というオール ドスクールのチームなのである。 3.ボルディン なんで、コルツに来てくれなかったかなあ。 4.クラブツリー 2009ドラフト、結論出たなあ。アル・デービスよ、見ているか。 5.バーノン・デービス ハーボー以前は、ナイナーズ第一にして唯一の武器だったが、いまや5番手。恐るべき3年 間である。 6.キャパニックのラン これも結構な武器であるが、このチームでは6番手。 7.アルドン・スミス 私生活ぐらいしか弱点が無い。頼むぞ、マスコミ。 8.ラマイケル・ジェームス リターン、オープンランともに、である。しかし未だお披露目していない。恐るべき余裕。 9.ハーボーのイカれたプレイコール 私が元々、ハーボーに興味を持ったのは、このイカれたプレイコールだったが、 ここ最近は封印している。しかし、潜在している。 10.フィル・ドーソンとアンディ・リーのキック&パント こんなところにも隠れた武器がある。 とまあ、コルツファンの私がざっと数え上げたところで、10コある。ナイナーズファンなら、もっと挙げられるだろう。この手の武器は、プレイオフチームでも3つぐらいであろう。それが10コとは。恐るべし。ちなみにコルツは、ラックのみ。強いて挙げれば、ロートルのマシスである。 昨季のナイナーズは、ここにHバックのジェレニー・ウォーカーがいたが、これは今季無くなった。 また、武器を挙げたついでに、弱点を考えてみたが、ウィットナーのオーバーパシュート愛ぐらいしか思いつかない。あとはキャパニックの潔さくらいか。ほんと、3年間で恐ろしいチームになったのものである。しかも、以前書いたが、ほぼシングレタリー時代の選手で、である。ナイナーズの真の意味での最強の武器は、何といってもハーボーである。 ペイサーズ強し。2014/1/19(日) |
Conference Chanpionships |
カンファレンス決勝 あれこれ |
カンファレンス決勝の予想は、AFCは内容的に、NFCは結果的に外れた訳であるが、恒例の反省会、言い訳大会と洒落こんでみたい。 まずはAFCであるが、こちらは思ったより平板というか、まあ何というか戦力通りの結果がそのまま出たという印象である。MADDENのシミュレーションみたいなゲームだった。この辺の戦力差を、ベリチックの戦略とかビデオとか買収とかマニングの勝負弱さが埋め合わせるかと予想していたのであったが、もちろん水面下では色々あったのだろうが、少なくとも表面的には、あるいは素人目には、そういうものは何もなかった。時間が経過するにつれて、じりじりと戦力差どおりの数字が出たという印象である。 戦前、私はこのゲームは、お互いの実力以外の部分、天候とかレフリングみたいなもので勝敗が決するみたいな事も書いたが、そういうものも無かった。ターンオーバーどころかファンブルも無かったし、モメンタムが揺らぐようなシーンも無く、平板という意味では、プレイオフという括りを除いても、フットボール的に結構珍しいゲームだったと思う。 実力以外のファクターを強いて挙げれば、その天候だったと思う。マニング対ベリチック@フォックスボローといえば、再三再四、コルツファンはその悪天候に悩まされたものであったが、今回は予想に反してというか、予想通りと云うか、まさかのピーカン、小春日和のような天候であった。デンバーの気象状況は私は皆目分からないので、この時期のこの天候が希少なのか恒常的なのかは不明である。ただ何となく、印象としては、プレイオフのデンバーは割りに好天に恵まれていたという記憶がある。 冬のデンバーの気象状況は半井さんに丸投げして、さてフットボールである。この好天は、当然の事ながら、パスオフェンスに有利と云うか、パスオフェンスの妨げにはならない。結果的にマニングのオフェンスを通常運転にしたし、またペイトリオッツのオフェンスの望まざるパスオリエンテッドを強いたように思う。 そのパスオリエンテッドが間違いではなかったものの、痛いところでパスミスが出て、それが敗因のひとつになっていたように思う。プレイコール的には当たっていながら、ブレイディのディープがリードボールでパス失敗、それも3rdダウン、みたいなシーンが散見した。デンバー、周知のとおり、高地なのでボールが飛ぶ事はよく知られているが、キックのみならずパスのボールにも微妙な影響を与えたのだろうか。その辺はよく分からん。 まあもちろん、だからといって、コルツ戦のようにブロント中心のランアタックを仕掛けていれば勝てたとまでは言えないが、この好天によるパスオリエンテッドがゲームに微妙な陰影を与えた事は確かだったと思う。 あとまあ、これはコルツ戦でも同様の印象を抱いたのであるが、ここ最近のパッツ、特に今年のパッツは、本当に薄っぺらい戦力でよくやっているなあと思った。今年のコルツも純然たる戦力という意味ではNFL全32チーム中15位前後をうろついているであろうが、このカンファレンス決勝時点でのパッツも、そのコルツと似たようなものであろうと思った。MADDENの戦力の総合値(ここ最近ご無沙汰しているので、専門用語は忘れてしまった。)みたいなもので云えば、例えばカンファレンス決勝時点でのデンバーが89ぐらい(ボン・ミラーがいれば92ぐらいまで上がる。)だとすれば、パッツはいいとこ72ぐらいだろう。ウィルフォークとグロンコウスキーがいれば83ぐらいか。 そんな薄っぺらい戦力で毎年のようにカンファレンス決勝までくるのだから頭が下がる。敬服する。 さて、次はNFC決勝である。先のAFC決勝は、水面下はともかく、表面的には、あるいは素人目には論点が無いと書いたが、こちらのの論点は唯一つ、それもどでかいのが唯一つある。すなわち何故に、ナイナーズは、その最大最強の武器であるランアタックを使わずじまいだったかという点である。 特に第4クォーター、追い上げられ逆転された後も、相変わらずキャパニックのパス頼み、挙句ファンブル、インターセプトである。 とりわけ残り時間4分を切っての事実上の最終ドライブ、タッチダウン必須のドライブで、未だキャパニックのパス一辺倒は、私には全く以って不可解だった。残り時間が4分を切っていたとはいえ、タイムアウトはがっつり3つ残っている。しかもナイナーズのランは一度に10ヤード20ヤード取れるランである。全プレイでランをコールしても良かったぐらいだと私は思っている。 ところが、実際はキャパニックのパス一辺倒。それなりにパスは通っていたとはいえ、ブリーズですら手こずるような、リーグ最強どころか、ここ10年くらいのスパンで考えても屈指のシーホークス・パスディフェンスである。そのうちインターセプト喰らうんだろうなあと思っていたら、案の定エンドゾーンでインターセプト、試合終了、つかシーズン終了である。 しかも、これは、1stダウン残り18ヤード、残り時間30秒タイムアウト2つの場面である。つまり投げ捨ててもなんら問題ないである。なのにガッツリカバーしているところ、しかもシャーマンがカバーしているところに投げてインターセプト。私は、アホかと匙を投げた。 そもそも、このシリーズ、サイドライン際に投げたクラブツリーへのパスも結構危ないパスであった。がっつりカバーされているところに投げての結果オーライのパスである。しかも、同じようなパスを直前のシリーズでインターセプトされているのである。キャパニックがパサーとしては完全に二流であることが、これで証明されたと思う。完全に結果オーライのパサーである。 結果オーライのパサーで、ちょっと話は逸れるが、前回の記事でも触れたが、ここ最近NFL入りしているQBは、ラックや、このキャパニック、対戦相手のウィルソン等々、結構きつめのカバーにも無理して投げ込む傾向があると思う。もちろん、その結果は成功不成功様々なので、その良否を一概には断じ得ないが、それがここ最近のカレッジのトレンドなのであろうか。そのちょっと前の世代、ロジャースやアレックス・スミス、マット・ライアンなどは、今度は逆に厳しいカバーにはまず投げない。異常なほどインターセプトを嫌う傾向がある。私は、カレッジ事情には疎いので、如何とも論じかねるが、面白い傾向だと思う。 さて、話をキャパニックに戻すが、無理して投げる事の一般論はともかく、少なくとも、あの場面は、無理して投げるシーンではない。確実にドライブしてタッチダウンしなければならないシーンである。それだけのフィールドポジションと点差と時間とタイムアウトである。その判断が出来なかったという一点において、キャパニックが二流のQBであると結論付けてよいと思う。 しかしまあ、それはそれで良いのである。そんなことは、試合前から、完全ではないにせよ、ほとんど分かっていた事だからである。私が、前回の記事でナイナーズの数少ない弱点のひとつとして挙げた「キャパニックの潔さ」がそれである。問題は、数少ない弱点を、このゲーム、つうか今シーズンの一番大事なところで使ってしまったかという事である。そこを私は問うているのである。ハーボーを責めているのである。 ちなみに、もうひとつの弱点として挙げた「ウィットナーのオーバーパシュート愛」も、このゲームで陰に陽に敗因となっているが、面倒なのでここでは論わない。 で、ハーボーの判断であるが、あの場面で、キャパニックのパスに頼った事は、今以って、私には謎である。理解に苦しむ。私が、ナイナーズの武器のひとつとして挙げたボルディンやクラブツリーのレシーブ力に賭けたという見方も出来るが、あくまでパスあってのレシーブである。しかも、相手はリーグ最強のシーホークスDB陣である。無謀と断ずるべきであろう。 しかしそれより何より、ナイナーズには、私がナイナーズ第一の武器としてあげたリーグ最強のランアタックがあるのである。何故それを使わなかったのか、再三繰り返すが理解に苦しむ。昨年のカンファレンス決勝、あるいはスーパーボウル、あるいは今季のレギュラーシーズン第14週のように、最後はランアタックで勝負を決めてくるのかと私は思っていた。しかし、結局出さずじまい。私がゴアだったら、拗ねる。 まあ勿論、使わないには使わないなりの何らかの理由、健康上の理由とか戦術上の理由とか戦略上の理由とか色々あるのかもしれない。このゲームでもLGのイウパティが退場していたし。 ただまあ、私が分からないのは、昨年のプレイオフあたりからはっきり顕著になってきている事である。ラン出せば楽々勝てるのに、ギリギリまで出さない傾向である。そうして、その象徴が、私が当時の記事でしつこく論ったスーパーボウルでの最後のパス4連発であろう。 もしかしたら、私の考えているほどに、ハーボーは自軍のランを高評価していないのかもしれない。私は先の記事に挙げたように、ナイナーズ第1の武器と見ているが、ハーボーはもしかしたらそうは見ていないのかもしれない。あるいは、ランを出す為にはいろいろな条件があって、常時コールできる訳では無いのかもしれない。いずれにしても、謎である。キャパニックの教育の一言では絶対片付けられない。 まあ、この試合に限って云えば、前半調子が良すぎて、ランを出すタイミングを失ったという側面もあるかもしれない。 前半は、キャパニックのランに、いかれたプレイコールなどレギュラーシーズンに見せなかったものをふんだんに披露し、ことごとく成功していた。更には、アンディ・リーの絶妙なパントが出た時には、私はブロンコス対ナイナーズの記事を考えていたぐらいである。 ちなみに、その幻の内容はというと、今回のブロンコス・ナイナーズは両チームともにコルツと縁が深いから、今度のスーパーボウルはコルツボウルと名付けるべきだという提案である。まっ、ここで披露しちゃったから、幻じゃなくなったけど。でも、コルツボウルは、とりあえず今季は幻だけど。 コルツボウルはともかくとして、ナイナーズの前半の好調振りが、ランを出しにくくした、ゲームに対して軽率にしたという側面はあったと思う。ただ、一方でゲーム内容的には押していながら、思ったより点差は開かず、例の「ウィットナーのオーバーパシュート愛」もあって、気付いたら前半早々同点である。しかし、その直後にキャパニックのロングボム2発が決まって、あっさり突き放す。これが結果的には敗因になったと思う。キャパニックのパスでいけるという大きな勘違いである。んで、キャパニックのパスに縛られ、ズルズルと敗戦、である。ちょうど、バスケットボールにおける、3ポイントに縛られた格好とよく似ている。3ポイントがよく決まったばっかりにインサイドが疎かになり、気付いたら敗戦というパターンである。この場合のインサイドがすなわち、ゴアのランであろう。 これで、ナイナーズはハーボー就任後、3季連続カンファレンス決勝進出うち一度スーパーボウル進出、しかし優勝は無し。近年のHCとしてはベリチックに次ぐ実績であろうが、一方、今回の敗戦で勝ち切れないという印象も付いた。私がこのサイトで再三再四述べているように、チームには旬がある。そこで勝ち切れないとズルズルといってしまう。今のナイナーズが旬を逃したとまではいえないが、来年再来年と連続して勝てないと、SDやATLの二の舞になろう。 また、ナイナーズの強さのひとつの要因であるQBのキャップヒットの低さも来季で失う。このキャパニックの処遇も含め、今後のハーボーの身の振り方には、私は大いに興味がある。 さて、スーパーボウルの予想であるが、ブロンコス対シーホークス、いまいちイメージが湧かない。ただひとつ、間違いなく言えるのは、今度のシーホークスのパスディフェンスはおそらくマニングのキャリアで出会った最強のパスディフェンスであるという事である。 マニングのキャリアで、今ままで最も強かったパスディフェンスと云えば、そのキャリアの初期に出会ったタンパ2のバッカニアーズであろうが、これはたった一度の対戦でコルツファンには有名なオーバータイムでも劇的な勝利であるが、今度のシーホークス、それ以来の強力パスディフェンスのチームであろう。しかも、バックスとの決定的な違いは、バックスのそれがゾーンカバーであったのに対し、今回のシーホークスはマンカバーであるという点であろう。 イメージとしては、バックスよりむしろ、ロスリスバーガーが入ってきた頃のスティーラーズに近いと思う。アール・トーマスはポラマルに被るし。CB陣のカバー能力は断然シーホークスだろうが、当たりに強いという点では同タイプである。で、オフェンスはラン主体、QBは、両者体格こそ大いに違えども、ふらふらしながらパスを決めるというスタイルは同じい。HCは超強力なモチベーター。共通項多いな。あれっ、するとマニングの負けか。 ただ、こういうゲームは、オモテの看板、この場合はマニング対シーホークス・ディフェンスではなく、ウラの看板、ブロンコス・ディフェンス対シーホークス・オフェンスの結果で決まる事が多い。いくらシーホークス・ディフェンス相手といえど、マニングは20点前後は取るであろうから、あとはウラの看板がそれを超えるか超えないかの戦いになるかと思う。煎じ詰めれば、リンチを止めればブロンコスの勝ち、止まらなければブロンコスの負けと見た。 で、問題はその蓋然性であろうが、何の根拠もないが、結構止まるんじゃないかなと思う。このプレイオフ、ブロンコス・ディフェンス陣はマシューズ、ブロントと敵RBを止めるのに成功してきている。その調子でリンチも止まるんじゃないかなあ。まあ、ビーストモードが出ちゃうと、シアトルの勝ちか。とりあえず、デンバー・コーチ陣はシアトルのロッカールームに忍び込んでスキットルズを浅田飴にすり替えとけ。 でも、このスーパーボウルの真の主役はマニングでもエルウェイでもシャーマンでもリンチでもキャロルでもなくて、やっぱり冬のニューヨークだよなあ。フットボール出来るんかい。 柿ピーが止まった。 2014/2/2(日) |