インディアナポリス研究会

歴史

戦評 '11シーズン

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Week5 10月7日
GB@IND
27−30
 しかし、ゴキブリ食って死亡って。まあ、直接的な死因ではないのだろうけれど、少なくとも表面的には、「ゴキブリを食べて死亡」という事になるのだろう。面白すぎる。私の知る「死因トップ1」の座を奪ったね、こりゃ。今までの一位は秘密。まあ、優勝して死んだのだから、「我が人生に喰いは無し」だろう。全世界に報道もされたし。コイツの葬式に猛烈に参列したい。

 しかし、「ゴキブリ大食い競争」って。企画段階で止めろよ。「待て待て。」にならんのか。「イケルイケル。」になってしまうという、しかも開催できるだけの参加者と観客がいるという、さすがフロリダ州。こういうマヌケな事件は、大概フロリダ州で発生するんだよね。
 フロリダ州というのは、税制というか法律というか、それらが特殊で、結果、全米から悪人どもが集まり、謂わばアメリカの掃き溜め的になっているという話を昔テレビで見たことがある。しかも、地形がまた、アメリカの掃き溜め的なんだな、これが。
 更に、そこに、中南米からボートピープル、不法移民が上陸してきて、州全体がファンキーなムードになっているらしい。そういうムードの中から、マイアミ大ハリケーンズは出てきたと考えると、なんだか感慨深いものがある。いや、深くはないか。

 そんなファンキーなムードとは何の関係も無いGB@INDであるが、そのゲーム評に行く前に、ちょっと、GB話をひとつ。

 私は、ここ数年、GB&ロジャース批判を繰り返してきたので、GBファンの方はかなり気分を害しているだろうが(GBファンの人は読んじゃいないか。)、その言い訳をする訳でもないが、私は別にGB&ロジャースが嫌いな訳ではない。好きな訳でもないけれど。
 ただ、私がここ数年、GB&ロジャース批判を繰り返してきたのは、彼等が嫌いだからではなく、彼等への過大評価に異を唱えたかったからなのである。

 ここ数年のGB&ロジャースへの過大評価は異常だったと思う。確かに前々シーズン、優勝したけれども、この10年近くの優勝回数で言えば、NEやPIT、NYGの方が上だし、我等がコルツだって、同じく1回優勝している。プレイオフへの出場頻度でいえば、コルツやBALの方がはるかに上だろう。また、プレイオフでの勝率なら、BALやNYJの方が上である。ロジャースのGBは優勝したシーズン以外はいずれも初戦敗退である。また、昨シーズン、開幕ン連勝したけれども、開幕連勝記録だったら、それこそ我等がマニング・コルツの十八番である、つーか、あった。

 また同じく、ロジャースのクォーターバッキングへの評価も高すぎると思う。昨季の記録ならば、ブリーズやスタッフォードだって、同水準のものを残しているし、キャリア全体の実績でいえば、マニングやブレイディには遠く及ばない。

 つう訳で、実績という点で言えば、GB&ロジャースを上回るチームやプレイヤーはいくらでもあるのに、何故かGB&ロジャースは絶賛の嵐である。批判記事はまず無い。

 では、何でこんな過大評価が生まれるのかとつらつら考えてみると、答えはひとつ、パッカーズが人気チームであるからだと思う。我が国の巨人がかつてそうであったように、人気チームというのは常に過大評価されがちである。数年前、同じく人気チームであるダラスが過大評価されている時期があった。スーパーボウル制覇間違いなしみたいな雰囲気であった。ロモがQBで、OLは時代遅れの重量型、私はこんなチームで勝てる訳が無いと思っていたのであるが、案の定、10勝前後で、プレイオフに出る出ない程度の結果だった。

 まあ人気があるのは、それはそれで結構であるけれども、その人気と実力を混同して欲しくない。かつての巨人がそうであった様に、人気と実力は別物である。それを混同し、人気があるから強いんだみたいな物言いをするファンや評論家が私は大嫌いである。異を唱えたくたる。なかには、「巨人が勝つと景気が良くなる。」みたいな訳の分からん事を言い出す輩もいる。私はこういう多数派であることが正しさの根拠であると思っている連中が大嫌いである。若い時ほどではないにせよ、今でも胸がムカムカする。

 しかも、その巨人の人気とやらは、巨人ファンが自負していた数よりは全然低かったのは、昨今のジャイアンツ戦のテレビ視聴率から一目瞭然である。かつての巨人戦の視聴率を支えていたのは、巨人ファンだけではなく、残り11球団のファンも含めた、謂わばプロ野球ファン全体だったのである。それが30%前後の正体だったというのは、衛星放送やケーブルテレビの発達した現在、完全に判明した。この世の大部分の人間は科学的精神を全く欠いていて、それはそれで仕方の無い事であろうけれども、少なくとも、それを戒める気風は持っていて欲しいと思う。

 てな事を、このGB@INDの前に、この観戦記事で書こうと思っていたのであるが、INDが勝っちゃったので、嫌味以外の何物でもなくなっちゃいました。その嫌味具合を薄める為に、ゴキブリ記事をタイムリーに挿入してみたのであるが、あまり効果は無かったみたい。GB@ロジャースの過大評価が嫌いつうのは、間接的にGB&ロジャースが嫌いつう事にもなる訳だし。しばらく、GB&ロジャース嫌いになっておくか。

 しかし、勝っちゃうかねえ。私が上の文章を用意していたのも、この一戦は九分九厘、どう足掻いてもコルツが負けると踏んでいたからである。コルツが負ければ、こういう批判記事も、負け犬の遠吠え的に書き易いと思っていたのである。読んでもらい易いと思っていたのである。でも、火に油、藪から棒、馬の耳に念仏になっちゃった。いや、最後のは違うか。

 ちなみに、私は開幕前の記事で、今季のコルツのスケジュールは、勝てそうなとこと、まず勝てそうも無いところが、くっきり分かれていると書き、そのチーム名は、敢えてという訳でもないが、とりあえず伏せておいたのであるが、誰が見ても一目瞭然、いわば公然の秘密みたいになっているので、それをぶっちゃけると、初戦のシカゴは負け、続くミネソタ、ジャクソンビルは勝ち、このグリーンベイは負けと予想していた。ちなみに、次のジェッツ戦も負けと予想していたが、勝ちの芽が出てきたみたい。

 さて、そういった前置きはともかくとして、このゲームの感想である。私はこのゲームの結果を知ってから、TV放送を観戦したのであるが、その感想を正直にいうと、「いまいち盛り上がらなかったな。」である。結果を知った時、かなり嬉しかったので、そのテンションのまま、かなり期待して、TV放送を見たからなのかもしれないが、気持ち的にはいまいち盛り上がらなかった。なんかもっとエモーショナルなゲームを予想していたのであるが、意外に地味だった。現実は観念に如かずという奴か。

 このTV放送のハーフタイム中、私の胸に去来したのは、「このゲームをもし生で観戦していたら、一体、私はどういう気持ちでこのハーフタイムを迎えただろうか。」というものであった。「まだまだイケル。」なのか「こりゃ勝てそうもねーな。」なのか。解説の松本さんは「このままだと、42−6で終わってしまう(すなわち前半の倍)。」みたいな事を言っていたが、私も同じ感想を抱いたのだろうか。

 この手の逆転試合を、結果を知った上でテレビ放送を見た場合、良くある感想が「おいおい、このゲーム、ほんとにここから逆転したのか。」みたいのものであり、確か昨シーズンのデンバーのゲームはそういうのが多かったように記憶している。ただ、このゲームの場合は、そういう気持ちはあまり湧かなかった。結果を知っていたにせよ、である。なんかちょっとした事で逆転できるんじゃないかなあと、ハーフタイムでは思っていた。少なくとも、ゲームを完全に支配されているという印象は無かった。

 そのちょっとした事がパワーズのINTかどうかはよく分からぬが、とにかく後半コルツはあっさり逆転し、そのまま、しれっと勝ってしまった。コルツが勝ったゲームというよりは、パッカーズが負けたゲームといった方が良いようなゲームであった。

 パワーズのINTが転換点と云えなくも無いが、弱小との対戦で、ひとつのターンオーバーくらいで勝利を逃がすようでは真のエリートチームとは言えないだろう。先にも書いたような過大評価と話は連なってくるが、ここまで上手く隠れていたパッカーズの真の姿が、今季、はっきり露呈してきたとも言えなくもない。ロジャース以下、総点検が必要だと思う。次週のテキサンズ戦で、もしも大敗するような事があれば、周囲の雑音も大きくなってくるだろう。

 実際、サタディあたりが、もう既に戦犯扱いされているようであるが、それはさすがに酷というものであろう。確かに、昨シーズンと今シーズンの明確な違いはサタディという事になるだろうけど、引退も間近いセンターに、それを押し付けてもねぇ。実力なんか、入団前から、はっきり分かっていた訳であるし、コルツファンならずとも、サタディは擁護したくなるだろう。

 パッカーズサイドからの見方はこれくらいにして、我等がコルツサイドに観点を移す。

 ゲーム内容はともかくとして、こういうゲームをしれっと勝つという事は、今のコルツが強い証なのだと思う。つうか、ラックが素晴らしいという証である。だって、ラック以外の戦力は、昨季と同等か、あるいは下だもの。それでここまで、2勝2敗、つうか先々週のJAX戦も勝ちみたいなものだから、事実上3勝1敗、で、昨季はご存知2勝14敗、もう昨季に並んどる。その差は何かといったら、結局のところ、ラックしかいない。

 実際、この4試合、また私が直接見た2試合のみで勘案しても、本当に素晴らしいQBだと思う。新人らしいとか、新人らしからぬとかいうような形容がまったく無意味なレベルの出来である。マニングの技術、ティーボーのガッツとリーダーシップ、その両者の知性、それらを合わせ持ったQBになる可能性は大である。現時点では、それらはちょっとづつ彼等に劣るけれども、それらを兼ね備える可能性は十分にある。

 この4試合で見せた2ミニッツになるとオフェンスが進むというのは、それはすなわちラックが深くフットボールを理解している証拠である。2ミニッツになると、ディフェンスはより単純になる為、オフェンスは進み易くなる。野球のバッターがチャンスの時こそ、配給が読み易くなるのと同じ原理である。そこですかさずオフェンスが進むというのは、彼がフットボールを深く理解している証拠といってよい。

 マニングの2ミニッツが傑出していなかったのは、彼の場合は2ミニッツも2ミニッツ以外も、ほぼ同じように敵ディフェンスを解析したからである。謂わば、全てが2ミニッツみたいなもんだったのである。このへんが、マニングの一本調子の理由の一端であろう。

 この理解度というのは、勿論、ラックの知性に拠るところも多いけれども、大学時代のハーボーの教育も大きかったと思う。最近のサンフランを見ていると、それを強く感じる。もしも、ラックが入る大学を間違えていたら、クインやクロウセンのような、しょっぱいQBになっていたかもしれない。彼らもハイスクール卒業時は、同じようなレベルのプロスペクトだった訳である。

 こうしたQBに限らず、大学時代を誰の元で指導を受けたかというのは、その選手のその後を大きく左右すると、最近、とみに思う。フットボール選手にとって、カレッジというのが誰しもおそらく初めて受けるフットボールの専門的な指導であるから、その時の指導というのは、良きにつけ悪しきにつけ、本当にその後の選手人生を大きく左右すると思う。トレント・リチャードソンのプレイスタイルとニック・セイバンは切っても切り離せない関係だろう。

 しかしまあ、ラックがこれだけやれると分かっていたら、先週も書いたけど、グリグソン以下か、コールドウェル以下かはともかくとして、メンツをこんなに大きく変える必要は無かったなあ。クラークを残しておけば、2巡でスロットレシーバーを指名できたし、そうすれば、こんなに苦労する事はなかったろう。OLもディーム以外は残しておきゃあ良かったなあ。マニングとラックを入れ替えるだけで、マニング時代以上の結果を残せたかも知れぬ。ルーキーQBでのスーパーボウルも見えたかも知れぬ。だから、慌てて替えるなつったのに。ハーボー方式で、1年は様子見ぃって言ったのに。

 一方、マニングは、これだけやれると分かっていたのかもしれないな。分かっていたら、そりゃ出て行くわ。教育係という名のバックアップにはなりたくないものな。私がマニングでも同じ行動を採る。

 つう訳で、ラック君、君にはもはや何も言う事は無い。むしろ、「何もするな。」と言いたい。プレイオフに出たい気持ち、ルーキー・オブ・ジ・イヤーを取りたい気持ちは重々承知しているが、今季は手を抜け。そうして、武器の揃った来期、勝負に出てくれ。無理してスクランブルして、脳震盪禍に巻き込まれたら、元も子もない。それこそ、ストラスバーグじゃないけど、50タックル喰らったら、シーズン強制終了の線でお願いしまーす。

 そのラック唯一の武器とも言われるウェインであるが、このゲームでは13レシーブ212ヤードと大ブレーク、意外ではあるが、キャリア初の週間MVPも受賞。この手のスーパースターの反対側というのは過小評価されがちであり、私も過小評価しているのであるが、さすがに週間MVPがキャリア12年で初は意外。

 ちなみに今季はここまで4試合で36レシーブ506ヤードという、かつてのハリソンもいなやという、尋常じゃないペース。このままいくとシーズン140レシーブ2000ヤードになってしまう。また通算記録も、それぞれ何気に、10位以内が見えてきているという。この調子で今シーズンを過ごしたら、ホール・オブ・フェイムも見えてくるという。気が付いたら、何気に凄い事になってきているという。ウェインへの評価が根底から覆るようなシーズンになるかもしれない。がんばれ、ウェイン。

 次はヴィナティエリ。さすがに勤務態度、問題なくない。この調子でいったら、「どーでも良いところ専門キッカー」という前代未聞の理由でロースター枠を使わなくならねばならぬぞ。いや、ほんと、お願いしますよ、ヴィナティエリ様。

 次は、先々のゲームの戦犯として私が挙げたセルジオ・ブラウンであるが、今週はスペシャルチームでいい仕事をしていた。考え無しに突っ込むのは得意みたい。って、それ、セイフティとしては致命傷だろ。でも、スペシャルチーマーとしては無駄にハジケているし、ガヤとしては貴重な存在なのかも知れぬ。でも、セイフティとしては堪忍な。

 次はディフェンス。これはこのゲームに限った事ではなく、プレシーズンのハイライト映像からも感じていた事であるが、ミドルゾーン、スカスカじゃね。昨季までは、人(主にアンゲラー)がいるのにガンガンパスを通されていたのであるが、今季はまず根本的に人がいない。タレント的な意味ではなく、頭数的に無い。その理由は明白で、フリーニー、マシスの両OLBがほとんどパスラッシュしかしていないからである。結果、残った2人のILBでミドルを守る事になり、スッカスカの状態になっている。事実上は、3−4ではなく、5−2になっている。

 3−4ハイブリットって、こんな感じなの。私は、それこそ対戦相手のGBやSFのように、フロント7が変幻自在にパスラッシュしたりパスカバーしたりするのが3−4ハイブリットだと思っていたのであるが、パガーノのイメージは違うのか。まあ、1年目なので正解も分からないし、何とも言い様が無いが、とりあえず1年間見守ってみよう。ディフェンスが崩壊している訳でもないしな。

 最後にもっかいパッカーズに戻って、セドリック・ベンソンについて。

 私はこの選手をシカゴ時代から見ているが、何が良いのかがサッパリ分からん。特にスピードがある訳でも無いし、デイライト能力がある訳でも無し、切れの良いカットがある訳でも無し、ブロッカーを上手く使うわけでも無し、レシーブが上手い訳でもブリッツピックが上手い訳でも無し、まあ一応インサイドランが得意という事になっているが、ジェイコブスやブロントのような力強さがある訳でも無し。一体、何が良いのかサッパリ分からん。それでも全体2位で指名されて、NFLで10年近いキャリアがある訳だから、見る人が見れば、何か良いところがあるのだろう。

 このゲーム、そのベンソンが負傷退場した事がパッカーズの敗因のひとつに数え上げられているが、それは無いと思う。タイムコントロールぐらいなら、2番手3番手でも十分可能だろう。それこそ、ゾーンブロックすれば良いだけの話であるし。

 あと、これはNFLとは全然関係ないが、先程、中日vsヤクルトのプレイオフを見ていたのであるが、山井は、後ろから見たら、球種バレバレだな。まあ、スパイ行為は一応禁止されているので、どーでもいいちゃあどーでもよいのであるが。一応な。

                                        まだ、蚊が出る。2012/10/14(日)
Week6 10月14日
IND@NYJ
9−35
 早乙女ロマンの漫画が猛烈に読みたい。そうして猛烈にツッコミたい。そうしてツッコミ疲れたい。

 シーローの口の開き方がイラつく。シーローのココがイラつくシリーズ。

 さて、ゲームであるが、先週GBに勝ったので、もしかしたらジェッツにも勝てるかなあと淡い期待を持っていたのであるが、惨敗しちゃいました。すいません、調子乗ってました。

 このゲームも先週同様、結果を知ってからテレビ放送を見たのであるが、ここで文章の流れから惨敗と書いたものの、惨敗という程の内容ではなかった。ターンオーバーが痛かったといえば痛かったが、それは仕方が無いであろう。ターンオーバーというのは、出るときは出てしまうものである。

 35失点ラン喪失252ヤードという事で、ランディフェンスが崩壊したのかなと思っていたのであるが、意外にそうでもなかった。先週の記事も書いたように、今のコルツディフェンスは、実質5−2なので、第1列目でランが止まればよいのであるが、そこを抜けられると、LB2名、Sは非体力派2名なので、どうしても20ヤード前後のロングゲインになってしまいがちである。ダンジー時代のコルツ・ディフェンスが常に5ヤードづつ取られていたのに対し、今のコルツ・ランディフェンスは、1ヤード、2ヤード、−3ヤード、23ヤードみたいな感じである。同じラン喪失252ヤードでも中身が違う。ま、失っている事には変わりはないが。

 ただ、これは、ダンジー時代のようにスキームの問題ではなくて、単に人材の問題という感じなので、解決は難しくないであろう。エド・リードやレイ・ルイスのような選手を獲得すればよいだけである。まあ、それが難しいという説もあるが。

 で、話はちょっと逸れるのであるが、この数試合のコルツを見た印象になるのであるが、なんつうか、このディフェンスは劣化版レイブンズ、一方、オフェンスは劣化版イーグルスになりつつあるように思えてならない。
 まあ、強いチームの真似をするというのは決して悪い事では無いけれども、それではいつまで経っても王朝は作れぬという感じもしなくは無い。王朝とまではいかなくとも、一時代を作るチームは、必ず何かしら新機軸を作り出すものである。

 00年代のコルツも、確かにディフェンスは劣化版タンパ・ベイでしかなかったけれども、オフェンスに関しては、マニングを中心としたノーハドル&オーディブルという新機軸を打ち出したと、一コルツファンとしては自負している。コルツがやりだした頃は、批判の多かった戦術だったけれども、それはいまや、ほとんどのチームが標準装備している戦術である。
 まあ、その元祖は90年代ビルズではないかという説もあろうが、少なくとも進化版ビルズであったとは自負している。

 まあ、今のコルツが新しい事を取り入れる余裕は無いのかもしれないが、折角、ラックという強力な武器を手に入れたのだから、グリグソン以下、そういう視点も持っていて欲しいものである。

 で、話はちょっと変わるのであるが、最近、私はドルフィンズのゲームを面白く見ている。オフェンス、ディフェンスともに、プレイコールが物凄く効果的、言葉を換えれば論理的なのである。その卸問屋が誰かは不明であるが、普通に考えれば、新ヘッドコーチのジョー・フィルビンという事になるだろう。

 特にオフェンスは老いたブッシュを除けば、これといったタレントもいないのに関わらず、それなりに成功しているのは非常に興味深い。タレントレベルが低い分だけ、GBオフェンスの骨格がよりはっきり見えるといった感じである。GBオフェンスが、今季いまひとつ機能していないのは、このフィルビン離脱が大きいのではないかと思った。強力チームのコーディネーターが他チームのHCの転進すると、がっかりな結果というのも多々あるのであるが、このフィルビンはどうも本物のようである。

 そのジョー・フィルビンの姿は最近初めて見たのであるが、腺病質の、50年前だったら結核、所謂天才病で若死にしていそうなタイプだった。昨季のハーボーに続き、今季はこのフィルビンに注視したいと思う。

 さて、話をコルツに戻し、今度はオフェンス、つうかラックである。

 今季初めての一桁得点、9点に終わった訳であるが、私は特に心配はしていない。その最大の要因はここまで1ゲームあたり5回ほど使っていたスクランブルが、このゲームは0だった事であろう。これはおそらく首脳陣から止められたのだと思う。なるべく、スクランブルはするなと。私もこれは支持する。

 ただ、スクランブルを禁ぜられ、ブラウンがアウトとなると、ホントに武器はウェインだけになってしまうので、それでジェッツ守備相手に9点は致し方の無い事だと思う。
 ラックは厳しいところに投げ過ぎるというような批判もあるようであるが、レシーバーがフリーにならないのだから投げざる得ないだろう。これで、厳しいところに投げるなと命じたら、ホントに達磨になってしまう。この問題を解決するとしたら、オチョシンコとかチェスター・テイラーといった力のあるベテランFAと1年契約するしかないと思う。まあ、これが現状、ベストの解決法であろう。キャップ枠が無いか。

 話をスクランブルに戻すが、かつて私は何処かで書いたが、今季のラックは、ポケット内のフットワークの洗練、そうして何よりOLのカスタマイズを第一の仕事としてもらいたい。私がスクランブルやロールアウトを嫌うのは、ケガの問題も勿論であるが、それともうひとつ、ロールアウトしてしまうとフィールドが半分しか使えなくなってしまうという点がある。まあ勿論、ロールアウトしてからスローバックという戦術もあるにはあるが、それはあくまで奇策である。
 ロールアウトしてディフェンスを崩してパスを通すという戦術もあるにはあるが、それではいつまで経っても進歩が無い。私がアーロン・ロジャースを評価しない最大の要因がこれである。

 結局は、ポケットの中こそが、フィールド全体を使え、なおかつ最も安全な場所なのである。それこそ、マニングの発見した場所、まさしくペイトンズ・プレイスなのであるから。

 まあ、その肝心のOLがパッチワーク状態という現状では、カスタマイズ以前の問題とも云えるのであるが。つうか、OL、とりあえず試合に出ろ。レンタカーじゃあ、カスタマイズできんわ。

 さて、ラックに関しては、もうひとつ。私がQBを見る第一の視点は「フットワークと、そこから生まれるリズム」であるとは、このサイトで再三再四書いているが、このラックに関する限り、その印象は悪かった。今まで、この理論の例外はなかったのであるが、ラックがこの理論の記念すべき最初の例外かなとも思っていたのであるが、まあフットワークもそんなに悪くないし、リズムを感じないのは、なんかほかに理由があるのかなとも考え、その答えを私は探していた。ガニマタがその理由かなとも考えていたのであるが、このゲームの放送で、解説の板井さんが「ラックの投球フォームは前体重という、基本的には禁止されているものだ。」と指摘していた。

 なるほど、そう考えると全ての説明がつく。なんか、私も見慣れないフォームだなと思っていたのであるが、そういう理由だったのか。さすがに専門家は目の付け所が違う。毎度の事ながら、板井さんの解説は非常に参考になる。

 ラック話はこれくらいにして、オフェンスの元凶、レシーバー陣の話をしたいのであるが、これはもう数試合、様子を見てから、ミッドシーズン・レポートみたいな形でまとめてみたいと思う。まあ、ほとんど結論は出ているのだけれど。

 あと、久方振りの週刊パット・マカフィー。相変わらず、コントロール・パント、打てんのう。サイファーズが標準と化している昨今のNFLパンター業界においては、そんなんじゃ、もう価値ないぞ。今季でサヨウナラかな。

 んで、来週、つうかもう数時間後であるが、次はブラウンズ戦。まあ、勝ち負け云々はともかくとして、2年続けてブラウンズ戦をする日が来るとは、数年前は予想だにしなかったのう。ブラウンズ戦なんて、コルツファンにとっては(ブラウンズファンにとってもだろうけど、)、オリンピックと同じで、歳月の経過を感ずるゲームでしかなかったもんなあ〜。「ブラウンズ戦かあ〜、月日の経過は早いのお〜。」みたいな。当然のようにテレビ放送は無いのでレポートの予定は無し。

                                        やるべき事を先送りする日々。2012/10/21(日)
Week8 10月28日
IND@TEN
19−13
 田中文科相大臣が、例の大学不認可問題で、「大学の数が増えると、質が下がる。」とか云ったとか言わないとかで話題になっているが、この場合、質と数に因果関係はねーだろ。日本のプロ野球が12球団でメジャーリーグが30球団だから、日本の方がレベルが高いとか、ならねーだろ。アメリカの大学数は日本より多い(多分)から、アメリカの大学の方がレベルが低いとか、ならねーだろ。

 数と質の関係なんていうのは、大概の場合、むしろ数の多い方が高くなるつーの。数が少なくて質の高まるのは、下衆なオークションだけで、それも高まるのは金銭的な価値だけで、質は、大概の場合、関係ねーつの。

 更に、その発言を受けたどこぞの大学の学長が、「それは危険なエリート思想だ。」とか何とか発言したというが、ほんと、エリートっていう言葉、好きだね、あんたら。安心しな、あんたらは確実に選ばれていないから。完全にその他大勢だから。

 更に付け加えると、大学なんていうのは、そもそも教育機関なのだから、数が大いに越した事は無いだろう。理想的には、全国民が大学教育を受けられるべきだろう。まあ、経済的な事情で作れないというのなら仕方ないけれど、経済的に許す限り、大学は沢山作るべきだろう。世界で最も大学の数の多い、あるいは規模大きいのは、おそらくアメリカであろうが、それはアメリカの豊かさのひとつの象徴である。

 そう考えれば、入学試験なんていうのは憲法違反といったら大袈裟かもしれないが、社会通念に反するといっても良いくらいである。小学校や中学校に全ての人が入学できるのであれば、高校や大学だって、全ての人が入学できるようにすべきだろう。まあ、学校否定派の私がこんなことを言うのも可笑しな話ではあるが。

 まあ、今更、政治家の頭の悪さを論っても詮無きことであるが、あまりに面白かったので、ついツッコんでしまった。

 さて、我等がコルツ戦である。

 シーズン前、私は今季のコルツのスケジュールは勝てそうなところと勝てそうもないところがくっきり分かれていると書いたが、この@TENに限っては優劣不明であった。勝ち負け両方の目がありえると思っていた。まあ、もっともシーズン中盤となると、シーズン前には予想しにくいファクター、ケガとか新戦力とかを考慮しなくてはならなくなるので、この予想自体が無意味なのではあるけれども。

 で、ゲーム前の私の予想はというと、これもやっぱり優劣不明だった。ただまあ、テネシーのQBに関しては、年齢が頭頂に追い付いたハゲテルベックの方が嫌だった。薄めのLB陣を得意のWCO風味で責められたら苦しむかなと思っていた。一方で、テネシー最大の武器クリス・ジョンソンに関してはあまり心配していなかった。今のDLは、事実上の5−2という事で、横に広がっているのでジョンソンのようなオープンランには対抗できると思っていたからだ。今のコルツ・ディフェンスにとって恐いランナーはジョーンズ=ドリューやレイ・ライスのようなインサイドを突けて、尚且つある程度のスピードのあるタイプである。

 で、実際のゲームはどうだったかというと、あまりWCO風味はなかったし、ジョンソンのランもそこそこに抑え、接戦からの終盤の逆転勝ちという得意のパターンに持ち込めた。これが、今のコルツスタイルであろう。今のコルツに勝つためには、ジェッツ戦のように30点以上を狙ってガンガン点を取りに行く方が得策かと思われる。とにかくラックが異常に勝負強いので、ボールコントロールをして接戦に持ち込むのは最悪のゲームプランの様に思われる。マニング時代とは正反対のゲームプランは必要になる。

 そのラック様であるが、ジェッツ戦の反省からか、この@TEN、そうしてその前のブラウンズ戦と、ある程度はスクランブルを解禁したようである。スライディングとサイドラインに出て終わるパターン、すなわちタックルされないスクランブルは許可したようである。仕方ないわな、そうしないとオフェンス進まないし。ラックも首脳陣もかなりの勝ちたがりのようなので、この判断は致し方なかろう。

 さて、そのほか、このゲームで私が注目していたのは、前のゲームから復帰しているアンゲラーである。カバー2より3−4ハイブリットの方が向いていると私は思っているので、どんなもんかな〜と思って注目していたのであるが、なんか限定的な使われ方みたい。出たり出なかったりしていた。これがケガの影響によるものなのか、そういうスキームなのかはよく分からない。
 一方で、そのアンゲラーの代役と看做されていたジェレル・フリーマンは出ずっ張りの11タックル。首脳陣の信頼は厚いみたい。その経歴といい、体型といい、顔付きといい、まさしくブラケット2世か。

 そのLB陣であるが、このゲームはガチガチの5−2という感じではなかった。ヒューズなんかは、たまに後ろに下がってパスカバーっぽい事をしていた。ちょっとづつハイブリット化していくのか。フリーニー様は相変わらずオープンラッシュ一辺倒だけど。

 一方のDB陣であるが、ジャラウド・パワーズが、どういう経緯かはさっぱり不明であるが、現地の放送局にダメシーン集を作られていた。そりゃ、どんなCBだって、プロボウル級のCBだって、1試合に何回かはやられるだろ。なんで、そんな悪意むき出しのビデオを作られてるんだか。報道陣に評判悪いのか。みんなの大好きなロジャースからINTも奪っとるつの。コルツファンとして彼を擁護しておく。

 最後にこのゲームの主役、ヴィック・ヴァラード。あの最後のプレイ、現地のニュース記事等でコークスクリュー・タッチダウンとか命名され、今週一番どころか、今季一番のプレイではないかと報じられている。まあ、たしかに体が180度回転していたもんな。それも縦ではなく横に。日常生活では絶対有り得ない体勢だったもんな。仰向けで5ヤードぐらい飛んでいたもの。背面横跳びという競技があったら、暫定世界チャンピオンだもの。

 ちなみに、このコークスクリューという言葉、英語ではCORKSCREWと綴るのだけど、直訳するとコルク抜きである。で、面白いのは、このCORK、この一語だけだと、コルクと日本語表記するのだけれど、CORKSCREWと合成語になると、コークスクリューと日本語表記される。コルクがコークに変わってしまう。いつか話題にしたKOLBと似たような綴りだけど、こういうパターンもあるのね。ほんと、言葉って不思議。

 更にちなみに、この時のプレイの名称が「fake-toss-39-taxi-naked-right-screen-left」て言うみたい。このプレイ名に限らず、プレイ名を知るたびに毎度思うが、意味が分からん。他はともかくとして、39TAXIってどういう事。ヴィラードのコードネームみたいなもん。

 テネシー側については、ひとつだけ。DT王国のテネシーがあれだけ中央のランを許したのは意外だった。フィッシャーの抜けた影響か。

 今週はこれくらいにして、次週はドルフィンズ戦である。ドルフィンズのフィルビンに関しては、上の記事にもあるように、私は不気味なものを感じているので、今のコルツをどう料理するのか興味津々なのであるが、惜しむらくはTV放送が無い。今週放送の無い5試合の内にきっちり入っとる。14分の5、すなわち36%の確率できっちり負けとる。コルツファンはともかく、ドルフィンズファンは結構多そうだけどなあ。
 ちなみに翌第10週は全14試合中12試合が日本で放送される予定なのであるが、その放送されない2試合4チームは……、各自調べて下さい。

 我等がコルツは木曜日ゲームという事もあってか、幸い放送がある、シーローの煽りで。コルツ対ジャガーズという、不人気地区の不人気カードで大変申し訳ないのであるが。これ、楽しみにしているファン、日本どころかアメリカにもあまりいないだろ。
 と、不人気カードではあるが、コルツファンとしてはこの一戦は、実力的にも星勘定的にもきっちり勝ちたい。ジャガーズファンの方には申し訳ないが、今季初のマスト・ウィン・ゲームだと私は思っている。ここを落とすと、プレイオフはかなり遠のくかな。

 で、話は全然飛ぶのであるが、最近CSで「おくさまは18歳」をよく見ている。これがIQ低いんだわ。WWE並みにIQ低いんだわ。だから面白いんだけど。

 ドラマにしやすい魅力的な設定なので、リメイクやバリエーションが色々作られているが、実際のところ、この岡崎友紀のオリジナルを越えるのはなかなか難しいと思われる。
 何故かというと、岡崎友紀の芝居が古いんだわ、ダントツに。それも昭和初期とかそういうレベルじゃなくて、無声映画とか初心者のパントマイム・レベルなんだわ、これが。例を挙げると、

 ご機嫌斜めの時は、「腕を片方づつ、大きく組んで、あごを右から左に大きく旋回し、プイとやる。」
 悔しい時は、「拳を握って、右手を大きく振り上げ、おもむろに下に降ろし、モウと言う。」
 怒っている時は勿論、「両頬を大きく膨らます。」

 等々である。勿論、わざとやっているのだけれど、現在、つうか当時でも有り得ないレベルの芝居である。とにかく両手両足、そうして何より両目がくるくるよく動く。「可愛い」にも色々あるけれども、これもひとつの、そうしてかなり大きな「可愛い」であり、それが本作の大きな魅力になり、しいては岡崎友紀の大きな魅力になった。

 もっとも、この芝居は、いろいろな意味で非常に限定的なものなので、その後、岡崎友紀が活躍の場を失ってしまったのも無理からぬ話である。禁断の麻薬みたいなものである。リメイクが難しいのも、それが大きな要因である。

 とはいうものの、この臭い芝居に無茶苦茶なストーリーで視聴者を引っ張るというのは、その後の大映ドラマの骨子となり、大輪の花を咲かせたのだから、この岡崎友紀の芝居には歴史的意義があったとも云える。

 そんな面倒な話はともかくとして、この岡崎友紀を見て惚れない男はいないわ。このカップルを見て、憧れない女はいないわ。チャーミングというのは、こういうものを謂うのだろう。ほんと、チャーミングの権化と言ってよい。もっとも、これを現実にやったら、完全なバカ扱いになるので、女性の方はご注意を。

 ちなみに、このドラマ、モテモテの男子教師役が石立鉄男、その対極にあるサエない男子教師役を寺尾聡が演じている。ギャクだよギャク。

                                                     2012/11/4(日)

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