インディアナポリス研究会コルツ部

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2012シーズン

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2013年
4月
ドラフト感想
全体&
コルツ1巡編
 さて、ホンチャンのドラフトである。

 今ドラフトの最大のトピックスは何と云っても、その空前絶後といったら大袈裟であろうが、少なくとも近年まれに見るOL祭りであろう。1巡だけで9人、そのうち20位以内が8人、10位以内で5人、5位以内で3人と、すなわち上位ほどその濃度が濃くなるという、単に数字上だけでなく、実質的にもOL祭りなのであった。しかも、その中にはLTのみならず、OGやRT、Cまで含まれているというのだから驚きである。

 特定のポジションに指名が偏るというのは、ドラフトの性質上致し方なく、毎年のように発生する現象(ちなみに、昨年はQB祭りだった。)なのであるが、これほど偏る、それもOLに偏るというのはちょっと記憶に無い。LTが1巡で指名されるのは当然であるが、それら以外のポジションは2巡以下、場合によっては4巡以下でも、スターター級、場合によってはプロボウル級が輩出するポジションである。特にRTの1巡なんていうのは、調べてはいないが、印象的には5年に一度である。それが今ドラフトでは11位である。

 理由はいろいろ考えられるだろうが、ドラフト前に囁かれていたように、今ドラフトは全体的に小粒、特にスキルポジションが小粒だったというのが、その大きな理由だと思う。今ドラフトは、このOLの他に、DL、TE、DBが豊作と評されていたのであるが、それはどちらかというと、それらのポジションが層が厚いというよりは、スキルポジションに比べ、あくまで相対的に層が厚いといっただけだったように思う。

 特に、RBなんか総崩れだもんな。トップ指名がバーナードの2巡37位で、1巡上位の噂もあったレイシーなんか2巡61位である。

 WRは8位でタヴァン・オースティンが指名されているが、これも純然たるWRというよりはガジェット・プレイヤーとしての評価の側面の方が大きかろうと思われるので、純然たるWRとしては27位のデアンドレ・ホプキンスまで下がる事になる。私が、上位候補の中では最もバランスが良いかなとおもっていたキーナン・アレンに至っては3巡76位である。

 QBは、まあ良かろう。ドラフトはゴール地点じゃない、スタート地点だ。

 今回のドラフトの結果を知って、最も悔しい思いをしているのは、これらスキルポジションのプレイヤーではなく、このOL祭りの割を食ったDL陣でもなく、ここ数年エントリーしてきた、また来年エントリーする予定のOL勢であろう。

 例えば、昨年のデ・カストロなんで、今年のウォーマック(10位)やクーパー(7位)と遜色ない評価だったのに、一年早くエントリーしたばっかりに24位。コルツのカスタンゾだって、今年のLT3人衆と比べて、そんなに大きく劣るわけでもないのに22位。RTのフルーカーが11位で指名されたのには、さぞかし歯軋りした事であろう。

 という訳で、今回のドラフトを見ていて、何より強く感じたのは、「エントリーする年って、大事だな。」である。
 この狂い咲き状態のOL陣とは逆にマット・バークリー(98位)の場合は、昨年エントリーしてりゃあ良かった口である。OB祭りの勢いに乗って、まず間違いなく1巡、上手くいけば10位以内での指名も十分有り得たと思う。ラックやグリフィンはともかく、大学時代の実績からいって、さすがにタネヒルやウィーデン以下って事はなかったと思う。ラックと正面衝突するのを回避して裏目に出た、それも強烈に裏目に出たパターンであろう。もっとも、これは、上記のOL勢とは違って、あくまで今シーズン結果を出せなかった本人の責任であるから、誰も恨めないのであるが。

 しかし、このバークリー(98位)、昨シーズン(2011年シーズン)、私は何度か彼の試合を見ているのであるが、その時の印象では、ラックと遜色ないといったら大袈裟であろうが、素人目には、その差がそんなに分からなかった。そういった意味では、イーグルスは良い買い物をしたと思う。まあ、バークリー(98位)の場合は、当人の不出来も勿論であろうが、意外に大きい、つうかもしかしたら最大の否定的要素は不甲斐無い諸先輩であろう。

 もうひとつ、このOL祭りに次いで、今ドラフトのトピックスといえば、これは今回に限った事ではないが、ペイトリオッツ、つうかベリチックの極悪非道なトレードダウンであろう。

 今ドラフトは、上に述べたような事情から、多くのチーム、32チーム中20チームぐらいはトレードダウンが本音であったろう。とはいうものの、トレードというのは勿論相手があって、すなわちトレードアップしたい相手があって成立するものなので、成就はなかなか厳しいのが現実である。そんな中、ペイトリオッツは、なん中華本中華で、予定通りに1対4の極悪トレードダウンを成立させる。

 まあまあ、いつものパターンなのでそれ自体は驚かない、つうか呆れていただけなのであるが、今ドラフトは、おそらく初日最大のイベントとして、例のボストン・マラソン事件に絡むアンドレッツイのスピーチが用意されていた。
 このスピーチには作家を3人つけたろう、演出家も2人用意しただろう、アンドレッツイは100回リハーサルをしただろう、でもベリチックのトレードダウンでドッチラケ。だって、肝心のペイトリオッツの指名選手のコールが出来ないんだもの。ボストン・ストロングのジャージが空しかった。退場する時、アンドレッツイ、苦虫噛み潰していたもんな。もう空気、読めよ、ベリチック。散々勝ってきたんだから、一回ぐらい、ドラフト犠牲にしたって、いいだろう。バチは当たらないよ。ホント、酷い、ヒドイわ、あなた、酷すぎる。極悪。

 つうのが、今回のドラフトの全般的な感想である。あと、これは今回のドラフトとは全く関係ないが、ドラフト関連の記事を書くために、過去のドラフトを調べたりするのであるが、そこでつい目にしてしまう2007年のドラフト、1位ジャマーカス・ラッセル、2位カルヴィン・ジョンソンには、レイダースファンでなくとも泣ける。しかも3位はジョートーマスだったりする。これほどくっきり1位と2位、それに3位が明暗を分けた例というのも珍しいと思う。なんだかんだいって、5位以内というのは、プロボウル・オールプロはともかくスターターにはなるからなあ。

 ちなみに、この年の4位はゲイネス・アダムスで。もう既に故人である。7位はエイドリアン・ピーターソン、11位はパトリック・ウィルス、14位がダレル・リーヴィスだったりする。また、興味のある方は、御自身で調べてみてもらえば分かると思いますが、この年は、この1位2位に象徴されるように出来・不出来の差が激しい。激し過ぎる。かたや数年でサヨウナラ、かたやレジェンドみたいな年である。ちなみに、我等がコルツは32位でアンソニー・ゴンザレスを指名、トホホ。

 そういう流れを受けて、コルツのドラフトである。

 1巡24位 ビジョーン・ワーナー DE フロリダ・ステイト大学 

 この指名は、私には少々意外だった。ワーナーに関しては、私ははっきり視野から外していた。理由は2つある。

 1つ目は、まず、そもそも24位まで残っていないと予想していたからである。各種スカウティング・レポートからの情報によると、純然たるパスラッシャーとしてはともかく、4−3エンド、特にLEとしては完璧という評価だったからである。圧倒的なスピードやパワーを持っている訳ではないが、豊富な運動量とテクニック、そうして、いかにもドイツ系らしい勤勉さで勝負するというタイプである。サックは、一連の動きの流れの中で奪うタイプであろう。グレードアップしたバン・デン・ボッシュというイメージである。そのほか、よく比較対象として挙げられていたのが、ライアン・ケリガンとクリス・ロングである。

 純然たるパスラッシャーではなく、4−3DEがニーズのチームは欲しがるであろうから、なんだかんだ言って20位以内で消えるかなと私は見ていた。それが先に書いたような、OL祭りの煽りを受けて、24位まで残っていた。ちなみに、OL祭りの煽りと云えば、前回の記事で、私がちょっと欲しがっていたシェリフ・フロイドもコルツの直前の23位まで指名なし。私はちょっとドキドキしていたのであるが、そこでミネソタが指名。私はちとガッカリである。もしフロイドが、24位まで残っていたら、コルツの指名はあったのであろうか。

 ちなみに、ミネソタはこのフロイド以外にも、1巡でのおいしいピックが多く、このドラフトに於ける、所謂勝ち組である。昨年、マット・カリルを指名したのが、こういう形で活きてきたのだ。当のカリルは大損ブッコいた訳であるが、ちょうど、その裏返しでミネソタは大儲けした訳である。

 閑話休題、二つ目の理由に移る。

 この二つ目の理由は、先に書いた理由から派生した理由であるが、今のコルツ3−4ハイブリッドのコルツに4−3LEが必要かという疑問である。一つ目の理由よりも、この二つ目の理由の方が大きい。
 各モックドラフトでは、このワーナーをコルツ指名に挙げるものも多かったが、私は、この二つの理由、特に二つ目の理由から、それらのモックを嘲っていた。ところが、実際は指名、私の面目は丸つぶれである。

 私の面目はともかくとして、ワーナーを指名した瞬間は、「一体どう使う心算なのか。」という疑問が、私の脳裏を駆け巡った。3−4DEとしては、さすがにウェイトが足りないし、OLBパスラッシャーとしては圧倒的な運動能力に欠ける。無理矢理、バルクアップさせてJ.J.ワットみたいな感じを狙っているのかなと思っていたが、その後の報道等によると、上記のケリガンや、パガーノ絡みという意味では特にポール・クルーガーのようにOLBに仕立て上げる心算らしい。ドラフト直後にジェリー・ヒューズがトレードされた事も考え合わせると、これは結構本気な様である。

 ポール・クルーガーねえ。でもポール・クルーガーというのは、前任のジャレッド・ジョンソン同様、あくまで反対側にサッグスという正真正銘の凶悪パスラッシャーがいてナンボの選手だと思うのだが、マシスではサッグスにはなれないと思うのだがどうであろう。
 また、ワーナーも大学時代2012シーズン、13サック挙げているけれども、これも反対側に大物がいての数字だという説もある。所謂、反対側芸人を1巡つうのもなあ。

 まあ、パスラッシュだけではなく、ランストップ、パスカバー等、そうして勿論ハイブリッドだから4−3体型もある訳だし、そういった諸々を総合的に判断しての指名だと思われるが、こういうワーナーみたいな選手は純粋な4−3LEをした方が良いと思われるけれどなあ。実際、このコルツの指名は不幸な結婚だ、みたいな記事もチラッと読んだ。

 とまあ、随分ワーナーを腐してしまったような書きっぷりになってしまったが、これはあくまでワーナー指名を腐しただけであって、ワーナー個人を腐している訳ではない。むしろ、こういうワーナーような、技術と努力で勝負するタイプは私は大好きである。また、DEに限らず、他の多くのポジションでもNFLで生き残っていくのは、むしろこっちのタイプだと思っている。ドラフト時は、どうしても運動能力・体格型がちやほやされるが、10年後ちやほやされるのは、こちら技術・努力型であろう。

 理由は簡単で、運動能力・体格というのはあくまで相対的であり、技術・努力はある程度絶対的だからである。40ヤード4.5秒といっても、周囲の平均が5秒なら速いけど、平均は4.6秒なら、特別速くはなくなってしまう。そうして、運動能力や体格は、子供はともかく、20歳を過ぎたら大きく変化する事は無い。
 一方で技術の多くは、相手に合わせて変化できるので、環境が変わっても、ある程度は対応できるのである。努力も、時間的な限界はあろうが、内容はいくらでも改善できる。

 という訳で、私はジギー・アンサーよりワーナーを買うし、上手くいけばジャレッド・アレンになる可能性も秘めていると思っている。でも、OLB、特にパスラッシャーはなあ。ここは、絶対的な運動能力や体格が求められる数少ないポジションだからなあ。だからこそ、プレミア・パスラッシャーって言われるんだよなあ。う〜む。

 まあ、ワーナーに関しては、ワーナー本人というよりは、パガーノに期待するより他は無い。

 ちなみに、私が50%の確率で予想していたデトーン・ジョーンズはパッカーズが2つ後ろの26位で指名。DEに、DTに、OLBにと私が夢見たような使い方をするんだろうなあ。既に、スキームにベストフィットという声もあがっとる。また、ちなみにパッカーズは、同じく私の狙っていたエディー・レイシーを2巡61位でおいしく指名したりして、なかなか私好みのドラフトになっておる。いや、私的には何の意味も無いけど。

 私的と云えば、私が今ドラフトで個人的に最も注目していたブランドン・ジェンキンスは、怪我が嫌われたのか、5巡162位でスキンズが指名。ジョーンズ、ジェンキンス、2人とも獲れたなあ。

 2巡以降は次回で〜す。

                                             2013/5/1(水)
ドラフト感想
2巡以下編
 世間は、長嶋茂雄&松井秀喜の国民栄誉賞騒ぎで沸いているが(って、それほどでもないか。)、松井と云えば、その5打席連続四球やらワールドシリーズMVPやらケーシー高峰やら、いろんな話柄があるが、私にとって松井といえば、何と云っても、その情緒の無いホームランである。

 ホームランと云えば、普通、どんなものでも、「打った、大きい、大きい、入るか、入るか、入った、入った、ホ〜〜ムラン。」てな感じで、時間にして5秒くらいの余韻、情緒を味わうのが、観客、プレイヤー双方にとって、最大の醍醐味であるが、松井のホームランにはそれがない。全部とは云わないけれど、多くの打球は、打った瞬間、ライドスタンドに突き刺さっていた。情緒も何も無い。下手すりゃ、フォロースウィング中にボールはライトスタンドなんじゃねーか、つうようなエゲつない打球が本当に多かった。

 まあ勿論、それは松井の凄さを表すものだけれど、でもやっぱ、ホームランには情緒が必要だよなあ。乾いた打球音の後、入るか入るかとドキドキして、入った時の開放感達成感が、何と云ってもホームランの醍醐味だもの。その最高峰が田淵であり、最底辺が松井という言い方も出来るかもしれない。

 他の多くのスポーツに先駆けてベースボールがプロスポーツとして成功、ベーブ・ルースが、言葉の正しい意味で、世界最初のプロスポーツマンになったのは、そのホームランの魅力と切っても切り離せぬ関係にあるのは異論の余地の無いところだと思う。
 スポーツには、このホームランに限らず、KOシーンとか、ロングゲインのTDとか、ダンクシュートとか、様々な魅力的なシーン、お金を払っても見たいと思わせるようなシーンがあるけれども、それがホームランに勝るものは無いと思う。世界最初のプロスポーツマンが、タイ・カッブではなくベーブ・ルースであること、日本の戦後のプロ野球の幕開けが川上哲治ではなく大下弘であることは、それの証明であろう。

 たしか、マイケル・ジョーダンだったと思うが、「アメリカ人にとって、人生最高の瞬間は、ホームランを打ってベースを一周する事だ。」というような言葉があるが、成程むべなるかなと思う。そう云えば、ホームラン後のベース一周というのは競技的な意味はまったく無く(ベースを踏み忘れる御仁もいたが、)、ほとんど単なる慣習でしかないけれど。プレイヤーサイドからも、観客サイドからも、「時間の無駄だから、あんな慣習やめちまえ。」という声が一切ないのは、ホームランと、その後のウィニングラン的なベース一周が切っても切り離せない関係にあるからであろう。

 んで、2巡以下

 まず2巡は無し。去年、ボンタと交換しちゃったから。2巡でボンタと考えれば、それ自体は何の不満も無いのであるが、でも、今ドラフトの2巡を見ると、1巡のOL祭りの煽りをモロに受け、バリューピック大会になってんだよなあ。

 まあ、例年2巡というのは、当然1巡指名洩れの選手が中心になるから、バリュー感は強いのであるが、今年はそれがひとしおである。1巡予想の選手がぞろぞろいる。話題、つうか問題のテオも2巡38位でチャージャーズが指名、待望のセオウの後継者か。名前も似た系統だし。

 チャージャーズは、このテオに加え、3巡でキーナン・アレンも指名できているし、結構お買い得なドラフトだったのではないだろうか。1巡のフルーカーも11位はともかくとして、RTとしては最高だろうし。何より顔が。

 ちなみにコルツがボンタと交換した2巡54位の時点では、モンテ・ボールもエディ・レイシーの残っとった。まあ、死んだ子の年を数えるようなもんなので、この辺にしておこう。


 3巡86位 ハグ・ソーントン OG イリノイ大学

 一体、今オフ、何人OL獲ってんねんという話である。まあ、確かに不安なポジではあるが、今のメンバー構成、どうなっているのか、さっぱり分からん。

 そんなコルツ事情はともかく、このハグ・ソーントンであるが、各種スカウティング・レポートを総合すると、ガードとしては平均的な体格・運動能力ながら、フットワークと、何より気合で勝負するタイプだそうである。ネスティなんて評価もある。
 そのネスティの根拠は、幼少期の複雑な家庭環境にあるようであるが、詳細は不明であるし、私の拙い英語力では軽々しく類推・断定は出来ない。ただし、それ故、精神的に不安定という評価もある。また、その精神的な不安定さが、プレイの爆発力につながっているのではないかという指摘もある。

 という訳で、フィールド内外の不安も無い事もないが、上手くいけば、インコグニートになる可能性も秘めたプレイヤーなのかもしれない。ポリアン時代は清廉潔白ないい子ちゃんしか獲らず、この手のプレイヤーには鼻水も引っ掛けなかったのであるが、これはグリグソンGM就任による大きな変化のひとつであろう。

 ちなみに、両ガード、両タックルともにこなせるそうである。


 4巡121位 カーレッド・ホームズ C 南カルフォルニア大学

 一体、今オフ、何人OL獲ってんねんという話である。まあ、確かに不安なポジではあるが、今のメンバー構成、どうなっているのか、さっぱり分からん。 

 そんなコルツ事情はともかく、このカーレッド・ホームズであるが、各種スカウティング・レポートを総合すると、センターとしては平均的な体格ながら、機動力と知性で勝負するという、まさにありがちなセンターであるらしい。

 ラックと年齢的、出身地的に近いことから(出身地は関係ないか。)、上手くいけばサタディ・マニングのように息の長いコンビになりうる可能性も秘めていると思う。QB・Cコンビというのは、一度決定してしまえば、マニング・サタディコンビのように、少々フットボール的な衰えがあっても、スターターの地位は安泰なので、ホームズにとってはここ数年は一世一代の勝負の時であろう。代理人からもアドバイスされていると思うが、「実はスタンフォードに入りたかったんだ。」ぐらいの嘘はついておくべきであろう。

 ちなみに、そのUSC時代の相棒、マット・バークリーとは高校時代からのチームメイトだったらしい。んで、兄貴のアレックスは元マイアミ・セントルイスのTEで、姉だか妹だか、おそらく年齢的に姉はトロイ・ポラマルの嫁だったりする。まあ、どーでもいい情報ではあるが。
 その影響なのだか、床屋が同じなのだか、理由は分からんが、妙な髪形をしとる。サテーラといい、髪型でセンター選んどるんか。

 ベタな連想ではあるが、そのファミリーネーム的には賢そうな感じはする。だが、その顔付き、髪型的にはバカそうな感じもする。真実はどっちだ。


 5巡139位 モントリ・ヒューズ DT テネシー−マーティン大学

 6−4、329パウンドという事で、典型的なNTである。逆に言えば、NTしか出来ないという感じもする。

 スカウティング・レポート的には、とりあえずデカイということしか分からない。ただし、デカイと云っても、山のようにデカイとか、家のようにデカイという訳でもなく、NTとしては平均的なサイズといった印象である。
 で、パワーがあるという事になるのであるが、まあ、パワーというのはスピード×重さなのであるから、デカけりゃデカい分だけパワーもあろう。

 まあ、勿論、NFLに入ってくるぐらいだから、それなりのスピードやクイックネスもあるのだろうが、印象的には、とりあえずデカイだけのNTといった感じである。

 ちなみに特筆すべきは、その学歴、つうか大学歴で、元々はハーグローブ・ミリタリー・アカデミー、それからテネシー大、そうして問題を起こしてテネシー−マーティン大、という事になる。要するに、道徳的な意味でも、勉強的な意味でもアホであるらしい。

 ちなみに、顔は典型的なバスト面。大丈夫か。


 6巡192位 ジョン・ボイエット SS オレゴン大学

 ここに来て、ここ数年の懸案のひとつだったSを指名。なんだかんだ言って、純然たるS、DB的なカテゴリーではなく、真性S、どエスの指名は2006年の6巡207位ベシア以来だったりする。どんだけベシアに依存してんだか。
 その翌年の2007年に指名されたブランノン・コンドレンも、ほとんど単なるスペシャルチーマーだったのではあるが、SちゃあSなので、彼をカウントしても、実に5年ぶりのセイフティ指名である。

 そのボイエットのスカウティング・レポートを総合すると、まず特筆すべきは、高校時代はQBもやっていたという事。その経験から来る読みが良く、すなわちゾーン・カバーは非常に高く評価されている。その半面、マンカバーは上手くなく、つうか、がっつりレシーバーをマークできるような運動能力は無いという事である。
 まあ、セイフティなんで、そんなにがっつりマンカバーすることは無いと思うので、これはそんなにキズにはならないと思う。

 また、タックルも気合が入っていて、時折、やり過ぎタックルまでしちゃうそうである。

 まあ、FSが出来る視野とゾーンカバー、SSが出来るタックルの両方を兼ね備えたタイプだそうである。

 とまあ、ここまで調べた限りでは、6巡まで残っていたのが不思議なくらいであるが、残っていたのには理由が2つあって、ひとつには、5−10という事でサイズが理想的でないという事、そうしてもうひとつ、こちらの方が大きな理由であろうが、2012年シーズンは怪我、しかも両膝の怪我で、ほぼ全休しているからである。ケガが無ければ、3巡前後で指名されても、おかしくなさそうな選手ではある。

 怪我の状態についてはさっぱり分からないが、私はサイズはほとんど気にしないので、今年のコルツドラフトの2巡以降では最もスターターに近い選手であるようにも思う。同じ6巡ということで、ベシアの後継者を目指して頑張れ。


 7巡230位 カーウィン・ウィリアムズ RB ユタ・ステイト大学

 ここに来て、おまっとうさんのスキルポジションの指名である。っても7巡230位だけど。

 各スカウティングレポートを総合すると、それなりに内も外も走れて、スロットには入れるくらいのレシーブ能力もあり、リターナーも出来る、但しパスプロは悪く、またスクリメージを抜けてからの爆発的なスピードや特殊なムーブ、タックラーをブッ飛ばすようなパワーは無い、つう感じだそうである。

 つう訳で、要するに典型的なスキャットバックであり、比較対象はダレン・スプロールズやダレル・ワシントンだったりする。まあ、コルツファン的には劣化版ドナルド・ブラウンであろう。つーか、ブラウンを劣化させてどーするつう説も無くはないが。

 つう訳でスキャットバックなのであるが、私がNFLを見始めた10年ほど前ならいざしらず、昨今は、FB、つうかTEっぽいFBの台頭に押され、すっかり、その職場を失いつつあるポジションのスキャットバックである。

 10年ほど前だったら、マーシャル・フォーク大先生の影響で各チームのプレイブックには必ずスキャットバックが組み込まれていたのであるが、最近はトンと見かけなくなっちゃとるからなあ。最近活躍したスキャットバックと云えば、上記のスプロールズ、それのNO時代のスプロールズくらいしかいない。いまや完全な絶滅危惧種である。スキャットバックが全盛期だったら、そもそもドナルド・ブラウンはもっと活躍していたであろうし、レジー・ブッシュのキャリアもまた変わっていただろう。

 なぜ、スキャットバックが滅び、それに変わるようにFBやHバックが台頭してきたのかの考察は別の機会に譲るが、とりあえず、このウィリアムズが活躍できる場が今のコルツにあるのかどうかは良く分からない。時代を逆流、あるいは先取りするかのように、スキャットバックをそのプレイブックに組み込むのかもしれない。まあ、単純にリターナーとしての指名なのかもしれないが。

 ちなみに、高校時代はこの人もQB経験者だそうである。まあ、SはともかくRBにとっちゃ、どーでも良い情報ではあるが。


 7巡254位 ジャスティス・カニンガム TE 南カロライナ大学

 各スカウティングレポートによると、ブロックブロックブロックぶろっくと、ブロックの事しか書いていない。とりあえず、ラン・パスともにブロックは完璧だそうである。完全に6人目のOLである。実際、NFLの公式ページには3人目のOTみたいな書かれ方もしとる。

 かつてのエルドリッジの時も同じような事を書いたが、わたしはそもそもブロッキングTEの価値を認めていない。これは素人考えなのかもしれないが、ブロッキングTEの価値をいまいち見出せぬ。ブロック専門のTEを置くなら、最初から6人目のOLを使えば良いと思っている。その6人目のOLよりブロッキングTEの方がブロックが上手いと言われればそれまでであるが、でもまあ、普通はブロックの練習しかしていないOLの方がブロックは上手いと考えるべきだろう。

 つう訳で、私は、TEはレシーブが出来てナンボだと思っているし、少なくとも敵のディフェンス陣にレシーブもあると思わせられないTEは役に立たないと思っている。実際、エルドリッジは、少なくとも素人目には、生産性を感じられなかったし。

 まあ、このブロッキングTE問題を抜きにしても、そもそもフリーナーとアレンの両TEのいる状況で、スターターレベルでの起用があるとは思えない。まあ、そのガタイを活かしてのスペシャルチーマーとしてのピックなのかもしれんが。

 ちなみに、ドラフト最終指名選手、すなわち所謂Mr..Irrelevantである。コルツ的には、昨年のハーニッシュに続いて2年連続だったりする。それにどんな価値があるのかはさっぱり分からんが。


 《総評》

 やっぱ地味だな。ドラフト前、地味なポジションはFAで補強し、派手なポジションはドラフトで獲得するのが王道みたいな事を書いたが、今回に限ってはドラフトも地味になってしまった。DL、OL、SとFA補強とポジション、ドド被りだし。まあまあ1巡のワーナーが、カテゴリー的にはパスラッシャーという事で、一応派手のジャンルに入るが、プレイスタイル的には堅実なLEって感じだし。燻し銀のドラフト、っつうか燻し過ぎだろ。

 まあでも、実際、今ドラフトはスキルポジションだったのだと思う。上位候補のWRを1巡で指名するなら、ヘイワード=ベイで勝負する方が得策であるように私にも思えてきた。今年の1巡候補とベイなら、ベイの方が素質的には上のように思う。しかも1巡指名選手と違って、ダメなら1年でカット出来るし。そう考えると、ベイ獲得はグリグソンの隠れたファインプレイだったかもしれぬ。

 3巡以下で、昨年のヒルトンやブラジルのように面白そうなWRを見繕ってくるかとも思ったが、それも無し。まあまあ、それを見繕ってくるなら、ヒルトンとブラジルの意味が無くなってしまうので、冷静に考えれば、しなくて当然ではあるが。

 あとまあ、繰り返しになるが、2巡があれば、本格派のRBを指名したかったな、というのはある。

 あとまあ、全体的な特長というか、傾向としては、昨年のチャップマンも同様ではあるが、ケガ人を割りに躊躇無く指名するという傾向はあると思う。チャップマンと上記のボイエットのほかに、ソーントンやホームズにも小さなケガがある。その分だけ指名順位が下がる訳だから、ある意味、怪我さえ治ればお買い得ピックとなる。上記のベイも同様だが、まあこれがハイリスクなのかローリスクなのか、ハイリターンなのかローリターンなのかは皆目分からぬが、この手のリスクを背負う方針というか、リスクを厭わぬ気分といったものは、前任者のポリアンには全く見られなかったものである。フィールド外のリスクも背負うし。この辺は、いかにもフィラディルフィア育ちといったところか。イーグルスの行ったヴィックで一儲けみたいな投機家あるいは相場師的なこともあるのかもしれない。ちと楽しみ。早速、シップリーで条件付きドラフト権を得ているし。シップリーって。ケチくさいにも程がある。良くも悪くも鷹揚だったポリアンには見られなかったトレードである。

 まあ、こんな感じかなあ。今年のプロスペクトには随分悪口を言ってしまった感じではあるが、まあこれは、あくまでドラフト時点での評価なんで、本人(読んでいるわけ無いか。)および本人のファンの皆様、お気を悪くしないように。ドラフト時点での評価なんて、数年後にはガラッと変わってしまうのが通例なんで。

 プロスペクトのレベルは低かったものの低いなりに、というか低い故に面白かったのが、今回のドラフトであった。実際、ショーとしては、アンドレッツイの苦虫も含めて、昨年より面白かった。1位2位もドキドキしたしな、チッ。しかし、よく出来ているね、ドラフトのシステムって。ホント、いかにもアメリカ的なもの、ではある。
 
                                             2013/5/11(土)

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