Super Bowl |
2月3日 スーパーボウル SEAvsDEN @NY 43−8 |
近年まれにみる記録的大差の付いたスーパーボウルになった訳であるが、その論評に入る前に、このスーパーボウルに臨む私の気持ちを記しておきたい。 今までのスーパーボウルでは、コルツの出場しないゲームであっても、純然たる試合予想とは別に、どちらかのチームを応援していた。応援とまではいかなくても、どっちか寄りの気持ちで観戦していた。こころみに、それを記してみると、 第42回 NEvsNYG ジャイアンツ寄り 第43回 PITvsARI アリゾナ寄り 第44回 INDvsNO セインツ寄り ウソウソ 第45回 PITvsGB ピッツ寄り 第46回 NEvsNYG@IND マニング(兄)寄り 第47回 BALvsSF SF寄り といった感じである。まあ、どちらを応援しているかは気分的なものなので、科学的根拠は無い。まあ、強いて言えば、半官贔屓的なところはあったろう。 ところが、今回のスーパーボウルは、そういう気持ちが全くなかった。恐ろしいくらい平衡な心持ちでゲームに臨んでいた。レフリー以上に平均的な心持ちだったと思う。ただまあ、ゲームが終わる頃には、何となくシーホークス寄りになってはいた。これは、勝ち馬に乗る的な気分だったろう。 まあ、そんな私の気持ちの天秤は本格的にどーでもよいのであるが、まずはゲームである。 このゲームの前に、私はいくつか予想をしたが、そのうち二つが外れた。まずは、その弁明をしたい。 一つ目は、このゲームの主役はニューヨークになると云う予想である。これはものの見事に外れた。びっくりするぐらいピーカンだった。秘密科学兵器を使って(あいつらは持ってる。)、この天候を作り出したんじゃねーかとトンデモ本的に勘繰りたくなるくらいのフットボール日和だった。まあ、それなりに気温は低かったので、グランドレベルでは微細な影響はあったのかもしれないが、大勢を決するようなものではなかったろう。 一つ目の予想は、どうでも良いちゃあどうでも良いのであるが、問題は二つ目のの予想である。すなわち、ウラの看板、シアトル・オフェンス対デンバー・ディフェンスが勝敗を決するという予想である。こちらもものの見事に外れた。こっちの勝負ははっきり言って、デンバー側の圧勝だったと思う。リンチも完封した。後半に入って失点を重ねているが、これは完全にゲームが決してからのものであり、デンバー・ディフェンス陣を責められないと思う。完全に気持ちが切れていた。カースのタッチダウンなどは、その象徴だろう。タックルほど、気持ちが如実に現れるのものは無い。まあ、スーパーボウルで気持ちが切れるのもどうかという議論はあろうが、それはまた別問題である。 ウラの戦いはデンバーが圧勝しながら、ゲーム自体はデンバーの敗戦なのであるから、その責任は無論、オモテの看板、オモテの戦いにある。すなわち、デンバー・オフェンス対シアトル・ディフェンスである。つか、マニング対シアトル・パスディフェンスである。こちらは、シアトル・パスディフェンスの圧勝である。シアトル・パスディフェンスがデンバー・オフェンスを粉砕した。 粉砕と云うと、オフェンスがディフェンスを粉砕すると云う使い方が普通であろうが、この場合は、まさしくシアトル・パスディフェンスがマニングを粉砕したという印象である。それくらいのインパクトがあった。 私もマニングのゲームは、10年以上、おそらく100試合以上見ているであろうが、これほど完膚なくやられたのは初めてである。ちょっと記憶に無い。PITやBAL、NYJなど、強力ディフェンスを武器にマニングと対峙してきたチームは今まで何チームもあったが、これほどの完勝は無かった。最も得点できなかったゲームと云えば、冬のフォックスボローが挙げられるが、これは特殊な気候条件なので参考にはならない。 つまり、どんな強力ディフェンスを相手にしてもマニングは20点前後上げてきたし、それなりにボールも進めてきたのである。だからこそ、それを根拠に、私はマニングは20点前後得点するだろうから、それ以下にデンバー・ディフェンスが失点を抑えればデンバーの勝ち、それ以上失点した負けと予想したのである。それがこのゲームではたったの8点、それもシアトルがプリベント気味に守っての8点だから、事実上の完封である。キャリアを通じて最大の敗戦といってよいと思う。 もっとも、オフェンスを進める、得点を取る方法が皆無だったかといえば、私はそうは思わない。クイックヒットのパスでコツコツつないでいけば、それなりにボールは進み、得点は出来たろう。私が20点前後は得点できるとした予想の根拠である。事実、一試合を通じてクイックヒットのパスは通っていた。パス34回成功・獲得距離280ヤード・平均獲得距離8.2ヤードというマニングらしからぬ数字がそれを物語っている。 ただ、惜しむらくは試合開始早々、セイフティやらターンオーバーやらで失点が重なり、クイックヒットのパスの連打では追い付かなくなってしまった点である。で、それを取り返す為に、無理してロングパス、結果インコンプリート、インターセプトである。私がゲーム前に掲げた20点という分水嶺が、いきなり第2クォーターで突破されてしまった。この時点で、ほぼ勝負あり、更にはとどめの後半開始早々のキックオフ・リターン・タッチダウンである。この時点で逆転の希望を持てるのは、ラック&コルツ以外あるまい。 マニングに対しては、この10年以上、各チームが様々な対策を敷いてきた。そのうち、最も有力なものはブリッツパッケージ、あるいはパスカバレッジの複雑化であった。マニングの知性に対して知性で対抗しようとする戦略である。それは、一定の成功は収めたとはいえるが、完全に成功したとは言い難かった。 しかし、今回、シーホークスの打った対策はその裏をいくものであった。マニングのパス・オフェンスに対して、マニングを封じるのではなく、レシーバー陣を封じるというものであった。コロンブスの卵とまでは云い難いが、意外な結論だったとは云えるだろう。QBではなくWR、TEを完封してしまうのである。1974年のサッカーW杯決勝で、当時全盛を誇ったオランダのトータルフットボールを西ドイツがマンツーマン・ディフェンスで敢然と挑み、そのまま勝ってしまったという故事を私は思い出した。 トータルフットボールはともかくとして、この試合を見ていて、それなりにパスプロは持っているにもかかわらず、マニングが投げあぐねているシーンが散見した。私もマニングのゲームは、先にも書いたように100試合近くは見ているので、どの程度パスプロが持てばパスが投げられるのかは、だいたい感覚的に分かる。このゲームでは、もうそろそろ投げてもいいのになと思っていても、投げられず、サックやハリー、挙句インターセプトというシーンが数多く見られた。それだけ、執拗かつ正確なカバーだったのだろう。 元来、マニングのクォーターバッキングではカバレッジサックやハリーは少ない。オーディブルをしているのだから当然の話である。それで、カバレッジサックやハリーが多かったら、「てめえ、どんなリードしてんだ。」っていう話になってしまう。カバレッジではなく普通のサックそのものも少ないのも、同様の理由である。 それでも、このゲーム、そのようなシーンが多かったというのは、シーホークスのカバーがマニングのリードを超えていたという証左であろう。ちなみに、現行のコルツもカバレッジサック的なシーンは多いが、これはWRのセパレート能力が低い為であり、現象的にはこのゲームのブロンコスと同じであるが、理由は逆である。 ただまあ、このマニング対策が一般化するかと云うと、これはちょっと難しいと思う。実際問題、これだけのDB陣を作るのは奇蹟に近いだろうし、このDB陣を上回るWR陣をマニングが持った場合、通用するかという問題がある。マニングはおそらく、ゲーム中、「ハリソンがいたらなあ。ウェインがいたらなあ。」と何度も思った事だろう。特に、マークマン外しにかけては天才的なマーヴィン・ハリソンがいたら、また違った展開になっていたと思う。そういった意味では、ブロンコスのレシーバー陣ははっきり2線級だったと思う。ウェス・ウェルカーも含めて、マニングによって作られた数字である事はハッキリしたと思う。 とまあ、シーホークス・パスディフェンスの弱点と云うか、限界みたいなものもちょっと書いたが、実際問題、オールプロ級のQBとWRをセットでそろえているチームなんて、今のNFLには皆無なので、シーホークス・パスディフェンスの天下はしばらく続くであろう。ここ最近のチームでいっても、それこそマニング・ハリソン時代のコルツだけであろう。今のNFLで最も抵抗できるといったら、GBだろうが、ここもちょっと落ちるか。 ピート・キャロルがカレッジからNFLに転身してきた時、どんなチームを作るのか、私は興味津々であったのだが、まさかこんなチームを作るとは想像だにしなかった。当時のUSCにそんなイメージは全くなかったからである。見る人が見れば、そういうチームだったのかもしれないが、私には、その気配すら感じられなかった。有名ドラフト選手もQBやLB、Sといったところで、私が失念しているだけかもしれないが、CBの大物はパッと思いつかない。まあ、DBコーチ出身というキャロルの経歴を考慮すれば、今のシーホークスのようなチームは当然なのかもしれないが、じゃあUSCは何だったのかといいうことになる。もっとも、USCのゲームを数多く見ているわけではないから、如何とも言い難いが。ただ、今のシーホークスの象徴であるシャーマンがスタンフォード出身と云うのに意表を突かれたのは私だけであるまい。 ただ、このような強烈マンカバー・ディフェンスというのは一朝一夕に作れるものではないので、カレッジ時代はそれを理由に封印していたのかもしれない。先に挙げた複雑なブリッツパッケージは、ミーティングルームでホワイトボードを前で、極端な言い方をすれば、プレイブックを作れば、それで終了であろうが、このシーホークス流のマンカバー・ディフェンスはミーティングルームで作れるものではない。 練習場、あるいは試合会場で、それこそ手取り足取り指導していく類のディフェンスだと思う。この場合では、右に回った方がよい。あるいは左に回った方がよい。レシーバーの前に着いたほうがよい。後ろに付いた方がよい。セイフティのヘルプのタイミング等々、微細なテクニックがものを云うディフェンスであるからだ。手間の掛かる指導教導の必須なディフェンスであるからだ。そういった意味では、かつて書いたナイナーズのランアタック同様、非常に芸術的な戦術だと思う。カレッジ出身のコーチならでは戦術だとも思う。 シャーマンを始め、ドラフト順位が低い選手が中心であると云うのは、ひとつには、その指導教導をやりやすくする為に手垢の付いていない選手、自分のスタイルの確立していない選手が必要だったという事情もあるのかもしれない。アラバマ出身のような、確固たるスタイルを確立しているプレイヤーは逆に敬して遠ざけたのかもしれない。 また、話はちょっと逸れるが、私は以前、DBの身長は6−0ぐらいが理想で、6−2を超えると不安だと書いた事がある。タックルリングに関しては、大きければ大きいに越した事はないが、肝心のマンカバー、あるいはゾーンカバーにおいても敏捷性に不安が残るからである。もし仮に、私がGMだったら、今のシーホークスのDB陣、トーマスはともかくとして、シャーマンにしてもキャンセラーにしてもマックスウェルにしても、この試合はとある事情で不出場だったがブラウナーにしても、その身長だけでスカウトから外していたと思う。実際、彼等のドラフト順位が低かったのはその高身長を他チームが懸念したからだと思う。 ただ、ピート・キャロルは(もしかしたら、担当は別にいるのかもしれんけど、)、自分の指導教導でその敏捷性はカバーできると考えたのかもしれない。そうして、実際出来たのである。その点がクリアできれば、勿論ディフェンダーはデカイに越したことが無いのだから、今のシーホークスのような夢のようなDB陣が完成する。同じような事、他チームが追随するかの、そうして可能なのかには大いに興味がある。 あと、CB、ここ10年ナンバー1CBの名をほしいままにしてきたチャンプ・ベイリーがデンバーの敗因のひとつになってしまった事は、このゲームのひとつの象徴だったし、一NFLファンとして悲しかった。年齢やケガが要因だが、ひとつの時代の終わりを感じた。 で、MVPは、なんつーかマルコム・スミス。これ、ごっつぁん過ぎでしょ。まあ、インターセプトやファンブルリカバーは殊勲大ちゃあ殊勲大だけど、これ、あんま技術とか能力とかとは関係ないでしょ。正直、ツイていただけでしょ。スタッツの付いていない選手にMVPはあげづらかったのだろうが、シーホークス・ディフェンスの象徴としてシャーマンに与えても良かったと思う。なんか、スミスはカンファレンス決勝からバカツキなんだよな。来週、死ぬな、あいつ。USC出身というのも笑える。 で、ラッセル・ウィルソンは、2年目で早くもスーパーボウル制覇。ラックとウィルソンの関係が、マニングとブレイディのそれのようにならないか、コルツファンとしては早くも不安である。みずから振り払え、ラック。何それ。 で、シアトルのプロスポーツとして2度目のワールドチャンピオン。シアトルクラスの町でも2度目だもんあ。アメリカのプロスポーツで勝つことがどれだけ難しいかがよく分かる。人口や経済力、知名度、歴史等々を考慮した私の勝手なイメージだけど、シアトルと同じ程度の町つうか州としてはアリゾナやミネソタが挙げられるが、アリゾナが1回、ミネソタが2回である。そう考えると、これらの町より1ランクつうか2ランクくらい下のインディアナが1度全米チャンピオンになっているというのは、むしろツイている部類なのかもしれない。シアトルなどと似たような規模の町のわりに勝ちまくっているマイアミみたいな都市もあるけどね。これもまた、マイアミ、あるいはフロリダの特殊性か。まあ、マイアミはロスやニューヨークみたいなもんという説もあるにはあるが。 大雪の日に、 2014/2/8(土) |
2014年4月 | ドラフトに向けて | ドラフトまで2週間を切って、ここらでドラフトについてうだうだ書いてみたい。 と、その前に、同じドラフトつながりと云うことで、日本プロ野球のドラフトについて恒例のいちゃもんを付けてみたい。 昨秋、開催された日本プロ野球のドラフトで、今ドラフトの目玉、松井裕樹が楽天に指名された。この松井は今季から既にローテーションしているし、その松井や、指名した楽天に文句を云う心算は全然無い。ただ、私が言いたいのは、そのシーズン、優勝したチームに、最も人気のある、すなわち最も実力があると見られている選手の独占交渉権を与えてしまったら、ドラフト会議の意味ないんじゃね、という事である。 古い話になって、まことに恐縮であるが、20年以上前、その年、パ・リーグ優勝をした近鉄が、その年最大の目玉、野茂の独占交渉権を得た時の事を私は思い出した。当時も私は、今回の松井と同じ感想を抱いたのであるが、同じような異議は、少なくともマスコミからは聞こえない。 ドラフトにおける、日本マスコミの話題と云えば、江川の流布した「選手が入りたい球団に入れないのは、人権上問題がある。」とか、更に転じて、「それをクジで決めるのはナンセンスだ。」とかいうような、謂わば枝葉末節の議論ばかりで、ドラフトにおける最も重要な2つの議題、すなわち2つの理念、戦力均衡と新人選手の報酬抑制については全然議論されない。ドラフト導入時は議論されたようであるが、いまや皆無である。今回のドラフトのように議題にすら上がらぬ。 ちなみに、「選手の所属球団をクジで決めるのはナンセンスだ。」は主張は、それこそその主張の方がナンセンスなのであって、そもそも人生というのはクジのような下らぬもので決まるのである。石ころひとつ、虫けら一匹に人生は決められていくのである。まして、クジなんていうのは、それなりに意味のあるものなのだから、全然ナンセンスではない。 一昔前、受験戦争(いまや、死語だね。)華やかかりし頃、「こんな、紙切れ一枚に俺の人生を左右されてたまるか。」なんて幼稚な意見があったが、テストなんていうのは、それこそ重要な紙切れなのであるか、人生が左右されるのは然るべき話である。こんな、しょーもない事を言っている奴は、その時点でアホなので、テストする必要も無いであろうが。 で、話をドラフトに戻すが、今回のような有力選手が強いチームいくことに関して、日本人の多くが異議を唱えないというのは、かつて、私がコラムで書いた、日本人のフェアに対する鈍感のひとつの証左であると思う。フェアに対して、敏感なアメリカ人なら、このようなドラフト(つか、もはやほとんどドラフトでは無いけれど、)に対しては異議を唱える、というかそもそもやらないであろう。 また、NBAのドラフトにもクジ引きはあるけれど、これも強いチームに有力選手を獲得させる機会を与えるためでは勿論無く、有力選手を獲得する為にワザと負ける事を禁止するための措置である事は説明までも無い。 サプリメントまで用意するようなアメリカ人の本物のドラフトと日本人の行っている「なんちゃってドラフト」はまるで別物と考えるべきであろう。フェアに関する感覚が根底から異なっている。あるいは理念への感覚と言ってもよいであろう。 実際、日本プロ野球のドラフトはやってる意味はほとんど無いと思う。日本の多くの制度と同じく、外国の制度の理念を欠いた猿真似でしかない。有力選手が、現今のFAの制度のように、特定チームに偏らない、少なくとも12分割されると云う意味では戦力均衡ではあるけれど、まあ、せいぜいの話である。もっとも、日本の場合は1番目の選手と12番目の選手で実力的にほとんど差が無いから、これはこれで良いのかもしれないが。あと、新人選手の報酬抑制という意味では、え〜と裏金があるので、おっと、これは触れちゃあいけないのだった。やばいやばい。 まあ、先にも書いたように、日本プロ野球のドラフトはやってる意味はほとんど無いと思う。日本の多くの制度と同じく、外国の制度の理念を欠いた猿真似でしかないであろう。例えば、FA制度にしたって、何らかのサラリーキャップ的な制度が無ければ、無意味なものになるだろうが、いまのところ、そんなものは何も無い。それどころか、メジャーにスタープレイヤーを奪われるだけの制度になっている始末である。 このプロ野球に限らず、それこそ大宝律令以来、最近の裁判員制度や消費税に至るまで、外国の制度の理念を欠いた猿真似は、日本の歴史の至る所に見られるけれども、まあこれは、フェアに限らず、理念と云うものを日本人は理解しにくい民族である事の証左なのだでと思う。仏を作って、魂入れず。物事を原理的に考える、あるいは捉える能力の欠如と言ってもよいであろう。そのくせ、外国の制度を真似したがるのは、面白い特徴ではあるが。このへんも、日本人が子供っぽい民族であるといわれる所以であろう。 さて、本題のNFLドラフトである。 で、我等がコルツのファーストピックは、え〜と何番目、2巡27番目、すなわち59番目、寝るわ、つか初日無用じゃん。モックを見る気すら起こらんわ。予想とか出来ないから、59番目じゃ。この辺の順位は、もう単なる希望願望だから。 まあ、昨年の10月の段階で2014コルツドラフトは終了であるといってよかろう。「インディアナポリス・コルツ 1巡26位 トレント・リチャードソン RB ブラウンズ」がコルツの2014ドラフトである。はい、終了。 と、こんな書き方をすると、1巡とリチャードソンのトレードに批判的みたいな感じになるが、むしろ私は歓迎している。リチャードソンの出来不出来はともかく、下位の予想される1巡指名権は、ポリアン時代のようにそのまま使うのではなく、積極的にトレードの駒とした方が得策のように思う。2012ドラフトのような全体一位をトレードで放出していたら目も当てられないが、まあまあ、普通にやったら下位が予想されるようなチーム力の時は、そのまま使うより、トレードの駒にする方が得策であろう。ペイトリオッツも多用しているし、よく考えたら私もMADDEN必勝法のひとつとして多用していた。つか、弱そうなチームの一巡とスワッピングみたいな極悪非道な事していた。結果、優勝しているのに全体一位みたいな、上記の主張と全然逆ベクトルの事をしとった。 ま、それはともかくとして、強いチーム、プレイオフ出場の濃厚なチームは、一巡を積極的にトレードの駒にすべきだと思う。ポリアン時代末期、チームが弱体化していった要因のひとつは、この一巡ピックをあまりに素直にドラフトで使いすぎたという点もあったと思う。ポラックやブラウンをそのまま指名するよりは、トレードの駒にして博打を打ったほうが面白かったように思う、まあ、ウゴーのような豪快な失敗例もあるけれど。 とまあ、駄々をこねていても埒が明かないので、毎年恒例のポジション別診断でもやってみる。やってみる。 QB ないない。ギャグが思いつかないくらい無い。2巡27位どころか、ドラフト全体でも指名は無いと思う。つか、指名したらひっくり返る。裏の理由、ウケ狙い、イジワル、モンスターペアレント等々、裏の理由を勘繰る。少なくとも、表の理由、純然たるフットボール的な理由での指名はない。これから、ドラフトまでの間にラックが死亡しない限りない。つか、死んでも無い。だって、調査していないから。 RB ブラウンが抜けたとはいえ、リチャードソン追試、ブラッドショー泣きのもう1回契約延長のロースター構成では、少なくとも59位での指名は無いと予想する。まあ、どうしても見逃せない選手が残っていたら、BPA的な指名はあるかもしれないが、デプス的な指名は無いと思う。また、3巡以下では、あってもおかしくはない。 FB 昨今のFB復活の機運に乗って、59位で万能型FBの指名は悪く無い選択だと個人的には思う。ただ、それが誰かといわれても全然分からん。昨季のコルツ苦戦の要因のひとつはアレンの離脱である事は云うまでも無いので、似たようなタイプを指名しておくのも悪くは無いと思う。ただ、それが誰かといわれても全然分からん。まあ、この手の選手は戦術に左右されるので、マスコミ的な視点よりはOC以下首脳陣の視点の方が重要なので、ハミルトン以下誰かの目に面白く映る選手がいたら、2巡27位で果敢に攻めるのも悪くは無い。私は指示する。 WR ヒルトン健在に加え、ウェインの復帰濃厚、3年連続短年契約お試しレシーバー、アキーム・ニックスの加入という事で、とりあえずデプス的な不安は無い。ブラジルとロジャースとラックの飲み友達もいるし。ただ、個人的にはラックと永くコンビの組めるレシーバーが欲しい。でも、言い疲れたのでもう言わない。 ドラフトとはちょっと話が逸れるが、ニックスとの契約で、上にも書いたとおり、これでWRとは3年連続お試し短年契約である。もちろん、ニックスはエイビリーやベイとは実績的にも実力的にもダンチであるけれど、短年契約お試しレシーバーである事に変わりは無い。 次のOLの項目でも詳しく書くが、結局グリグソンはコンビなりトリオなりを長く組ませてチームを熟成させるという考え方は無いらしい。その時その時のサラリーキャップ的にギリギリのチームで戦っていくという考え方らしい。まあ、フットボール、NFLには無数の戦略があると思うが、ポリアン暮らしの長かった私には少々違和感があるのも嘘偽らざる心情である。まあ、別に良し悪しの問題ではないけれど。 で、ドラフトに話を戻すが、まあさすがにエース級がこの順位まで残っているとは考えにくいので、指名するとしてもウェインの後釜のNo.2タイプであろう。あとは一本釣り的なスリーパーであろう。ただ、WRのスリーパーを見つけてくるめはグリグソン以下現今の首脳陣には無いように思う。 TE フリーナーにアレンととりあえずスターター級を2枚揃えているので、指名の可能性は低いであろうが、個人的にはフリーナーのパフォーマンスに不満を感じているので、59位で指名しても良いと思う。かつてのジミー・グレハムのような素材型でも良し。 OL とりあえず、T,G,Cとも頭数は揃っている。実力的な不安が無い限り指名の可能性は低い。少なくともデプス的な指名は無いであろう。 強いて言えば、センターであろうが、サテーレをカットしたとはいえ、フィル・コスタとFA契約したのでホームズを加え、とりあえずデプス的な不安は無い、と書こうと思っていた矢先、コスタの野郎、引退しやがった。ピーコック以来の衝撃である。また、TVゲームが理由か。 ま、それはともかく、こりゃドラフトで指名せんと。で、誰を。 という訳で、突然いきなり2巡27位指名候補ナンバー1ポジションにセンターが急浮上。でも、全然私は準備していない。おそらくチームも。 ここで、WRの項で触れた話題の続き。今オフ、スターターのCだったサテーレが解雇された。サテーレのパフォーマンスに対しては、私も不満がなかった訳では無いので、この解雇そのものは単純のパフォーマンス的には理解できる。ただ、この解雇で私が不満なのは、このでサテーレを解雇してしまったら、ラックとのこの2年間が無駄になってしまうのではないかという事である。サテーレには、マニングとサタディの様に、ラックと永らくコンビを組んで欲しかった。少なくとも、そういう了見で、サテーレと契約していて欲しかった。2年やって、駄目だったからカットみたいな契約はして欲しくなかった。 先のWRの項目でも触れたが、やはりグリグソンにはメンツを固定してチームを熟成させるという考え方は無いらしい。あくまで、そのシーズンそのシーズンの1シーズン完全燃焼主義、アストロ球団的チーム運営なのだろう。1+1が2ではなく、3になったり4になったり、あるいは10になったり、ひとつ間違えれば1.5になったり0.8になったりしてしまうというのが、チームスポーツ、とりわけフットボールの醍醐味だと思われるが、グリグソンにはそういう考え方は無いらしい。あくまで、単純な四則演算で勝負していくというタイプなのだろう。ウォール街ビジネスマンのように合理的と云えば合理的であるが、限界も感じる。先にも書いたように、ポリアン育ちの私には不満である。 DL とりあえず、頭数的には揃っているので、少なくともデプス的な理由での指名は無いと思う。ただ、個人的だけでなく、おそらくチーム的にも、このポジションにチームの顔ディフェンスの顔になるようなプレイメーカーは欲しいと思う。とりわけ。DE/DTのこなせるトィーナー・タイプのいDLである。手っ取り早くいえば、昨年のシェルドン・リチャードソンである。でも、そんな選手は59位まで残っている訳も無いので、指名は無いであろう。 しかし、シェルドン・リチャードソンがあんな選手だと分かっていたら、ちょいとトレードアップして指名しとくんだったなあ。完全な結果論だけど。 LB ここはデプス的にも実力的にも、OLB、ILBともに指名は無いであろう。FAでドクエル・ジャクソンを獲得しているし、昨ドラフトでワーナー指名しているし、下位ではありえても、2巡3巡は使わないんじゃないかな。あと、どうしても見逃せない選手がいればBPA的な指名は有り得るだろうが、デプス的な理由での指名は無いであろう。 CB ボンタとも再契約したし、それなりに粒よりなので火急を要するポジションではないが、ただCBはいくらいても多すぎるという事は無いので、面白そうな選手がいたら指名も有り得るだろう。59位といえどもスターター級は残っているだろうし。 S ここ。ここ必要。ベシアが移籍して、普通にスターターがいない。候補もいない。シムズやホーウェルに期待しているという向きもあるが、普通に考えたら、Sの指名は濃厚。順位的にも十分スターター・クラスが狙える位置だし。さすがに、ハ・ハとかプライアーがこの位置まで落ちてくる事は無いだろうが、他のプレイヤーは状況次第で十分獲得可能であろう。 ランドリーがFSタイプなので、ボックス内で勝負するようなSSタイプが欲しい。ジミー・ウォードとかディオン・ブキャノンが指名できたら理想的かな。2巡を使わないで、下位で似たようなのを指名してもよいけどね。 K/P まあ、これは無いわ。それぞれ、再契約しとるし。 あと、これはドラフトから逸れるが、マカフィーの再契約について。私は、このサイトで再三申している通り、そのパフォーマンスには満足していないのであるが、さの再契約を否定する心算は無い。むしろ歓迎する。マカフィーのバカッぷりを評価しているからだ。 同時にセルジオも再契約しているが、この両者の再契約は、そのパフォーマンス以上に、そのバカキャラぶりが評価されてもものだと推測する。GMより現場サイドの評価が高かったのではないだろうか。それくらい、お調子者は貴重なのである。 この2年間、コルツに逆転勝ちが多いのは、もちろんラックの力が大半であろうが、セルジオとマカフィーのバカッ振りもひとつの力になっていたのではないだろうか。絶望的な状況でカラ元気を出せるというのは、ひとつの才能なのである。それも、貴重な才能なのである。 さて、ドラフトに話を戻そう。 以上の考察をまとめると、コルツのファーストピック(59位)は以下のように予想される。 本命:C コスタ引退までは、それほどの需要はなかったが、引退に伴い急浮上。いきなりのド本命。トップ評価のスワンソンとかマーティンとかリッチバーグとかをそのまま指名すんじゃないかな。この巡で軒並み消えているとも思えんし。指名しないのなら、相当ホームズを評価しているという事だろう。 対抗:S コスタ引退まではド本命だったが、コスタ引退に伴い対抗に落ちる。Sは当日のドラフトの情勢に大きく左右されがちなポジションなので予想はしにくいが、残っている中から良さそうなSSタイプを指名するのじゃないだろうか。 ダークホース:CB ここは先にも書いたとおり、頭数はいくらあっても良いので、これぞという選手が残っていたら敢然と指名するだろう。パガーノの嗜好が見える指名だと思う。 穴:DL 単純なデプス要員というよりはプレイメーカーが欲しいので、さすがに大物がこの順位まで落ちてくるとは考えにくいので、指名する、つうか指名したらスリーパーであろう。グリグソンの心意気が見える指名になると思う。 大穴、つか希望、つか要望、つか脅迫:WR まあ、諸々の状況を考え合わせると、指名はまず有り得ないが、あっしの希望で。エースレシーバー、見つけて来いやぁ。 まあ、私の予想というか希望というか的なものはスワンソンかな。さすがに消えているとは考えにくいし。でもこの手の技術と頭脳で勝負するタイプのCを現首脳陣は好まないんだよなあ。 とまあ、コルツのドラフトはこれくらいにして。ドラフト全体のプレビューを。つっても、今季は全然予習していないので、全体一位の感想だけ。 こりゃ悩むは。ざっとプレビュー誌等々を読み比べただけだけど。上位候補に決め手が欠けるというか、微妙に気になるところが残るので、こりゃ悩むは。全体一位がこれほど難しいのは、それこそブッシュかウィリアムズかで分れた2006以来かもしれない。歴史は繰り返すか。ラッセル対ジョンソンという大笑いの2007もあるけど。最近のドラフトは意見が割れても、せいぜい好みの問題程度であったので、ここまで純粋にフットボール的な問題での悩みはホント久方振りかと思う。 HOUのニーズはQBであり、純粋にQBとしての技能はブリッジウォーターだと私も思うが、やはり線の細さは私も気になる。 で、QBとしては理想的な体格のボートルズが急浮上してきた訳であるが、こちらは荒削りときている。良い時はラックだが、悪い時はロッカーがみたいは、AFC南地区に絡めた評もあって、私には面白かった。所謂ポリッシュされていない、純然たる素材型という事なのだろうが、素材型のQBは大概ダメなんだよなあ。唯一の例外はロスリスバーガーくらいか。QBに限らず、素材型というのはTEとかILBとかOGとかではいいのだが、他のポジションでは大概厳しいんだよね。 で、HOUのニーズではないものの、運動能力・体格・技能的には完璧、今ドラフトどころかここ最近では随一、10年に一人の逸材とも評されるクラウニーが視野に入ってくる訳あるが、こちらは性格・素行面で問題あり。特に、練習嫌いという噂はかなり気になる。練習というのは、それで技術や体力が身に付く付かないと云う点もあるけれど、練習量というのはそのゲームに対する情熱を表す指標になるからである。勝利への意志を表す指標になるからである。将棋の世界では、詰め将棋を数多く解く事というのは、それ自体も勉強であるが、何よるどれだけ将棋が好きかを表す目安になると言われているけれど、それはほかの世界でもみな同じであろう。上手くなる為に練習するのではなく、好きだから練習するのである。好きだからこそ、上手くなるのである。上手くならない練習もあるけどね。そういった意味では、練習嫌いは大きな不安要素ではある。でも、ワットと組ますのも大いに魅力的ではある。 で、あとは人気のマンジールになる訳であるが、こちらは確かに技能的には全体一位は厳しそうであはある。ただ、勝者の顔をしているんだよなあ、コイツ。ティーボー肯定派の私としては惹かれるものがある。 という訳で、悩むよなあコレは。ホント、テキサンズのGMじゃなくて良かった。これらの候補が、これから数年後、全員失敗とか全員成功とかになれば、問題は無いだろうが、大概明暗分かれるしな。ブーイとジョーダンとまではいかなくても、マニングとリーフとか、ラッセルとジョンソンとか。 ただ、今挙げた候補にそれぞれ難点があることを考え合わせると、サミー・ワトキンスというのもひとつの手かもしれない。上位候補者の中では最も手堅いピックという感じもするし、ジョンソンの後釜にピッタリだし。単純に、ここ数年は強力タンデムになろうし。 ちなみに、先に私は、2006ドラフトでテキサンズはブッシュかウィリアムズで悩んだみたいな事を書いたけれども、当時はテキサンズ内部はどうか知らんが、世間的マスコミ的に分れていたのはブッシュかウィリアムズ、ではなくブッシュかライナートだった。そこで、蓋を開けたらウィリアムズだったので、「手堅く来たな。」みたいな印象を皆持ったように記憶している。 こんな風に考えると、今季のドラフトの構図は2006によく似ている。まずテキサンズが全体一位、これはともかくとして、 ブリッジウォーターとブッシュ:両者ともに実力的には問題ないが、線が細いのが気になる。 クラウニーとライナート:両者ともに実力的には問題ないが、素行面・性格面で不安がある。 ウィリアムズとワトキンス:上記2者に比べると魅力は落ちるが、手堅いピックではある。 ヤングとボートルズに将来性という共通項があるとまでは書かないが、非常に似た構図だと思う。まあ、2006とはテキサンズのGMが変わっているので、比較自体が無意味であるとも云えるが、ヒューストンがどういう結論を出すのか、同じAFC南地区の住人としても興味津々である。 私がテキサンズのGMだったら、歴史は繰り返すで、」手堅くワトキンスか。いや矢張りクラウニーか。失敗しても悔いが少ないという意味では、「そら見たことか。」にならないという意味では、クラウニーか。ちと、GMとしては無責任、というか自分のキャリアしか考えていないという形になるが。。誠実にGMをやるならブリッジウォーターだろうな、恐いけど。で、結局、訳分かんなくなって、ジョニー・フットボール。ちゃんちゃん。 とまあ、いろいろ書いてきたが、コルツファンはドラフト初日は全然関係なし。なんか、プレイオフを逃したような感覚さえある。疎外感がハンパない。見るのか。俺はドラフト初日を見るのか。つかGAORAで放送はあるのか。ある。今確認した。 そういえば、2014シーズンのスケジュールが先日発表されていたが、コルツの初戦は@デンバーonサンデーナイト(前置詞はテキトー。突っ込まないよーに。)。安直やね。で第11週はホームでペイトリオッツonサンデーナイト。11週あたりのパッツ戦、もう飽き飽きしてんだけど。やれやれ。 2014/4/29(火) |