Week12 | 11月25日 BUF@IND 13−20 |
この週から続く、BUF、DET、TENとの3戦は、力的にも近く、星勘定的にも重要なので、私は勝手に「コルツ試練の3番勝負」と見ていた。3連敗から3連勝まで、星勘定的にも内容的にも色々な結果が考えられるので、今季のコルツの成績を大きく左右する3戦だと思っていた。 また、先週のNE戦を受けて、ラックがどのようなクォーターバッキングを見せるのかという意味でも注目の3戦であった。 その初戦、ビルズ戦に20−13で快勝。幸先の良いスタートを切った。まあ、内容的は快勝とは言い難いかもしれないが、今のコルツの理想的な展開だったとは思う。 今季のビルズは典型的な中堅処のチームであろうから、そのチームに、こういう形できっちり勝てるというのは、今のコルツが中堅処を脱したという証かもしれない。弱い強豪(何だ、それ。)の仲間入りぐらいはしているか。弱い強豪はともかく、トップ10ぐらいの実力はあると思う。 つう訳で、ここまで7勝4敗のコルツであるが、ここにちょっと面白い数字がある。チームの総得失点差が、なんとまさかの−43点なのである。んで、まさかの3つの勝ち越し。ちなみに8勝のデンバー・マニングは+97点、6勝のピッツバーグは+21点だったりする。マイナスで勝ち越しているのは、他には−1点のミネソタの6勝のみである。にしても、−1点。 −40点台というと、ほかにはセントルイスの−49点とアリゾナの−47点があるが、それぞれ4勝である。この−43点の7勝が如何に驚異的かが分かるであろう。逆の数字、すなわち4勝7敗でもおかしくない数字なのである。 かつて、巨人の藤田監督が提唱したバカ負けセリ勝ちが今のコルツの姿なのであるが、マニング時代から随分遠いところに来てしまったものである。 この数字を支えているのが、ひとえにラックの勝負強さ、とりわけ3ダウン・コンバージョンと2ミニッツ・オフェンスの上手さであろう。特に2ミニッツは現役ナンバー1では無いかというぐらい上手い。あくまで私の印象だが、8割方成功していると思う。私の見た中では、こと2ミニッツに関する限りは、ナンバー1のQBであると思う。 さて、そのラックであるが、このゲームは平凡な出来であったが、その平凡な出来でも、かっちり勝利を手にするあたり、さすがと言うべきであろう。NE戦の翌週、謂わば再起戦としては、まずまずの出来だったと思う。特に、ポケット内でのプレイが増えてきたのは良い兆しである。少しづつ、OLが分かってきたか。 ラックに関しては、今季ここまで散々書いてきたので、今回はこれくらいにして、他のコルツについて、今回は書いてみたいと思う。 まずは、フリーマン。 このゲームのみならず、おそらく今季のコルツのディフェンス・MVPであろうが、ほんとまさかの大活躍である。今季、カバー2から3−4ハイブリットに代わって、最も恩恵を受けるのはアンゲラーだと私は予想していたのであるが、まさか、こんなCFLあがりの26歳にスターターを獲られるとは思わなんなんだ。アンゲラー自身が最も驚いている事だろう。プレシーズンでのケガが、まさしく致命傷になってしまった訳だ。 そのフリーマンであるが、その特長は何かというと、まずは何と云っても、ILBの生命線ともいえるブロックの外し方の上手さであろう。ほとんど、ブロックに巻き込まれる事が無い。1年目のアンゲラーが4−3のMLBなのに、なにかっつうとブロックに巻き込まれていたのとは大違いである。雲泥の差である。ブロックに巻き込まれないので、キャリアーに逸早く到達できるのだ。パスカバーは、正直、平凡であるが、ランストップやブリッツでは大きな戦力になっている。 CFLというのが如何様なプレイスタイルのリーグなのかは、さっぱり分からんのであるが、こういう選手がおるのですなあ。こういうのを見ると、MLBやILBをドラフト上位指名をするのがアホらしくなってくる。MLBやILBというのは、おそらくフットボールという競技の中では最も層の厚いポジションなので、ドラフト下位やドラフト外でも十分スターター級がいるのである。代表格がロンドン・フレッチャーであり、コルツ的にはブラケットやこのフリーマンという事になるのだろう。ロブ・モリスやアンゲラーなんていうのは無駄なピックだった訳である。 MLBやILBというのは、他のポジション、例えばQBやCB、DTなどとは違って、特殊な能力、例えば体格とか敏捷性とか精神力といった特殊な能力を必要としない、謂わばスポーツマンだったら誰でも出来るポジションなので、こういう層の厚さが生まれるのだと思う。同様の事は、TEやSにも言える。 しかし、このフリーマン。只今のコルツでは、フリーニー、フリーナー、フリーマンとフリー三段活用みたいになってしまっとる。どんだけ自由が好きなんだか。尾崎豊か。アメリカ人か。いや、アメリカ人なんだけど。 同じく、今のコルツのLBスターター、右から並べると、マシス、フリーマン、コナー、フリーニーとみんな同じ系統の顔付き。デコッパチ系。4人並べたら、あやうく槓しそうになったわ。哭きの竜みたいに。 次は、ズビコウスキー。 相変わらずエロいプレイを見せとる。このゲームでも一発タッチダウンを消す良いポジショニングを見せていた。インターセプト後のファンブルロストはご愛嬌。張り切りすぎちゃった、てへっ。 でも、こういう動きを見ていると、SSはしばらくズビコウスキーでも良いかなと思えてくる。運動能力の高い若手FSを獲得できたらベシアを切って、こっちを残すのも一つの手かなとも思えてくる。 そのフリーマンとズビコウスキーに象徴される今季のコルツ・ディフェンスであるが、ここまでホントに良くやっていると思う。選手個々の力は劣るが、まずまずの完成度ではないだろうか。それなりの手応えがある。ダンジー時代の「良くやってはいるが、何だかなあ。」というディフェンスとは随分違う。パガーノ大正解だろう。 そういうディフェンスを支えているは、結局はラックの勝負強さという事になるのだろう。このゲームでも、結果を知って見ていたからではあろうが、第4クォーター1タッチダウン差でも十分安心していられた。仮に同点にされても、返しのドライブでラックが得点してくれると信じているからだ。1ファンの私、それもかなりのヤサグレファンの私が信じているのだから、チームメイトはもっと強く信じているだろう。そうして、勝てると信じているから良いプレイも生まれるのである。ほんと、このスポーツは、つくづくQBだなと思う。去年との違いなんて、QBだけだもの。BUFとの違いだって、QBだけだもの。他のポジションの顔ぶれなんて、完全にバッファローの方が上だもの。 つう訳で、今季のコルツのチームの仕上がり具合に関しては、私は大満足しているのであるが、数少ない不満としては、OLの非固定とフリーニーくらいであろう。OLの非固定に関しては、とりあえずケガすんあとしか言いようが無いが、フリーニーに関しては、さすがにちょっと3−4ハイブリッド向きでは無いなあという気がしないでもない。4−3のエンドが彼のナチュラルポジションという感じもする。そのへんは、よく分からんが、マシスとの決定的な違いであろう。大学時代の経験の差か。つっても、10年近く前の経験なんだけど。フリーニーよりはヒュームの方がスキームに合っていると思う。さすがに、スターターを替えるのは、色々な意味で難しいだろうが、ヒュームの出番を増やすのも一つの手だと思う。来オフは、フリーニーの方が放出かな。そっちの方が、彼等のためにも良いと思う。 そうそう、不満といえば、永遠の不満コンビ、マカフィーとセルジ夫が、このゲームではナイスパントカバーを見せとった。マイナス×マイナスでプラスになるみたいなもんだ。2人でヒップタッチしとったし。 そういえば、セルジ雄は数試合前、髪を染めていて、私はそれをからかったが、あれ、今から良く考えてみると、ピンクリボン月間の慈善活動の一つだったのかもしれぬ。髪もピンクだったし。いい奴なのね、セルジ男って。 その慈善活動といえば、このゲーム中、二名のチアリーダーがパガーノの為に頭を丸めていたが、あれってどうなの。この手の慈善活動の悪口を言うのは、気が引ける一方、ある種の悪魔的な悦びもあるのであるが、あの剃髪、意味ねーだろ。しかも試合中だし。しかもバカ面のブルーに剃られとるし。 慈善活動の、謂わば一種の象徴としての行為なので、こんな批判は意味が無いのかもしれないが、50過ぎたおっさんの、元々薄い頭髪が無くなっても、同情する事ねーだろ。 20代の女性が乳ガンを患い、乳房を失い、抗がん剤で頭髪を、一時的にせよ、失うという2重のショック、ススム君大ショックには大いに同情するが、50過ぎたオッサンが頭髪失っても、痛くもかゆくもねーだろ。むしろ公明正大なハゲの理由を得たと言っても良いくらいだ。「抗ガン剤の副作用でハゲてますけど、何か。」みたいな。足の遅い子が、運動会の前の日に足首を捻挫するみたいなもんだ。 オッサンといえば、これはこの日に限った事ではないが、ルーカス・オイル・スタジアム、相変わらず、まるでダメなオッサンが、よう集まってくるのお。全身青タイツのオッサン、女性っぽかったけど、オッサン2名も新たに追加されていたし。洋の東西を問わず、球場はマダオをよー集めるのお。よく吸引するのお。マジメ君の多いインディアナ州でこれなんだから、ブラウンズ・スタジアムは酷い訳だ。つーか、こんなことを書いている私も完全にマダオなんだけど。 2012/12/2(日) |
Week13 | 12月2日 IND@DET 35−33 |
第13週終了時点で、コルツが8勝、JAXが10敗っと。は〜い、今季のコルツ最下位予想したひと、全員メリコミ土下座。30分、メリコんどけ。 という訳で、得意の2ミニッツ・オフェンスで最下位脱出決定である。その戦慄の2ミニッツに関しては、後に詳述します。 私が勝手に試練の3番勝負と名付けた3戦の中では、3:7ぐらいで最も敗勢と見ていたゲームなのであったが、見事勝利&最下位脱出。うれしくなって、ラック様が表紙のスポーツ・イラストレイテッド税込み1292円を購い、表紙のラック様にチューしちゃいました。 高いわ、何でアメリカで5ドルで買えるものが日本で1300円もするんじゃい。その差、800円(1ドル=100円大ざっぱ換算)は何なんじゃい。まあ、飛行機代だけど。分かっているけど。燃料サーチャージだけど。データをインターネットで日本に送って、日本で印刷した方が安上がりじゃないのか。最近は小部数でも安く印刷できるんだし。 まあ、そんな洋書事情はともかくとして、得意の逆転勝ちで8勝目である。 私は、子供の頃の「ドクタースランプ」並みに楽しみにして、テレビを前にした。すると実況は、ター濱の次に好きなター板。ぬぬ、GAORA、おぬし、なかなか、やりおるな。板井さんはともかく、タージンは、何かつうと、ライオンズ、レイダースを担当している気がする。ライオンズ、レイダース、GAORAに舐められているぞ。フレ〜ッシュ。 さて、ゲームの話に入るが、この逆転勝ち、まず、一つ目の勝因はディフェンスであろう。33点取られて、カルビンに13回171ヤード稼がれて、何が勝因かという説もあろうが、全体的には良くやったと思う。マシスにキャリア初インターセプトも出たし。板井さんは「意外だ。」みたいな事を言っていたけれど、意外でもなんでもないって、キャリア10年でガチカバー2しかやっていないんだから。「ゾーンブリッツ、ホワット?」状態だったんだから。 一方で、相方のフリーニーはこの試合もイマイチな出来。いっそ、DEに転向するか。フリーニーのスピードと小柄があればガードとタックルの間をすり抜けられるんじゃねえの。ダブルチーム喰らって、おしまいか。 カルビンの13回171ヤードは、これはもうしょうがないだろ。むしろ、抑えた部類といっても良いくらいだ。これはコルツに限った事ではないが、もうスクリメージでマッチアップしている段階でおかしいもの。古い表現になるが「大人と子供」だもの。「このひと、階級間違ってますよ〜、バンタム級の試合にヘビー級の人が出てますよ〜、試合の時間、間違ってますよ〜。」だもの。極端な言い方をすれば、CBの身長、カルビンの足の長さくらいしかないもの。CB、股間ガン見してるもの。カルビン、乙女じゃなくて良かったもの。 まあ、実際問題、カルビン・ジョンソンと体格的にマッチアップできるCBはアントニオ・クロマティぐらいしかいないだろう。そのクロマティにしたって、10cmぐらい違うし。CBがカルビンにマンツーマンで対抗するとしたら、ルート取りを邪魔するぐらいしか策は無いだろう。本格的なテクニシャン、例えば全盛期のチャンプ・ベイリーぐらいしか対抗できないと思う。この日のヴォーンとヴォンタはよくやった口だろう。褒めて使わす。 そのディフェンスの頑張りの結果、最後の逆転タッチダウンにつながったのだと思う。そうして、そのディフェンスの頑張りを引き出したのはラックの2ミニッツの強さ、神通力であるとも云える。ディフェンスの頑張りの基礎の上にラックの2ミニッツがあったとも云えるし、逆にラックの2ミニッツの基礎の上にディフェンスの頑張りがあったとも云える。そういったところは、ちょうど昨季のティーボーとブロンコス・ディフェンス陣の関係と似ているかもしれない。 さて、そのラックである。私は今先に、ラックはティーボーに似ていると書いたが、それはあくまで上っ面だけであって、内容は、ティーボーには悪いが全然違う。 私はこのゲームのTV放送を、上述したとおり、結果を知って観戦した訳であるが、最後の逆転タッチダウンのシーンでは「おらっ」とか「ギャー」とか絶叫しちゃうんじゃないかなあと予想していた。こういうシーンは、結果を分かっていても興奮するものである。でも、実際は興奮しなかった。喜びというよりは、戦慄、あるいは恐怖を感じた。明るさよりは暗さを感じた。見てはならぬものを見たという感じだった。 現地の実況や日本のター板も同じような感じだったと思う。この手の逆転決勝タッチダウンとなれば、実況席は無理にでも絶叫して盛り上げるものであるが、そういうものはあまり無かった。ライオンズのホームであるにせよ、である。唖然という感じだったと思う。 同じことは、現地フォード・フィールドの観客やライオンズの面々にも云えたと思う。この手の逆転負けとなれば、「悔しい」という気持ちが大勢を占めるものであるが、観客やライオンズの表情からは悔しさといったものは、あまり感じられなかった。試合終了直後のスーやスタッフォードの表情をカメラは捉えていたが、その表情は「悔しさ」よりも「不思議なものを見た」といった表情だった。日本語で言えば「狐につままれた」といった表情である。 人は悔しい時、「お願いだから、もう一度やらせてくれ」となり、そうやってギャンブル地獄に嵌っていくものであるが、ギャンブル地獄はともかくとして、今回のライオンズは、「お願いだから、もう一度やらせてくれ」という気持ちにはならなかったろう。なぜなら、もう一回やっても、例えば残り1分からの最後のドライブをもう一度繰り返しても、結局同じようにラックが逆転タッチダウンを決めてしまうように思えるからだ。 この手の逆転ゲームというのは、大概ターンニングポイントとなるようなシーン、ターンオーバーとかリターン・タッチダウンとか4thダウン・ギャンブルなどが絡むものである。例えば、今季の24−0から逆転されたDEN@SDなどはターンオーバー連発のゲームだったし、数年前のNE@INDでは4thダウン・ギャンブルがターンニング・ポイントになった逆転劇だった。有名なBUFのグレート・カンバックも確かそういう逆転劇だったと記憶している。 ただ、このゲームに関しては、そういったターニング・ポイント的なものは無い。ターンオーバーを連発していたのは、むしろラックの方である。強いて、ライオンズの敗因を挙げるとすれば、試合終盤でのカルビンの落球ぐらいだろうが、それも結果的にはパス・インターフェアで事無きを得ている。ただ、ここでカルビンがレシーブして、そのままタッチダウンしてしまえば試合は決していたかも知れぬ。 そのほかは、特にこれといったコール負けがあるわけでも無く、ライオンズは普通にやっていたら逆転負けしてしまったという印象である。 結局は、ラックの神通力といったら実も蓋も無いが、ラックの力によりコルツは逆転勝ちを収めたとしか言いようが無い。で、私は試合を見終わった後、ほかの事には集中できず、ラックについて、つらつら考える破目に陥ったのである。「ラック、何者ぞ。」はシーズン前の私のテーマであったが、今は「ラックのラックたる所以は何者ぞ。」である。 残り4分くらいから12点差の逆転劇というのは、フットボールに於いては、そんなに珍しい訳ではない。奇跡的というレベルではない。ままあるシーンだろう。しかし、ラックの場合は、それがほとんどである。ここまでの12試合、競り合いの終盤でのドライブはほとんど成功している。これはあくまで印象で、統計を取ったわけでは勿論ないけれど、マニングやブレイディだと4割くらいの成功率であろうが、ラックはほとんど8割以上といった印象である。こうなってくると、これは偶然、たまたまでは片付けられない。何らかの理由があるはずである。 ラックの2ミニッツの強さを考える上で、まずは、これは何気ない事であるけれども、スパイクの早さが挙げられると思う。これは、私の印象に過ぎないけれども、ラックのスパイクは他のQBに比べると1秒くらい早いと思う。早くスパイクが出来ると思う。スパイクというのは勿論どんなにQBが急いだところで、他のプレイヤーがそれに着いて来なければ、早く出来ない訳であるから、こんなところにもラックの統率力の高さが現れていると思う。彼の「急げ急げ」に他のプレイヤーはごく自然に従うのであろう。ちなみに、一番ちんたらしているのは毎年レイダースだと思う。 しかし勿論、スパイクの早さだけで、常に2ミニッツが取れるわけではない。ラックが高確率で2ミニッツに成功できるのは、これはこのゲームを見て、はっきり分かった事であり、それがラック最大の長所である事も判明したのであるが、それはすなわち、ラックの正確無比な判断力、その空条承太郎並みの判断力である。 例えば、このゲーム最終盤、残り18秒から、ラックはしっかり4回パスを投げている。18秒をきっちり4等分して使っているのである。何気ない事だけれど、これは意外に難しいと思う。一つ一つのパスの制限時間をあらかじめ決めているのである。そうして、それをしっかり守っている。 そうして、最後のパスはエンドゾーンがディフェンダーがごちゃごちゃいるのを見越して、自らスクランブルしてディフェンダーを引き付けエイブリーのマークを緩めて、そこにパスである。もし、エイブリーのマークが外れなかったら、彼をブロッカーにして自らエンドゾーンに突っ込んだであろう。このプレーを最後に用意していたというのが、何より恐ろしいところである。その前3つのパスが餌まきになっているという事もあるが、このプレーを先にやってしまうと、仮にスクランブルでエンドゾーンに届かなかった場合、タイムアウトが0なので、そこで試合終了になってしまうからだ。おそらく、そこまで計算している。 更にはその前のプレイ、残り24秒敵陣24ヤードから、ラックは一度10ヤードのプレイを刻み、ファーストダウンを更新している。この時、解説の板井さんは「10ヤード刻んで、ファーストダウンを更新しておくのも有りですね。」と言っていたが、それを実際に冷徹に実行するのもラックの恐ろしいところである。しかも、きっちりアウトパターンで時計を止め、次の4回の攻撃チャンスを作っている。残り時間24秒タイムアウト無しの状況で、である。 実況席や、我々テレビの前のファンなら、謂わば岡目八目なので、そういう判断も出来るだろうが、それを現実に実行すると言うのは尋常な判断力ではない。直前のプレイが終わってから、40秒ないし25秒、更にスナップ後は4〜5秒、その短い時間の中で、パスラッシャーをかわし、レシーバーを見つけ、正確な判断を下すなんていうのは人間業では無いのである。だからこそ、コーディネーターがいる訳であるし、QBがあるゆるスポーツの中で最も難しいポジションと言われる所以でもある。 そう考えると、ラックが時折見せる3rdダウン・ロングからのチェックダウンへのショートも説明がつく。おそらく、あれもわざとパス失敗しているのである。パスが成功してもファースト・ダウンを更新できそうに無かったら、わざとショートにしてしまうのである。特に自軍がリードされている場合は尚更である。これも何気ない事だけれど、誰にでも出来ることでは無い。マニングだって出来るかどうか。 そう考えると、インターセプトの多さもまったく別の様相を帯びてくる。おそらく、あれも敵のディフェンスの力量を測っているのである。どこまでが追い付き、どこまでが追い付けないのかを。ラックは当然ルーキーであるから、敵のディフェンスとは初対面である。その動きを、彼が実地に調べている可能性は大いにある。NE戦でインターセプト連発し、そもそもそれ以前から「危ないところに投げすぎる。」と批判されていたにも拘らず、この日も3INTsである。ラックほどの力量を持ってすれば、インターセプトだけは避けるなんて事は、さして難しくない筈である。ロジャース並みのQBレイティングを作る事も難しくない筈である。それをしないという事は、まず間違いなくディフェンスの力量を測っているのである。そうして、力量の計測が完了した数年後にはリーグを完全コントロールする事になるだろう。 こうした仮説が、もし事実なら、ラックは、マニングやエルウェイどころか、モンタナ級のQBという事になる。そうして、実際、その片鱗や証拠は、この試合を含めて、随所に見せている。もし、そうならば、ブリーズやイーライは遠く及ばず、マニングやブレイディですら凌ぐQBという事になる。事実、こと2ミニッツに関する限りは、現役では文句なしにナンバー1、私が今まで見た中でもナンバー1のQBである。少なくとも現時点に於いて、敵のコーチ陣は、今のコルツと戦う際に、接戦になるようなゲームプランは作れなくなっている。 ここに書いたことは、あくまで私の仮説であるけれど、こうした仮説を作らざる得ないくらい、このゲームの最終ドライブは恐ろしいものだった。私がスポーツを見て、恐怖を感じたのは今回が初めてである。強いて、近い感じを挙げるとすれば、羽生善治がNHK杯で出てきた時、名人経験者をなで切りにして優勝した時の感覚に似ている。有名な5二銀(解説の米長さんが「ぎゃー。」と叫んだNHK杯史上最も有名な一局)もたまたま、本当にたまたま見ていたのであるが、あの時の感覚に良く似ている。当時、つうか今現在も私は将棋にはそんなに明るくはないが、只事では無い事が起こっているという感じはよく似ている。解説席で予想していた事を、実際にしたという点も良く似ている。 私はモンタナのルーキーイヤーは勿論全く知らないのであるが、似たような感じだったのではないだろうか。 そのモンタナ最大の武器も、結局は判断力だった訳であるが、それくらい判断力というのは決定的な力なのである。QBやスポーツマンのみならず、人間の優劣は、結局は判断力によって決まる。多くの人間は判断力の拙さを知識、すなわち、かつての判断で補っている、代行している訳であるが、そんなものは当然オリジナルの判断力には遠く及ばない。絵葉書と現地を比べるようなものである。 だからこそ、野村もベリチックも、それぞれ野球とフットボールでもっとも大事なものは状況判断だと説いている訳である。 この優れた判断力をもしラックが備えているのなら、彼の大学時代、私が腐したリズムの悪さや投球フォームなんていうのは小さな問題となる。実際、ラックにオーバースローが多いのは、板井さんの指摘した前体重の投球フォームに由来しているのだろうが、そんなことは瑣末な問題である。優れた判断力さえあれば、QBはいくらでも勝てる。 その結果が今の8勝、セルジオの1敗を換算すれば、事実上の9勝であるが、忘れちゃいけないのは、今季のコルツはデッドマネーがハンパないって事である。実に、キャップの4割近くがデッドマネーだったりする。それが今季のコルツの最下位予想の一つの根拠にもなっていた訳であるが、それがゴッソリ空く来季は、グリグソンの性格からして積極的に補強に動くであろう。それが成功すれば、大成功とまではいかなくとも、普通に補強できれば、いきなりスーパーボウル制覇も有り得るだろう。 いきなり来季とまでいかなくとも、ラックのキャリアを通じて4,5回スーパーボウルをとっても、おかしく無い器であると思う。一コルツファンの願望としては、ラックのルーキー契約期間中に2回は獲りたい。勿論、このゲームは、QBの能力が最重要であるけれども、それだけで勝てる訳でもない。自身を含めた主力のケガ、コーチ陣に恵まれない、プレイオフの組み合わせや天候といった不運等々、スーパーボウルを妨げるものは数多くある。でも、ラック個人の能力に限ってみれば、十分スーパーボウルを獲れる、それも複数回獲れる器である事は間違いないと思う。そう思わせるだけのゲーム内容だった。 あと、坊主にした頭髪が伸びてきて、ジャンボマックスみたいになっとる。比喩が古すぎる。 ラック話はそれくらいにして、ライオンズ話を少々。 まずは、スタッフォード。実を云うと、私は、あらゆるQBの中で最も好きなのは、このスッタフォードだったりする。いつかも書いたが、その軽いタッチが大好きだったりする。良い意味でも悪い意味でも、明らかに適当にQBやっとる。完全に実家金持ちだろ。完全に、おばあちゃんと一緒に大阪から百万円持って上京してきたろ。演じているの、完全に宮内淳だろ。 次は、スーとフェアリーのコンビ。こんなに凄いDTコンビがいるんだったら、カバー2に移行した方が良いようにも思えるが、どうだろう。コルツのようなインチキ・タンパ2ではなく、本家タンパを凌ぐタンパ2が出来る気がする。いよいよダンジーHCの出番か。 また、ヒューストン戦での股間キックが、ゲーム中、フィーチャーされていたが、スーの代理人である私が断言しておきます。「え〜と、あれは、はっきり狙ってやりました。あんなところに股間があったら蹴りたくなるのが人情でしょう。」。小学生か、お前は。やんちゃ盛りか。 あと、バンデンボッシュ。消えっぷりがハンパない。力の衰えっぷりが尋常じゃない。クスリ切れたか。 最後に、コルツの今後について。 8勝出来たので、もう何も云う事は無い。残り全敗しても良いくらいだ。次のTENとKCには余裕で勝って10勝フィニッシュしそうだけど。その二つはともかくとして、いつかも書いたが、HOUのホームの1戦は、勝って一泡吹かせたいという気持ちはある。2年間貸し出し中のタイトルは来年返してもらいますよ、という感じで。エイリアンズならフィリップスに伍せるだろうし。 しかし、このライオンズ戦と先週のビルズ戦、そうして何週か前のブラウンズ戦と、謂わばドアマット界の三巨人から三連勝。一コルツファンとして、正直、罪の意識はある。でも、マニング、ナイス仮病。親指立ててます。 2012/12/5(水) |
Week14 | あれこれ | 例年であると、コルツ戦以外のゲームの観戦記なども書いていた。コルツのゲームの多くが、「マニングが投げました、コルツが勝ちました、マカフィーはアホでした。」で終わっていたからである。昨季などは、ほとんどティーボーとハーボーの記事しか書いていなかったように記憶している。ところが、今季はコルツ大変革中なので、なかなかそちらまで手が回らぬ。 とはいえ、他のゲームにもそれなりの感想があるので、コルツTV放送の無い今週にまとめて吐き出しておきたい。第16週のコルツファン待望のKC戦のTV放送も決まったようであるし。 と言いつつ、TEN戦の感想も少しばかり。 実力的にはそんなに差の無い両チームだと思われるが、今季のここまでの勢いが違いすぎるので、大差がつくかなとも予想していた。結果的には27−23の辛勝。内容的は余裕があり、辛勝という程ではなかったようだが、スタッツ的には辛勝だった模様である。ラックの数字も悪かったが、その分ディフェンスが目立っての勝利だったようである。 このように、ディフェンスの頑張りの目立つゲームのあるのもラック・コルツとマニング・コルツの大きな差異のひとつであろう。マニング時代は、実際はともかく、対外的にはディフェンスはマニングの足を引っ張っているみたいな印象しかなかったのに対し、このラック・コルツには、このようにディフェンスの頑張ったような印象のゲームも多い。実情はともかく、ディフェンスがオフェンスを支え、オフェンスがディフェンスを支えているよな気分が生まれるだろう。良い傾向である。 私が勝手に「コルツ試練の三番勝負」と名付けた三連戦ににまさかの三戦勝、これで9勝4敗、プレイオフにリーチがかかった訳である。KC戦を残している事を考え合わせれば、ほぼプレイオフと言ってよいであろう。 とはいうものの、まだプレイオフの可能性を残している3チーム、ベンガルズ(6敗)、スティーラーズ(6敗)、ジェッツ!(7敗)のスケジュールをそれぞれ調べてみると、みなそれぞれ意外に緩い(ベンガルズは木曜日のゲームで既に大勝)。中でも、最もユルいのはジェッツで3戦3勝も十分ありうるスケジュールである。シンシィ、ピッツも、そんなに厳しくは無く、第16週の直接対決を制した方が大きく前進しそうである。 また、コルツはジェッツ戦に敗北、対戦相手の成績はまだ不明であるが、得失点差は圧倒的に不利であるので(ただし、ジェッツは現時点で−61点)、タイブレークにまで持ち込まれると、他の3チームより大きく不利である。 つう訳で、KC戦があるからと余裕ブッコいていると、足元をすくわれる可能性も十分にありえるので、HOUの2戦はともかく、KC戦は必勝体制で臨んで欲しい。JAX戦以来のマスト・ウィン・ゲームである。ふんどし締め直して、つうかヘルメットの紐を締め直して臨んで欲しい。 あと、AFCのプレイオフレースで意外に油断ならないのがレイブンズで、スケジュール的には他の4チームより大きく不利である。3戦3敗も十分有り得るスケジュールである。大逆転でプレイオフ脱落も十分ありうる。 そんなよそ様の話はともかく、まっ、とりあえず、コルツ的には第16週のKC戦必勝という事でお願いします。 で、その前に今週のHOU戦であるが、以前の記事にも書いたが、心理的にはコルツ側の完全有利であろうが、実力的にはなかなか厳しい相手だと思う。どーんと粉砕されて来い。精神対肉体という構図か。なんだ、そりゃ。 ただ、惜しむらくは、この第15週のゲームをホームで行い、最終週を敵地でやりたかった。そうすれば、3戦3勝もあったかと思う。まあ、この第15週の@HOUで勝っちゃたら、それこそ逆転地区優勝だろうけど。あのセルジオの一敗が、いまとなっては、つうか当時としても痛すぎる。セルジオ、死刑(コマワリ君風に、)。 コルツ話はそれくらいにして、次はデンバー、つうかマニング。まあ。なんだかんだで、スーパーボウル最右翼とも見られているデンバーであるが、確かに現時点でスキは無い。攻守特に充実している(特はスペシャルチームの略ね。)。 ただまあ、じゃあプレイオフを順調に勝ち上がれるかというと、その太鼓判は押せぬ。何の根拠もないが、どっかでズッコけるんじゃないかという気も確かにする。これはマニングがコルツにいた時は全然感じなかったのであるが、マニングを外部から見ると、確かにどこか心許ない。ブレイディには太鼓判を押せるが、マニングには押しにくい。コルツ時代は、「何故、みなマニングを一押しせぬ。」と私は大いに不満であったのだが、その気持ち、というか感情が今になってはっきり分かった。優等生独特の危うさみたいなものは確かにある。そうして、それは身内には却って分かりにくいものである。 昨年のティーボーが実力的には全然だろうが、何かしそうな予感をさせ、本当に何かをしてしまったのとは好対照である。ほんと、何から何まで好対照な二人のQBではある。 ストークリーの強運対マニングの危うさという構図か。何だ、そりゃ。 そのマニングの危うさはともかく、今のデンバーであるが、このメンツを見ると、コルツファンにちと複雑なものがある。ダン・コッペンにトレーシー・ポーターにジャック・デル・リオって。真・友情パワー・チームじゃないんだから。選手移籍の盛んなアメリカのプロスポーツ界とはいえ、このメンツはコルツファン的には複雑だどー(重ちー風に、)。 さて、次はヴォンターゼ・バーフェクト。ドラフト時には、その素行の悪さが問題視され、結局ドラフト外で予定通りシンシィ入りした選手な訳であるが、ここまで、14ゲーム中12ゲームでスターター、101タックル、1サックの成績である。15タックルなんつうゲームすらある。あれだけ、性格的に問題視され、それでもプロスペクトになるくらいだったのだから、やっぱり実力的には折り紙付きだったのね、お見それしやした。 まあ、素行の悪さが問題視されとはいうものの、彼の場合はオフ・フィールドではなく、オン・フィールドでの素行の悪さが問題視されていたので特殊と云えば、あまりに特殊な事例かとも思われる。まあ、それをプレイスタイルと見るか、単純にバカと見るかで意見の分かれるところなのであろう。んで、シンシィというか、マーヴィン・ルイスはそれをプレイスタイルと見た訳だ。 ただまあ、私がシンシィのゲームをチラチラ見た限りでの印象でいうと、元気がある、破壊力があることはあるが、そこまで素晴らしいという感じではなかった。好みの分かれる選手ではあると思う。いずれにせよ、今後どのようなキャリアを送るのか、大いに関心はある。 次にシアトル、つうかピート・キャロルについて。 昨季の私はハーボー、ハーボーと叫んでいたが、その前のシーズン、注目していた新HCは、このピート・キャロルであった。私がNFLを見始めて、カレッジで実績を作り、NFL入りした始めてのHCであったからだ。謂わば、お手並み拝見という訳である。いつか書こう書こうと思っていたのであるが、ズルズルとここまで来てしまった。今季のSEA@MIA戦などは書き頃であったのであるが、結局書かずじまい。うかうかしていると、キャロル退任もありえるので、これが最後のチャンスとばかりに、ここにぶち込んでみた次第である。 で、その3年間の観察の結果はというと、まずは何と云ってもその一見不可解な人事である。 まずは、ハッシュマンダーザがいるのにマイク・ウィリアムズ、USC出身だから目を掛けたのかと思いきや、その後あっさりカット。 前年全体6位で指名したラッセル・オクーンがいるのに1巡25位でジェームス・カーペンター。しかもLTで使うのかと思いきや、RTでの起用。25位でRTって。しかも今現在はLG(IR入り)。 QBはハッセルベックを放出してターヴァリス・ジャクソン。結局、満足できずにマット・フリンを獲得して、結果ラッセル・ウィルソン。 USC出身のタトゥープがいるのに、ボビー・ワグナー。 全体4位のアーロン・カリーを放出してK.J.ライト。 一方でUSC出身を掻き集めるのかと思いきや、先のタトゥープはあっさり放出しとるし、カーソン・パーマーとマット・ライナートという二大USC出身には鼻水も引っ掛けず。しかも、その両名は揃って仲良くオークランド入り。オークランドって、USC的には敵地じゃね。 とまあ、内部事情的には色々あるのだろうが、AFC南という遠い遠い地区の一ファンの観察した限りでは全く訳の分からぬ人事である。でも、結果は出しとる。シアトルファン、レンジャーズファン、ロッテファン、メッツファン、レッドソックスファン等々、あらゆる角度から非難されるかもしれないが、よく分からないが結果を出すという意味では、ボビー・バレンタインに良く似ている。 バレンタインに似ているという点では、若い選手に人気があるという共通項もあると思う。サイドラインの姿などを見ていると、彼の元に若いプレイヤーが集まってきた理由も何となく分かる様な気がする。あくまで、何となくだけど。ベテラン選手からどう見られているかは微妙だが。 人事は不可解と書いたけれども、一方でドラフトは非常に上手いと思う。今季の上位3名、アーヴィン、ワグナー、ウィルソンは大当たりだし、その前年もカーペンターはともかく上位指名はガッツリ当てとり、5巡154位のリチャード・シャーマンなんていう大当たりもある。 しかも、ここに挙げた選手はみなドラフト時さほど注目されなかった選手ばかりである。ピート・キャロル(もしかしたら、彼が責任者じゃないかもしれんけど、)が一本釣り気味に引っこ抜いた選手ばかりである。この辺は、ピート・キャロルのカレッジ時代のスカウト網を感じる。 ただ、そうして獲得した選手に一定の方針があるのかというと、正直よく分からない。この辺はAFC南という遠目からでは良く分からぬものであろう。何となく云えるのは、ディフェンス陣には運動量を求め、それにしつこいランオフェンスを絡めて戦っていくという、オーソドックスなスタイル、ジャイアンツのようなスタイルがキャロルの好みなのであろう。劇的な勝利はあるけれども、安定的に勝てないというのはそのスタイルの帰結である。 キャロル話はこれくらいにして、先日無くなったジェリー・ブラウンについて。このサイトでは現役選手の死については一応「墓誌銘」というコーナーを作っているのであるが、コルツ時代に一試合出場経験があるとはいえ、基本的にPSレベルの選手までは記事を作っていられないので、ブラウンに関しては申し訳ないが割愛します。コルツ時代の出場も全然記憶に無いので。ごめんなさい。ご冥福をお祈りいたします。 ただ、ご冥福を祈ると言ったものの、その死因はダラスのDTジョシュ・ブレントの交通事故によるものなので、彼、というか彼等に全く非が無いというわけでは無いと思う。詳細は不明であるが、フットボール選手は交通ルールを少々破っても構わないという気持ちが無意識レベルで確実にあったと思う。ベルヒャーの項目にも書いたが、その特権意識と死の多さは必ず関連していると思う。 さて、次は意表をついて日本大学。なんか今季からGAORAのNFL放送のスポンサーに日本大学が加わったが、あれって意味あるの。QBクラブの方はともかくとして、フェニックスに興味があって日本大学への入学を考えている人なんて年間500人くらいしかいないんじゃないの。広告というのは対象を絞るのが大事とよく言われるが、対象絞りすぎだろ。花道のTシャツぐらい絞りすぎだろ。 まあ、アメリカンフットボール絡みの一種の付き合いでのスポンサーなんだろうが、見る度に意味が分からん。ちなみに、CSのCMでは、チューリッヒの女が私は一番好きだ。結婚したい。と思って、今さっき、ネットで調べてみたら、数年前にJリーガーと妊娠結婚していた。光速の失恋。 で、日本のアメリカンフットボールといえば、ちょうど今日甲子園ボウルが開催されていた。そのゲームを板井さんの解説という事もあり、チラチラ見ていたのであるが、日本のアメリカンフットボール関係者には大変申し訳なく、如何なる批判も甘んじて受けるが、正直泣けた。サヨナラFGで勝敗を決したゲームにではなく、そのレベルに泣けた。泣いた。NFLを見慣れた目にはあまりにも悲しい現実ではある。 その涙を例えると、意を決してAVデビューした女がその半年後、自分のDVDが近所のブックオフで380円で売られているのを発見した時と同じくらい泣けた。 まあ、これは、今回の記事はあまりふざけた箇所が無いので、無理矢理ぶち込んだギャグであるが、それはともかくとして、日本のアメリカンフットボールのレベルの低さは、正直悲しかった。大学の頂点を決める戦いがこんなもんというのが嘘偽らざる感想である。前々から知ってはいたが、改めて悲しくなった。以前、NFLの放送で河口さんがNFLと日本のアメリカンフットボールは全然別物みたいなことを半分冗談っぽく話してはいたが、半分冗談っぽい意味が分かった。確かに半分は事実である。 なんというか、体格とか戦術とかいう以前に、フットボールをやる覚悟とか動機とかいう時点で既に負けている気がする。追い付き追い越せとかいうのが恥ずかしいレベルである。数年前、日本で行われたアメリカンフットボールの世界大会の決勝で日本戦を前にアメリカチームのQBが友達の結婚式を理由にアメリカに帰ってしまったのも今となっては、つうか当時からも頷ける話である。 もし、NFL、NBAも同様だが、そこを目指したいのなら、大学どころか高校段階でアメリカに行くべきだろう。アメリカに行けば、谷沢君のように、ほとんど全ての人が壊されるだろうが、日本の高校大学にいるよりは遥かにマシだと思う。NFLやNBAを目指すなら、日本の高校大学は時間の無駄でしかない。 野球だけがアメリカでも通用しているように思われるが、実際のところは、野球だって通用していない。ピッチャーだけである。そのピッチャーというポジションも、日本では運動能力が最も発達した人間のやるポジションだが、アメリカでは逆に運動能力の最も劣った人間のやるポジションである。日本では投手から野手に転向するのが圧倒的多数であるのに対し、アメリカでは野手から投手に転向するのが通例であるというのは、その間の事情を表している。 そうして、やっと互角なのである。そのピッチャーにしたって、ダルビッシュのスライダーとグリンキーのスライダーを比較したら、明らかにグリンキーの方が上である。総合的にはダルビッシュの方にやや分があるだろうが、それが現実である。 まあ、勿論、自分の国で好きなスポーツをプレイする事以上に最高の環境はないだろうが、アメリカでプロスポーツマンになろうと思うのなら、フットボール、バスケットボールは無論の事、テニス、ゴルフ、そうして野球、いずれのスポーツも出来るだけ早くアメリカに行った方が良い。日本でのプレイは時間の無駄でしかない。普通の高校生がサードのレギュラーになりたいからと、ドーピングして死んでしまう国、それが世界ダントツ一位のスポーツ大国アメリカである。フットボールを見た事も無いアフリカ人を連れて来てNFL選手にする国、それが世界ダントツ一位のスポーツ大国アメリカである。 今日の甲子園ボウルを見ていて、昭和初期に来日した大リーガー、ルースやゲーリッグと日本との差はこんなものだったのだろうかと想いを馳せてしまった。 しかも、その日本のアメリカンフットボールも、実績的には事実上の世界第2位なのである。ここが、このフットボールというスポーツの面白いところである。世界一スポーツの好きな国民でダントツ一位の人気を誇るスポーツが外国ではサッパリなのである。世界第2位の実力を誇る日本ですら、国内での人気は20位以内はともかく10位以内となるとかなり厳しいだろう。他の国々ではもっと厳しくなると思う。 そのへんが、同じアメリカ生まれのスポーツでもバスケットボールとの決定的な違いでもある。バスケットボールというスポーツはほとんどの国で一番人気のスポーツでは無いかもしれないが、どこの国でも大概2位から4位ぐらいの人気を持つ不思議なスポーツである。そういった意味では、世界で一番人気のあるスポーツはバスケットボールという事になるかもしれない。しかも、バスケットボールは、女性が男性とほぼ同数参加しているスポーツでもある。そういった意味でも、テレビ視聴率的な意味はともかく、参加人数という観点からは世界一人気のあるスポーツはバスケットボールになると思う。 ところが、他のスポーツへの影響となると、バスケットボールはフットボールの足元にも及ばない。ゲームの戦術・戦略から始まり、プレイヤーの練習法や保護・治療法、プロ組織の運営法など、その多くは細かい議論はあるだろうが、大雑把にはフットボールが元祖である。テーピングや選手交代、ゲーターレイド、ドラフト、ビデオ判定等々、細かく言い出せば異論はあるかもしれないが、その大雑把な元祖はフットボールであろう。ドーピングなんかも元祖はフットボールかもしれない。フットボールで始まったものが他のスポーツへと波及していくのである。ちなみに、その流れに最も抵抗的なのがサッカーであるのは言うまでもあるまい。 世界一高度なスポーツがフットボールであり、世界一人気のあるスポーツがバスケットボールという言い方は出来るかもしれない。こういうサイトを作っている自惚れだけではなく。 数時間後にHOU戦。久々に生で見てみっか。 2012/12/16(日) |