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<1/………/11/12/13/14/15/16/17/18/19>

M.Glowinski
ナスティ面。
 2017年12月にシーホークスからウェイブされるものの、コルツがクレームして、ひっそり、つか、こっそりコルツ入り。

 そのまま2018シーズンもコルツ所属となるものの、ケガ人やらなんやらなんやらで、第6週にライトガードで起用され、そのままスターター定着、いつのまにやら正ライトガードの座を勝ち取った模様。このままいくと、ジェイク・スコット以来の、コルツファン待望の正ライトガード誕生となる。

 しかも、上手い具合に2019年のオフに契約が切れ、そのままコルツと再契約、3年総額1620万ドルをゲット、しかも、うち420万ドルはサインボーナスである。

 はっきり言って、あと一年早く、あるいは、あと一年遅くコルツ入りしていても、この契約には至らなかったと思う。まあ、なんつーか、「人生、ノリとタイミング」を地でいったような選手ではある。ネルソンの恩恵を最も受けた選手というべきか。しかも、コルツ入りはウェイバーだし。

 まあ、勿論、本人にスターターを勝ち取るだけの実力はあったのだろうけれども、このクラスの選手が大型契約をゲットするためには、ある程度の巡り会わせも必須かと思われる。

 で、プレイスタイルはというと、一口で云うと「ナスティ」、とにかくナスティ、とりあえずナスティ。なんかもう、ナスティって言っておけば間違いないみたいな感じになっとる。
 一昔前は、「ナスティ」というと悪いイメージの方が強かったように思うが、最近はむしろ肯定的な意味で使われているような気もする。

 つか、地球の裏側でテレビでフットボールを観戦している私には、この「ナスティ」というのが、実際具体的にどういうプレイを指しているのか皆目分からん。でもナスティ。とにかくナスティ。グローインスキーはナスティで決まり。名前もネスティっぽいし。

 あと、顔も典型的なナスティ面。でも、案外モテるんだよな、こういうナスティ面。いくつになっても、女心は分からん。

  さて、この記事でナスティは何回使われているでしょうか? 2019/3/21(木)

  2022年3月17日、FA解禁早々、ジャイアンツと3年20ミリオンでナスティにディールを決めた。スマン、自分でも、何を言ってるか、分かっとらん。

 まあ、オフェンスライン陣には異様に金がかかっている為、、グローインスキーとの契約延長は考えづらかったので、この移籍自体に驚きは無い。この4シーズン、きっちり働いてもらって、ありがとやんした。

 まあ、なんつーか、テレビゲームで例えると、定価で購って、その日に開封、遊び初めて、きっちりエンディングを迎え、そのまま棚に収めて、それっきりパッケージを開ける事もない、そんなゲームな感じである。不満も無いが、懐かしむ事もない、そんなゲーム、つか選手であった。

 つかまあ、私もコルツファンになって20年近くたつが、これだけ額面通り、きっちり働いたFA選手っていうのは他にいなかったと思う。まあ、オリジナルはウェイバーだけどさ。「実質」って事で解釈してね。

 マニング時代は、元々FAプレイヤーは少なかったし、マイク・アダムス41歳やジャスティン・ヒューストンも、きっちり働いたかと云えば、微妙。アダムス41歳は、あんなもんちゃあ、あんなもんかもしれんが、ヒューストンは、不満はないが、もう一押し欲しかった気もする。特に2シーズン目。クサヴィエ・ローズをどう見るかは、意見の分かれるところだろうし。

 額面通りきっちり働いた選手としては、当サイトではあまり触れてこなかったが、実はもう一人いて、それはフランク・ゴアである。

 ゴアは、私は元々大好きな選手であるし、ナイナーズ時代のあのシーンは、私の見た全NFLシーンの中で、最もかはともかく、少なくともトップ5には入る、大興奮したシーンであり、ゴアはその主役の一人であるのだけれど、コルツ時代のゴアは、どうしても好きになれない。理由はたった一つ、パガーノ案件だからである。

 なんつーか、好きな女の子の実家がヤクザだった、みたいな感じ。全国のヤクザの娘さん、ごめんなさい。

 あるいは、好きな女の子の性癖がスカトロだった、みたいな感じ。せめてアナルにして〜、みたいな。スマン、何を言っているのか、自分でも分かっていない。

 まあ、その拙い比喩はともかくとして、コルツ時代のゴアに関しては、どうしてもパガーノの影が付きまとうので、私は心から好きになれず、かといってゴア自体は嫌いじゃないし、しっかり働いていたので、誹謗する訳にもいかず、結果的に、当サイトでは、コルツ時代のゴアについては、ほとんど触れなかったのである。不自然に感じていた方、これが理由です。

 と、思わぬ形で、コルツ時代のゴア論を開陳する羽目に陥ってしまったが、グローインスキーのジャイアンツでのご活躍をナスティに祈ります。

        カレー3連発は、さすがにキツイ。胃が荒れる。2022/7/28(木)
M.Mack
丸刈りバージョン
 「ウルトラマンはM78星雲からやってきた」というのは日本人なら誰でも知っている(?)知識であろうが、私は子供の頃、この「M78星雲」の「M」が何を意味するものなのか、不思議でならなかった。円谷プロの作った造語なのか、それとも何らかの正式な言葉なのか、皆目分からなかった。

 ところが、最近読んだ本によると、この「M」というのは、星雲のカタログを作ったシャルル・メシエ(Charles Messier)というフランス人の頭文字だそうである。
 ちなみにM1星雲は「かに星雲」であり、有名なアンドロメダ星雲はM31だそうである。そうして、M78はオリオン座に見える星雲だそうである。そういえば、ウルトラマンにはオリオン座の映像をよく見かけた。あれは、そういう意味だったのか。いや〜、長生きしてみるもんですね〜。

 という訳で、今回は、そのメシエと同じ頭文字Mを持つ男、マーロン・マックの選手紹介なのである。って、無理矢理つなげた。

 マックのプレイ振りは、なんやかんやで10試合ほど見たと思うが、この選手の印象はというと、とにかく「使い勝手が悪い」である。
 その理由を説明する前に、というか説明するために、今オフの企画「あの頃、君は」のマーロン・マック・バージョンを試みてみたいと思う。

 今オフ(昨オフ?)、私は「あの頃、君は」と題して、色々なプレイヤー(結果的に、オフェンスばかりだったが、)のドラフト時の評価を調べて突っ込むというコラムを企画していた。
 マックの場合は、プロ入り2年目で、「あの頃、君は」という時期でもないけれど、マックのドラフト時、私は私事で忙しく、ドラフト研究どころではなかったので、その穴埋めという訳でもないが、「あの頃、君は」マーロン・マック・バージョンを、ここに開陳してみたい。テキストは、安心と信頼のプロフットボール・ウィークリー、ではなく、アスロン・スポーツのドラフトガイド、である。


 マーロン・マック RB 南フロリダ大学 3年生 6フィート 205パウンド

 【長所】
 極めて速いスピードを備えた、なめらかで気ままなアスリート、マックはスペースの武器である。アウトラン・アングルでの直線的なスピードがあり、その自在性はペリメーターでコーナーに向かう事が出来、トップスピード近辺を維持できる。地に足を付けるや否や、アップフィールドに向かって、彼は爆発し、その0−60加速はディフェンスをオフガードにするに十分である。レシーバーとして、スイングパスやスクリーン・ゲームの武器になり得る。

 【短所】
 マックは伝統的なタックル間バックではない。彼の走りは高く、はっきり線は細い。また、パスプロテクターとしては限定的であり、バックフィールドでカットブロッカー以上の何かをするのは厳しい。彼はスペースでは上質であるものの、ルートランナーとしては微妙と云わざる得ず、フレクッスド・アウト(意味が良く取れない。原文は「flexed out」)の際にも脅威とは成り得ないであろう。彼は、一見、リターンスペシャリストとしての長所を持っていそうであるが、大学時代、キックないしパントでのリターン経験はない。

 【結論】
 彼のプレイメイキング能力は、彼に一定の役割を与えるであろうが、ガジェット屋さんやスペシャルチーマー以上の何かであるとは言いにくい。


 最後の一行「ガジェット屋さんやスペシャルチーマー以上の〜」が泣ける。というか、この一行を収録したくて、アスロン・スポーツのドラフトガイドを採用したぐらいである。まことに、言い得て妙である。
 ちなみに、原文は「althogh he might be little more than a gadget guy and special teamer.」、である。「ガジェット屋さんやスペシャルチーマーよりはいくらかマシといったところであろう。」とも訳そうと思ったが、計量的な意味が多少変わってしまうので、原文に則した。まあ、いずれにしても、この「might be little more than」という表現に特徴的に見られるような、「奥歯の挟まった感」が、マーロン・マックというプレイヤーの全てを現していると思う。

 技術的な特徴短所長所は、おおよそ、このスカウティングレポート通りであろう。他誌もおおむね同様である。ひとつふたつ異議を申したい点があるが、その一つは、そのパスプロ能力である。このアスロン誌を含め、他誌も皆一様に「パスプロは下手」みたいな評価になっているが、私の見る限り、ブリッツピックは上手い。漏らした記憶はない。ダウンフィールドブロックに関しては、テレビ観戦のみの私では如何とも評価しにくいが、ことブリッツピックに関する限り、マックは信頼できると思う。

 それら以外の多くは、まったく以って、これらのドラフトガイド誌通りであろう。両タックル間がまるで駄目で、オープンラン一辺倒、しかも線が細いという。

 比較対象は、どこかの実況でも言っていたが、何と言っても、長身かつサイドライン際のランナーという事で、あのエリック・デッカーソンであろう。というか、その辺まで遡らないと比較対象がいないタイプのランナーとも云える。ここ10年ではクリス・ジョンソンぐらいか。

 で、そのクリス・ジョンソンとの決定的な違い、というか、マーロン・マックというプレイヤーの最大の欠点は、「そんなに脚が速くない」である。
  上述したアスロン誌も含め、各スカウティングレポートには、概ね「脚が速い」という評価であるが、カレッジレベルではともかく、NFLレベルでは脚の速い方、俊足ではない。40ヤードも4.5で、クリス・ジョンソンの4.3とか4.2には程遠い。
 
 実際、スィーププレイなどで、うまい具合にスクリメージを抜けて、一発タッチダウンかと思いきや、結構ディフェンダーに捕まってしまう。しかも、線が細いので、そのタックルを振りほどくことは出来ず、そのままダウン、結果20ヤード程度のランに留まってしまう事が多々ある。アスロン誌に書かれているような、ディフェンダーを置いてけぼりするようなスピードは無い。

 まあ、昨今はDBやLBのスピード化が異常に進んで(それが、この手のタイプの減少した最大の要因であろう。)、単純にスピードだけでちぎるというのは、なかなか難しくなってきているであろうが、このマックのようなインサイドランがまるで駄目な選手が、サイドライン際でもスピードでちぎれない、あるいは一発タッチダウンが無いとなると、使い処が無くなってしまう。アスロンのドラフトガイドの最後の一行「ガジェット屋さんやスペシャルチーマー以上の何かであるとは言いにくい。」は、まさに、このマーロン・マックという選手の核心を突いた至言であろう。

 この年、2017年のドラフトは、全体4位のフォーネットを始め、同じく8位のマカフィーや41位のデビン・クック、67位のアルビン・カマラ、そうして最近話題のカリーム・ハント等々、RB豊作の年である。その中にあって、こんな使い処の無い、というか「使い勝手の悪い」マーロン・マックを何故に指名したのか、理解に苦しむ。まあ、4巡143位なので、その指名を云々する順位ではないけれど、RBが欲しいのなら、他にいたと思う。

 この年はバラード1年目という事で、実質的にはパガーノ主導のドラフトだったと思われるが、バラード2年目の2018年もハインズやウィルキンスといった似たようなタイプのRBを指名しているので、バラードはこの愚に未だ気付いていないのかもしれない。来ドラフトは、ライクも口を挟むであろうから、この愚を繰り返さないで欲しいと切に願うばかりである。

 とまあ、マックには結構辛辣な事を書いてしまったが、現地内外でもマックに対しては批判が高まってきているので、うかうかしていると速攻「元コルツ」になってしまうかもしれない。というか、この手のタイプは他のチームでもなかなか働き場所が見つけられないのじゃいかなあ。現在のNFLで生き残っていくには結構難しいタイプのプレイヤーだと云わざるを得ない。チームやスキームをかなり選ぶタイプのプレイヤーだ思う。

 リターンは出来ないし、ガジェットプレイヤーというほどすばしこくはないし。まあ、パスプロとレシーブは安定しているので、3rdダウンでのパスシュチエーション限定のRBぐらいしか使い処が無い。って、そんな局地的プレイヤーに貴重なロースター枠は割けんだろう。

 パガーノの残した数多い負の遺産の一つではある。ゴメン、マック、君が悪い訳では無い。指名したパガーノが悪いのである。

                             2018/12/9(日)

 いや〜、暑いですね〜。暑い、つうか熱い。なんかもう、触れるものが皆暑い。蛇口とか茶碗とかドアノブとか石鹸とか、みな暑い。

 人生初めては大袈裟かもしれんが、近年にない「熱さ」だとは思う。

 その大気同様、「熱い」のはヤクルトの村上であるが、7月31日の阪神戦での3連発は凄かったですな。

 3連発とか4連発というと、一般的には、所謂「試合が壊れている」、すなわち大差の付いているゲームが多いのだけれど、こういう僅差のゲームで、まさしく試合を決める「3連発」は非常に珍しいと思う。

 つかまあ、僅差のゲームで、2連発している選手は、普通「敬遠」するだろうから、あの場面で勝負した阪神の決断が、本当の意味で「珍しい」とは云える。解説の野口さんもしきりに首ひねってたしね。
 ブライアントのアレも同様だけど、「魅入られた」ように勝負してしまったのかもしれない。時として、人はそういう事あるよね。シアトルの「ジ・ワーストコール・アイ・ハブ・エバー・シーン」みたいなもんだよね。

 ちなみに、この日の「プロ野球ニュース」で解説の五十嵐が「敬遠」に不服そうだったのは、面白かった。投手族は、ファーボールは許すくせに、「敬遠」は嫌がるんだよね。まあ、「敬遠」を嫌がらないようなら、ピッチャー失格だろうが。

 また、この3連発をかつての石井一久のアレに比する声もあったが、私も同じ事はちょっと思った。シーズンの趨勢を決めるスーパープレイだったと思う。まあ、ブライアントのアレは、さすがに別格だけど。

 で、この「3連発」は、続く8月2日の中日戦で「5打席連続ホームラン」となる訳であるが、これはさすがにちょっと驚いた。なんなら、引いた。
 この「5打席連続ホームラン」あるいは「5打数連続ホームラン」というのは、長い長いプロ野球の歴史の中で、抜けそで抜けない大記録だったからである。王も野村もバースもブライアントも、そうして、忘れちゃいけない、バレンティンも、不思議と阻まれてきた大記録だったからである。

 というか、この記録は、ここに挙げた偉大なホームランバッター以外、普通の選手でも、所謂「ワンデー・ワンダー」あるいは「ツーデー・ワンダー」で達成できる記録なのに、不思議と拒まれてきた大記録だったのである。4と5の間に巨大な壁があったのである。「4打席連続ホームラン」あるいは「4打数連続ホームラン」は、そこそこ記録されているのにね。

 まあ、「5打席連続ホームラン」って、ピッチャーが打たせようと思って投げても、なかなかできない記録ではあるよね。所謂「ホームラン競争」でも、5スイング連続ホームランは、結構珍しいしね。

 つか、打たれる側にも問題あるよね。監督が星野だったら、柳・木下のバッテリーは、比喩的な意味ではなく、肉体的な意味でぶん殴られていたであろう。それも、「4打席連続」が出た時点でね。

 ホームランなんて、それこそ捕手野村がオールスターで王をことごとく封じたように、防ごうと思えば、いくらでも防ぐ方法はあるのに。最悪、ファーボールって手もあるし。なんで、こんないとも簡単に打たれちゃうんだろ。

 なんつーか、最近の若い人って、あっさり崩されるよね。佐々木の13連続奪三振&ほぼ2試合連続完全試合とかさ。
 プロ野球以外では、大阪桐蔭高校に何度も何度も優勝されたりさ。将棋の世界では、藤井君にいいように勝たれたりさ。負ける側は平気なのかね。何としても阻止しようという気持ちにはならないのだろうか。

 負けるって事が苦にならないのだろうか。でも、負けるって事が反価値にならないのだとしたら、勝負事の興行って、成立しないと思う。最近のプロスポーツ選手って、それこそ「子ども野球教室」とか「子ども将棋教室」の延長線上でプレイしてる、って感じである。そんなものに、お金を払う価値があるのだろうか。

 まあ、勝ち負けを薄めるっていうのは、それだけ文明が進んでいるって事なのだろうけど、どんなに薄まっても、負けは負けだと思うけどなあ。どんなに文明が進んでも、人間が生物である限り、弱肉強食が無くならないように。このままでは、空手ダンスに堕してしまう。

 って、唐突なマス大山に驚いた方がいたら、ゴメンナサイ。

 あとまあ、「そんだけ言うなら、オメーは、村上、抑えられんのか。」って声も上がりそうであるが、抑えられるか否かはともかく、私だったら、昨今のバッテリーみたいな攻め方はしない。

 最近のバッテリーは、それこそ馬鹿の一つ覚えみたいに、インハイの速球と外の変化球のコンビネーションで攻めようとするけど、そういう攻め方じゃ、村上クラスのバッターは抑えられない。むしろ、格好の餌食であろう。

 私だったら、まずは右投げ左打ちのバッター共通の弱点であるアウトハイの速球とインローの変化球のコンビネーションを軸にで攻める。ルーキーイヤー、それこそプロ1号のホームランはインローの変化球だったように思うけど、それ以降は、このへんを上手く打っている印象が私には無い。少なくとも、ホームランには出来ていないと思う。

 あとまあ、一般論として、この村上や吉田のような一線級のバッターは「ヨコの揺さぶり」じゃ、抑えられんよ。「タテの揺さぶり」を使わんと。つか、村上は、それすら卒業しちゃってるかもしれん。そうなると、もう「前後の揺さぶり」となる。

 村上に限らず、一流以上のバッター、落合とか前田とか高橋みたいなバッターは、インハイの速球を待ちながら、外の変化球なんか大概対応できる。外の速球でも対応できるだろう。しかも、ヒットどころかホームランだって可能である。

 というか、このクラスの一流どころでなくても、インハイの速球を待ちながら、外角はファールで逃げるくらいはできる。

 更に、左バッター対右ピッチャーという構図だと、多くの右ピッチャーに左ピッチャーの投げるスクリューボールみたいなボール、すなわち左バッターから見て逃げていくボールは無いのだから、ますます苦しくなる。
 かえって、右のサイドハンドやアンダースローの方が、まだマシである。彼等には大概シンカーみたいなボールがあるからだ。

 右のオーバースローのピッチャーが左バッターに対して、インハイと外角の変化球で攻めるというのは、構造的に無理があると思う。それが通用するのは2線級以下のバッターだけだろう。

 あとまあ、最近の解説でウンザリするというか、それこそ辟易するのは、ほんと馬鹿の一つ覚えで「インハイ・インハイ」云うんだよね。大昔の解説が、やっぱり馬鹿の一つ覚えで「外角低めに投げておけば、間違いない」って言ってたのと、まったく同じ。1ミリも進歩していない。

 それも、谷繁や達川みたいなキャッチャー出身の解説者まで、おんなじ事言ってるんだから、あきれ返る。彼等の所謂「リード」のレベルが知れようというものであろう。実際、彼等は一流のピッチャーしかリードできないしね。一流のピッチャーなんか、リード要らねえっつの。

 まあ、彼等も自身がマスクをかぶれば、「インハイインハイ」しないのだろうけど。自分がマスク被ってるつもりで、解説しろっつの。真面目にやれ。

 話を「村上」に戻そう。

 村上の特徴ひとつは、「ここぞという場面に強い」って点も挙げられると思う。こういう選手はホームランを量産する選手には意外に珍しい。落合や松井も、「ここぞという場面に弱い」訳でもないけど、「ここぞという場面に強い」訳でもなかった。シーズン単位、あるいは数シーズン単位でホームランを量産していって、それがチームの勝利につながるというのが、一般的なホームランバッターの仕事である。王の言う「ホームランは40本打って、初めてチームに貢献できる。」である。

 でも、この村上はホント、ここぞという場面で打つ。そういった意味では、長嶋や野村、あるいは清原の系譜でもある。まあ、清原の場合は、「ここぞという場面でしか、打てなかった」のが、彼の最大の欠点ではあったが。

 ちなみに、ここで長嶋や清原と並んで、野村の名を挙げた事に意外を感じる方もおられるかと思うが、野村もここぞという場面に強い選手であったのである。当時の新聞や雑誌を見ると、長嶋同様、同点ホームランや決勝ホームランが多い。サヨナラホームランの記録も、清原に抜かれるまで、持ってたしね。

 ただ、長嶋や清原と違って、ヤマ張りバッターという性格上、日本シリーズでは、その力を発揮しにくかったけど。

 で、その野村同様、「三冠王」の期待のかかる村上であるが、歴史的にみると、三冠王っていうのは、「思わぬ選手」が獲得する事の方が多い。期待、あるいは予想されている選手が、そのまま獲得する事例は少ない、つか無い。

 戦前の中島はともかくとして、まず野村だが、この当時、三冠王が期待あるいは予想されていたのは、山内、中西、長嶋の三者で、打率に弱点のある野村は完全なノーマーク、大穴とまでは云わないが、せいぜいダークホースに過ぎなかった。

 次の王であるが、こちらはさすがに三冠王に期待も予想もされていたが、ことごとく長嶋に邪魔をされている(江藤もあるけどね。)。江藤はともかく、長嶋がいなければ、五回くらいは三冠王を獲得していても、おかしくは無かったろう。

 期待や予想に飽きてきた頃、ようやっと獲ったのが王の二年連続三冠王なのである。

 ちなみに、準三冠王(打撃2部門でトップ、1部門で2位)は、調べてないけど、王が第一位だと思う。また、準々三冠王(打撃1部門でトップ、2部門で2位)では、多分、長嶋か張本が一位だと思う。
 全部門で二位というのは聞いた事が無いけれど、そんな事例あるのかしら。なんやろう、無冠王みたいな感じ。キャリア通算だと、現時点では、野村がそんな感じだよね。通算本塁打数、通算安打数、通算打点は、変わらず第2位をキープしてるし、虎の子の通算出場試合数と先に挙げた通算サヨナラ本塁打も第2位になったしね。なんだよ、2位って、全然喜べねーよ。むしろ、悲しい気持ちの方が強いわ。2位だったら、18位ぐらいの方がマシだわ。18位なら、全然悲しくねーし。

 次は落合であるが、こちらは期待や予想どころか、獲得済みであるにもかかわらず、最初の三冠王は数字が低調かつ優勝も逃していただけに、「偶然」だの「ツイてただけ」だの否定的な声が多かった。
 当時、三冠王が期待や予想されていたのは、山本や掛布、あるいは原であり、落合では全然無かった。というか、よほどマニアックなファン、というか異常な野球ファンでもない限り、落合の存在すら知らなかったのが、当時の世間であった。落合が「有言実行」を好むようになったのは、そういう世間への反発もあったと思う。
 そういえば、落合が、何度目かは忘れたが、三冠王を獲ろうとしていた頃、ビートたけしが「巨人戦なんか見てんじゃねえ。川崎球場へ行け、バカヤロー!!!。」って、怒ってたよね。

 まあでも、この落合に限らず、門田とか新井とか、当時のパ・リーグの選手は、その実力に比して、あまりに評価が低かった、というか評価自体が無かったと思う。パ・リーグの選手もセ・リーグの選手同様評価されるようになった現代は、本当に良い時代になったと思う。

 次は松中であるが、当時、三冠王が期待や予想されていたのは、この時点では、すでにメジャー入りしていたけれども、なんといっても松井であり、松中ではなかった。期待や予想する声も少なかった。福岡ドームを本拠地にするチームから三冠王は予想しにくいし、それはあまりに突飛な予想であった。

 あとまあ、この年は件の「球界再編騒動」の年でもあり、そういった理由からも、報道はあまりに控えめであった。むしろ、この年のMVPは古田ではあったとも云える。

 あと、外国人のブーマーとバースであるが、予想はともかく、期待する声は全然無かった。それどころか、阪神はバースをクビにしようとしていたくらいだしね。

 という訳で、王をどう見るかはともかく、、期待や予想される中、三冠王を獲得した事例は無い。思わぬ選手が獲得するパターンの方が多い。さて、村上はどうなるかな。あと、山川もね。

 でも、期待や予想をされていなかったという意味では、清宮との比較で云えば、村上もまた、野村や落合の側の人間なのかもしれない。

 でもまあ、清宮ドラフトというか村上ドラフトというか、あの年のドラフトを、今見ると、泣ける。現時点で考えると、完全な村上一択ドラフトだよね。全12球団競合だよね。村上しかない。

 特に広島の1位中村奨成は、広島ファンでない私でも、泣ける。高校生捕手という意味ではチップしていただけにね。しかも、カープは九州出身選手大好きチームだしね。よりよって、ここで外すとは。広島県民至上主義が裏目に出た形か。なまじ、甲子園で活躍したからねえ。

 甲子園で活躍すると、当の選手本人のみならず、スカウトや球団首脳陣、マスコミ、ファン、みんな騙されるよね。おそらく最も冷静、あるいは正確なのは、その高校の監督や同じ地域の監督たちであろう。根尾なんかも、西谷監督が最も冷静かつ正確に評価していたみたいだしね。

 でも、この根尾も含めて、地元重視主義は一長一短あるよね。広島は、この村上はともかく、成功している方かな。中日なんかは、あの伝説の藤王以降、裏目を引き続けている感も無くは無い。まあ、高木守道や岩瀬、浅尾といった成功例もあるけどさ。山崎は微妙かな。ただ、いかんせん、愛知出身2大スーパースターの金田とイチローを逃したというのは大失態であろう。

 地元重視主義は山本浩二みたいな見事な成功例もあるけれど、危うい戦略ではある。山本浩二だって、20代の頃は危うかったしね。

 でも、楽天なんかは花巻東絶対主義をやっても面白そうだけどね。東北福祉絶対主義は、ちとキツイか。

 最後に、もいっかい「村上」に話を戻すと、このまま、キャリアを通して、三塁手に居座って、長嶋の三塁手記録をことごとく抜くという、意外な夢もある。いまだに、三塁手記録のほとんど、つか、もしかしたら全部を保持しているのは長嶋なのである。ポジション別の記録保持数というカテゴリーでは、もしかしたら王や野村以上かもしれない。

 で、本題のマーロン・マック君である。

 そもそも昨年、すなわち2021年のオフ、ルーキーの4年契約が切れ、意気揚々とFA市場に打って出た訳であるが、人も知るように、この年は所謂「コロナ市場」で、どこのチーム、どこのプレイヤーつか代理人も手探り状態。故に、様子見というか、結論先送りの1年契約が続出。我らがマーロン・マック君も、コルツに1年200万ドルで残留した訳であった。

 ところが、というか、やっぱりというか、ジョナサン・テイラーがリーディングラッシャー級というか、事実リーディングラッシャーの活躍で、マッ君は出番なし。28回101ヤードという、ニッチもサッチも行かない数字をひっさげ、再度FA市場に打って出た訳なのであった。

 まあ、2019シーズンには1091ヤードという結果を残しているし、2020シーズンに怪我はあったものの、2021シーズンは事実上の全休みたいなもの、謂わば「満タン」状態で、市場に出品した訳であるが、結果は、ヒューストンと1年200万ドル。キビシーーー。

 曲がりなりにも1000ヤードラッシャーだし、一応20代だし、とりあえず「満タン」だし、3年1000万ドルうち200万ドルギャランティーぐらいの契約はゲットできるかなとも、私は予想していたのであるが、現実は厳しーのね。

 まあ、もっとも、3年1000万ドルの契約がゲットできるなら、トレードの駒になってたろうし、それが出来なかったという事は、こういう評価なのだろう。

 と、このように書くと、なんだか私がマーロン君を高く評価しているようにも見えてしまうが、上記にもあるように、私もマッ君の評価は低い。私が他のチームのGMだったら、マーロン君とは契約しないであろう。未知の若手に期待する。みんな、見てるところは見てるのね。テイラーがドラフトされた時、「マックがいるのに何で。」みたいな声も無くは無かったが、これが現実だよね。

 つう訳で、今季(2022)のコルツの初戦はテキサンズ。マッ君と旧交を温めようと思う。ぶっ潰す。まあ、その前にカットされてるかもしれんけど。

                           2022/8/8(月)

 第72期王将戦は藤井王将が4勝2敗で防衛しましたね。

 事実上の史上最強棋士決定戦と私は見ていた(まあまあ、大山名人はともかくとしてね。)。32歳差という年齢差を考慮すれば、羽生九段の1勝で五分、2勝で判定勝ち、3勝以上なら羽生完全勝利と見ていたのであるが、結果は羽生九段の2勝4敗。

 この2勝も後手番が含まれていれば、羽生の判定勝ちといったところであろうが、いずれも先手番だったので、五分に近い判定勝ちといったところかな。

 まあでも、今後、このカードがタイトル戦で実現する事は無いであろうから、そういった意味では、「奇跡の6番勝負」だったとは云える。老いてなお、羽生畏るべし、である。

 「いやいや、まだまだ、このタイトル戦、実現するんじゃないの。」って声もありそうであるが、羽生九段は52歳だよ。今年の9月で53歳だよ。その羽生おじいちゃんにタイトル戦出場を許しているんじゃあ、他の棋士は何やってんのって話だよ。藤井5冠に勝ちまくられている現状といい、他の棋士があまりにふがいない。

 まあ、将棋の歴史というのは、ひとりのイジメっ子とその他大勢のイジメられっ子という歴史であるけれど、現状、他の棋士は、あまりにふがいない。

 藤井5冠より年上の棋士は、事実上終了だろうけど、同世代、そうして年下の棋士達が、もう少し頑張らなくちゃあ。「羽生世代」とは、あまりに違い過ぎる。チャイルドブランドよ、いま何処。踏みつぶされるだけの人生でいいの。ほんと、最近の子は、将棋界に限らず、土俵を割るのが早過ぎる。

 ちなみに、羽生の娘と藤井君が結婚したら、史上最強の棋士が誕生すると思っているのは、私だけであろうか。政略結婚?。交配?。

 さて、マーロン・マック君の話である。

 上の記事で、「その前にカットされてるかもしれんけど。」なんて書いていたら、2022シーズン、ホントに開幕前にカットされてやんの。

 その後、ナイナーズ、ブロンコスと契約して、ナイナーズで2試合、ブロンコスで6試合出場したみたい。

 来季はどうなるか分からんが、このままフェードアウトかな。

 で、スポトラック調べによると、ここまでキャリア通算782万6479ドルの稼ぎ。日本円に換算すると、およそ10億円。彼の実力以上の稼ぎといえるんじゃないかな。

 アメリカにランニングバック経験者が5万といるのか、1万なのか、1000人なのか、500人なのかは知らんけど、マックに近い実力の持ち主は、それなりにいると思う。それこそ、テレビ画面に映るマックを見て、「あれくらいなら、俺でも出来るわ。」と、ポテチにビールで呟いている、あるいは、怒鳴っている、ランニングバック経験者は数多いであろう。でも、その多くはNFL入りすらしていない。

 でも、マックは、バラードのお眼鏡にかなったか、パガーノのお眼鏡にかなったか(おそらく、パガーノのマイアミ人脈。)、コルツにドラフト4巡で指名され、チーム事情的にスターターを獲得、1000ヤードラッシャーとなり、10億円ゲット。

 まあ確かに、スターター奪取は、本人の実力と努力だと思う。でもまあ、運もあるよね。実際、その後、テイラーにあっさりスターター奪取されちゃっている訳だし。

 また、「1000ヤードラッシャー」も聞こえはいいけれど、1シーズンがっつりスターターを勤めれば、そんなに難しい数字ではない。1試合平均60ヤードだからね。1500ヤードとなると、それ相応の実力、それこそオールプロ級の実力が必要かもしれないが、1000ヤードは、「ケガさえしなければ」だよね。

 そういった意味では、非常にツイていた男、それがマーロン・マックだったとも云える。

 「人生はすべて、運である。」なんて事を言う人もいるけれど、まあまあ、確かにそうとも云えるであろう。「何でもかんでも、運だ。」とまで、私は断言するつもりはないけれど、マックを見てると、そうとも感じる。

 勿論、突き詰めて考えれば、「全ては運」であるし、最終的に「運命論」は正しい。我々の行動に「自由」は無く、一切は展開するだけであろう。従って、「罪と罰」も無ければ、「功績と称賛」も無い。残るは、「生得の罪」と「生得の功績」だけであろう。

 まあまあ、これはあくまで、「突き詰めて考えれば、」の話だけどね。

 こういう事を考えざる得なくなるのも、スポーツを見る楽しみのひとつではある。

 あと、この「選手紹介」の欄に限らず、マックには私は色々キツイ事を書いてきたけど、マック本人が嫌いな訳じゃないので。念の為。パガーノは、ハッキリ嫌いだけどな。念の為。

 マーロン・マックよ、永遠に。なにそれ。なんか違くね。

 最後に話は大きく変わるが、下の記事で、「フランク・ライク」について書いているけれども、改めて考えると、「フランク・ライク」って、スゴイつうか、オモシロイ名前だよね。つづりは違うが、「フランクでライク」って。日本名にすると、「安田好男」みたいな感じか。あるいは、「好田安男」。

 マーロン・マックのフルネームは、Marlon Devon Mack。デヴォンちゃん。

                  2023/3/14(火) オッサンのホワイトデー。
F.Reich
御指導御鞭撻のほど
御宜しく申し上げます。
 本来ならば、新入団選手やコーチは、2,3年様子を見てから、記事を書く事にしているのであるが、今回はヘッドコーチ就任の経緯も劇的とまでは言わないけれども、それなりに特殊なので、フランク・ライヒ新ヘッドコーチ誕生とほぼ同時に記事にしたい。

 まずは、ライヒ新ヘッドコーチ誕生の謂わば震源となった「ジョシュ・マクダニエル、コルツヘッドコーチ就任ぎりぎり拒否事件」についてから。

 元々、新ヘッドコーチに予定していたマクダニエルが契約書にいよいよサインするとかしないとかギリギリの段階になって、その契約を拒否したのが本件であるが、この件について、私は特にマクダニエルを非難するつもりはない。

 世間的には、この顛末から、マクダニエルの人格を非難したり、マクダニエルのNE以外でのコーチとしてのキャリアは終わったみたいな論調も散見するが、少なくとも私にその気持ちはない。

 というのも、この手の契約交渉というのは、当事者以外にはわからない事、あるいは当事者ですら分からない事が多々あるからである。

 この件は、普通に考えれば、ギリギリの段階でマクダニエルの将来的なNEヘッドコーチ就任が確約されたとみるのが自然であろうし、また、そのためにコルツHCの座が出汁に使われたと見る向きもあるであろう。「確約しなければ、コルツに行っちゃうぞ〜。」という訳である。

 しかし、それらはすべて憶測でしかない。もしかしたら、コルツ側に何らかの不手際があったのかもしれないし、もしかしたら、マスコミに公表できない事情があったのかもしれない。ベタなところでは、土壇場での家族の猛反対である。親なり妻なり子なりが猛反対したら、子として夫として親としては、どうする事も出来ない。「インディアナポリスに行くくらいなら、死んだほうがマシ。あんなインディの田吾作連中と一緒に生活できないわ。」である。

 しかし、これらもすべて憶測でしかない。そういう訳で、私はこの件についてマクダニエルを非難するつもりはない。ましてや、NFLのヘッドコーチ就任である。明々白々な人生の転機である。コンビニに行くのに、セブンイレブンに行くかファミリーマートに行くかで迷うのとは迷いのケタが違う。ギリギリで踵を返したって、致し方あるまい。

 あとまあ、ラックの肩の状態をマクダニエルは不安視したという報道もなされているが、これは関係ないと私は思う。なぜなら、コーチの評価という点で、当該チームのプレイヤーの力量は全然関係ないからである。
 たとえば、この場合、仮にラックが怪我していたとしても、それでもチームをプレイオフに導けば、ヘッドコーチの手腕は高く評価されるし、逆にラック健在でスーパーボウルを逃したならば、その際はヘッドコーチの力量が不安視されるであろう。

 そのチームの状態が、ヘッドコーチ就任の際のネックになるというのは、全くない訳では無いが、それは例えば、チームの文化なりスタイルなりが、自身のフットボール哲学と全然違う場合などである。本人はパス・オリエンテッド志向なのに、チームとそのフランチャイズが強烈なラン志向であるとか、である。

 それと、もう一つ考えられる例としては、当人のコーチとしての評価はほぼ完璧ながらも、ただひとつスーパーボウルリングだけがないので、それがどうしても欲しいという場合である。晩年のショッテンハイマーなどがそれにあたると思われるが、この場合、ある程度チームを選ぶのは致し方あるまい。ヘッドコーチ駆け出しのマクダニエルがこれに該当しないは言うまでもない。

 とまあ、私が本件について平静を保っていられるのは、上記のような理由も無論あるが、それよりなにより、マクダニエルのコルツHC就任にそもそも反対、とまではいかなくとも、あまり良い気分はしていなかったからである。

 「何を好んで、元パッツ」という気持ちも無論あるが、それよりなにより、ベリチック配下のコーチが、チャーリー・ワイス以下ことごとく失敗していたからである。マクダニエルも、その昔、デンバーで失敗したし、マンジーニ、クレネル皆然りである。まあ、2度目は成功するかもしれないが、とりあえずイメージは悪い。

 ベリチック配下のコーチが他チームで失敗する理由については、以前書いたが、それをもう一度繰り返すと、ベリチックのコーチとしての特性が非常に特殊なものであるからである。

 この手のコーチングツリーの総帥というと、ビル・ウォルシュやマーティ・ショッテンハイマー、ビル・パーセルズなどが挙げられるが、彼等には皆共通して、看板になるスタイルや戦術がある。ショッテンハイマーは所謂マーティボウルといわれるところの徹底的にターンオーバーを排するスタイル、パーセルズならハードノーズスタイルと強力ディフェンス、そうしてウォルシュは、謂わずと知れたWCOである。

 ウォルシュのコーチングツリーが現行NFLにおける最大派閥であるというのは、そのウェストコースト・オフェンスというシステムが非常に優れていることの一つの証拠だと思う。

 ところがベリチックには、そのような看板となるスタイルや戦術は無い。実際、この永い永いペイトリオッツ王朝も、その初期、中期、後期(いや、後期であってくれ。)でチームスタイルは全然違う。初期は、ディフェンスが粘り強く戦い、わずかな隙に得点するというスタイル(ヴィナティエリのキックはその象徴であろう。)、中期はランディ・モスとウェス・ウェルカーを中心に据えた高得点型チーム、そうして今はグロンコウスキー中心の堅実なオフェンス、と時代によって随分様相が異なる。

 では、そのベリチックの最大の特長であり武器は何かといえば、それは彼我の戦力や戦術を正確無比に測る能力である。いかなるオフェンスもディフェンスも、ベリチックは正確無比に長所と短所を洗い出してしまう。かてて加えて、その対抗策すら見つけてしまう。要するに、フットボールというゲームの構造を世界で最もよく知っている男、それがビル・ベリチックなのである。彼の趣味が、フットボール関係書籍の収集だというのは、あまりに当然かつ恐るべき事である。

 ところが、この「彼我の戦力や戦術を正確無比に測る能力」というのは、どうもなかなかその弟子には伝授しにくいものであるらしい。この肝心要の能力を受け継いだコーチというのは、私の知る限り、ひとりもいない。結果、勝てない。というか、為す術もない。

 そういう訳で、私はマクダニエルのヘッドコーチ就任は反対だったのである。

 そこで、この降って湧いたようなHC就任拒否事件。私は欣喜した。ただ唯一恐れていたのは、この機に乗じて、ブッチ・デービス一派が、またしても刺客を送り込んでこないかという事である。ところが、フランク・ライヒ就任。私は雀躍した。

 ライヒは、昨今トレンドのバックアップQB上がりである。しかも、ジム・ケリーという大物QBのバックアップである。スーパーボウルの記事にも書いた通り、キュービアック、ペダーソン、ジェイソン・ギャレット、皆大物QBのバックアップである。

 そうして、それより何より、このライヒ、完全無欠のポリアン人脈である。ビルズのバックアップQBからパンサーズのQB、コルツでコーチキャリアをスタート、その後、カージナルス、チャージャーズを経て、イーグルスへ。同じくポリアン育ちの私としては、安心して身を委ねられる。イヤン、エッチ。

 このライヒ就任がインディ・コミニュティで概ね肯定的に受け取られているのは、このポリアン人脈という点が大きいのではないだろうか。ブッチ・デービス人脈だったら、怖い怖い。

 ちなみにイーグルスとは、前GMグリグソン等々、大昔から人的交流が盛んであるが、これはどういう事なのだろう。フロント、それもオーナーに近いレベルで人脈があるのだろうか。

 それはともかくとして、このライヒ就任に関しては、私は非常に肯定的に受け止めている。過日、掲示板に、こういう時は、えてして「禍を転じて福と為す」になりがちだ、みたいな事を書いたのだけれども、まさしくそうなったと思う。
 かつて、コールドウェルやパガーノが新ヘッドコーチに就任した時は、私には彼等についての何の情報も無かったので、気持ち的にはゼロだったのであるが、今回は、はっきりプラスである。マクダニエル事件からの流れも良い。良い目が出ると思う。といって、全然、結果が出なかったら、3年後、私は罵倒しているけれど。

 さて、いよいよ本題のフランク・ライヒの人となりであるが、何と言っても、例の「グレイト・カンバック」の主役として、全ビルズファン、そうして全NFLファンに有名な人である。当時、私はNFLを見ていなかったが、無論、知識として知っている。

 でも、それ以外は無い。スミマセン、これから増やしていきます。

 なんか、ライヒの記事というよりはマクダニエルの記事みたいになってしまったが、それもまたバックアップ、そうしてカンバックの彼らしく良いであろう。

 フルネームは、Frank Michael Reich Jr. 。

                              2018/2/19(月)

 既報どおり、2022シーズン途中、11月7日に、それまで3勝5敗1分けの成績、あるいは、ここ数年の不振の責任を取って、という訳でもないが、解雇されちゃいました。まあ、アーセイ・オーナーの御神託といったところではあろう。バラードをはじめ、経営陣あるいは編成陣は、この解雇に反対していた、なんて報道もある。

 解雇までの経緯についての真偽は不明だし、また、それを探るつもりもないが、個人的には残念な人事ではある。というのも、再三再四書いてきたとおり、ここ数年のコルツの不振の真因は、「レシーバー陣のふがいなさ」、つうか「バラードのレシーバーを見る目の無さ」だと、私は思っているからである。解雇されるべき、あるいは、詰め腹を切らされるべきは、まずはバラードであろう。グリグソン:パガーノ体制同様、何故か、問題のある方が残る。不思議。いや、むしろ当然か。それが人の世。

 人事への不満はともかくとして、先述したとおり、ライクのチーム運営や采配については、私に不満はない。ベストを尽くしていたと思う。ただ、とにかくレシーバー陣が………。恨み節。レシーバー陣さえ平均以上だったら、スーパーボウルも見えていただろう。ここ数年のコルツは、コーチ陣プレイヤー陣含めて、そういう布陣であった。返す返すも残念である。無念である。

 「レシーバ陣がふがいなくても、今季のチーフスのように、ゲームプランやプレイデザイン、プレイコール等々で何とか出来たんじゃねーの。それがコーチ、とりわけヘッドコーチの仕事でしょう。」という声もあるかもしれない。

 いや確かに、今季のチーフスは、コルツと比較しても、ワイドレシーバー陣は微妙な布陣であったけれども(それでも、コルツよりは上だと思うが、)、タイトエンドに、つうかレシーバー陣にトラヴィス・ケルシーという絶対的な軸がいるでしょう。そこが、コルツとは全然全然違う。モー・アリー=コックスとケルシーを比較したら、チーフスファンに袋叩きにされてしまう。泣かされるんじゃない。殺されてしまう。

 まあ、確かに、コルツにもジョナサン・テイラーという攻撃陣の絶対的な軸はいるけれども、そこがランとパスの違いで、大昔どこかで書いたけれども、「完璧なランオフェンスは止める事が出来るが、完璧なパスオフェンスは止める事が出来ない」である。

 例えば、今季のチーフスのパチェコの事を、5年後どれくらいの人が憶えているかと云ったら、結構微妙なところであろう。2019シーズンのチーフスのRBを記憶している人だって、今や少数派であろう。

 また、ペイトリオッツ王朝の歴代RBを全部云える人というのは、ほとんどカルトQ(死語)レベルであろう。初代は、確かA.スミスだったよねえ〜。E.スミスじゃないよ〜。コーリー・ディロンとかもいたよねえ〜。

 また、ちなみに、2006シーズン、コルツ優勝時のRBをエジャリン・ジェームスだと思っている人は、結構多いと思う。コルツファンでも、勘違いしている人は多いんじゃないかな。

 一方で、その当時のチーフスやペイトリオッツ、コルツのQBを忘れてしまっている人は、完全は痴呆症であろう。

 
 あっ、そうそう、アーロン・ロジャースがスーパーボウルを制覇した時のRBは誰とかね。これもカルトQレベル。

 QBとRBは、プレイスタイルも寿命も全然違うので、こういう形で比較すること自体が間違っているかもしれないが、パスオフェンスとランオフェンスの構造的な違いの一端は示せると思う。

 まあ、その昔、マニングさんがシーホークスに完封されたつう事実もあるにはあるけれど、あん時のデンバーのレシーバー陣は、微妙ちゃあ微妙なメンツだったつう事で。あとまあ、シーホークスのパスディフェンスが斬新で、マニングが対応できなかったつう点もあろう。

 話が逸れた。つう訳で、私はライクのHCとしての能力には何ら疑問は持っておらず、解任時の記事でも「おススメです」みたいな事を書いた。

 で、今オフ、早速、ライクの再就職先が決定。パンサーズと2023年1月26日、ヘッドコーチとして契約。えがったえがった。

 そう、1月26日。すなわち、両カンファレンス決勝以前の事である。

 一般的に、NFLのヘッドコーチつうのは、攻守あるいはスペシャルチームのコーディネーター経験が必須である。コーディネーター経験無しのヘッドコーチつうのは記憶にないくらいである。サタディは、極めて特殊な例外。
 それは、ちょうど医師や弁護士の国家試験によく似ている。それが、本当に必須か否かも含めて、よく似ている。

 という訳で、新ヘッドコーチつうのは、大概コーディネーター勢、とりわけ勝っているチームのコーディネーター勢がターゲットとなる。

 ところが、パンサーズは、両カンファレンス決勝以前、すなわち4チームのコーディネーター計12名との交渉を持たずに、フランク・ライクと契約した。ライクを選んだ。すなわち、この12名より、ライクの方が上と踏んだ訳である。

 まあ、水面下では、この12名と交渉していて、感触が悪かったので、ライクに切り替えたという線も無くは無いけれど、とりあえず表面的には、パンサーズはライクを、これら12名より上とみなした訳である。実際、今オフの新ヘッドコーチの契約では一番乗りじゃなかったかな。違ってたら、ゴメン。

 んな高評価のライクをシーズン中に首切ってるチームがあるんじゃ〜〜〜〜い。そのチームは、今季準優勝のイーグルスのOCを、スーパーボウル終了後、HCとして招聘。どっちが正解。あしたはどっちだ。

 んな下世話な話はともかくとして、ライクにはパンサーズのHCとして栄光を勝ち取ってもらいたい。コルツ時代は、日替わりならぬ、年替わりQB状態だったので、ひとりのQBと3年くらいじっくり付き合ってもらいたいものである。

 フランク・ライクよ、永遠なれ。なにそれ。なんか違くね。

                     私はみんごる初段。2023/3/8(水)


 ビビビビックリニュ〜〜〜〜ス。

 2023年11月27日、1勝10敗の結果を受けて、Week12終了後に、ライクが電撃途中解任されちゃいました。コルツボウル(←アホ)の記事で、「1年目のライクはともかく、2年目のエバーフェルズは首がうすら寒くなってるだろう。」みたいな事を書いたら、1年目のライクの方が先にクビになっちゃいました。まさかの2年連続途中解任。

 2年連続解任は、NFL史上3人目らしいんだけど、2年連続途中解任は、ライクが初めて。そりゃそうだよね。他のプロスポーツまで含めても、かなり珍しい記録(?)だと思う。途中解任されたヘッドコーチなり監督なりが、その翌シーズン、同じくヘッドコーチなり監督なりの職を得て、そうして同じく途中解任って。日本のプロ野球じゃあ、ひとりもいないんじゃないかな。MLBやNBAは、よく分からん。いないと思うけど。

 でも、解任するかね。確かにここまで1勝10敗だけど、それってライクの責任ではないでしょう。過去5年なり3年なりのチーム運営の結果でしょう。実際、昨ドラフトでは全体1位を引いちゃってる訳だし。そこでQBを指名して、すぐ勝てる程、NFLは甘くないでしょう。実際、全体1位に限らず、多くの上位指名QBが1年目は苦しんでる訳だし。ラックみたいなのは異常な例外だよ。

 まあ、勿論、エバーフェルズや立浪のように、2年目以降も苦しむのなら、それはHCや監督の責任問題になるだろうけど、1年目の成績は、HCや監督の実力とは全然関係ないと思うし、実績に含むべきでないと思う。

 実際、HCや監督の就任1年目の成績はアテにならないと思う。仮に優勝したとしても、それこそ「最初の勝ちはウソの勝ち」である。

 今季、日本のプロ野球では就任1年目の岡田監督が優勝したけれども、これで岡田を名将扱いするのは、早計どころか、意味不明である。岡田監督の真価は2年目以降で測るべきである。しかも、岡田監督就任前の阪神は68勝71敗の3位で、開幕直後の大型連敗が無ければ、優勝してたかも、と云われていたチームである。優勝する力は潜在していたチームである。

 同じような事例が、同じく就任1年目で優勝した吉田監督とか権藤監督である。吉田監督の場合は、確かに前年度こそ、53勝69敗の4位だけれども、元々力のあったチームである。1997年の横浜に関しては、言わずもがなであろう。
 実際、この両チームは、それぞれ前任の安藤監督と大矢監督が準備したチームであるとは、識者の、争って説くところである。

 また、うがった見方をすれば、この両チームは、この優勝以降、所謂「暗黒期」に突入する訳であるが、その契機となったのが両監督であるとも、云えなくはない。

 つう訳で、監督やHCの1年目の成績は参考にならないというお話でした。まあ、もっとも、元々強いチームを更に強くした森監督とか、前年度ブッチギリ最下位、というか6年連続最下位のチームを日本一に導いた三原監督のような、問答無用の「手腕」も確かにあるにはあるけれど。

 つう訳で、私は変わらずライクを「お薦め」します。

 でもまあ、2年連続解任はともかく、2年連続途中解任は確かに珍しいよね。だいたい、途中解任自体が珍しいからね。後任探しで先手を打ちたいとか、よほど酷い采配とかでなければ、なかなか途中解任はしないものである。やる利点も、ほぼ無いしね。
 私は、ライクを「お薦め」したけれども、現場的には、容認しがたい部分もあるのかもしれん。それが何かは全然分らないけれども。

 あとまあ、何となくではあるが、「クビ」にしやすい顔つう点はあるかもしれない。元々「泣きそうな顔」をしているし、きつい事を告げても、黙って甘受してくれそうな顔ではある。

 でも、これで、来季、ビルズあたりのヘッドコーチになって、やっぱり途中解任されてたら、大笑いだよね。

 あと、今回、このライク解任報道で初めて知ったのであるが、ジム・コールドウェル(実に久しぶりにタイプした!!)の野郎が、パンサーズのスタッフだった。ライオンズのヘッドコーチ職にありついたのは知ってたけど、まだNFL業界に在住してたとは知らなんだ。とっくの昔にフェードアウトしてたと思ってた。なかなかにしぶとい。意外な政治力があるのかも。まあ、このパンサーズでの就労は、完全にポリアン人脈だろうけど。大昔に書いたけど、とりあえずマイナスはない男だしね。プラスもないけど。永遠のゼロ。

                        2023/12/3(日)

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