インディアナポリス研究会

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<1/2/3/4/5/6/7/8/9/10/11>

2011年
Week12
11月27日
CAR@IND
27−19
 このゲーム自体に対する感想は無い。TV放送もないし、GAME CENTERのPLAYbyPLAYも生では最後の方しか追っていないので、特に感想も無い。あ〜、また大事なとこでインターセプトしちゃったなあ〜ぐらいなもんである。ただ、今週、コルツにちょっとした人事異動があったので、それについての感想を述べてみたい。
 しかし次週のIND@NEも放送無しとは。さすがにここは放送があると思って油断していたが。もしかしたら今季はこのまま日本でのTV放送はないままシーズン終了になるかもしれん。ちょっと前まではドル箱カード、つうかNFLの看板カード、つうか00年代最高のカードだったのに、用済みとなったらポイ捨てかい。今まで散々稼がせてやったんだから、義理立てろよ。

 さて、そのコルツの人事とは、DCのラリー・コイヤーが解雇された事である。
 確かに、ラムズ戦では、まさかの62失点しちゃったし、責任が無いとは云えなくも無いが(どっちだ。)、まあこのゲームに限らず、今季のコルツのディフェンスの失態のほとんどは「気持ち」の問題なので、DCを責めるのは酷というものだろう。

 フットボールにおけるディフェンスというものは、そりゃ確かに戦術的戦力的要因もあるだろうが、私の見たところ、半分くらいは「気持ち」である。「勝ちたい」というよりは「勝てる」という気持ちがあるから、1ヤード前でタックルが出来る、1インチ高くジャンプしてパスカット出来る、すなわち「頑張れる」ものなのである。残り半分くらいが戦力や戦術の力であろう。
 良い例が今のデンバーである。ティーボーが最後に逆転してくれる、勝利に導いてくれると信じているからこそ、デンバーのディフェンス陣は頑張れるのである。逆に、反対の側の良い例が先に述べたラムズ戦のコルツ・ディフェンス陣ということになろう。どう考えても勝てそうに無ければ、選手は頑張らない、タックルしない、パスカバーしないものである。

 まして、今季のコルツなどは、シーズン序盤はともかく、今現在などは、ディフェンスのみならずチーム全体が弛緩しきった状態なのであるから、DCの責任云々を言ったところで始まらないだろう。今のコルツのフットボールなどは、完全に健康増進の為のフットボール、下手すりゃレクレーションとしてのフットボールである。守っている時間が例年より長い割にはフリーニー&マシスのサック数が伸びないなんていうのは、その象徴とも云うべき数字だろう。ウェインなんかサイドラインでモンハンしてっからね。

 勝つ見込みが無くても頑張るのがプロだという意見もあるだろうが、むしろ勝つ見込みが無ければ頑張らないのがプロなのである。このへんは、我々のような部外者には分りにくい感覚なのかもしれないが、NFLプレイヤーに限らず、プロスポーツ選手というのは、あくまで金の為に、生活の為にスポーツをしているのである。要するに、言葉の正しい意味で、現金なのである。
 私もプロスポーツマンでは全然無いので、長らくこの辺の感覚は分らなかったのであるが、もう20年近く前になるが、落合が中日の選手だった頃、宣銅烈がらみで中日が韓国遠征をした時、「日当7万円(正しい金額は不明。確かこのくらいだった筈。)で野球ができるか。」と捨て台詞を吐いたのを知って、プロスポーツマンのこの感覚を私は了解した。我々が遊びや、あるいは学校の部活動でスポーツをするのとは根本的に感覚が違うのである。また、日本のセミプロの、所謂社会人チームのスポーツマンとも根本的に感覚が違うのである。もちろん、プロスポーツマンとて根本的には好きの延長でスポーツをしているのだろうけれども、アマチュア・スポーツマンが純粋に好きなだけでスポーツをしているのに対し、プロスポーツマンは基本的には仕事としてスポーツをしているのである。今のコルツで云えば、勝つ見込みの無い現状で張り切ってフットボールをして、キャリアに響くような大ケガをしたら堪らないといったところであろう。ブラッケットあたりは仮病かも知れぬ。

 最近、NFL、NBAと相次いで労使交渉が行われ、それを非難する声も挙がったが、従って、私はそれを非難する気にはなれぬ。出来るだけ良い労働条件で働きたい、また、出来るだけ安く労働者を雇用したい、と考えるのは自然な感覚であるし、資本主義社会を維持する為には重要な感覚だと私は思うからである。むしろ日本人などは労使交渉をしなさすぎである。日本にも、あんなインチキ臭い労働者組合ではなく、本物の労働者組合が出来て欲しいと切に願う。

 例によって例の如くで、話が横道にちょっと逸れてしまったが、とにかく、今季のコルツディフェンス陣の不甲斐無さの責任はDCのラリー・コイヤーにはない。今回の解雇は、もしかしたら、サラリー的な事情や、性格的な問題といった裏の事情があるのかもしれないし。また「他に良い働き口が出来たので、今のコルツよりはそちらを優先したい」的な事情もあるのかもしれぬ。とにかく、一コルツファンとして言っておきたいのは、純粋にフットボール的な事情で、コイヤーが解雇されたのでは無いという事である。そういった意味では、責任のなすり付けられ感ありあり、詰め腹切らされ感ありありの解雇だったと思う。

 こんな書き方をすると、私がDCとしてのコイヤーを買っているような感じになるが、それはない。優秀なDCではなかったかもしれないが、無能なDCでもなかった、といったぐらいである。ダンジーの最終年とコイヤーの3年間を比べれば、ダンジーの最終年のディフェンスの方がやや良かった印象もあるが、それは致し方ないであろう。
 というのも、ダンジーのやっていた純正カバー2、所謂タンパ2というディフェンス・スキームは、一見すると、非常にニュートラルなディフェンスのようにも思えるが、実際のところは、作るのにも壊すのにも手間のかかる非常に特殊な、といったら御幣があるかもしれないが、とにかく偏ったディフェンス・スキームであるからだ。
 まあ、プレイブック的には単純単調なディフェンスかもしれないが、それ故に調教するのに非常に時間が掛かるし、なにより人を集めるのに時間が掛かる。ほとんどのポジションでカバー2特化型プレイヤーを使わなければならないからだ。DLはパスラッシュ特化型、LBとCBはゾーンカバー特化型が必要になり、しかも、それぞれ数が少ない。Sは普通のタイプでよいだろう、というか、4人のパスラッシャーと7人のセイフティというのが、大雑把なカバー2のイメージである。実際、ダンジーがこのディフェンスを完成させるのに5年くらいは掛かっている。

 そして、同じ理由で、それを壊すのにも時間が掛かる。本気でカバー2をやめようとしたら、選手総入れ替えが必須になる。もちろん、そんな権限は、新参者で、DCとして特に派手な実績も無いコイヤーには皆無であるから、この3年間、彼がカバー2の周辺を右往左往したのは自然な結果であろう。それは彼の心の動きの象徴でもあったろうし、彼のコルツにおける地位の不安定の象徴でもあったろう。そういった意味では、今回の責任押し付けら的な解雇はある意味当然至極な結果とも云えなくも無い。一コルツファンとしては、「いろいろな意味で気の毒な事をした」というのがコイヤーに対する率直な気持ちである。

 これは、あくまで私の予想であるが、コイヤーの真にやりたかったディフェンスというのは、テネシーや、その直系であるデトロイトがやっているような、あまり特殊なスキームを用いず、選手個々が単純に一対一の能力を発揮して、オーソドックスにに守るという、謂わばクラシカルなスタイルのディフェンスだったと思う。そういった意味でも、ポスト・ダンジーというのは彼にとって不幸だったと思う。本当にお気の毒な人である。次の職場では、結果はともかく、自身の指向がはっきり具現化する仕事場を得て欲しいと、一コルツファンとして、切に願っている。

 こんな書き方をすると、コイヤーがコルツに何の功績も残せなかったみたいになるが、彼はひとつコルツに大きな功績を残しているので、それを最後に忘れず書き留めておきたい。それは、彼が、DTにNTタイプを二人並べる事によって、ダンジー時代の宿痾だったオフガードのランを完治したことである。これは、今季突如流行り、その弱点が露になったワイド9のひとつの処方箋でもある。まあ、こんなことは誰でも思いつくちゃあ思いつくけど、この考えを実行に移した事が、DC1年目のいきなり14連勝&スーパーボウル出場の要因のひとつになった事は確かなので、彼の功績として忘れず書き留めておきたい。さらば、コイヤー。去るんだか、来るんだか、どっちだ。

 そして、もうひとつ、小さな人事がある。それは来週から先発QBがオーロブスキーに変わるという事である。はっきり云って、これは上の人事以上に意味が分らん。オーロブスキーに関しては、そのリリーフ、つうか敗戦処理振りをちょろちょろ見た限りでは、QBとしては箸にも棒にかからんという印象である。ペインターを落とす意味が分らん。

 つうか、そのQBとしての実力以前の問題として、ライオンズ0−16シーズンのエースQBに先発させんなっつの。そんなゲンクソ悪い選手、コルツに近づけんなっつの。むしろ、0−16したいのか。2ゲーム差では不安なのか。どんだけ、ラック欲しいんだか。それとも、ラック以外に、何が何でも欲しい選手がいるつうのか。

 ラック問題はともかくとして、以上二つの人事の大意は、結局のところ、「未だシーズン全敗ですけど、企業努力はしてますよー。株主のみなさ〜〜ん。」的なパフォーマンス、アリバイ作りの意味でしかないだろう。純然たるフットボール的な意味はほとんど無い。てか、答えがばれている段階でアリバイになっていないんだけど。てか、どうせ企業努力するんだったら、マグナブ&モス、連れて来い。故青田昇氏の名言「カンセコ、連れて来い。」のひそみに倣って。

                                                   2011/12/3 ワン・ツ・スリー
2011年
Week13
12月4日
DEN@MIN
35−32
 上の記事に故青田昇氏の名言が紹介されているが、もういっちょ。「何か最近パ・リーグによう打つ外人がおるんや。4割近く打っとるんやで。日本人みたいな名前しとるんやけどな。」。1994年の話である。

 しかし、メルセデス・ベンツ・スーパードームって、いつ聞いても凄い名前だ。何かそういう車がありそうだ。でも、メルセデス・ベンツなんて、今更命名権を買う必要なんて無い様な気がするのだが、どうなのだろう。名前的には、マクドナルドとかコカ・コーラ級の有名な名前だと思うのだが、今更広告する必要があるのだろうか。例えば、これがジレットだったら、ジレットとフィリップスで迷って「俺、ペイトリオッツファンだから、ジレットにすっか。」みたいな広告効果はあると思うが、ベンツにそんな効果ねーだろ。ベンツなんてほとんど指名買いじゃねーのか。ベンツとレクサスで迷って、「俺、ブリーズのファンだからベンツにすっか。」みたいのあんのか。あんのかもしれんけど。高級車とは無縁の生活をしているので何とも云えないのが、悲しいところではあるが。

 さて、特に意味も無く主題と関係の無い話から、例によって例の如く、始めて見たが、本日のお題はDEN@MINである。つーか、ティーボーである。

 ティーボーと云えば、日本のほぼ全ての解説者からは、そのクォーターバッキング、メカニズムを全否定され、私自身も否定的見解を披露したが、一方では、1巡全体22位で指名され、アメリカの多くの大衆に指示されているQBでもある。その秘密を知りたく、ここ数試合、そのクォーターバッキング振りを私は観察した。堪能した。

 結論から云えば、QBとしては全然物足りないという事になる。少なくとも、今のマニングを頂点とするQBヒエラルキー的には全然話にならないといった感じである。また、ヴィックやヤングのようなモバイルQBとも全然違うと思う。彼らの場合は、程度の差こそあれ、あくまで「投げられなくなったら、走る」式の所謂スクランブルQBであるのに対し、ティーボーの場合はむしろ「走れなくなったら、投げる」式のランニングQB、というか、むしろパッシングRBといった感じですらある。多少大袈裟な書き方をすれば、ティーボー程度のスローイングだったら、トムリンソンやアダイでも出来そうな気さえする。つか、やっていた気がする。つか、やるか、アダイでティーボー・フットボールを。オーロブスキーより勝つ確率は高まりそうだ。

 ティーボーに話を戻すと、この手のQBで必ず問題になる怪我の懸念であるが、ティーボーの場合はその蓋然性はヴィックやヤングに比べると低い様な気がする。ヴィックやヤングのように、爆発的はスピードや、えげつないカットは皆無で、ランといっても、最低限のムーブはあるものの結局のところはボールを抱えてただ直進するだけなので、ヴィックやヤングよりはケガのリスクは少ないと思う。もっとも、そうは言ってもやる時はやってしまうのケガというものであるが。また、ボールセキュリティーの面から言っても、同様の理由で、ヴィックやヤングよりは上だろう。

 結論から云えば、最低レベルのパッシング能力と平均レベルの走力というのが、ティーボーの技術的能力ということになると思う。NFLのロースターに残っているのが不思議なくらいである。実際、ティーボーのスローイングを見ているとクイックリリースというものが、如何なる能力なのか、どのような価値があるのか、嫌っていう程よく分る。とは云うものの、そのティーボーでデンバーは、この7試合で6勝、現在5連勝中なのも紛れも無い事実である。

 では何故そんなに勝てるのかというのを、私なりに、ここ数試合を見て、考えてみた。
 
 とりあえず、敵側から考えてみた時、今のティーボー、というかデンバーが意外に戦いづらいチームであることは事実だと思う。
 今のデンバーに対する必勝法は、ちょうど唯一の敗戦であるデトロイト戦のように、圧倒的に得点してそのまま逃げ切ってしまうのが最も簡明な勝ち方だと思われるが、これが意外に難しい。

 大量点を取るためには、パッシングオフェンスが必須であろうが、それを試みると、いまやフリーニー&マシスに匹敵するであろう凶悪パスラッシュ・デュオのデュマービル&ボン・ミラーがすっ飛んでくる。余談になるが、ボン・ミラーのメガネはヤバイ。斉藤ゆう子なみにヤバイ。
 閑話休題。大量点を取る為のもうひとつの方法としてはターンオーバーを奪っていくというものがあるが、これも今のデンバーには効かぬ。なぜならティーボーのオフェンスがほとんど3&アウトばっかりだからである。ターンオーバーを奪う機会そのものがもの凄く少ない。
 そのほか、大量点を奪う方法としては、常に良いフィールドポジションを得るというものがあるが、デンバーの本拠地は御存知マイルハイ、そして主戦場はAFC西地区、すなわち悪天候という事がほとんど無い環境下であり、コルキットは一流パンター、リターナーにもエディ・ロイヤルがいて、キッキングゲームで良いフィールドポジションを得ていくというのはなかなか難事業なのである。で、ロースコアゲームでズルズルと終盤まで迎えると、何故かティーボーに逆転ドライブを喰らってしまうというのが、この6勝のほとんどの図式である。OAK戦とこのMIN戦では得点が多く入っているが、こういうゲームの時に限って、デンバーはターンオーバーを奪う。

 こういうロースコアのゲームというのは大概勝敗は五分五分になるものだけれども、何故かデンバー、というかティーボーはことごとく取ってしまう。決勝ドライブを悉く成功してしまう。それは何故なのかと考えてみたが、結局さっぱり分りませんでした。
 まあ、たしかにオプション・プレイにNFLのプレイヤーやコーチは慣れていないというのはあるかもしれないが、でもNFLのプレイヤーもコーチも、多少の例外はいるかもしれないが、かつては皆カレッジ経験者である。多かれ少なかれオプション経験はあるだろう。しかも、仮にそれが理由だとしても、何故それが決勝ドライブだけに通用するのかというのが説明がつかぬ。もうなんというか、ティーボーは「勝利に愛されている男」だとしか言いようが無い。説明の使用が無い。このMIN戦でも、ミネソタがゲーム終盤同点残り1分33秒自陣20ヤードからタイムアウト3つ、その最初のプレイがインターセプトなんて、ティーボーがどんだけ勝利に愛されているかを証明するだけのシーンになってしまっている。この条件下なら、いくらポンダーがルーキーQBとはいえ決勝FGを演出するのはそんなに難しくは無いシチュエーションである。それがいきなりインターセプトとは。

 考えてみれば、大学時代に2度全米タイトルを取るなんてことも、彼がどれだけ勝利に愛されているかを証明する為のエピソードでしかないだろう。カレッジフットボールの全米タイトルなんていうのは実力だけではどうにもならぬものの最たるものである。ランキング校とまでは云わぬが、上位10校の実力差などほとんど紙一重である。しかも、それらが完全実力制ではなく、人がやるのかコンピューターがやるのかはともかく、それが投票によってタイトルマッチが決まるわけであるから、強運は全米タイトルの必須の条件になるだろう。それが2度である。しかも同じ時期にフロリダ大学のバスケットボール部も2連覇しとるし。勝利からの愛されっぷりがハンパない。勝つことが大好きなアメリカ人に愛される訳である。

 「勝てるQB」という触れ込みだったカイル・オートンを追い出したのも何やら示唆的である。愛され方の桁が違うといったところか。

 という訳で、数試合見た限りでは、ティーボーの価値というものは、私にはさっぱり分かりませんでした。兎に角云えるのは、兎に角勝つという事、あと強いて云えば、大事なところ、特にレッドゾーンでのパスは何故か決まるという事ぐらいである。SD戦の放送の最後の方で解説の有馬さんが「こういう勝ち方がNFLで有り得るというのが信じられない。」と呻くように述べていたのが私には非常に印象的であった。QBの有馬さんからみれば、彼が受けてきたQBとしての教育や指導とはまるで正反対の位置にいるのが今のティム・ティーボーという事になるのだろう。むしろ、カレッジフットボール、アメリカのフットボールの取材経験が豊富な松本さんの方がティーボーのようなQBは受け入れやすいと思う。これは、あくまで私の予想だけど、アメリカのカレッジやハイスクールにおけるQBの多数派はむしろティーボー・タイプなのだと思う。マニング・タイプの方がむしろ少数派なのではないだろうか。

 こんな書き方をしていると、有馬さんを始めとする日本の解説者陣に見る目が無いみたいな感じになるが、ティーボーの純然たるクォーターバッキングに対しては、アメリカの識者も大概否定的であろう。どのゲームだったかは忘れたが、ティーボーが得意の逆転ゲームを演出した後、ブース席にいるエルウェイが苦虫噛み潰したような顔をしていたのが私には非常に印象的だった。

 また、クォーターバッキングの進歩のひとつの頂点ともいえるマニングに見慣れた私の目にはティーボーは非常に新鮮に映る。そのマニングが全休(多分)の年にティーボーが出て来たというのも何やら妙な暗号を感ずる。まあ、さすがにティーボーがこれから王朝を作る、殿堂入りQBになるとはとても思えないけれども。とりあえず、しばらくはティーボー・マニアであると思う。それに、もしかすると、ましかするし…。

 元々、ティーボーのことを書く心算の記事だったので、これはこれで良いのであるが、デンバーについてもうひとつだけ。それはHCのジョン・フォックスである。私はカロライナ時代から彼のHC振りが大好きだったのであるが、それは何故かというと、どんな戦力不足にも泣き言を云わず、もの凄く粘り強い采配を振るうからである。そういった意味でも、今のティーボーには良く合っているHCだと思う。今のコルツを率いて貰いたいぐらいだ。

                               あれっ、コルツのゲーム、あったっけ。  2011/12/6
2011年
Week14
12月11日
CHI@DEN
10−13
 「アンビリ〜〜バボロー、アンビリ〜〜バボロー。」、試合終了間際、プラッターの同点FGが決まった際の現地の実況の絶叫である。まあ、はっきり云って、使い古された言葉であるし、正直ベタな実況なのであるが、このシーンを表現する際には、この言葉以外なかろう。プラッターの59ヤード同点FGがアンビリ〜〜バボローなのではなく、ティーボーの同点劇がアンビリ〜〜バボローなのである。ちなみに、このゲームでは50ヤード越えFGが3連発で決まったけれども、これはマイルハイでのゲームなので、そんなにアンビリ〜〜バボローではない。キックの距離は5〜10ヤードくらい割り増しで考える必要があるからだ。アンビリ〜〜バボローなのは無論ティーボーである。
 この同点FGの直後、サイドラインでガッツポーズを連発するチャンプ・ベイリーの姿が映されていたが、これも私には非常に印象的だった。チャンプ・ベイリーというのは、私の知る限り、元来非常に落ち着いた選手で、感情を露にするタイプではない。もう5,6年近く前になるか、NEとのプレイオフで勝利を決めるインターセプト・リターン・タッチダウンを決めた際にもそんなには喜んでいなかったように記憶している。そのベイリーが、あれだけのガッツポーズを見せるとは。彼もまたティーボー教に入信したのだろう。

 という訳で、前置きが長くなったが、まさかのデンバー2連発、つうかティーボー2連発である。本とは今週は別の記事を用意していたけれど、たまたま見ていたデンバー戦が強烈なゲームだったので、急遽記事を差し替えである。

 このゲーム、その13−10という結果そのものはこのTV放送を見る前から知っていた。しかしゲーム内容は全く知らなかったので、試合時間が残り5分を切っても0−10というその状態に、「ほんとに、ここからデンバーは勝ったのかなあ。ゲーム結果、見間違えていたかなあ。ここから勝てるとはとても思えん。それとも、ここから何かしらリターン・タッチダウンでも出たのか。」と、私はTVを見ながら疑心暗鬼に駆られていた。まあ、雰囲気的にはともかく、技術的にはとてもデンバー、つうかティーボーに勝てそうな感じはまるで無かったからだ。

 ところが、ここからリターン・タッチダウンもなく、まさかの10−10、そしてOTでの13−10。しかも7−10の直後、デンバーはオンサイドキックを失敗してシカゴにボールを奪われているのである。普通ならここでゲームセットであろう。ところが、ここからデンバーは3&アウトでもう一度ボールを奪い返し、残り時間56秒自陣20ヤードからティーボーはプラッターの同点FGを演出。そうして、オーバータイムでは、自陣38ヤード、すなわち敵のFG圏内でファンブルを誘いリカバー、そこからプラッターの決勝51ヤードFGにつなげるのである。私は震撼した。オーバータイムでアーラッカーの後姿が映し出されていたが、その背中は「どないなっとんねん。」と語っていた。

 まあ、確かにマリオン・バーバーの二つのミス、タイムコントロールとファンブルという二つのミスがあるにはあったが、致命的という程ではないだろう。ミスといえばミスだけど、厳しく責められる程のミスではない。ゲームの内、という程度のミスである。
 また、シカゴがゲーム終盤、オフェンスでもディフェンスでも保守的になりすぎたという批判もあるだろうが、これはあくまで結果論で、あのゲーム内容で保守的になるのは自然な事、定石といっても良いくらいだろう。やはり、畏るるべきは、それら全てを覆したティーボーの魔力、神通力という事になるだろう。って、お前は南海権左か

 観客席のファンが「I am a Tebowist」(つづりはうろ覚え。)というプラカードを掲げていたが、私もティーボイストである。いやマジでティーボーの入っている宗教に入信しようかな、御利益があるかもしれん。ティーボーはアメリカ人だからキリスト教は間違いないと思うけれども、その宗派に入信しようかな。実際、デンバー市、いやコロラド州、いやアメリカ全土で、ティーボーの宗派への入信者は続出してんだろうなあ。これだけ奇跡の連続を見せられたら、入信せざる得まい。って、あんた預言者か。
 少なくとも、ブロンコスのチームメイトはみんな入信してんだろうな、ティーボー教に。で、あのポーズしてんだろうな。プラッターなんか、ふたつのFG、50ヤードを越えているのに、入ると信じ切って蹴っていたもんな。これ、日本だったら、ティーボー、マジで婆ァに手を合わせられているわ、そして手をこすられているわ、ありがたや、ありがたやって。あっ、それはアメリカでも同じか。

 まあ、このティーボーの魔力、つうか神通力はともかく、技術的には、ここまで私が書いてきたことに大きな変更点は無い。ただこのゲームを見ていて、ひとつ思ったのは、意外にポケット内で粘るなという事である。ティーボーのようなモバイルQB(なのか?)に限らず、最近のQBは割にすぐポケットを飛び出すタイプが多いが、ティーボーは意外にポケット内で粘る。OLを信じているというよりは、パスラッシュをきっちり読めているといった感じである。そうして、レシーバーが空くのを待っているがなかなか空かないので、仕方なく走ったりサックされたりしているといった感がある。意外に守備リードはきっちり出来るタイプなのかもしれない。パスラッシュをまるで読めないアレックス・スミスとは好対照である。

 このように書くと、デンバーのレシーバー陣のセパレート能力に問題があるような書き方になるが、まあ確かにそういう問題もあるのだろうが、ティーボーにとって「レシーバーが空いている。」というのと、例えばマニングにとって「レシーバーが空いている。」では、その程度が違っているのだと思う。マニングにとって「レシーバーが空いている。」は掌ひとつ分であるのに対し、ティーボーにとっては2馬身、じゃなくて体ふたつ分が空いて、初めて「レシーバーが空いている。」という状態になるのだろう。おそらくコントロールに自信が無い、クイックリリースが無いので、はっきり空いた状態にならなければ投げられないのだろう。そういった意味では、フットボールIQは高いが、それを活かす技術が無いという意味で、ヴィックやヤングよりはむしろ、ロスリスバーガーに近いタイプなのかもしれない。

 そう考えると、第4クォーターでの成績向上やターンオーバーの少なさの説明がつく。はっきりレシーバーが空かなければ投げない為、インターセプトが少ないが、ゲーム終盤でリードされている状態では、多少無理して投げる為、成績が向上するという訳である、そういった意味でも、確かにロスリスバーガーに近い。より慎重なロスリスバーガーといったところか。
 また、ターンオーバーの少ないもうひとつの理由はランの際に常に両腕でボールを抱えているという点があると思う。これだとまずファンブルは無い。

 実際、ここ数試合見ていて、ティーボーに必要なのは、圧倒的な力をもったレシーバー、TEでもWRでもよいのでオールプロクラスのレシーバーであることは間違いないと思う。となると、デンバーの来ドラフトは、何としてもブラックモン奪取を画策すべきかティーボーのデジモンとして。やべっ、ベタなギャク、言っちゃった。

 最後にもうひとつ、上の記事にも書いたが、このゲームでもジョン・フォックスの粘り強い采配が光っていた。このゲームの第4クォーター、残り5分48秒自陣31ヤード4th&9で、パントを選択しているが、これは好采配だったと思う。0−10で負けていて、残り6分程だと自陣31ヤード4th&9とはいえ、ついギャンブルを選択してしまいがちである。単純にセオリーとして考えても、2ポッジション差残り時間6分程だと、ここでボールを渡す事はそのままゲームセットになりかねない場面である。実際、この時、球場全体からも「ギャンブルせんかい。」的なムードが流れていたし、仮に敗戦していたら、敗因のひとつとして批判されてもおかしくないポイントだった。でも、そこでパントを選択したというのが、フォックスらしい粘り強い采配だった思うし、結果的には最高の形を導き出したと思う。
 数年前、INDとNEとのゲームで同じような場面があり、ここではNEがリードしていたけれども、ベリチックがギャンブルを選択して、結果逆転負けを喰らったのとは好対照である。もちろん、どちらが良くてどちらが間違えていると言う心算は無い。これはスタイルの違いである。ただ、個人的にはこういうシーンで粘りのパントを選択するフォックスが大好きである。

 こういうシーンではギャンブル派とパント派に分かれるだろうが、私はフィールドポジション重視派なので、無論パント派である。この4th&ギャンブルに関してはちょっとした論考がまとまっているのであるが、時宜を見て公開したい。例によって、いつになるか分からんけど。

 さて、フォックスに話を戻すと、先に書いたようにパント派である私は、こういう悪環境下にもめげず、粘りに粘って勝利を引き寄せるジョン・フォックスの采配が私は大好きである。慎重派のティーボーとも、そういった意味では、相性が良いと思う。

 で、次戦はそのニューイングランドとの一戦である。ティーボー対ベリチックである。また、フォックスにとってはスーパーボウルのリターンマッチという意味もあるだろう。また、ブレイディにとっては、全盛期でも唯一分の悪かった苦手のデンバー戦である。間違いなく、今季のレギュラーシーズン・ナンバーワンのカードである。なんで、マンデーナイトやサンデーナイトに差し替えないんだろ。数字獲るで〜〜。女房を質に入れても見なあかな試合やで〜〜。キン肉マン世代以外には意味が分からんな、このギャグ。ダメ押しにもう一丁いっとくか。へのツッパリはいらんですよ。

                                                 2011/12/18
2011年
Week15
12月18日
TEN@IND
13−27
祝・今季初勝利
 「ヒャッホー、今季初勝利だ〜。わーい、わーい。」と無理して盛り上げてみたが、そんなに盛り上がってはいない。「やれやれだぜ。」by空条承太郎というのが正直な感想である。TV放送もないし。まあ、いままでよりは幾分気持ちが晴れたというのは事実ではあるが。

 例によって、TV放送が無いので、ゲームの雰囲気や内容といったものは分かりかねるが、スタッツとハイライト映像から判断すると、リターンタッチダウン&ブラウンの一発タッチダウンという、今コルツが勝つとしたら、この形しかないという形での勝利だったようである。まあ16試合もやれば、一回ぐらいは出るわな。パット・アンゲラーもブラケットを髣髴とさせるようなインターセプト(今季初、どころかキャリア初、何やってんだか。)を決めたようだし、ほんとに「やれやれだぜ。」by空条承太郎である。

 まあしかし、0−16はさすがになかなか難しいね。ライオンズ、つうかマット・ミレン畏べし、である。16回もゲームをすれば、何かの間違いで勝ってしまうもんだわな。ちょうど、この週に、同じく、じゃないか、似たように全勝だったGBも敗北したし、パーフェクトシーズンと逆パーフェクトシーズンというのはホントに難しい。畏るるべきは、ニュー・イングランドとマット・ミレンである。
 しかし、GBがKCに負けるとはさすがに予想できんかった。まあ、カイル・オートンもやらねばいけない理由があるしな。ティーボーの間接的な被害をGBは被ったという訳か。

 という訳で、この1勝により来ドラフト全体1位からは一歩後退したわけであるが、無論まだ先頭を走っていることには変わりは無い。すぐ後ろを2勝のSTLとMINが走っている。その後ろは4敗の3チームである。あと2ゲーム残っているので、もしかしたら上位(下位?)3チームの順位の変動はあるかもしれない。さすがにSTLのQB指名はまず考えられないが、MINはもしかしたらQB、つうかラック指名は有り得るので、ラック獲得レースからはやや後退である。

 とはいうものの、「ラック管見」の項で書いたとおり、個人的にはラック獲得へのテンションはやや下がっているので、全体1位を失う事にはさほど恐怖は無い。STLがコルツの前になりブラックモンないしナンバーワン評価のWRを取られる事のほうが、むしろガッカリかもしれぬ。MINが前にきた場合は、細かいチーム事情はよく分からんが、QBないし、チャーリー・ジョンソンの代わりのLTを指名するだろうから、その時はWR指名で万々歳といったところだろう。全体3位になり、ラック&WRを獲られちゃうと、ちと悲しいか。まあ、まだ先のことなので、どうなるかは全く以って不明であるが。

 まあ、とりあえず今のところは、先に書いたとおり、ラックへの執着はないので、残り2試合勝つなり負けるなり好きにしてちょ。まあ、とりあえずシーズン全敗は免れたのは慶賀すべし、である。ほんと「やれやれだぜ。」by空条承太郎

 さて、コルツ話はこれくらいにして、最近盛り上がっているティーボー話であるが、先週私が適当に煽った今季一番のカードNE@DENは41−23でNEの勝ちでした。ここ最近第4クォーターで最も逆転するチーム対この10年間で第4クォーターに最も逆転されないチームの戦いは後者の勝ちでした。

 第4クォーター云々はともかくとして、ここ最近のデンバーの3つの勝因、ディフェンスの頑張り、ターンオーバーの少なさ、ティーボーの第4クォーターでの爆発、この3つのうちの2つを封じられたので、まあ、この敗戦はやむなしといったところであろう。

 まあ、ゲームそのものは負けてしまったが、デンバー・サイドとしてはかなり収穫の大きかったゲームではなかったのではないだろうか。というのも、ここ数試合でティーボーにフランチャイズを託すだけの目途が立ってきたように思うからだ。さすがに純然たるパサーとしての道は厳しいだろうが、ここ数試合でのポケットでの落ち着きようから察すると、フットボールIQの高いQBであることは間違いないように思う。スローイングのメカニックに問題を抱えていても、フットボールIQさえ高ければフランチャイズQBとして十分やっていけるだろう。

 アーロン・ロジャースやブリーズのようなタイプではないから、オフェンスに粒選りのサポーティングキャストを揃える必要は無いだろう。以前書いたように、TEでもWRでもよいので、自力で大きくオープンを作れるレシーバーを一人用意すれば良いだけだと思う。OLやRBはそこそこで良いと思う。で、その分をディフェンスに回して、今のスティーラーズのようなチームを作ればよいのである。しかも、ディフェンスには既にボン・ミラーという軸になるプレイメイカーがいる。あとはちょこちょこちょこちょここまごまこまごま補強をしていけばよいだけである。20−17、あるいは17−13みたいなスコアで勝つイメージのチームである。しかも、そういうチームを率いるにはジョン・フォックスはうってつけのHCである。懸案はティーボーのケガだけだろうが、ヴィックのようにアクロバチックなランをする訳でもないので、致命傷の危険性は他のQB並みなのではないだろうか。

 ここ最近、というかエルウェイ喪失以来失っていたチームの方向性といったものを、ここ数週間でデンバーは得る事が出来たのではないだろうか。このまま順調に進めば、3年先どころか、来年には既にプレイオフコンテンダーになっていると思う。マンモス西地区の覇権はSDからデンバーに移譲することになるだろう。

 さて、今回はもうひとつ、今度はナイナーズ話である。今週ナイナーズはPITとホームで対戦、3−20で完勝した。私はこの一戦はBAL戦の再現になるかと予想していたのであるが、少々意外な結果になった。GBへの返答だろう。

 内容的にもナイナーズの完勝であるが、私は素直には喜べなかった。アレックス・スミスの力不足をプレイコールで誤魔化した典型的なゲームだからだ。
 こういうゲームを見ると、ハーボーが目指しているところは結局何処なのかという疑問も湧いてくる。1回2回スーパーボウルを獲ればそれで良いのだろうか。まあ、勿論1回2回スーパーボウルを獲れば、それで十分な勲章であろうが、ハーボークラスの器だったら、もっと上を目指してもよいと思うのだ。単にサンフランシスコに栄光をもたらすだけでなく、まさしくビル・ウォルシュがやったような、NFL全体、フットボール全体に大きな貢献をなすような仕事をしてもよい、また、すべきだと私は思うのである。そのためにはナイナーズで王朝を作る必要があるし、そのためにはアレックス・スミスでは全然足りないように私は思うのである。最近の若手ではダルトン・クラスの才能が必要に思うのである。

 それとも、アレックス・スミスのような完全な二線級で王朝を作るというような前代未聞の難事業に挑戦しているのだろうか。私にはハーボーがスミスに拘る理由がさっぱり分からない。それとも、もう既に見切っているのだろうか。

 で、ここからは私の完全な邪推になるが、もしかしたらハーボーは自分以上に才能のあるQBを無意識レベルで嫌っているのかもしれない。所謂スポーツマン特有の嫉妬である。一般的にスポーツマンというのは自分以上の才能を嫌うものだからである。例えば、かつて長嶋茂雄が松井秀喜をサードに据えなかったというのは、最大の理由は勿論松井が身体能力的性格的に外野向きというものだろうが、裏の理由は長島がジャイアンツ史上最高のサードの地位を松井に奪われるのを嫌っていたからだと私は考えている。「そんな女々しい感情をスポーツマンが持つ訳が無い。」という見解もあるかもしれない。しかし、スポーツマンというのは一般に非常に女々しい感情の持ち主なのである。女々しい感情が旺盛でなければスポーツマンとして出世しないといってよいくらいである。男らしい男は大概スポーツはしないものである。

 と考えると、QB出身のHCのもとのQBはシャウブ然りロモ然り、皆二線級ばかりである。唯一の例外はブリーズぐらいか。そのブリーズにしても、マニングやブレイディ・クラスの、あるいはモンタナ・クラスの超一流かといえば、それは違うであろう。アレックス・スミスも無論二流QBであるし、今後一流QBになることはまず有り得ないだろう。

 ただまあ、いずれにしても、ハーボーが今後、スミスをどのように扱っていくのか、私は興味津々である。

                                                       2011/12/21
2011年
Week16
11月22日
TNF
HOU@IND
16−19
まさかの2勝目
 つう訳で、まさかの今季2勝目。久々のTV放送、それも生放送だったので、ダラダラ観ていたのだけれど、最後の決勝ドライブは、あれよあれよという感じで、勝利が決まった時は苦笑いという感じだったです。

 とはいえ、コルツファン、インディアナ州民、そうして何よりオーロブスキーにとっては良いクリスマス・プレゼントになったんじゃないかな。特にオーロブスキーにとっては生涯最高のクリスマス・プレゼントになったんじゃないだろうか。「いやいや、もっと良いクリスマスがあったよ。」とか言われたら、それまでだけど。

 試合内容そのものは、いかにもシーズン終盤らしい、怪我人過多&プレイオフとドラフトを見据えた様々な思惑が交錯する事から生ずる、乱戦になり、シーズン通して弱かった、正QBを欠いたインディと、ここ最近弱くなった、正QBを欠いたヒューストンとの対戦で、より弱い事に慣れているインディが勝ったみたいなゲームだった。特に、最後の、まあファールちゃあファールだけど、細かいファールを悉く採られて決勝タッチダウンを許したドライブは、敵ながら気の毒だった。勿論誤審ではないけど、「お前ら風紀委員か。」って感じである。「ピッピッピッピッ、笛鳴らしやがって。」(実際はフラッグだけど、)。この試合のMVPといってもいい活躍を見せていたJ.J.ワットなんて、ホントに気の毒だった。

 この最終ドライブのファール過多がHOUの表面的な敗因だけど、真の敗因はやはり、その自慢のゾーンブロックが全然機能し無い事によるものだろう。イェーツ(なんと甘美な響き!)にディープが無い事から、インディのセイフティ陣が安心してランを止めに来て、ブロッカーよりタックラーの方が数的に優位になり、完全にゾーンブロックが崩壊していた。確実に3〜5ヤード獲れるというのがゾーンブロックの最大の売りだけれども、あれだけロスタックルが多いと、どうにもならないだろう。それでも、スタッツ的にランが出ていたのは、これは完全にフォスターの個人技である。彼が単純なゾーンブロック用のランナーでは無い事を証明したと思う。

 ただまあ、これだけゾーンブロックが崩壊しているというのは、イェーツにディープが無いという事だけが理由ではないようにも思う。ヒューストンの細かいチーム事情はよく分からんが、OLそのものにも何か理由があるのではないだろうか。ケガとか疲労とかでOLそのものが劣化しているのかもしれない。いずれにしても、ヒューストン自慢のゾーンブロックがこれだけ機能不全だと、初めてのプレイオフは単なる思い出作りに終わってしまう。アンドレ・ジョンソンは強行出場するのだろうが、それでも厳しい結果に終わってしまうのではないだろうか。あとはフォスターの獅子奮迅の活躍を期待するだけか。浅倉南地区代表として頑張って欲しい。

 さて、目を我等がインディに転じてみると、まあ別にどうって事は無い。正直、勝っても負けてもどっちでもよいゲームだったので、この勝利に特に何の感慨も無い。私は同地区との対戦での勝利は厳しいと予想していたのであるが、この2連勝はちょっと意外だったというぐらいである。シーズン終盤というのは、上に書いたように、怪我人過多&プレイオフとドラフトを見据えた様々な思惑が交錯する事から乱戦になりがちなのであるが、同地区内の意地よりこの乱戦模様の方が上回ったという事だろう。勉強になりますた。

 インディ戦は久々のTV観戦だった(Week7のNO戦以来なので7試合ぶりか!)ので、何か変化はあったのかなあと思ってみていたのであるが、特に何も無かった。前ゲームのMVPといってもよいブラウンを二番手起用するなど硬直的な人事・采配も相変わらずである。
 その中で唯一の変化は、最近一部のコルツファンの間で話題になっているI−フォーメーションのたようであるが、この試合を見た限りでは、あまり機能しているようには見えなかった。アダイはプレイスタイル的にFBを上手く使うタイプではないし、同じ事は、このゲームではあまり出番がなかったが、デローン・カーターにも同じ事が云えるだろう。まあ強いて云えばドナルド・ブラウンがI−フォーメーション向きと云えるかもしれないが、見ているとやっぱりFBを使うのはあんまり上手そうな感じではない。むしろ、アダイ同様邪魔な感じである。ブラウンの場合は、自らオープンフィールドを探す、ないし作っていくタイプ、自由奔放に走っていくタイプなので、FBは却って視野や走路を妨げるだけのものになるのかもしれない。

 FBやブロッカーを上手く使うというと、最近ダラスでプチブレイクしているデマルコ・マーレーや、かつてのショーン・アレキサンダーのようなノロノロ派グズグズ派RBだろうが、そういうタイプのRBは今のコルツにはいない。必要かどうかも微妙である。
 ただまあ、コルツの件はともかくとして、FBという、このかつて絶滅危惧種だったポジションはNFLで復活するように思う。ただ、そのFBというのは従来よくあるようなランブロック専門型ではなくヴァーサタイル型だと思う。ブリッツピックやボールキャリー、それもショートヤーデージ専門型ではなく、ある程度の距離も走るタイプ、そうしてパスレシーブにおいても、単なるスクリーンプレイ専門ではなく、どんどんダウンフィールドにも下りていくタイプ、時にはスロットにもセットするような、むしろ万能型H−バックといった感じの選手である。すなわち、ナイナーズのデレニー・ウォーカーのような選手、あるいは同じくナイナーズのケンドール・ハンターみたいな使い方をされる選手である。

 FB話はひとまず措いといて、次はコルツ2連勝の殊勲者っぽいオーロブスキー話である。こんな機会でもなければ、彼のクォーターバッキングについて論評する事も今後無いと思うので、記念に書いておきたい。

 このゲームのオーロブスキーを見ていて、何より強く思うのは、とにかく投げ捨てが異常に多いという事である。ちょっと危ないと思うと、すぐDBの届かないところ、そうして勿論WRも届かないところに投げてしまう。私なんかは、「もう少し勝負してもよいのにな。」と思うところが多々あった。
 この「投げ捨て癖」が、このゲーム特有の戦略なのか、オーロブスキーのハイスクール時代あるいはカレッジ時代の教育指導の賜物なのか、それとも元々の彼の性格によるものなのかは、皆目分からない。ただまあ、今のクォーターバッキングを続けている限りは、あくまでバックアップ留まりジャーニーマン留まりだろうと思う。なんというか、保守的というより、むしる教科書的といって良い様なクォーターバッキングである。一昔前のQBというべきか。もの凄く初歩的なクォーターバッキングといった感じである。アメリカにそんなような本があるかは知らないが、「まんがフットボールのひみつ」とか「フットボールなぜなに大百科」みたいな子供向けフットボール教本には、このようなクォーターバッキングが推奨されているのではないだろうか。

 経歴を見ると、コネチカット州出身のコネチカット大出身なので、ターンオーバーを徹底的に嫌う所謂東海岸式のフットボールが叩き込まれているのかもしれない。
 天衣無縫のギャルソンよりも、基本に忠実なウェインとの方が相性が良いのも、そういった意味では自然な事なのかもしれない。

 ただまあ、いずれにしても、来年コルツのロースターには残っていないだろうなあ、さすがに。

 さて、その来年のコルツの話になるが、ミネソタが今週勝利した事により、今ドラフトのトップ2位以内が確定したようである。
 もちろん、ミネソタが3勝なので、最終週コルツが勝ってミネソタが負ければ、3勝で並ぶ訳だが、今季直接対決が無いため、対戦相手の強さがドラフト順位を決める指標になる。となると、NFC北地区に所属するミネソタとAFC南地区に所属するインディとは、特に調べなくても、ミネソタの対戦相手の方が強い、すなわちミネソタのドラフト順位が下がる事は自明である。ミネソタがインディを上回る事は無い。
 問題は、同じく直接対決が無く、NFC西地区に所属するセントルイスだろうが、こっちは正直めんどい。1位になるか2位になるかは、ややこしい条件が残っているのであるが、天文学者じゃあるまいし、1週間後には完全に分かる事を調べるのは馬鹿らしいので、興味のある方はご自身で調べて下さい。どっかのマスコミが計算していると思います。

 とはいえ、全体1位を争うのはSTLなので、これにてラック指名はほぼ確定的である。STLがトレードダウンをすれば、また話は違ってくるが、そういうややこしい話はまだまだ先の話なので、ここでは割愛する。ラックの評価がダダ滑りするっていう事も十分ありえるし。アーロン・ロジャースと似たようなタイプなので、この可能性も無くは無いと思う。私自身の見解も、このサイトで何回か書いているように、そんなにラックを高く評価しない。とはいえ、みんながいいって云うのなら、全体1位なり2位で指名することに異存はありません。根が優柔不断なんで、えへへ。
 私の性格はともかく、実際、指名するとしたらWRかQBになると思うので、ブラックモンないしナンバー1評価のWRが残っていたら、ラックないしナンバー1評価のQBと迷うかもしれぬ。まあ、まだ4ヶ月先の話であるし、エントリーも完全に確定している訳でもないから、何を言っても埒が明かぬのだけれども。

 あと、一部で盛んに話題になっているラックとマニングの共存は難しいという説があるが、私はこの意見には与しない。サラリーキャップ的に難しいと言われれば、勿論話は別で、その場合はラックを残さざる得ないが、純粋にフットボール的な意味では十分共存可能である。今をときめくアーロン・ロジャースだって3年寝かされているし、ほとんどの人が忘れてしまっているが、リバースだって2年寝かされているのである。サイドラインにいることが、そのまま勉強になるかは一概には云えないだろうが、2,3年のサイドラインが我慢できないようでは、QBとしてチームを勝利に導けないだろう。

 サイドラインの勉強はともかく、マニングのクォーターバッキングを間近で観る事、一緒にQBミーティングに参加することは、これは間違いなく勉強になると思うし、これを学習できないようではQBとして話にならぬと思う。
 また、マニングのケガの状態から類推しても、来季はほぼ間違いなくリハビリの一年になるだろうから、1年目のラックに出場機会が全く無いという事にはならないと思う。必ず、何処かでアンダーセンターの座が回ってくるだろう。下手すりゃ開幕早々かも知れぬ。そのアンダーセンターの座も大ベテラン、サタディのも元なら大安心、まさしく揺りかご同然だろう。もしかしたら、ポラックが務めているかもしれんが、その時は御愁傷様って事でひとつ宜しくお願いします。

 という訳で、ラック指名早々、マニング放出には個人的には反対である。1年くらいは一緒にやって良いと思う。モンタナ−ヤングより年齢的にも離れているので、そんなには問題にはならないだろうし、双方にとって益のあることになると思う。

 あと、これは、全く以って、私の個人的な意見というか希望になるが、マニングにはもう一年コルトとしてやって欲しいという願望がある。なぜなら、マニングがこのままコルツを去ってしまうと、マニングのコルトとしての最後のプレイが、「ロールアウトからのブレア・ホワイトへのパス&失敗」というマニングらしからぬプレイになってしまうからだ。だからこそ、マニングらしいという言い方も出来なくは無いが。

 こんなとこで、今季のコルツ話は終了かな。来週のJAX戦は当然TV放送は無いし。ご愛読有り難うございました。なんじゃそりゃ。

 最後にひとつ、ティーボーイストとしてティーボー話。ここにきて連敗し始めたが、さすがに普通のQBっぽい事をし始めると、いきなりターンオーバー連発だし。小心翼翼とやってきて成功して、一転、大胆苛烈になって失敗するという、よくあるパターンである。ここ2戦はティーボー、そうしてデンバーにとって、自分達の姿を確認するという意味で、良い薬になったと思う。ジョン・フォックスとティーボーなら、このクスリを活かせるだろう。

 BUF戦では、ターンオーバーが連発した事、ディフェンスではランディフェンスが主体になったためにボン・ミラー&デューマビルが封じられたの2点も痛かったが、デンバー連勝の隠れた要因であった、キッキングでフィールドポジションを有利にする、少なくとも不利にしないという武器が、寒冷地という事で封じられたという事も痛かったと思う。ただ、これは西地区のデンバーなので大きな問題にならないだろう。

 つう事で、今年の書き込みはこれにて終了します。年明け9日ぐらいまでは更新はしない予定です。つって、何かあったら書いちゃうんだけど。コルツ的にも個人的にも、そうして日本的にも本当に2011年は酷い一年だったので、その2011年がもうじき終わってくれて、ほんとに「やれやれだぜ。」by空条承太郎です。ここにきてのコルツ連勝&ラック獲得確定を来年への吉兆としたい。

 では皆さん、ほんとに良いお年を〜〜。いや何より俺。

                                        なんか冷やされる。  2011/12/27 

 今年はもう終わりと書いた舌の根も乾かぬうちに、また書いてしまう。それも実にどーでもよい事を。

 オーロブスキーがコネチカット大出身という事で、コネチカット大の事を調べるっていう程の事でもないが、関連記事みたいなのをダラダラ読んでいたら、ドナルド・ブラウンもコネチカット大出身という事に気が付いた。んで更に、コネチカット大の所属するビッグ・イーストの記事をダラダラ読んでいると、問題のシラキュースを初め、ラトガーズやシンシナティというコルツファンには御馴染みの名前が並ぶ。ビッグ・イースト多くね。ウェスト・バージニアはいないのかなと思ったら、パット・マカフィーの出身校だったりする。んで、ピッツバーグはクリント・セッション。ビッグ・イースト多くね。

 今までシラキュースシラキュースと散々書いてきたが、よくよく見たら、ビッグ・イースト多くね。まあ、統計学的な根拠は何も無く、単なる印象でしかないが、ビッグ・イースト多くね。

 これがSECとかビッグ10みたいな強豪カンファレンスならともかく、ビッグ・イーストって中堅どころでしょう。まあ、中堅どころでも良い選手を沢山輩出するのかもしれないが。

 という訳で、コルツファンに一種の謎掛けのようなものを残し、本年を終わりとする。もしかしたら、コルツファンにとっては当然至極の常識で、単に私だけが気付かなかっただけなのかもしれないけれど。

                                        今日は仕事で大失敗。  2011/12/29

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