インディアナポリス研究会コルツ部

歴史

2021シーズン

TOPページへ

コルツ部TOPへ

1/2/3/4/5/6/7/8/9

Wildcard
Playoff
あれこれ  前回の記事で「仮面劇」について書いたけれども、典型的なのをひとつ忘れてた。「デトロイト・メタル・シティ」である。

 こちらは「タイガーマスク」や「パーマン」と比べると、典型的、というかコテコテの「仮面劇」であり、特に言及することはない。ギャグマンガ故に、複雑な「仮面劇」は難しいのであろう。それ故、「仮面劇」としての面白さは前二作に劣る。

 とまあ、マクラはそれくらいにして、本題のワイルドカード・プレイオフについて。

 まずは、チャージャーズvsテキサンズ。こちらは12−32でテキサンズの勝利。残念。

 何回か前の記事で、私は「最近のNFLはインターセプトを怖がり過ぎ」みたいな事を書いたけど、こういうゲームを観ると、「怖がるべき」だよね。虎に乗ったヤクザくらい怖がるべきだよね。

 これがもし、チーム力、すなわち「MADDEN」的なチーム力が同等だったら、インターセプトやファンブルロストといったターンオーバーの一つ二つはいくらでも跳ね返せるのだけれど、今回の「チャージャーズvsテキサンズ」のように元々のチーム力にそこそこの差がある場合、まあやっぱり、致命傷になるよね。

 ちなみに、現地のブックメーカーは「チャージャーズ有利」みたいなオッズにしてたらしいけど、不思議。単純な戦力はテキサンズ有利であろうと思う。ハーボーを買ってたのかな。

 あと、もひとつ意外というか、「へえ」と思ったのは、チャージャーズの総失点がリーグ1位だったという事である。私は、以前にどっかで書いたけど、今季のチャージャーズのディフェンスはそんなに良いとは思っていない。中の上、ないし中の中くらいだ思っている。

 でも、総失点リーグ1位。まあ、そういう事だよね。フットボールにおける、この手の数字、総失点とか総得点とか、獲得ヤードとか喪失ヤードとかはほとんど意味のない数字である。目安にもならない。

 今季のチャージャーズの総失点が1位である理由は一つしかない。ランヘビィのオフェンスをしていたからである。結果的に、相手チームのオフェンス機会が減り、チャージャーズの総失点も少なかった訳である。理由と原因の違い。

 これの最も分かり易い事例は、それこそマニング時代のコルツであろう。当時のコルツはディフェンス、更にはランディフェンスの数値はそこそこ良かった。理由は簡単。マニングがバカみたいに攻めるので、結果的に敵オフェンスはパス主体で攻めざるを得ず、コルツのランディフェンスの各数値がそこそこ良くなってしまったのである。

 無論、コルツの本来のランディフェンス力はしおしおなので、プレイオフになると、スティーラーズやペイトリオッツにそこを容赦なく突かれ、コルツ、というかマニングは敗退していったのであった。

 フットボールにおけるオフェンス力やディフェンス力っていうのは、ここぞという時に攻められるか守れるか、ボールを進められるかボールを奪えるかであり、それはスタッツからは絶対分からん。ゲームを観ないと。

 ゲームに話を戻す。

 このゲームのハーボーのプランは、当然のことながら、前半終了、というか第3クォーター終了時点まで、ワンポゼッションくらいでくっついていって、第4クォーターで突き放す、あるいはうっちゃるみたいなものだったろう。アンダードッグの典型的なそれである。

 実際、前半終了時まで、まずまず成功してた。

 そうして、第3クォーター中盤にインターセプトを奪ったら、取り消しの憂き目。

 んで、その後、インターセプト2連発、しかも一つはリターンタッチダウン、一つは54ヤードのビッグリターン。

 そうして、その後、86ヤードの一発タッチダウンが決まるも、XPでまさかのリターンタッチダウン。

 この時点で「ゲーム終了」って感じだった。ハーボーは切れてたと思う。

 インターセプトに関しては、自分たちのミスという事で、まあまあ仕方ないにしても、そこからリターンされるか否かは、完全に「運」だもの。これは自分たちでコントロールできない。ノーリターンかリターンタッチダウンかはエライ違いだけど、それはもう完全に「運」だもんなあ。

 しかも、その二つ目というか、この日三つのインターセプトはレシーバーが弾いたボールだから、これも「運」ちゃあ「運」である。弾いた事自体は確かにミスだけど、そのボールがディフェンダーの手に収まるか否かは「運」だもんなあ。コントロールできない。

 しかも、その後にはXPでまさかのリターンタッチダウン。まあ、ブロックされた事自体はミスちゃあミスだけど、それをリターンされるか否か、更にはタッチダウンになるか否かは完全に「運」だもんなあ。

 「諦めがつく」と言っちゃあいけないけど、「今日はそういう日だった」と思うしかない。そんな日もあるさ。

 でも、この「XPでまさかのリターンタッチダウン」。まあ、なんつーか、フットボールの怖さ、醍醐味だよね。「得点出来そうで、出来なかった」というのは、多くのスポーツでよくあるシーンである。「ノーアウト満塁から三者凡退」とか「ペナルティキックを外す」とか、「『一点いただき』からの無失点」は、スポーツではよくあるシーンであろう。

 でも、フットボールの場合、「得点出来そうで、失点する」があるから、怖いよね。この「XPでまさかのリターンタッチダウン」は、「+1点」を皮勘定していたら、まさかの「−2点」。ゴール前からのインターセプト・リターンタッチダウンは「+6点」からの「−6点」。まさしく「天国から地獄」である。

 そうして、この「天国から地獄」あるいは「地獄から天国」があるのは、フットボールだけだと思う。他のスポーツは「天国から現実」「現実から地獄」止まりである。まあ、「逆転サヨナラ勝ち」とか、あるにはあるけどな。ただ、この手の「逆転」というのは、この「プラスからマイナス」あるいは「マイナスからプラス」とは、ちょっと違うと思う。強いて言えば、ボクシングのカウンターパンチか。ただ、あれは「皮算用」する時間はほぼ無いからなあ。

 つう訳で、今季のチャージャーズは終了してしまったのであるが、さて来季の展望はというと、暗いは言い過ぎだけど、今季同様厳しいのには変わりはないであろう。

 そもそも、ドラフト1巡上位QBの5年目6年目つうのは、キャップマネジメント的には最も厳しい時期である。今季のバロー、つうかベンガルズが沈んだのは、これが理由である。マホームズの5年目6年目で結果を出したリードが異常というべきなのである。

 そのリードほどではないにせよ、今季のチャージャーズがこの位置まで来たというのは、やはりハーボーの手腕が大きいと言わざる得ない。
 
 でも、来季も苦しいのにはやっぱり変わりはない。FAで有力選手をかき集めるのはほぼ不可能なので、ドラフトに全てを賭けるしかない。1巡から7順まで、吟味に吟味を重ねるドラフトとなろう。あとはストリートFAを拾うくらいか。

 次のスティーラーズvsレイブンズという永久不滅のマンネリカードは観てねっす。

 次のブロンコスvsビルズも全然観てないのだけど、せこい感想をひとつ。

 このゲームはビルズが31−7で完勝(たぶん)したわけだけど、レギュラーシーズンの最終戦でチーフスがブロンコスに勝っていたら、また違った結果もあったかもよね。

 その場合、ベンガルズvsビルズというカードになっていたかは、計算していないので分からないけれど、このカードが実現していたら、ちょっと面白かったよね。ベンガルズ勝利ビルズ敗退も十分有り得たと思う。

 そうして、今後ビルズがチーフスを破ったりしたら、チーフスサイド的には「あん時、勝っときゃ良かった」なんて論調も生まれたり生まれなかったり。「スケジューリングの妙」だよね。

 次はパッカーズvsイーグルス。この試合はちょろちょろ見ていたのであるが、結果は10−22でイーグルスの勝ち。得点差以上にイーグルスの完勝だったと思う。ご自慢のオフェンスラインが機能したゲームだった。

 それはともかくとして、パッカーズは、ちと早く強くなり過ぎた、というかラブが予想以上に優秀なQBであり過ぎたよね。昨季と今季の2年くらいは負けておきたかったと思う。ライオンズとかテキサンズみたいに2,3年がっつり負けておけば、自動的にドラフトで良い選手が集まり、そこにラブを載せれば、スーパーボウルも狙えるチームになっていたと思う。ラブが良すぎたために、チーム運営的には、かえって苦しくなってしまった。難しくなってしまった。

 でも、ラブはほんと3年寝かせた甲斐があったよね。実際、ちょっとロジャースを髣髴とさえるようなところもある。ロジャース同様、3年間のサイドラインは決して無駄ではなかった。

 まあ、ロジャースがファーブを髣髴とさせるかというと、させないけどな。ファーブによく似ているのは、良くも悪くも、つうか悪くも悪くも、やっぱりメイフィールドだと思う。

 次は、そのメイフィールドも出場したコマンダーズvsバッカニアーズ。この試合はがっつり見た。23−20でコマンダーズ、つかダニエルズの勝利。

 まあ、なんつってもダニエルズだよね。ダーノルドの不細工なクォーターバッキング(ワイルドカードじゃなくて、最終戦の方)を見た後だけに、このダニエルズのクォーターバッキングは一服の清涼剤のようですらあった。

 いちいち素晴らしいのだけど、ハイライトはやはり、第4クォーターでのゴール前5ヤード・4th&ギャンブルでのタッチダウンパスであろう。その直前でも同じような4th&ギャンブルでパス失敗しているので、「パスのコールはどうかなあ」なんて私は思っていたのであるが、そんな私の心配もどこ吹く風、バシッとタッチダウンパス。

 いやぁ、シビレたね。ほんの一瞬だけ開いたスモールウィンドウにビシッと決める。「うひょ〜、セクシィ〜〜〜」って思わず叫んじった。

 昨今のNFLはどのチームもレッドゾーンオフェンスに苦しんでいるのだけど、そんな事はお構いなしにビシッと決める。この試合、レッドゾーンからのタッチダウンパスはもうひとつあった。いや、立派。いや、スゲーよ。

 私が今まで見てきたルーキーQBの中では、ダルトンをぶち抜き、2位、いやラックと同等かも。

 いや、ルーキーとか抜きにしても、現役QBでもトップクラスだよ。いや、トップかも。

 ダニエルズが「10」なら、ダーノルドは「1」。ゴフが「3」から「4」くらい、ストラウドが「6」、スタッフォードが「7」、ロジャースやマホームズでも「8」から「9」であろう。ちなみに、ラックは「12」、モンタナは「20」。

 この数値は何かというと、どれくらいフィールドが見えているか、彼我の動きが見えているかって事である。ダニエルズは「現在」の全て、両ラインの動き、レシーバーとディフェンダーの関係、点差、残り時間等々、全て見えている。だから、「10」。

 「じゃあ、ラックの『12』は何だ」って事になるけど、ラックは「未来」が見えてんだよね。つか、見えてたんだよね。数プレイ先、数クォーター先がラックには見えていた。だから、「12」。電撃引退も、それが理由の一つかな。先が見えてた。

 「では、モンタナの『20』は」って事になんだけど、モンタナはもっと先、数試合先、数年先まで見えてた。だから、「20」。

 アメリカには、たまにいるよね、そういう選手。すっごい先まで見えてるような選手。ラリー・バードとかマダックスとか、そういう選手。っつても、その3人しか知らんが。

 ダニエルズは、そこまで先、すなわち「未来」までは見えていない感じだけど、フィールド上の全ては見えていると思う。すなわち「現在」は全て見えていると思う。

 ラックとかモンタナは、フィールド上の全てではなく、フィールド上の因果関係の全てが見えていた。だから、「未来」が見えるのである。なんなら、「未来」をコントロールさえ出来た。

 そこまでをダニエルズに求めるのは酷かもしれないが、これくらいフィールド上が見えているのだったら、あの失われたQBテクニック、ノーハドル・オーディブルをやらしてみても面白いと思う。本人は嫌がるかもしれんがな。

 まあ、オーディブルはともかくとして、私がコマンダーズのGMだったら、これからの2年間に全てを賭ける。後先考えず、デタラメにFA補強する。オールインである。すべてぶっこむ。そういう気持ちにさせるくらい、ダニエルズは素晴らしい。

 実際、優秀なヘッドコーチと組めれば、コマンダーズ王朝(変な名前)も夢ではないと思う。ダン・クインがそのレベルのHCかは何とも言えんが。ラックの悲劇だけは繰り返さないように。くれぐれも。

 最後のヴァイキングスvsラムズは、ダーノルドの不細工なクォーターバッキングつう、それだけのゲーム。ヴァイキングスも結論を出した事であろう。

 このダーノルドを見ていて分かった事、というか、そんなのは私は大昔から知っていたんだけど、「経験を積ませれば、」っていうのはウソッパチだって事である。経験を積ませても、ダメな奴はダメなんだよ。

 NFLに限らず、どんなスポーツの世界でも「経験を積ませれば」なんて言説はよく見かけるけど、あんなの大間違いだからな。才能の無い奴には、どんだけ経験を積ませてもダメだからな。「経験積ませれば」ではなく、「見込みのありそうな」が正解。いや、もっと言えば、「活躍しそうな奴を使う」、これが正解。そうして、誰が活躍しそうかを見極めるのが、監督やコーチの腕の見せ所、いや眼力の見せ所である。「使ってれば、経験をさえれば、誰でも上手くなる」なんてことは絶対にない。

 最近は、これは完全にテレビゲーム、コンピューターゲームの影響だと思うけど、こうしたテレビゲーム、コンピューターゲームの連想で「現実」をとらえる人間が非常に多い。確かに、ゲーム、RPGやSLGでは、どんなキャラクターでも、使っていけば、「経験値」が増して、それなりに強くなっていくものだけど、「現実」は違うからな。「現実」に「経験値」なんて無いからな。どんだけ経験を積んでも、すなわち「経験値」を稼いでも、「レベル」の上がらない奴はいるからな。「現実」と「ゲーム」は違うからな。勘違いすんなよ。なんでもかんでも、ゲームからの連想で解釈すんなよ。

 まあ、確かに、最近のテレビゲームやコンピューターゲームは、非常によく「現実」を模しているけれど、違うところは違うからな。勿論、コンピューターの性能的技術的に不可能というのもあるし、それよりなにより、エンターテインメントとして、「現実」を模していないものも多いからな。
 この「経験値」なんてものは、その最たるものだ。だって、使っても使っても成長しない、「レベル」の上がらないキャラクターがいたら、イヤでしょう。そんなゲーム、やりたくないでしょう。だから、「ゲーム」にはそういうキャラクター、楽しくないキャラクターは出てこないんだよ。でも、「現実」は違うからな。この世は楽しむために作られていないからな。「現実」には、やってもやっても成長しないもの、レベルの上がらないものがあるからな。「現実」は甘くないぞ。それがスポーツの醍醐味だぞ。

 んな感じかな。数時間後にはディビジョナルプレイオフ。コマンダーズvsライオンズは、ちょいと楽しみ。普通にやればライオンズだろうけど、アップセットを期待。ダニエルズに期待。

 んで、忘れじのコルツコーナ〜〜〜。

 いやまあ、んな大した事ないんだけどさ、前回書き忘れた事があったので、ちょいと補足。

 超大物新人ライアツ・ラツについてだ〜〜〜〜。

 結局、17試合出場、4サック、3ファンブルフォース。

 4サック、4サック、4サック、4サック。

 厳しい現実、現実は厳しい。財津一郎に言われるまでもなく、キビシィー。

 あと、スタッツを見ていて思うのは、「スタッツ無し」の試合が多いんだよね。これどういう事?。試合には出場してんでしょ。タックルひとつ出来んのかい。異常に嗅覚が悪い、鼻が利かないのか、それとも、異常なブロッカー吸収マシンなのか。ブロッカーを吸引する能力が異常なのか。

 来季はがんばってね。

 つか、「ケガが無ければ、1巡上位」という評価は何だったの。責任者、連れてこ〜〜い。

 あと、アンソニー・リチャードソンね。

 この2年間の成績が、

 15試合出場、2391ヤード、11タッチダウン、13インターセプト、635ラッシングヤード、10ラッシングタッチダウン

 まっ、酷いよね。ちなみに、レイティングは67.8。パス成功率は50.6%。

 その試合っぷりは1回も見ていないので、断言はしかねるけどな。

 来季、やって貰わなければ困りますぅ〜〜〜。
 
 いや、マジで。来季もこの調子なら、4年目は無いからな。5年目オプションなんて、夢のまた夢だからな。

                                    2025/1/19(日)
Divisional
Playoff
あれこれ  前回の記事で、「モンタナやラックは、数プレイ先、数クォーター先、数試合、更には数年先まで見ながら、クォーターバッキングしてた。」みたいなことを書いたけれども、数プレイ先、数クォーター先はともかく、「数年先」はさすがに無い。つい口が滑ってしまいました。ついタイピングが滑ってしまいました。調子こいてしまいました。ここに謹んでお詫び申し上げます。

 いやあ、危ない危ない、あやうくBPO案件になるとこだった。と、軽く時事ネタ。

 さて、ディビジョナル・プレイオフである。

 まずは、テキサンズ@チーフス。14−23でチーフス勝利。

 順当ちゃあ順当にチーフス勝利。

 最終的なスコアは9点差であったが、危なげなくチーフスは勝利。盤石の試合運びであった。「試合をした気がしない」といっては言い過ぎだけど、リード以下チーフスの面々は練習の延長みたいなゲームだったろう。

 一方、テキサンズは為す術もなく敗退。あまりに無策。無策。

 単純な、MADDEN的な戦力差はチーフスに分がある、それも大分あるのだから、何か策を講ぜんと、何か足掻かないと。普通にやって普通に負けた。それこそ、MADDENのデモプレイのように負けた。

 この対戦相手が仮にチャージャーズ、というかハーボーだったら、何か策を講じてた、何か足掻いていただろう。その結果、9点差位以上の大差で悲惨な負け方をしたかもしれない。でも、ハーボーだったら、何らかの形で抵抗したと思う。爪痕ぐらいは残したと思う。

 でも、テキサンズは無策、デメーコちゃんはあまりに無策。この「9点差」はそのまま両軍の実力差戦力差である。

 こういう事は問題発言になるから、あまりいたくないのだけど、こういうとこが「黒人」ヘッドコーチかなとも思う。ダンジーなんかも同様だったし、他のスポーツの黒人ヘッドコーチや監督も同様だけど、とにかくいつも「普通に」戦っちゃう。作戦とか戦略、戦術が皆無。故に、戦力差がそのまま出るか、あるいは敵チームの戦略戦術にはまってアップセットを食らうかのどちらかである。かつて、コルツが、ペイトリオッツはともかく、スティーラーズやチャージャーズに苦杯を舐めさせられたのは、その典型である。

 この試合なんかでもブリッツひとつ掛けやしない。

 例えば、第3クォーターでテキサンズがタッチダウンを奪い12−13、その直後のドライブ。私なんかは、ここが勝負どこだと思い、オールアウトブリッツでも掛けるかと思ったら、普通に4メンラッシュ5メンラッシュでずるずると後退、結果タッチダウンを献上。

 しかも、その直後、今度はテキサンズの攻撃で、チーフス、というかスパグニュオーロのお家芸、というか「それしか能のない」ブリッツ攻勢で、テキサンズをシャットアウト。この時点で、「勝負あった」である。

 まあ、もちろん、ブリッツ、それもオールアウトブリッツっていうのはリスクがあるよ。一発タッチダウンを食らう可能性も高い。でも、それを食らっても12−20。まだ1ポゼッション差である。しかも、一発タッチダウンという事は、ほとんど時間も消費していないのだから、そういった意味でも低リスクである。十分、勝負をかけるタイミングだったと思う。最近流行りの言葉で云えば、「レバレッジ」するチャンスだったと思う。

 でも、普通に守ってずるずると後退、結果タッチダウン献上、更には「7分44秒」も消費されてしまう。

 「デメーコちゃんがヘッドコーチをやっている限り、このチームには先がないな。」と思った。デメーコちゃんは好きな選手だったけどさ。

 あとはストラウドかあ。良い選手良いQBであることは間違いない。だけど、昨季も同じ事を云ったが、やっぱり「1年間、サイドラインに寝かしておく」べきだったと思う。

 この試合に限らず、クォーターバッキングに戸惑っている、当惑しているシーンが散見された。ラブとか、後述するが、ダニエルズとは、そこが決定的に違う。彼らはクォーターバッキングが分かっている、フットボールというゲームが分かっている。

 「そういう事はルーキーイヤーの経験で身につくのではないか」という疑義もあるかもしれない。でも、身につかないんだよね、不思議と。それは、このストラウドに限らず、数々の「DAY1あるいはYEAR1スターターQB」が証明している。このディビジョナルプレイオフでもマリオッタとかブリッジウォーターが、その悲しき現在を露わにしてた。そういや、ウェンツ君はチーフスのバックアップ(涙)。

 「じゃあ、何故、試合に出場しながらでは身につかないのか。」というと、以前もどっかで書いたけど、試合中では、その場を凌ぐだけで精一杯で、自身のプレイを反省する、あるいは客観視する余裕が無いのだと思う。で、その余裕はサイドラインには十分過ぎるほどある。QBはOJTの通じない仕事である。

 「では、何故、ダニエルズは1年目から見えているのか」というと、まあ勿論本人の資質という面も大きいだろうけど、以前書いたように「カレッジで55試合先発」という経験が大きいと思う。カレッジだと、NFL入りするようなQBにとってはレベルが低いので、OJTが可能なのだ。プレイしながらでも、フットボールを学べるのだ。下位指名のQBに「この手の落着き」「フットボールへの理解」を見せるQBの多いのも同様の理由であろう。低いレベルとはいえ、多くを経験できるからだ。NFLのルーキーQBのように「いっぱいいっぱい」にはならない。そのレベルで「いっぱいいっぱい」ならNFLには来れないしね。

 カレッジでのスターター経験っていうのは、1年は論外、2年でも少ないくらい、最低3年は必要だと思う。それが無いのならば、プロ1年目はサイドラインにすべきだと思う。3年でも少ないかもしれない。先発数だと40試合くらいが目安か。

 ちなみに、今ちょっと調べてみると、マリオッタとブリッジウォーターは3年、ストラウドは2年、ウェンツが実質2年、ダーノルドは2年、マホームズは2年ちょい、ペイトン・マニングが3年半ぐらい、ブレイディは2年。
 こう調べてみると、ダニエルズの5年、厳密には4年とコロナシーズンが異常だという事が分かる。ちなみに、カレブ・ウィリアムズは37試合、ボー・ニックスは61試合(!!!)、ぺニックスは48試合出場。コロナ世代は期待できる、かもしれん。ちなみに、我らがリチャードソン君は24試合出場、13試合先発、6勝7敗。何も言うまい語るまい。

 さて、チーフスである。私は、ここ数年のチーフスを「弱い弱い」と貶めてきた。でも、今季は強い。

 いや、おかしいだろ、このロースター。いつの間にか、デアンドレ・ホプキンスとかカリーム・ハントとかいるぞ。マーキス・ブラウンとかもいるぞ。サラリーキャップの申告、間違えてんだろ、調査お願いしま〜〜す。ここをビデオ検証しろっつの。

 近年のチーフスは武器が3個くらいしかなくて、それを恰も10個あるかのように見せかけて戦ってきた。ところが、今季はほんとに10個ある。10個あるのに3個しか使わずに戦ってきたのが、今季のここまでのチーフスである。昨年まではモデルガンで銀行強盗していたのに、今年はモノホンのピストル、いやモノホンのマシンガンで銀行強盗しているようなもんである。コラコラ、喩えが悪い。喩えが道徳的に間違ってる。
 
 しかも、上記のメンツに加え、まだWRとしては練れていないけどウォージーもいる訳である。敵ディフェンスとしては「放っとく」訳にもいかんからな。

 マホームズはモノホンのマシンガンを手にルンルン気分であろう。昨季はモデルガンどころか、背広のポケットで銃口をやってたからな。今季はルンルン気分で銀行強盗してるだろう。コラコラ。

 次はコマンダーズ@ライオンズ。45−31でコマンダーズの勝利。

 ダニエルズがいるとはいえ、ハッチンソンが欠場しているとはいえ、元々の戦力に大差があるので、ライオンズが勝利するだろうと予想していたが、まさかの結果で私の面目丸つぶれ。どうしてくれるんじゃ〜〜。責任取らんかい。G+の増田さんによると、シーズン前のパワーランキングはコマンダーズが30位、ライオンズが5位。なのにこの結果。どういうこっちゃ〜〜。責任者呼んでこ〜〜い。

 とまあ、カスハラじーさんプレイはともかく、ライオンズはコマンダーズ、つうかダニエルズに敗戦。シーズン終了の憂き目に。

 上記のテキサンズは「無策で負けた」と私は書いたけれども、こちらライオンズは、策に溺れるというか、気負い過ぎての敗戦である。テキサンズは「普通にやって」負けたのに対し、ライオンズは「普通にやらずに」負けた。

 だいたい、実力上位者は普通に戦い、実力下位者は普通に戦わないというのが、戦いや勝負事の基本戦略、というか基本中の基本戦略であるけれども、何故かこの両チーム、この基本に反した。そうして敗退した。

 いくらダニエルズがいるとはいえ、ハッチンソンが欠場しているとはいえ、元々の戦力差がかなりあるのだから、ライオンズは普通に戦っていれば勝てたと思う。とりわけ、コマンダーズのディフェンスなんておよそプレイオフレベルじゃないし、オフェンスにしたって、どこまで行ってもダニエルズ頼みである。しかも、4thダウンはほぼギャンブルしてくれるのである。普通に戦って、コマンダーズのミスを待っているだけで、勝利を手中にできたと思う。

 なのに、ライオンズは焦りまくり。第1クォーターのファーストシリーズから試合最後の2ミニッツみたいな攻め方をして、結局自滅。第4クォーター序盤のスペシャルプレイからインターセプトなんてバカ丸出しでしょ。なにやってんだか。

 ただまあ、そういう気持ちにさせるだけのものがダニエルズにあったのかもしれん。私はこのライオンズのダニエルズへの見立ては過大評価のように思うけど、もしかしたらライオンズの評価の方が正しいのかもしれん。それくらい、この試合の、いや、この試合に限らず、ダニエルズは素晴らしかった。非の打ち所がない。

 私はここ数年、「アメリカ人はQBを過大評価してる。」みたいなことを書いてきたし、そう思っていたけれども、このダニエルズを見てると、「やっぱ、フットボールはQBだな。」と思わざる得ない。スイマセン、私が間違っておりました。ここに重ねてお詫び申し上げます。

 それくらい素晴らしかった。どのプレイも見事なんだけど、白眉は第4クォーター9:07、ライオンズ陣23ヤード、2nd12でのプレイであろう。ここでライオンズはブリッツを掛けてきて、コマンダーズはスクリーンプレイで対応するのだけど、そこでダニエルズはRBに投げるのではなく、前方10ヤードほどにいるTEのザック・アーツに投げパス成功。私はテレビの前で「えっ、そこに投げんだ。」って呟いちゃった。解説の有馬さんもほとほと感心してたけど、ちょっと見た事ないレベルのプレイである。ダーノルドと比較していた自分が恥ずかしいくらいである。

 岡目八目の私より、フィールドが、フットボールが見えている。

 はっきり言って、現役ナンバー1QBだと思う。ロジャースやマホームズより上である。というか、私が今まで見てきたQBの中でもベストかもしれん。ブレイディはまたちょっと特殊なタイプなので除外するが、マニングやラックと比べても遜色ないというか、多分ダニエルズの方が上だと思う。

 マニングは技術的には勿論非の打ち所が無いんだけど、「バカみたいに攻める」「後先考え無しに攻める」という致命的な欠点があったのだが、ダニエルズにはそれがない。きっちりゲームをコントロールしてる。マニングの技術にラックの判断力が加わったみたいな感じである。

 つか、はっきり言って、「理想のQB」、「QBの理想」だと思う。一昔前に、スポーツマンの形容詞として「ゼニが取れる」というものがあったけど、ダニエルズのクォーターバッキングは、まさしく「ゼニの取れるクォーターバッキング」だと思う。金を払っても見たいクォーターバッキングである。

 強いて欠点を上げるとすれば、「もう少しポケット内に留まった方が良いかな」ぐらいである。結局のところ、「ポケット内」が一番安全であるからだ。

 尤も、走るのも上手いんだよね。テイラー様もかくやとばかりのルート取りをする。彼我のプレイヤーの動きがはっきり見えているので、最も安全かつ最も距離を稼げるルートを走っていく。無暗に前進してボールを抱えてヘッドスライディングのダーノルドとはえらい違いである。

 私は先に「黒人ヘッドコーチ云々」みたいな事を書いた。一昔前、「優秀なQB、判断力に優れたQBは白人に限られる」みたいな論調があった。でも、出て来たよね、優れた判断力を持ったQBが。時代を制する黒人ヘッドコーチが出てくるかもしれない。

 あっ、そうそう、ライオンズファンが正しい表情をしてましたよね。ここ数年すっかり忘れてたライオンズファンの正しい表情がこの試合で復活しましたよね。あの「なんで、俺ココにいるんだろ」っていうライオンズファン独特の表情が復活してました。

 で、そのライオンズであるが、どうするんだろうねえ。まあ、ゴフを変えたいところなんだろうけど、どう変えていいかが分からない、そんな感じかなあ。

 そういう事ってあるよね。変えたい気持ちもあるのだけれど、具体的にどう変えていいか分らない物や事ってあるよね。車とか仕事とか嫁とか旦那とか(コラコラ)、またそういう大きいものでなくても箸とか茶碗とか。そういう「変えたいんだけどなあ、でも何に変えていいか分からない」って物や事ってあるよね。ちなみに私はこのパソコンのキーボードを変えたいと思っているのであるが、なかなかいいものが見つからない。ピンとくるものがない。かれこれ1年くらい探してる。
 
 キーボードはともかくとして、今季のライオンズは15勝2敗の成績を残した訳であるけれど、多少水増し感がない訳ではない。なぜなら、ヴァイキングスの記事にも書いたように、今季のNFC西周地区はAFC三波豊和地区と当たっているからだ〜〜〜。ギャグが古すぎて、ゴメン。

 調べてみたら、当然のように対AFC南沙織地区4勝0敗。しかも、対タイタンズは52ー14。対ジャガースは52−6。総得点も水増しされてるよね〜〜。

 NFC北満男地区の3チーム、ライオンズ、ヴァイキングス、パッカーズがいずれもプレイオフ初戦敗退している事から見ても、数字を鵜呑みにする事の怖さだよね〜〜。
 
 そういえば、忘れじのコルツはラブ抜きのパッカーズに負けてたじゃねーかよーー。一方、ラブ有りのパッカーズはイーグルスに負ける。どんだけ、イーグルスと離れてんだよ〜〜〜。

 さて、そのイーグルスも参戦している残りの2試合であるが、こちらはまとめて。うつらうつらの観戦だったので、試合の詳細に関する感想は省きます。

 結果は、ラムズ@イーグルスは22−28でイーグルス、レイブンズ@ビルズは25−27でビルズ。

 私はイーグルスとビルズが勝ち上がると予想公言していたので、うつらうつらの一方、ヒヤヒヤの観戦。で、イーグルスとビルズが無事勝ち上がって、ホッ。

 でも、そんなにビビってはいなかったのだ〜〜。なぜなら、私には絶対安心安全保険があったからだ〜〜。それは「降雪」である。両チーム、あるいはどちらか一方が仮に敗退しても、「雪」を理由に言い抜けようとしてたのだ〜〜。だって、雪降ってんだもん、しょうがないでしょ。

 悪天候というのは、大きく3つある。雨、風、雪の3種である。あとまあ、ヤリとかあるけど、これはあくまで言葉遊びなので論外。

 でも、この「ヤリが降っても」というド定番のレトリックであるが、今現在を生きる我々にとっては、あくまで言葉遊び、誇張表現、絵空事にすぎないけれども、大昔、それこそ今から2000年前3000年前の人にとっては、あながち誇張表現絵空事じゃないんだよね。

 もちろん、2000年前3000年前の地球で、雨や雪のように、「ヤリが降る」という天候気候があった訳ではない。戦争、あるいは、ちょいと大掛かりな集団闘争、ケンカで、現実に「ヤリが降ってきた」だろうからだ。
 戦争の初期段階では、何らかの長距離砲を用いての敵戦力の削減が常套戦術である。現代から遡っていくと、ミサイル、空爆、大砲、弓矢、みたいな感じであろう。で、その前がおそらく「ヤリ」であったのだ。更にその前は、「石」であったろう。

 つう訳で、現実に「ヤリ」が降ってきていたのだ。まあ、ミサイルよりははるかにマシだけどな。

 閑話休題。

 でまあ、ヤリはともかくとして、雨、風、雪あたりが、NFLにおける3大悪天候であろう。まあ、霰とか竜巻もあるけどな。そのへんは、特殊な例外である。

 で、その雨、風、雪はそれぞれゲームに影響を与えるけれども、その3つのうち、「雨」が影響が最も少ないと言われている。かなりの大雨でも、プレイごとにしっかり手を拭いておけば、さほど影響はないと言われている。

 一方、「雨」より影響が大きいのは「風」だと言われている。こちらは、微風であっても、キック、パス等々、それなりの影響を受けるらしい。そうして、その「風」が一定ならまだしも、風速や方向がコロコロ変わる巻き風つむじ風みたいなのだと、もうどうにもならないらしい。マリンスタジアムみたいな感じである。しかも、「雨」と違って、意外に対策がない。まさしく、「風まかせ」「Bloein' in the Wind」である。

 そうして、今回の「雪」なのであるが、どんなもんでしょ。素人考えだと、「足場が不安定になる」という意味では、上記2つよりタチが悪いのではないかとも思う。彼我の戦力差が縮まるのではないだろうか。
 極端な話、フィールドが「泥んこ」だったら、我々素人でもNFLプレイヤーに太刀打ち出来るのではないだろうか。彼らの運動能力や技術は無に帰すのではないだろうか。

 さすがに無理か。最初の5分くらいは「同等」かもしれないが、直に「泥んこ」に慣れ、我々を圧倒してしまうのだろう。しかも、「慣れる」のも我々より早そうだし。

 んな事を考え、これを言い訳にしようと思いながら、上記2試合を観戦していたのであるが、無事(?)、イーグルスとビルズが勝利した。ホッ。
 でも、両ゲームとも1ポゼッション差だったから、何があってもおかしくはなかったけどな。

 あと、レイブンズについてね。

 私は先に「AFCはチーフスとビルズの決勝になるだろう」と予想したけど、その翌日くらいに「あれ、レイブンズ忘れてたな。」とも思った。

 ただまあ、「やっぱ、レイブンズはねーかな。」と思い直して、訂正記事言い訳記事を書くことはしなかった。

 レイブンズは確かに強い事は強い。戦力も充実してる。でも、なんつーか、薄いんだよね。ライオンズやテキサンズのように分厚くない。虎は虎でも張り子の虎みたいな感じである。大鴉は大鴉でも張り子の大鴉みたいな。詩の中でしか生息してないみたいな。

 レイブンズは、スティーラーズも同様だけど、編成は非常に優秀である。GMが変わってもそれの変わらないところから推するに、組織そのものが優れているのであろう。
 でも、それ故に、編成が優秀であるが故に、常に安定した成績、プレイオフ常連、そのプレイオフも初戦敗退ではなく、ディビジョナルやカンファレンス決勝ぐらいまで行けてしまう。でも、そこから先がどうしても厳しい。戦力が薄いから。戦力に厚みが無いから。

 レイブンズやスティーラーズが今以上の成績を残すための最短の近道は、おそらく「2,3年がっつり負ける」であろう。さすれば、いとも簡単にスーパーボウルを制覇してしまうに相違ない。でも、それが出来ない、編成が優秀だから。世の中、ままならぬ。

 ちなみに、イーグルスも、上記2チーム同様、編成が優秀なんだけど、上記2チーム以上の結果を出している。何故か。ズルいから。卑怯だから。最近流行りの言葉を拝借すれば、チートだから。

 そういえば、この試合、アイザイア・ロジャース出てただろ。40ヤードのファンブルリカバー・リターン決めてただろ。
 今から思えば、あの「ギャンブル疑惑」も裏でイーグルスが手を引いていたのかもしれん。かもしれん。疑心暗鬼。

 あと、ジェイレン・カーターな。あの自動車事故も、もしかしたら。疑心暗鬼。

 そうして、なによりセクワン・バークリー。いや、あのラインにバークリーって反則でしょ、チートでしょ。NFL倫理委員会案件でしょ。

 まあ、リーガーの息子でやや留飲は下げたけどな。あくまで、「やや」だけど。そうだ、ウェンツもつかませやがった。

 さて、両カンファレンスの決勝予想としゃれこもう。

 まず、アメリカンであるが、まあさすがに、ここはチーフスかな。負ける姿が想像つかん。

 いや、違うわ〜〜〜〜〜〜〜〜い。

 お前ら、死んでも勝たんかい。勝つ事は義務でもなければ夢でもねえ。勝つのは生き残るための唯一の選択肢だからな。「Win or Die」だからな。「Win or Back」じゃねーからな。

 負けたら、チーム解散、全員切腹。それもコーチやプレイヤーだけじゃなくて、関係者やファンも含めて全員切腹。バッファローは市から村に降格するかもな。

 でも、ウォージーが200ヤードくらい走って、ビルズ惨敗ってパターンもありそうだよなあ。ビルズは、リーグきってのお笑いチームであるだけに。

 いやでも、マジで勝ちに行けよ。ジョシュ・アレンは宣言しろ。「明日、チーフスに勝っても、スーパーボウルはくれてやる。あんなのは、ただの冬祭りだ。」。

 2,3人、死者が出てもいいからな。アストロ球団的な戦い方をしろよ。

 次は松下電器、いや、間違えた、ナショナル。

 こっちは、さすがにイーグルスでしょうな。いくらなんでも戦力が違い過ぎる。QBの力だけで勝てるほど、NFLは甘いリーグじゃないでしょ。実際、数多の名QBが涙を呑んできたわけだし。これでコマンダーズが勝っちゃたら、伝説だよ。リヴィング・レジェンドだよ。チーム名を速攻でワシントン・ダニエルズに改名だよ。

 ただひとつお願いしたいというか、希望は、「ダニエルズをケガさせないでね。」って事だけ。あれはNFLの宝だよ。それがこのゲーム、イーグルス唯一の任務です。

 そういえば、オースティン・コリーが事実上キャリアエンドのケガ、というか脳震盪をしたのもイーグルス戦だったなあ。涙。

 んな感じかなあ。いずれにしても日曜日が、いや月曜日か、楽しみ楽しみ。

                                      2025/1/26(日)
Conference
Championships
あれこれ  生島ヒロシがラジオ番組を降板しましたね。

 生島ヒロシといえば、かつて「ビートたけしのオールナイトニッポン」で「自分の事を『面白い』と思っている生島ヒロシ」というフレーズが使われてましたな。

 あんな詰まんない&くだらない奴のラジオ番組が未だに続いていたという事に驚いた。ショッピング番組の中だけで生息していると思ってた。

 中居くんとフジテレビ、面白い事になってきましたね。

 中居くん問題については、気が向いたら書きます。

 これを機にジャニーズと吉本と女子アナがテレビ業界からきれいさっぱり消えてくれたら、テレビもいくらかマシになると思う。もう手遅れかもしれないけれど。

 この三者、まったく同じ構造、同じ穴のムジナだからな。

 さて、そのような未来への希望はさておき、両チャンピオンシップである。

 まずはナショナル。

 こちらは、55−23でイーグルスの勝ち。

 これから書くことでコマンダーズファンの皆様は不快な気持ちになるかもしれないので、あらかじめ謝っておきます。ゴメンナサイ。でも、書いちゃう。

 まあ、なんつーか、一言で云うと「ダニエルズ&その他大勢」みたいなゲームでしたな。

 「QBがチームの足を引っ張る」、「QBがゲームの足を引っ張る」というのは、QBというポジションの特性上、またQBというポジションの希少性上、致し方ない事であるし、多々ある事でもあるが、このゲームのように「チームがQBの足を引っ張る」「チームがQBに迷惑をかける」というのは、なかなかに珍しいと思う。他にパッと思いつくゲームがない。

 では、早速そのダメっぷりを指摘嘲笑しよう。

 まずはディフェンス、と言いたいところであるが、まあ、しょうがないよね。元々、プレイオフに出てくるようなレベルのディフェンスじゃねーし。

 一発目、本当に一発目のバークリーの60ヤード一発タッチダウンが出た段階で、私には先が見えた。結末が見えた。まあ、止められないよね。「あのOLにバークリー」自体が反則だからな。チートだからな。NFL倫理委員会案件だからな。「オラジュワンにバークリー」「ピッペンにバークリー」はチートじゃなかったけどな。

 でまあ、オフェンスであるが、色々あるけど、結局は、あのファンブル3つ、ファンブルロスト3つが全てだよね。このうちどれかひとつでもファンブルしなかったら、ロストしなかったら、また違った展開になっていたと思う。特に3つ目は痛かったかな。キックオフリターンのも痛かったけどね。

 そもそも、どちらかと云えば、コマンダーズ側にテイクアウェイが3つとまでは云わなくとも、1つ2つあってようやく互角くらいの戦力差なのだから、それをギブアウェイ3つじゃあ、勝負にならんわな。

 また、ファンブル3つがことごとくロストになったという意味では、「ツキ」も無かったという事である。そういう日だと思って諦めるしかないであろう。そんな日もあるさ。

 ただまあ、その他大勢の連中に「ヤル気」はあったよね。当たり前だけど、「ヤル気」は漲っていたよ。滴り落ちていたよ。

 まっ、そりゃそうだけどな。単純に「スーパーボウル」への千載一遇のチャンスというのもあるだろうけど、それより何より生き残りをかけて、より具体的に言えば「来季、ダニエルズと一緒にプレイするために」必死になるのは当然であろう。今オフ、このその他大勢の半分くらいは淘汰されちゃうだろうからな。今季はよく頑張ってくれました。感謝します。来季は違うチームでの健闘を祈ってます。いや、前文と後文の論理がつながってねーー。

 で、早速、来季の戦力補強であるけれど、まあ、50%増しどころか、20%増しくらいで、十分スーパーボウルに届くと思う。

 例えば、いや、これ完全に大胆な仮説だけど、ダニエルズを今のコルツに移籍させても、楽々スーパーボウルだと思う。ヘッポコレシーバー陣もダニエルズなら誤魔化してしまうであろう。テイラー様やネルソン様もいるしね。

 また、ヴァイキングスに移籍したら、こりゃ完全に楽勝スーパーボウル制覇である。歴史に名を刻むようなハイパーオフェンスを見せるであろう。ダニエルズ、ジェファソン、アジソン、ホッケンソン、いやこれ鬼でしょ。鬼オフェンスでしょ。

 まあまあ、これはあくまで大胆な仮説、妄想の類にすぎないけれど、今のコマンダーズからほんのちょいレベルアップするだけで、楽々スーパーボウルだと思う。羨ましいなあ。

 レベルアップ案は色々あるだろうけど、レシーバーやランニングバックといったスキルポジションにオールプロ級、あるいはオールプロ・2ndチーム級を連れてくるだけでも、十分だと思う。
 ディフェンスだったら、やっぱエッジラッシャー。マイルズ・ギャレットなんか狙い目だと思う。1巡と2巡ひとつづつくらいで譲ってくれるんじゃないかなあ。

 ただまあ、ドラフトのみでの戦力アップでは、ちと厳しいかと思う。よほどの慧眼で当てまくれば、話は別だけど、基本的には難しいと思う。戦力アップはFAやトレードが中心になるだろうし、なるべきだと思う。ここで勝負しなかったら、すなわち大型FAや大型トレードをしなかったら、ワシントンファンは拗ねちゃうだろう。

 でもまあ、ワシントンファンは、これから向こう10年、あるいは15年、バラ色の日々だよね。今オフなんて、何ととはなしに思わず含み笑いしちゃって、近くの女子高生達に「キモッ」とか言われる日々であろう。羨ましい。

 ちなみに、私は、何とはなしに壁を蹴り飛ばすオフシーズン。骨折しまくり。暗夜行路。

 どこぞのチームの事はともかくとして、今回ワシントンが敗退したにもかかわらず、私が割りに明るい感じで記事を書いているのには訳がある。

 それはこのゲームの私の、コマンダーズの、更にはイーグルスの最大のミッションは完全に達成されたからだ〜〜。その点ではミッションコンプリートなのだ〜〜。すなわち「ダニエルズがケガしない」あるいは「ダニエルズがキャリアエンド級のケガをしない」。このミッションは完全に達成されたのだ〜〜〜〜。エガッタエガッタ。

 まあ、「ルーキーQBによるスーパーボウル制覇」も見てみたかった気もするが、それは強欲ってもんでしょ。謙虚謙虚。つつましくつつましく。

 さて、そのダニエルズのこのゲームにおけるクォーターバッキングである。

 私が、このゲームにおけるダニエルズのクォーターバッキングで見てみたかった、あるいは確認したかったのは、劣勢下におけるダニエルズのそれである。コマンダーズがつらい展開になるのは、ある程度予想できたので、そういう展開、シチュエーションでダニエルズがどういうクォーターバッキングをするのか、不謹慎ながらも、楽しみにしていた、期待していた。

 で、実際のダニエルズのクォーターバッキングはというと、期待に違わぬものであった。

 劣勢下でも特に気負う事なく着実にボールを進めていく。「お、それそれ。」ってテレビの前で呟いちゃった。

 ラックを髣髴とさせるものがあるし、「近い将来、大逆転劇を演出するだろう」って思ってたら、既に第16週のイーグルス戦で達成済みなのね。もっとも、第3クォーター終了時点での13点差なので「大逆転」とまではいかないが。

 「劣勢下でのクォーターバッキング」については勿論合格点なので、その逆のシチュエーション、すなわち「大量リード下、優勢化でのクォーターバッキング」も見てみたいのであるが、それは来期以降のお楽しみ。沢山あるだろうし、ラック並みに上手であろう。

 また、これは前回の記事でもちょっと触れたが、ダニエルズのパッシングで特筆すべきは、単に「スモールウィンドウ」に通すのではなく、「一瞬だけ開くスモールウィンドウ」にパスを通せるという点であろう。
 
 こんなの初めて見た。お前はゴルゴ13か。「ゴルゴ13」に、刑務所だか官邸だかの窓だか扉だかが一瞬だけ開くので(たしか、回転扉だったと思う)、その瞬間にゴルゴが狙撃するという話があったけど、私はそれを思い出した。「スモールウィンドウを通すQB」は何人か見てきたけど、「一瞬だけ開くスモールウィンドウを通すQB」はダニエルズが初めてである。

 ほんと、惚れ惚れする。私はこのレトリックはあまり好きではないので、当サイトでは一度も使ったことはないと思うけど、「フットボールが好きな人は、一度でいいからダニエルズのクォーターバッキングを見て欲しい。」。

 この「惚れ惚れする」とか、「フットボールが好きな人は、一度でいいからダニエルズのクォーターバッキングを見て欲しい。」とか、前回書いた「ゼニが取れる」とかいったレトリックを私が使うのは、過去のスポーツマンだと「古田のキャッチング」とか「ロッテ時代の落合のバッティング」とか「マダックスのピッチング」ぐらいである。マイケル・ジョーダンは例外論外。ジョーダンは更にこの上、「バスケットボールが好きな人は、見る必要すらないレベル」、なんなら「バスケットボールが好きな人が見たら、バスケットボールを嫌いになってしまうレベル」。

 あと、このダニエルズにバロー、ジェファソン、チェイス、ネバースといった、ここ数年の面々を見ると、どう考えてみても、LSUにはオフェンス、少なくともパッシングオフェンスを知悉している人間がいる、あるいは組織があるとしか思えない。これ、「偶然」という一語では片づけられんだろ。

 お次はアメリカン。こちらは32−29でチーフスの勝ち。三連覇へ王手、である。

 だ〜〜か〜〜〜ら〜〜、言ったじゃない。「負けたら、死にます」宣言すれば良かったのに。

 リードは優しそうだし、マホームズは人が良さそうだから、勝ちを譲ってくれたと思うよ。まあ、タチ悪いけどな。タチ悪い戦術だけどな。太宰治なみにタチ悪いけどな。

 また、逆効果というパターンもあるけどな。「おう、上等だよ。死んで貰おうじゃねえか。合法的に殺人が出来るなんて、嬉しいねえ。」なあんて感じて、リード以下チーフスの面々を怒らせちゃって、大爆発。結果、ビルズ惨敗。

 そん時は、「いや〜〜、ギャグギャグ。営業トークですよ。盛り上がったでしょ。たかがフットボールに命を懸ける訳ないじゃないですか〜〜。」。

 まっ、そんな命のやり取りはともかくとして、とにかく結果はビルズの負け。は〜〜い、ビルズ解散決定。あっ、まだか。あとはイーグルスに全てを託すしかない。オラの全てをイーグルスに託す。

 ここ数年、ビルズはプレイオフでチーフスにこういう負け方を続けて、「惜しい」と言われている訳であるけれど、まあ、惜しくはないよね。歴然とした開きがある。はっきり実力である。一時のコルツとペイトリオッツとの差、いや、それ以上に開きがあるかもしれん。

 では、その差は何かというと、一口で云っちゃえば、「リードとマクダーモットとの差、マホームズとジョシュ・アレンの差」となっちゃうんだけどさ。

 例えば、最後のオールアウトブリッツとゾーンブリッツのコンビネーションに引っかかって、事実上終戦したところなんかは、「何とかならんのかなあ。」と思う。

 ビルズファンには苦々しい比喩だろうけど、ダニエルズなら軽く突破していたと思う。

 もっとも、このへんの「ブリッツへの弱さ」は昨今のQB特有の課題だと思う。私がNFLを見始めた20年前くらいは、バティ・ライアン伝来の46ディフェンスがまだまだ流行っていて、多くのチームが「とりあえず、ブリッツしとけ」みたいなディフェンスで、ダンジーのような「カバー2」系統はむしろ少数派であった。

 ところが、そのブリッツを、マニングが正確無比なブリッツピックで、つかジョセフ・アダイで、ブレイディがクイックスラントとスクリーン、つかウェス・ウェルカーとアメンドーラとエデルマンで無力化してしまい、以降、「ブリッツハッピー」は下火となった。バディ・ライアンが懐かしい。ライアン兄弟は、いまいずこ。

 変わって、ダンジー流の「カバー2」系統や、ピート・キャロルの「レギオン・オブ・ブーン」が台頭流布する訳であるが、それに伴い、QBのブリッツを裁く技術は低下した。磨く必要がなくなったのである。また、所謂「走れるQB」の隆盛跋扈もこれを一因としていよう。

 そういう情勢の中で、「ブリッツ職人」、あるいは「それしか能のない男」スパグニュオーロに目を付けたのは、アンディ・リードの「上手い」というか、「さすが」というか、「慧眼」というか、「当然の一策」というか、まあ、したたかなところではある。

 その起用がまんまとハマったのが、先のテキサンズ戦やこのビルズ戦であったではあろう。

 でもまあ、そのリードの慧眼はともかくとして、このゲームのようなアレンの無残な姿を見ていると、この手の「走れるQB」の限界は感じる。ラマー・ジャクソンにも同様の事が云えるし、どこぞのチームのプアマンズ・ラマーにも同様の事が云えるであろう。

 タイプは違えが、ゴフも加えて、どーすんすかね、これらのチーム。ゴフやアレンを変えるってのは、いろんな理由で厳しいかもしれないけど、ラマーは変えるかもしれんね。レイブンズは、そういうところは機を見るに敏だからね。

 んな感じかなあ。

 では、スーパーボウルの予想と洒落こむか。

 「三連覇」は許しがたいものがあるけれど、やっぱチーフスかなあ。単純な戦力差はイーグルスにやや分があるように思うけど、最終的にはQBの力量の差、マホームズとハーツの力量の差が勝敗を分けると思う。マホームズとハーツでは、格が違う。

 ターンオーバー・レシオも1つ2つぐらいじゃあ、勝敗を左右しないと思う。それくらいを跳ね返す力がチーフス、いやリードとマホームズにはある。

 まあ勿論、3つ4つとなれば話は別だし、どれくらいリターンされるかも大きいであろう。そういった偶然、「天候」や「ボールの弾み具合」といった偶然がイーグルスに味方しないと、なかなかに厳しいんじゃないかなあ。

 しっかし、チーフスが三連覇かあ。マニング時代は「大のお得意さん」、「どう転んでも勝ててしまうチーム」だったんだけどなあ。時代は変わるもんだなあ。めぐる、めぐるよ、時代は巡る。

 そう言えば、A.J.ブラウンとデアンドレ・ホプキンスという、かつてのAFC南夕子地区の両雄がスーパーボウルの舞台に立ちますな。慶賀の至り。

                                       2025/2/2(日)
つづき  ハゲラッチの訃報を機に始まったこの駄文であるが、もうちっと続くので、お付き合いください。「打順論」も、まだまだ途中だし、何やってんだか。

 ここでプロレス関係のことを書いているからという訳でもないが、ここ最近、いろいろプロレス関係の文書を読んでいる。

 そこでひとつ気が付くのは、この手のプロレス関係の文章には、他のスポーツ関係の記事ではド定番の戦術論や技術論がほぼ無いという事である。これはプロレス関係の文章の際立った特徴だと思う。

 例えば、他のスポーツ関係の文章でありがちな、「あの場面はバントすべきだった」とか「左肩の開きが」とか「あの場面ではパントすべきだった」とか「あのパシュートアングルが」とかいうような、当サイトでもお馴染みのインチキ戦術論やインチキ技術論が、プロレス関係の文章ではほぼ皆無なのである。たとえば、「あの場面はタッチすべきだった」とか、「あのヘッドロックの肘の角度は」とかいうような戦術論技術論が、ほぼ皆無なのである。

 そりゃそうだよね。プロレスで戦術論や技術論をぶったら、いとも容易く「プロレスは勝敗を争わない競技である」という結論に到達してしまうからだ。

 一方、それらに代わって、プロレス関係の文章で盛んなのは、「リングの下」や「リングの外」での話である。「リングの上」がタブーである以上、そちらを話題の中心にせざる得ない。勿論、他のスポーツ関係の文章でも「フィールド外」や「コート外」の話はあるけれども、それはあくまで添え物、こぼれ話的なものであり、話柄の中心は、あくまで「フィールド内」や「コート内」、すなわち戦術論や技術論となる。無論、「ストーブリーグ」の話もあるけれど、それは戦術論の延長、すなわち戦略論であり、それらはカテゴリー的には「フィールド内」や「コート内」の話である。

 そういう訳で、プロレス関係の文章、その中心であろうプロレス雑誌は、その他のスポーツ関係の雑誌よりも、むしろ芸能誌によく似ている。「週刊ベースボール」より「平凡」や「明星」によく似ている。

 「平凡」や「明星」といった芸能誌に、芸能の技術論、すなわち芸論はほとんど無い。「あの歌手の発声法は」とか「あの役者の手の動きは」とかいうような、芸能の技術論、芸論はまず無い。
 かわって盛んに議論される、というか噂されるのは、「画面の外」や「舞台の下」の話、すなわちゴシップ記事である。

 こうした観点から見ても、プロレスはスポーツより芸能に近いものであるという事が分かる。プロレスが「ヤオ」である状況証拠のひとつである。

 ちなみに、アメリカには、日本のプロレス雑誌とは性質の異なる本物のプロレス雑誌があるらしい。その雑誌には、プロレスの戦術論や技術論も含め、プロレスの全てが評論されているらしい。まあ勿論、同人誌的なものなのだろうけど。

 勿論、その他にも、プロレス団体が事実上発行しているような御用雑誌、パンフレットもあるが、日本のプロレス雑誌のようなものは無いらしい。

 つまり、プロレスファンは3種に分けられる。

 まずは、何もかも知っている専門家。先に挙げた「本物のプロレス雑誌」を読む層である。

 次は、何もかも知らないのだけど何もかも知っていると思っている人達、あるいは、知りたいと思っている人達。「日本のプロレス雑誌」を読む層である。

 3つ目は、ホントに何も知らない人たち。リング上だけを楽しむ人たち。それが全てだと思っている人達。「プロレス団体が発行しているような雑誌、パンフレット」を読む層である。

 アメリカでは、この3種にそれぞれ名称が付けられているらしいのであるが、ちょっと忘れてしまった。インターネットで軽く調べてみたが、分からなかった。ゴメンナサイ。10年くらい、いや20年くらい前の立ち読みの知識なんですぅ。

 日本語で名付けるとしたら、上から「専門家」、「中間層」、「大衆」といったところであろう。

 で、プロレスに限らず、この「中間層」が非常に多いというのが日本社会の特徴であるらしい。アメリカをはじめ、多くの国々では、一握りの「専門家」と大多数の「大衆」で構成されていて、「中間層」は非常に少ないらしい。まあ、それが日本社会にとって、良い事なのか悪い事なのかは、軽々に結論しかねる事ではあるけれども。

 「えっ、オマエはどの層か。」って。それは、勿論、ひ・み・つ。

 さて、「プロレスがヤオである」状況証拠は他にもある。

 この手の「ヤオガチ論争」になると、プロレスラー本人が「私は常にガチだ」みたいな事を主張してくるけど、その際にはこう言い返せばいい。

 「もしプロレスが『ガチ』だとしたら、あなた方は信じられない程『弱い』人達なんですね。なぜなら、もしプロレスが『ガチ』だとしたら、ケガ人や死者がもっと出てもいい筈ですよ。『プロレスがガチ』で死者やケガ人がこの程度しか出ていないのだとしたら、あなたがたプロレスラーは、信じられない程『弱い』人達なんですね。」。

 すると、プロレスラーは次のように返答するであろう。

 「いや、違いますよ。私たちは『強い』から、体を鍛えに鍛えているからケガをしないのです。ケガ人や死者が少ないのは、私たちが『強い』からです。『強い』証拠です。」。

 そうしたら、私はこう答えるであろう。

 「でも、関節は鍛えられませんよ。そうして、あなた方は関節技が認められているのですから、コブラツイストや足4字固めで関節を折ってしまえば良いじゃないですか。」。

 すると、

 「いや、関節は極めるだけで、折らないのが『プロレス道』というものです。」。

 どちらの主張に説得力があるかは、読者の判断に委ねようと思う。

 また、その他の状況証拠としては、同門対決の問題があろう。

 一般に格闘技の世界、大相撲やプロボクシングの世界では、同門対決、すなわち「同部屋対決」や「同ジム対決」は原則的に禁止、というか自粛という形になっている。

 その主たる理由は無論、「八百長防止」であろうが、真の理由は他にあるであろう。まあ、なんつーか、同じ釜の飯を食った、寝食を共にしたとまではいかなくとも、一緒に練習した選手、共に汗を流した選手と戦う、あるいは殴りあうというのは、心理的心情的に厳しいというものがあろうからだ。

 かつて大昔、トミーズ雅が紳助のトーク番組で語ってた。

 「なんで、ボクシングを辞めてしまったのか」という質問に、トミーズ雅は、

 「いや、初めて会った人、ついさっき会った人は殴れませんよ。そりゃまあ、恨みつらみがある人、自分が苛められたとか、家族が傷つけられたとかいうような、正当な理由といったらおかしいですけど、殴るだけの理由があれば、そりゃ僕も殴りますけど、ついさっき会った人、見も知らずの人は殴れませんよ。
 まあ、日本チャンピオンぐらいまでは、僕もスポーツの延長でやってきましたけど、そこから先は無理ですわ。だって、死ぬかもしれないんですよ。憎くもない人、嫌いでもない人を僕は殴れませんよ。殺せませんよ。
 だから、世界チャンピオンまでいく人は、あれキチガイですよ。恨みつらみが無くても、殺す勢いで人を殴れる、そういう人達が世界の舞台で戦うんです。僕は無理ですわ。そんな人間にはなれませんでしたわ。」

 みたいな事を云ってた。

 同じような事が、「はじめの一歩」でも軽く触れられていたけど、深入り、深掘りはされなかった。まあ、一筋縄ではいかない問題だしね。今現在、一歩が引退、あるいは引退状態であるのは、この問題が解決されていないからだと思う。

 一歩くんに限らず、優しい人をボクシング漫画や映画、アニメ等々の主人公ににしちゃうと、難しいのはここだよね。ここで行き詰まる。「優しい人が主人公のボクシングもの、あるいは格闘技もの」っていうのは、一見、面白そうなプロット、アングルだし、実際それなりに面白いんだけど、どうしてもこの一点「優しい人が人を殴れるのか」というの難問にぶち当たってしまい、概ね解決しない。

 例えば「がんばれ元気」である。これも「優しい人が主人公のボクシングもの」であったし、人気も出たけれど、この難問を解決できず、どこか消化不良で終わってしまった。
 一応、元気くんは「亡き父親の復讐のため、あるいは亡き父親の夢のため」という大義名分でボクシングをしている訳だけど、優しい人は「復讐」なんて暗い事、しないよね。

 しかも、敵役の関拳児が作品中盤から善人っぽくなっていっちゃったので、ますます「復讐」が空回りしてしまい、それを「スポーツマンシップ」に置き換えようとしていたけども、まあ、無理があったよね。

 この作品に全体的に陰惨な印象、不気味な印象があるのは、ベタを多用するその作画にもあるけれども、その最大の理由は「優しい人がボクシングをする」という、その中心プロット、基礎構造にあったと思う。

 まあでも、このプロット、基礎構造、小山ゆう、好きだよね。「あずみ」も全く同じ構造だし。優しい風貌をしているけれども、小山ゆうその人は、案外サディスティックな人なのかもしれない。

 さて、小山ゆうの基礎構造はともかくとして、格闘技で「戦う」というのはそういう事なのだけど、プロレスでは逆に、原則的に「同門対決」「団体内対決」であり、他団体、すなわち「ともに汗を流していない」選手と「戦う」のは、原則的に嫌がる。「信頼感がない」「信用できない」とか言ってね。

 まあ、そういう事だよね。

 こういった点から見ても、プロレスが「スポーツ」より「演劇」に近いものだという事が分かる。

 演劇の世界も、基本的には同劇団内の演出家や役者との芝居が好まれ、他劇団の演出家や役者と芝居をする際は、それ相応の稽古をする。また、あまりにも「芸風」が異なれば、それ相応の調整は必要になる。歌舞伎役者と新劇役者が同じ舞台に立つ際には、どちらかの芝居に寄せる事となるであろう。まして、歌舞伎役者がテレビドラマに出演する際には、「歌舞伎」の芝居は絶対にしない。したらしたで、ある種の異化効果はあるかもしれんけどな。

 また、映画の世界においても、特定の監督や役者、スタッフがともに仕事をする事が多いのも同様の理由である。所謂、「座組」である。

 事程左様に、「プロレスがヤオである」である状況証拠は数多く、それの反証はほぼ無いにもかかわらず、それでも、プロレス関係者はともかく、多くの、いや今は「一部の」かな、ともかく一定数のプロレスファンは「プロレスがガチである」と主張し、「ヤオガチ論争」に血で血を洗っている。

 こんな風になってしまったのは、やっぱりアントニオ猪木の責任だよね。逆に言えば、アントニオ猪木がいかに偉大だったかとも云える。世界のプロレス界はともかく、日本のプロレス界を救った、あるいは延命したのは、間違いなくアントニオ猪木である。

 アリと戦った返す刀で、シンと戦うっていうのが猪木の巧いところだよね。「リングの上」でも「リングの下」でも「ガチ」であると印象付けることに成功した訳である。そうして、これに当時のプロレスファン、そうしてプロレスラーの多くが焼かれていく訳である。

 その象徴、というか殉教者は、何といっても高田延彦であろう。真性、まさしく「ガチ」のプロレスファン、というかアントニオ猪木ファンだった高田はプロレスラーとなり、ヒクソンと戦い、「ハッスル」を主宰する訳である。

 この「『ヤオ』と『ガチ』を近づける、曖昧にする」という方法が、いかに強力であり、そうして、いかに深刻な後遺症を残すかという事の数多いの事例のひとつであろう。

 最近、フジテレビ問題が世間を賑わしているけれども、これもまた、ある意味「『ヤオ』と『ガチ』を近づける、曖昧にする」の犠牲者であると言えなくもない。

 私は、ちょっと前の記事で「80年代の文化の特徴は『ふざけている』である」と書いたけれども、制作者や視聴者も含めたフジテレビ関係者、いやテレビ関係者の多くは、80年代当時、自身のやっている事が「ふざけている」であるという自覚があった。自覚が無ければ、「ふざけられ」ないからな。
 ところが、90年代以降になると、制作者、視聴者の多くが、その自覚を失っていった。「ふざけている」のではなく、「テレビとはそういうものだ」と信じ切っている人達がテレビ関係者の多数派になった。「ふざけている」という自覚のある人は、それに戸惑い、また、その中の一部はテレビ業界を去っていったろう。

 で、あれから30年、このザマである。ヒクソンに敗れ、「ハッスル」に失敗した高田延彦とまったく同じ構造である。「夢から醒めた」とも云えるし、「クスリが切れた」とも云えるであろう。

 同じような事は岡田斗司夫も言っていった。「かつて、自分たちも『俺はロリコンだ〜。』とか『ラムちゃんと結婚する〜〜。』とか確かに言ってた。でも、それ、あくまで『ギャグ』だから、『冗談』だから。ところが、90年代に入ると、「俺は綾波を護り続ける。」とか「俺の嫁は亜美ちゃんだ。」とかマジで言い出す奴が出てきて、ちょっと怖くなった。」みたいな発言である。

 「『ヤオ』と『ガチ』を近づける、曖昧にする」というのが、いかに強力か、そうして、いかに凶悪かという事の数多い証左の一つであろう。

 世界最初の小説が「ドン・キホーテ」であるというのは、ホント意味深だよね。太宰治なんかも、この方法論に焼かれた一人、犠牲者の一人、殉教者の一人といっていいかもしれん。あ、そうそう、三島由紀夫もな。

 人間なんつうのは冗談だか本気だか分かんないギリギリのところで生きてるんじゃないんですか。岡本さ〜〜ん。

 で、そういう犠牲者、深刻な後遺症を今でも患っている人達が「ヤオガチ論争」を繰り広げている訳であるけれども、彼らの言説の一つで気になるのが、「○○○○が△△△△と言った」というレトリックをやたらに使うって点である。例えば、「『前田日明は藤原喜明が最強だ』と言った」とか「『山本小鉄は猪木vsルスカ戦はガチだった』と言った」とかみたいな用法である。

 いや、プロレスラーの言う事なんて信用できないから。ウソをつくことが商売みたいな人達だから。プロレスラーの証言は命題の正否の証拠にはならない。

 つーか、プロレスラーに限らず、人の発言なんて証拠にはならんよね。だから、「証言」という言葉は厳密には間違いだよね。実際、裁判所では「証言」を基に様々な判決を下して、大恥かいている訳だし。

 「人間はウソをつく」というのも勿論あるけれども、そもそも人間は目の前のものが何であるかを完全に知る事はできないからだ。まして、「過去」の事なんていい加減だよね。
 私は、かつて「自分史」のテキトーっぷりに関して、記事に書いた事があるけれども、そんな昔の事でなくても、昨日、いや今日の事だって、人間は覚えていないものである。まして、「正確に理解する」なんて事実上不可能である。昨日の晩飯、正確に覚えてる?。ミソ汁の具材、憶えてる?。小学校を卒業した年、覚えてる?。父親の誕生日、憶えてますか。

 人間の認識なんて、そんなもんである。

 「いや、お前、今さっき、トミーズ雅や岡田斗司夫の言葉を引用したじゃねーか。」っていう反論が聞こえてくるが、屁理屈かもしれないけど、私はそれらを「証拠」としては使っていない。あくまで「状況証拠」であり、「論拠」にはしていない。「ある命題が事実だとしたら、それに矛盾しない発言のひとつ」という意味、あるいは価値でしかない。彼らがウソをついている、あるいは現実認識を誤っている可能性は当然あるし、仮にそうだとしても、自分の主張は揺るがないと思っている。なぜなら、「論拠」にはしていないから。

 ちなみに、「ある命題の正否を定める為の明確な方法」はあるのだけれど、それはまた別の機会に書きたいと思う。

 ただまあ、プロレスファンに限らず、何故に多くの人々が「他人の発言」を自身の「論拠」にしているかについては、はっきり理由がある。

 それはすなわち、この世の多くの人が自分の考え、すなわち自分の判断を自分で信用していないからである。自分の判断より他人の判断を重視、つか採用しているからである。

 多くの人たちは、子供の頃、自身の判断に従い、失敗ばかりしてきたのだろう。痛い目にあったのだろう、苦い経験をしたのだろう。そうして、いつしか、自分の判断より他人の判断を重視採用するようになるのだ。親に始まり、兄弟や友人、学校の先生、テレビや雑誌を賑わす有名人、何やらの世界的権威、名とか賞の受賞者、偉人賢人等々である。

 もっとも、何から何まで正しい事を云う人間、万事に常に正確無比な判断を下す人間なんている訳ないので、いつしか「誰も信じられない」「誰を信じてよいか分からない」と言い出すようになる。そうした人々の行き着く先はただひとつ、「神様」であろう。なるほど、「神様は、絶対間違えない」からな。そうして、いつしか「神様の言う事」だけに従うようになる。もっとも、最近は、人間や神様に代わって、機械、すなわちATしか信じない人間も出て来たけどな。誰を、あるいは何を信じようが愚かであることに変わりはない。

 「○○○○が△△△△と言った」というレトリックは、その当人の「頭の悪さ」の露呈である。

 あと、「真似」も同じ理屈なんだけどな。それはまた別の機会に。

 あと、そうそう、芸能界とプロレスの話が出たので、そのお題でもうひとつ。

 最近、というか、ここ30年くらいの芸人、あるいはお笑いタレントに「プロレス好き」を公言する人が多い。

 それって、お前らのつまらなさの暴露だからな。「プロレスが好き」って事は、「お笑いの才能がない」と事実上同義語だからな。

 「お笑い」の重要な機能のひとつに「『裸の王様』の指摘」がある。多くの人が「言葉」を信じて物事を認識している中、子供のように「現実」を信じて物事を認識するのが、お笑い芸人のひとつの仕事である。「赤信号、みんなで渡れば怖くない」なんつーのは、その象徴的な一語であろう。

 実際、ビートたけしや松本人志は「ボクシング好き」を公言していて、プロレスには興味が無いどころか、軽蔑さえしている。彼等には、はっきり、いとも簡単にその構造が見えるのであろう。

 ところが、彼ら以降のお笑いタレントの多くは「プロレス好き」を公言している。そういう人たちが、「お笑いタレントになろう」と思い、実際に「お笑いタレントになり」、テレビ業界に蔓延してしまったことが、この30年のテレビ業界、テレビお笑い業界の悲劇のひとつであろう。高田延彦みたいのが、90年代以降のヲタクみたいのが、ここ30年のお笑いタレントである。

 なんか前回も同じような事を書いてたな。そうして、「『ヤオガチ論争』っていうのが同族間憎悪、転向者と非転向者の争いだ」みたいなことを書いて、「それに似ているのがJリーグで、次回は、そのJリーグの悪口を書きます」みたいな感じだったが、もうJリーグの悪口を書く気力を失ってもうた。スタミナ切れ。

 次回こそ、Jリーグの悪口を書きまーす。なんつーネガティブな予告。スーパーボウルを翌日に控え、何やってんだか。

                                 2025/2/9(日)

1/2/3/4/5/6/7/8/9