2012年 Conference Chanpionships |
1月22日 SF@NYG 17−20 |
ハーボー兄弟、ともにカンファレンス決勝で散りましたね。ひとりはFGを外して散り、ひとりはFGを決められて散った。 私の予想は、勝敗的にはSF@NYGが当たり、BAL@NEが外れという結果になったが、内容的にはむしろ逆、SF@NYGが外れ、BAL@NEが当たりという感じだった様な気がする。 時間的には前後逆になるが、SF@NYGのレポートから。 私はこのゲーム、内容的にはハーボーの奇策が、空回りというか、生真面目なNYGに少しづつ吸収され、ちょっとづつ点差が離されていき、試合終盤では、3FGs差19−10みたいなスコアで、そこから意地で1タッチダウンを返すも、オンサイドキックをきっちり回収されて万事休すみたいな展開を予想していたのであるが、さすがに試合終盤6分を切ったあたりで17−17で同点という展開は意外に予想できなかった。 確かに、試合終盤で同点となれば、もともと膠着しやすいカンファレンス決勝のような舞台ではますます膠着するだろう。どっちかがリードしていれば、当然負けている方が何らかの仕掛けを強いられるので、様々な形でゲームは動くだろうが、同点だとなかなか両チームともに動けなくなる。 私はそれでも、ジャイアンツは、ウィットナーの裏あたりを狙って、パント扱いのINT覚悟でディープを放り込むかと思っていたが、さすがにサックからのファンブルロストが恐かったのか、それも無かった。ハーボーも、それまで1人リバース的な事が失敗に終わっていた為か、動かずじまい。 となれば、当然両チームともに、敵の自滅、すなわちターンオーバー狙い、それもリターナーのファンブルロスト狙い、となれば、試合序盤でパントリターンでまさかのダイビングキャッチを見せたカイル・ウィリアムズが第1候補となってしまうだろう。ウィリアムズのファンブルロストが出た時、見ていた人の多くが「ああ、やっぱりな。」と思ったのではないだろうか。結果、そこで試合終了、となった。 このゲーム、その試合序盤のダイビングキャッチのほかにも、ボールチップなど、リターンプレイではちょっとおかしなプレイが目立ったカイル・ウィリアムズが、結果的には戦犯という事になってしまった。こういう選手は、試合序盤で交代させておいた方が良いという意見もあろうし、賛否両論だろうが、私はかつて、今季のインディのゲームで同じようなファンブルロストでデローン・カーターを交代した首脳陣を批判したように、そういう懲罰的な人事は反対である。ミスしたぐらいで交代させられていたら、選手は何も出来なくなる。ハーボーは、このゲームを失ったが、代わりに選手からの信頼という掛け替えの無いものを得た。 とはいえ、明らかにターンオーバーが勝敗を決するような展開だった以上、ハーボーはもう少しリターナーにボールセキュリティを徹底させておくべきだったという批判はあろう。ジャイアンツ側のリターナーやRB陣がほとんどゲインを諦めているようなセキュリティの徹底ぶりとは好対照であった。まあ、この辺はコフリンに一日の長があったというよりは、両者の性格の違いというべきだろう。 規律の締め具合というのは意外に難しい。あんまりきつく締めれば選手から反発されるし、ほどほどの締め方でもゲームに意外性が無くなる。特に、今のナイナーズのような、きっちり守って、オフェンスは意外性頼みみたいなチームだと、きつい締め方は却って致命傷になる。今回はそれが裏目に出たという事か。因果は廻るという奴である。年貢の納め時という奴か。 あと、今回のカイル・ウィリアムズの件で言えば、交代させなかったのはプレイヤーへの信頼という一面もあるだろうが、交代要員そのものがいなかったという点もあるかもしれない。本来、SFの正リターナーはテッド・ギン・ジュニアであるからだ。彼が前の試合で怪我をしていなくなってしまったというのも地味に痛かったかもしれない。このゲームでもギンギンならそのままタッチダウンに持っていけそうなリターンが何回かあった。 という訳で、今季の主役のもうひとり、ジム・ハーボーはここで終わった。しかし来季はどうするのかねえ。アレックス・スミスとは契約更改するようであるが、どんな契約にする心算なのか、興味津々である。何と今季は、どっちからの要望か分からぬが、1年契約だったそうだ。 あと、来季も、こういうアクロバチックな采配で勝負する心算なのかという点にも大いに興味がある。前にも書いたとおり、こういういかにもQB上がりらしいアクロバチックな采配は私は個人的には大好きであるが、正しい采配かと問われれば、それは違うと思う。チームというのは、それこそNYGやGBのように、チーム力そのものを上げて、なるべく采配に頼らず勝っていくのが理想であるからだ。大下弘のノーサイン野球がひとつの理想だろう。キャプテン・カンバックも良いけれど、序盤でリードして逃げ切る、逆転の無いゲームこそ理想だろう。 ただまあ、NFLの場合、これは次回に書く予定であるが、プレイオフに入れば、奇抜な采配が必要になるのも、これまた事実ではある。ただまあ、それはまた別の話。 2012/1/25(水) |
1月22日 BAL@NE 20−23 |
ヴィンス・ウィルホーク、気が付くと、とんでもない体になっとるのお。お前は一体何を目指しているのだ。パット・ウィリアムズ先輩。土俵。最終的にはチョンマゲ結う気か。 エデルマン、働かされ過ぎ。時間外労働多すぎ。完全に超過勤務やん。お前こそ、ストライキしろ。世間全てがお前の見方になるわ。解説の板井さんが、「経費削減じゃないすか。」って言っていたけど、さすがに給料3倍貰わないとやってらんないよなあ。実際、何らかのインセンティブがあるのだろうけど。無かったら、「殺す気か。」by上島竜平 オチョシンコ、すっかり消えちゃったな。この日は、父親の葬儀の為だったらしけど。それはともかく、まさか、エデルマンにまでポジション奪われるとは思わなかったよなあ。不良が、なんかの間違いで、進学校に入っちゃったら、段々リーゼントが恥ずかしくなってきちゃったみたいなパターンか。裏地の刺繍、解き始めるみたいな。 ボンタ・リーチ、名前呼ばれ過ぎ。確かに呼びたくなる気持ちは、嫌って程良く分かる。私が実況だったら、連呼し続けるわ。1日も早いWWE入りを強く望む。FBやってる場合じゃない。 最近の冬のジレット、天候崩れんのお、どういう事。前の記事でも書いたが、あいつら天候操作できんの。でも実際、5年先3年先の天候を読んで、チーム作ってそうだのお。いやマジで。 今回の、というか今回もAFC決勝はBAL@NEになった訳だが、前回も書いたが、その内容はひとまず措いといて、もう飽きた、この辺のカード。ここ10年くらい、BAL、NE、PIT、IND、SDの5チームばっかりで決勝争っているんだもの、この5チームに+1、もしくはこの5チームから1チーム落ちて+2みたいなプレイオフばっかりなのだもの。結構バラエティに富んでいたNFCのプレイオフとは大違いである。SDとINDは凋落気味であるが、AFCの他の11チーム、奮起を願いたい。 コルツの新HC、チャック・パガーノ・51歳に決まりましたね。前BALのDCという事で(このゲームも指揮していたのか。)、今時ブリッツ・ハッピーみたいな戦略はまさか採らないだろうが、来季のコルツはブリッツがディフェンスの大きな柱になる事は間違いなさそうである。いずれにせよ、カバー2解体というのがパガーノの大きな使命になることは間違いないと思う。と言って、来季はガチガチのカバー2をやっていたら、大笑いだけど。 それはともかくとして、ディフェンス畑出身の51歳のおっさんと言う事で、私は内心ホッとした。34歳・オフェンスの鬼才みたいのが来たらどうしようかと思って、内心ビクビクしていたのだ。無難な良い人事だったと思う。内容的にはともかく、経歴的にはコーチ稼業の経験豊富な人みたいなので、NFLのHCは初めてにせよ、今のややこしいコルツの状況下で、粘り強く仕事をしてくれると思う。ボルチモア出身というのも、ひとつの安心材料だろう。これで、キレ易い人だったら、大笑いだけど。 今の今まで気付かなかったが、私はこれまでコルツのオーナー、IRSAYをイーセイ、もしくはイーゼイと特に何も考えずに日本語表記してきたが、冷静に考えてみたら、もしかしたら、アーセイ、ないしアーゼイが正解なのかも。と思って、早速、NFL公式ページ日本版を覗いてみたら、がっつりアーセイと表記されていた。ウィキペディアには発音記号が紹介されていなかったので、正しいところは良く分からないが、アーセイが正解なのかも。つーか、一部の隙も無くアーセイなのかも。現地の発音は聞いた事が無い、正確に言えば、聞いた記憶が無いので、正解は全く分かりません。 しかし、この語頭の「I」というのは本当に曲者だと思う。コルツのOLはアイジャラーナで、NBAのスーパースターもアイバーソンなので、「アイ」が正解なのかなと思うと、ナイナーズのOGはイーウパティだし、シクサーズのフォワードはイグダーラだし。州名もアイオワ、アイダホときて、アイが正しいのかなあと思えば、いきなりイリノイだし。そうしてインディアナ。法則が分からん。以前、何処かでその法則を聴いた気もするのだが、完全に忘れてしまった。 英語圏だと「アイ」で非英語圏だと「イ」になるのか、アイルランドとイタリアみたいなもんか。つーか、文字通りちゃんと発音せい。特にイギリス人、好き勝手に発音しやがって。どこまで自分勝手な民族なんだ。 アルファベットを使う民族は一度みんなで集まって話し合いをして、統一発音法を製作せい。外国人には訳分からん。まあ、この語頭の「I」は後ろが無声音だと原則「イ」で、有声音だと「アイ」になるっぽいが。 と、しょーもない話柄8連発から入ってみたが(下から二つ目はしょーもなく無いけど。)、AFC決勝BAL@NEのレポートである。 ゲームそのものの印象は、解説の河口さん(NHKBSとGAORAの両方見ちゃった。)も言っていたが、地味だけど面白い試合といったところだろう。地味だけど面白いのか、面白いけど地味なのかは、意見の分かれるところであろうが。河口さんがどの順序で言っていたかは、忘れちゃった。 と、本題に入って、いきなり話題を逸らして大変申し訳ないのであるが、気が付いている人は気が付いていたと思うが、過去の記事で、私は「解説の河口さん」と書くべきところを、普通に「解説の河田さん」と書いていた。ペンや鉛筆で書いていれば、「手が滑った」的な言い訳も出来るだろうが、キーボードなので無論そんな言い訳は出来ない。変換ミスでも当然無いし。読者の皆さん、そうして当然読んでいないだろうけど「解説の河口正史様」、大変失礼しました。どうも済みませんでした。お詫び申し上げます。 しかし、何で間違えたかなあ。スラムダンクの河田雅史とイメージがダブったかなあ。いやいや、そんな事は無い。完全に単なるミスである。 気が付いている人は既に気が付いているだろうが、このサイトではこの手の凡ミスが多々ある。人名や物の名称、数字の単位など、結構間違っている。ゾーンブリッツとゾーンブロックとラヒーム・ブロックの混同なんていうのは日常茶飯事である。誰かの給料か何かで、単位をとんでもなく間違えていた時もあったし。フットボールなんかしている場合じゃないというぐらいの高額の給料を支払っていた。ン十億ドルみたいな。 そのほか、これは3,4週前の記事だったと思うが、ウェイド・フィッリプスとグレッグ・ウィリアムズを間違えていた。これは1週間後くらいに気が付いたのだが、さすがに血の気が引いた。んで、こっそり直しちゃった。明敏な読者諸氏は当然気付いていたであろう。 しかし、ウェイド・フィッリプスとグレッグ・ウィリアムズ、何で間違えるかなあ。確かに元ビルズのHCのDCという共通項はあるにはあるが、それだけっちゃあ、それだけである。ウェイド・フィッリプスとグレッグ・ウィリアムズ、語呂が似てる、いや、似てない似てない。リチャード・ジェファーソンとジェイソン・リチャードソンみたいなもんか。 まあ、至極簡単な結論を云えば、単に私の脳が老化しているというだけの話であるが、う〜む、病院行こうかな、保険適用されんのかな。A.C.グリーンとA.J.グリーンなんて、もはや区別ついとらんし。現代の医学で治るのかな。 という訳で(どういう訳だ。)、本サイトにおいては、誤字脱字、句読点の打ち間違い、タイプミス、名前・数字等の勘違いは多発しております。「何か、おかしいなあ。」と思ったら、皆様の頭の中が、ズバリ正解です。修正しつつ、お読み下さい。なんじゃそりゃ。読者の皆様が、同時に校正係です。校正料は一切支払わんけど。 と、結構とんでもない発言をしちゃった訳であるが、それはともかく本題に戻ろう。カンファレンス決勝の話である。 カンファレンス決勝というのは今季に限らず、どうしてもこういう展開になるのは致し方ないところだと思う。これがスーパーボウルだと、同じくレベルの高いチーム同士の戦いながらも対戦経験が少ないので、多少思わぬ展開にもなろうが、カンファレンス決勝だと、レベルが高くて対戦経験も豊富なので、どうしても互いの長所を消しあうような展開になりやすい。地味な試合になるのは致し方ない。 これはNFLに限らず、どんなスポーツ、さらには将棋や囲碁のような知的スポーツにも同様のことが言える。ちなみに私はボクシングの世界戦などはまず見ないが、極々まれに深夜TV放送される今日の4回戦みたいな番組はついつい見てしまう。プロとはいえ、4回戦レベルだと、ポカポカポカポカ子供のケンカみたいで実に面白いのだ。また、世界戦レベルのボクサーがどれだけ高い技量を持っているのかというのも、逆に良く分かる。スポーツというのは高いレベルのゲームのを見るのも勿論大事だけれども、低いレベルのゲームを見るのも、これはこれで大事なのである。 日本のフットボール関係者が、よくアメリカへコーチ留学に行くが、カレッジやNFLの高いレベルのゲームを観戦するのも勿論大切であるが、アメリカの子供やそこらのおっさんがやっているフットボール、少年フットボールや草フットボール(あるのか?)も欠かさず見てきて欲しいと思う。そういう低いレベルのゲームこそ、日本ではまず見られないものだからだ。そうして、そういう低いレベルのゲームこそ、却ってゲームの輪郭をくっきりと見せるものであるからだ。 カレッジやNFLで流行の戦術や練習法を学ぶのも大変結構であるが、そういう低いレベルのゲームの観戦こそ、ゲームの本質の理解に最も役立つものだと思う。そうすれば、わざわざ流行の戦術や練習法を学ばなくとも、それらは自分達で生み出せるようになる筈だ。日本の解説者、ティーボー全否定のような恥ずかしい事も無くなるだろう。 閑話休題、BAL@NEに話を戻す。 このゲームは、NE有利みたいな評判だったらしいが、戦力分析の達人ベリチックはNE不利と見ていたと思う。その証拠は第2クォーター終盤残り58秒からのニーダウンであり、ショートヤーデージでのQBスニークの連発である。 前半終了間際のニーダウンは、勿論得点より失点を恐れての事であり、QBスニーク連発はより確実に得点したいという意図の表れだろう。いずれも自軍が不利と見ていた証拠だと思う。 ベリチックのゲームプラン的には、とにかく点差が開かないように慎重にゲームを進め、敵の自滅を待つ、みたいな感じだったと思う。そういった意味では、前半から点差を開く事を主眼にした先週のDEN戦とは正反対のゲームプランだったと思う。 そうして、そのゲームプラン通り、事は運んだ。試合終了後、ベリチックが珍しく興奮気味に喜んでいたのは、勿論スーパーボウル出場もあろうが、それより自軍のゲームプランがまんまと嵌った事を喜んでいたのではないか。ベリチック的には、会心の一局とでも謂うべきゲームだったと思う。世間一般的には、その地味なゲーム展開からいっても忘れられがちなゲームになるだろうが、ベリチック個人的には思い出深いゲームなると思う。 しかし、ベリチックの彼我の戦力分析の正確無比には、毎度の事ながら恐れ入る。ベリチックの門下生は、他チームに移ると失敗連発であるが、それはこのベリチックの長所がこの正確無比な戦力分析にあるという理由からだと思う。ウォルシュのWCOとかパーセルズのボールコントロール、バディ・ライアンのブリッツ・ハッピーなどは、いわゆる戦術なので他人に伝えやすいが、ベリチックの戦力分析というのは専ら個人的な能力なので、なかなか他人に伝える、伝授するというのが難しいのだと思う。本当に貴重な才能である。 その戦力分析は今年のNEは弱いと弾き出しているのであろう、今年のブレイディにはスニークが多い。スニークといえば、かつてはブレイディの専売特許で、私はマニングの3rd&ショートからのショットガンと対照してからかった事もあったが、モス入団あたりからめっきり減り、私は寂しく思っていた。まあ、ブレイディの方から「もう、スニークは勘弁してくださいよ。僕もオールプロ・プロボウル常連なんですから、恥ずかしいですよ。」的な嘆願もあったのだろうが、それが今年になって増えてきたというのは、ベリチックがチーム力に不安を感じている証拠だと思う。その不安なチームで、スーパーに出場しちゃうんだから、それはもうさすがとしか言いようが無い。 そのチーム力の不安とは直接関係は無いだろうが、今年のNEのランの捨てっぷりはハンパない。このサイトを通読して頂いている方にはご存知の通り、私はポリアン直系の極パス派、「ランを出し、ランを止める。」なんて考え方はとうの昔に終わっとるわい、という過激思想の持ち主であるが、その極パス派の私の目から見ても、今のNEの極パスっぷりはハンパない。火炎瓶を持っている自分が恥ずかしいぐらいである。あいつら、バズーカ砲持っとるもの。 グリーン=エリスが形の上ではエースRBなのであろうが、世間も当の本人もグリーン=エリスがエースRBとは思っていない。エースはエースだろうがRB扱いされていない。完全に味付け程度の使用である。裏のプレイにすらなっていないという感じである。TEやエデルマンに平気でキャリーさせるし。RBという専門職を否定しているような観すらある。 私自身の意見としても、RBの一巡上位指名や大物FA獲得に関しては、完全に否定派であるが、さすがにRBという専門職そのものの否定にまでは至っていない。まあ、確かに、同じバックス陣でも、RBよりはFBやHバック的なポジションの方が、これからのフットボールでは重要度を増すとは予想しているが、さすがにRBというポジション、ハーフバックというポジションの否定にまでは至っていない。残しておいた方が良いと思う。 NEの大好きなフォーメーション、ノーバック・5WR(TEも含む)なども、個人的にはあまり好きではない。アンダーセンターにせよ、ショットガンにせよ、ワンバックは残しておいた方が、ニュアンスが出て、良いと思っている。ブレイディがクイックヒットのパスが大得意なので、RBに持たせるより、そちらの方が生産性が高いと云えば、高いんだろうけど。個人的には、あまり好きなフォーメーションではない。 NEに関しては、こんな感じかな、書き尽くした感も強いしね。 一方、またしても敗れ去ったBALであるが、いろいろな敗因は考えられるだろうが、結局のところは、3度もFG圏内に入りながら無得点に終わった第4クォーターが全て、というか象徴だろう。解説の河口さん述べていた通り、また私の戦前の予想通り、ゲームそのものはボルチモアのゲームだったと思う。でも、敗戦。その敗因という訳でもないが、その象徴は件の第4クォーター、特に最終ドライブだったと思う。 この最終ドライブ、FG差、残り時間1分40秒ほど、自陣20ヤード前後からのドライブという事で、NFCのディビジョナル・プレイオフNO@SFを想起された方も多いと思う。同じく野外球場だし、タイムアウトの数は、SFひとつ、BALふたつと相違があるが、ほとんど同じシチュエーションといって良いだろう。まあ、もっとも、決定的な違いがひとつあって、ホームとロードの違い、それに何よりゲーム展開的に、球場内のテンションが全く違っていたと言う事である。ロックバンドのコンサートと氷川きよし、、あっ、こりゃ同じか。ロックバンドのライブとM−1回戦(見た事無いけど、)、あるいは校長先生の朝礼ぐらい違っていたという事である。 で、結果的に云えば、SFはご存知の通り、アレックス・スミスの一世一代のイかれたドライブで逆転決勝タッチダウン、一方、BALはフラッコーが軽快に教科書通りの2ミニッツ・オフェンスを見せたものの、32ヤードFG外しで終了。「これぞ、フットボール。」とまでは言わぬが、「これがプレイオフ。」とは云えるであろう。 フラッコーのドライブは、フットボール大学校2ミニッツ・オフェンス講座という授業では絶賛されるドライブであったろうが、結果は負けである。リー・エバンスが悪いと云えば、それまでだろうが、ああいう大事、というか超大事な場面で落球してしまうのが、NFLに限らず、長らく弱いチームでやってきた選手の最大の特徴である。私はこういうシーンを嫌っていう程見てきた。勝ったから良いようなものの、NO@SFのウィットナーも同様だろう。彼等は、「優勢」と「勝利」の違いが分かっていないのである。だから、大事なところで軽率にミスをするのだ。これがボルディンだったら、何が何でも、決勝タッチダウンのボールを確保していた事であろう。 そう云えば、昨年もBALはハッシュが落球してシーズン終了となった訳であるが、これは昨年の記事にも書いたとおり、それまで全然投げていなかったハッシュに、大事なところで突如投げたフラッコーにも、その責任の一端はあるだろうが、今回のエバンスは、それまでもそこそこ投げられていただけのフラッコーに責任は無い。全面的にエバンスの責任である。彼の心に生涯暗い影を残すであろう。 という訳で、この最終ドライブに限らず、このゲームを通じて、フラッコーは良い仕事をしていたと思う。責められるべき点は無い。でも結果は敗戦。 私はこれまで、戦力充実していながら、勝ちきれなかったのは、永遠の包茎野郎フラッコーに全面的に責任があると思っていたのであるが、このゲームを見て、考えを改めた。フラッコーにも勿論責任はあるだろうが、ハーボー兄(今回、SFの話が出ているので、混乱を避けるため、こういう表記をします。ご了承下さい。ジム・ハーボーとジョン・ハーボーで逆に混迷を深めるだろうし。)にも責任がある。 やはり、そのあまりに保守的なプレイコールがプレイオフを勝ちきれない大きな要因だと思う。今回、それを強く感じた。ハーボー兄の、このゲーム、というかプレイオフ、それもここ数年のプレイオフの采配に目立った欠点は無い。しかし、就任4年間で内3回AFC決勝(!)に進出しながら、結局スーパーボウルに出れていないというのは、ハーボー兄の采配に責任があると云われても致し方ない事だと思う。 では、その采配の何が原因なのかと問われれば、このゲームの第4クォーターに象徴される保守的な采配が全てだと思う。勿論、32ヤードFGを外したカンディフが一番悪いといわれれば、それまでだろうが、勝てなかったのはこの年ばかりではない。 ハーボー兄の采配を見ていて、あのマーティーボウルと云われたショッテンハイマーを思い出したのは私だけではあるまい。もっとも、私がNFLを見始めた頃のショッテンハイマーは既に「保守的保守的」とあまりに批判されすぎて、プレイオフでは、逆に第1クォーター・ファーストシリーズ・自陣から4th&ギャンブルをしてしまうというような、ほとんどノイローゼ気味のコールになっていた。本人ももはや何が何だか分からなくなっていたのだと思う。 では何故、保守的な采配がプレイオフでは勝てないのかというと、これは良く分からない。「保守」の定義は「かつて成功した事と、同じ事をする。」だと思う。まあ、中には「成功していなくても、かつてと同じ事をする。」というような頭カッチカチの保守もあるだろうが、それは数少ない例外で、一般的には、先の定義「かつて成功した事と、同じ事をする。」で問題ないと思う。 で、この定義の前半の部分「かつて成功した事」という点が、16試合といえども、ある程度ゲーム数をこなし、なおかつ負けても良いレギュラーシーズンではモノを言うのだと思う。 ところが、プレイオフだと、この定義の後半の部分「同じ事をする。」がネックになり、敗因のひとつになるのだと思う。「同じ事をする。」ということはすなわち、それだけスカウティングがし易く、対策を立てやすくなり、その裏をかくような一発勝負の采配で対応できてしまうからだ。これが「保守」のプレイオフに弱い理由だと思う。確率論は、サンプル数が多くなければ、意味を成さぬという訳である。 また、私がここ7,8年ほどNFLのプレイオフを見ていて、はっきり分かった事は、プレイオフを勝ち抜くために最も必要なのは、巷間よく言われているような「強力ディフェンス&強力ランオフェンス」では全然無く、何らかの意外性だという事である。自分達の力以外の何か、自分達の力を超える何かが必須だということである。プレイオフにまで駒を進めるくらいだから、12チーム全て皆それぞれ強く勢いもある。それらに差をつけるとしたら、意外性しかなくなるのだと思う。 意外性とはすなわち、09年のコルツや昨年のGBのような強運(敵の自滅や組み合わせの妙等々)、あるいはファーブやロスリスバーガーが時折見せるような定石無視のギャンブルプレイ、そうして今年ハーボー弟が見せたような一か八かのギャンブルコールなどである。教科書通りやっていたのでは、いつまでたっても勝てない世界なのだと思う。例えば、06年のコルツがNEとのAFC決勝で見せた、およそマニングらしからぬQBスニークでのタッチダウンなどは、その好例だろう。あのゲームは前半で6−21とリードされた事から、ダンジーとマニングが逆キレ気味に出鱈目なコールや采配をして勝利を呼び込んだゲームだったと思う。ただ、惜しむらくは、その経験がその後のダンジーとマニングに全然活かされなかったという事であろう。何かもう訳が分からなくなって、いろいろやったら、奏功したという感じのゲームだった。 と、このように書くと、ではこの10年間で最も勝っているコーチ、ベリチックの場合はどうなるのだという疑義が自然発生するだろうが、ベリチックこそ、およそ最も保守的でないコーチであるといえよう。あまりにいろいろな事をやるので、逆に保守だか革新だか、当人も含めて、誰もが訳が分からなくなってしまっているくらいである。先に書いたRBの件やエデルマンの件がその良い例であろう。ベリチックがやっているから、皆自然に受け入れているが、あれと同じ事を他のチーム、例えばコルツがコリーをニッケルで使ったりしたら、それこそ蜂の巣をつついたような大騒ぎになろう。ブレイディがかつて開幕当初シーズンアウトした時、ベリチックは平然とマット・キャッセルをスターターにしたが、あんなのも他のチームだったら、今年のコルツのように、大概泡喰って、訳の分からぬベテランQBと契約して失敗するのがオチである。そもそも、ブレイディ自体がマット・キャッセルのように登場してきた訳であるが。 まあ、尤もベリチックの場合は、そういう保守や革新という点は全然念頭に無くて、その時その時で最も正しい方法を模索し実践しているのだろう。並の人間にはほとんど不可能な事である。成功例が無い事を実践するというのは優秀な頭脳の持ち主の特権である。この世のほとんどの人は隣の人と同じ事、あるいはその裏をかいて逆の事をやるくらいで精一杯だからである。自分自身の頭脳で正否を判定するというのは、事実上、並の頭脳には不可能な事である。 その自分の頭で考えてきた成果というのが、この11年間で実に5度目となるスーパーボウル出場だろう。しかも、、その時期は3つに分けられると思うが、ブレイディという唯一の共通項を除けば、それらは事実上全く別のチームである。レシーバーで例を挙げると分かり易いが、ブランチ時代、モス時代、グロンコウスキー時代と分けられよう。この5回のスーパーボウル出場時の正RBをサッと言える人は、かなりのパッツマニアといって良いだろう。ちなみに私は言えない。 10年近く勝ち続けるチームというのは、NFLに限らず、まま見られるが、このように、、それぞれ形を変えて勝ち続けたチームというのは非常に稀なのではないだろうか。私はちょっと他に例が思い浮かばない。コルツも10年くらい勝ち続けたチームであるが、基本的なメンバーはそんなには変わっていない。ハリソンがギャルソンに変わり、エッヂがアダイに変わったくらいである。勿論、他にも変わっているポジションもあるが、それはまあ戦略上の理由というよりはサラリーキャップ上の理由であろう。そもそも先に挙げた両名も戦略上の理由ではない。手っ取り早く云えば、チームのスタイルそのものは、洗練されど、何も変わってはいないのである(CBとDTの職能はマイナーチェンジしているが、)。その時々により、、チームのスタイルそのものまで変えたペイトリオッツとは、その点が決定的に違う。これは、ベリチックのみが為せる芸当だと思う、本当に。 ハーボー兄批判から、いつのまにかベリチック賛歌に変わってしまったが、HCとしてのハーボー兄に、このゲームでちと限界を感じたのは事実である。HC更迭も有りだと思う。 で、今、本サイトの掲示板でも、ちょっと「HCの仕事とは何か」的な議論になっているので、このハーボー兄の件も合わせて、ちょうど良い機会なので、「HCの仕事」というコラムを書きたいと思います。ただ、次回はペイサーズの事について書きたいし、次はスーパーボウルなので、3週くらい先になると思います。もうちっと、お待ち下さい。 という訳で、スーパーボウルはNE対NYG、つうかブレイディ対イーライ@ルカス・オイル・スタジアムという、ペイトンさんにとってはどちらが勝っても苦虫噛み潰す結果になるという、しかも地元インディアナポリス開催という、あまりにもペイトンチックなカードになってしまいました。その、あまりの巡り合わせの悪さ、つーか、ここまでいくと良さに、私などは逆に凄味すら感ずる。しかも、自身はIR入りはしなかったものの事実上のシーズンアウトだし。勝負弱いとか、もはやそういうレベルの話ではない。コルツファンの私は、逆にサディスティックな悦びすら感じてしまうくらいだ、マゾヒスティックではなく。 どっち応援するのかねえ。とりあえず弟か。抜かれるか、イーライに、優勝回数。いつのまにやら愚兄賢弟か。北野家のパターンか。実家、帰りにくくなるなあ。 しょうがない、ブレイディ応援すっか、実家帰りたいし。でも、ブレイディ勝ったら、結論出ちゃうなあ、4回対1回じゃなあ。再三云っているように、単純に技術だけの勝負なら、明らかにマニングだと私は思うが、QBの価値は勝利数という観点からすると、結論出ちゃうなあ、完全に。つーか、世間的にはブレイディのライバルは、もはや完全にモンタナになっとるし。世間的には結論出ちゃってるのか。 で、勝敗予想であるが、これは難しいのお。何というか、両チームの接点が無いという感じである。噛み合わせが悪いというか。試合を紐解くキーポイントが無いといった感じである。となると、このプレイオフ、敵の自滅で勝ってきたNYGに乗るべきか。でも、NEもAFC決勝では敵の自滅で勝っているし。難しいのお。とりあえずはっきりしているのは、ペイトンさんが負けるという事だけである、これは確定。 つう訳で、予想は無しで。勘でどっちと言っても意味ないし。分からんものは分からんのです。あっ、そうそう、インディアナ州兵がNEの面々をインディアナ州に進入させないに1票。全員銃殺、いやいや拘束。 何だか、随分長くなっちゃった。本当は先週の土曜日あたりにアップする予定だったのが、いろいろ書いていたら、ここまで押しちゃった。いつの間にか、プロボウルも終わっとるし。 とか書いていたら、コールドウェル、レイブンズ入りかの一報が。 2012/1/31(火) |
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2012年 SuperBowl |
2月5日 NEvsNYG @IND(ぐぅ) 17−21 |
さて、これで「ペイトン、煮え湯を飲まされるボウル」は終了した訳であるが、ざっと観戦記みたいなものを書いてみたい。 私は上の記事で、今回のスーパーボウルは予想の手がかりめいたものは無いと書いた。とは言っても、まったく何も予想せず、ゲームを見たわけでも無いので、まず、その予想、というか見立てめいたものを書いてみたいと思う。終わってしまったゲームの予想を書くというのも、おかしな話ではあるが、私は卑怯な事が大好きなので書いてみる。 とにかく、今回のスーパーボウルの特徴は、先の記事にも書いたとおり、はっきりとした構図が全く無いという点である。例えば、昨年のスーパーボウルのような、「PITのランは必ず出る。それを止める手立てはGBに無い。GBが勝つとしたら、何らかの大きなリターンが必要になる。」というようなものがまるで無い。 こういう場合は、分からない事は考えても無駄なので、分かっている事を確認していくことが必要になる。 とりあえず、このカードではっきりしているのは、NEのディフェンスが弱いという事である。それもその弱さの原因が、スキームや人事にあるのではなく、タックルミスという、謂わば最も療治しがたいディフェンスの欠点なので、これはどうしようもないだろう。NYGのランやRACは必ず出る。すなわち、NYGのオフェンスは進む。 一方、NEのオフェンスであるが、これもそれなりに出る。NYGのパスラッシュが厳しいみたいな説は多いが、今季のNEは2007年の時とは違って、モスへのディープがオフェンスの軸では無い。TEやウェルカーへのショートパス中心のオフェンスである。パスラッシュの驚異は、さほど無い。となると、NEのオフェンスもそれなりに進む。 また、フットボールの大きな要素であるターンオーバーであるが、規律のしっかりした両チームであるから、一つ二つのターンオーバーが出たところで、モメンタムを失うという事はまず無いだろう。さすがに5つも6つも出れば、話は別だが、この両チーム、そういうチームでは無い。稀なケースだろう。 となると、結局、勝敗を決するのは、展開的な原因、勝負の綾的なものになるのでないだろうか。最終ドライブ、特に残り5分あたりで、どちらのボールになるかというのが重要な意味を持つだろう。そのオフェンスの成功・不成功で勝敗は決する。得点的には、上にも書いたように、両チームともに、そこそこオフェンスは進みそうなので25点前後での決着となる。ただ、両チームともに、ディープにガンガン放り込むスタイルでは無いので、大きなリターンが無い限り、30点以上取る事は無いだろう。 というのが、私の予想というか見立てであった。あと、これは、予想というか、単なる期待であるが、土壇場でオチョシンコがおいしいところを掻っ攫ったら面白いなあと思っていた。 もうひとつ、これはアングル的な興味であるが、コフリンがパーセルズの嫡男、謂わば正室の子であるのに対し、ベリチックという、パーセルズの側室の子、鬼っ子の対決という興味もあった。 という見立て、というか気分で試合観戦したのであるが、その予想は当たりもしたし外れもした。21−17という事で、思ったより得点が伸びなかったというのが意外だった。これは、NEディフェンスが頑張った、タックルミスが少なかったという事が原因のひとつであるし、NEオフェンスにドロップやコントロールミス等のパスミスが多かったという事がもうひとつの理由であろう。時計の進み方というのは、結局は操作できないので、この結果も致し方なかろう。 残り3分46秒でNYGのボールになったというのが、結果的には勝敗の分かれ目になった。NEサイド的に見れば、その前のドライブで、何が何でもTDやFGに持っていきたかったであろうが、まあ、しょうがないだろう。タラ・レバを言い出したら、切りが無い。 実際、このゲームは展開次第ではNE勝ちの目も十分あったろう。試合終了後、ベリチックが珍しく激昂していたが、あれは最後のヘイルメアリーがパスインターフェアではないのかという抗議もあろうが、それ以上に、勝てるゲームを落としたという悔しさから来るものだろう。AFC決勝は、負けるゲームを拾ったという印象だろうが、このゲームは逆に勝てるゲームを落としたという印象ではないだろうか。 あと、これはNEサイドへのいちゃもんという訳でもないが、一種の要望として、逆転された後の最後のドライブ、17−21、残り57秒、自陣20ヤードから、タイムアウト残りひとつという状況で、NEは割りにディープへのパスを多用していたが、ここでは、思い切って、今シーズンずっとやってきたショートパスの連打を多用してみても面白かったのではないだろうか。思わぬRACも出たかもしれんし。NYGのDLに対しディープ多用は無謀だったと思う。っつても無理か。ショートパス中心で、1分間で80ヤード進むというのは、さすがに厳しいか。 んなとかな、ゲームそのものの感想は。派手さの無い、玄人好みの地味なゲームだったと思う。でも、これでAFCは3連敗。力的にはAFCの方が上のような気もするが、ここ数年勝てんのお。来季は何が何でも勝て。 ゲームの感想は、こんなとこではあるが、個々人の感想を少し。 このゲームでも大活躍したビクター・クルーズを始め、NYGのWR3人衆であるが、共通して云えるのは、皆ルートランに甘さがあるんだよなあ。同じ事はNEのグランコウスキーにも云えるのであるが(グランコウスキーはTEだからしょうがないけど、)、みんな、ルートランニングがグダグダなんだよなあ。 で、このゲームで、最もルートランが上手かった、惚れ惚れするような切れ味鋭いルートランニングを見せたのは、1キャッチに終わったオチョシンコだったりするのは面白いところである。ルートランニングというのは、そのままスタッツには結び付かないんだよなあ。少々ルートランニングが下手でも、プレイコールやQBの力で何とかなってしまう。ポリアン直系の私は、レシーバーにもハンドとルートランを厳しく求めるのであるが、ルートランに関しては考え方を改める必要があるかもなあ。フットボールに限らず、洗練された技術は意外に役に立たぬという好例か。 このゲーム、MVPは当然のようにイーライになった訳であるが、その選考に私も異論は無いけれど、裏のMVPとしてパンターのウェザーフォードを挙げたい。彼の再三再四に渡る好パント、10ヤード以内連発がブレイディを側面から苦しめたと思う。ウェザーフォードをMVPにしても良いくらいだったと思う。パンターはさすがに選びづらいか。 でも、ホント、最近のパンターは皆優秀だよ、このウェザーフォードのほかにも、アンディ・リーとかコルキットとか、良いのが当たり前みたいだもんな。しょぼいのはパット・マカフィーぐらいだ。 私がNFLを見始めた7,8年位前は、とりあえずパンターは高く遠くに蹴っていれば良いみたいな感じだったけれど。いまや、コントロールパント当たり前、バックスピン当たり前、10ヤード以内当たり前、20ヤード以内だったら逆に怒られるみたいな感じだものなあ。なんつーか、本当にサイファーズがパンターの技術、そうして価値を押し上げたと思う。 さて、そのウェザーフォードを押しのけてMYPに選ばれたイーライであるが、昨年のロジャース同様、早速イーライ賛美が始まっているようである。例年の事なので、いまさら起こる気にもならんし、イーライというのはむしろ、どこかでも書いたが、その下の名前故に過小評価されてきた選手だと私は思っているので、評価が上がったのは良いことだと思うが、その評価、あまりにいい加減じゃね。何を基準に嵌めたり貶したりしているのだ。昨日まで、ブレイディを史上最高のQBとか云っていたくせに。要するに、目の前の結果だけか。勝てば官軍か。 大体人間の能力なんていうのは、十代の子供はともかくとして、20歳を過ぎたら、そんなに大きく変わるものではない。私もン十年近く生きているが、20歳を過ぎて体力や技術が劇的に変化した例なんていうのは見た事が無い。まして、頭脳や性格は不変である。結局人間の能力は20歳を過ぎたら大きく変わる事は無い。体力なんかはむしろ落ちていく一方である。トレーニングというのは、体力向上の為というよりはむしろ、体力維持の為にやるものである。 では、そういうほとんど変化しない人間の結果が変わるのは何故かと云えば、まあいろいろな理由はあるだろうが、大概は環境の変化とか、環境に慣れたとか、ちょっとした技術を身に付けた、すなわちコツを掴んだとか、一工夫加えたとか、些細な要因がほとんどである。何らかの形で結果が出たプレイヤーなり人間なりを、「進歩した」とか「成長した」とか「ゾーンに入った」とか「調子が良かった」とかいう言葉で片付けるのが、私は大嫌いである。まあ、確かに調子が良いという状態はあるけれど。人間というのは、そう簡単に「進歩」したり「成長」したりはしないものだ。つうか、ほとんどしない。 特に、最近マスコミの間で流行っていて、私の大嫌いな言葉に「進化した」という言葉がある。「日々進化している」なんて言葉を使う奴もいる。いいか、「進化」っていうのはなあ、「種」そのものが変わる事を言うのだ。人間が「進化」したら、人間でなくなってしまうのだ。異性とセックスしても、子供が出来なくなってしまうのだ。一種の比喩として使っているのだろうけど、言葉は正しく使え。 実際、今季のイーライ、このゲームのイーライに話を移しても、はっきり言って、そんなに大きくクォーターバッキングが変化している訳ではない。このゲームでも、あわやインターセプトみたいのところに結構放っていて、危なっかしさは相変わらずである。ペイトンだったら、まず投げないようなところである。まあ、ペイトンの場合は、そこが問題でもあるのだけど。 また、そのほかのメカニックやフットワークなんていうのは、これは昔から良かった。 では、そのイーライがここにきて結果を出し始めたのかと云えば、それはやはり環境の変化が大きいと思う。年々年上になっていき、リーダーシップを出し始めたという点もあるだろう。でもそれより何よりイーライにとって大きかったのは、いつかも書いたが、ショッキーの離脱だったと思う。かつては何かというとショッキーにばっかり投げていて、結果狙われるという形になっていたのだが。ショッキーが離脱した事により、投げ分けせざる得なくなり、結果的に「成長した」のだろう。ショッキーにとってはともかく、イーライにとってはまさしく怪我の功名である。例のミラクルキャッチが、ショッキーではなく、タイリーだったというのは、その象徴だろう。 もっとも、何故イーライが勝てるようになったのかという最大の要因は、ジャイアンツというチーム自体が勝てるようになったという事に尽きる。もともと、勝てる要素をもったQBだったイーライにチーム力が追い付いた、補強に成功したというべきだろう。 あと、最後のブラッドショーの決勝タッチダウンだが、私は、あの場面、残り時間が1分あるという点を考慮すれば、ベリチックは思い切ってわざとタッチダウンを獲らせちゃうかなと思って見ていた。まあ、20ヤード前後とはいえ、もしかしたらFGを外す可能性もあるので、さすがにそれはしないかとも思っていたら、、NEディフェンス陣の動きを見ていると、どうもワザとさせたっぽい。 一方、ジャイアンツ側もタッチダウンするなという指示をしていたようで、結果的になんか変なプレイになってしまったが、まあタッチダウンしちゃうよね、あれは。正解はおそらく、ゴールライン直前で何らかの形でダウンをしてボールを確保、時計を見ながら(かなり難しいと思う。いろいろな時計があるから、見間違う可能性が高いと思う。)、敵ディフェンスがコンタクトしないようなら(こういう場合、レフリーがゲームを止めるのかもしれぬ。)、残り3秒くらいでタッチダウンをするというプレイだろうが、そんなややこしいプレイ、あんな大事な場面で出来ないっつの。一生に1度、やるかやらないかぐらいのプレイだろうし。あれで、戦犯になったら、ヤッテランネー。 そうしてそのシーン、コルツファンにとってのみ懐かしいトニー・ウゴーがジャイアンツのエリジブル・プレイヤーとしてゲームに出とったな。これでチャンピオンリング獲得か、そう来たか。コルツファンにとっては思わぬ攻撃だな。恐るべきは「ペイトン、煮え湯を飲まされるボウル」つう事か。 んなとか。いろいろ長々と書いてきたが、今回のスーパーボウルを一口で云えば、「いやー、まいった、まいった、ユカイ、ユカイ。」byペイトン・マニングという事に尽きるだろう。 2012/2/7(火) |